JP5962158B2 - リチウムイオン電池用正極材料およびその製造方法、ならびにリチウムイオン電池 - Google Patents
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Description
(1)平均一次径が5nm以上500nm以下の硫黄ナノ粒子とカーボン材料を含有する、カーボン硫黄複合体。
(2)硫黄ナノ粒子の表面がカーボン材料により被覆されている(1)記載のカーボン硫黄複合体
(3)カーボン材料のマトリックス中に硫黄ナノ粒子が包埋されている(2)記載のカーボン硫黄複合体。
(4)硫黄ナノ粒子とカーボン材料を含有するカーボン硫黄複合体の製造方法であって、酸化グラファイト溶液中に平均一次径が5nm以上500nm以下の硫黄ナノ粒子を分散させる工程と、酸化グラファイトを還元する工程を含む、カーボン硫黄複合体の製造方法。
(5)(1)〜(3)のいずれか記載のカーボン硫黄複合体を含むことを特徴とする電気化学素子。
(6)(1)〜(3)のいずれか記載のカーボン硫黄複合体を含むことを特徴とするリチウムイオン電池。
からなる
(リチウムイオン電池用正極)
リチウムイオン電池用正極は、導電助剤、正極活物質、バインダーポリマーからなる。
負極としてはリチウムイオンを脱挿入可能な材料を含有する合剤を銅箔などの集電体に担持したものを用いることができ、リチウム金属・リチウム合金などを用いることもできる。
本発明のカーボン硫黄ナノ粒子複合体を正極材料として用いる場合、正極にリチウム源がないので負極材料にリチウム元素が含まれて居ない場合は予めドープする必要がある。
(リチウムイオン電池用電解質)
正極・負極の間に配置される電解質は固体電解質でも良く、液体電解質であっても良い。液体電解質を用いる場合は、通常セパレーターフィルムを使用する。
直径16.1mm厚さ0.2mmに切り出したリチウム箔を負極とし、直径17mmに切り出したセルガード#2400(セルガード社製)セパレータとして、下記実施例で作製した電極を直径15.9mmに打ち抜いて正極とし、電解液としてLiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を1M含有するポリエチレングリコールジメチルエーテル(Mn=500、アルドリッチ社)の溶媒を電解液として、2042型コイン電池を作製し、電気化学評価を行った。レート0.5C(840mA/g)、上限電圧3.0V、下限電圧1.5Vで充放電測定を3回行い、三回目の放電時の容量を放電容量とした。
チオ硫酸ナトリウム0.1M水溶液と、塩酸0.4M溶液を、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム3mMの存在下で混合し、30分スターラー攪拌した後に、0.2μm径ナイロンフィルターで濾過して、硫黄ナノ粒子を得た。この硫黄ナノ粒子の平均一次径を電子顕微鏡により観察したところ、51nmであった。
チオ硫酸ナトリウム0.1M水溶液と、塩酸0.4M溶液を、ドデシル硫酸ナトリウム27mMの存在下で混合し、30分スターラー攪拌した後に、0.2μm径ナイロンフィルターで濾過して、硫黄ナノ粒子を得た。この硫黄ナノ粒子の平均一次径を電子顕微鏡により観察したところ、92nmであった。
チオ硫酸ナトリウム0.1M水溶液と、塩酸0.4M溶液を、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム0.5mMの存在下で混合し、30分スターラー攪拌した後に、0.2μm径ナイロンフィルターで濾過して、硫黄ナノ粒子を得た。この硫黄ナノ粒子の平均一次径を電子顕微鏡により観察したところ、186nmであった。
チオ硫酸ナトリウム0.5M水溶液と、塩酸2.0M溶液を、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム3mMの存在下で混合し、30分スターラー攪拌した後に、0.2μm径ナイロンフィルターで濾過して、硫黄ナノ粒子を得た。この硫黄ナノ粒子の平均一次径を電子顕微鏡により観察したところ、368nmであった。
[合成例1]で作製した硫黄ナノ粒子に、蒸着法によりカーボンコーティングを行った。カーボンコートされた硫黄ナノ粒子の元素分析を行ったところ、硫黄元素と炭素元素の比は4:1であった。
2000メッシュの天然黒鉛粉末(上海一帆石墨有限会社)を原料として、氷浴中の10gの天然黒鉛粉末に、220mlの98%濃硫酸、5gの硝酸ナトリウム、30gの過マンガン酸カリウムを入れ、1時間機械攪拌し、混合液の温度は20℃以下で保持した。上述混合液を氷浴から取り出し、35℃水浴中で4時間攪拌反応し、その後イオン交換水500mlを入れて得られた懸濁液を90℃で更に15分反応を行った。最後に600mlのイオン交換水と50mlの過酸化水素を入れ、5分間の反応を行い、酸化グラフェン分散液を得た。熱いうちにこれを濾過し、希塩酸溶液で金属イオンを洗浄し、イオン交換水で酸を洗浄し、pHが7になるまで洗浄を繰り返し、酸化グラフェンゲルを作製した。
[合成例1]で作製した硫黄ナノ粒子と人造黒鉛製造用のピッチを重量比1:2で混合し、加圧焼成し、複合体を作製した。硫黄元素と炭素元素の比は1:1.3であった。
市販の硫黄粉末(Alfa Aeser,325mesh:約45μm)蒸着法によりカーボンコーティングを行った。カーボンコートされた硫黄ナノ粒子の元素分析を行ったところ、硫黄元素と炭素元素の比は4:1であった。
[合成例1]で作製した硫黄ナノ粒子4重量部と薄層グラファイト(XG science社、M-5)1重量部を遊星ボールミルで300rpmで2時間混合し、カーボン硫黄複合体を作製した。該カーボン硫黄複合体においては、硫黄ナノ粒子はカーボンにより被覆されていない。該カーボン硫黄複合体中の硫黄ナノ粒子の1次径は62nmであった。カーボン硫黄複合体を80重量部、導電助剤としてアセチレンブラックを8重量部、バインダーとしてポリ弗化ビニリデン10重量部、溶剤としてN-メチルピロリドンを、200重量部加えて、プラネタリーミキサーで混合して電極ペーストを得た。電極ペーストをアルミニウム箔(厚さ18μm)にアプリケータ(80μm)を用いて塗布し、80℃30分間乾燥して電極板を得た。該電極板を用いて、電極の放電容量を測定したところ、1021mAh/gであった。
[合成例2]で作製した硫黄ナノ粒子を、実施例1と同様にしてカーボン硫黄複合体を作製した。該カーボン硫黄複合体においては、硫黄ナノ粒子はカーボンにより被覆されていない。該カーボン硫黄複合体中の硫黄ナノ粒子の1次径は115nmであった。該カーボン硫黄複合体を用いて実施例1と同様にして電極を作製し、電極の放電容量を測定したところ、956mAh/gであった。
[合成例3]で作製した硫黄ナノ粒子を、実施例1と同様にしてカーボン硫黄複合体を作製した。該カーボン硫黄複合体においては、硫黄ナノ粒子はカーボンにより被覆されていない。該カーボン硫黄複合体中の硫黄ナノ粒子の1次径は206nmであった。該カーボン硫黄複合体を用いて実施例1と同様にして電極を作製し、電極の放電容量を測定したところ、925mAh/gであった。
[合成例3]で作製した硫黄ナノ粒子を、実施例1と同様にしてカーボン硫黄複合体を作製した。該カーボン硫黄複合体においては、硫黄ナノ粒子はカーボンにより被覆されていない。該カーボン硫黄複合体中の硫黄ナノ粒子の1次径は416nmであった。該カーボン硫黄複合体を用いて実施例1と同様にして電極を作製し、電極の放電容量を測定したところ、906mAh/gであった。
[実施例1]で薄層グラファイトの変わりにアセチレンブラック(電気化学社)を用いた以外は実施例1と同様にカーボン硫黄複合体を作製した。該カーボン硫黄複合体においては、硫黄ナノ粒子はカーボンにより被覆されていない。該カーボン硫黄複合体中の硫黄ナノ粒子の1次径は75nmであった。該カーボン硫黄複合体を用いて、電極の放電容量を測定したところ、896mAh/gであった。
[合成例5]のカーボンコートした硫黄ナノ粒子を用いた。該硫黄ナノ粒子はカーボンにより被覆されている。カーボンコート後の硫黄ナノ粒子の1次径は51nmであった。該カーボンコートした硫黄ナノ粒子80重量部、導電助剤としてアセチレンブラックを8重量部、バインダーとしてポリ弗化ビニリデン10重量部、溶剤としてN-メチルピロリドンを、200重量部加えて、プラネタリーミキサーで混合して電極ペーストを得た。[実施例1]と同様にして電極を作製し、電極の放電容量を測定したところ、1045mAh/gであった。
[合成例6]のカーボンコートした硫黄ナノ粒子を用いた該硫黄ナノ粒子はカーボンにより被覆されている。カーボンコート後の硫黄ナノ粒子の1次径は49nmであった。該カーボン硫黄複合体80重量部、導電助剤としてアセチレンブラックを8重量部、バインダーとしてポリ弗化ビニリデン10重量部、溶剤としてN-メチルピロリドンを、200重量部加えて、プラネタリーミキサーで混合して電極ペーストを得た。[実施例1]と同様にして電極を作製し、電極の放電容量を測定したところ、994mAh/gであった。
[合成例7]のカーボン硫黄複合体を用いた。該カーボン硫黄複合体において、硫黄ナノ粒子はカーボンにより包埋されている。カーボンコート後の硫黄ナノ粒子の1次径は47nmであった。該カーボン硫黄複合体80重量部、導電助剤としてアセチレンブラックを8重量部、バインダーとしてポリ弗化ビニリデン10重量部、溶剤としてN-メチルピロリドンを、200重量部加えて、プラネタリーミキサーで混合して電極ペーストを得た。[実施例1]と同様にして電極を作製し、電極の放電容量を測定したところ、1050mAh/gであった。
市販の硫黄粉末(Alfa Aeser,325mesh)を用いた4重量部とアセチレンブラック1重量部を遊星ボールミルで300rpm2時間混合し、カーボン硫黄混合体を作製した。カーボン硫黄混合体を80重量部、導電助剤としてアセチレンブラックを8重量部、バインダーとしてポリ弗化ビニリデン10重量部、溶剤としてN-メチルピロリドンを、200重量部加えて、プラネタリーミキサーで混合して電極ペーストを得た。電極ペーストをアルミニウム箔(厚さ18μm)にアプリケータ(80μm)を用いて塗布し、80℃30分間乾燥して電極板を得た。該電極板を用いて、電極の放電容量を測定したところ、660mAh/gであった。
アセチレンブラックの代わりに薄層グラファイトを用いた以外は[比較例1] と同様にして電極を作製し、電極の放電容量を測定したところ、712mAh/gであった。
[合成例8]のカーボンコートした硫黄粉末を80重量部、導電助剤としてアセチレンブラックを8重量部、バインダーとしてポリ弗化ビニリデン10重量部、溶剤としてN-メチルピロリドンを、200重量部加えて、プラネタリーミキサーで混合して電極ペーストを得た。[実施例1]と同様にして電極を作製し、電極の放電容量を測定したところ、730mAh/gであった。
Claims (7)
- 平均一次径が5nm以上500nm以下の硫黄ナノ粒子の表面がカーボンナノチューブ、薄層グラファイトまたはグラフェンから選択されるカーボン材料により被覆されてなるリチウムイオン電池用正極材料。
- 前記カーボン材料のマトリックス中に硫黄ナノ粒子が包埋されている請求項1記載のリチウムイオン電池用正極材料。
- リチウム元素がドープされてなる、請求項1または2記載のリチウムイオン電池用正極材料。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法であって、酸化グラファイト溶液中に平均一次径が5nm以上500nm以下の硫黄ナノ粒子を分散させる工程と、酸化グラファイトを還元する工程を含む、リチウムイオン電池用正極材料の製造方法。
- 請求項1から3のいずれか記載のリチウムイオン電池用正極材料を含むことを特徴とするリチウムイオン電池。
- 硫黄ナノ粒子の表面が薄層グラファイトまたはグラフェンにより被覆されてなるリチウムイオン電池用正極材料の製造方法であって、酸化グラファイト溶液中に平均一次径が5nm以上500nm以下の硫黄ナノ粒子を直接投入して分散させる工程と、酸化グラファイトを還元する工程を含む、リチウムイオン電池用正極材料の製造方法。
- 硫黄ナノ粒子の表面が薄層グラファイトまたはグラフェンにより被覆されてなるリチウムイオン電池用正極材料の製造方法であって、酸化グラファイト溶液中に平均一次径が5nm以上500nm以下の硫黄ナノ粒子を超音波分散処理により分散させる工程と、酸化グラファイトを還元する工程を含む、リチウムイオン電池用正極材料の製造方法。
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