以下に、本発明の第1実施形態と第2実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態の説明]
図1〜図4に示す1は本発明に係る第1実施形態としてのコンバインであり、コンバイン1の全体構成について図1〜図4を参照しながら概略説明する。すなわち、コンバイン1は、図1〜図4に示すように、左右一対のクローラ式の走行部2を有して前後方向に走行自在となした走行機体3を備えている。走行機体3の前方には穀稈を刈取る4条刈り用の刈取部4を昇降回動調節自在に取り付けている。走行機体3の前進方向に向かって左側の上部には刈取部4により刈り取られた穀稈を脱穀する脱穀部5を配設している。走行機体3の左側下部には脱穀部5により脱穀された処理物を選別する選別部6を配設している。左側上下部に配設した脱穀部5及び選別部6の後方には排藁を処理する排藁処理部7を配設している。走行機体3の前進方向に向かって右側の前部には各部を操作する運転部8を配設している。走行機体3の右側後部には選別部6により選別された穀粒を貯留する穀粒貯留部9を配設している。走行機体3の右側後端部には穀粒貯留部9に貯溜された穀粒を外部へ搬出する搬出部10を配設している。搬出部10は機体フレーム15から立ち上げて穀粒貯留部9の後端部と連設した縦オーガ11と、縦オーガ11の上端部に旋回自在に接続するとともに、前方へ伸延させて形成した横オ―ガ12とを具備している。縦オーガ11には穀粒貯留部9の後端部を上下方向に伸延する縦オーガ11の軸線を中心に回動自在に枢支・連設している。そして、後端部を中心に穀粒貯留部9の前部側を回動させることで、穀粒貯留部9を姿勢変更自在としている。つまり、穀粒貯留部9は前方へ指向させた使用姿勢と前外方へ指向させた不使用姿勢との間で姿勢変更自在としている。
運転部8の後半部の直下方には、図1〜図4に示すように、エンジンルーム20を形成しており、エンジンルーム20は脱穀部5の前右側部近傍まで中央寄り位置まで張り出し状に形成している。エンジンルーム20内には各部の駆動部を駆動するディーゼルエンジン21を搭載している。エンジンルーム20内には、図5〜図9に示すように、ディーゼルエンジン21を囲むように配管部支持枠体22を配置して、配管部支持枠体22にディーゼルエンジン21に接続した吸気配管部23と排気配管部24の各中途部を支持させている。
配管部支持枠体22は、上下方向に伸延させて形成した左側支持片25と、側面視門型に形成した右側支持片26と、左右方向に伸延させて形成して両左右側支持片25,26間に略水平に横架した横架支持片27とを具備している。左側支持片25は、脱穀部5の扱胴枠28の前端部近傍に位置させて、走行機体3の機体フレーム15から立ち上げている。右側支持片26は、ディーゼルエンジン21の右側端部を跨ぐように機体フレーム15に立設している。横架支持片27は、左側支持片25の上部前面に左側部を連結する一方、右側支持片26の上端部に補助連結片29を介して右側部を連結している。
吸気配管部23は、プレクリーナ30と上流側吸気管31とエアクリーナ32と下流側吸気管33とを具備して、これらを順次直列的に連通連結している。下流側吸気管33はディーゼルエンジン21に設けた吸気口部34に接続している。エアクリーナ32は横架支持片27の右側部に取付体35を介して取り付けている。上流側吸気管31はエアクリーナ32から上方へ立ち上げて形成し、上流側吸気管31の上端にプレクリーナ30を取り付けている。プレクリーナ30は穀粒貯留部9の前上方に配置している。このように構成して、プレクリーナ30から外気を取り入れて、エアクリーナ32で外気を浄化した後に吸気口部34からディーゼルエンジン21に吸気するようにしている。
排気配管部24は、上流側排気管40と排気ガス浄化装置41と下流側排気管42とを具備して、これらを順次直列的に連通連結している。上流側排気管40はディーゼルエンジン21に設けた排気口部43に接続している。横架支持片27の左側部と脱穀部5の内側壁との間に、前後方向に伸延させて形成した装置等支持枠体44を略水平に介設して、装置等支持枠体44上に排気ガス浄化装置41を載設している。上流側排気管40は、ディーゼルエンジン21の排気口部43から上方へ立ち上げて形成した一端側立ち上がり部45と、一端側立ち上がり部45から後上方へ伸延させて形成した傾斜伸延部46と、傾斜伸延部46の先端から上方へ立ち上げて形成して排気ガス浄化装置41の下面前部に接続した他端側立ち上がり部47とを具備している。傾斜伸延部46の中途部には振動吸収用の蛇腹部48を形成している。一端側立ち上がり部45と他端側立ち上がり部47は、上下方向の立ち上がり幅を同一に形成するとともに、左右方向に偏倚させて配置して、これら立ち上がり部45,47間に介在させた傾斜伸延部46は左右幅方向にも傾斜させて形成している。65は一端側立ち上がり部45の下端外周面に設けた一端側立ち上がり部側フランジ、66は他端側立ち上がり部47の上端外周面に設けた他端側立ち上がり部側フランジ、θ1は一端側立ち上がり部45の上端における傾斜伸延部46の仰角、θ2は一端側立ち上がり部45の上端における傾斜伸延部46の左右方向への振れ角である。
このように構成して、上流側排気管40は、ディーゼルエンジン21の排気口部43と排気ガス浄化装置41の下面前部とを最短距離で接続して、前後左右上下のいずれの方向からの振動も傾斜伸延部46の中途部に設けた蛇腹部48により吸収可能としている。また、上流側排気管40は、点対称に形成して、ディーゼルエンジン21の排気口部43と排気ガス浄化装置41の下面前部に、一端側立ち上がり部45と他端側立ち上がり部47とを振り替えて接続可能としている。
排気ガス浄化装置41は装置等支持枠体44上に載設するとともに、装置等支持枠体44上に排気管支持片36を介して下流側排気管42を支持している。そして、下流側排気管42は排気ガス浄化装置41の下流側に非接触状態で連通させている。
装置等支持枠体44は、図5〜図11に示すように、前後方向に伸延させて形成して、エンジンルーム20内に配設した配管部支持枠体22の横架支持片27と脱穀部5の内側壁(右側壁)5aとの間で、かつ、後述する二番還元筒前端部197の上方位置に略水平に介設している。装置等支持枠体44上には前後方向に伸延させて形成した排気ガス浄化装置41を載置して、排気ガス浄化装置41を左右に隣接する脱穀部5と穀粒貯留部9の間に形成される所要空間S内で、かつ、二番還元筒前端部197の上方位置に配置している。装置等支持枠体44は、前後方向に伸延する左右一対の前後伸延片50,51と、両前後伸延片50,51の前・後部・後端間にそれぞれ架設した前・後部横架片52,53及び横架連結片56とを具備して、平面視枠状に形成している。左右一対の前後伸延片50,51は、それぞれ前後方向に伸延する丸パイプを使用して、横架支持片27の左側部に設けた左右一対の支持ブラケット60,61に前端部を取り付けている。
前・後部横架片52,53はそれぞれ側面視門型に形成している。各横架片52,53の上面には前・後部連結片54,55を立設して、前・後部連結片54,55間に排気ガス浄化装置41を着脱自在に架設している。左右一対の前後伸延片50,51の後部、つまり、後部横架片53よりも後方に位置する後部間には排気管支持片36を架設している。排気管支持片36は左右伸延支持片37と上下伸延支持片38とにより逆T字状に形成している。そして、前後伸延片50,51間に左右伸延支持片37を横架するとともに、左右伸延支持片37の右側部に上下伸延支持片38の下端部を取り付けて、上下伸延支持片38を左右伸延支持片37から上方へ立ち上げ状に立設している。上下伸延支持片38の上端部には排気ガス浄化装置41の下流側に接続する下流側排気管42の中途部の右側周面を支持させている。このように、排気ガス浄化装置41と下流側排気管42は同一の装置等支持枠体44上に一体的に配置するとともに、非接触状態に連通させて接続することで、下流側排気管42を外気導入型の排気マフラとなしている。横架連結片56は、左右方向に伸延する板状に形成している。前後伸延片50,51の後端部を下方へ略直角に屈曲させて、それらの後端下面に間に横架連結片56の上面を架設状に取り付けている。
脱穀部5の右側壁5aと後述する揚穀筒196との間には所要間隔保持体57を介設して、所要空間Sを保持するとともに、揚穀筒196の中途部を支持させている。
すなわち、所要間隔保持体57は、図12及び図13に示すように、上面開口の横長四角形箱形に形成した本片58と、本片58の右側端部に設けた揚穀等支持片59を具備している。本片58の底板には装置等支持枠体44の左右一対の前後伸延片50,51の後端に架設状に取り付けた横架連結片56を上方から重合状態に連結している。本片58の左側壁は後述する脱穀部5の右側壁5aに連設している。つまり、配管部支持枠体22の横架支持片27と脱穀部5の内側壁(右側壁)5aとの間に装置等支持枠体44を略水平に介設している。本片58の右側端部に設けた揚穀等支持片59は、本片58の右側端部に前後方向に張り出し状に取り付けている。揚穀等支持片59の右側面には後述する揚穀筒196の外周面に当接する凹状受け面63を形成して、揚穀筒196の中途部外周面に凹状受け面63を当接させて揚穀筒196の中途部を連結・支持するようにしている。
左側の前後伸延片50は前部に連結ブラケット62を設けて、連結ブラケット62を介して脱穀部5の内側壁上部に連結している。脱穀部5の内側下部には上下方向に伸延させて形成した揚穀筒196の下端部を接続している。一方、穀粒貯留部9の内側上部には揚穀筒196の上端部を接続している。そして、左右に隣接する脱穀部5と穀粒貯留部9との間に揚穀筒196を配設している。揚穀筒196の中途部は揚穀等支持片59を介して装置等支持枠体44に連結・支持させている。
所要空間Sは、上下方向に伸延する揚穀筒196と右側方へ膨出する脱穀部5の処理胴193の右側半部を、左右に隣接する脱穀部5と穀粒貯留部9の間に配置するのに必要な空間である。その所要空間Sを有効利用して前後方向に伸延させて形成した排気ガス浄化装置41を配置している。すなわち、脱穀部5の内側下部には上下方向に伸延させて形成した揚穀筒196の下端部を接続する一方、穀粒貯留部9の内側上部に揚穀筒196の上端部を接続して、脱穀部5と穀粒貯留部9との間に揚穀筒196を収容可能とし、かつ、右側方へ膨出状に配置された処理胴193の右側半部を収容可能な所要空間Sを形成している。排気ガス浄化装置41は、所要空間S内にて揚穀筒196の前方に配置するとともに、走行機体3の前後方向視にて揚穀筒196と一部重複させて配置している。排気ガス浄化装置41は、処理胴193の上方に配置している。
排気ガス浄化装置41の前部には運転部8の下方に配置したディーゼルエンジン21の排気口部43に基端部を接続した上流側排気管40の先端部を接続するとともに、排気ガス浄化装置41の後部には先端部が開口して後方へ向けて伸延する下流側排気管42の基端部を接続している。排気ガス浄化装置41は、脱穀部5の上面よりも高位置に位置する穀粒貯留部9の上面よりも下方位置に配置している。排気ガス浄化装置41は、少なくとも上方と左右側方を遮熱体70で覆っている。つまり、遮蔽体70は、前後方向に伸延する四角形状の上面部71と、上面部71の左側縁部から下方へ垂下させた左側面部72と、上面部71の右側縁部から下方へ垂下させた右側面部73とを具備している。
排気ガス浄化装置41の少なくとも上方と左右側方を遮熱体70で覆うことにより、排気ガス浄化装置41の再生機能を良好に確保することができる。すなわち、排気ガス浄化装置を通過する排気ガス温度が再生可能温度(例えば、約250〜300℃)を超えていれば、排気ガス浄化装置41内に堆積されたPMを酸化除去することができて、排気ガス浄化装置41のPM捕集能力が回復する。したがって、排気ガス浄化装置41を遮熱体70で覆うことにより、排気ガス浄化装置41の再生可能温度を堅実に保持させることができる。しかも、作業者等が誤って再生可能温度に近い高温度の排気ガス浄化装置41に接触するのを、遮熱体70により防止することができる。つまり、安全性を良好に確保することができる。
次に、図12を参照しながら排気ガス浄化装置41の構造を説明する。すなわち、本実施形態に係る排気ガス浄化装置41は一例として排気ガス中の粒子状物質(PM)等を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を採用している。排気ガス浄化装置41は、耐熱金属材料により前後方向に伸延する円筒状箱型に形成したケーシング100内に、筒状の前・後側フィルタケース101,102を前後方向に軸線を向けて直列に内蔵している。そして、前側フィルタケース101内にディーゼル酸化触媒103(例えば、白金等)を収容する一方、後側フィルタケース102内にハニカム構造のフィルタ体であるスートフィルタ104を収容して、ディーゼル酸化触媒103とスートフィルタ104を直列に並べた構造としている。
ケーシング100は、円筒状の周壁部105と、周壁部105の前面を閉塞する円板状の前壁部106と、周壁部105の後面を閉塞する円板状の後壁部107とから箱型に形成している。前壁部106は前部連結片54に前後重合状態に面接させて連結ボルト112により連結している。後壁部107は後部連結片55に前後重合状態に面接させて連結ボルト113により連結している。
ディーゼル酸化触媒103よりも排気上流側に位置する周壁部105内の前部には上流側空間108を設け、上流側空間108の下側を形成する周壁部105の前部下周面に排気導入口109を形成している。排気導入口109には上流側空間108と連通する排気導入管110の上端開口部を接続している。排気導入管110の下端開口部の外周には排気導入管側フランジ111を設けている。排気導入管側フランジ111には他端側立ち上がり部側フランジ66ないしは一端側立ち上がり部側フランジ65を上下重合状態に接続している。このようにして、排気導入管110に上流側排気管40を一端側と他端側を振り替え自在に連通連結することができるようにしている。
後壁部107の中心部には排気導出口120を形成し、排気導出口120に前後方向に伸延する円筒状の排気導出管121の前端部を接続して、排気導出管121を後方へ突出状となしている。排気導出管121の後半部外周面には排気管支持片36を介して装置等支持枠体44に支持された下流側排気管42の前部を半径方向に一定の間隔をあけて外嵌している。下流側排気管42は内側管122と外側管123とからなる二重管構造となして、左側後上方へ指向させて開口している。排気導出管121の外周面と内側管122の内周面との間には一定の内側間隔W1をあけている。内側管122の外周面と外側管123の内周面との間には間隔保持体124を介して一定の外側間隔W2をあけている。つまり、排気導出管121の外周面と内側管122の内周面との間には一定の内側間隔W1をあけて内側外気流入路125が形成されている。内側管122の外周面との外側管123の内周面との間には一定の外側間隔W2をあけて外側外気流入路126が形成されている。
そして、排気導出管121から排気ガスG1が排出されると、エジェクタ効果(減圧効果)により下流側排気管42の前端開口部から内側外気流入路125と外側外気流入路126を通して外気G2が流入される。その結果、排気ガスG1に外気G2が混合されて、希釈化されるとともに温度が低下された後に希釈排気ガスG3が機外に排出される。また、外気G2が流通する外側外気流入路126とその外方を被覆している外側管123は排気ガスG1,G3に対して遮熱効果を生起する。そのため、外側管123が高温化されるのを防止することができて、作業者等の安全性を確保することができる。また、排気導出管121から断面積の大きい内側管122内に排出された排気は体積を膨張し、さらに、内側管122から断面積の大きい外側管123内に排出された排気はさらに体積を膨張させる。つまり、下流側排気管42が外気導入型で多段膨張式の排気マフラとなって、排気排出音を低減させる。
上記のように構成した本実施形態では、次のような作用・効果が生起される。すなわち、エンジンルーム20内に配設した配管部支持枠体22の横架支持片27と脱穀部5の内側壁5aとの間に、前後方向に伸延させて形成した装置等支持枠体44を略水平に介設し、装置等支持枠体44上には前後方向に伸延させて形成した排気ガス浄化装置41を載置している。つまり、排気ガス浄化装置41をディーゼルエンジン21から適度に離隔させるとともに、走行機体3の上部に配置している。そのため、排気ガス浄化装置41の表面温度の高温化を抑制するとともに、塵埃等の蓄積を低減させて、火災の危険性を解消し、排気ガス浄化装置41のメンテナンス性を向上させることができる。そして、排気ガス浄化装置41は左右に隣接する脱穀部5と穀粒貯留部9との間の所要空間S内を有効利用して配置しているため、走行機体3のコンパクト化が図れる。また、排気ガス浄化装置41をディーゼルエンジン21から離隔させることで、エンジンルーム20の小型化(コンパクト化)も図れる。
この際、排気ガス浄化装置41を左右に隣接する脱穀部5と穀粒貯留部9の間に配置するに際して、エンジンルーム20内に配設した配管部支持枠体22の横架支持片27と脱穀部5の内側壁5aとの間に、前後方向に伸延させて形成した装置等支持枠体44を略水平に介設して、装置等支持枠体44上には前後方向に伸延させて形成した排気ガス浄化装置41を載置しているため、重量物である排気ガス浄化装置41を装置等支持枠体44により堅実に支持させることができる。左右一対の前後伸延片50,51としてそれぞれ丸パイプを使用しているため、装置等支持枠体44を軽量かつ強固に形成することができるとともに、安価に形成することができる。
また、装置等支持枠体44を左右一対の前後伸延片50,51と、両前後伸延片50,51の前・後・後端部間に架設した前・後部横架片52,53及び横架連結片56とで枠組み形成しているため、装置等支持枠体44を軽量かつ強固に形成することができて、排気ガス浄化装置41の支持機能を確保することができる。しかも、排気ガス浄化装置41は前・後部横架片52,53間に前・後部連結片54,55を介して架設するだけで簡単に取り付けることができる。
装置等支持枠体44の後部に設けた排気管支持片36により排気ガス浄化装置41の下流側に接続する下流側排気管42を排気ガス浄化装置41とは別個に支持することができるため、排気ガス浄化装置41と下流側排気管42とをそれぞれ別個に非接触状態に連通させて接続することができる。そのため、下流側排気管42を外気導入型で多段膨張式の排気マフラとなすことができる。その結果、排気排出音を低減させることができるとともに、排気マフラの表面温度を低減させることができる。また、排気ガス浄化装置41の下流側に接続する排気マフラの短幅化を図ることができる。揚穀筒196は装置等支持枠体44に連結・支持させているため、揚穀筒196を装置等支持枠体44により一層強固に支持することができる。
左右に隣接する脱穀部5と穀粒貯留部9の間に形成される所要空間S内には排気ガス浄化装置41を配置して、排気ガス浄化装置41の後部に先端部が開口して後方へ向けて伸延する下流側排気管42の基端部を接続しているため、排気ガスが排気される下流側排気管42の先端部を運転部8に着座している運転者から離隔させることができるとともに、下流側排気管42自体を短幅化することができる。
脱穀部5と穀粒貯留部9との間に形成された揚穀筒196を収容可能な所要空間S内において、揚穀筒196の前方位置かつ走行機体3の前後方向視にて揚穀筒196と重複する位置に排気ガス浄化装置41を配置しているため、限られたスペース内に排気ガス浄化装置41を配置することができて、走行機体3のコンパクト化が図れる。
搬出部10の横オーガ12を穀粒貯留部9の上方において旋回動作可能とするとともに、横臥状に収納可能としているため、横オーガ12が穀粒貯留部9の上面よりも下方位置に配置した排気ガス浄化装置41と干渉するのを簡単に回避することができる。また、横臥状に収納させた横オーガ12にシートカバーを掛けた際にも、シートカバーが高温化した排気ガス浄化装置41と接触するのを回避することができるため、火災等の原因となるのを防止することができる。
次に、穀粒貯留部9の固定・解除構造について説明する。穀粒貯留部9は、四角形箱型に形成して縦オーガ11に連設するとともに、縦オーガ11の上下方向に伸延する軸線を中心に外側方(右側外方)へ回動可能として、前方へ指向させた使用姿勢と前外方へ指向させた不使用姿勢との間で姿勢変更自在としている。穀粒貯留部9の下部には前後方向に軸線を向けた搬出コンベア(図示せず)を内蔵して、縦オーガ11に後端部を連通させている。すなわち、穀粒貯留部9は走行機体3上において、脱穀部5と左右側に併設した使用状態と、縦オーガ11を中心に外側方(本実施形態では右側外方)へ回動させて、穀粒貯留部9の前部と脱穀部5との間を大きく開口させた不使用状態(メンテナンス可能状態)とに姿勢変更可能としている。そして、装置等支持枠体44の右側の前後伸延片51に穀粒貯留部9の前部側に設けた係止手段80を係脱自在に係止して、穀粒貯留部9を脱穀部5と左右側に併設した使用状態にて固定可能となしている。
係止手段80は、図13及び図14に示すように、内側方への位置決めをするための位置決め用係合片81と、位置決め用係合片81と協働して右側の前後伸延片51に固定・解除する固定・解除機構82と、固定・解除機構82を固定・解除操作する操作機構83とを具備している。
位置決め用係合片81は、穀粒貯留部9の左側前端部に設けた係合片取付ブラケット79から装置等支持枠体44側に向けて突設して、その先端部に上下二叉状の凹部84を形成している。そして、穀粒貯留部9を内方へ回動させた際には、装置等支持枠体44の右側の前後伸延片51に凹部84が係合して、穀粒貯留部9を使用状態に位置決めする。
固定・解除機構82は、位置決め用係合片81から前方へ突出させた枢止ピン85にボス部86を回動自在に嵌合し、ボス部86にはボス部86の軸線周りに右側の前後伸延片51に下方から係合・離脱するフック87を連設している。フック87と位置決め用係合片81との間には引っ張りスプリング88を介設して、フック87を右側の前後伸延片51に下方から係合する方向に弾性付勢している。
操作機構83は穀粒貯留部9の前壁9aの下部にレバー枢止ピン90を前方へ突設し、レバー枢止ピン90にレバーボス部91を回動自在に嵌合している。レバーボス部91にはレバー92の上端を連設し、レバー92の上部とボス部86に垂設した連動アーム93との間に連動ロッド94を介設している
そして、レバー92の下端部を把持して外側方へ回動させると、連動ロッド94→連動アーム93→レバーボス部91を介してフック87を右側の前後伸延片51から係合解除することができる。したがって、かかる状態にて穀粒貯留部9の前部側を外側方へ回動させて不使用状態となすことができる。
また、レバー92を操作してフック87を右側の前後伸延片51から係合解除させた状態となすとともに、穀粒貯留部9の前部側を内側方へ回動させて使用状態となし、右側の前後伸延片51に凹部84を係合させことで位置決めする。続いて、レバー92を離すと、引っ張りスプリング88により弾性付勢されているフック87が右側の前後伸延片51に下方から係合する。つまり、穀粒貯留部9が装置等支持枠体44に連結された固定状態となり、装置等支持枠体44が固定部として機能する。
このように構成して、装置等支持枠体44に、縦オーガ11の上下方向の軸線廻りに前部側を外側方へ回動自在となした穀粒貯留部9の前部側を係止してその回動を固定可能となしているため、穀粒貯留部9の回動を堅実に固定することができる。この際、穀粒貯留部9の回動を規制する固定部として装置等支持枠体44を有効利用しているため、固定部を形成する部材を別途に設ける必要性がない。そのため、その分、製造コストを低減させることができる。前後伸延片50,51に穀粒貯留部9の前部側に設けた係止手段80を係脱自在に係止しているため、構造簡易にして堅実に穀粒貯留部9を固定することができる。
以下に、各部の構成をより具体的に説明する。
ディーゼルエンジン21は、エンジン出力軸150(クランク軸、図5参照)とピストン(図示省略)を有するシリンダブロック151と、シリンダブロック151上に取り付けられたシリンダヘッド152とを備えている(図8参照)。シリンダヘッド152の前側面に排気口部43である排気マニホールドが配置されている。シリンダヘッド152の後側面には吸気口部34である吸気マニホールドが配置されている。
エンジン出力軸150はシリンダブロック151の左右両側面からの左右両端を突出させている。シリンダブロック151の右側面には冷却ファン(図示せず)を設け、その右側外方にディーゼルエンジン水冷用のラジエータ153を冷却ファンと対峙させて配置している(図7〜図9参照)。ラジエータ153の右側外方には外気を清浄化して取り込むためのロータリスクリーン154を配置している(図2参照)。エンジン出力軸150の右端側からVベルト(図示省略)を介して冷却ファンに回転力を伝達するようにしている。
図5に示すように、シリンダブロック151の左側面から突出したエンジン出力軸150の左端側に、フライホイール155が軸支されている。フライホイール155には、刈取部4や脱穀部5や選別部6に駆動力を伝達する作業部駆動プーリ(図示せず)や、走行部2にミッションケース(図示せず)から駆動力を伝達する走行駆動プーリ(図示せず)を固着させ、ディーゼルエンジン21の出力部を構成している。
図8及び図9に示すように、ディーゼルエンジン21は、フライホイール155が走行機体3の左右中央側に、ラジエータ153が走行機体3の右側に位置するようにして、走行機体3のうち後述する運転席201の下方に形成されたエンジンルーム20内に配置されている。すなわち、エンジン出力軸150の向きが左右方向に延びるように、ディーゼルエンジン21が配置されている。ディーゼルエンジン21の上部には、排気口部(排気マニホールド)43からの排気ガスにて駆動するターボ過給機を配置することもできる。ターボ過給機は、タービンホイールを内蔵したタービンケースと、ブロアホイールを内蔵したコンプレッサケースとを備えている。そして、コンプレッサケースの吸気取入れ側は、吸気管を介してエアクリーナ32の吸気排出側に接続される。エアクリーナ32の吸気取入れ側は、吸気ダクトを介してプレクリーナ30に接続されている。コンプレッサケースの吸気排出側は、過給管及びEGR装置を介して吸気口部34のガス入口部に接続されている。プレクリーナ30からエアクリーナ32に吸い込まれた新気(外部空気)は、エアクリーナ32にて除塵・浄化されたのち、コンプレッサケース及びEGR装置を介して、吸気口部(吸気マニホールド)34に送られ、吸気口部34からディーゼルエンジン21の各気筒に供給されるようにすることもできる。
EGR装置は、ディーゼルエンジン21の排気ガスの一部(排気口部43からのEGRガス)と新気(外部空気)とを混合させて吸気口部34に供給するEGR本体ケース(コレクタ)と、過給管とEGR本体ケースとをつなぐ吸気スロットルと、排気口部43にEGRクーラを介して接続される還流管路としての再循環排気ガス管と、再循環排気ガス管にEGR本体ケースを連通させるEGRバルブ部材とを備えているものである。
上記の構成によれば、コンプレッサケースから吸気スロットルを介してEGR本体ケース内に加圧新気が供給される一方、排気口部43からEGRバルブ部材を介してEGR本体ケース内にEGRガスが供給される。コンプレッサケースからの加圧新気と、排気口部43からのEGRガスとが、EGR本体ケース内で混合された後、EGR本体ケース内の混合ガスが吸気口部34に供給される。すなわち、ディーゼルエンジン21から排気口部43に排出された排気ガスの一部が、吸気口部34からディーゼルエンジン21に還流することによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン21からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減することになる。
また、ディーゼルエンジン21の上部には、ターボ過給機及びEGR装置以外に、ディーゼルエンジン21の排気圧を調節するための排気絞り装置を排気口部43に連結支持させて設けることもできる。排気口部43のガス出口部にはタービンケースの排気ガス取入れ側を接続し、タービンケースの排気ガス排出側には排気絞り装置の排気ガス取入れ側を連結する。
排気絞り装置はディーゼルエンジン21の排気圧を高めるためのものである。すなわち、煤(スート)が排気ガス浄化装置41内のスートフィルタ104に堆積したときに、排気絞り装置の制御にてディーゼルエンジン21の排気圧を高めることによって、ディーゼルエンジン21からの排気ガス温度を高温にして、スートフィルタ104に堆積した煤を燃焼させる。その結果、煤が消失してスートフィルタ104が再生されることになる。
一般に、排気ガス浄化装置41より排気上流側にターボ過給機を備えていると、高温の排気ガスはターボ過給機の過給作用に利用され、ターボ過給機から排出される排気ガス温度は若干低下する。排気系統のうちターボ過給機と排気ガス浄化装置41との間に排気絞り装置を備えた場合には、排気絞り装置を用いての排気圧の強制上昇によって、ターボ過給機による排気ガス温度低下の影響を打ち消し、排気ガス温度を高温にできる。つまり、排気絞り装置の作用にてスートフィルタ104を再生でき、排気ガス浄化装置41の排気ガス浄化能力を適正に維持できる。また、スートフィルタ104に堆積した煤を燃やすためのバーナー等も不要になる。更に、ディーゼルエンジン21の始動時も、排気絞り装置の制御にて排気圧を高めることにより、排気ガス温度を高温にして、ディーゼルエンジン21における暖機の促進も可能となる。
走行部2は、図1及び図2に示すように、トラックフレーム160に、駆動スプロケット161とテンションローラ162と複数のトラックローラ163とこれらの廻りに巻回した履帯164を設けている。駆動スプロケット161はディーゼルエンジン21の動力を受けて回転駆動する。テンションローラ162は履帯164のテンションを維持する。複数のトラックローラ163は履帯164の接地側を接地状態に保持する。駆動スプロケット161によって履帯164の前側を支持し、テンションローラ162によって履帯164の後側を支持し、トラックローラ163によって履帯164の接地側を支持する。
刈取部4は、図1〜図4に示すように、刈取回動支点軸(図示せず)に刈取フレーム170を連結している。刈取部4は、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置171と、圃場の未刈り穀稈を引起す4条分の穀稈引起装置172と、刈刃装置171によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置173と、圃場の未刈り穀稈を分草する4条分の分草体174とを備えている。刈取フレーム170の下方に刈刃装置171が設けられている。刈取フレーム170の前方に穀稈引起装置172が配置されている。穀稈引起装置172と脱穀部5に設けたフィードチェン181の前端部(送り始端側)との間に穀稈搬送装置173が配置されている。穀稈引起装置172の下部前方に分草体174が突設されている。ディーゼルエンジン21にて走行部2を駆動して圃場内を移動しながら、刈取部4を駆動して圃場の未刈り穀稈を連続的に刈取る。
脱穀部5は、図1〜図4に示すように、扱室180の左側壁にフィードチェン181を設け、扱室180内に穀稈脱穀用の扱胴182を前後方向に伸延する軸線廻りに回動自在に取り付けている。そして、穀稈が、フィードチェン181により株元部を挟持されるとともに、穂先部が回動する扱胴182の下周面側に配置されて後方へ搬送されることで、扱胴182により穂先部の穀粒が脱穀される。
選別部6は、図1〜図4に示すように、扱胴182により脱穀されて下方に落下する穀粒を揺動選別する揺動選別盤185と、揺動選別盤185に選別風を供給する唐箕186及び補助唐箕187と、一番穀粒を回収する一番樋188と、一番樋188内に配置した一番コンベア189と、二番穀粒を回収する二番樋190と、二番樋190内に配置した二番コンベア191と、一番樋188の右側端部と穀粒貯留部9の左側上部との間に介設した揚穀筒196と、二番樋190の右側端部と扱室180の右側部との間に介設した二番還元筒192と、扱胴182の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴193と、揺動選別盤185の後部の排塵を機外に排出する排塵ファン194とを備えている。二番還元筒192は、図5〜図7に示すように、扱室180の右側後部に二番還元筒前端部197を連通連設している。
揺動選別盤185は、扱胴182により脱穀されて下方に落下した穀粒を、揺動選別(比重選別)するように構成している。揺動選別盤185から落下した穀粒(一番選別物)は、その穀粒中の粉塵が唐箕186及び補助唐箕187からの選別風によって除去され、一番樋188に落下する。一番樋188のうち脱穀部5における穀粒貯留部9寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部(右側端部)には、上下方向に伸延する揚穀筒196の下端部が連通状態に接続されている。一番樋188から取出された穀粒は、揚穀筒196内の揚穀コンベヤ(図示せず)によって穀粒貯留部9に搬入され、穀粒貯留部9に貯留される。
揺動選別盤185は、揺動選別(比重選別)によって、枝梗付き穀粒等の二番穀粒(穀粒と藁屑等が混在した再選別用の還元再処理物)を二番樋190に落下させるように構成している。二番樋190によって取出された二番穀粒は、二番還元筒192により二番還元筒前端部197から揺動選別盤185の上面側に戻されて再選別される。また、扱胴182からの脱粒物中の藁屑及び粉塵等は、唐箕186及び補助唐箕187からの選別風によって、走行機体3の後部から圃場に向けて排出される。
排藁処理部7は、図1に示すように、フィードチェン181の後端側(送り終端側)に排藁チェン195が配置されている。フィードチェン181の後端側から排藁チェン195に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体3の後方に排出されるか、又は脱穀部5の後方側に設けた排藁カッタ(図示せず)にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体3の後方下方に排出される。
運転部8には、オペレータが搭乗するステップ200、運転席201、単一の操向レバー202や各種の操作レバーなどを備えた操作装置を配置している。走行機体3のうち運転席201の下方には、動力源としてのディーゼルエンジン21が配置されている。運転席201の左側方に配置されたサイドコラム203には、走行機体3の変速操作を行う主変速レバー204、油圧無段変速機(図示省略)の出力及び回転数を所定範囲に設定保持する副変速レバー205等が設けられている。主変速レバー204は、走行機体3の前進、停止、後退及びその車速を無段階に変更操作するためのものである。副変速レバー205は、作業状態に応じてミッションケース内の副変速機構(これらは図示せず)を変更操作し、油圧無段変速機の出力及び回転数を、中立を挟んで低速と高速の2段階の変速段に設定保持するためのものである。
[第2実施形態の説明]
図15〜図17に示す1は本発明に係る第2実施形態としてのコンバインであり、かかるコンバイン1は前記した第1実施形態としてのコンバイン1と基本的構造を同じくするものであるが、エアコン装置を内蔵したキャビン210により運転部8を被覆している点で異なる。
すなわち、キャビン210は、後壁211の下部にエアコン装置の一部を構成するコンデンサ212を取り付けている。そして、コンデンサ212の後方には冷却用ファン213を対峙させて配置している。また、キャビン210の右側後部には外気取入口214を形成している。
このように構成して、冷却用ファン213を駆動させることで、外気取入口214から外気を取り入れて、コンデンサ212の後面を通して後方へ排出させるようにしている。この際、コンデンサ212は外気取入口214から取り入れられた外気がキャビン210の後方に排出される際に冷却されるようにしている。
キャビン210の後方には、背面視にて冷却用ファン213の全面を後方から被覆するように穀粒貯留部9の前壁9aを対面配置しており、冷却用ファン213の後左側方には遮熱体70により被覆された排気ガス浄化装置41を冷却用ファン213の軸芯位置よりも低位置に配置している。そのため、冷却用ファン213によって後方に排出される排気は後左側方に配置された遮熱体70の上面に沿って後方へ流れる排風となって排風流路Rを形成する。その結果、冷却用ファン213から排風流路Rに沿って排出される排風は遮熱体70と下流側排気管42の直上方を後方へ向けて流動して、遮熱体70を風冷却するとともに、下流側排気管42から排出される排気ガスG3の排出を促進する。したがって、かかるコンバイン1では排気配管部24の排気機能を向上させることができる。