JP5985859B2 - ディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体 - Google Patents
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Description
また、ディスクロータとの接触によってライニング部材が不用意に回転すると、それにより制動トルクの伝達にロスが発生したり、ブレーキノイズが発生したりしてしまう。そのため、ライニング部材の回転を規制する手段が必要になり、部品の増加がコストアップを招くと同時に、部品の増加に伴う組み立て工程数の増加が生産性の低下を招く。
即ち、ライニング組立体から制動トルクを受ける部材と、ライニング組立体へ押圧力を作用させる部材とが別個に設定されており、ライニング組立体へ押圧力を作用させるプレート当接曲面部及び裏板当接曲面部とトルク受けプレートとの各接触部には、大きい負荷となる制動トルクが作用しない。そのため、押圧力を伝達する各接触部は、制動トルクを受け止める玉継手等の堅牢な係合にする必要がなく、加工精度の緩和によるコストの節減、生産性の向上を実現することができる。
そこで、複数のライニング組立体へ押圧力を作用させる平板状のトルク受けプレートは、十分な剛性を有する板厚が必要であり、十分な剛性を有していないと、複数のライニング組立体に対して均等に押圧力を作用させることが困難となる可能性があった。そのため、板厚を厚くして剛性を高めたトルク受けプレートは重量が嵩み、材料コストの上昇を招くという問題があった。
(1)本発明に係るディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体は、制動トルクを受けるガイドプレートに複数のライニング組立体が揺動自在に支持されて、前記ライニング組立体がディスクロータへ押圧されるディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体であって、
前記ライニング組立体は、摩擦材の裏面に固着された裏板部に、外周面が前記ガイドプレートに設けられたガイド孔部に揺動自在に嵌合するプレート嵌合部と、前記ガイド孔部よりも大きな外径の抜け止めフランジ部とを備え、前記ガイドプレートの背面側から前記ガイド孔部に挿入装着されて、前記ディスクロータと前記摩擦材との接触時に作用する制動トルクを前記プレート嵌合部から前記ガイドプレートに伝達すると共に、前記裏板部の背面側に設けられたバネ部材によって前記ガイドプレート側に付勢された状態に支持されており、
前記裏板部との間に間隙を開けて前記ガイドプレートに外周部が固着されるトルク受けプレートと前記ガイドプレートの中央部近傍には、前記ガイドプレートと前記トルク受けプレートとの間隔を保持する間隔保持機構が設けられ、
複数の前記ライニング組立体に跨って配置されて面接触した前記トルク受けプレートからの押圧力をこれらのライニング組立体に作用させる平板状の回り止めプレートが、前記トルク受けプレートと前記ガイドプレートとの間に設けられ、前記各裏板部の背面中心から離れた位置に形成された係合部に係合して前記各ライニング組立体が回動するのを阻止する回転防止機構と、前記間隔保持機構が貫通する開口部とを備える構成とする。
前記回り止めプレートが、前記各裏板部の背面中心に向かって隆起形成された複数の曲面凸部を備える構成とする。
(3)上記(2)の構成のディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体であって、
前記バネ部材が、前記曲面凸部の高さより薄い板厚を有すると共に0.3〜0.8N/mm/mm2のばね定数を有する皿ばねであり、許容撓み量の0〜60%の範囲で前記裏板部と前記回り止めプレートとの間に装着される構成とする。
(4)上記(1)〜(3)の構成のディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体であって、
前記間隔保持機構が、前記ガイドプレートと前記トルク受けプレートとの間に介装されたスペーサ部材と、これら前記ガイドプレートと前記スペーサ部材と前記トルク受けプレートとを貫通して挟持固定する締結部材と、を備える構成とする。
(5)上記(1)〜(3)の構成のディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体であって、
前記間隔保持機構が、前記ガイドプレートの一部及び前記トルク受けプレートの一部の少なくとも何れか一方を対向する方向に膨出して当接させ、当接した部分を固着する構成とする。
また、ディスクロータへライニング組立体を押圧する押圧力は、トルク受けプレートから、バネ部材を介して、ライニング組立体の裏板部に作用する。
即ち、ライニング組立体から制動トルクを受ける部材と、ライニング組立体へ押圧力を作用させる部材とが別個に設定されており、ライニング組立体へ押圧力を作用させるバネ部材とライニング組立体との接触部や、バネ部材とトルク受けプレートとの間の接触部には、大きい負荷となる制動トルクが作用しない。
また、ライニング組立体の裏板部との間に間隙を開けてガイドプレートに外周部が固着されるトルク受けプレートとガイドプレートの中央部近傍には、間隔保持機構が設けられており、この間隔保持機構がトルク受けプレートの中央部近傍において該トルク受けプレートに作用する押圧力の一部を支持することができる。そこで、ガイドプレートに外周部が固着されたトルク受けプレートの剛性は、間隔保持機構が設けられていない場合よりも高まり、トルク受けプレート自体の板厚を薄くすることが可能となる。
そのため、使用部品の加工精度の緩和や部品の軽量化によるコストの節減、生産性の向上を実現することができる。
図1乃至図7は本発明の一実施形態に係るディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体を示したものであり、図8はディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体を構成する単位摩擦パッド組立て体の組立手順を説明するための矢視図である。
各単位摩擦パッド組立て体110,120は、同様の構成を有している。また、それぞれの単位摩擦パッド組立て体110,120は、ディスクロータに対峙して配置され、車体フレームに固定された不図示のブレーキキャリパに内蔵のアクチュエータによってディスクロータに向かって進退駆動される。
本実施形態の間隔保持機構36は、ガイドプレート11とトルク受けプレート3との間に介装された中空円筒状のスペーサ部材35と、これらガイドプレート11とスペーサ部材35とトルク受けプレート3とを貫通して挟持固定する締結部材であるリベット34と、を備えている。なお、締結部材はリベット34に限らず、ボルト・ナット等の他の締結部材を用いることもできる。
また、プレート嵌合部22aは、本実施形態の場合、ガイド孔部11aとの摺接によるライニング組立体13の揺動動作が円滑になるように、ガイド孔部11a側に凸の曲面状に形成されている。
このバネ部材24は、回り止めプレート5に突設された裏板当接曲面部5aの高さより薄い板厚を有すると共に0.3〜0.8N/mm/mm2のばね定数を有することが望ましい。
バネ部材24がこの様に設定されることで、ロータ面の熱変形による差異や、ライニング厚の差異による夫々のライニング組立体13に作用する荷重差が、ライニングの過負荷現象となることを緩和できる。
先ず、図8(a)に示すように、背面を上方に向けてセットされたガイドプレート11のガイド孔部11aに、摩擦材21がガイドプレート11の正面側(図中、下側)に突出するようにライニング組立体13が挿入装着される。ガイド孔部11aに挿入装着されたライニング組立体13は、抜け止めフランジ部22bがガイド孔部11aの周縁部に当接した状態とされる。
更に、図8(c)に示すように、裏板当接曲面部5aが裏板部22の背面中心に対向し、回転防止機構5bが回り止め用の係合孔22cに係合し、開口部5cがスペーサ部材35に貫通されるようにして、回り止めプレート5がバネ部材24上に載置される。
裏板当接曲面部5aが当接する裏板部22の部位(バネ収容凹部22dの底面)は、ライニング組立体13の揺動動作時に、揺動動作に伴って接点が自由に移動できるように、平滑面に仕上げられている。
従って、制動時にライニング組立体13に作用する制動トルクは、ガイドプレート11に伝達され、当該ガイドプレート11が固定されているトルク受けプレート3にダイレクトに伝達される。
また、制動時にディスクロータへライニング組立体13を押圧する押圧力は、トルク受けプレート3から、回り止めプレート5及びバネ部材24を介してライニング組立体13に作用する。
そのため、押圧力を伝達するバネ部材24と、ライニング組立体13又は回り止めプレート5との各接触部は、制動トルクを受け止める玉継手等の堅牢な係合にする必要がなく、加工精度の緩和によるコストの節減、生産性の向上を実現することができる。
従って、ライニング組立体13の厚さ方向の寸法公差の影響を受けずに、安定した制動特性を維持することができる。
また、上記したディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体100では、ディスクロータにライニング組立体13が接触した時の制動トルクの伝達効率を高めるために、ディスクロータ面に平行な面内でのライニング組立体13の回転規制を、ライニング組立体13の裏板部22に形成した係合孔22cと、回り止めプレート5に突設した回転防止機構5bとの係合によって行っている。即ち、ディスクロータ面に平行な面内でのライニング組立体13の回転規制には、独立した専用部品を追加していないため、ライニング組立体13の回転規制のために部品が増加することがなく、部品の増加に起因したコストアップや組立工程数の増加による生産性の低下といった不都合の発生を回避できる。
図9に示した間隔保持機構40は、トルク受けプレート3Aの中央部近傍における所定部位(一部)を絞り加工等によりガイドプレート11に対向する方向に膨出させた当接部38と、ガイドプレート11と当接部38とを貫通して挟持固定する締結部材であるリベット34と、を備えている。なお、リベット34による締結固定に代えて、スポット溶接によりガイドプレート11と当接部38とを固着することもできる。
例えば、1つのディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体を複数の単位摩擦パッド組立て体から構成する場合に、構成する単位摩擦パッド組立て体の数量は、1つ又は3つ以上としても良い。
11 ガイドプレート
11a ガイド孔部
13 ライニング組立体
21 摩擦材
22 裏板部
22a プレート嵌合部
22b 抜け止めフランジ部
22c 係合孔
22d バネ収容凹部
24 バネ部材
28 リベット
31 アンカープレート
32 リベット
34 リベット
35 スペーサ部材
36 間隔保持機構
100 ディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体
110,120 単位摩擦パッド組立て体
Claims (5)
- 制動トルクを受けるガイドプレートに複数のライニング組立体が揺動自在に支持されて、前記ライニング組立体がディスクロータへ押圧されるディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体であって、
前記ライニング組立体は、摩擦材の裏面に固着された裏板部に、外周面が前記ガイドプレートに設けられたガイド孔部に揺動自在に嵌合するプレート嵌合部と、前記ガイド孔部よりも大きな外径の抜け止めフランジ部とを備え、前記ガイドプレートの背面側から前記ガイド孔部に挿入装着されて、前記ディスクロータと前記摩擦材との接触時に作用する制動トルクを前記プレート嵌合部から前記ガイドプレートに伝達すると共に、前記裏板部の背面側に設けられたバネ部材によって前記ガイドプレート側に付勢された状態に支持されており、
前記裏板部との間に間隙を開けて前記ガイドプレートに外周部が固着されるトルク受けプレートと前記ガイドプレートの中央部近傍には、前記ガイドプレートと前記トルク受けプレートとの間隔を保持する間隔保持機構が設けられ、
複数の前記ライニング組立体に跨って配置されて面接触した前記トルク受けプレートからの押圧力をこれらのライニング組立体に作用させる平板状の回り止めプレートが、前記トルク受けプレートと前記ガイドプレートとの間に設けられ、前記各裏板部の背面中心から離れた位置に形成された係合部に係合して前記各ライニング組立体が回動するのを阻止する回転防止機構と、前記間隔保持機構が貫通する開口部とを備えることを特徴とするディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体。 - 前記回り止めプレートが、前記各裏板部の背面中心に向かって隆起形成された複数の曲面凸部を備えることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体。
- 前記バネ部材が、前記曲面凸部の高さより薄い板厚を有すると共に0.3〜0.8N/mm/mm2のばね定数を有する皿ばねであり、許容撓み量の0〜60%の範囲で前記裏板部と前記トルク受けプレートとの間に装着されることを特徴とする請求項2に記載のディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体。
- 前記間隔保持機構が、前記ガイドプレートと前記トルク受けプレートとの間に介装されたスペーサ部材と、これら前記ガイドプレートと前記スペーサ部材と前記トルク受けプレートとを貫通して挟持固定する締結部材と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体。
- 前記間隔保持機構が、前記ガイドプレートの一部及び前記トルク受けプレートの一部の少なくとも何れか一方を対向する方向に膨出して当接させ、当接した部分を固着することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体。
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