以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。下記の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。下記の実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、一眼レフカメラ100の模式的断面図である。一眼レフカメラ100は、レンズユニット200およびカメラボディ300を含む。なお、記載を簡潔にする目的で、下記の説明においては、カメラボディ300に装着されたレンズユニット200に対して物体側を、一眼レフカメラ100の前側または先側と記載する。また、レンズユニット200に対して物体から遠い側を、一眼レフカメラ100における後側または背面側と記載する。
レンズユニット200は、光軸Zに沿って配置された第一レンズ群210、第二レンズ群220、第三レンズ群230および第四レンズ群240を含む光学系を有する。第一レンズ群210、第二レンズ群220、第三レンズ群230および第四レンズ群240は、それぞれ個別のレンズ保持枠212、222、232、242に個別に保持される。
図示のレンズユニット200は、第一レンズ群210、第二レンズ群220、第三レンズ群230および第四レンズ群240が相互に接近した沈胴状態にある。これにより、レンズユニット200の光軸Z方向の長さが短縮されて携帯性は向上するが、光学装置としての機能は利用できない状態にある。
レンズユニット200は、固定筒201、操作環202、直進筒203、先筒204、カム筒205、案内筒206、第一移動枠207および第二移動枠209を含む鏡筒を有する。固定筒201は、後端にレンズ側マウント部208を有する。レンズ側マウント部208をカメラボディ300前面のボディ側マウント部360と結合させることにより、固定筒201は、カメラボディ300に対して結合される。
レンズ側マウント部208およびボディ側マウント部360の結合は解除できる。よって、カメラボディ300は、規格に適合するレンズ側マウント部208を有する他のレンズユニット200と組み合わせても使用できる。
操作環202は、固定筒201の外周面に配され、ユーザの操作により、光学系の光軸Zを回転軸として回転する。操作環202は、内面に形成されたカム溝、直溝等により、直進筒203およびカム筒205に係合する。直進筒203は、固定筒201に対して光軸Z方向に移動する。また、カム筒205は、操作環202と共に回転しつつ、直進筒203に連れ従って光軸Z方向に移動する。
なお、カム筒205の内側に位置する案内筒206は、固定筒201に結合されて固定筒201に対して移動しない。よって、カム筒205は、案内筒206に対しても光軸Z方向に移動する。
先筒204は、直進筒203およびカム筒205にそれぞれ係合して支持される。これにより、先筒204は、直進筒203およびカム筒205の固定筒201に対する移動に連れ従って光軸Z方向に移動する。
更に、先筒204は、回転することなく光軸Z方向に移動する直進筒203と、回転しつつ光軸Z方向に移動するカム筒205との間で駆動されて、直進筒203およびカム筒205に対しても移動する。先筒204は、第一レンズ群210を保持するレンズ保持枠212を先端に支持しているので、先筒204の移動に伴って第一レンズ群210も移動する。
第一移動枠207および第二移動枠209は、カム筒205に形成されたカム溝に係合するカムピン283、284をそれぞれ有して、カム筒205の回転に伴って固定筒201に対して光軸Z方向に個別に移動する。これにより、第一移動枠207は、第二レンズ群220を保持したレンズ保持枠222を光軸光方向移動させる。また、第二移動枠209は、第三レンズ群230および第四レンズ群240を保持するレンズ保持枠232、242を間接的または直接的に連結して、第三レンズ群230および第四レンズ群240を光軸Z方向移動させる。
更に、第三レンズ群230を保持するレンズ保持枠232は、第四レンズ群240を保持するレンズ保持枠242に固定された送りねじ組立体270により駆動されて、レンズ保持枠242に対して更に移動可能に支持される。送りねじ組立体270は、ステッピングモータ272、送りねじ274およびフレーム276を有する。
フレーム276は、ステッピングモータ272および送りねじ274を一体的に支持し、レンズ保持枠242に対して固定される。ステッピングモータ272は、送りねじ274を回転駆動する。送りねじ274は、ラック部材278を介してレンズ保持枠232と係合する。
これにより、レンズ保持枠232に保持された第三レンズ群230を、第四レンズ群240を保持したレンズ保持枠242に対して相対移動させることができる。レンズユニット200において第三レンズ群230が移動した場合、レンズユニット200の光学系の焦点位置が変化する。よって、カメラボディ300側からの信号に基づいてステッピングモータ272を電気的に制御することにより、レンズユニット200を合焦させることができる。
カメラボディ300は、ボディ側マウント部360の後方に配されたミラーユニット370を備える。ミラーユニット370の下方には合焦光学系380が配される。ミラーユニット370の上方にはフォーカシングスクリーン352が配される。
フォーカシングスクリーン352の更に上方にはペンタプリズム354が配され、ペンタプリズム354の後方にはファインダ光学系356が配される。ファインダ光学系356の後端は、ファインダ350としてカメラボディ300の背面に露出する。
ミラーユニット370の後方には、シャッタユニット310、ローパスフィルタ332、撮像素子330、基板320および表示部340が順次配される。液晶表示板等により形成される表示部340は、カメラボディ300の背面に表われる。基板320には、制御部322および画像処理部324等が実装される。
ミラーユニット370は、メインミラー371およびサブミラー374を含む。メインミラー371は、メインミラー回動軸373により軸支されたメインミラー保持部372に支持される。
サブミラー374は、サブミラー回動軸376により軸支されたサブミラー保持部375に支持される。サブミラー保持部375は、メインミラー保持部372に対して回動する。よって、メインミラー保持部372が回動した場合、サブミラー保持部375もメインミラー保持部372と共に変位する。
メインミラー保持部372の前端が降下した場合、メインミラー371は、レンズユニット200から入射した入射光束上に斜めに位置する。メインミラー保持部372が上昇した場合、メインミラー371は、入射光束を避けた位置に退避する。
メインミラー371が入射光束上に位置する場合、レンズユニット200を通じて入射した入射光束は、メインミラー371に反射されてフォーカシングスクリーン352に導かれる。フォーカシングスクリーン352は、レンズユニット200の光学系と共役な位置に配されて、レンズユニット200の光学系が形成した像を可視化する。
フォーカシングスクリーン352上の像は、ペンタプリズム354およびファインダ光学系356を通じてファインダ350から観察される。ここで、ペンタプリズム354を通じて像を観察することにより、ファインダ350からは正立正像を観察できる。
測光センサ390は、ファインダ光学系356の上方に配され、分岐されさた入射光束の一部を受光する。測光センサ390は、被写体輝度を検出して、制御部322に撮影条件の一部である露出条件を算出させる。
メインミラー371は、入射光束の一部を透過するハーフミラー領域を有する。サブミラー374は、ハーフミラー領域から入射した入射光束の一部を、合焦光学系380に向かって反射する。合焦光学系380は、入射した入射光束の一部を焦点検出センサ382に導く。これにより、制御部322は、レンズユニット200の光学系を合焦させる場合に移動するレンズの目標位置を決定する。
上記のようなレンズユニット200およびカメラボディ300を備える一眼レフカメラ100においてレリーズボタンが半押しされると、焦点検出センサ382および測光センサ390が有効になり、被写体像を適切な撮影条件で撮影できる状態になる。次いで、レリーズボタンが全押しされると、メインミラー371およびサブミラー374が退避位置に移動して、シャッタユニット310が開く。これにより、レンズユニット200から入射した入射光束は、ローパスフィルタ332を通過して、撮像素子330に入射する。
図2は、レンズユニット200の他の状態を示す部分的な断面図であり、光軸Zに対して図中上側に、広角側に変倍されたレンズユニット200の断面を示す。また、図2において、光軸Zに対して図中下側には、望遠側に変倍されたレンズユニット200の断面を示す。
なお、図2において、図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。ただし、図2は、光軸Zを含む断面である点で図1と共通するものの、図1とは異なる断面が示されており、図1と共通の要素であっても、図1とは異なる形状で現れている場合がある。
レンズユニット200において、直進筒203は、リード部280において操作環202と係合する。直進筒203は、固定筒201に対する回転が抑制されているので、操作環202が回転操作された場合、光軸Z方向に移動する駆動力を操作環202から受ける。
カム筒205は、それ自体の後端付近に配されたバヨネット爪286により、直進筒203の後端付近に係合する。バヨネット爪286は、直進筒203の内面に周方向に延在するバヨネット溝に係合するので、カム筒205は、光軸Zの周りに回転できる。しかしながら、直進筒203が光軸Z方向に移動した場合は、直進筒203に連れ従って、カム筒205も光軸方向に移動する。換言しれば、カム筒205と直進筒203とは、光軸Z方向に限って係合されている。
また、カム筒205は、それ自体の外周面に固定された連結ピン285を通じて、操作環202の内面に光軸Zと平行に設けられた溝に係合する。これにより、操作環202が回転操作された場合、カム筒205も回転する。
既に説明した通り、操作環202が回転操作された場合、直進筒203は光軸Z方向に移動し、カム筒205も直進筒203に連れ従って移動する。よって、操作環202が回転操作された場合、カム筒205は、光軸Zの周りに回転しつつ、光軸Z方向に移動する。
案内筒206は、カム筒205の内側に位置して、固定筒201に結合されて固定される。よって、操作環202が回転操作された場合、直進筒203およびカム筒205は、案内筒206に対しても移動することになる。案内筒206は、光軸Zの方向についてレンズユニット200の前端側に向かって延在するので、カム筒205を内面側から支持すると共に、直進筒203の後端に設けられたキー287と係合する直進溝288により、直進筒203の回転を抑制する。
先筒204は、先端に第一レンズ群210のレンズ保持枠212を支持する。また、先筒204は、駆動カムピン281等により直進筒203およびカム筒205に係合して双方から支持される。よって、直進筒203およびカム筒205が光軸Z方向に移動する場合は、先筒204も連れ従って光軸Z方向に移動する。
更に、操作環202が回転操作された場合、先筒204は、回転することなく光軸Z方向に移動する直進筒203と、回転しつつ光軸Z方向に移動するカム筒205との間で駆動されて、直進筒203およびカム筒205に対しても光軸Z方向に移動する。これにより、先筒204の先端に保持された第一レンズ群210は、固定筒201から前方に大きく繰り出される。
このように、操作環202が回転操作された場合、第一レンズ群210、第二レンズ群220、第三レンズ群230および第四レンズ群240が、固定筒201に対してそれぞれ個別に移動する。これにより、操作環202の回転量に応じて、レンズユニット200に形成された光学系の倍率が変化する。また、レンズユニット200の変倍の範囲を超えて操作環202が回転操作された場合、レンズユニット200は沈胴状態になる。
図3は、レンズユニット200の一部の分解斜視図である。図3には、固定筒201、案内筒206、操作環202、直進筒203およびカム筒205が示される。図1および図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
案内筒206は、径方向外側に向かって突出する複数の位置決め部295を有する。これにより、案内筒206は、固定筒201の内側において予め定められた位置に位置決めされ、固定筒201に対して固定される。案内筒206は、固定筒201に対して、例えばねじ止めで固定される。
案内筒206の外周面には、複数のリード溝294が配される。リード溝294は、カム筒205の内面に設けられたリード部と係合する。これにより、操作環202が回転操作され、カム筒205が固定筒201に対して回転しつつ光軸Z方向に移動する場合に、カム筒205の移動経路が案内される。
また、案内筒206の外周面には、光軸Z方向に延在する直進溝288が配される。直進溝288は、直進筒203の後端に設けられたキー287と係合して、直進筒203の光軸Z方向への移動を許容しつつ回転を規制する。
組み立てられたレンズユニット200において、案内筒206の外側にはカム筒205が配される。カム筒205は、それ自体の外周面の後端近傍に、径方向に突出する複数のバヨネット爪286を有する。バヨネット爪286は、直進筒203の後端近傍の内面に、周方向に配されたバヨネット溝と係合する。これにより、カム筒205は、直進筒203に対する回転を許容されつつ、光軸Z方向については、直進筒203と連結される。
カム筒205の外周面には、連結ピン285がねじ止めされる。連結ピン285は、カム筒205の径方向外側に向かって、カム筒205から突出する。
また、カム筒205の外周面には、一対の駆動カム溝291と、単一の耐衝撃カム溝299とを組み合わせたカム溝群が複数配される。それぞれのカム溝群において、一対の駆動カム溝291は、単一の耐衝撃カム溝299を挟んで配される。
組み立てられたレンズユニット200において、カム筒205の外側には直進筒203が配される。ただし、レンズユニット200において、カム筒205と直進筒203との間には、先筒204が配される。
直進筒203は、カム筒205のバヨネット爪286と係合するバヨネット溝を内面に有する。バヨネット溝は、直進筒203の内面において周方向に延在すると共に、一部が光軸Z方向に切り欠かれる。これにより、カム筒205の外側に直進筒203を装着した場合に、カム筒205のバヨネット爪286を、バヨネット溝の内部に光軸Z方向に嵌めることができる。
また、直進筒203は、光軸Z方向に設けられた直進溝297を有する。直進溝297は、先筒204の一部と係合して、先筒204の光軸Z廻りの回転を規制する。
更に、直進筒203は、外周面の後端近傍に、複数のリード部292を有する。リード部292は、直進筒203の径方向外側に向かって突出する。なお、前方に繰り出された場合、直進筒203の外周面前端側はレンズユニット200の外部に向かって露出する。よって、直進筒203の表面および前端は、溝、突起、切欠き等を設けずに平坦に仕上げられる。
操作環202は、レンズユニット200において最外周に取付られ、固定筒201に対して回転する。操作環202の内面には、螺旋状の複数のリード溝293が配される。操作環202がレンズユニット200に取り付けられた場合、リード溝293は、直進筒203のリード部292と係合する。
上記のような固定筒201、操作環202、直進筒203、カム筒205および案内筒206を備えたレンズユニット200においては、直進筒203のリード部292が、直進筒203の後端近傍に配置されている。また、リード溝293は、操作環202の内面前端まで延在している。よって、直進筒203を、その全長に近い長さまで繰り出すことができ、レンズユニット200の変倍率を大きくできる。
また、リード溝293に係合するリード部292が、直進筒203の周上に複数設けられているので、操作環202による直進筒203の位置決めが安定する。更に、直進筒203は、リード部292の位置から光軸Z方向に離間した最後端内面に設けられた複数のキー287(図2参照)において、固定筒201に固定された案内筒206の直進溝288に係合する。よって、直進筒203の光軸Zに対する傾きがぶれることが防止される。
更に、直進筒203の固定筒201に対する傾きが安定するので、直進筒203に支持された先筒204の光軸に対する傾きが変化することも抑制される。よって、直進筒203および先筒204により2段階に伸筒しても、レンズユニット200の光学性能が変化し難い。これにより、高い光学性能を安定して発揮する高倍率の変倍レンズユニットを提供できる。換言すれば、光学性能を維持しつつ、より変倍率の高いレンズユニット200を形成できる。
図4は、先筒204を単独で示す斜視図である。図1および図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
先筒204は、外周面の後端近傍に、3本の直進駒282を有する。3本の直進駒282は、先筒204の周方向について等間隔に配される。レンズユニット200において、直進駒282は、直進筒203の内面に形成された直進溝297に係合する。これにより、先筒204の、直進筒203に対する回転が規制される。直進筒203も、固定筒201に対する回転を規制されているので、先筒204は、固定筒201に対しても回転が規制されることになる。
また、先筒204は、内面の後端近傍に、それぞれ複数の駆動カムピン281および耐衝撃駒289を有する。3本の耐衝撃駒289は、先筒204の周方向について等間隔に配される。耐衝撃駒289の各々は、先筒204の径方向に対して平行に近い起立した周面を有する。また、耐衝撃駒289の各々における周面は、レンズユニットの光軸Zと直交する一対の平面を含む。
駆動カムピン281は2本一組で、各一対の駆動カムピン281が1本の耐衝撃駒289を挟んで配される。駆動カムピン281の各々の周面は、駆動カム溝291のカム面の傾斜に倣って、先筒204の径方向に対して一定の傾きを有する。これにより、先筒204は、直進筒203およびカム筒205から、周方向について均等に支持されると共に、均等に駆動力を伝えられる。これにより、先筒204は、光軸Z方向について、カム筒205に対して精度よく位置決めされると共に、駆動カム溝291から駆動力を伝達されて、光軸Z方向に駆動される。
図5は、カム筒205を単独で拡大して示す斜視図である。図3と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
カム筒205は、一対の駆動カム溝291と、1本の耐衝撃カム溝299とを一組として、3組のカム溝を有する。駆動カム溝291の一端は、カム筒205の光軸方向に端面につながる溝端開口部290をそれぞれ有する。レンズユニット200を組み立てる場合、先筒204の駆動カムピン281および耐衝撃駒289は、溝端開口部290を通じて、駆動カム溝291および耐衝撃カム溝299に挿入される。
なお、一対の駆動カム溝291と1本の耐衝撃カム溝299がなす一組のカム溝群において、一本の駆動カム溝291と耐衝撃カム溝299は、溝端開口部290を共用する。これにより、カム筒205の薄肉部の面積を減らし、カム筒205の強度を向上させることができる。
図6は、先筒204およびカム筒205を併せて示す側面図である。図5までと共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
レンズユニット200において、カム筒205は先筒204の内側に入り込む。これにより、先筒204の駆動カムピン281は、カム筒205の駆動カム溝291に係合する。また、先筒204の耐衝撃駒289は、カム筒205の耐衝撃カム溝299に係合する。
図7は、図6に示したカム筒205および先筒204の作用関係を模式的に示す展開図である。図示の状態では、先筒204の先端は、カム筒205よりも、長さL1まで前に出ている。このとき、先筒204の駆動カムピン281は、それぞれ、カム筒205の駆動カム溝291および耐衝撃カム溝299の比較的上部に係合している。また、先筒204の耐衝撃駒289も、耐衝撃カム溝299の比較的上部に位置している。
図8は、カム筒205および先筒204の作用関係を模式的に示す展開図である。図示の状態は、図7に示した状態から回転したカム筒205が、図中で上方に相対移動する。これにより、先筒204の駆動カムピン281は、カム筒205の駆動カム溝291内を図中下方に移動する。
既に説明した通り、レンズユニット200において、先筒204は、直進駒282により光軸Z周りの回転を規制されている。よって、駆動カムピン281が駆動カム溝291内を移動すると、光軸Zと平行な方向に駆動される。これにより、図示の例では、先筒204が長さL2まで前方に繰り出され、レンズユニット200の光学系の倍率が変化する。なお、駆動カムピン281の相対的な移動に伴って、耐衝撃駒289も、耐衝撃カム溝299内を、図中下方に移動している。
図9は、カム筒205におけるプロファイルを示す模式的展開図である。図9には、一対の駆動カム溝291と単一の耐衝撃カム溝299とを含む一組のカム溝群が示される。
図中左側に位置する駆動カム溝291の一方と、耐衝撃カム溝299とは、レンズユニット200の光軸Z方向に離間し、且つ、カム筒205の周方向については同じ位置に配される。また、これらの駆動カム溝291および耐衝撃カム溝299は、カム筒205先端に形成された開口部290を共用する。これにより、カム筒205の周方向について限られた領域に複数のカム溝を配することができる。
図中右側に位置する他方の駆動カム溝291は、上記一方の駆動カム溝291に対して、レンズユニット200の光軸Z方向にも、光軸Z周りの周方向にも位置がずれている。しかしながら、これら一対の駆動カム溝291は、互いに同じプロファイルを有する。よって、一対の駆動カム溝291は、協働して先筒204を駆動できると共に、精度よく位置決めできる。
一対の駆動カム溝291の各々において、側壁を形成する一対のカム面は、レンズユニット200の径方向について外側に行くにつれて間隔が広くなる傾斜を有する。このような傾斜は、カム筒205を成形する場合に金型を抜きやすくすることを考慮して形成される。
駆動カム溝291において、上記のように傾斜したカム面が、カム筒205の回転軸と一致する光軸Zに直交する直線に対してなす角度は、駆動カム溝291の全長にわたって変化しない。そこで、駆動カム溝291に係合する駆動カムピン281の側面に形成されるフォロワ面も、上記カム面の傾斜と相補的な傾斜を有して円錐台状の形状を有する。これにより、駆動カムピン281の各々は、対応する駆動カム溝291に対して常時、線状に接触する。
駆動カム溝291の各々において、駆動カム溝291の上端に駆動カムピン281が位置する場合、先筒204は最も後退した位置にある。このとき、レンズユニット200は沈胴状態になる。
駆動カム溝291内を駆動カムピン281が相対的に図中下方に移動すると、先筒204は光軸Z方向に前進し、やがて、レンズユニット200の倍率が最も低い広角端に到達する。この状態から駆動カムピン281が更に図中下方に移動すると、先筒204は更に前進し、レンズユニット200の倍率が徐々に上昇する。換言すれば、駆動カム溝291における駆動カムピン281が、沈胴位置から広角端までの間に位置する場合、レンズユニット200は所期の光学特性を発揮できない。
続いて、駆動カムピン281が図中下方に移動すると先筒204は更に前進し、やがて、最も前進した望遠端に到達する。これにより、レンズユニット200の倍率は最も高くなる。
なお、駆動カム溝291の各々において、望遠端よりも先に形成された部分は、駆動カム溝291を開口部290に連通させる目的で形成されている。よって、駆動カムピン281が望遠端に到達すると、駆動カムピン281が望遠端よりも先まで移動することを防止する目的で、操作環202の回転等が規制される。
上記のように、レンズユニット200は、駆動カム溝291における広角端と望遠端との間に形成される変倍区間を駆動カムピン281が移動する場合に、一眼レフカメラ100による撮影に寄与する光学的性能を発揮する。駆動カム溝291における駆動カムピン281の広角端から沈胴位置までの移動は、レンズユニット200を沈胴させる目的で先筒204を後退させるが、レンズユニット200の光学的特性には関係がない。
また、駆動カム溝291において駆動カムピン281を光学的に有意に移動させる変倍区間の両端には、それぞれ、微動区間が設けられる。微動区間において、駆動カム溝291の延在方向が、レンズユニット200の光軸Zと直交する平面X−Yに対してなす傾斜角度は、他の区間に比較して相対的に小さい。このため、レンズユニット200の操作環202に対する同じ回転量に対して、先筒204の移動量が少なくなる。
なお、望遠端側の微動区間は、先筒204に対して光軸Z方向の負荷がかかった場合に、光軸Z方向に移動する駆動カムピン281によりカム筒205が回されてしまうことを防止する目的で設けられる。これにより、先筒204を望遠端まで繰り出した状態でレンズユニット200の先端を重力方向上方に向けた場合に、レンズユニット200が自重で縮筒または伸筒してしまうことが防止される。
先筒204において、駆動カムピン281と耐衝撃駒289との相対位置は固定されている。よって、カム筒205において、耐衝撃カム溝299の全体的なプロファイルは、駆動カム溝291のプロファイルと平行になる。よって、耐衝撃カム溝299においても、沈胴位置、変倍区間、微動区間等に対応した区間が形成される。ただし、耐衝撃カム溝299の溝幅およびカム面の傾きは一定ではない。
なお、既に説明した通り、駆動カムピン281は、駆動カム溝291に対して常時接触して先筒204を位置決めしている。しかしながら、耐衝撃駒289は、レンズユニット200が外部から衝撃を受けていない場合に、最小限のクリアランスをもって耐衝撃カム溝299から離間していてもよい。これにより、耐衝撃駒289および耐衝撃カム溝299の摺動抵抗の発生を回避できる。
また、耐衝撃カム溝299の内部でカム面から離間する耐衝撃駒289は、耐衝撃カム溝299の後側のカム面に接近していることが好ましい。これにより、レンズユニット200の先端側から衝撃を受けた場合に、耐衝撃駒289と耐衝撃カム溝299とが即座に当接する。
図10は、耐衝撃カム溝299の形状を説明する模式図である。耐衝撃カム溝299は、駆動カム溝291と平行に延在する。しかしながら、耐衝撃カム溝299は、断面形状および溝幅が異なる部分を含む。図10には、符号A〜Fにより示す各位置において、耐衝撃カム溝299の延在方向に直交する断面の形状を個別に示す。
なお、符号Aは、駆動カムピン281が沈胴位置に位置する場合に、耐衝撃駒289が存在する位置の直近の位置を示す。符号Bは、駆動カムピン281が広角端側の微動区間に位置する場合に、耐衝撃駒289が存在する位置を示す。符号Cは、駆動カムピン281が、変倍区間の中程を通過する場合に、耐衝撃駒289が存在する位置を示す。
また、符号Dは、駆動カムピン281が望遠端側の微動区間に進入する直前の位置にある場合に、耐衝撃駒289が存在する位置を示す。符号Eは、駆動カムピン281が望遠端側の微動区間に位置する場合に、耐衝撃駒289が存在する位置を示す。符号Fは、駆動カムピン281が開口部290に位置する場合に、耐衝撃駒289が存在する位置を示す。
図10において、耐衝撃カム溝299の延在方向に直交する各断面において側壁をなすカム面の傾斜、即ち、光軸Zと直交する直線に対してカム面がなす角度に着目すると、耐衝撃カム溝299の延在方向の部位によってカム面の傾斜は異なる。図示の例では、図中に符号A、C、D、Fにより示す位置においては、カム面の傾斜による耐衝撃カム溝299の広がりが比較的大きく、例えば、一対のカム面が相互に60°の角度をなす。これに対して、符号BおよびEに示す位置においては、カム面の傾斜による耐衝撃カム溝299の広がりが相対的に小さく、例えば、一対のカム面が相互に16°の角度をなす。
更に、各々の断面において、一対のカム面の一方に着目すると、耐衝撃カム溝299のカム面の傾きが大きい位置においては、カム筒205の表面とカム面とが、両者の境界でなす角度は、相対的に大きくなる。図示の例では、符号A、C、D、Fで示す位置において、カム筒205の表面とカム面とがなす角度は約120°になる。
これに対して、耐衝撃カム溝299のカム面が切り立った位置においては、カム筒205の表面とカム面とが境界でなす角度が相対的に小さくなる。図示の例では、符号B、Eで示す位置において、カム筒205の表面とカム面とがなす角度は98°になる。
なお、符号A、C、D、Fにより示す位置の断面において、耐衝撃カム溝299のカム面の傾斜は、駆動カム溝291のカム面の傾斜に略等しい。このように相対的に大きな傾斜を有するカム面は、耐衝撃カム溝299が、レンズユニット200の光軸Zと直交する平面X−Yに対して大きな角度をなして延在する場合に金型成形がしやすい。
これに対して、符号B、Eにより示す位置の断面におけるカム面の傾斜は切り立っており、耐衝撃カム溝299の底面に対して直角に近い角度をなす。このような耐衝撃カム溝299は、耐衝撃カム溝299の延在方向が、レンズユニット200の光軸Zと直交する平面X−Yに対して平行に近い場合に金型成形しやすい。
図10において、一対のカム面の間隔により規定される耐衝撃カム溝299の溝幅に着目すると、図中に符号B、Eで示す位置における耐衝撃カム溝299の溝幅は相対的に他の位置よりも狭い。また、図中に符号A、C、Fで示す位置における耐衝撃カム溝299の溝幅は、符号Dで示す位置の溝幅よりも更に広い。これにより、円形ではない耐衝撃駒289の移動を円滑にすると共に、カム筒205の強度および剛性を保っている。
このように、耐衝撃カム溝299は、その長手方向の部位に応じて、カム面の傾きも溝幅も変化する。そのような耐衝撃カム溝299のうち、駆動カム溝291のカム面の広がりが小さい部分に、耐衝撃駒289が当接する当接区間が形成される。
図示の例では、駆動カム溝291の変倍区間の両端に対応する位置で、耐衝撃カム溝299に一対の当接区間が設けられる。いずれの当接区間においても、図10に符号B、Eの位置について示したしたように、耐衝撃カム溝299の溝幅は狭く、カム筒205の表面に対してカム面が切り立っている。
レンズユニット200において、上記のような耐衝撃カム溝299は、図中に点線で示すように、先筒204に設けられた耐衝撃駒289と係合する。耐衝撃カム溝299に対する耐衝撃駒289の作用については、耐衝撃駒289の形状を説明した後に、改めて図10を参照して説明する。
図11は、耐衝撃カム溝299に係合する耐衝撃駒289の斜視図である。耐衝撃駒289において、光軸Zの方向について後側(図中では右手前側)の面は、当接面400をなす。当接面400は、レンズユニット200において先筒204の先端に光軸Z方向から衝撃が加わった場合に、耐衝撃カム溝299のカム面に当接する。
また、図11は、耐衝撃駒289におけるひとつの断面を示す図でもある。図11に示す平面Qは、レンズユニット200における光軸Zと平行であり、且つ、先筒204の内周面に対して略平行である。なお、ここで「略平行」とは、先筒204の内周面が円筒面なので、平面Qと幾何学的に平行とはいえないことを意味している。
図12は、図11に示した、平面Qにより切った断面における耐衝撃駒289形状を示す。耐衝撃駒289の断面形状は、全体として図中縦長で、図中の上半分と下半分とがそれぞれ個別に台形をなす。
耐衝撃駒289の断面において、図中右側の側面が、当接領域401、402を含む当接面400に相当する。当接面400のうち、図中下側に位置する当接領域401を含む面P1は、光軸Zに対して直交する平面X−Yに対して角度αをなして傾斜する。
また、当接面400のうち、図中上側に位置する当接領域402を含む面P2は、光軸Zに対して直交する平面X−Yに対して角度βをなして傾斜する。このように、耐衝撃駒289の当接面400は、互いに異なる向きで形成された複数の当接領域401、402を含む。
図13は、耐衝撃駒289における他の断面を示す図である。図13に示す平面Rは、上記した平面Qに対して直交し、且つ、耐衝撃駒289の側周面におけるひとつの当接領域401とも直交する。また、平面Rは、先筒204の内周面に対しても略直交する。ここで「略直交」とは、先筒204の内周面が円筒面なので、平面Rと幾何学的に直角とはいえないことを意味している。
図14は、上記平面Rにより切った耐衝撃駒289のひとつの当接領域401の断面形状を示す。図示のように、当接領域401は、先筒204の内周面に対して、直角よりも角度δ大きな傾きを有する。
このように、当接領域401は、図12に示した傾きと、図14に示した傾きとを併せ持つ。このような当接領域401の傾きは、当接領域401が当接する対象である耐衝撃カム溝299のカム面の傾きと等しい。
より具体的には、先筒204がレンズユニット200に組み込まれた場合に、当接領域401における耐衝撃駒289の傾きは、図10において、符号Bにより示した位置、即ち、耐衝撃カム溝299の広角端側の当接区間におけるカム面の傾きと等しい。これにより、耐衝撃駒289の当接領域401は、耐衝撃カム溝299のカム面の当接区間に対して面で当接して、当接の衝撃を分散させることができる。
同様に、耐衝撃駒289における他の当接領域402も、耐衝撃カム溝299の望遠端側の当接区間におけるカム面の傾きと同じ傾きを有する。これにより、耐衝撃駒289の当接領域402も、耐衝撃カム溝299のカム面の当接区間に対して面で当接して、当接の衝撃を分散させることができる。
再び図10を参照して、耐衝撃駒289および耐衝撃カム溝299について説明する。上記のような形状を有する耐衝撃駒289は、レンズユニット200を組み立てる場合に、符号Fで示される位置の耐衝撃カム溝299と同じ断面形状を有する開口部290から、光軸Zの方向に耐衝撃カム溝299に挿入される。符号Fの位置では、耐衝撃カム溝299の溝幅が広いので、図中縦長の耐衝撃駒289を通過させることができる。
続いて、耐衝撃カム溝299は90°向きを変え、平面X−Yと平行に延在する。符号Eの位置で耐衝撃カム溝299の溝幅は狭くなるが、耐衝撃駒289の図中の横幅も狭いので、望遠端を越えて、耐衝撃駒289を変倍区間まで入れることができる。
耐衝撃カム溝299の変倍区間には、望遠端に隣接して当接区間が設けられる。当接区間において、耐衝撃カム溝299のカム面が延在する方向は、光軸Zに直交する平面X−Yに対して角度βをなす。一方、耐衝撃駒289における当接領域402は、既に説明した通り、平面X−Yに対して角度βの傾きをなす。
また、耐衝撃駒289の当接面400は、耐衝撃カム溝299において符号Eにより示す位置のカム面の傾斜と同じ傾斜を有する。よって、耐衝撃駒289が耐衝撃カム溝299の望遠端側の当接区間に位置する場合、カム面と当接領域402とは平行になる。
これにより、レンズユニット200において先筒204の先端に光軸Z方向から衝撃が加わった場合に、耐衝撃駒289は耐衝撃カム溝299と面で当接する。また、耐衝撃駒289と耐衝撃カム溝299との当接面は、符号Eで示した位置の断面形状から判るように、衝撃が加わる光軸Z方向に対して直角に近い角度をなす。これらの作用により、耐衝撃駒289と耐衝撃カム溝299は、大きな衝撃に耐えて、先筒204とカム筒205との係合関係を維持できる。
続いて、耐衝撃駒289が望遠端側の当接区間を過ぎると、耐衝撃カム溝299の延在方向は、平面X−Yに対して大きな角度をなす。しかしながら、符号Dおよび符号Cで示す位置の断面形状から判るように、耐衝撃カム溝299の溝幅が広くなるので、耐衝撃駒289は、耐衝撃カム溝299の内部を円滑に移動できる。
図中で符号Cにより示すように、耐衝撃カム溝299が平面X−Yに対して大きな傾きをもつ区間に耐衝撃駒289が位置する場合、先筒204に光軸Z方向に受けた衝撃は、駆動カムピン281から駆動カム溝291を通じてカム筒205に作用する。これにより、カム筒205は回転し、駆動カムピン281は駆動カム溝291の広角端に向かって移動する。
これらの作用により受けた衝撃が緩和され、駆動カムピン281および駆動カム溝291に損傷が生じることが防止される。よって、耐衝撃カム溝299において、一対の当接区間に挟まれた溝幅の広い区間においては、耐衝撃駒289が耐衝撃カム溝299に接触しなくてもよい。
また、上記のようなカム筒205の回転に伴い、耐衝撃カム溝299は、耐衝撃カム溝299における広角端側の当接区間に移動する。広角端側の当接区間において、耐衝撃カム溝299のカム面が延在する方向は、光軸Zに直交する平面X−Yに対して角度αをなす。一方、耐衝撃駒289における当接領域401は、既に説明した通り、平面X−Yに対して角度αをなす。
また、耐衝撃駒289の当接面400は、耐衝撃カム溝299において符号Bにより示す位置のカム面の傾斜と同じ傾斜を有する。よって、耐衝撃駒289が耐衝撃カム溝299の広角端側の当接区間に位置する場合、カム面と当接領域402とは平行になる。
これにより、レンズユニット200において先筒204の先端に光軸Z方向から衝撃が加わった場合に、耐衝撃駒289は耐衝撃カム溝299と面どうしで当接する。また、耐衝撃駒289と耐衝撃カム溝299との当接面は、符号Eで示した位置の断面形状から判るように、衝撃が加わる光軸Z方向に対して直角に近い角度をなす。これらの作用により、耐衝撃駒289と耐衝撃カム溝299とは、広角端の当接区間においても、大きな衝撃に耐えて、先筒204とカム筒205との係合関係を維持できる。
更に、一対の駆動カムピン281は、耐衝撃駒289を挟んで配される。また、レンズユニット200において、一対の駆動カム溝291は耐衝撃カム溝299を挟んで配される。これにより、耐衝撃駒289および耐衝撃カム溝299による緩衝機能は、一対の駆動カムピン281および一対の駆動カム溝291に対して概ね均等に作用する。
なお、上記の例では、先筒204が受けた衝撃により耐衝撃駒289が広角端側の当接区間に移動した場合について説明した。しかしながら、レンズユニット200が広角側に変倍されて、耐衝撃駒289が当初より広角側当接区間に位置していた場合も、耐衝撃駒289および耐衝撃カム溝299は、大きな衝撃を受け止めることができる。
カム筒205が更に回され、耐衝撃駒289が広角端側の当接区間を過ぎると、耐衝撃カム溝299の延在方向は、平面X−Yに対して再び大きな角度をなす。しかしながら、符号Aで示す位置の断面形状から判るように、沈胴位置に連通する耐衝撃カム溝299の溝幅は広いので、耐衝撃駒289は、耐衝撃カム溝299の内部を円滑に移動できる。
上記のような耐衝撃カム溝299および耐衝撃駒289を有するレンズユニット200においては、光軸Z方向の成分を含む衝撃が先筒204に加わった場合に、当該衝撃がレンズユニット200の前方に向かうものであっても、レンズユニット200の後方に向かうものであっても、一対の当接区間296のいずれかが耐衝撃駒289と当接して衝撃を受け止める。
なお、上記の例では、耐衝撃駒289および耐衝撃カム溝299は、レンズユニット200の先端側から、レンズユニット200の光軸Z方向に衝撃を受けた場合に、当接して衝撃を受け止める構造を有する。更に、レンズユニット200において、耐衝撃駒289の、光軸Z方向前側にも当接面400を設け、レンズユニット200の後端側から先端側に向かう衝撃を耐衝撃カム溝299で受け止める構造を加えてもよい。
また、上記の例では、駆動カム溝291における駆動区間の両端に当接区間を配したが、他の区間に当接区間を設けてもよい。更に、より多くの当接区間を設けてもよい。このような形態とした場合は、耐衝撃駒289の形状も、設けた当接区間の数および形状に応じて変更される。
このように、レンズユニット200においては、駆動カム溝291および駆動カムピン281が、先筒204の位置決め精度を担保すると共に、耐衝撃駒289および耐衝撃カム溝299が衝撃を受け止める。よって、高い耐衝撃性と、高精度な位置決めおよび円滑な駆動とを両立させることができる。
ここまで、一眼レフカメラ100を例にあげて説明したが、ノンレフレックスカメラのレンズユニット200においても上記の構造は適用できる。更に、レンズユニット200とカメラボディ300が一体に形成されたカメラの他、カムにより駆動される光学部材を備えてユーザに携帯される望遠鏡、測量器、屋外用顕微鏡等においても上記の構造を適用できる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。