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JP5966387B2 - リチウム二次電池,その製造方法,およびその正極の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池,その製造方法,およびその正極の製造方法 Download PDF

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JP5966387B2 JP2012014949A JP2012014949A JP5966387B2 JP 5966387 B2 JP5966387 B2 JP 5966387B2 JP 2012014949 A JP2012014949 A JP 2012014949A JP 2012014949 A JP2012014949 A JP 2012014949A JP 5966387 B2 JP5966387 B2 JP 5966387B2
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Description

本発明は,電流遮断機構(CID,Current Interrupt Device)を備えたリチウム二次電池,その製造方法,およびその正極の製造方法に関する。さらに詳細には,過充電時にCIDを確実に動作させるためのガス発生剤を含んだリチウム二次電池,その製造方法,および正極の製造方法に関するものである。なお,本発明でいうリチウム二次電池には,リチウムイオン二次電池を含むものとする。
従来から,リチウム二次電池では,内圧上昇により電流経路を遮断するCIDを備えることが行われている。過電流時や過充電時などといった異常時に強制的に電流を停止させるためである。CIDを備える電池には,過充電時等にガスを発生するガス発生剤を電池内に含有させているものがある。ガスの発生により内圧を上昇させることで,CIDを確実に作動させるためである。
このようなリチウム二次電池の従来例として,例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1の電池では,ガス発生剤として炭酸リチウムを用いている。さらに,正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を用いている。そして,ガス発生剤である炭酸リチウムを,導電材とともに正極合剤層の中に配合している。これにより,導電材の表面に炭酸リチウムが保持された複合粒子が,正極活物質とともに正極合剤層中に存在している状態としている。このようにした電池では,過充電時に正極電位の上昇により炭酸リチウムが分解して炭酸ガスが発生する。このため内圧が上昇するのでCIDが作動して電流経路が遮断される。こうして過充電のさらなる進行が防止される。
特開2010−171020号公報
しかしながら前記した従来の技術では,過充電時のガスの発生量が実際にはそれほど多くなかった。特に,電池を長期間使用した後に過充電状態となった場合にその傾向があった。
その原因は,リチウム遷移金属複合酸化物が正極活物質としては低めの電子伝導性しか持たないことにあると考えられる。さらに,炭酸リチウムの存在により不可避的に,正極活物質と導電材との接触箇所が,炭酸リチウムを配合していない場合と比較して少なくなっている。このため,正極活物質と導電材と炭酸リチウムとの有効3相界面が少なく,ガスの発生箇所も少ないのである。特に,耐久使用を経た電池では,正極活物質と導電材との間の接触が新品時と比較して弱まっている。電池の使用過程での膨張収縮の反復のためである。このため余計にガスの発生量が少ないのである。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,リチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として使用しつつ,過充電時には確実に内圧が上昇してCIDが作動するリチウム二次電池,その製造方法,およびその正極の製造方法を提供することにある
この課題の解決を目的としてなされた本発明のリチウム二次電池は,正極と負極と電解質と過充電添加剤とを電池ケースに収納してなり,正極と負極との少なくとも一方の電流経路に内圧上昇により作動する電流遮断機構(CID)を備えたものであって,正極の活物質層が活物質粒子と導電材粒子とを含んでおり,活物質粒子が,組成式LiZMn1-X-YNiXCoY2(0.3≦X≦0.4,0.3≦Y≦0.4,1.03≦Z≦1.19)で表されるNCM複合酸化物で構成されており,活物質粒子の表面における前記Zの値が1.10より大きく1.19以下の範囲内であり,活物質粒子のバルクにおける前記Zの値が1.03以上1.10以下の範囲内であり,導電材粒子の1次粒子の粒径が活物質粒子のX線回折測定での(003)面ピークの幅による結晶粒径の2.5分の1以下のものである。
また,本発明に係るリチウム二次電池の製造方法は,ニッケル化合物,コバルト化合物,マンガン化合物,リチウム化合物を含み焼成により組成式LiZMn1-X-YNiXCoY2(0.3≦X≦0.4,0.3≦Y≦0.4,1.03≦Z≦1.10)で表されるNCM複合酸化物を生成する第1次焼成原料を焼成することにより,正極活物質粒子のバルク部分を作製する第1焼成工程と,ニッケル化合物,コバルト化合物,マンガン化合物,リチウム化合物を含み焼成により組成式LiZMn1-X-YNiXCoY2(0.3≦X≦0.4,0.3≦Y≦0.4,1.10<Z≦1.19)で表されるNCM複合酸化物を生成する第2次焼成原料と,第1焼成工程で得たバルク部分との混合物を,第1焼成工程での焼成温度より低い焼成温度で焼成することにより,バルク部分の表面上に,バルク部分よりもリチウム濃度が高い表面層を形成する第2焼成工程と,第2焼成工程で得られた正極活物質粒子と,正極活物質粒子のX線回折測定での(003)面ピークの幅による結晶粒径の2.5分の1以下の1次粒径の導電材とを少なくとも用いて正極を作製する正極作成工程と,正極作成工程で作製した正極と,別に作製した負極と,別に用意した過充電添加剤を含む電解液とを,CIDを備えた電池ケースに収納する電池作成工程とを有する。これにより,正極と負極と電解質と過充電添加剤とを電池ケースに収納してなり,正極と負極との少なくとも一方の電流経路に内圧上昇により作動するCIDを備えたリチウム二次電池を製造する。
本発明では,正極活物質粒子がNCM複合酸化物で形成されている。そしてさらに,その芯であるバルク部分と表層の表面部とで組成が異なり,表面層の方がバルク部分よりもリチウム濃度が高くなっている。これにより,正極活物質粒子の全体が低リチウム濃度である場合と比較して,正極活物質粒子の表面における電子伝導性を改善している。また,正極活物質粒子の全体が高リチウム濃度である場合と比較して,電池の放電比容量を確保している。
さらに本発明では,正極活物質粒子のX線回折測定での(003)面ピークの幅による結晶粒径と導電材の1次粒子の粒径との関係を規定している。これにより,正極板の合材層中において,正極活物質粒子の個々の結晶粒に対して複数個の導電材粒子が接触するようにしている。これにより,正極活物質粒子と導電材粒子との間の電流パスを稼ぐとともに,正極活物質粒子と導電材粒子と過充電添加剤との3相界面が多く存在するようにしている。このため本発明では,電池抵抗,放電比容量といった基本的な電池特性に優れるとともに,過充電時に確実に過充電添加剤が分解してCIDが作動するようになっている。
本発明はまた,ニッケル化合物,コバルト化合物,マンガン化合物,リチウム化合物を含み焼成により組成式LiZMn1-X-YNiXCoY2(0.3≦X≦0.4,0.3≦Y≦0.4,1.03≦Z≦1.10)で表されるNCM複合酸化物を生成する第1次焼成原料を焼成することにより,正極活物質粒子のバルク部分を作製する第1焼成工程と,ニッケル化合物,コバルト化合物,マンガン化合物,リチウム化合物を含み焼成により組成式LiZMn1-X-YNiXCoY2(0.3≦X≦0.4,0.3≦Y≦0.4,1.10<Z≦1.19)で表されるNCM複合酸化物を生成する第2次焼成原料と,第1焼成工程で得たバルク部分との混合物を,第1焼成工程での焼成温度より低い焼成温度で焼成することにより,バルク部分の表面上に,バルク部分よりもリチウム濃度が高い表面層を形成する第2焼成工程と,第2焼成工程で得られた正極活物質粒子と,正極活物質粒子のX線回折測定での(003)面ピークの幅による結晶粒径の2.5分の1以下の1次粒径の導電材とを少なくとも用いて正極を作製する正極作成工程とによりリチウム二次電池の正極を製造する方法をも対象とする。
本発明によれば,リチウム遷移金属複合酸化物(NCM複合酸化物)を正極活物質として使用しつつ,過充電時には確実に内圧が上昇してCIDが作動するリチウム二次電池,その製造方法,およびその正極の製造方法が提供されている
本形態に係る二次電池の斜視図である。 電流遮断機構を示す端面図である。 封止キャップを示す分解斜視図である。 電流遮断機構が作動した後の様子を示す端面図である。 1次焼成後2次焼成前の正極活物質粒子の構造を部分的に示す模式図である。 2次焼成後の正極活物質粒子の構造を部分的に示す模式図である。 実施例における合剤層中での正極活物質粒子と導電材との状況を示す模式図である。 比較例における合剤層中での正極活物質粒子と導電材との状況を示す模式図である。 実施例および比較例における粉体抵抗と,正極活物質粒子の表面のLi濃度との関係を示すグラフである。 実施例および比較例の電池における放電比容量と,正極活物質粒子の表面のLi濃度との関係を示すグラフである。 実施例および比較例の電池における過充電時ガス発生と,粒径比との関係を示すグラフである。
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,CIDを有するリチウムイオン二次電池に本発明を適用したものである。
本形態の二次電池10は,図1に示すように,扁平形状の電池ケース11の外部に正負の電極端子14,15が設けられているものである。そして,電池ケース11の内部に発電要素16が収納されて密封されているものである。電池ケース11は,一面が開口した箱状の本体13とその開口を封じる封口板12とを有している。正極端子14と負極端子15とは,発電要素16に含まれる正負の電極板等にそれぞれ接続されている。そして,電池ケース11のうち両端子14,15の間の位置には,安全弁18が形成されている。この安全弁18は,二次電池10の内圧がかなり上昇した場合に破損して,内部のガスを排出するためのものである。
また本形態では,図1に示すように,正極端子14に隣接して,CID20が形成されている。このCID20は,二次電池10の内圧が上昇した場合に作動して,電流経路を遮断するためのものである。CID20は,安全弁18が作動する内圧よりも低い内圧において作動する。CID20が作動することによって,この二次電池10の電流経路は遮断されるが,ガスの排出は行われない。なお本形態では,負極端子15側にはCID20は形成されていない。負極端子15およびその周囲の構成は,従来と同様のものでよく,ここでは説明を省略する。なお,CID20を正極端子14側に設ける代わりに負極端子15側に設けてもよいし,正極端子14側と負極端子15側との双方に設けてもよい。
本形態のCID20は,その一断面が図2に示すように構成されているものである。図2は,図1の紙面に平行な面での断面のうち,CID20の近傍の部分のみを示している。この箇所では,外部端子21,絶縁ガスケット22,絶縁スペーサ23,シールガスケット24が,端子リベット31によって封口板12に固定されている。端子リベット31の図中上部は,電池ケース11の外部においてカシメられている。そして,カシメられた部分は,外部端子21に密着して覆い被さって配置されている。さらに,端子リベット31より二次電池10の外部側に,ドーム状の封止キャップ25が取り付けられている。なお,正極端子14は,階段状の金属部材である外部端子21の上段部21a(図3参照)に取り付けられている。
本形態では,封口板12,正極端子14,外部端子21,封止キャップ25,端子リベット31は,いずれもアルミまたはアルミ合金で形成されている。一方,絶縁ガスケット22,絶縁スペーサ23,シールガスケット24は絶縁性の部材である。例えば,絶縁ガスケット22,絶縁スペーサ23は合成樹脂で,シールガスケット24は合成ゴムでそれぞれ形成すればよい。
外部端子21の形状を図3の斜視図に示す。なお,図2は,図3のA−A位置での端面を示したものである。外部端子21は,階段状に一体的に形成された上段部21aと下段部21bとを有するものである。上段部21aには,正極端子14を貫通させる貫通穴41が形成されている。下段部21bには,端子リベット31を貫通させる貫通穴42が形成されている。
さらに,図3に示すように,下段部21bには,その長手方向(図中の左下−右上方向)に沿った2本のスリット43,43が形成されている。2本のスリット43,43は同じ形状で,貫通穴42をそれらの中央にはさんで両側に互いに平行に配置されている。さらに,スリット43,43に対してほぼ直交して,貫通穴42の両側に,互いに平行な2本の脆弱部45,45が形成されている。その結果,貫通穴42は,スリット43,43と脆弱部45,45とによってその四方を囲まれている。脆弱部45,45は,非貫通の溝状のへこみであり,ごく薄く形成されている箇所である。
貫通穴42の周囲の部分48は,図2に示すように,端子リベット31をカシメることによって固定される部分である。この部分48は,スリット43,43と脆弱部45,45とによって囲まれた部分である。また,スリット43,43および脆弱部45,45より外側には,部分49が形成されている。部分49は,上段部21aに繋がる部分である。この外部端子21では,何らかの力によって脆弱部45,45が破断されると,部分48と部分49との間で,この外部端子21を介した電流経路は遮断される。端子リベット31のカシメられた部分は,本形態では,すべて,部分48の上に密着している。部分49には接触していない。
封止キャップ25の外周は,外部端子21の下段部21bの外周よりやや小さい。封止キャップ25を外部端子21の下段部21bの上に重ねることにより,貫通穴42,スリット43,43,脆弱部45,45,部分48が,すべて封止キャップ25によって覆い隠されることになる。封止キャップ25は,例えば,厚さ0.2〜0.3mm程度のアルミ板等で一体的に形成されており,比較的容易に変形するものである。
封止キャップ25は図2に示すように,外周接合部53と内側接合部54とにおいて外部端子21に溶接されている。外周接合部53は,封止キャップ25の外周全周に形成されている全周接合箇所である。これにより,貫通穴42およびその周囲の部分48は密封されている。一方,内側接合部54は,封止キャップ25における外周接合部53より内側の箇所が,外部端子21の下段部21bにおける脆弱部45,45より少し外側の箇所に溶接されている箇所である。
また,端子リベット31は,図2に示すように,その内部を軸方向に貫通する貫通穴32を有するものである。本形態の二次電池10では,端子リベット31は,絶縁スペーサ23,シールガスケット24,封口板12,絶縁ガスケット22,外部端子21のそれぞれの貫通穴を順に貫通し,図中上部33においてカシメられている。さらに,このように端子リベット31がカシメられた後で,封止キャップ25が外部端子21に前述のように接合される。このとき,封止キャップ25と端子リベット31とは接触しない。
このように組み立てられることにより,図2に示したように,端子リベット31の上端部33は,外部端子21の部分48に接触している。そして,外部端子21の上段部21aは,正極端子14と導通している。また,端子リベット31は,電池ケース11の内部において,発電要素16の正極板と接続されている。従って,発電要素16の正極板と正極端子14とは,端子リベット31および外部端子21を介して導通している。ここで,外部端子21を介する電流経路は,必ず脆弱部45を通る。
二次電池10の使用過程でその内圧が上がるとこの内圧Pは,図4に示すように,貫通穴32を介して連通されている封止キャップ25の下側の空間にも掛かる。そして,内圧Pの上昇は,この空間の容積を大きくしようとする。従って,封止キャップ25は,内外圧差によって図中の下から上へ向かって押し上げられる。これにより,少なくともその中央付近が電池ケース11から遠ざかる向きに移動するので,封止キャップ25が図示のように変形する。この変形とともに,封止キャップ25に接合されている内側接合部54によって,脆弱部45の外側の部分が引き上げられる。これにより,図4に示すように,脆弱部45が破断される。このため,上記したように電流経路は遮断される。
以上が,本形態のCID20の構成およびその動作である。なお,本発明の二次電池におけるCIDの具体的構成は,上記のものに限らず何でもよい。例えば,特許文献1の図1および[0045]に記載されているようなものでもよい。
続いて,本形態の二次電池10における,電池ケース11の内容物について説明する。本形態では,電池ケース11の内容物の中でも,発電要素16の正極合剤層に本発明としての特徴点を有している。すなわち本形態では正極活物質として,NCM複合酸化物の粒子を使用する。NCM複合酸化物とは,リチウムマンガン酸化物をベースとし,そのマンガンの一部をニッケルおよびコバルトで置換した複合酸化物である。その組成式は,LiZMn1-X-YNiXCoY2(0.3≦X≦0.4,0.3≦Y≦0.4,1.03≦Z≦1.19)で表される。そして本形態の正極活物質は,好ましくは,粉体体積抵抗ρが9.24×103Ωcm以下(20kN印加時)であって,結晶粒径が100nm以下のものである。
さらに本形態の正極活物質は,粒子の表面付近とバルク(内部)とで組成が少し異なるものである。上記Zの値が,表面層(300nm程度)では1.10以上1.19以下の範囲内であるのに対し,バルクでは1.03以上1.10以下である。つまり表面層の方がバルクよりリチウムリッチな組成となっている。なお,バルクでのZの値が1.03以上1.07以下であり,上記Zの値にて0.03以上の差があるとよりよい。Zの値が1.03以上1.10以下の上記正極活物質は,比容量(重量当たりの電池容量)が最大である点で好ましいが,電子伝導性ではやや低めであるという特徴を有する。そこで,正極活物質粒子のバルク部分を比容量重視でこの範囲内の組成としつつ,表面層を電子伝導性重視でそれよりリチウムリッチな組成としたのが本形態である。
このような表面層とバルクでの組成の差は,ICP−MS分析(Inductively Coupled Plasma - Mass Spectrometry,誘導結合プラズマ質量分析)により評価可能である。すなわち,上記正極活物質を硝酸と過酸化水素のモル濃度比で1:1の混合溶液で溶解する。このとき,溶解初期には正極活物質の表面層のみが溶解してくる。そして長時間溶解すると,バルク部分が溶解してくる。よって,短時間のみ溶解した混合溶液をICP−MS分析で分析することで,表面層におけるZの値を測定できる。また,粒子を全部溶解した溶液では,バルク部分による寄与が支配的となっている。このため,これを分析することでバルク部分のZの値を測定できる。
本形態ではさらに,正極合剤層に正極活物質の他に導電材を配合している。導電材としては,カーボンブラックが使用可能である。ここで,本形態で用いる導電材は,その1次粒子径が,正極活物質粒子の結晶粒径の40%以下のものである。
さらに本形態では,正極活物質と導電材とで,次の条件を満たすことが望ましい。すなわち,正極活物質のタップ密度τと,導電材と正極活物質との質量比w(=導電材質量/正極活物質質量)との積w・τが,0.07以上0.16以下であるという条件である。この,w・τというパラメータの物理的意味は,正極合剤層中において,正極活物質粒子1個に対してどれだけの導電材が接触しているか,ということである。この値が小さすぎると,導電材を配合していることの効果が不十分ということであり,好ましくない。一方でこの値が0.16を超えるほど大きいと,導電材が過剰で二次電池10としてのエネルギー密度が低下してしまい,これも好ましくない。よって上記の範囲内が好ましい。
以下,実施例および比較例により,本発明とその効果をさらに詳細に説明する。まず,実施例1〜4および比較例1〜7についての試料の作製について説明する。
[実施例1]
まず,実施例1における正極活物質の作製について説明する。実施例1の正極活物質は,以下の手順で作製した。
1.前駆体の作製

2.第1次焼成

3.第2次焼成
「1.前駆体の作製」では,水酸化ニッケル(Ni(OH)2),水酸化コバルト(Co(OH)2),水酸化マンガン(Mn(OH)2),を用いて,Ni:Co:Mnのモル比が1:1:1となるようにして前駆体水酸化物を作製した。ただしこのモル比については,厳密に1:1:1でなければならないわけではない。ある成分を1としたときに他の2つが0.8以上1.2以下の範囲内にあれば許容される。
「2.第1次焼成」では,「1.」で作製した前駆体の一部と,炭酸リチウム(Li2CO3)とを混合して,その混合物である焼成材料を焼成した。混合比は,Li/(Ni+Co+Mn)がモル比で1.05になるように定めた。このモル比が,前述のバルクにおけるZの値に相当する。このZの値を以下では,リチウム濃度,と呼ぶ場合がある。焼成温度は900℃とし,焼成時間は48時間とした。
これにより,第1次焼成に供した混合物が,NCM複合酸化物の粒子,すなわち正極活物質粒子となった。この,第1次焼成の直後における正極活物質粒子は,図5に断面を模式的に示される構造のものである。すなわち,1粒の正極活物質粒子110に,複数の結晶粒111が含まれている。つまり正極活物質粒子110は単結晶ではなく多結晶の粒子である。個々の結晶粒111はNCM複合酸化物の単結晶である。なお,図5の模式図中では結晶粒111同士の間に若干の隙間があるかのような描き方をしているが,実際にはこのような隙間はなく,結晶粒111同士は密着している(図6〜図8において同じ)。正極活物質粒子110としての粒サイズは,直径にして概ね3〜15μm程度である。また,もともとの焼成材料中に存在していた水酸基や炭酸基は,焼成により揮発してしまっており,正極活物質粒子110にはほとんど存在しない。
生成した正極活物質粒子110について,タップ密度τ(タッピング回数100回)と結晶粒径(結晶粒111の直径)と,前述のZの値とを測定した。その結果,タップ密度τが1.91g/cm3で,結晶粒径が93.8nm(X線(CuKα線)回折測定での(003)面ピーク(2θ=約17.9〜19.9°)の幅による,以下同じ)であった。Zの値(島津製作所製ICPV−8100型機を用いたICP−MS分析による,以下同じ)はもちろん1.05であった。この値は,前述のバルクにおけるZの値の好ましい範囲である1.03以上1.07以下を満たしている。この粒子110が,前述のバルク部分に相当する。
なお,第1次焼成での焼成温度は,低すぎると正極活物質粒子生成の起点が生じず,高すぎるとNCM複合酸化物とは異なる別の結晶相を生じてしまう。このため,700〜1000℃が焼成温度の許容範囲である。焼成時間は,短すぎては焼成不十分で前駆体や炭酸リチウムが残ってしまう。逆に長すぎると粗大結晶粒が生成してしまう。このため,2〜48時間が焼成時間の許容範囲である。
「3.第2次焼成」では,「2.」で得たバルク粒子にさらに焼成材料を加えて焼成した。ここでの焼成材料も,「2.」の焼成材料と同様に,「1.」で作製した前駆体と,炭酸リチウムとの混合物である。ただしここでの焼成材料における前駆体と炭酸リチウムとの混合比は,第1次焼成の際の混合比よりも炭酸リチウムが多くなるように定めた。具体的には,Li/(Ni+Co+Mn)がモル比で1.14になるように定めた。このモル比が,前述の表面層におけるZの値に相当する。焼成温度は第1焼成の時より低い750℃とし,焼成時間は第1焼成の時より短い5時間とした。
これにより,「2.」で生成していた正極活物質バルク粒子110の表面上に,よりリチウム濃度の高い表面層112が生成された(図6参照)。これが正極活物質粒子120である。図6の正極活物質粒子120における結晶粒111は,もともとのバルク粒子110の部分のみならず,その上の表面層112の部分まで含めて1つの単結晶である。この時点での正極活物質粒子120についてICP−MS分析を行った結果,表面層112の部分(厚さ300nm以内)でのZの値は1.14であった。この値は,前述の表面層におけるZの値の好ましい範囲である1.10以上1.19以下を満たしている。また,粒子120全体での平均のZの値は,1.06であった。なお,タップ密度τは1.93g/cm3で,結晶粒径は98.3nmであった。かくして,実施例1の正極活物質粒子を得た。
なお,第2次焼成での焼成温度は,低すぎると表面層が生成せず,高すぎるとバルク部分と表面層とで成分が互いに拡散して均質化してしまう。このため,700〜850℃の範囲内が好適である。焼成時間は,短すぎては表面層の生成が不十分で前駆体が残ってしまう。逆に長すぎるとやはり均質化が起こってしまう。このため,2〜16時間の範囲内が好適である。
なお上記において,第1次焼成と第2次焼成とを分けずに,焼成の途中で前駆体に炭酸リチウムを追加するとともに温度を変更することとしてもよい。このようなやり方でも,バルク部分と表面層とを有する正極活物質粒子を得ることができる。以上が,実施例1における正極活物質の作製である。
続いて,実施例1における正極活物質の作製以外の部分について説明する。具体的には,正極板の作製と,負極板の作製と,電池の作製とについて説明する。
正極板の作製には当然,前述のように作製した正極活物質粒子を用いる。この正極活物質粒子と,導電材と,結着剤とを混練溶媒とともに混練してペースト化した。導電材としては,アセチレンブラック(電気化学工業製デンカブラックFX−35(1次粒径26nm))を使用した。結着剤としては,PVDF(ポリフッ化ビニリデン,クレハ製KF#1300)を使用した。混合比は,正極活物質粒子:導電材:結着剤が重量比で93:4:3になるようにした。混練溶媒としてはN−メチルピロリドンを使用した。このペーストを集電板であるアルミ箔の両面に塗布して乾燥しプレスした。目付量は両面で30mg/cm2,合材層密度は2.84g/cm3,とした。こうして正極板を作製した。
こうして作製された正極板では,正極活物質粒子の結晶粒の粒径が,導電材の1次粒径より大きい。粒径比(結晶粒径/導電材粒径)は3.7808である。このため合剤層中では,図7に示すように,正極活物質粒子120の各結晶粒111の表面層112に対して,それぞれ複数個の導電材粒子113が接触する状況となっている。これにより,正極活物質粒子120と導電材粒子113との間の電流パスが確保されている。
この効果を確実に得るためには,前述の粒径比が,後述するように2.5以上あることが望ましい。つまり,導電材の1次粒径は,正極活物質粒子120の結晶粒径の2.5分の1以下であることが望ましい。粒径比の値が小さすぎると,1つの結晶粒111に対して複数個の導電材粒子113が接触する状況となりにくいからである。粒径比の値が小さすぎるということは,正極活物質粒子120の1つの結晶粒111に対して個々の導電材粒子113が大きすぎるということだからである。
なお,メーカから供給された状態の導電材においては,多数の粒子が団子状に固まって2次粒子をなしている場合がある。その場合でも,ここで問題となる導電材の粒径は,2次粒子の粒径ではなく,個々の1次粒子の粒径である。混練の段階で2次粒子は解体され,合材中ではバラバラの1次粒子になっていると考えられるからである。
負極板の作製は通常通り,負極活物質ペーストを集電板である銅箔の両面に塗布して乾燥,プレスすることで行った。負極活物質ペーストとしては,グラファイト(負極活物質),CMC(カルボキシルメチルセルロース,増粘剤),SBR(スチレンブタジエンコム,結着剤)を,重量比で98:1:1の混合比にて混練溶媒とともに混練したものを用いた。混練溶媒としては純水を使用した。目付量は両面で17mg/cm2,合材層密度は1.4g/cm3,とした。こうして負極板を作製した。
電池の作製は,前述の正極板および負極板をセパレータとともに偏平型に捲回した電極捲回体を,電解液とともに角形電池ケースに収納することで行った。角形電池ケースは当然,前述のCID20を有するものである。電解液としては,EC(エチレンカーボネート),DMC(ジメチルカーボネート),EMC(エチルメチルカーボネート)の混合液(混合比は体積比で3:4:3)に,電解質であるLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1モル/リットルの濃度で溶解した液を用いた。この溶液にさらに,過充電添加剤として,CHB(シクロヘキシルベンジン)およびBP(ビフェニル)を添加した。濃度は,CHBについては1重量%,BPについては2.5重量%とした。
作製された電池では,図7の模式図において,正極活物質粒子120と導電材粒子113との間の隙間の部分には,前記の電解液が含浸されている。その電解液には,前述のように過充電添加剤が含まれている。よって,図7中の正極活物質粒子120の表面層112と導電材粒子113との接触箇所は,NCM複合酸化物(正極活物質粒子120)と導電材粒子113と過充電添加剤との3相界面でもある。つまり,過充電時に過充電添加剤が分解してガスが発生する箇所でもある。このガスの発生により電池の内圧が上昇するので,前述のCID20が作動して電流経路が強制的に遮断されることとなる。図7では,この3相界面が各結晶粒111に対して複数箇所存在しているのである。
[実施例2]
実施例2は,次の点を除いて実施例1と同様のものである。実施例2では,正極活物質層に用いる導電材として,実施例1におけるものの代わりに,電気化学工業製デンカブラックの粉状アセチレンブラック(1次粒径35nm)を用いた。実施例2でも粒径比は2.8086あり,2.5以上を満たしている。
[実施例3]
実施例3も,次の点を除いて実施例1と同様のものである。実施例3では,1次焼成時の焼成温度を870℃とした。これにより得られた正極活物質粒子における結晶粒径は,実施例1の場合より少し小さく,82.4nmであった。実施例3でも粒径比は3.1692あり,2.5以上を満たしている。
[実施例4]
実施例4も,次の点を除いて実施例1と同様のものである。実施例4では,2次焼成時の前駆体と炭酸リチウムとの混合比を,実施例1の場合よりもややリチウムリッチにした。具体的には,Li/(Ni+Co+Mn)がモル比で1.19になるように定めた。このリチウム濃度は,実施例1の場合の値より高いが,前述の表面層におけるZの値の好ましい範囲である1.10以上1.19以下を満たしている。
[比較例1]
比較例1では,上記の実施例1の記述における「3.第2次焼成」を行わなかった。つまり,実施例1の記述における「バルク粒子」をそのまま正極活物質粒子として使用したのが比較例1である。それ以外の点は実施例1と同じである。比較例1での正極活物質粒子の表面のリチウム濃度は,バルク粒子についてのリチウム濃度そのもの(1.05)であり,前述の表面層におけるZの値の好ましい範囲である1.10以上1.19以下から外れている。
[比較例2]
比較例2では,正極活物質粒子の焼成を1段階のみとし,その際の前駆体と炭酸リチウムとの混合比を,Li/(Ni+Co+Mn)がモル比で1.15になるように定めた。つまり比較例2は,正極活物質粒子の全体が,前述の実施例1におけるバルク粒子のような組成になるように狙った例である。正極活物質粒子のタップ密度は1.98g/cm3であった。また,その結晶粒径は,103.4nmで,100nmを超えていた。それ以外の点は実施例1と同じである。比較例2での正極活物質粒子のバルクのリチウム濃度は,実施例1の場合の表面層についてのリチウム濃度とほぼ同じであり,前述のバルクにおけるZの値の好ましい範囲である1.03以上1.07以下から外れている。
[比較例3]
比較例3では,正極活物質層に用いる導電材として,実施例1のものの代わりに,電気化学工業製デンカブラックのHS−100(1次粒径48nm)を用いた。それ以外の点は実施例1と同じである。比較例3では,前述の粒径比が2.0479であり,2.5以上を満たさない。このため比較例3の合剤層中では,図7に示した,1つの結晶粒111に対して複数個の導電材粒子113が接触する状況が確保されていない。その替わりに図8のように,1つの結晶粒111に対して高々1個の導電材粒子113しか接触しない状況となっている。つまり,NCM複合酸化物(正極活物質粒子120)と導電材粒子113と過充電添加剤との3相界面が少ないのである(比較例4,6,7において同じ)。
[比較例4]
比較例4では,正極活物質層に用いる導電材として,実施例1のものの代わりに,日本黒鉛製JSPを用いた。この導電材は,実施例1で使用したものと比較して,粒径が極端に大きい(1次粒径5000nm)ものである。それ以外の点は実施例1と同じである。比較例3では,前述の粒径比が0.0197であり,2.5以上を満たさない。
[比較例5]
比較例5では,2次焼成時の前駆体と炭酸リチウムとの混合比を,Li/(Ni+Co+Mn)がモル比で1.21になるように定めた。得られた正極活物質粒子における(003)面結晶粒径は,103.4nmで,100nmを超えていた。それ以外の点は実施例1と同じである。このリチウム濃度は,高すぎて,前述の表面層におけるZの値の好ましい範囲である1.10以上1.19以下を満たさない。
[比較例6]
比較例6では,1次焼成時の焼成温度を840℃とした。これにより,結晶粒径は48.9nmとなった。それ以外の点は実施例1と同じである。比較例6では,前述の粒径比が1.8808であり,2.5以上を満たさない。これは正極活物質粒子の結晶粒の粒径が小さすぎるためである。このため,導電材としては実施例1と同じものを使っていても,粒径比が小さくなりすぎてしまったものである。
[比較例7]
比較例7では,1次焼成時の焼成温度を,実施例3と同じく870℃とした。このため,正極活物質粒子における結晶粒径は82.4nmであった。それ以外の点は実施例2と同じである。比較例7では,前述の粒径比が2.3543であり,2.5以上を満たさない。これは正極活物質粒子の結晶粒の粒径が実施例2の場合より小さいためである。このため,導電材としては実施例2と同じものを使っていても,粒径比が小さくなりすぎてしまったものである。
これらの実施例1〜4,比較例1〜7の作製上の諸数値を表1にまとめて示す。表1中の比較例の部分において,太斜体字で示した数値は,その好ましい範囲から外れている数値である。なお,前述の「w・τ」については,表1中には挙げていないが,実施例1〜4,比較例1〜7のすべてにおいて,0.07以上0.16以下の範囲内にある。
Figure 0005966387
Figure 0005966387
このように作成した各種の角形電池について,初期抵抗,放電比容量,過充電時のガス発生量,の3項目の評価を行った。その結果を表2に示す。表2中の「粉体抵抗」の欄は,測定した初期抵抗値を正極活物質粒子の20kN印加時の粉体体積抵抗に換算した値を示す欄である。「比容量」の欄は,対リチウム金属電極にて4.2Vから3.0Vまで放電させた時の容量を,正極活物質粒子の重量当たりの値として示す欄である。「過充電時ガス量」の欄は,SOC(State of Charge,充電状態)が150%を超えている状況で1C(Cは満充電の電池を1時間で放電させる電流のこと)の充電電流で充電を行った際に発生したガスの1気圧下での体積を,充電容量当たりの値として示す欄である。表2の比較例の部分で値を太斜体字で示しているのは,性能値として不十分な値である。
図9のグラフに,粉体抵抗と正極活物質粒子の表面のリチウム濃度との関係を示す。図9のグラフの横軸は表1中の「表面値」の値であり,縦軸は表2中の「粉体抵抗」の値である。図10のグラフに,放電比容量と正極活物質粒子の表面のリチウム濃度との関係を示す。図10のグラフの横軸は,図9のグラフの横軸と同じである。図10のグラフの縦軸は,表2中の「比容量」の値である。図9,図10のいずれのグラフにも,実施例1〜4および比較例1,3〜5,7のデータをプロットしている。
これらのグラフを見ると,表面のリチウム濃度値が好ましい範囲(1.10以上1.19以下)内である実施例1〜4および比較例3,4,7は,104Ωcmを超えない良好な粉体抵抗値を示している。また,158mAh/g以上の良好な放電比容量をも示している。これらの電池では,正極活物質粒子の表面における電子伝導度が十分に高く,かつ,表面での遷移金属のサイト占有率も適正であるため,粉体抵抗や放電比容量に優れるのである。表面のリチウム濃度値は,1.14以上1.19以下であればよりよい。
しかし,表面のリチウム濃度値が低すぎる比較例1は,放電比容量には優れるものの,104Ωcmを超える粉体抵抗値を示している。比較例1で粉体抵抗が高い理由は,正極活物質粒子の表面層のリチウム濃度(Zの値)が低すぎるために,正極活物質粒子の表面における電子伝導度が低いためであると考えられる。
一方,表面のリチウム濃度値が高すぎる比較例5では,放電比容量が低く,また粉体抵抗値も104Ωcmを超える値となっている。比較例5で放電比容量が低い理由は,表面層のリチウム濃度が高すぎるために,正極活物質粒子の表面における遷移金属(Ni,Co,またはMn)のサイト占有率が不足しているためであると考えられる。このことにより粉体抵抗も高くなっていると考えられる。
なお,図9,図10には挙げていないが,比較例2,6でも粉体抵抗が高い。比較例2では放電比容量も小さい。比較例2は,活物質粒子のバルク部分のリチウム濃度が高すぎるために,比容量の低下を来しており,これにより粉体抵抗値も高く現れるものと考えられる。比較例6で粉体抵抗が高い理由は,後述する粒径比が小さすぎるために,活物質粒子と導電材との間の電流パスが少ないことであると考えられる。
図11は,表1中の「粒径比」(横軸)と,表2中の「過充電時ガス量」(縦軸)との関係を示すグラフである。図11では,実施例1〜4および比較例2〜4,6,7のデータをプロットしている。なお図11では,正極活物質の結晶粒径が小さめである実施例3,比較例6,7については三角マークで,それ以外については菱形マークでプロットしている。
図11から,粒径比が高いほど,つまり導電材の粒子に対して相対的に正極活物質の結晶粒径が大きいほど,過充電時のガス発生量が多い傾向があることが分かる。結晶粒径が小さめである実施例3,比較例6,7についても同様の傾向にある。これより,ガス発生量については,導電材の粒子径や結晶粒径の個々の値よりも,粒径比を指標とすればよいことが分かる。
粒径比が大きいということは,図7に示したように正極活物質粒子120の表面層112と導電材粒子113との接触箇所,つまり3相界面が豊富にあるということである。このため過充電時には,過充電添加剤の分解によるガスの発生が盛んに起こるのである。つまり,過充電時にCID20が確実に作動するということである。一方粒径比が小さいと,図8に示したように3相界面が少ない。このため,過充電時でも過充電添加剤の分解があまり起こらないのである。つまり,過充電時でもCID20の作動があまり確実でない,ということである。
過充電時にCID20を確実に作動させるためには,表2中の「過充電時ガス量」の値が70以上あることが望ましい。このため図11のグラフから,粒径比の値は2.5以上であることが望ましいと言える。実施例1〜4のものはいずれも,この粒径比の望ましい範囲を満たしており,ガス発生量も十分である。実施例1〜4の2次電池について別途,耐久初期および耐久末期のCID20の動作テストを行ったところ,いずれも確実にCID20が作動した。このように耐久初期のみならず耐久末期においても十分なガス発生量が得られることについては,実施例1〜4では正極活物質の結晶粒径が100nm以下であることが寄与していることが別途分かっている。なお,比較例2,5の2次電池については,耐久初期の動作テストではCID20が作動したが,耐久末期の動作テストではCID20が作動しなかった。
一方,粒径比が2.5に満たない比較例3,4,6,7では,ガス発生量が不十分である。その理由は前述の通りである。なお比較例2のものは,粒径比とガス発生量自体は良好であるものの,前述の通り粉体抵抗と比容量の点で不適である。また,図11には挙げていないが,比較例5のものも比較例2のものと同様である。また,これも図11に挙げていないが,比較例1のものは,粒径比自体は良好なはずであるのに,ガス発生量が少ない。この原因は,前述の正極活物質粒子の表面のリチウム濃度が低いことにあると解される。つまり,正極活物質粒子の表面の電子伝導度が低いために,3相界面が存在していてもガス発生箇所として機能していないものと考えられる。
以上詳細に説明したように本実施の形態および実施例によれば,NCM複合酸化物の正極活物質粒子にリチウム濃度の高い表面層が設けられており,かつ,正極活物質粒子の結晶粒に対して複数個の導電材粒子が接触するようになっている。これにより,電池本来の性能を確保しつつ,過充電時には確実にCIDが作動して電流を遮断できるようになっている。また,かかる正極活物質粒子を得るに際して,前駆体からの焼成の途中でリチウム含有量を増すことで,前記の表面層が正極活物質の表面に生成されるようにしている。
なお,本実施の形態および実施例は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,本実施の形態および実施例では,過充電添加剤としてCHBおよびBPを並用したが,これに限らない。CHBとBPとのうちいずれか一方だけでもよいし,あるいは別の物質を用いてもよい。要は,過充電時に前述の3相界面にて分解してガスを発生するものであればよい。電解質や混練溶媒なども,別のものであってもよい。電池の外形も,角形に限らず円筒形やコイン形,ラミネート形等であってもよい。
また,正極活物質の焼成のための前駆体の原料物質は,水酸化物以外であっても,ニッケル,コバルト,マンガンを含み,かつ,焼成により余計な成分が揮発してNCM複合酸化物が生成される化合物であればよい。同様にリチウム供給源物質についても,炭酸リチウムに限らず,リチウムを含み,かつ,焼成により余計な成分が揮発してNCM複合酸化物が生成される化合物であればよい。また,正極活物質粒子の結晶粒径は,X線回折における他のピークの幅によって測定することも可能である。ただし,前述の通り(003)面ピークで測定するのが最もよい。電池性能との相関性が最も高いからである。また,本発明は,負極活物質として金属リチウムを用いるものにも適用可能である。
16 発電要素
20 CID(電流遮断機構)
110 正極活物質粒子のバルク部分
111 正極活物質粒子の結晶粒
112 正極活物質粒子の表面層
120 正極活物質粒子
113 導電材粒子

Claims (3)

  1. 正極と負極と電解質と過充電添加剤とを電池ケースに収納してなり,正極と負極との少なくとも一方の電流経路に内圧上昇により作動する電流遮断機構を備えたリチウム二次電池において,
    前記正極の活物質層が活物質粒子と導電材粒子とを含んでおり,
    前記活物質粒子が,組成式LiZMn1-X-YNiXCoY2(0.3≦X≦0.4,0.3≦Y≦0.4,1.03≦Z≦1.19)で表されるNCM複合酸化物で構成されており,
    前記活物質粒子の表面における前記Zの値が1.10より大きく1.19以下の範囲内であり,
    前記活物質粒子のバルクにおける前記Zの値が1.03以上1.10以下の範囲内であり,
    前記導電材粒子の1次粒子の粒径が,前記活物質粒子のX線回折測定での(003)面ピークの幅による結晶粒径の2.5分の1以下であることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 正極と負極と電解質と過充電添加剤とを電池ケースに収納してなり,正極と負極との少なくとも一方の電流経路に内圧上昇により作動する電流遮断機構を備えたリチウム二次電池の製造方法において,
    ニッケル化合物,コバルト化合物,マンガン化合物,リチウム化合物を含み焼成により組成式LiZMn1-X-YNiXCoY2(0.3≦X≦0.4,0.3≦Y≦0.4,1.03≦Z≦1.10)で表されるNCM複合酸化物を生成する第1次焼成原料を焼成することにより,正極活物質粒子のバルク部分を作製する第1焼成工程と,
    ニッケル化合物,コバルト化合物,マンガン化合物,リチウム化合物を含み焼成により組成式LiZMn1-X-YNiXCoY2(0.3≦X≦0.4,0.3≦Y≦0.4,1.10<Z≦1.19)で表されるNCM複合酸化物を生成する第2次焼成原料と,前記第1焼成工程で得たバルク部分との混合物を,前記第1焼成工程での焼成温度より低い焼成温度で焼成することにより,前記バルク部分の表面上に,前記バルク部分よりもリチウム濃度が高い表面層を形成する第2焼成工程と,
    前記第2焼成工程で得られた正極活物質粒子と,前記正極活物質粒子のX線回折測定での(003)面ピークの幅による結晶粒径の2.5分の1以下の1次粒径の導電材とを少なくとも用いて正極を作製する正極作成工程と,
    前記正極作成工程で作製した正極と,別に作製した負極と,別に用意した過充電添加剤を含む電解液とを,電流遮断機構を備えた電池ケースに収納する電池作成工程とを有することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  3. リチウム二次電池の正極の製造方法において,
    ニッケル化合物,コバルト化合物,マンガン化合物,リチウム化合物を含み焼成により組成式LiZMn1-X-YNiXCoY2(0.3≦X≦0.4,0.3≦Y≦0.4,1.03≦Z≦1.10)で表されるNCM複合酸化物を生成する第1次焼成原料を焼成することにより,正極活物質粒子のバルク部分を作製する第1焼成工程と,
    ニッケル化合物,コバルト化合物,マンガン化合物,リチウム化合物を含み焼成により組成式LiZMn1-X-YNiXCoY2(0.3≦X≦0.4,0.3≦Y≦0.4,1.10<Z≦1.19)で表されるNCM複合酸化物を生成する第2次焼成原料と,前記第1焼成工程で得たバルク部分との混合物を,前記第1焼成工程での焼成温度より低い焼成温度で焼成することにより,前記バルク部分の表面上に,前記バルク部分よりもリチウム濃度が高い表面層を形成する第2焼成工程と,
    前記第2焼成工程で得られた正極活物質粒子と,前記正極活物質粒子のX線回折測定での(003)面ピークの幅による結晶粒径の2.5分の1以下の1次粒径の導電材とを少なくとも用いて正極を作製する正極作成工程とを有することを特徴とするリチウム二次電池の正極の製造方法。
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