JP5962430B2 - アイソレータ内への物品の搬入方法と物品収容体 - Google Patents
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Description
アイソレータは外部から完全に隔離されて内部が無菌状態に維持されており、アイソレータ内に培養作業に必要な資材などを搬入する場合は、アイソレータ内部に直接アクセスできる除染庫を備えて、搬入する資材の外面を除染庫内で過酸化水素蒸気等の除染ガスを用いて除染してから、アイソレータ内に搬入するようになっている(特許文献1)。
そこで、従来、資材に直接除染ガスを作用させないでアイソレータに搬入する方法として、資材を袋に収容した状態でアイソレータに搬入することが行われている。この搬入方法においては、先ず資材を袋に入れて密封し、予め袋の外部から電子線やγ線等の放射線を照射して袋の内部を除染しておき、この袋の外面を除染ガスで滅菌してからアイソレータに搬入し、アイソレータ内で袋から取り出すようになっている。この搬入方法によれば、資材および袋の内部は予め除染されているため、開封によりアイソレータ内が汚染されることはない。また、このような搬入方法において、大中小の3種類の袋によって資材を多重包装した状態でアイソレータに搬入する方法が提案されている(特許文献2)。
さらには、袋の材質によっては除染ガスが袋内に浸透して、収容されている資材に除染ガス成分が作用する恐れがあり、除染ガス成分が十分に除去されずにアイソレータ内に放出される恐れがあった。そのため、除去のためのエアレーションに時間を要し、素早く細胞操作を行うことの妨げとなっていた。
除染済みの物品を収容し内部が無菌状態に維持されている包装体を外袋に収容し、該包装体の外面と外袋の内面との所要箇所を接着手段で接着した状態で外袋を密封し、次に、該外袋の外面を除染して無菌状態のアイソレータ内に位置させ、該アイソレータ内において、外袋と包装体を上記接着手段で接着した所要箇所で切り開くとともに、該切り開かれた開口を介して包装体から除染済みの物品を取り出すことを特徴とするものである。
また、第2の本発明は、外部から隔離されて内部を無菌状態に維持されるアイソレータ内へ物品を搬入する際に物品を収容する物品収容体であって、
該物品収容体は、除染済みの物品を収容し内部が無菌状態に維持されている包装体と、該包装体を収容する外袋からなり、上記包装体の外面または上記外袋の内面に、包装体を外袋に収容した状態で包装体の外面と外袋の内面の所要箇所を接着するための接着手段を備えたことを特徴とするものである。
したがって、除染済みの物品を速やかにアイソレータ内に搬入できる。
アイソレータ1の側壁には、内部で作業を行うための一対のグローブ13が設けられており、作業者が外部からこのグローブ13に手を差し込んで操作することによりアイソレータ1内で所要の作業を行うことができるようになっている。また、アイソレータ1内には、物品収容体Pの内袋3と外袋4を切り開くためのカッター14を備えている。
アイソレータ1内には上記搬入口1Aを開閉するための密閉扉15が設けられており、搬入口1Aにパスボックス5の接続口5Aが気密を保持して連結されている。他方、パスボックス5の搬入口5Bには密閉扉16が設けられている。
本実施例においては、内袋3内に収容される資材2として、ピペット用チップ、ディッシュ、遠心管、サンプル管等を想定している。
内袋3の外面3Aには、接着手段として両面テープ21が予め貼付されている。 また、内袋3の外面3Aには、ガス導入部3Bが設けられている。このガス導入部3Bは、開口部3Cの全域を高密度ポリエチレン製の不織布で閉鎖している。この不織布は、内袋3内への除染ガスの流入は許容するが、菌や微生物の侵入を阻止する性能を備えており、例えば米国デュポン社のタイベック(登録商標)を採用することができる。
図4に要部の断面を示したように、外袋4は、外面側となるポリエチレンの層4aは、除染ガスが通過しやすい性質を有しており、その内側のナイロンの層4bは除染ガスを吸着しやすい性質を有している。本実施例においては、ナイロン層4bの内側にさらにポリエチレンの層4cを設け、ナイロン層4bをポリエチレン層4a、4cで挟んだ多層構造からなっている。
この接着手段で接着した内袋3と外袋4の所要箇所が、内袋3から物品を取り出すために切り開く切断箇所となる。この切断箇所は図3に直線で示したように、接着手段である両面テープ21の範囲内とする。
この後、作業者はアイソレータ1内に予め搬入しておいたカッター14によって、物品収容体Pの内袋3と外袋4の接着した所要箇所を切り開く(図2(c)参照)。これにより、内袋3の外面3Aと外袋4の内面の互いに接着された部分を除く、未除染の汚染箇所22を密封した状態において、つまり、この汚染箇所22をアイソレータ1内で露出させることなく、外袋4の外側から内袋3を切り開くことができる。そして、切り開いた開口部3Eを介して、内袋3内から除染済みの資材2を取り出すことができる。なお、外袋4はナイロン層4bを挟んでポリエチレンの層4a、4cを設けることで、ナイロン層4bが吸着した除染ガス成分が容易に放出されることを防止している。また、外面側のポリエチレン層4aは除染ガスが通過しやすいため、外袋4の外面4Aは除染ガスが浸透し全体を十分に除染することができる。
本実施例においては、上述したようにして物品収容体Pをアイソレータ1内に搬入するとともに、除染済みの資材2をアイソレータ1に搬入するようになっている。
なお、外袋4に用いる除染ガスが通過しやすい性質の層には、ポリエチレンの他、同様にガスバリア性や水蒸気バリア性の低いポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の材質を採用できる。また、除染ガスを吸着しやすい性質の層としては、ナイロンの他、活性炭を採用することができる。
また、外袋4に収容する包装体は、実施例として説明した内袋3のように、アイソレータ1への搬入に際して、物品を収容して密封するものに限らず、アイソレータ1に搬入される物品としての資材2等を製品として包装した包装体であってもよく、この場合には、予め放射線滅菌を施されていることもあり得る。
3‥内袋(包装体) 3A‥外面
3B‥ガス導入部 3E‥開口部
4‥外袋 21‥両面テープ(接着手段)
P‥物品収容体
Claims (5)
- 外部から隔離されて内部が無菌状態に維持されるアイソレータ内への物品の搬入方法であって、
除染済みの物品を収容し内部が無菌状態に維持されている包装体を外袋に収容し、該包装体の外面と外袋の内面との所要箇所を接着手段で接着した状態で外袋を密封し、
次に、該外袋の外面を除染して無菌状態のアイソレータ内に位置させ、該アイソレータ内において、外袋と包装体を上記接着手段で接着した所要箇所で切り開くとともに、該切り開かれた開口を介して包装体から除染済みの物品を取り出すことを特徴とするアイソレータ内への物品の搬入方法。 - 上記外袋は、外面に除染ガスが通過しやすい性質の層を設け、その内側に除染ガスを吸着しやすい性質の層を設けた多層構造からなり、上記外袋の外面は、除染ガスを用いて除染することを特徴とする請求項1に記載のアイソレータ内への物品の搬入方法。
- 上記包装体は、菌や微生物の侵入は阻止しつつ除染ガスの流入を許容するガス導入部を備えており、該ガス導入部から除染ガスを流入させて、包装体の内部および収容した物品を除染することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアイソレータ内への物品の搬入方法。
- 外部から隔離されて内部を無菌状態に維持されるアイソレータ内へ物品を搬入する際に物品を収容する物品収容体であって、
該物品収容体は、除染済みの物品を収容し内部が無菌状態に維持されている包装体と、該包装体を収容する外袋からなり、上記包装体の外面または上記外袋の内面に、包装体を外袋に収容した状態で包装体の外面と外袋の内面の所要箇所を接着するための接着手段を備えたことを特徴とする物品収容体。 - 上記包装体は、菌や微生物の侵入は阻止しつつ除染ガスの流入を許容するガス導入部を備え、上記外袋は、外面に除染ガスが通過しやすい性質の層を設け、その内側に除染ガスを吸着しやすい性質の層を設けた多層構造からなることを特徴とする請求項4に記載の物品収容体。
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