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JP5983569B2 - 車両前部構造 - Google Patents

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JP5983569B2
JP5983569B2 JP2013188473A JP2013188473A JP5983569B2 JP 5983569 B2 JP5983569 B2 JP 5983569B2 JP 2013188473 A JP2013188473 A JP 2013188473A JP 2013188473 A JP2013188473 A JP 2013188473A JP 5983569 B2 JP5983569 B2 JP 5983569B2
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Description

本発明は、車両前部構造に関する。
下記特許文献1に記載された車両前部構造では、フロントサイドメンバにおける車両前後方向の前部において、車両幅方向外側に三角形状のアウタメンバ(ガセット)が配設されている。そして、このアウタメンバの前端部とフロントサイドメンバの前端部の位置が車両前後方向で一致して配置され、アウタメンバの前端部及びフロントサイドメンバの前端部には、板状のテンション部材が固定された技術が開示されている。この先行技術では、フロントサイドメンバに対する車両幅方向外側に荷重が入力される形態の前面衝突(以下、「微小ラップ衝突」という)の際に、テンション部材(ブラケット)を介して、アウタメンバからフロントサイドメンバへ衝突荷重を伝達させることができる。
また、下記特許文献2に記載された車両前部構造では、エプロンレインフォースメント(エプロンアッパメンバ)における車両前後方向前部に連結部材が設けられている。そして、この連結部材の前端部とフロントサイドメンバの前端部の位置が車両前後方向で一致して配置され、連結部材の前端部及びエプロンレインフォースメントの前端部には、板状の面部が固定された技術が開示されている。この先行技術では、微小ラップ衝突の際に、面部を介して、エプロンレインフォースメント及びフロントサイドメンバへ衝突荷重を分散させることができる。
特許第4691964号公報 特許第4617681号公報
ところで、微小ラップ衝突等の前面衝突の場合、車両幅方向内側への横力を車両に発生させることで、車両を衝突体から遠ざけることができる。しかしながら、上記先行技術による車両前部構造では、衝突荷重を車両前後方向後方側へ伝達・分散させる構成となっており、車両幅方向内側への横力を効果的に車両に発生させるという点において改善の余地がある。
本発明は、上記事実を考慮し、微小ラップ衝突等の前面衝突時に車両幅方向内側への横力を効果的に車両に発生させることができる車両前部構造を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明に係る車両前部構造は、車両前後方向に沿って延在されたフロントサイドメンバと、前記フロントサイドメンバの車両前後方向の前方側で車両幅方向に沿って延在されたバンパリインフォースメントと、前記フロントサイドメンバの車両幅方向外側、かつ前記バンパリインフォースメントの車両前後方向の後方側で当該バンパリインフォースメントと離間して配設されたガセットと、を有し、前記ガセットにおける車両前後方向の前端部は、前記フロントサイドメンバにおける車両前後方向の前端部よりも車両前後方向の前方側に配置されている。
請求項1記載の発明に係る車両前部構造では、フロントサイドメンバの車両幅方向外側、かつバンパリインフォースメントの車両前後方向の後方側で当該バンパリインフォースメントと離間してガセットが配設されている。このガセットの車両前後方向の前端部は、フロントサイドメンバにおける車両前後方向の前端部よりも車両前後方向の前方側に配置されている。このため、衝突体との車両幅方向のラップ量が小さい衝突形態である前面衝突(例えば、微小ラップ衝突や斜め衝突)の際、ガセットに集中的に衝突荷重が入力される。
ガセットはフロントサイドメンバに対して車両前後方向の前部側かつ車両幅方向外側に配設されているため、ガセットに衝突荷重が入力されると、フロントサイドメンバには、当該フロントサイドメンバを車両幅方向内側へ向かって屈曲(いわゆる内突折れ)させるモーメントが作用する。フロントサイドメンバが内突折れし、車両構成品(例えば、パワーユニット等)に当たることで、車両幅方向内側への横力を車両に発生させることができる。
請求項2記載の車両前部構造は、請求項1記載の車両前部構造において、前記ガセットの車両前後方向後部には、車両前後方向の後方側へ向かうにつれて前記フロントサイドメンバ側へ向かう傾斜壁が形成されている。
請求項2記載の車両前部構造では、ガセットへ衝突荷重が入力されると、当該ガセットの車両前後方向後部に形成された傾斜壁を介して、フロントサイドメンバへ荷重が伝達される。これにより、傾斜壁の後端部を起点として、フロントサイドメンバを内突折れさせることができる。
請求項3記載の車両前部構造は、請求項1又は請求項2記載の車両前部構造において、前記フロントサイドメンバにおける車両前後方向の前端部及び前記ガゼットにおける車両前後方向の前端部にはブラケットが結合され、当該ブラケットは、前記フロントサイドメンバにおける車両前後方向の前端部に結合された第1結合部と、前記第1結合部よりも車両前後方向の前方側に配置され、前記ガゼットにおける車両前後方向の前端部に結合された第2結合部と、前記第1結合部と前記第2結合部との間を繋ぐ段差部と、を含んで構成されている。
請求項3記載の車両前部構造では、フロントサイドメンバにおける車両前後方向の前端部及びガゼットにおける車両前後方向の前端部に接合されたブラケットは、第1結合部及び第2結合部を含んで構成されている。第2結合部は第1結合部よりも車両前後方向の前方側に配置されており、第1結合部はフロントサイドメンバにおける車両前後方向の前端部に結合され、第2結合部はガゼットにおける車両前後方向の前端部に結合されている。当該第2結合部を介してガセットに衝突荷重が入力され、当該ガセットを介してフロントサイドメンバが内突折れする際、ブラケットには車両幅方向外側へ向かう引張力が作用する。
請求項4記載の車両前部構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両前部構造において、前記フロントサイドメンバの車両幅方向外側において車両前後方向に沿って延在されたエプロンメンバから延出され、車両前後方向の前端部が前記ガセットにおける車両前後方向の前端部よりも車両前後方向の後方側に配置されて前記ブラケットに結合された連結部材を有している。
請求項4記載の車両前部構造では、フロントサイドメンバの車両幅方向外側にエプロンメンバが延在され、当該エプロンメンバからは、連結部材が延出されている。この連結部材は、ガセットにおける車両前後方向の前端部よりも車両前後方向の後方側に配置されてブラケットに結合されている。このため、連結部材を設けた構成において、微小ラップ衝突等の前面衝突の際、ガセットに集中的に衝突荷重が入力される。
請求項5記載の車両前部構造は、請求項1記載の車両前部構造において、前記連結部材は、前記ガセットにおける車両前後方向の前部側に結合されると共に、当該ガセットにおける車両前後方向の後部側に対して相対移動可能とされている。
請求項5記載の車両前部構造では、ガセットにおける車両前後方向の後部側を連結部材に対して移動可能とすることで、フロントサイドメンバの内突折れに追従してガセットが移動する際、連結部材によってガセットの移動が拘束されないようにする。
以上説明したように、請求項1記載の発明に係る車両前部構造は、微小ラップ衝突等の前面衝突時に車両幅方向内側への横力を効果的に車両に発生させることができる、という優れた効果を有する。
請求項2記載の発明に係る車両前部構造は、フロントサイドメンバの変形モードを安定させることができる、という優れた効果を有する。
請求項3記載の発明に係る車両前部構造は、ブラケットがない場合と比較して微小ラップ衝突等の前面衝突時にフロントサイドメンバの内突折れを促進させることができる、という優れた効果を有する。
請求項4記載の発明に係る車両前部構造は、ガセットに入力された衝突荷重の一部を、ブラケットを介して連結部材へ分散させることができる、という優れた効果を有する。
請求項5記載の発明に係る車両前部構造は、連結部材によってガセットの移動が拘束された場合と比較してフロントサイドメンバの内突折れをより促進させることができる、という優れた効果を有する。
本実施形態に係る車両前部構造の要部を拡大して示す斜視図である。 本実施形態に係る車両前部構造の要部を拡大して示す平面図である。 本実施形態に係る車両前部構造の要部を拡大して模式化して示す平面図である。 (A)は、本実施形態に係る車両前部構造に対する微小ラップ衝突直前の状態を模式的に示す平面図であり、(B)は、微小ラップ衝突時の状態を模式的に示す平面図である (A)、(B)は、本実施形態に係る車両前部構造に対する微小ラップ衝突時の異なる時点の動作を模式的に示す平面図である
本発明の実施形態に係る車両前部構造10について、図1〜図5に基づいて説明する。なお、図中に適宜記す矢印FRは車両前後方向の前方向を、矢印UPは車両上下方向の上方向を、矢印LHは前方向を向いた場合の左方向(車両幅方向他方)側をそれぞれ示す。以下の説明で、特記なく前後、上下、左右の方向を用いる場合は、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、進行方向を向いた場合の左右を示すものとする。
(車両前部構造の構成)
図1に示されるように、車両前部構造が適用された車両(自動車)12の車体14は、左右一対のフロントサイドメンバ16を備えている。なお、ここでは、車両前部構造10の車両左側が図示されている。フロントサイドメンバ16は、それぞれ車両前後方向に長手とされており、車両幅方向に並列して配置されている。左右のフロントサイドメンバ16の前部間には、ラジエータサポート18が取り付けられている。ラジエータサポート18は、図示はしないが、上下に対向するアッパメンバ及びロアメンバの車両幅方向両端が、左右一対のサイドメンバ18Aによって結合されることで、正面視で矩形枠状を成す部分を含んで構成されている。
フロントサイドメンバ16は、例えば、長手方向に直交する断面形状が略ハット状を成すフロントサイドメンバインナ16A及びフロントサイドメンバアウタ16Bによって構成されている。これらの部材に形成されたフランジ部16A1(なお、ここではフロントサイドメンバインナ16Aのフランジ部16A1が図示されている)が、スポット溶接等により互いに結合されることによって、フロントサイドメンバ16は長手方向に直交する断面形状が閉断面状を成す。
また、図2に示されるように、フロントサイドメンバ16の前端部16Fには、前フランジ16F1が設けられており、当該前フランジ16F1には板状のブラケット20がボルト22(図1参照)及びウェルドナット24による締結具26によって締結結合されている。なお、ブラケット20と前フランジ16F1の間に、ラジエータサポート18のサイドメンバ18Aのフランジ部18A1が挟み込まれた状態で共締めされている。
フロントサイドメンバ16の前部における車両幅方向外側には、平面視で多角形状を成すガセット28が設けられている。ガセット28における前端部28Aには、車両前後方向に沿って形成された前壁部28A1が設けられており、前壁部28A1には当該ブラケット20が締結具26によって締結結合されている(後述する)。
ガセット28の前壁部28A1からは、車両前後方向に沿って形成され、車両幅方向内側に位置する内側壁28B(図1参照)及び車両幅方向外側に位置する外側壁28Cがそれぞれ立設されている。内側壁28Bは外側壁28Cよりも長く延びている。このため、外側壁28Cの後端部からは後方側へ向かうにつれて車両幅方向内側へ向かう傾斜壁28Dが延びており、傾斜壁28Dと内側壁28Bとは、車両幅方向に沿うようにして形成された後壁部28Eによって繋がれている。
内側壁28B及び後壁部28Eには、ガセット28の内側へ張り出すフランジ部28Fが連続して形成されている。このフランジ部28Fが、フロントサイドメンバ16のフランジ部16A1に対してスポット溶接等により結合されている。これにより、ガセット28はフロントサイドメンバ16に対して一体化される。
また、図1に示されるように、各フロントサイドメンバ16(車両左側のみ図示)に対して車両幅方向外側には、フェンダエプロン30が設けられており、各フェンダエプロン30における車両幅方向内側かつ下端部は、フロントサイドメンバ16に結合されている。一方、フェンダエプロン30における車両幅方向外側かつ上端部は、車両前後方向に長手とされたエプロンアッパメンバ32に結合されている。
すなわち、エプロンアッパメンバ32は、フロントサイドメンバ16の車両幅方向外側かつ上方側に配置され、車両前後方向に沿って延在されている。このエプロンアッパメンバ32は、長手方向と直交する方向に沿って切断された断面形状が略L字状を成し車両上下方向に分割されたエプロンアッパメンバアウタ32A及びエプロンアッパメンバインナ(図示省略)によって構成されている。これらの部材がスポット溶接等により互いに結合されることによって、エプロンアッパメンバ32は長手方向に直交する断面形状が閉断面状を成す。
エプロンアッパメンバ32の後端部は図示しないフロントピラーに結合されている。また、エプロンアッパメンバ32は、側面視で前方側へ向かうに従い下方側へ傾斜されており、エプロンアッパメンバ32の底壁32Bが、下方側へ開放された略円弧状に湾曲されている。エプロンアッパメンバ32の前端部には、エプロンアッパメンバ32と連続して側面視で前方側へ向かうに従い下側へ傾斜され車両前後方向に長手とされた連結部材としてのエプロンブレース34が設けられている。
エプロンブレース34は、長手方向と直交する方向に沿って切断された断面形状が略L字状を成し車両上下方向に分割されたエプロンブレースアウタ34A及びエプロンブレースインナ(図示省略)によって構成されている。これらの部材がスポット溶接等により互いに結合されることによって、エプロンブレース34は長手方向に直交する断面形状が閉断面状を成す。そして、エプロンブレース34の後端部は、エプロンアッパメンバ32の前端部に対してスポット溶接等により結合されることによって当該エプロンアッパメンバ32に対して一体的に連結されている。
エプロンブレース34の前部は、当該エプロンブレース34の先端部34Fが車両幅方向内側へ向かうと共に車両前後方向に沿って配置されるように湾曲して形成されている。そして、エプロンブレース34の先端部34Fには、フランジ部34F1が形成され、当該フランジ部34F1を介して、エプロンブレース34は、ガセット28の外側壁28Cにおける前部側に対してスポット溶接等により結合されている。また、エプロンブレース34の先端部34Fは、ガセット28の外側壁28Cにおける後部側に対して、ガセット28の外側壁28Cとは結合されておらずフリーの状態(エプロンブレース34とガセット28とが相対移動可能な状態)となっている。
前述のように、図2に示すフロントサイドメンバ16の前端部16F及びガセット28の前壁部28A1には、ブラケット20が締結結合されている。ここで、ガセット28の前壁部28A1の位置は、フロントサイドメンバ16の前端部16Fの位置よりも前方側となるように配置されている。このため、ブラケット20におけるフロントサイドメンバ16の前端部16Fが結合される第1結合部としての結合部20Aと、ガセット28の前壁部28A1が結合される第2結合部としての結合部20Bと、の間には段差部20Cが設けられている。この段差部20Cによって、結合部20Aと結合部20Bとが平面視において、車両前後方向でオフセットされ、結合部20Bは結合部20Aよりも前方側に配置される。
結合部20Bからは後方側へ向かうにつれて車両幅方向外側へ向かう傾斜片20Dが延出されている。傾斜片20Dはガセット28の一部を構成する傾斜壁28Dに対して平面視で略直交した状態となるように形成されている。結合部20Bと傾斜片20Dとの間には、後方側へ向かう段差部20Eが設けられており、当該段差部20Eは、段差部20Cよりも若干オフセット量が大きくなるように設定されている。すなわち、結合部20Aよりも後方側に傾斜片20Dの前端部20D1は配置されている。また、傾斜片20Dは締結具36を介してエプロンブレース34の前端側34A1に締結されている。
以上のような構成により、ブラケット20によって、フロントサイドメンバ16の前端部16F、ガセット28の前壁部28A1及びエプロンブレース34の前端側34A1は覆われている。そして、図3に示されるように、締結具36の締結位置36Aとガセット28における後壁部28Eとフロントサイドメンバ16との交点Oとを結ぶ仮想線Qが傾斜壁28Dと略平行(仮想線Q上に傾斜壁28Dが配置された場合も含む)となるように設定されている。なお、図3では、説明の便宜上、フロントサイドメンバ16のフランジ部16A1の図示を省略して示している。
一方、図2に示されるように、ブラケット20におけるフロントサイドメンバ16及びガセット28の前方側には、クラッシュボックス38が配設されている。クラッシュボックス38の後端部には、後フランジ38Rがクラッシュボックス38と一体的に設けられている。当該後フランジ38R及びブラケット20は、フロントサイドメンバ16の前フランジ16F1及びガセット28の前壁部28A1に対して締結具26によって共締めされた状態で締結結合されている。
ブラケット20に取り付けられたクラッシュボックス38は、車両前後方向に長手とされた略角筒状を成しており、車両前後方向に沿って稜線Rが複数形成されている。当該クラッシュボックス38には、車両前後方向に対して直交する方向に沿って、当該稜線Rを跨ぐようにして凹ビード38A、38Bが複数形成されている。なお、車両幅方向内側及び車両幅方向外側に位置する稜線R1では、凹ビード38A及び凹ビード38Bが所定のピッチを有して交互に配置されている。
また、クラッシュボックス38の前端部には、車両幅方向に長手とされたバンパリインフォースメント40が結合されている。すなわち、左右のクラッシュボックス38の前端部にバンパリインフォースメント40が架け渡されている。
一方、フロントサイドメンバ16の前フランジ16F1の下部には、図1に示されるように、車両前後方向に沿って配設されたパイプ部材42の後端部に設けられたフランジ42Rが締結具44によって締結結合されている。左右のパイプ部材42の前端間が、バンパリインフォースメント40の下方に位置する下側バンパリインフォースメント46にて架け渡されている。
また、図4(A)に示されるように、エンジンコンパートメント48内には、車両12の駆動源であるパワーユニットPが左右のフロントサイドメンバ16間に配置されている。パワーユニットPは、左右のフロントサイドメンバ16及びサスペンションメンバ(図示省略)等の車体14の構成部位によって直接的又は間接的に支持されている。
(車両前部構造の作用・効果)
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。なお、以下の説明では、上記構成の車体前部構造10が適用された車両12における主に車幅方向の一方側である左側に衝突体が衝突する形態の衝突が生じた場合の作用を説明する。このような形態の衝突としては、微小ラップ衝突や斜め衝突(オブリーク衝突)を挙げることができる。
ここで、微小ラップ衝突は、車両の前面衝突のうち、例えば車体骨格であるフロントサイドメンバに対する車幅方向外側への衝突がこれに該当する。
このような形態(図4(A)での図示例では、微小ラップ衝突)の衝突が生じた場合、まず、図4(A)、(B)に示されるように、衝突体としてのバリヤBから、バンパリインフォースメント40におけるフロントサイドメンバ16の車両幅方向外側部分に後向きの衝突荷重(F)が入力される。図4(B)に示されるように、バンパリインフォースメント40によってクラッシュボックス38に当該衝突荷重(F0)が伝達されると、該クラッシュボックス38は、前後方向に圧縮される。
クラッシュボックス38は、図2に示されるように、車両前後方向に沿って形成された稜線R、R1を跨ぐようにして、車両前後方向に対して直交する方向に沿って凹ビード38A、38Bが複数形成されている。このため、図4(B)に示されるように、当該クラッシュボックス38は潰れ残りが抑制された状態で圧縮され、衝突初期において、車両12に入力される衝突エネルギの他の一部が吸収される。
なお、図1に示されるように、バンパリインフォースメント40の下方に位置する下側バンパリインフォースメント46において、図4(B)に示されるように、フロントサイドメンバ16の車両幅方向外側部分に後向きの衝突荷重(F)がバリヤBから入力されるとする。すると、当該下側バンパリインフォースメント46によってパイプ部材42が前後方向に圧縮され、車両12に入力される衝突エネルギの他の一部が吸収される。
ここで、図2に示されるように、クラッシュボックス38の後フランジ38Rが締結されたブラケット20において、車両前後方向の前方側から結合部20B、結合部20A、傾斜片20Dの順にこれらは配置されている。つまり、車両前後方向の前方側からガセット28の前壁部28A1、フロントサイドメンバ16の前端部16F、エプロンブレース34の先端部34Fにおける前端部34F0の順にこれらの部材が配置されている。
このため、図4(B)に示されるように、クラッシュボックス38に衝突荷重(F0)が伝達されると、ブラケット20の結合部20Bを介して、ガセット28へ衝突荷重(F1)が伝達される。ガセット28はフロントサイドメンバ16に対して車両前後方向の前部側かつ車両幅方向外側に配設されている。このため、ガセット28に衝突荷重(F1)が入力されると、フロントサイドメンバ16には、当該フロントサイドメンバ16を車両幅方向内側へ向かって屈曲(いわゆる内突折れ)させるモーメントMが作用する。そして、フロントサイドメンバ16が車両幅方向内側へ向かって内突折れすることで、衝突時のエネルギの一部が吸収される。
ここで、ガセット28において、外側壁28Cの後端部からは後方側へ向かうにつれて車両幅方向内側へ向かう傾斜壁28Dが延びている。このため、ガセット28へ衝突荷重(F1)が伝達されると、当該傾斜壁28Dを介して、車両幅方向内側へ向かって荷重が伝達される。つまり、傾斜壁28Dの後端部(ガセット28における後壁部28Eとフロントサイドメンバ16との交点O)に集中荷重が作用する。このため、図5(A)、(B)に示されるように、交点Oを起点として、フロントサイドメンバ16を車両幅方向内側へ向かって効果的に内突折れさせることができる。このように、ガセット28によりフロントサイドメンバ16を狙った位置で車両幅方向内側へ向かって変形させるようにすることで、変形モードを安定させることができる。
さらに、図5(B)に示されるように、内突折れしたフロントサイドメンバ16が、エンジンコンパートメント48内に配設されたパワーユニットPに車両幅方向外側から衝突することで、車両幅方向内側への横力(F’)を車両12に対して得ることができる。すなわち、車両12を車両幅方向内側へ移動させ、バリヤBから遠ざけることができる。これにより、微小ラップ衝突による車体変形を抑制することができる。
ところで、上述のように、図4(B)に示すガセット28において、後方側へ向かう衝突荷重(F1)が伝達され、モーメントMによりフロントサイドメンバ16が内突折れする。この過程で、図5(A)に示されるように、ブラケット20の結合部20Aを介してフロントサイドメンバ16へ衝突荷重(F2)が伝達される。これにより、フロントサイドメンバ16の前端側が座屈変形し、内突折れしたフロントサイドメンバ16の車両幅方向内側への変形をさらに促進させることができる。
つまり、上記の構成では、ガセット28へ衝突荷重(F1)が伝達されて、フロントサイドメンバへ衝突荷重(F2)が伝達されるようになっている。これにより、ガセット28を介してフロントサイドメンバ16に対する内突折れの起点(交点O)を得た状態で、フロントサイドメンバ16へ衝突荷重(F2)が伝達される。このため、フロントサイドメンバ16において変形モードを安定させると共に、フロントサイドメンバ16の内突折れを促進させることができる。
また、本実施形態では、フロントサイドメンバ16の前端部16F及びガセット28の前壁部28A1には、ブラケット20の結合部20A、結合部20Bがそれぞれ締結結合されている。このため、ブラケット20の結合部20Bを介してガセット28に衝突荷重が入力され、当該ガセット28を介してフロントサイドメンバ16が内突折れする際、ブラケット20には車両幅方向外側へ向かう引張力が作用する。したがって、ブラケット20がない場合と比較して、当該フロントサイドメンバ16の内突折れを促進させることができる。
ここで、エプロンブレース34の先端部34Fにおける前端部34F0側では、ガセット28の外側壁28Cにおける前部側に対してスポット溶接等により結合されている。これにより、図4(B)に示されるように、ガセット28に前方側から衝突荷重(F1)が伝達された際、ガセット28とエプロンブレース34とで衝突荷重を分散させることができる。
一方、エプロンブレース34の先端部34Fでは、ガセット28の外側壁28Cにおける後部側に対しては、結合されておらずフリーの状態となっている。ガセット28において、前方側から衝突荷重(F1)が入力されたとする。すると、前述のように、当該ガセット28によって、車両幅方向内側へ向かうモーメントMがフロントサイドメンバ16に付与され、図5(A)、(B)に示されるように、当該フロントサイドメンバ16は車両幅方向内側へ向かって内突折れする。
このとき、図示はしないが、例えば、ガセット28において車両前後方向に沿った全域に亘ってエプロンブレース34の先端部34Fが強固に結合された比較例の場合、ガセット28の移動はエプロンブレース34によって拘束され、当該ガセット28によってフロントサイドメンバ16の変形が抑制されてしまう可能性が生じる。
このため、本実施形態では、図5(A)、(B)に示されるように、エプロンブレース34の先端部34Fは、ガセット28における車両前後方向の後部側では相対移動可能となるようにして、ガセット28の移動がエプロンブレース34によって拘束されないようにしている。これにより、エプロンブレース34によってガセット28の移動が拘束された場合と比較して、フロントサイドメンバ16の内突折れをより促進させることができる。
また、本実施形態では、図2に示されるように、ブラケット20によって、フロントサイドメンバ16の前端部16F、ガセット28の前壁部28A1及びエプロンブレース34の前端側34A1は覆われている。そして、図3に示されるように、締結具36とガセット28における後壁部28Eとフロントサイドメンバ16との交点Oとを結ぶ仮想線Qが傾斜壁28Dと略平行となるように設定されている。これにより、ガセット28からフロントサイドメンバ16へ衝突荷重が伝達される際、締結具36を介して当該交点Oへ効果的に荷重伝達が成される。
(実施形態の補足)
本実施形態では、図2に示されるように、ガセット28の前壁部28A1及びフロントサイドメンバ16の前端部16Fにブラケット20が取り付けられている。しかし、ガセット28の前壁部28A1がフロントサイドメンバ16の前端部16Fよりも前方側に配置される構成となっていれば良いため、必ずしも当該ブラケット20は必要ではない。
また、ガセット28の前壁部28A1及びフロントサイドメンバ16の前端部16Fにブラケット20が取り付けられた場合において、結合部20Bが結合部20A及び傾斜片20Dよりも前方側に配置されていれば良い。このため、例えば、傾斜片20Dと結合部20Aとは、車両前後方向で略同じ位置となるように形成されても良い。
また、本実施形態では、エプロンアッパメンバ32(図1参照)に対してエプロンブレース34を一体的に連結させた例について説明したが、エプロンアッパメンバ32とエプロンブレース34とが一体形成された構成であっても良い。
さらに、本実施形態では、エプロンブレース34は、ガセット28の外側壁28Cにおける後部側に対して、ガセット28の外側壁28Cとは結合されておらずフリーの状態となっているが、これに限るものではない。例えば、ガセット28の外側壁28Cにおいて、前部側(前端部34F0側)よりも低い結合強度で後部側をエプロンブレース34と結合させるようにしても良い。
またさらに、本実施形態では、車両前部構造10が車両幅方向両側にブラケット20、エプロンブレース34を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両幅方向の一方側にのみブラケット20、エプロンブレース34を設けた構成としても良い。この場合、上記ブラケット20、エプロンブレース34が設けられない側においては、例えば、車両搭載部品をブラケット20に兼用しても良く、他の微小ラップ衝突対策の構造を採用しても良い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは言うまでもない。
10 車体前部構造
12 車両
14 車体
16 フロントサイドメンバ
16F 前端部
20 ブラケット
20A 結合部(第1結合部)
20B 結合部(第2結合部)
20C 段差部
20E 段差部(他の段差部)
28 ガセット
28A 前壁部(前端部)
28D 傾斜壁
32 エプロンアッパメンバ
34 エプロンブレース(連結部材)
34F0 前端部

Claims (5)

  1. 車両前後方向に沿って延在されたフロントサイドメンバと、
    前記フロントサイドメンバの車両前後方向の前方側で車両幅方向に沿って延在されたバンパリインフォースメントと、
    前記フロントサイドメンバの車両幅方向外側、かつ前記バンパリインフォースメントの車両前後方向の後方側で当該バンパリインフォースメントと離間して配設されたガセットと、
    を有し、
    前記ガセットにおける車両前後方向の前端部は、前記フロントサイドメンバにおける車両前後方向の前端部よりも車両前後方向の前方側に配置されている車両前部構造。
  2. 前記ガセットの車両前後方向後部には、車両前後方向の後方側へ向かうにつれて前記フロントサイドメンバ側へ向かう傾斜壁が形成されている請求項1に記載の車両前部構造。
  3. 前記フロントサイドメンバにおける車両前後方向の前端部及び前記ガゼットにおける車両前後方向の前端部にはブラケットが結合され、
    当該ブラケットは、
    前記フロントサイドメンバにおける車両前後方向の前端部に結合された第1結合部と、
    前記第1結合部よりも車両前後方向の前方側に配置され、前記ガゼットにおける車両前後方向の前端部に結合された第2結合部と、
    前記第1結合部と前記第2結合部との間を繋ぐ段差部と、
    を含んで構成されている請求項1又は請求項2に記載の車両前部構造。
  4. 前記フロントサイドメンバの車両幅方向外側において車両前後方向に沿って延在されたエプロンメンバから延出され、車両前後方向の前端部が前記ガセットにおける車両前後方向の前端部よりも車両前後方向の後方側に配置されて前記ブラケットに結合された連結部材を有している請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両前部構造。
  5. 前記連結部材は、前記ガセットにおける車両前後方向の前部側に結合されると共に、当該ガセットにおける車両前後方向の後部側に対して相対移動可能とされている請求項4に記載の車両前部構造。
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