JP5974323B2 - 漆喰塗布面の艶消し防汚処理材およびそれを用いた防汚仕上げ方法 - Google Patents
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Description
しかし、漆喰の施工には熟練を要する左官作業が必要であり、作業者の技術によって仕上がりにバラツキが生じ易く、また複数回の繰り返し施工(塗りとコテこすり)の必要性から施工能率が悪く、施工期間が長くかかったり、施工コストも高くつくという欠点があった。
しかしながらこのような漆喰塗膜面は、多孔質であるために吸放湿性に優れるものの、醤油やコーヒー等の液状汚染物が一旦付着すると、速やかに内部まで浸透してしまい、その除去は非常に困難であった。また建築物の外壁に塗装した場合、発生したエフロ(白華)が表面に付着し、布で何回擦っても除去できない等の難点も有していた。その解消のために、このような塗膜面上に特許文献5などのクリヤー塗料を塗装する方法があるが、この方法では漆喰塗膜の持つ抗菌性や防かび性、調湿性などの機能が低下してしまい、さらに艶消しの質感も損われやすくなり、また汚染防止性・除去性能についても必ずしも十分とは言えなかった。
特に抗菌性と防かび性は損なわれないことを確認した。また、艶消し剤を配合することで漆喰塗布面の漆喰特有の質感を保つことができ、総じて、漆喰の機能を維持し、またその質感を損なうことなく、漆喰塗布面に優れた汚染防止性・除去性を付与することができることを確認した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を包含するものである:
(I-1)シリコーン樹脂エマルション、湿潤剤、艶消し剤及び増粘剤を含有し、シリコー
ン樹脂エマルションの配合割合が固形分で2〜30質量%、湿潤剤の配合割合がシリコーン樹脂エマルションの固形分100質量部に対して0.8〜20質量部であることを特徴とする、漆喰塗布面用の艶消し防汚処理材。
(I-2)艶消し防汚処理材中の湿潤剤の配合割合が0.1〜2質量%であることを特徴と
する(I-1)記載の艶消し防汚処理材。
(I-3)漆喰塗布面に対して、シリコーン樹脂エマルションの固形分が2〜25g/m2
になるように用いられる、(I-1)または(I-2)に記載される艶消し防汚処理材。
(I-4)粘度50〜1000mPaに調整されてなる、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに
記載する艶消し防汚処理材。
(I-5)艶消し剤として無機粉体、樹脂ビーズ及びワックス類から選ばれる少なくとも1
種を含有する、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する艶消し防汚処理材。
(I-6)艶消し剤としてシリカ粉、セラミック粉、石灰及び樹脂ビーズから選ばれる少な
くとも1種を含有する、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する艶消し防汚処理材。
(I-7)艶消し剤の配合割合が、艶消し防汚処理材に含まれるシリコーン樹脂エマルショ
ンの固形分100質量部に対して、5〜200質量部であることを特徴とする、(I-1)
乃至(I-6)のいずれかに記載する艶消し防汚処理材。
(I-8)湿潤剤が、ポリアクリル酸系化合物及びポリオキシエチレン系化合物からなる群
から選択される少なくとも一つの化合物である(I-1)乃至(I-7)のいずれかに記載する艶消し防汚処理材。
(I-9)湿潤剤が、非イオン性の界面活性剤である(I-1)乃至(I-8)のいずれかに記載
する艶消し防汚処理材。
(I-10)増粘剤が、水溶性の繊維素誘導体、多糖類、ポリビニルアルコール及び無機系増粘剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である(I-1)乃至(I-9)のいずれかに記載する艶消し防汚処理材。
(II-1)(I-1)乃至(I-10)のいずれかに記載する漆喰塗布面用艶消し防汚処理材を、
漆喰塗布面にコーティングすることを特徴とする、漆喰塗布面の防汚仕上げ方法。
(II-2)シリコーン樹脂エマルションの固形分が塗布面1m2当たり2〜25gになるように、塗布量20〜200g/m2の割合でコーティングすることを特徴とする、(II-1)に記載する漆喰塗布面の防汚仕上げ方法。
(II-3)(I-1)乃至(I-10)のいずれかに記載する漆喰塗布面用艶消し防汚処理材によ
り形成された塗膜の水接触角が100°以上であることを特徴とする(II-1)または(II-2)に記載する漆喰塗布面の防汚仕上げ方法。
(III-1)(I-1)乃至(I-10)のいずれかに記載する漆喰塗布面用艶消し防汚処理材を、漆喰塗布物の漆喰塗布面にコーティングする工程を有する、防汚・除去性を備えた漆喰塗布面を有する漆喰塗布物の製造方法。
(III-2)(I-1)乃至(I-10)のいずれかに記載する漆喰塗布面用艶消し防汚処理材を、シリコーン樹脂エマルションの固形分が塗布面1m2当たり2〜25gになるように、塗
布量20〜200g/m2の割合で、漆喰塗布物の漆喰塗布面にコーティングすることを特徴とする、(III-1)に記載する製造方法。
(III-3)漆喰塗布物が、漆喰組成物で塗装または印刷されてなる建築物内外装用のボー
ド、パネル、シート、または壁紙などの建材である(III-1)または(III-2)に記載する製造方法。
本発明の漆喰塗布面用艶消し防汚処理材(以下、単に「防汚処理材」という)は、漆喰の機能を維持し、且つその質感を損なわずに、漆喰塗布面に対して、汚れが付着しにくく、また汚染物が付着した場合であっても容易に除去できるように汚染防止性・除去性を付与するために使用される、漆喰塗布面専用の仕上げ材であって、シリコーン樹脂エマルション、艶消し剤、湿潤剤及び増粘剤を含有することを特徴とする。
キシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基を有するシラン化合物を挙げることができる。なお、かかるアルコキシ基は、塩素原子やフッ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
ルキル基は、その一部が塩素原子やフッ素原子などのハロゲン原子、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、またはエポキシシクロヘキシル基等で置換されていてもよい。
「WACKER 290」、「WACKER SMK 1311」、及び「WACKER SMK 2101」(いずれも旭化
成ワッカーシリコーン株式会社製)、「TEGO Phobe 1000S」、「TEGO Phobe 1400」、「TEGO Phobe 1500N」、「TEGO Phobe 1600」、及び「TEGO Phobe 1650」、(いずれもエボニック デグサ社製)などが挙げられる。
ルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて使用することができる。
メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド含有(メタ)アクリレート;アクリロニトリルなどのニトリル基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニルモノマー;マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸含有ビニルモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
1種であることが漆喰塗布面の艶消し感の向上の点から好適であり、通常、1〜20μmの粒子径を有するものが好適である。
率とする。
ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のポリオキシエチレン系の界面活性剤;ポリアクリル酸ナトリウム塩等のポリアクリル酸系の界面活性剤を挙げることができる。またかかる陰イオン性の界面活性剤としては、例えば「DISPER BYK-180」「DISPER BYK-183」「DISPER BYK-184」「DISPER BYK-185」「DISPER BYK-190」「DISPER BYK-191」「DISPER BYK-194」(以上、商品名、BYKケミー社製)、及び「EFKA-4550」、「EFKA-4560」「EFKA-4570」「EFKA-4590」(以上、商品名、チハ゛・スヘ゜シャリティ・ケミカルス゛)等の市販品を用いることもできる。
産業製、TVB−10M型、ローター番号No.2又は3)を用いて、23℃条件で60rpmで1分間、測定して得た値である。防汚処理材の粘度が50mPaを大きく下回ると、増粘効果が不足し、防汚処理材の貯蔵安定性が低下する傾向がある。また防汚処理材を建築物の天井や壁の漆喰塗布面の仕上げに使用する場合にはタレが発生しやすくなる傾向がある。一方、粘度が1000mPaを大きく超えると、漆喰塗布面への均一な塗装が困難となり、漆喰塗布面全面に均質に汚染防止・除去性を付与させ難くなる傾向がある。
例えば、アクリル樹脂エマルションの場合では、樹脂のガラス転移温度が−40〜40℃、特に5〜30℃の範囲内にあることが適している。
アクリル樹脂エマルションの樹脂のガラス転移温度は、下記式によって算出することができる。
[数1]
1/Tg(゜K)=(W1/T1)+(W2/T2)+・・
Tg(℃)=Tg(゜K)−273
本発明の防汚処理材は、上記成分を必要に応じて水と共に、例えばミキサー、シェ−カー、ミル、ニーダーなどの調合用機器を用いて混合することにより調製することができる。
上記本発明の防汚処理材は、漆喰塗布面に汚染防止性および汚染除去性を付与するために、専ら漆喰塗布面の仕上げ材として使用される。斯くして、本発明の防汚処理材で仕上げ処理された漆喰塗布面は、未処理の漆喰塗布面と比較して、汚染物(例えば、醤油、コーヒー、水性ペンの等の水性の汚染物、クレヨンなどの油性の汚染物)の付着やその内部への浸透が格段に抑制され、また付着した場合でも容易に除去することが可能になる。
グ等の方法で行うことができる。その塗布時の固形分は40質量%以下、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは3〜20質量%に調整し、その塗布量は、通常、20〜200g/m2程度、好ましくは50〜150g/m2程度の範囲とすることが適当である。
ここで漆喰組成物としては、前述するように、石灰と水を含有する水性組成物を挙げることができるが、これにさらに結合剤や顔料を含むものであってもよい。
囲内とすることが、塗装作業性や膜の形成性の点から好適である。
白色顔料としては、有機顔料及び無機顔料の別を問わないが、好ましくは無機の白色顔料である。具体的には酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、鉛白、アンチモン白及びジルコニアよりなる群から選択される少なくとも1種の無機白色顔料を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。好ましくは酸化チタン、または酸化チタンと他の白色顔料との組み合わせである。酸化チタンは、白色顔料としての使用態様を備えるものであれば、ルチル形、アナターゼ形及びブルッカイト形のいずれも使用することができるが、好ましくはルチル形である。
をその仕上げ処理に用いる場合)、被塗面に上述の漆喰組成物を塗布した後に、形成された漆喰塗布面に前述する本発明の防汚処理材をコーティングする。
塗布量は、形成される漆喰塗布面が、漆喰の機能を発揮する範囲であれば、特に制限されない。一例として、塗布面上の漆喰組成物の割合が、固形分換算で、100〜500g/m2、好ましくは150〜300g/m2の範囲を挙げることができる。
また上記被塗面は、上述の漆喰組成物の塗装前に、必要に応じてシーラーを塗装しておいても良い。該シーラーとしては、従来公知の水性又は溶剤型のシーラーを使用することができ、例えば、アクリル樹脂系、ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系、天然ゴム樹脂系、合成ゴム樹脂系、シリコーン樹脂系、ポリエステル樹脂系、及びこれらの変性樹脂等の樹脂を被膜形成成分とするものを使用できる。これらの内、エポキシ系樹脂が好適に使用できる。シーラーには、前述の顔料に加え、さらに顔料分散剤、界面活性剤、硬化触媒、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、pH調整剤等の添加剤を適宜選択して配合することができる。
また本発明では、上記シーラーを塗装した後、前述の漆喰組成物の塗装前に、シーラー塗布面上に必要に応じて水性上塗り塗料を塗装しておいても良い。該水性上塗り塗料としては、従来公知の上塗り塗料を使用することが、例えばアクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、塩化ビニル樹脂系、繊維素樹脂系、シリコーン樹脂系、ポリエステル樹脂系、アルキド樹脂系、フッ素樹脂系及びこれらの2種以上の変性樹脂系やブレンド樹脂系等の水性塗料を使用することができる。水性上塗り塗料には、前述の顔料に加え、さらに顔料分散剤、界面活性剤、硬化触媒、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、pH調整剤等の添加剤を適宜選択して配合することができる。
前述するように、本発明の防汚処理材は、漆喰塗布面に汚染防止性および汚染除去性を付与するために使用される。よって、当該防汚処理材を用いることにより、汚染防止性および汚染除去性を備えた漆喰塗布物を製造することができる。
製造例1
(1)漆喰組成物の製造
(1-1)漆喰組成物(イ)の製造
固形分40%のアクリル樹脂エマルション20部、消石灰30部、酸化チタン8部、炭酸カルシウム10部、消泡剤0.5部、増粘剤0.5部、及び水31部を塗材調合用ミキサーに加えて分散混合して固形分57%の漆喰組成物(イ)を製造した。
(1-2)漆喰組成物(ロ)の製造
固形分40%のアクリル樹脂エマルション20部、消石灰30部、酸化チタン8部、赤色酸化鉄1部、炭酸カルシウム9部、消泡剤0.5部、増粘剤0.5部、及び水31部を塗材調合用ミキサーに加えて分散混合して固形分57%の漆喰組成物(ロ)を製造した。
(1-3)漆喰組成物(ハ)の製造
固形分40%のアクリル樹脂エマルション20部、消石灰30部、酸化チタン7部、黄色酸化鉄2部、炭酸カルシウム9部、消泡剤0.5部、増粘剤0.5部、及び水31部を塗材調合用ミキサーに加えて分散混合して固形分57%の漆喰組成物(ハ)を製造した。
(2)艶消し防汚処理材の調製
表1に示す配合組成で攪拌・混合して各種の艶消し防汚処理材(A)〜(M)を得た。表1における(注1)〜(注13)は次の通りである。
(注1)シリコーン樹脂エマルションA:ポリジメチルシロキサン28部とポリメチルシロキサン20部を、イソトリデシルアルコールポリグリコールエーテル2部と水50部の中に配合した後、高速ステーターローター攪拌装置で乳化して得られるエマルション。固形分50%。
(注2)「WACKER BS 45」:旭化成ワッカーシリコーン社製、シリコーン樹脂エマルション、固形分50%。
(注3)「WACKER BS 1306」:旭化成ワッカーシリコーン社製、変性シリコーン樹脂エマルション、固形分55%。
(注4)「TEGO Phobe 1600」:エボニック デグサ社製、シリコーン樹脂エマルション(ポリジメチルシロキサン含有)、固形分50%。
(注5)「TEGO Phobe 1000」:エボニック デグサ社製、シリコーン樹脂エマルション(ポリメチル-フェニルシロキサン含有)、固形分50%。
(注6)アクリル樹脂エマルション:メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/2エチルヘキシルアクリレート組成、Tg15℃、平均粒子径180nm、固形分45%。(注7)シリカ粉:含水非晶質二酸化珪素粉体、平均粒子径4μm、比重2.15。
(注8)セラミック粉:球状セラミック(シリカ・アルミナ)粉体、平均粒子径1.8μm、比重2.3。
(注9)樹脂ビーズ:ポリメタクリル酸メチルビーズ、平均粒子径8μm、比重1.15。
(注10)消石灰:特号消石灰(JIS R 9001)
(注11)メチルセルロース:セルロースのグルコース環中のメトキシ基個数が1.8で2%水溶液粘度が約8000cps。
(注12)ポリアクリル酸系湿潤剤:商品名「EFKA4550」(チハ゛・スヘ゜シャリティ・ケミカルス゛社製)
(注13)ポリオキシエチレン系湿潤剤:商品名「ノイケ゛ンET-15」(第一工業製薬社
製)
(3-1)仕上げ試験塗板の調製
実施例12
スレート板(90×60×0.5cm)上に「ビニデラックス300 白」(JIS K 5663 1種、関西ペイント社製水性塗料)を塗付量120g/m2となるようローラ塗装し、2時間常温(20℃)にて乾燥させた。その塗布面に塗装用ローラ(中毛ローラ、繊維材質:アクリル、毛丈:12mm)を用いて、上述の漆喰組成物(イ)を塗付量200g/m2で塗装し、24時間常温(20℃)にて乾燥後、その塗布面の半分の面に漆喰組成物(イ)を塗布量200g/m2で塗り重ねて24時間常温(20℃)にて乾
燥させた。
尚、85°光沢測定用の試験板は、ガラス板に各処理材を6ミルブレードで塗装、24時間室温で乾燥後、BYKトリグロスメーターにて測定した。また、隠ぺい率は、白/黒隠ぺい率試験紙に刷毛で、所要量塗布、24時間室温で乾燥後測定を行った。
表2に示す漆喰組成物(イ)(ロ)又は(ハ)、及び艶消し防汚処理材B〜Mを用いる以外は実施例12と同様に行なって各仕上げ試験塗板を得た。
実施例1において、艶消し防汚処理材Aに代えて、艶消し防汚処理材Gを外割で100%水希釈して防汚処理材の粘度を180mPaとしてから(艶消し防汚処理材G’)、塗布量90g/m2となるように塗装する以外は、実施例12と同様に行なって仕上げ試験塗板を得た。艶消し防汚処理材G’中には、シリコーン樹脂エマルションが35%(固形分17.5%)、艶消し剤が2.25%、増粘剤が0.11%、湿潤剤が0.3%含まれていることになる。またシリコーン樹脂エマルションの固形分100部に対する湿潤剤の割合は約0.9部、艶消し防汚処理材G’から形成される塗膜中のシリコーン樹脂エマルションの固形分は15.75g/m2となる。
各仕上げ試験塗板の塗装面について、「発明を実施するための形態」の欄に記載する方法に従って(1)85度鏡面光沢度、(2)隠蔽率(%)、および(3)水の接触角(°)を
測定するとともに、下記の試験方法に従って、(a)防汚・除去性、(b)漆喰機能の保持性、(c)耐湿潤摩耗性、(d)耐洗浄性、(e)艶ムラ、(f)白華除去性を評価した。
○:直ぐに除去され、汚染物(シミ)がほとんど除去されている
◇:汚染物(シミ)がほとんど除去されるが、除去に時間を要する
△:汚染物(シミ)が少し残る
×:汚染物(シミ)がほとんど除去されない。
○:徐々に赤色に呈色する(30秒〜1分未満)
△:ゆっくり赤色に呈色する(1分〜5分未満)
×:なかなか赤色に呈色しない(5分以上)。
復擦った後、試験塗板表面の湿潤摩耗性を下記の基準で価した。
○:摩耗試験に使用した濡れ布に漆喰塗膜片がほとんど付着していない。
△:摩耗試験に使用した濡れ布に漆喰塗膜片が僅かに付着している。
×:摩耗試験に使用した濡れ布に多くの漆喰塗膜片が付着している。
◎:全く見た目では判別できない
○:斜めから光を当てなければ、ほとんど判らない
△:斜めから光を当てて見ると艶ムラが明らかに判る
×:中央部分がくっきりと目立つ。
◎:水滴の跡が全くわからない
○:水滴の跡がほとんどわからない
△:水滴の跡が若干わかる
×:水滴の跡がはっきりわかる。
この結果から、防汚処理材で形成された塗膜中に含まれるシリコーン樹脂エマルションの固形分が2〜25g/m2、好ましくは2〜20g/m2、より好ましくは6〜16g/m2となるように、漆喰塗布面に防汚処理材を塗布して仕上げることにより、漆喰塗布面の漆喰の機能(抗菌性、防かび性)を保持した状態で、汚染防止性および汚染除去性(防汚・除去性)を付与することができることがわかる。また上記の方法で形成された塗膜は耐湿潤摩耗性を備えており、汚れが付着したときに水拭きしても表面が著しく損傷することがないことが確認された。
(1)艶消し防汚処理材の調製
表3に示すように、実験例1で調製した艶消し防汚処理材H(実施例7)の処方と同様に、シリコーン樹脂エマルションとして「WACKER BS 1306」、及び艶消し剤として「シリカ粉」を用い、また湿潤剤としてポリオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤(商品名「ノイゲンET-15」:第一工業製薬社製)を、シリコーン樹脂エマルショ
ンの固形分100部に対して0.8〜20部の範囲に収まるように、艶消し防汚処理材中の配合割合が0.1〜1%となる割合で配合して、艶消し防汚処理材(N〜T)を調製した。
(2)艶消し防汚処理材による仕上げ処理とその評価
製造例1に記載する方法と同様の方法で調製した漆喰組成物(イ)を用いて、実施例12と同様にして仕上げ試験塗板を作成し、これに表3に記載する艶消し防汚処理材N〜Tを塗布量120g/m2で塗装して、24時間常温(20℃)にて乾燥させて仕上げ試験塗板N〜Tを得た。
表2から分かるように、防汚処理材中のシリコーン樹脂エマルション100部に対する湿潤剤の割合が小さくなるにつれて漆喰機能の保持性が低下する傾向が認められたが、汚れ除去性には影響がないことが確認された(実施例13、17、19及び20参照。)。一方、表3からわかるようにシリコーン樹脂エマルションの固形分100部に対する湿潤剤の割合が大きくなるにつれて水性ペンやコーヒーに対する汚れ除去性が低下する傾向が
認められた。但し、醤油に対する汚れ除去性はあまり影響を受けなかった。
表1〜3の結果から総合して、防汚処理材中のシリコーン樹脂エマルションの固形分100部に対する湿潤剤の割合を0.8〜20部、好ましくは1〜17部、より好ましくは1〜12部、さらに好ましくは1〜10部、特に好ましくは1〜9部となるように配合することで、当該汚れに対する除去性を向上させることができると考えられる。また、シリコーン樹脂エマルション固形分100部に対する湿潤剤の割合を2部以上とすることで、漆喰機能を保持しながらも優れた汚れ除去性を付与することができると考えられる。
Claims (7)
- シリコーン樹脂エマルション、湿潤剤、艶消し剤及び増粘剤を含有し、
シリコーン樹脂エマルションの配合割合が固形分で2〜30質量%、
湿潤剤の配合割合が シリコーン樹脂エマルションの固形分100質量部に対して0.8〜20質量部、
艶消し剤の配合割合がシリコーン樹脂エマルションの固形分100質量部に対して5〜100質量部であることを特徴とする、漆喰塗布面用の艶消し防汚処理材。 - 艶消し防汚処理材中の湿潤剤の配合割合が0.1〜2質量%であることを特徴とする請求項1記載の艶消し防汚処理材。
- 漆喰塗布面に対して、シリコーン樹脂エマルションの固形分が2〜25g/m2になるように用いられる、請求項1または2に記載される艶消し防汚処理材。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載する艶消し防汚処理材を、漆喰塗布面にコーティングすることを特徴とする、漆喰塗布面の防汚仕上げ方法。
- シリコーン樹脂エマルションの固形分が塗布面1m2当たり2〜25gになるように、塗布量20〜200g/m2の割合でコーティングすることを特徴とする、請求項4に記載する漆喰塗布面の防汚仕上げ方法。
- 艶消し防汚処理材により形成された塗膜の水接触角が100°以上であることを特徴とする請求項4または5に記載する漆喰塗布面の防汚仕上げ方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載する艶消し防汚処理材を、漆喰塗布物の漆喰塗布面にコーティングする工程を有する、防汚・除去性を備えた漆喰塗布物の製造方法。
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