JP5970508B2 - 光学フィルム、偏光板、光学フィルムの製造方法、及び画表示装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、ノルボルネン系重合体からなる樹脂フィルム上にハードコート層を積層した偏光板保護フィルムが記載されている。
特許文献2には、ノルボルネン系樹脂フィルムとハードコート層を有する偏光板保護フィルムが記載されている。
一方で、偏光板保護フィルムの薄膜化に伴い、薄膜化した偏光板保護フィルムを有する偏光板を液晶表示装置に組み込んで使用した場合に、高温高湿環境下などでは吸湿により偏光板保護フィルムが伸縮するために発生する応力の影響が、薄膜化しない場合よりも大きくなってしまう。この応力の影響により、偏光板を含む液晶パネルが反って角部に光漏れが生じるワープムラが問題となる。吸湿により、偏光板保護フィルムが伸縮することがわかっているので、この問題は、透湿度の低いフィルムを偏光板保護フィルムとして使用することで改善できると考えられる。
保護フィルムの透湿度を下げる手段としては、前述の透湿度が極めて低い素材である環状オレフィン系樹脂を用いることが考えられる。しかし本発明者らの検討により環状オレフィン系樹脂を液晶表示装置の視認側偏光板の視認側の偏光板保護フィルムとして用いる場合、ハードコート層を積層すると、ハードコート層と環状オレフィン系樹脂フィルムとの密着性が低いこと、表面硬度が低いことが分かった。
<1>
(A)環状ポリオレフィン系樹脂を含む層と、
(B)分子中に脂環構造を有する、光及び/又は熱で重合した樹脂を含む層と、
(C)ハードコート層と、
をこの順に有し、上記(C)層の膜厚が10μm以下である、光学フィルム。
<2>
上記(A)層の膜厚が20μm以下であり、かつ上記(B)層の膜厚が20μm以下である<1>に記載の光学フィルム。
<3>
上記分子中に脂環構造を有する、光及び/又は熱で重合した樹脂が、下記一般式(I)〜(V)のいずれかで表される基を有する重合性化合物を光及び/又は熱で重合した樹脂である<1>又は<2>に記載の光学フィルム。
一般式(I)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜3の整数を表す。
一般式(II)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜2の整数を表す。
一般式(III)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜2の整数を表す。
一般式(IV)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表し、L’’は水素原子または二価以上の連結基を表す。
一般式(V)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。
<4>
上記環状ポリオレフィン系樹脂が下記一般式(A−II)又は(A−III)で表される環状オレフィンに由来する構造単位を有する重合体である<1>〜<3>のいずれかに記載の光学フィルム。
一般式(A−II)〜(A−III)中、mは0〜4の整数を表す。R 3 〜R 6 は各々独立に水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、X 2 〜X 3 、Y 2 〜Y 3 は各々独立に水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、置換基を有していても良いビニル基、(メタ)アクリロイル基、−(CH 2 ) n COOR 11 、−(CH 2 ) n OCOR 12 、−(CH 2 ) n NCO、−(CH 2 ) n NO 2 、−(CH 2 ) n CN、−(CH 2 ) n CONR 13 R 14 、−(CH 2 ) n NR 13 R 14 、−(CH 2 ) n OZ、−(CH 2 ) n W、又はX 2 とY 2 あるいはX 3 とY 3 から構成された(−CO) 2 O、(−CO) 2 NR 15 を示す。なお、R 11 ,R 12 ,R 13 ,R 14 ,R 15 は各々独立に水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR 16 p D 3-p (R 16 は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR 16 又は−OR 16 、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
<5>
偏光子と<1>〜<4>のいずれかに記載の光学フィルムとを有する偏光板であって、
偏光子、(A)層、(B)層をこの順に有する偏光板。
<6>
上記偏光子の膜厚が10μm以下であり、偏光板全体の厚さが40μm以下である<5>に記載の偏光板。
<7>
下記(a)〜(f)の工程を有する<1>〜<4>のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
(a)支持体上に、環状ポリオレフィン系樹脂と第一の溶媒とを含む第一の溶液を塗布して第一塗布層を形成する工程
(b)上記第一塗布層に含まれる第一の溶媒を乾燥させて(A)層を得る工程
(c)上記(A)層上に、分子中に脂環構造を有する重合性化合物と第二の溶媒とを含む第二の溶液を塗布して第二塗布層を形成する工程
(d)上記第二塗布層に含まれる第二の溶媒を乾燥させる工程
(e)上記第二塗布層に含まれる分子中に脂環構造を有する重合性化合物を、光及び/又は熱により重合して分子中に脂環構造を有する樹脂を得て、(B)層を得る工程
(f)上記(A)層と(B)層を含む積層体を、上記支持体から剥離する工程
<8>
<1>〜<4>のいずれかに記載の光学フィルム、又は<5>若しくは<6>に記載の偏光板を含む画像表示装置。
本発明は上記<1>〜<8>に記載した事項に関するものであるが参考のためにその他の事項についても記載した。
(A)環状ポリオレフィン系樹脂を含む層と、
(B)分子中に脂環構造を有する、光及び/又は熱で重合した樹脂を含む層と、
を有する光学フィルム。
[2]
上記(A)層の膜厚が20μm以下であり、かつ上記(B)層の膜厚が20μm以下である[1]に記載の光学フィルム。
[3]
更に、(C)ハードコート層を有し、
(A)層、(B)層、(C)層をこの順に有する[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[4]
上記(C)層の膜厚が10μm以下である[3]に記載の光学フィルム。
[5]
上記分子中に脂環構造を有する、光及び/又は熱で重合した樹脂が、下記一般式(I)〜(V)のいずれかで表される基を有する重合性化合物を光及び/又は熱で重合した樹脂である[1]〜[4]のいずれかに記載の光学フィルム。
一般式(I)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜3の整数を表す。
一般式(II)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜2の整数を表す。
一般式(III)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜2の整数を表す。
一般式(IV)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表し、L’’は水素原子または二価以上の連結基を表す。
一般式(V)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。
[6]
上記環状ポリオレフィン系樹脂が下記一般式(A−II)又は(A−III)で表される環状オレフィンに由来する構造単位を有する重合体である[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルム。
一般式(A−II)〜(A−III)中、mは0〜4の整数を表す。R3〜R6は各々独立に水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、X2〜X3、Y2〜Y3は各々独立に水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、置換基を有していても良いビニル基、(メタ)アクリロイル基、−(CH2)nCOOR11、−(CH2)nOCOR12、−(CH2)nNCO、−(CH2)nNO2、−(CH2)nCN、−(CH2)nCONR13R14、−(CH2)nNR13R14、−(CH2)nOZ、−(CH2)nW、又はX2とY2あるいはX3とY3から構成された(−CO)2O、(−CO)2NR15を示す。なお、R11,R12,R13,R14,R15は各々独立に水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR16 pD3-p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR16又は−OR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
[7]
偏光子と[1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルムとを有する偏光板であって、
偏光子、(A)層、(B)層をこの順に有する偏光板。
[8]
上記偏光子の膜厚が10μm以下であり、偏光板全体の厚さが40μm以下である[7]に記載の偏光板。
[9]
下記(a)〜(f)の工程を有する[1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
(a)支持体上に、環状ポリオレフィン系樹脂と第一の溶媒とを含む第一の溶液を塗布して第一塗布層を形成する工程
(b)上記第一塗布層に含まれる第一の溶媒を乾燥させて(A)層を得る工程
(c)上記(A)層上に、分子中に脂環構造を有する重合性化合物と第二の溶媒とを含む第二の溶液を塗布して第二塗布層を形成する工程
(d)上記第二塗布層に含まれる第二の溶媒を乾燥させる工程
(e)上記第二塗布層に含まれる分子中に脂環構造を有する重合性化合物を、光及び/又は熱により重合して分子中に脂環構造を有する樹脂を得て、(B)層を得る工程
(f)上記(A)層と(B)層を含む積層体を、上記支持体から剥離する工程
[10]
[1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルム、又は[7]若しくは[8]に記載の偏光板を含む画像表示装置。
本発明の光学フィルムは、(A)環状ポリオレフィン系樹脂を含む層(「(A)層」とも呼ぶ)と、(B)分子中に脂環構造を有する、光及び/又は熱で重合した樹脂を含む層(「(B)層」とも呼ぶ)とを有する。
本発明の光学フィルムは、環状ポリオレフィン系樹脂を含む層((A)層)を有する。
(A)層は環状ポリオレフィン系樹脂を含有する。環状ポリオレフィン系樹脂とは、環状オレフィン構造を有する重合体樹脂を表す。
本発明に用いる環状オレフィン構造を有する重合体樹脂の例には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などがある。
下記一般式(A−II)で表される構造単位を有する重合体は、ノルボルネン系付加重合体であり、下記一般式(A−III)で表される構造単位を有する重合体は、ノルボルネン系開環重合体である。
また、環状ポリオレフィン系樹脂を単独(含有量100質量%)で用いることも好ましい。
(A)層は紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤を含有することで、光学フィルムの耐光性を向上させたり、偏光板及び液晶表示装置の液晶化合物等の画像表示部材の劣化を防止したりすることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、紫外線吸収性基を含有する高分子紫外線吸収化合物等があげられるが、これらに限定されない。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。
紫外線吸収剤を含有する場合の紫外線吸収剤の含有量は、(A)層の全固形分に対して0.2〜10質量%が好ましく、0.5〜7質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
本発明の光学フィルムは、分子中に脂環構造を有する、光及び/又は熱で重合した樹脂を含む層((B)層)を有する。
(B)層は、分子中に脂環構造を有する、光及び/又は熱で重合した樹脂を含む。
分子中に脂環構造を有する、光及び/又は熱で重合した樹脂は、分子中に有する脂環構造が(A)層の環状ポリオレフィン系樹脂の環構造と類似の構造であるため、環状ポリオレフィン系樹脂との親和性が高く(A)層との密着性に優れ、かつ脂環構造は疎水的であるため透湿度を低くでき、光学フィルムの膜厚を薄くした場合でも光学フィルムの透湿度を低くできると考えられる。また、(B)層上に(C)ハードコート層を積層した場合に界面混合層を形成しやすいために、(C)ハードコート層との密着性にも優れると考えられる。
脂環構造は、好ましくは炭素数5以上20以下の脂環構造であり、より好ましくは炭素数8以上16以下の脂環構造であり、更に好ましくは炭素数10以上14以下の脂環構造である。
脂環構造は、好ましくは、二環式、三環式等の、多環式構造である。
より好ましくは、特開2006−215096号公報の特許請求の範囲記載の化合物の中心骨格、特開2001−10999号公報記載の化合物の中心骨格、あるいは、アダマンタン誘導体の骨格等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基としては具体的には、ノルボルニル、トリシクロデカニル、テトラシクロドデカニル、ペンタシクロペンタデカニル、アダマンチル、ジアマンタニル等が挙げられる。
分子中に脂環構造を有する重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合基を分子中に1つ以上有するモノマー又はオリゴマーであることが好ましく、2つ以上有する多官能モノマー又はオリゴマーであることがより好ましく、2つ以上4つ以下有する多官能モノマー又はオリゴマーであることが更に好ましい。
エチレン性不飽和二重結合基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性官能基が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基、−C(O)OCH=CH2が好ましく、(メタ)アクリロイル基が更に好ましい。
連結基としては、単結合、炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキレン基、N位が置換されていてもよいアミド基、N位が置換されていてもよいカルバモイル基、エステル基、オキシカルボニル基、エーテル基等、及びこれらを組み合わせて得られる基が挙げられる。
好ましくは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの化合物や、WO2012/00316A号記載の化合物(例、1、1―ビス(アクリロキシメチル)エチルイソシアナート)を用いて、脂環構造を有するポリオールとの反応させることにより合成することができる。
本発明の光学フィルムは、(A)層の膜厚が20μm以下であり、かつ(B)層の膜厚が20μm以下であることが好ましい。
本発明の光学フィルムは、更に、(C)ハードコート層(「C層」とも呼ぶ)を有することが好ましく、(A)層、(B)層、(C)層をこの順に有することがより好ましい。
ここで、ハードコート層とは、ハードコート層を有する各光学フィルムを25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS S 6006が規定する試験用鉛筆(3H)を用いて、ハードコート層表面に対して、JIS K 5400が規定する鉛筆硬度評価法に従い、500gのおもりを用いて各硬度の鉛筆で引っ掻きを5回繰り返し、傷跡が残らない回数が3回以上、好ましくは4回以上、より好ましくは5回となる層である。
(C)層の膜厚は、3μm以上20μm以下がより好ましく、4μm以上12μm以下が更に好ましい。3μm以上であることで十分な硬度が得られ、20μm以下であることで脆性の点で好ましい。
光及び/又は熱により重合する重合性化合物としては、直鎖又は分岐状の構造を持ち、かつ重合性基を2つ以上有する化合物(多官能モノマー)が好ましい。
光及び/又は熱により重合する重合性化合物が有する重合性基は、エチレン性不飽和二重結合基、エポキシ基、オキセタニル基、アルコキシシリル基が好ましい。
エチレン性不飽和二重結合基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性官能基が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基、−C(O)OCH=CH2が好ましく、(メタ)アクリロイル基が更に好ましい。
エチレン性不飽和二重結合基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。また、市販化合物としては、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220、TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
本発明の光学フィルムは、(A)環状ポリオレフィン系樹脂光を含む層、及び、(B)分子中に脂環構造を有する、光及び/又は熱で重合した樹脂を含む層、を有する。
本発明の光学フィルムは、更に、(C)ハードコート層を有し、(A)層、(B)層、(C)層をこの順に有することが好ましい。
(A)層と(B)層は他の層を介さずに直接積層されていることが好ましい。
(B)層と(C)層は他の層を介さずに直接積層されていることが好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、(C)層の上((B)層側と反対側の面上)に反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層などの屈折率を調整した層等)を設けてもよい。本発明の光学フィルムの具体的な好ましい層構成を以下に示す。
・(A)層/(B)層
・(A)層/(B)層/(C)層
・(A)層/(B)層/(C)層/低屈折率層
・(A)層/(B)層/(C)層/高屈折率層/低屈折率層
・(A)層/(B)層/(C)層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層としては特開2006−17870号、特開2006−30881号、特開2007−298974号、特開2011―136503号、特開2012―159692号等に記載のものを好適に用いることができるがこれに限定されるものではない。
本発明の光学フィルムの透湿度は、JIS Z−0208をもとに、40℃、相対湿度90%の条件において測定される。
本発明の光学フィルムの透湿度は、200g/m2/day未満であることが好ましく、100g/m2/day未満であることがより好ましく、50g/m2/day未満であることが更に好ましく、30g/m2/day未満であることが特に好ましく、10g/m2/day未満であることが更に特に好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法は、たとえば(A)環状ポリオレフィン系樹脂を含む層を溶融製膜で作製する方法と、溶液製膜で作製する方法が挙げられる。
(A)層の膜厚を20μm以下の薄膜とする場合は、支持体上に製膜することで搬送がしやすく、搬送中の折れやシワの発生を抑制できるため、良好な面状の光学フィルム及び偏光板を作製でき、かつ(A)層と(B)層の密着性に優れる光学フィルムを作製できるという観点から、溶液製膜が好ましい。
(A)環状ポリオレフィン系樹脂を含む層を溶液製膜で作製する場合の本発明の光学フィルムの製造方法は、下記(a)〜(f)の工程を有することが好ましい。
(a)支持体上に、環状ポリオレフィン系樹脂と第一の溶媒とを含む第一の溶液を塗布して第一塗布層を形成する工程
(b)前述の第一塗布層に含まれる第一の溶媒を乾燥させて(A)層を得る工程
(c)前述の(A)層上に、分子中に脂環構造を有する重合性化合物と第二の溶媒とを含む第二の溶液を塗布して第二塗布層を形成する工程
(d)前述の第二塗布層に含まれる第二の溶媒を乾燥させる工程
(e)前述の第二塗布層に含まれる分子中に脂環構造を有する重合性化合物を、光及び/又は熱により重合して分子中に脂環構造を有する樹脂を得て、(B)層を得る工程
(f)前述の(A)層と(B)層を含む積層体を、前述の支持体から剥離する工程
(B)層は、(d)工程で第二の溶媒を乾燥させ、(e)工程で第二塗布層に含まれる分子中に脂環構造を有する重合性化合物を、光及び/又は熱で重合させることで得られる。ただし、本発明の課題を解決できる範囲において、(B)層中に第二の溶媒が残っていてもよい。
(g)ハードコート層形成用溶液を、第二塗布層又は(B)層上に塗布して、ハードコート層を形成する工程
(a)工程は、支持体上に、環状ポリオレフィン系樹脂と第一の溶媒とを含む第一の溶液を塗布して第一塗布層を形成する工程である。
支持体は、ポリマーフィルムからなる支持体が好ましい。
ポリマーフィルムを構成するポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、セルローストリアセテートなどのセルロースエステルなどが挙げられる。
第一の溶媒は、環状ポリオレフィン系樹脂を溶解又は分散できる溶媒である。
第一の溶媒は一種類の溶媒のみでも、二種類以上の溶媒を含んでもよい。
第一の溶媒は、有機溶媒であることが好ましく、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、インデン、テトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素系溶剤、ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素系溶剤、ジクロロメタン、クロロホルムなどの塩素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メチル−1ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤、ジメチルカーボーネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルn−プロピルカーボネートなどのカーボネート系溶剤、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチルなどのエステル系溶剤、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶剤、アセトン、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノンなどケトン系溶剤等が挙げられ、これらのうち少なくとも一種を用いることが好ましい。
第一の溶液の塗布方法は、例えば以下の方法が挙げられる。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
(b)工程は、前述の第一塗布層に含まれる第一の溶媒を乾燥させて(A)層を得る工程である。
ただし、(b)工程を経ずに(c)工程を実施してもよい。
乾燥方法としては、加熱処理が好ましく、60〜200℃の雰囲気温度で加熱処理することが好ましく、80〜160℃で加熱処理することがより好ましい。
乾燥する時間としては、30秒〜10分の処理であることが好ましく、1分〜5分の処理であることがより好ましい。
(c)工程は、前述の(a)工程で設けられた第一塗布層上に、分子中に脂環構造を有する重合性化合物と第二の溶媒とを含む第二の溶液を塗布して第二塗布層を形成する工程である。
第二の溶媒は、分子中に脂環構造を有する重合性化合物を溶解又は分散できる溶媒である。
第二の溶媒は一種類の溶媒のみでも、二種類以上の溶媒を含んでもよい。
第二の溶媒は、有機溶媒であることが好ましく、分子中に脂環構造を有する重合性化合物の溶解性、塗工時の乾燥性、透光性粒子の分散性等を考慮し、各種溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、例えばジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−プチロラクトン、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の溶剤のうち、炭酸ジメチル、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセトンのうち少なくとも1種類を用いることが好ましく、炭酸ジメチル、酢酸メチルの何れかを用いることがより好ましく、酢酸メチルを用いることが特に好ましい。
第二の溶液は、(e)工程で光及び/又は熱による分子中に脂環構造を有する重合性化合物の重合を行うため、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤としてはアセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。重合開始剤の具体例、及び好ましい態様、市販品などは、特開2009−098658号公報の段落[0133]〜[0151]に記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
(d)工程は、前述の第二塗布層に含まれる第二の溶媒を乾燥させる工程である。
乾燥方法としては、加熱処理が好ましく、40〜160℃の雰囲気温度で加熱処理することが好ましく、50〜120℃で加熱処理することがより好ましい。
乾燥する時間としては、30秒〜10分の処理であることが好ましく、1分〜5分の処理であることがより好ましい。
(e)工程は、前述の(c)工程で設けられた第二塗布層に含まれる分子中に脂環構造を有する重合性化合物を、光及び/又は熱により重合して分子中に脂環構造を有する樹脂を得て、(B)層を得る工程である。
分子中に脂環構造を有する重合性化合物として、熱重合性の化合物を使用する場合、重合温度は、好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜130℃、最も好ましくは80〜110℃である。支持体が高温で劣化しやすい場合には低温が好ましい。熱重合に要する時間は、30秒〜60分が好ましく、更に好ましくは1分〜20分である。例えば、エポキシ基および/あるいはオキセタニル基を有する化合物と熱酸発生剤を重合開始剤として有する場合に熱重合を使用できる。
分子中に脂環構造を有する重合性化合物として、光重合性の化合物を使用する場合、電離放射線による照射により重合することができる。さらには照射の前、照射と同時又は照射後の熱処理とを組み合わせることにより、重合することが有効である。例えば、エチレン性不飽和二重結合基を有する化合物と光ラジカル開始剤を有する場合、あるいはエポキシ基および/あるいはオキセタニル基を有する化合物と光酸発生剤を重合開始剤として有する場合に光重合を使用できる。
以下にいくつかの製造工程のパターンを示すが、これらに限定されるものではない。
照射前→ 照射と同時 →照射後(−は熱処理を行っていないことを示す。)
(1)熱処理→電離放射線照射→ −
(2)熱処理→電離放射線照射→熱処理
(3) − →電離放射線照射→熱処理
その他、電離放射線照射時に同時に熱処理を行う工程も好ましい。
本発明においては、上記のとおり、電離放射線による照射と組み合わせて熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、支持体、塗布により形成された各層を含む構成層を損なうものでなければ特に制限はないが、好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜130℃、最も好ましくは80〜110℃である。
電離線放射線照射時の膜面温度については、特に制限はないが、ハンドリング性及び面内の性能の均一性から、一般に20〜200℃、好ましくは20〜150℃、最も好ましくは40〜120℃である。膜面温度がこの上限値以下であれば、バインダー中の低分子成分の流動性が上昇しすぎて面状が悪化したり、支持体が熱によりダメージを受けたりする問題が生じないので好ましい。またこの下限値以上であれば、重合反応の進行が十分で、塗膜の密着性が良好なものとなるので好ましい。
電離放射線照射時の工程内の酸素濃度は3体積%以下であることが好ましく、より好ましくは1%体積以下であり、更に好ましくは0.1体積%以下であり、最も好ましくは0.03体積%以下である。酸素濃度3体積%以下で電離放射線を照射する工程に対して、その直前又は直後に酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で維持する工程を設けることもできる。そうすることで、重合を十分に促進し、表面硬度、塗膜の密着性に優れた皮膜を形成することができる。
(f)工程は、前述の(A)層と(B)層を含む積層体を、前述の支持体から剥離する工程である。
(g)工程は、ハードコート層形成用溶液を、第二塗布層又は(B)層上に塗布して、ハードコート層を形成する工程である。
ハードコート層形成用溶液には、ハードコート層の説明で記載した重合性化合物と、この重合性化合物を溶解又は分散できる溶媒を含むことが好ましい。この溶媒としては第二の溶媒と同様の溶媒が挙げられる。
ハードコート層形成用溶液の塗布方法は第一の溶液の塗布方法と同様である。
ハードコート層は、ハードコート層形成用溶液中の重合性化合物を光及び/又は熱により重合して樹脂として形成することが好ましい。重合方法については第二の溶液に含まれる分子中に脂環構造を有する重合性化合物の重合と同様である。
(A)環状ポリオレフィン系樹脂を含む層を溶融製膜で作製する場合の本発明の光学フィルムの製造方法は、環状ポリオレフィン系樹脂を公知の溶融製膜法により製膜し、その後、前述の(c)、(d)、(e)、(f)工程を行うことが好ましい。
また、前述のと同様に、(g)工程を有することが好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子と前述の本発明の光学フィルムとを有する偏光板であって、偏光子、(A)層、(B)層をこの順に有する。
図1に本発明の偏光板の一例を示す。図1の偏光板は、偏光子、(A)層、(B)層、(C)層をこの順に有する。
本発明の光学フィルムは、偏光板用保護フィルムとして用いることができる。偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。本発明の光学フィルムをアルカリ処理し、偏光子に貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。またコロナ処理などの表面処理を行ってもよい。光学フィルムの偏光子との貼合面は(A)環状ポリオレフィン系樹脂を含有する層であることが好ましい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板に用いられる偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂をヨウ素又は二色性色素で染色することにより得られる偏光子が好ましい。
偏光子の膜厚は、薄膜化の観点から、10μm以下が好ましく、より好ましくは1〜10μm、更に好ましくは2〜6μmである。
偏光子の作製方法は、薄手偏光子の作製方法としては、例えば特許第4691205号公報などを参照することができる。
本発明の偏光板の製造方法は、前述の光学フィルムの製造方法の(f)工程で剥離された(A)層と(B)層を含む積層体(本発明の光学フィルム)の(A)層にコロナ処理等の表面処理を行い、別途作製した偏光子と(A)層を貼り合わせる工程を有することが好ましい。
本発明の画像表示装置は、本発明の光学フィルム又は本発明の偏光板を含む。
画像表示装置としては、液晶表示装置であることが好ましい。液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VA及びHANモードの液晶表示装置が好ましく、TN、OCB、IPS及びVAモードの液晶表示装置がより好ましい。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の光学フィルム又は偏光板は、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
((A)環状ポリオレフィン系樹脂含有層形成用組成物の調製)
<(A)層形成用組成物A1>
下記各成分を混合した後、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて24時間攪拌後、孔径20μmのポリプロピレン製デプスフィルターでろ過し、(A)層形成用組成物A1を得た。
・APEL6015T 9.8質量部
・UV−1 0.2質量部
・シクロヘキサン 90質量部
各成分を下記表1のように変更したこと以外は、(A)層形成用組成物A1と同様にして、(A)層形成用組成物A2〜A7を得た。
・APL6015T:下記一般式(A−IV)で表される環状ポリオレフィン樹脂(三井化学(株)製)
エチレンに由来する構造単位の含有率(X):19質量%
環状オレフィンに由来する構造単位の含有率(Y):81質量%
MFR:10g/10min
・APL8008T:下記一般式(A−IV)で表される環状ポリオレフィン樹脂(三井化学(株)製)
エチレンに由来する構造単位の含有率(X):38質量%
環状オレフィンに由来する構造単位の含有率(Y):62質量%
MFR:15g/10min
エチレンに由来する構造単位の含有率(X):23質量%
環状オレフィンに由来する構造単位の含有率(Y):77質量%
MFR:49g/10min
これは下記繰り返し単位を有する樹脂(繰り返し単位の比はモル比)であり、一般式(A−III)で表される構造単位を含むものである。
<(B)層形成用組成物B1>
下記各成分を混合した後、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて30分攪拌後、孔径5μmのポリプロピレン製デプスフィルターでろ過し、(B)層形成用組成物B1を得た。
〔(B)層形成用組成物B1の組成〕
・DCP 28.8質量部
・イルガキュア907 1.2質量部
・シクロヘキサン 49質量部
・トルエン 21質量部
(B)層形成用組成物B1で用いたDCPをA−DCPに変更したこと以外は、(B)層形成用組成物B1と同様にして、(B)層形成用組成物B2を得た。
(B)層形成用組成物B1で用いたDCPをADDAに変更したこと以外は、(B)層形成用組成物B1と同様にして、(B)層形成用組成物B3を得た。
これは、前述の例示化合物M−4に相当する化合物である。
これは、前述の例示化合物M−5に相当する化合物である。
これは、前述の例示化合物M−7に相当する化合物である。
下記の組成の各成分を混合した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、(C)ハードコート層用塗布液を調製した。
*2: イルガキュア184(BASF社製(旧チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製))
透光性支持体(セルローストリアセテート(TAC):富士フイルム(株)製 TD80UL)上に、前述の(A)層形成用組成物A1を特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度10m/分の条件で乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、30℃で1分乾燥させた。
続いて、(B)層上に、(C)ハードコート層形成用組成物を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布した。60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.5体積%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を照射し、厚み5μmの(C)ハードコート層を形成した。
続いて、(A)層、(B)層、(C)層の積層体をTAC支持体から剥離した。
この様にして、(A)層、(B)層、(C)層をこの順に有する光学フィルム1を作製した。
光学フィルム1の作製において、(A)層形成用組成物、(B)層形成用組成物及び(C)層形成用組成物の種類、各層の膜厚を表3に示すように変更した以外は同様にして光学フィルム2〜8を作製した。
光学フィルム1の作製において、(A)層形成用組成物の種類、膜厚を表3に示すように変更し、(B)層及び(C)層を設けない以外は同様にして光学フィルム9〜10を作製した。
(A)層形成用組成物A7を280℃で溶融し、膜厚が10μmとなるようにして、光学フィルム11を得た。
(A)層形成用組成物A7を280℃で溶融し、膜厚が10μmとなるようにした後、光学フィルム1と同様に(B)層と(C)層を形成し、光学フィルム12を作製した。
(A)層形成用組成物A7を280℃で溶融し、膜厚が10μmとなるようにし、一方の面に1500W・min/m2の条件でコロナ処理を施した。前述のコロナ処理を施した面に、(C)層形成用組成物を光学フィルム1と同様に形成して光学フィルム13を得た。
(A)層形成用組成物A7を280℃で溶融し、膜厚が40μmとなるように形成して光学フィルム14を得た。
(A)層形成用組成物A7を280℃で溶融し、膜厚が40μmとなるようにし、一方の面に1500W・min/m2の条件でコロナ処理を施した。前述のコロナ処理を施した面に、(C)層形成用組成物を光学フィルム1と同様に形成して光学フィルム15を得た。
作製した光学フィルム1〜8、12、13、15について下記の物性測定と評価を行った。
ハードコート層を有する各光学フィルムを25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS S 6006が規定する試験用鉛筆(3H)を用いて、ハードコート層表面に対して、JIS K 5400が規定する鉛筆硬度評価法に従い、500gのおもりを用いて各硬度の鉛筆で引っ掻きを5回繰り返し、傷跡が残らない回数をカウントした。傷跡が残らない回数が3回以上であれば許容できる。
ハードコート層の密着性評価を、下記の方法で行った。
JIS K 5600に準処した碁盤目試験を行った。具体的には光学フィルムのハードコート層表面上に1mm間隔で縦横に11本の切れ込みを入れて1mm角の碁盤目を100個作った。この上に透明感圧付着テープ(ニチバン株式会社製、セロテープ(登録商標)CT−15S)を貼り付け、素早く剥がし剥がれた箇所を目視観察により密着評価した。測定用サンプルは密着性評価前に温度25℃湿度60%の部屋で2時間以上調湿した後に評価した。
密着性 A:剥がれ箇所0〜10マス
密着性 B:剥がれ箇所11〜49マス
密着性 C:剥がれ箇所50マス〜99マス
密着性 D:剥がれ箇所100マス以上(テープを貼った部分全部)
上記評価のA又はBが許容水準である。
各光学フィルムを平滑な台上に2mの長さで広げて面状を目視にて評価し、以下の基準で判定した。
A:面内にシワ、たるみなどが視認できず許容できる
B:面内にわずかなシワ、たるみなどが視認されるが許容できる
C:面内に著しいシワ、たるみなどが視認され許容できない
(光学フィルムのコロナ処理)
上記で作製した光学フィルム1〜8の(A)層の(B)層及び(C)層が形成されていない面に、1500W・min/m2の条件でコロナ放電照射を施した。光学フィルム12、13、15にも同様にコロナ処理を施した。
また、上記で作製した光学フィルム9〜11、14の(A)層の上面(支持体と反対側の面)に、同様のコロナ処理を施した。
・膜厚3μmの偏光子は、特許第4691205号公報の実施例1に従って作製した。
・膜厚20μmの偏光子は以下のように作製した。
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上のポリビニルアルコールからなる厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。
引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光フィルム(偏光子)を得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行ない、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
偏光板保護フィルムAとして、上記コロナ処理後の光学フィルム1〜8、12、13、15のコロナ処理を施した面((A)層)と偏光子をPVA系接着剤で貼り合わせた。
また、偏光板1、2、4〜14では、偏光子のもう一方の面に、偏光板保護フィルムBとして、光学フィルム9〜11、14を同様にコロナ処理したものをPVA系接着剤で貼り合わせた。その後熱乾燥して各偏光板試料を作製した。
各偏光板試料に用いた保護フィルムA、偏光子、保護フィルムBを下記表5に示す。
上記で作製した各偏光板試料について、波長410nmにおける直交透過率CTを、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて測定した。測定では、410nmで測定し、10回測定の平均値を用いた。
湿熱耐久性試験は偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた形態で次のように行った。ガラスの上に偏光板を貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を作製した。このとき、保護フィルムB又は偏光子がガラス側となるように貼り合わせた。このサンプルの保護フィルムA側を光源に向けてセットして、偏光板の直交透過率を測定した。
その後、60℃、相対湿度90%の環境下で1000時間保存した後について同様の手法で直交透過率を測定した。経時前後の直交透過率の変化を求め、これを偏光子耐久性として表5にその結果を記載した。
ここで、直交透過率の変化量とは下記式で算出されるものである。
直交透過率の変化量(%)=湿熱耐久性試験後の直交透過率(%)−湿熱耐久性試験前の直交透過率(%)
A:直交透過率の変化量が0.06%未満
B:直交透過率の変化量が0.06%以上、0.08%未満
C:直交透過率の変化量が0.08%以上、0.1%未満
D:直交透過率の変化量が0.1%以上
上記評価のA〜Cが許容水準である。
Claims (8)
- (A)環状ポリオレフィン系樹脂を含む層と、
(B)分子中に脂環構造を有する、光及び/又は熱で重合した樹脂を含む層と、
(C)ハードコート層と、
をこの順に有し、前記(C)層の膜厚が10μm以下である、光学フィルム。 - 前記(A)層の膜厚が20μm以下であり、かつ前記(B)層の膜厚が20μm以下である請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記分子中に脂環構造を有する、光及び/又は熱で重合した樹脂が、下記一般式(I)〜(V)のいずれかで表される基を有する重合性化合物を光及び/又は熱で重合した樹脂である請求項1又は2に記載の光学フィルム。
一般式(I)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜3の整数を表す。
一般式(II)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜2の整数を表す。
一般式(III)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜2の整数を表す。
一般式(IV)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表し、L’’は水素原子または二価以上の連結基を表す。
一般式(V)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。 - 前記環状ポリオレフィン系樹脂が下記一般式(A−II)又は(A−III)で表される環状オレフィンに由来する構造単位を有する重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
一般式(A−II)〜(A−III)中、mは0〜4の整数を表す。R3〜R6は各々独立に水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、X2〜X3、Y2〜Y3は各々独立に水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、置換基を有していても良いビニル基、(メタ)アクリロイル基、−(CH2)nCOOR11、−(CH2)nOCOR12、−(CH2)nNCO、−(CH2)nNO2、−(CH2)nCN、−(CH2)nCONR13R14、−(CH2)nNR13R14、−(CH2)nOZ、−(CH2)nW、又はX2とY2あるいはX3とY3から構成された(−CO)2O、(−CO)2NR15を示す。なお、R11,R12,R13,R14,R15は各々独立に水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR16 pD3-p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR16又は−OR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。 - 偏光子と請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムとを有する偏光板であって、
偏光子、(A)層、(B)層をこの順に有する偏光板。 - 前記偏光子の膜厚が10μm以下であり、偏光板全体の厚さが40μm以下である請求項5に記載の偏光板。
- 下記(a)〜(f)の工程を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
(a)支持体上に、環状ポリオレフィン系樹脂と第一の溶媒とを含む第一の溶液を塗布して第一塗布層を形成する工程
(b)前記第一塗布層に含まれる第一の溶媒を乾燥させて(A)層を得る工程
(c)前記(A)層上に、分子中に脂環構造を有する重合性化合物と第二の溶媒とを含む第二の溶液を塗布して第二塗布層を形成する工程
(d)前記第二塗布層に含まれる第二の溶媒を乾燥させる工程
(e)前記第二塗布層に含まれる分子中に脂環構造を有する重合性化合物を、光及び/又は熱により重合して分子中に脂環構造を有する樹脂を得て、(B)層を得る工程
(f)前記(A)層と(B)層を含む積層体を、前記支持体から剥離する工程 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム、又は請求項5若しくは6に記載の偏光板を含む画像表示装置。
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