本発明の実施の形態を説明する前に、まず概要を説明する。
ネットワーク上のウェブサーバが提供するウェブページは、URLにより一意に特定される。このURLは、ネットワーク上に存在する各種リソースの位置を段階的に特定するための階層構造になった文字列である。本実施の形態におけるURLは、「http://ホスト名/上位ディレクトリ名/・・・/下位ディレクトリ名/ファイル名」の形式であることとする。
本発明者は、URLの階層構造に着目して、複数のURL間の関連度合いを推定できると考えた。すなわち、URLではネットワーク上のウェブページの位置が段階的に特定されるため、互いに異なる第1のURLと第2のURLについて、第1のURLに対して第2のURLが前方一致する長さが長いほど、第1および第2のURLの関連度合いが高いと考えた。
本発明者の着想をさらに具体的に説明する。典型的なURLは「http://ホスト名/情報の上位カテゴリ名/情報の中位カテゴリ名/情報の下位カテゴリ名/情報ファイル名」となることが多い。したがって、第1のURLと、その第1のURLに対して情報の中位カテゴリ名までが前方一致する第2のURLとはある程度関連すると考えられる。さらに、情報の下位カテゴリ名までが前方一致するURLよりも第1のURLに対する関連性は低いと考えられる。さらにまた、情報の上位カテゴリ名までが前方一致するURLよりも第1のURLに対する関連性は高いと考えられる。
本実施の形態では、ウェブページに対してユーザが記述したコメントを管理し、ウェブページを閲覧するユーザに対してそのコメントを提供する装置を提案する。この装置は、上述した本発明者の着想に基づいて、ユーザが閲覧中のウェブページのURLと、コメントが設定されたウェブページのURLとが完全一致しない場合であっても、ユーザに有用であると想定されるコメントを提供する。
図1は、本発明の実施の形態である情報提供システムの構成を示す。情報提供システム100は、ウェブサーバ10で総称される第1のウェブサーバ10a、第2のウェブサーバ10b、第3のウェブサーバ10cと、ユーザ端末12で総称される第1のユーザ端末12a、第2のユーザ端末12b、第3のユーザ端末12cと、コメント管理装置14とを備える。これらの各装置は、LAN・WAN・インターネット等、公知の通信手段を含む通信網16を介して、適宜相互に接続される。
ウェブサーバ10は、ウェブページの取得を要求するデータ(以下、適宜「ページ取得要求」とも呼ぶ。)をユーザ端末12から受け付ける。このページ取得要求では特定のURLが指定され、ウェブサーバ10はそのURLで識別されるウェブページのデータをユーザ端末12に送信する。図1の第1のウェブサーバ10a、第2のウェブサーバ10b、第3のウェブサーバ10cは、同様のディレクトリ構成であり、複数のページ取得要求を水平負荷分散して処理する。
ユーザ端末12は、ユーザにより操作される一般的なPC端末である。ユーザ端末12にはウェブブラウザがインストールされており、ウェブサーバ10から取得したウェブページのデータをウェブブラウザ上に表示させる。ユーザはウェブブラウザ上に表示されたウェブページを閲覧することにより、必要な情報を収集する。
ウェブサーバ10における負荷の集中を回避するため、特定のウェブページについては、第1のユーザ端末12aは第1のウェブサーバ10aから取得するように規定されている。また、第2のユーザ端末12bは第2のウェブサーバ10bから、第3のユーザ端末12cは第3のウェブサーバ10cからそのウェブページを取得するように規定されている。したがって特定のウェブページを取得する際に、ユーザ端末12の各装置では、ホスト名のみが異なるURLがウェブブラウザに指定されて、同一のウェブページのデータが取得される。本実施の形態では、第1のユーザ端末12aのホスト名は「host01」、第2のユーザ端末12bのホスト名は「host02」、第3のユーザ端末12cのホスト名は「host03」とする。
コメント管理装置14は、ウェブサーバ10が提供するウェブページに対してユーザが記述したコメントを保持し、ウェブページを閲覧するユーザの要求に応じてコメントを提供する。コメント管理装置14は、ユーザが閲覧するウェブページのURL(以下、適宜「閲覧中URL」とも呼ぶ。)と、コメントが設定されたウェブページのURL(以下、適宜「登録済URL」とも呼ぶ。)とが異なる場合、閲覧中URLと登録済URLとの間の関連度合いを推定する。そして、ユーザが閲覧するウェブページと関連度合いが高いと推定されたコメントを優先的にユーザに提示する。
なお、本実施の形態では、コメント管理装置14もウェブサーバ機能を有することとする。後述するように、ユーザ端末12は、ウェブサーバ10に対するアクセスと同様に、ウェブブラウザを介してコメント管理装置14にアクセスする。
図2は、コメント管理装置14の機能構成を示すブロック図である。コメント管理装置14は、コメント記憶部20と、置換データ記憶部22と、取得要求受信部24と、優先度設定部26と、コメント表示部28と、登録画面表示部30と、登録要求受付部32とを有する。なお、ウェブサーバ機能は公知技術であるため、以下では特に説明しない。
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
コメント記憶部20は、ウェブサーバ10が提供するウェブページに対してユーザが記述したコメントのデータと、そのウェブページのURLとが対応づけられるコメント蓄積テーブルを記憶する記憶領域である。
図3は、コメント蓄積テーブルのデータ構造を示す。コメントID欄には、コメントを一意に識別するための識別情報が記録される。URL欄には、コメントの設定対象であるウェブページのURLが記録される。すなわち、このURL欄に記録されたURLが登録済URLとなる。タイトル欄には、コメントのタイトルが記録される。コメント本文欄には、コメントの内容そのものが記録される。出典・引用欄には、コメントの出典元や引用元等、コメント記述の際に参照されたウェブページのURLが記録される。コメントの設定対象であるウェブページのURLが記録されてもよい。評価値欄には、コメントを参照したユーザがそのコメントを良評価した回数が評価値として記録される。
追加コメント本文欄には、コメントに対する他のユーザからの追加コメントが記録される。一つのコメントに対する複数の追加コメントが識別可能に記録されてもよいのはもちろんである。以下、コメント蓄積テーブルに記録されたレコードを、適宜「コメントレコード」とも呼ぶ。なお、本実施の形態では、一つのウェブページに対して、言い換えれば、一つのURLに対してコメントレコードは一つ設定され、最初のコメントはコメント本文欄に、それ以外のコメントは追加コメント本文欄に記録される。図2に戻る。
置換データ記憶部22は、URLの少なくとも一部を構成する文字列であり、所定のデリミタ文字、本実施の形態では「/」で区切られた要素(以下、適宜「URL要素」とも呼ぶ。)について、置換元のURL要素と置換先のURL要素とが対応づけられる置換設定テーブルを記憶する記憶領域である。置換元および置換先のURL要素のそれぞれとして、1つのURL要素が記録されてもよく、複数種のURL要素が記録されてもよい。また、「/」を含まない1階層のURL要素が記録されてもよく、1以上の「/」を含む、例えば「A/B」の形式となる複数階層のURL要素が記録されてもよい。
図4は、置換設定テーブルのデータ構造を示す。置換元URL要素欄には、置換元のURL要素とすべき閲覧中URLのURL要素が記録される。置換先URL要素欄には、置換元のURL要素を置き換えるための置換先のURL要素が記録される。同図の置換レコード200、置換レコード202、置換レコード204は、閲覧中URLと登録済URLとの関連度合いが判定される際に、ホスト名「host01」と「host02」と「host03」とを同一視させるためのレコードである。置換レコード206は、閲覧中URLの「chizai」を登録済URLの「houmu/chizai」に変換するためのレコードである。例えば、組織変更等の影響によりウェブページのURLが変更された際に、その変更に対応するために設定される。図2に戻る。
取得要求受信部24は、ユーザが閲覧するウェブページに対して設定されたコメントの取得を要求するデータ(以下、適宜「コメント取得要求」とも呼ぶ。)をユーザ端末12から受け付ける。このコメント取得要求では、閲覧中URLが指定される。
なお、閲覧中URLに加えて、ユーザ端末12からウェブサーバ10に送信された各種情報を含むパラメータがコメント取得要求に含まれる場合、取得要求受信部24はそのパラメータ部分を除外して閲覧中URLを取得する。例えば、コメント取得要求における閲覧中URLとして、「URL?パラメータ」が設定されていた場合、取得要求受信部24はそのURLの部分のみを閲覧中URLとして取得する。このパラメータ除外処理は、取得要求受信部24に代わって、後述する優先度設定部26において実行されてもよい。
優先度設定部26は、コメント記憶部20のコメント蓄積テーブルを参照して、閲覧中URLと完全一致する登録済URLを有するコメントレコードを検索する。閲覧中URLと完全一致する登録済URLを有するコメントレコードが存在した場合、優先度設定部26は、コメントそのものを表示させるウェブページ(以下、適宜「コメントページ」とも呼ぶ。)を表示すべき旨と、閲覧中URLと完全一致する登録済URLを有するコメントレコードのIDとをコメント表示部28に送出する。
閲覧中URLと完全一致する登録済URLを有するコメントレコードが存在しない場合、優先度設定部26は、コメント蓄積テーブルに記録された各コメントレコードと閲覧中URLとの関連度合いを推定する。そして、閲覧中URLとの関連度合いが高いコメントレコードほど、表示の際に優先されるように、高い優先度を示す指標値(以下、適宜「表示優先度」とも呼ぶ。)を設定する。以下、コメントレコードに対する表示優先度の設定を具体的に説明する。
設定態様1.閲覧中URLとURL欄との比較
閲覧中URLがn個のURL要素を有する場合、優先度設定部26は、まずn−1個のURL要素の内容および順序が前方一致する登録済URLを検索する。以降、最後尾のURL要素を順次除外したn−2個、n−3個、・・・のURL要素の内容および順序が前方一致する登録済URLを検索する。優先度設定部26は、先の検索において特定された登録済URL、言い換えれば、閲覧中URLのURL要素と前方一致する長さが長い登録済URL、を有するコメントレコードほど高い表示優先度を設定する。
設定態様2.閲覧中URLと出典・引用欄との比較
優先度設定部26は、出典・引用欄のデータとして閲覧中URLが設定されたコメントレコードには高い表示優先度を設定する。この場合にも設定態様1と同様に、閲覧中URLとの一致度が高いURLが出典・引用欄に設定されたコメントレコードほど高い表示優先度を設定する。言い換えれば、閲覧中URLの少なくとも一部と前方一致するURLが出典・引用欄に設定されたコメントレコードについて、前方一致する長さが長いコメントレコードほど高い表示優先度を設定する。
設定態様3.閲覧中URLとコメント本文欄との比較
優先度設定部26は、コメント本文欄の内容に閲覧中URLが設定されたコメントレコードについて、その閲覧中URLの設定数が多いコメントレコードほど高い表示優先度を設定する。この場合にも設定態様1と同様に、閲覧中URLとの一致度が高いURLがコメント本文欄に多く設定されたコメントレコードほど高い表示優先度を設定する。すなわち、コメント本文欄の内容に閲覧中URLの一部が設定されたコメントレコードについて、そのURLの一致部分の設定数が多いコメントレコードほど高い表示優先度を設定する。
具体例を説明する。あるコメントレコードのコメント本文欄に
http://www.x.com/company/training.html
http://www.x.com/company/internal.html
http://www.x.com/company/genten.html
http://www.x.com/company/history.html
の4つのURLが含まれていたとする。このコメントレコードと、閲覧中URLの
http://www.x.com/company/aiueo.html
とが比較された場合、このコメントレコードのコメント本文欄には「http://www.x.com/company/」の部分が4回設定されているため、高い表示優先度が設定されることになる。
優先度設定部26は、設定態様1〜3において各コメントレコードに設定した表示優先度を合算する。各設定態様において設定される表示優先度の大きさは、典型的には、設定態様1>設定態様2>設定態様3であるため、設定態様1で高い表示優先度が設定されたコメントレコードほど最終的な表示優先度も大きくなりやすい。優先度設定部26は、ユーザに対して有用であると想定されるコメントの候補を一覧表示するウェブページ(以下、適宜「候補一覧ページ」とも呼ぶ。)を表示すべき旨と、設定態様1〜3において何らかの表示優先度が設定されたコメントレコードのコメントIDおよび表示優先度とをコメント表示部28に送出する。その際、所定値以上の表示優先度が設定されたコメントレコードに限って送出してもよく、表示優先度の降順で整列させた場合に所定の順位以上となるコメントレコードに限って送出してもよい。
なお、優先度設定部26は、置換データ記憶部22の置換設定テーブルを参照して、コメント取得要求で指定された閲覧中URLのURL要素のうち、置換元URL要素として設定されたURL要素を特定する。そして、置換元URL要素として設定されたURL要素を置換先URL要素に置き換えたURL(以下、適宜「置換URL」とも呼ぶ。)についても閲覧中URLと同様に取り扱う。すなわち、上述のように、置換URLと完全一致する登録済URLを有するコメントレコードをまず検索する。置換URLと完全一致する登録済URLがない場合には、コメントレコードと置換URLとの関連度合いを推定し、各コメントレコードに表示優先度を設定する。
コメント表示部28は、優先度設定部26から、コメントページを表示すべき旨と、コメントIDとが通知された際、コメント記憶部20のコメント蓄積テーブルからコメントIDで特定されるコメントレコードを取得する。そして、コメントレコードのデータをコメントページのデータに設定してユーザ端末12に送信する。コメントページについては、図6に関連して後述する。
コメント表示部28は、優先度設定部26から、候補一覧ページを表示すべき旨と、1以上のコメントIDと、各コメントIDに対する表示優先度とが通知された際、コメント記憶部20のコメント蓄積テーブルから各コメントIDで特定されるコメントレコードを取得する。そして、各コメントレコードについて、表示優先度が高く設定されたコメントレコードほどユーザから視認されやすい態様で表示されるよう、各コメントレコードのデータを候補一覧ページのデータに設定する。なお、表示優先度が同じコメントレコードについては、その評価値欄の評価値が高いものほどユーザから視認されやすい態様で表示されるよう設定する。
本実施の形態のコメント表示部28は、候補一覧ページにおいてユーザから視認されやすい態様で表示させるために、表示優先度が高いコメントレコードほど候補一覧ページの上位で表示されるよう設定する。変形例としては、表示優先度が高いコメントレコードほど大きな文字サイズで設定してもよく、ユーザの注意を喚起させるための所定のマークや色を付してもよい。候補一覧ページについては、図7に関連して後述する。
登録画面表示部30は、コメントが未登録のウェブページに対する新規のコメントを登録するウェブページ(以下、適宜「新規コメント登録ページ」とも呼ぶ。)のデータをユーザ端末12に送信する。新規コメント登録画面については、図9に関連して後述する。また、登録画面表示部30は、コメントが登録済のウェブページに対する追加のコメントを登録するウェブページ(以下、適宜「追加コメント登録ページ」とも呼ぶ。)のデータをユーザ端末12に送信する。
登録要求受付部32は、新規コメント登録ページに入力されたコメントのデータをユーザ端末12から取得して、コメント記憶部20のコメント蓄積テーブルに対する新規のコメントレコードとして記録する。また、登録要求受付部32は、追加コメント登録ページに入力されたコメントのデータをユーザ端末12から取得して、そのコメントを追加すべきコメントレコードにおける追加コメント本文欄のデータに記録する。なお、登録要求受付部32は、上述したパラメータ除外処理を実行する。したがって、コメントレコードのURL欄のURLからはユーザ個別のパラメータが除外されるため、一つのウェブページを識別するURLとして、複数のユーザ間で共通のURLが設定される。
以上の構成による動作を以下説明する。
図5は、ユーザ端末12の画面図である。同図は、ユーザ端末12が第1のウェブサーバ10aから取得したウェブページ(以下、適宜「閲覧ページ」とも呼ぶ。)302が表示されたウェブブラウザ300を示している。URL表示領域304には、閲覧ページ302のURLである閲覧中URLが表示されている。閲覧ページ302に対するコメントをユーザが参照・登録したいとき、ユーザはコメント参照・登録ボタン306を押下する。コメント参照・登録ボタン306が押下されると、ウェブブラウザ300は、閲覧中URLが指定されたコメント取得要求をコメント管理装置14に対して送信する。
図6は、ユーザ端末12の画面図である。同図は、閲覧中URLと完全一致する登録済URLが存在して、その登録済URLと対応づけられたコメントを表示するコメントページ310を示している。本図以降の画面図ではウェブブラウザ300を図示しないが、コメントページ310等のウェブページは図5と同様にウェブブラウザ300に表示される。ユーザはコメントページ310を参照することで、閲覧ページ302に対して他のユーザが提供したコメント、言い換えれば、他のユーザのナレッジを取得できる。
ユーザは、コメントページ310のコメント内容が役に立ったと考えた場合、評価ボタン312を押下する。評価ボタン312が押下されると、ウェブブラウザ300は、登録済URLと良評価とを対応づけたデータをコメント管理装置14に対して送信する。コメント表示部28は、その登録済URLと対応づけられたコメントの評価値を増加させる。
ユーザは、コメントページ310のコメント内容に追加コメントをする場合、追加コメント登録ボタン314を押下する。追加コメント登録ボタン314が押下されると、ウェブブラウザ300は、追加コメント登録ページの取得要求をコメント管理装置14に対して送信する。コメント表示部28はその取得要求を受け付けて、登録画面表示部30は図示しない追加コメント登録ページを表示させる。追加コメント登録ページに設定された追加コメントのデータは、登録済URLとともに、コメント管理装置14に送信される。登録要求受付部32は、その登録済URLと対応づけられたコメントレコードにその追加コメントのデータを追加する。なお、図6には図示しないが、コメントレコードに設定された追加コメントは、コメントページ310内に表示される。すなわち、コメント表示部28は、コメントレコードにおけるコメント本文欄のデータと追加コメント本文欄のデータとをコメントページ310に設定する。
ユーザは、他のコメントを参照したいとき、コメントページ310においてリンク316を押下する。リンク316が押下されると、後述する候補一覧ページが表示される。
図7は、ユーザ端末12の画面図である。同図は、閲覧中URLと完全一致する登録済URLが存在しなかった場合、もしくは、コメントページ310においてその他の候補が要求された場合に表示される候補一覧ページ320を示している。候補の1位には、閲覧中URLに対して合致範囲322で示す部分が一致する登録済URLが設定されたコメント、具体的には図3のコメントID「001」のコメントが表示されている。候補の2位には、閲覧中URLの置換URLに対して合致範囲322が一致する登録済URLが設定されたコメント、具体的には図3のコメントID「003」のコメントが表示されている。
ユーザは、合致範囲322やタイトル、本文の書き出しを確認して、コメントの詳細を確認する場合には、リンク324を押下する。リンク324が押下されると、そのコメントの登録済URLがコメント管理装置14に送信される。コメント表示部28は、その登録済URLに対応づけられたコメントのデータを取得してコメントページ310のデータとして設定し、コメントページ310のデータをユーザ端末12に送信する。これにより、ユーザ端末12において図6と同様のコメントページ310が表示される。
ユーザは、コメントを簡易に確認したい場合には、リンク326を押下する。リンク324が押下されると、そのコメントの登録済URLがコメント管理装置14に送信され、コメント表示部28が上述のように動作して登録済URLに対応づけられたコメントのデータがユーザ端末12に送信されて、コメントを簡易に確認するためのポップアップウィンドウ(以下、適宜「確認ウィンドウ」とも呼ぶ。)が表示される。
図8は、ユーザ端末12の画面図である。同図は、確認ウィンドウ330が候補一覧ページ320の前面に重畳して表示された状態を示している。ユーザは、確認ウィンドウ330によりコメントの内容を簡易に確認し、さらに詳細な情報が必要な場合には、リンク324を押下してコメントページ310を表示させる。確認ウィンドウ330の表示においては、ウェブブラウザ300全体における表示内容が変更されないため、ユーザは他のコメントとの比較が容易となる。例えば、一覧表示されたコメントから有益なコメントを絞り込む際の利便性を向上できる。図7に戻る。
ユーザは、新規のコメントを追加したい場合には、候補一覧ページにおいて新規コメント登録ボタン328を押下する。リンク324が押下されると、ウェブブラウザ300は、新規コメント登録ページの取得要求をコメント管理装置14に対して送信する。コメント表示部28はその取得要求を受け付けて、登録画面表示部30は新規コメント登録ページを表示させる。
図9は、ユーザ端末12の画面図である。同図は、新規コメント登録ページ340が表示された状態を示している。ユーザは、タイトル欄342にコメントのタイトルを、内容欄344にコメントの内容を入力し、出典・引用欄346にコメントの出典元や引用元を入力する。なお、出典・引用欄346には閲覧中URLがあらかじめ自動的に設定され、ユーザは適宜その内容を編集できる。ユーザは入力が完了すると登録確定ボタン348を押下する。登録確定ボタン348が押下されると、ウェブブラウザ300は新規コメントのデータをコメント管理装置14に送信し、登録要求受付部32は新規コメントのデータをコメント記憶部20に記録する。
図10は、本実施の形態におけるコメント管理装置14の動作を示すフローチャートである。同図は、コメント管理装置14においてコメント取得要求が受け付けられてから、コメントページを提供するまでの一連の処理を示している。
取得要求受信部24は、閲覧中URLが指定されたコメント参照要求をユーザ端末12から受け付ける(S10)。優先度設定部26は、コメント記憶部20のコメント蓄積テーブルにおいて閲覧中URLと完全一致する登録済URLを検索する。閲覧中URLと完全一致する登録済URLが存在するとき(S12のY)、コメント表示部28は、その登録済URLと対応づけられたコメントを取得して、そのコメントが設定されたコメントページ310を、ユーザに有用と推定されるコメントが設定された推定コメントページとしてユーザ端末12に表示させる(S14)。
閲覧中URLと完全一致する登録済URLが存在しないとき(S12のN)、優先度設定部26は、まず、閲覧中URLに対する登録済URLの一致度合いに応じて、各コメントに対して表示優先度を設定する(S16)。優先度設定部26は、次に、閲覧中URLに対する出典・引用欄のURLの一致度合いに応じて、各コメントに対して表示優先度を設定する(S18)。優先度設定部26は、次に、コメント本文欄に含まれる閲覧中URLの数に応じて、各コメントに対して表示優先度を設定する(S20)。優先度設定部26は、最後に、各コメントに対して設定した表示優先度を合算する。コメント表示部28は、表示優先度が高いコメントほど上位となるように、また表示優先度が同じコメントについては評価値が高いコメントが上位となるように、コメントの表示順序を決定する(S22)。そして、その表示順序でコメントを一覧表示する候補一覧ページ320をユーザ端末12に表示させる(S24)。候補一覧ページ320において特定のコメントが選択されると、選択されたコメントが設定されたコメントページ310を、選択コメントページとしてユーザ端末12に表示させる(S26)。
なお、フローチャートには記載しないが、S10の後に、優先度設定部26は、置換データ記憶部22を参照して閲覧中URLに対する1以上の置換URLを設定し、各置換URLについてもS12からS20の処理を実行する。
以上説明したコメント管理装置14によれば、リソースの位置が階層的に記載されるというURLの特徴に基づき、閲覧中URLと登録済URLとの関連度合いにしたがって、ウェブサイトを閲覧するユーザに対する有用なコメントが推定される。具体的には、閲覧中URLの先頭から複数のURL要素に対して前方一致する登録済URLが検索される。そして、その前方一致する長さが長い登録済URLが設定されたコメントほどユーザにとって有用性の高いコメントであると推定され、高い表示優先度が設定されて、ユーザにとって視認しやすい態様で表示される。これにより、閲覧中URLと登録済URLとが完全一致しない場合であっても、ウェブページを閲覧するユーザに有用と想定されるコメントを、有用性が高いものほど優先してユーザに提供できる。
またコメント管理装置14によれば、閲覧中URLとコメントの内容とも比較されて、有用性が推定される。具体的には、コメントの出典元や引用元が記述される領域に閲覧中URLもしくは閲覧中URLとの関連性があると想定されるURLが存在するほど、有用性の高いコメントであると推定される。また、コメント本文が記述される領域に閲覧中URLもしくは閲覧中URLとの関連性があると想定されるURLが多く存在するほど、有用性の高いコメントであると推定される。これにより、ウェブページを閲覧するユーザに対するコメントの有用性を精度よく推定できる。
さらにコメント管理装置14によれば、URLが異なっても実質的に同じウェブページがユーザに提供される場合、例えば負荷分散が設定された場合やURLが変更された場合に対応するために閲覧中URLに対する置換URLが設定される。そして、置換URLと登録済URLとの関連度合いにしたがって、ウェブサイトを閲覧するユーザに対する有用なコメントが推定される。これにより、URLの変更を伴う環境の変化が発生した場合であっても、ユーザに対して有用と想定されるコメントを提供しやすくなる。
さらにまたコメント管理装置14によれば、ユーザ端末12からウェブサーバ10に対してURLとともに送信されたパラメータは、有用性の判定の際には除外される。例えば、ユーザ端末12からウェブサーバ10にHTTP−GETリクエストがなされる際、そのURLとして「URL?パラメータ」の形式で送信される場合があり、ユーザ端末12からコメント管理装置14へのコメント取得要求におけるURLの指定も同様に「URL?パラメータ」の形式になることがある。パラメータはユーザごとに異なる場合が多いため、パラメータを含めた形式では、登録済URLとの関連度合いの判定が適切に行えないこともある。コメント管理装置14によれば、パラメータが除外され、複数のユーザ間で共通するURLに基づいて登録済URLとの関連度合いが判定されるため、ユーザに対して有用と想定されるコメントを提供しやすくなる。
さらにまたコメント管理装置14によれば、候補一覧ページ320において表示優先度が最も高いコメント以外のコメントも候補として表示される。これにより、あるウェブページを閲覧中のユーザが求めるコメントが別のウェブページに対応づけられていた場合でも、そのコメントをユーザに提供しやすくなる。例えば、第1のウェブページを閲覧しているユーザが第1のウェブページにコメントを作成する際、第1のウェブページ以上にそのコメントと適合する第2のウェブページが存在することがある。コメント管理装置14によれば、あるコメントがそのコメントに相応しい第2のウェブページと対応づけられていない場合でも、第2のウェブページを閲覧するユーザに対してそのコメントを提示しやすくなり、ユーザは自身にとって有用なコメントを取得しやすくなる。
また、候補一覧ページ320において関連度の高いURLに対応づけられた複数のコメントが並べて表示されることで、コメント間の差異をユーザが識別しやすくなる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下変形例を示す。
第1の変形例を説明する。コメント表示部28は、確認ウィンドウ330を候補一覧ページ320の前面に透過的に重ねて表示させてもよい。例えば、確認ウィンドウ330のCSS(Cascading Style Sheets)に透過度を指定することにより透過的に表示させてもよい。この変形例によれば、候補一覧ページ320と確認ウィンドウ330とを比較しやすくなり、ユーザの利便性が向上する。
第2の変形例を説明する。コメント表示部28は、コメントページ310および候補一覧ページ320をユーザが閲覧中のウェブページの前面に透過的に重ねて表示させてもよい。例えば、ユーザが閲覧中のウェブページをインラインフレームでバックグラウンドに表示させ、コメントページ310および候補一覧ページ320のCSSに透過度を指定してフォアグランドに表示させてもよい。また例えば、コメントページ310および候補一覧ページ320のデータをFLash(登録商標)コンテンツとしてアルファ・ブレンディングの設定を行うことにより透過的にフォアグランドに表示させてもよい。また、コメント表示部28は、コメントページ310および候補一覧ページ320を、ユーザが閲覧中のウェブページと並べて表示させてもよい。例えば、ユーザ端末12のウェブブラウザに表示されるウェブページをフレーム分割して、一方のフレームにはユーザが閲覧中であったウェブページを表示させ、他方のフレームにはコメントページ310または候補一覧ページ320を表示させてもよい。この変形例によれば、ユーザが閲覧中のウェブページの内容とコメントとを比較しやすくなり、ユーザの利便性が向上する。
第3の変形例を説明する。コメント管理装置14は、閲覧中URLと、そのユーザから良評価を得たコメントのIDと、そのコメントの良評価取得数とが対応づけられるユーザ評価テーブルを記憶するユーザ評価記憶部と、ユーザがコメントを良評価した際に、ユーザ評価テーブルにアクセスして、閲覧中URLと、良評価されたコメントのIDとで特定されるレコードの良評価取得数を増加させるコメント評価更新部とをさらに備えてもよい。優先度設定部26は、ユーザ評価テーブルを参照して、コメント取得要求で指定された閲覧中URLに対して高い良評価取得数を有するコメントほど高い表示優先度を設定してもよい。この変形例によれば、ユーザによるコメントの評価を、コメントの有用性の推定処理に反映でき、その精度を向上させることができる。なお、ユーザ評価テーブルに基づく表示優先度の設定は、閲覧中URLとコメントとの対応関係に対するユーザの評価を直接反映するものである。したがって、この変形例で設定される表示優先度は、閲覧中URLと登録済URLとの比較に基づき設定される表示優先度よりも大きく設定されてもよい。
第4の変形例を説明する。第3の変形例において、コメント管理装置14はユーザを識別するためのユーザIDを保持しておき、ユーザ評価記憶部においてはユーザIDごとに異なるユーザ評価テーブルを記憶してもよい。優先度設定部26は、コメント取得要求を送信したユーザごとに異なるユーザ評価テーブルを参照して、コメントの表示優先度を設定してもよい。別の態様としては、コメント管理装置14は複数のユーザをその属性情報に基づきグループ化しておき、ユーザ評価記憶部においてはユーザのグループごとに異なるユーザ評価テーブルを記憶してもよい。優先度設定部26は、コメント取得要求を送信したユーザが属するグループごとに異なるユーザ評価テーブルを参照して、コメントの表示優先度を設定してもよい。この変形例によれば、ユーザもしくはユーザのグループごとに異なると考えられるコメント評価の傾向を、コメントの有用性の推定処理に反映でき、その精度を向上させることができる。
第5の変形例を説明する。図3のコメント蓄積テーブルには、閲覧中URLが記録される閲覧中URL欄と、そのユーザが候補一覧ページ320からコメントレコードを選択してコメントページ310に表示させた回数が記録される選択回数欄とがさらに含まれてもよい。コメント表示部28は、候補一覧ページ320においてコメントレコードが選択された際、そのコメントレコードの閲覧中URL欄に対して、ユーザが閲覧中であったウェブページのURLを記録するとともに、選択回数欄の値を増加させる。優先度設定部26は、ある閲覧中URLでコメントレコードの表示優先度を決定する際、その閲覧中URLが閲覧中URL欄に記録されたコメントレコードほど高い優先度を設定し、さらに、その選択回数欄の値が大きいコメントレコードほど高い優先度を設定する。この変形例によれば、特定の閲覧ページ302から候補一覧ページ320を表示させたユーザによるコメント選択の実績を、コメントの有用性の推定処理に反映できる。
第6の変形例を説明する。実施の形態においては、閲覧中URLと完全一致する登録済URLが存在した場合、その登録済URLと対応づけられたコメントが設定された推定コメントページがユーザに提供された。本変形例においては、情報提供システム100は、コメント取得要求を受け付けた際、閲覧中URLと完全一致する登録済URLが存在するか否かにかかわらず、まず候補一覧ページ320を表示させる。なお典型的には、閲覧中URLと完全一致する登録済URLと対応づけられたコメントレコードには他のコメントレコードよりも高い表示優先度が設定されるため、そのコメントレコードは候補一覧ページ320の上位に表示されることになる。図11は、第6の変形例におけるコメント管理装置14の動作を示すフローチャートである。同図における各ステップの番号は、図10における各ステップの番号に対応する。本変形例では、実施の形態におけるS12およびS14の処理が実行されず、まず候補一覧ページ320が表示された後、ユーザの選択に応じた選択コメントページが表示される。
第7の変形例を説明する。本変形例においては、情報提供システム100は、コメント取得要求を受け付けた際、閲覧中URLと完全一致する登録済URLが存在するか否かにかかわらず、各コメントレコードの表示優先度を設定する。図12は、第7の変形例におけるコメント管理装置14の動作を示すフローチャートである。同図における各ステップの番号も、図10における各ステップの番号に対応する。本変形例では、各コメントレコードの表示優先度を設定した後、表示優先度が所定の閾値以上のコメントが存在する場合(S23のY)、表示優先度が所定の閾値以上のコメントが設定された推定コメントページを表示させる(S14)。この閾値は、閲覧中URLと完全一致する登録済URLのコメントレコードに対して設定される表示優先度以上の値であってもよく、システム開発者の経験や知見、情報提供システム100における実験等に基づいて決定されてもよい。また、表示優先度が所定の閾値以上のコメントが複数存在する場合には、それら複数のコメントのいずれについても推定コメントページに設定してもよく、また、表示優先度が最大のコメントのみを推定コメントページに設定してもよい。表示優先度が所定の閾値以上のコメントが存在しない場合(S23のN)、S24以降の処理を実行する。
第8の変形例を説明する。実施の形態においては、各コメントレコードの評価値は表示優先度が同じコメントの表示順序を調整するために使用された。変形例においては、優先度設定部26は、評価値が高いコメントレコードほど高い表示優先度を設定してもよい。
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
請求項に記載した「第1のID」、「第2のID」は、階層的な構造を有する識別情報であってもよく、ネットワーク上における情報ページの位置を段階的に特定する識別情報であってもよい。例えば、RFC2396等に規定されたURI(Uniform Resource Identifier)であってもよく、RFC1738等に規定されたURLであってもよい。また、「情報ページ」は、ウェブページのみならず、ユーザ間で共通して用いられるIDにより特定されるその他の電子文書であってもよい。「意味上または構成上ひとかたまりとして把握できる部分」とは、所定の区切りデータにより区切られた部分であってもよく、予め定められたデータ長で特定される範囲に含まれる部分であってもよい。