JP5970786B2 - 光学シート、及びこれを備えた映像表示装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、コントラストを向上させて映像光の質を高め得る光学シートとして、シート面に平行な面に沿って並列に形成され光を透過可能な複数の光透過部と、前記光透過部間に並列され光を吸収可能な複数の光吸収部と、を有する光学シートを開示している。前記光吸収部の典型的な形状及び配列は、断面が楔形状の柱状体であり、シート面に平行な面に沿って配列した光吸収部をシート面の法線方向から観察するとストライプ状をしている。また、光学シートは、前記光吸収部と前記光透過部とを含む層状の光制御層のみからなる構成でもよいが、通常は、機械的強度や製造の容易さ等の観点から、光透過可能な透明な基材層がさらに積層された構成となる。
前記光吸収部形成用組成物は、透明な紫外線硬化性樹脂などからなる樹脂バインダ中に、光吸収粒子を分散させたものが使われる。ただ、光吸収粒子としてカーボンブラックをそのまま樹脂バインダ中に分散させると、粒子径が例えば数十〜数百nmと小さいために、光透過部上の余分な光吸収部形成用組成物をワイピング法で掻き取る際に完全に掻き取り切れずに残存した光吸収粒子が、光透過部の部分でも光を吸収して、光透過部の光透過性能を損ない易い。そこで、掻き取り不良を減らすべく、光吸収粒子がドクターブレードに引っかかる様に実質的な粒子径を大きくする為に、カーボンブラックなど粒子径の小さいものは、これよりも粒子径の大きい例えば平均粒子径が3μm以上の樹脂ビーズ(粒子)中に分散保持した着色樹脂ビーズを、光吸収粒子として用いるのが普通である。
また、光制御層によるコントラスト向上機能や、視野角調整機能の更なる高性能化も望まれている。
(1)必要光は透過可能にシート面に平行な面に沿って配置された複数の光透過部と、この光透過部同士の間に不要光を吸収可能に配置された複数の光吸収部と、を有する光制御層を少なくとも備えた光学シートにおいて、
前記光吸収部は、光吸収粒子と、この光吸収粒子を分散し保持する透明な樹脂バインダとを含み、
前記光吸収粒子の前記光吸収部中での含有割合は、前記光吸収粒子と前記樹脂バインダとの全量100質量部に対して、10質量部以上60質量部以下であり、
前記光吸収粒子の前記光吸収部内に於ける分散状態が、前記光吸収部をシート面の法線に平行で且つ光吸収部の注目部分に於ける延在方向に直交する断面として定義される主切断面で切断して、この主切断面で観察される複数の光吸収粒子から選ばれる任意の二つの粒子であって、この二つの粒子に接する2本の内接線がともに、この二つの粒子と接する接点間において、この二つの粒子以外の他の光吸収粒子と重ならない内接線となる、任意の二つ粒子について、
その2本の内接線がシート面の法線となす夫々の傾斜角を、前記任意の二つ粒子の複数の組について、前記夫々の傾斜角同士も含めて平均化した、平均傾斜角θAVEが18°以上35°以下であり、
前記光吸収粒子の平均粒子径dが、2μm以上であり、かつ、前記光吸収部の主切断面形状における最大幅Wtの0.5倍以下である、光学シート35°以下である、光学シート。
(2)前記光吸収粒子が着色樹脂ビーズである、前記(1)の光学シート。
(3)前記着色樹脂ビーズが架橋アクリル樹脂ビーズである、前記(2)の光学シート。
(4)前記着色樹脂ビーズがカーボンブラックを含有する、前記(2)または(3)の光学シート。
(5)さらに、前記光制御層に光を透過可能な透明な基材層が積層されている、前記(1)〜(4)のいずれかの光学シート。
(6)さらに、機能層が積層されている、前記(1)〜(5)のいずれかの光学シート。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかの光学シートと、映像光生成部とを、少なくとも備えた、映像表示装置。
本発明による映像表示装置によれば、光学シートとして上記光学シートを備えているので、上記した効果が得られる。その結果、映像光の質をより高めることができる。
先ず、図1の断面図は、本発明による光学シートの一実施形態例を示す断面図(a)と、光吸収部内に於ける任意の二つの粒子間に引かれる内接線と、本発明が対象としない接線を説明する部分拡大断面図である。
また、図1(a)に示す光学シート10は、光制御層1と、この光制御層1に隣接して積層された透明な基材層4とからなる。
なお、本発明においては、基材層4は必須ではない。
前記光制御層1は、必要光は透過可能にシート面10pに平行な面に沿って配置された複数の光透過部1aと、この光透過部1aの間に不要光を吸収可能に配置された複数の光吸収部1bと、を有する。シート面10pに平行な面とは、通常、光制御層1の層面1pを意味し、本実施形態では、この光制御層1の層面1pが光学シート10のシート面10pにもなっている形態である。
光透過部1aの配置の形態は、本実施形態では、一定の配列周期Pで図面左右方向に配列された形態である。同様に、光吸収部1bの配置の形態も、本実施形態では、前記配列周期Pと同じ一定の配列周期Pで図面左右方向に配列した形態となる。
また、「主切断面」に於ける断面形状を、「主切断面形状」と言う。
前記光透過部1aは、透明材料から構成され、好ましくは、形成が容易な点等から透明樹脂から構成される。この透明樹脂としては、公知の透明樹脂を用いることができる。例えば、透明樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。但し、透明樹脂としては、前記熱可塑性樹脂に比べて、耐溶剤性があり形成時の固化が迅速などの点で、好ましくは、硬化性樹脂、それも、紫外線や電子線で硬化する電離放射線硬化性樹脂を用いるのが良い。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系などの樹脂が挙げられ、例えばアクリレート系では、ウレタンアクリレート系樹脂などが用いられる。
光透過部1aの厚みは、光制御機能に応じて適宜に設定すれば良く、例えば20〜200μm程度である。光透過部1aの配列周期Pは、例えば10〜200μmである。
光透過部1aは、通常、光制御層1を、その層面1p乃至はシート面10pに投影した面積の主要な部分を占める。前記主要とは、投影面積が50%を超過することを意味する。
ランド部1cは、典型的には、光透過部1aと一体的に形成され同一材料からなり、このため、ランド部1cと光透過部1aとの互いの境界は、屈折率及び透過率など光学的物性は同一となる。
ランド部1cを構成する材料は、前記した光透過部1aと同一とすることができる。
前記光吸収部1bは、光吸収粒子2と、この光吸収粒子2を分散し保持する透明な樹脂バインダ3とから構成される。
光吸収部1bの主切断面形状に於ける寸法は、例えば、最大幅Wtは5〜50μm、最小幅Wbは2〜50μm、高さHは光透過部1aの厚み以下であり10〜200μm、斜辺と法線Nとが成す斜辺傾斜角αは0〜15°である{図2(a)参照}。
光吸収部1bの主切断面形状に於ける配列周期Pは、光透過部1aと同じで例えば10〜200μmである。
具体例で説明すれば、図2(a)の台形形状の光吸収部1bの場合には、台形の下底の寸法が最大幅Wtであり、上底の寸法が最小幅Wbとなる。
前記光吸収粒子2には、樹脂ビーズに代表される有機粒子、ガラスビーズに代表される無機粒子などを用いることができるが、好ましくは、製造及び入手の容易性などの点から、有機粒子である樹脂ビーズが用いられる。
着色樹脂ビーズの樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂などが用いられる。これらの樹脂は、いずれも、溶剤不溶性により光吸収部形成用組成物中で粒子形状が維持できる点で、架橋された樹脂である。これらのなかでも、光吸収粒子2が分散保持される樹脂バインダ3の樹脂に、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂、すなわちアクリル樹脂が通常使用される点から、密着性などの点で同類のアクリル樹脂、つまり架橋アクリル樹脂が好ましい。従って、着色樹脂ビーズとしては、架橋アクリル樹脂ビーズが好ましい。
樹脂ビーズを着色して着色樹脂ビーズとするための着色剤としては、樹脂ビーズを光吸収性にすることができるものであれば良く、顔料の他に染料でも良いが、耐候性、光吸収性などに優れる点で、好ましくは顔料、なかでもカーボンブラックが用いらる。このため、樹脂ビーズとしては、好ましくは、カーボンブラックを含有させて黒色に着色した着色樹脂ビーズが用いられる。
しかし、カーボンブラックの様な粒子径が500nm以下の小さい着色剤であっても、これを、粒子径2μm以上の樹脂ビーズ中に含有する着色樹脂ビーズとしての形で、光吸収粒子2に用いれば、前記光透過部1aの光透過性の低下を効果的に防ぐことができる。
ただ、粒子径2μm未満の光吸収粒子2を皆無にしても良いが、実用上、光透過部1aの光透過性能に支障を来たさない範囲であれば、含有していても良い。具体的には、光吸収部1bを構成する光吸収粒子2と樹脂バインダ3との全量100質量部に対して、粒子径2μm未満の光吸収粒子2の割合が、7質量部以下の含有量に止めるのが好ましい。
なお、光吸収粒子2の全体としての光吸収部1b中での含有割合は、光吸収粒子2と樹脂バインダ3との全量100質量部に対して、10〜60質量部程度である。この範囲未満では充分な光吸収性能を付与できず、この範囲を超えると、光吸収部形成用組成物の塗布適性が低下する。
d/Wt≦0.5 [1]
すなわち、平均粒子径dは、光吸収部1bの最大幅Wtの0.5倍以下とするのが好ましい。
これを、逆に、光吸収粒子2を基準に捉え、また光吸収粒子2の大きさを平均粒子径dでみた場合は、この平均粒子系dと最小幅Wbとの関係は、粒度分布を有する場合を考慮して、平均粒子径dの2倍を最小幅Wb以下とするのが好ましく、従って、次の関係式[2]を満たすのが良い。
2d≦Wb [2]
(但し、Wt>Wb≧2μm)
但し、平均粒子径dは、前記したワイピング法との関係に起因する2μm以上とするのが好ましい。この点で、最小幅Wbは2μmの光吸収粒子2が収まる幅が下限であり、Wb≧2μmとなる。光吸収粒子2が単分散など粒度分布が狭い場合には、平均粒子径d自体が最小幅Wb以下のものとしても良い。つまり、この場合は、d≦Wbである。例えば、最小幅Wb6μmに対して平均粒子径dは4μmとするなどである。
光吸収粒子2の平均粒子径dが上記範囲を超過すると、高精細な光吸収部1b、例えば、最大幅Wtが10μm前後以下の場合に、光吸収粒子2を光透過部1a内部に分散保持することが容易ではなくなり、樹脂バインダ3の割合が増すことによる光吸収性能の低下が生じ易くなる。
前記樹脂バインダ3としては、樹脂を含む透明なバインダ材料を用いることができ、典型的には、紫外線で硬化させた電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。樹脂バインダ3の樹脂(バインダ樹脂)としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂でも良いが、形成時の固化が迅速などの点で、好ましくは、硬化性樹脂、それも、紫外線や電子線で硬化する電離放射線硬化性樹脂を用いるのが好ましい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系などの樹脂が用いられる。
樹脂バインダ3は、バインダ樹脂以外に、安定剤など各種添加剤を含み得る。
本発明において特徴的なのは、光吸収粒子2の光吸収部1bの内部に於ける分散状態に、或る特定の状態を有することである。この分散状態は、光吸収部1bの主断面に於ける、光吸収粒子2の分散状態として知ることができる。
この二つの粒子2a,2bの組に対する接線としては、内接線が2本と外接線が2本の合計4本が存在する。このうち、本発明で対象とする接線は内接線であり、図中、実線で描いてある内接線LLと、内接線LRの2本である。図中、破線で描いてある外接線LoLと外接線LoRの2本は、本発明で対象とする接線ではない。
なお、本発明において、傾斜角θL、傾斜角θRは、ともに正数となる角度で捉える。言い換えると、傾斜角θL、傾斜角θRは、時計回り、或いは、反時計回りと、計測方向が存在する角度では捉えない。
なお、本発明において、他の光吸収粒子2と重ならないとは、他の光吸収粒子2と接しないことも含む。
二つの粒子2a,2c間の部分という意味は、内接線LxLについては、光吸収粒子2aとの接点CaLと光吸収粒子2cとの接点CcLとの間の事を意味し、内接線LxRについては、光吸収粒子2aとの接点CaRと光吸収粒子2cとの接点CcRとの間の事を意味する。
なお、外接線とは異なり、2本の内接線LL,LRは二つの粒子2a,2bの間で常に互いに交差するという、内接線の性質上、平均傾斜角θAVEはゼロにはならない正数となる。
平均傾斜角θAVE=(傾斜角θLi+傾斜角θRi)/2n [3]
(但しiは1,2,3,・・・,nまでの正の整数である。)
平均化に必要な、任意の二つの粒子2の組の数nは、少なくとも5組、好ましくは10組以上とする。すなわち、nは5以上、好ましくは10以上とする。
平均傾斜角θAVE≦35° [4]
平均傾斜角θAVEが35°超過では、後述する実施例及び比較例の測定結果のように光吸収性能が低下するので、平均傾斜角θAVEは35°以下とするのが好ましい。
なお、平均傾斜角θAVEの下限は、前述したように、内接線の性質上ゼロにはならいが、平均傾斜角θAVEが、小さくなるほど厚み方向で離れた光吸収粒子2同士の間の間隔が広くなり、これらの光吸収粒子2の間を斜め方向からの光が素通りする度合いが増し単一の光吸収部1bのみでは充分な光吸収性能を発揮しにくくなる。通常、平均傾斜角θAVEが18°未満となると、素通りした光を隣の光吸収部1bで受け止め難くなり複数の光吸収部1b全体として光吸収性能を充分に発揮し難くなる。この為、平均傾斜角θAVEは18°以上としておくのが好ましい。
ただし、光吸収粒子2の粒子径に対して、光吸収部1bの幅が接近しすぎると、光吸収部1bの内部に、充分に光吸収粒子2が充填された分散状態を形成し難くなる。この点で、光吸収粒子2の粒子径は、光吸収部1bの最大幅Wtとの前記関係式[1]、或いは有限の最小幅Wbを持つ場合には更に最小幅Wbとの前記関係式[2]を、満足するものとするのが、好ましい。光吸収粒子2と樹脂バインダ3との割合により、光吸収粒子2同士の間隔を調整する。こうすることによって、平均傾斜角θAVEが35°以下の分散状態を、より容易に形成することができる。
その結果、映像表示に適用した場合に、コントラスト向上機能や、視野角調を拡大、縮小、偏向など調整する視野角調整機能など、光制御機能を向上させることができ、映像光の質をより高めることができる。
光透過部1a、光吸収部1b、及びランド部1cは、従来公知の光制御層1の形成法で形成することができる。
例えば、加熱された成形型を熱可塑性樹脂層に押圧する熱プレス法、熱可塑性樹脂組成物を成形型内に注入して固化させるキャスティング法、射出成形法、電離放射線硬化型樹脂組成物を成形型上(内)に注入して電離放射線で硬化させる2P法(フォトポリマー法)等を利用できる。これらの成形法の中でも、2P法は生産性に優れる点でより好ましい。2P法では、シリンダ状(円筒状)の成形型を使用して、帯状シートなどを供給しながら連続的に成形できる。帯状シートとして基材層4を用いれば、基材層4上に積層された、ランド部1cと、ランド部1c上に該ランド部1cと一体的に積層された光透過部1aと、この光透過部1a側の面に光吸収部1bの形状に対応した凹部とが形成できる。また、成形型の型面と基材4とを密着させて成形すれば、ランド部1cが存在しない形態で、基材4上に光透過部1aと、この光透過部1a側の面に光吸収部1bの形状に対応した凹部とを形成できる。
そして、前記凹部の内部に、光吸収粒子2と樹脂バインダ3を含む光吸収部形成用組成物を、ワイビング法によって充填し固化させれば光吸収部1bを形成できる。
前記基材層4は、光を透過可能な透明な基材から構成される。基材層4は、光制御層1のみでは機械的強度が不足する場合に機械的強度を補い、また、2P法(フォトポリマー法)等において光制御層1を形成するときの基材として作用し形成を容易にする。
基材層4としては、透明性を備えた材料であれば、特に制限はなく公知のものを適宜採用できる。基材層4には、典型的には、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの樹脂フィルムが用いられる。基材層4としては、このように樹脂フィルムが代表的であり、その樹脂としては、例えば、前記ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、或いはアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等である。これら樹脂は、フィルム、シート、板の形態で使用される。なお、「フィルム」、「シート」、「板」は通常は厚みにより大まかに区別されるが、本発明では単に呼称上の違いのみであり、その意味の区別は特にない。基材層4の厚みは、例えば25〜300μmである。
なお、本発明においては、基材層4は必須ではない。
本発明においては、光学シート10は、上記した形態以外に、その他の形態もとり得る。以下、その一部を説明する。
図2に、光吸収部1bの主切断面形状の各種形状例を示す。先ず、図2(a)は、図1で例示した実施形態形における、四辺が直線からなる台形形状であり、また、楔形状でもある。
光吸収部1bの主切断面形状は、例えば、同じ楔形状であっても、図2(b)で示す様に、元の台形形状の下底を含む下底近傍に、元の下底より大きい底辺の三角形を結合した様な、楔の根本部分を広げて漏斗状にした形状、図2(c)で示す様に、台形形状の上底を無くして上底部分を三角形にして楔先端を尖らせた様な五角形形状、図2(d)で示す様に、台形形状の上底を無くして上底部分を半円形にした様な、楔先端を曲線化した形状、などである。これらのうち、図2(b)及び図2(c)は斜辺が折れ線化した形状でもあり、図2(d)は斜辺が曲線化した形状でもある。
或いは、光吸収部1bの主切断面形状は、図2(e)で示す様に、斜面が法線Nに平行でシート面10pに垂直となる四角形状でも良い。
ただし、図2(f)で示す様に、楔形状の先端が鋭角で最小幅Wbがゼロとなる三角形状は、光吸収粒子2が先端まで充填しにくくなるので、同じ先端が尖った形状でも、斜辺が外側に向かって凸となる折れ線の図2(c)の方が、好ましい。
なお、dHは、図2(c)、及び図2(d)からも判るように、楔の先端に行くにつれて幅が狭まる傾向が強くなる部分に対する楔先端からの高さ(厚さ)である。
そして、高さHbの部分に於ける幅を最小幅Wbと見做して、前記した平均粒子径dと最小幅Wbの関係式[2]を適用しても良い。
上記した形態では、光透過部1aは柱状体で、その柱状体の直線状に延びる延在方向を互いに平行にして、一定の間隔で一定の方向に、シート面10pに平行な光制御層1の層面1pに沿って配列する様な配置をしており、また同時に光吸収部1bも同様に柱状体で、その柱状体の直線状に延びる延在方向を互いに平行にして、一定の間隔で一定の方向に、シート面10pに平行な光制御層1の層面1pに沿って配列する様な配置をしていた。光透過部1a及び光吸収部1bともに、その延在方向に直交する方向が前記配列方向である。言い換えると、法線Nの方向から観察すると、光透過部1aと光吸収部1bは交互にストライプ状の配列をしていた。
しかし、本発明においては、光透過部1aの配置、及び光吸収部1bの配置は、これに限定されない。例えば、法線Nの方向から観察すると、光吸収部1bが縦横に走る正方格子状の配列で、この正方格子の正方形部分が光透過部1aとなる配列である。言い換えると、光吸収部1bの形状は、第1の方向に直線状に延在する柱状体と、この第1の方向と直交する第2の方向に直線状に延在する柱状体とが互いに融合した形状となる。第1の方向と第2の方向とが直交するとき、正方格子となり、斜めに交差すると斜方格子となる。
本発明における光学シートは、上記した形態では、光制御層1と基材層4とを備えていたが、さらに、機能層を積層した構成とすることができる。機能層は、従来公知の、映像表示装置用としての光学シートに於ける各種機能層を適宜採用できる。
一方、図1で示した光学シート10の形態では、前記シート面10pは前記層面1pと同一面であった。このように、光制御層1の層面に他の層が積層されている形態では、層面1pとシート面10pとは異なる面となることがある。ただし、シート面10pと層面1pとは互いに平行な面である。
このように、本発明において、光透過部1a及び光吸収部1bの配置において、「シート面に平行な面に沿って配置され」の、前記「平行な面」とは、シート面10p自体、或いは、層面1pなどの、空気と接触する露出面、又は空気以外の物質同士の界面を意味する以外に、これらの面に平行な仮想的な面、例えば、図1(a)で前記光透過部1aとランド部1cとの間に描いた点線の様な仮想的な面であることもある。
光学機能層の例を挙げれば、近赤外線を吸収する近赤外線吸収層、紫外線を吸収する紫外線吸収層、或いは、視覚上の効果が得られる、プラズマディスプレイパネル本体からのネオン光を吸収するネオン光吸収層、表示画像を好みの色調に補正する色補正機能などの、特定波長光の透過を抑制し残りの波長光は透過させる波長フィルタ層、通常最外層に設けられる反射防止層(防眩、反射防止、防眩及び反射防止兼用のいずれか)、光の進行方向を偏向するフレネルレンズ層、或いは、前記した光制御層1などがある。機能層5が光制御層1の場合、光学シート10は、光制御層1を2層以上備えた構成となる。
非光学機能層の例を挙げれば、プラズマディスプレイパネルなど映像生成部からの電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽層、表面を保護する表面保護層やハードコート層、帯電防止層、汚染防止層、耐衝撃層、2層間の物質移動を防ぐバリア層、2層間を密着させる接着剤層(含む粘着剤層)、或いは前記した基材層4などがある。
機能層5の位置は、機能層5が基材層4以外の層である場合で言えば、例えば、図3に例示の様に光制御層1の基材層4とは反対側、或いは基材層4の光制御層1とは反対側、或いはこれらの両方、いずれでも良い。また、機能層5の位置は、基材層4と光制御層1との間であっても良い。
本発明による映像表示装置は、上記した光学シートと映像生成部とを、少なくとも備えた装置である。図4の実施形態例で示す映像表示装置20は、光学シート10と、映像生成部6としてのプラズマディスプレイパネルとを備える。このプラズマディスプレイパネルの前面ガラス基板の面に前記光学シート10が、その粘着剤層5aによって直接貼り合わせられた形態である。このため、前記光学シート10は、同図に示す様に、貼り合わせ用の粘着剤層5aを有し、層構成全体として、観察者V側から順に、基材層4、光制御層1、粘着剤層5aを有する。
本発明においては、映像表示装置20は、映像生成部6、光学シート10以外に、映像生成部6の駆動回路、この駆動回路と映像生成部6とを接続する配線、これらを一体化してパネルモジュール化するシャーシ乃至はフレーム、さらに、映像表示装置20の用途に応じて、例えば、テレビジョン受像機の場合はチューナ等の各種入出力部品など、公知の各種部品、これらを収納する筐体(キャビネット)等を備えることができる。これらのその他の構成要素は、特に制限はなく、用途に応じたものとなる。
本発明による光学シートは、映像表示装置に対して好適に使用される。また、リアプロジェクションスクリーン等にも使用される。
本発明による光学シートを備えた映像表示装置は、テレビジョン受像機、測定機器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器、電話機、電子看板、遊戯機器、デジタルフォトフレーム、リアプロジェクションディスプレイ等の映像表示装置として好適である。
実施例1として、図3の様な粘着剤層付きの光学シート10を次の様にして作製した。
光制御層1を成形するための円筒状の成形型として、光透過部1aに対応した凹凸形状を型面に有する成形型を準備した。型面の凹凸形状は、光透過部1aの部分が凹部となり、また、光吸収部1bに対応した部分が凸部となった形状である。型面の表面は銅めっきされており、この型面をダイヤモンドバイトによって切削後、クロムめっきを施して、成形型とした。この成形型の型面の凹凸は、光吸収部1bで捉えた場合に、主切断面形状が最大幅Wtに該当する下底10μm、最小幅Wbに該当する上底3μm、高さ88μmの台形形状で直線状の柱状体からなる光吸収部1bが、その延在方向を互いに平行にして、この延在方向に直交する方向に45μmの配列周期Pで配列された複数の光吸収部1bを形成可能な凹凸形状に対応している。
基材層4としては、厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
前記(1)で準備した成形型と、ニップロール間に、上記(2)で準備した基材層4を挿入し搬送しつつ、紫外線で硬化可能な電離放射線硬化性樹脂組成物を、前記基材層4上に供給し、成形型とニップロール間の押圧力により、基材層4と成形型間に前記樹脂組成物を充填した。その後、基材層4側から紫外線を照射し前記樹脂組成物を硬化させて、次いで、剥離ロールにて成形型から基材層4と共に基材層4上で硬化した樹脂層を離型して、中間シート部材を得た。この中間シート部材において、基材層4上の樹脂層は、基材層4側が厚み20μmのランド部1cを成し、このランド部1c上に配列周期45μmで配列した光透過部1aが形成され、この配列した光透過部1a同士の間の溝状の凹部が、光吸収部1bの形状に対応している。
この電離放射線硬化性樹脂組成物は、硬化後において、測定波長589nmに於いて、屈折率1.550を示す。
上記(3)で作製した中間シート部材の光透過部1a側の面上に、紫外線で硬化可能な光吸収部形成用樹脂組成物を塗布し、ドクターブレードを用いたワイピング法によって、光透過部1a同士の間に存在する溝状の凹部内に充填するとともに、光透過部1a上の余分の光吸収部形成用樹脂組成物を掻き落とした。その後、紫外線を照射して光吸収部形成用樹脂組成物を硬化させて光吸収部1bを形成して、基材層4上に光制御層1が形成された中間光学シート部材を得た。
この光吸収部形成用樹脂組成物は、樹脂バインダ3に該当する、着色樹脂ビーズを除いた組成物(表1中、成分Bで表示)の硬化後において、測定波長589nmに於いて、屈折率1.540を示す。
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート製の離型フィルム5bの離型面に、架橋剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むアクリル樹脂系の透明粘着剤を厚み25μmとなる様に塗布して粘着剤層5aを形成した後、この粘着剤層5aの面に上記で作製した中間光学シート部材を、その光制御層1側の面で貼り合わせて、図3の様な、目的とする粘着剤層付きの光学シート10を作製した。粘着剤層5a及び離型フィルム5bが機能層5に該当する。
実施例1に於いて、光吸収部形成用組成物中の光吸収粒子2である着色樹脂ビーズを、カーボンブラックを25質量%含有する平均粒子径4.0μmの架橋アクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製、(表1中、成分Yで表示))に変更した以外は、実施例1と同様にして光学シート10を作製した。
実施例1に於いて、光吸収部形成用組成物中の光吸収粒子2以外の成分を、光透過部1aの形成に用いた電離放射線硬化性樹脂の成分と同じものを用いた以外は、実施例1と同様にして光学シート10を作製した。
実施例1に於いて、成形型を取り替えて、光制御層1の光透過部1a及び光吸収部1bの形状及び寸法を変更した以外は、実施例1と同様にして光学シートを作製した。この光制御層1は、光吸収部1bで捉えた場合に、その主切断面形状が最大幅Wtに該当する下底10μm、最小幅Wbに該当する上底6μm、高さ85μmの台形形状で直線状の柱状体からなる。配列周期Pは同じ45μmである。
実施例及び比較例の光学シートについて、光吸収部1bの主切断面を観察する為に、ミクロトームで切断して薄片を作製し、この薄片を透過型電子顕微鏡で撮影した写真画像から、内接線LL,LRが法線Nと成す傾斜角θL,θRを測定した。傾斜角は、夫々の光学シートについて、二つの粒子2の組を10組選び測定した。視野角θLと傾斜角θRを含めて、合計20点について平均して平均傾斜角θAVEを算出した。算出は、先ず、視野角θLについて10点の平均値を求め、同様に視野角θRについても10点の平均値を求め、これらの平均値を更に平均化して最終的な平均傾斜角θAVEを算出した。結果は、表1に纏めて示す。
光制御機能として、プラズマディスプレイパネルからなる映像生成部6に適用したときの、コントラスト向上性能を評価した。具体的には、プラズマテレビに組み込まれたプラズマディスプレイパネルの前面ガラス基板のガラス面に元々貼合されていた光学シートを剥がし、代わりに上記で得られた光学シートを貼り合わせ、輝度計で白輝度と黒輝度を測定した。実施例及び比較例の各光学シートは、離型フィルム5bを剥離し露出させた粘着剤層5aによって、前面ガラス基板のガラス面に貼り合わせた。
コントラストの測定は、室内蛍光灯下の照度550lxで、テレビ画面中心から画面法線方向に2m離れた正面の位置から輝度計(コニカミノルタセンシング株式会社製、LS−110)で画面の輝度を測定した。白輝度はカラーパターン・ジェネレータ(株式会社ケンウッド・ティー・エム・アイ製、CG−935N)によりホワイトモードで全面白画面を表示させて測定し、黒輝度は同じパターンジェネレータによりクロスハッチモードで黒地に白の縦線及び横線の格子パターンを表示させて、黒部分を測定した。そして、〔白輝度/黒輝度〕として、コントラストを算出した。結果を、表2に示す。
1a 光透過部
1b 光吸収部
1c ランド部
1p (光制御層の)層面
2 光吸収粒子
3 樹脂バインダ
4 基材層
5 機能層
5a 粘着剤層
5b 離型フィルム
6 映像生成部
10 光学シート
10p シート面
20 映像表示装置
LL 内接線
LR 内接線
LoL 外接線
LoR 外接線
LxL 対象外の内接線
LxR 対象外の内接線
N 法線
V 観察者
Wb 光吸収部の最小幅
Wt 光吸収部の最大幅
α 斜辺傾斜角
θL 内接線の傾斜角
θR 内接線の傾斜角
θAVE 平均傾斜角
Claims (7)
- 必要光は透過可能にシート面に平行な面に沿って配置された複数の光透過部と、この光透過部同士の間に不要光を吸収可能に配置された複数の光吸収部と、を有する光制御層を少なくとも備えた光学シートにおいて、
前記光吸収部は、光吸収粒子と、この光吸収粒子を分散し保持する透明な樹脂バインダとを含み、
前記光吸収粒子の前記光吸収部中での含有割合は、前記光吸収粒子と前記樹脂バインダとの全量100質量部に対して、10質量部以上60質量部以下であり、
前記光吸収部内に於ける前記光吸収粒子の分散状態が、前記光吸収部をシート面の法線に平行で且つ光吸収部の注目部分に於ける延在方向に直交する断面として定義される主切断面で切断して、この主切断面で観察される複数の光吸収粒子から選ばれる任意の二つの粒子であって、この二つの粒子に接する2本の内接線がともに、この二つの粒子と接する接点間において、この二つの粒子以外の他の光吸収粒子と重ならない内接線となる、任意の二つ粒子について、
その2本の内接線がシート面の法線となす夫々の傾斜角を、前記任意の二つ粒子の複数の組について、前記夫々の傾斜角同士も含めて平均化した、平均傾斜角θAVEが18°以上35°以下であり、
前記光吸収粒子の平均粒子径dが、2μm以上であり、かつ、前記光吸収部の主切断面形状における最大幅Wtの0.5倍以下である、光学シート。 - 前記光吸収粒子が着色樹脂ビーズである、請求項1に記載の光学シート。
- 前記着色樹脂ビーズが架橋アクリル樹脂ビーズである、請求項2に記載の光学シート。
- 前記着色樹脂ビーズがカーボンブラックを含有する、請求項2または3に記載の光学シート。
- 前記光制御層に光を透過可能な透明な基材層が積層されている、請求項1〜4のいずれかに記載の光学シート。
- 前記光制御層に機能層が積層されている、請求項1〜5のいずれかに記載の光学シート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の光学シートと、映像光生成部とを、少なくとも備えた、映像表示装置。
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