JP5957286B2 - ワイヤハーネス止水構造 - Google Patents
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Description
このグロメット内での止水は、例えば特許文献1に開示される止水構造によって行われる。即ち、図9に示すように、それぞれの電線517の周面間に止水剤519が塗布される。止水剤519の塗布された止水部521は、止水シート523を巻き締めて、電線束を円形断面の電線束に結束する。止水シート523の両端にはテープ525が巻き付けられる。このようにして形成された止水部521を有するワイヤハーネス503は、止水部521がハーネス挿通穴514に緊密嵌合されてグロメット505へ装着されている。
(1) 車室外部と車室内部とを仕切る車体パネルに穿設された貫通孔に筒状の本体部の外周が水密に取り付けられると共に前記本体部に一端部が接続された小径の管状部を有するグロメットと、非結束状態の複数の電線が前記貫通孔に対して所定の高低差をもって配索される立ち上がり配索部を有すると共に該立ち上がり配索部が前記管状部に挿通されるワイヤハーネスと、前記管状部に挿通された前記ワイヤハーネスにおける外径の異なる複数種の前記電線の外周に突設され、隣接する前記電線との間に隙間を形成する拡径部と、を備え、前記拡径部が、前記隙間を形成する前記電線の外径が大きくなるにしたがって前記隙間が大きくなるように設けられることを特徴とするワイヤハーネス止水構造。
即ち、毛管現象によって吸い上げられる水の高さは、電線の外径毎に略決まっており、隣接する電線との隙間が小さくなる大径の電線との間ほど高くなる。そこで、外径の異なる複数種の電線が混在してそれぞれ同一外径の電線が複数ある場合、隣接する電線との間に隙間を形成する対象とされる所定外径の電線を含む電線群の各電線、並びに所定外径の電線より太い電線からなる電線群の各電線の全てに拡径部を設けることで、必要とされる高低差の距離を設定することができる。
尚、本明細書中において、ワイヤハーネスにおける同一外径の電線からなる電線群とは、必ずしも同一外径の電線を物理的にまとめた電線束ではなく、ワイヤハーネス内に非結束状態で存在する同一外径の複数の電線を概念的に示すものである。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るワイヤハーネス止水構造は、ワイヤハーネス11が、車室外部13と車室内部15とを仕切る車体パネル17を貫通して配索される際の止水部分に好適に用いられる。車室外部13とは例えばエンジンルームであり、車体パネル17とは例えばダッシュパネルである。ワイヤハーネス11は、外周が保護チューブ等の保護部材によって覆われてもよい。また、ワイヤハーネス11には、図示しない防振材やプロテクタ等が取り付けられてもよい。
一端部である上端開口部41が本体部35に接続された管状部29は、下端開口部43がワイヤハーネス11の被水部分45側となる。
管状部29には、電線のみが挿通されても、保護部材に覆われた電線が挿入されてもよい。立ち上がり配索部27は、垂直であっても、傾斜していても、図例のように垂直部と湾曲部とが連続していてもよい。但し、下端開口部43から上端開口部41に至るまでの配索経路が所定の高低差を有することが必要となる。つまり、本実施形態おグロメット25は、管状部29の上端開口部41が被水部分45に位置する下端開口部43から所定距離X1だけ高く配置される。この所定距離X1の管状部29の上端開口部41側は、防水領域となる。
なお、発明者等は、水の吸い上げが止まる隙間51の調査を行った。テープを電線31に巻き、0.1〜1.0mm程度の隙間51を形成して実験を行った。被水部分45からの所定距離、例えばX1≒50mmの位置に、上記の隙間51となるようにテープ巻きを行って、水の吸い上げ高さを調査した結果、水の吸い上げが止まった。
即ち、電線31における条件(電線径、被覆材質、被覆表面の粗さや撥水性等)によって、隙間51の量が適宜決定される。更に、隙間51を形成する電線径が大きくなるにしたがって、隙間51を大きくする必要があることが知見されている。
ワイヤハーネス11は、図4に示すように、大径電線56、中径電線57,58、小径電線59からなる各種外径の電線31が混在して束ねられる場合がある。この場合、拡径部33は、複数の電線31のうち最大外径を有する大径電線56に設けられることが好ましい。図5に示すように、吸い上げられたときの水60の断面の形状は、径の小さい小径電線59の方が幅W1が広く、径の大きい大径電線56の方が幅W2が狭いことが考えられる。よって、電線径が大きいほど、電線間における吸い上げられたときの水60の断面幅が狭くなるため、吸い上げ高さが高くなると言える。
本実施形態のワイヤハーネス止水構造では、ワイヤハーネス11の立ち上がり配索部27がグロメット25の管状部29に挿通された状態で、管状部29の下端開口部43がワイヤハーネス11の被水部分45側(車室外部13側)となるようにグロメット25を車体パネル17に取付ける。この際、管状部29の下端開口部43が、車室外部13においてワイヤハーネス11の被水部分45が立ち上がり配索部27によって、グロメット25から所定のX1だけ下方に配置される。
図6はグロメット25の管状部29が大きくできない場合のワイヤハーネス止水構造の断面図である。なお、以下の各変形例において図1〜図5に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し重複する説明は省略するものとする。
図6に示すように、グロメット25の管状部29が大きく(長く)できないワイヤハーネス止水構造の場合は、所定距離X1が短いものとし、所定距離X2を満足するように(X1>X2)、拡径部33を設ける電線31の位置や数を特定する。
即ち、毛管現象によって吸い上げられる水の高さは、電線31の外径毎に略決まっており、隣接する電線31との隙間51が小さくなる大径電線56との間ほど高くなる。そこで、外径の異なる大径電線56、中径電線57,58、小径電線59が混在してそれぞれ同一外径の電線31が複数ある場合、隣接する電線31との間に隙間51を形成する対象とされる中径電線58を含む電線群の各電線31、並びに所定外径の中径電線58より太い電線である中径電線57及び大径電線56からなる各電線群の各電線31の全てに拡径部33を設けることで、必要とされる高低差の所定距離X2を設定することができる。
ここで、図4に示したワイヤハーネス11を例に説明すると、ワイヤハーネス11は、大径電線56からなる電線群が1本、中径電線57からなる電線群が1本、中径電線58からなる電線群が2本、小径電線59からなる電線群が2本でそれぞれ構成されている。そこで、所定の高低差(所定距離X2)に応じて隣接する電線31との間に隙間51を形成する対象とされる中径電線58を含む電線群の各電線31、並びに中径電線57及び大径電線56からなる各電線群の各電線31に拡径部33を設ける際には、1本の大径電線56、1本の中径電線57、2本の中径電線58の全てに設ける。何故ならば、隙間51を形成する対象とされる2本の中径電線58からなる電線群の各電線31、並びに中径電線58より太い電線である1本の大径電線56及び1本の中径電線57からなる電線群の各電線31の何れかに拡径部33が設けられていないと、拡径部33が設けられていない電線31と他の電線との隙間51が広がらず、毛管現象による水の吸い上げ高さを所定距離X2下げることが出来なくなる虞があるからである。
図7に示すように、車室外部13に管状部29を設けるのと同様に、管状部29を車室内部15に設けてもよい。この場合、管状部29の上端開口部41Aが、車室内部15に上向きで配置される。即ち、本実施形態おグロメット25は、管状部29の一端部である下端開口部43Aが被水部分45に位置し、管状部29の上端開口部41Aが下端開口部43Aから所定距離X3だけ高く配置される。この所定距離X3の管状部29の上端開口部41A側は、防水領域となる。
従って、本実施形態に係るワイヤハーネス止水構造によれば、止水作業時間を短縮でき、安価にできる。
13…車室外部
15…車室内部
17…車体パネル
25…グロメット
27…立ち上がり配索部
29…管状部
31…電線
33…拡径部
35…本体部
37…貫通孔
41…上端開口部(一端部)
43…下端開口部
56…大径電線
57…中径電線
58…中径電線
59…小径電線
Claims (3)
- 車室外部と車室内部とを仕切る車体パネルに穿設された貫通孔に筒状の本体部の外周が水密に取り付けられると共に前記本体部に一端部が接続された小径の管状部を有するグロメットと、非結束状態の複数の電線が前記貫通孔に対して所定の高低差をもって配索される立ち上がり配索部を有すると共に該立ち上がり配索部が前記管状部に挿通されるワイヤハーネスと、前記管状部に挿通された前記ワイヤハーネスにおける外径の異なる複数種の前記電線の外周に突設され、隣接する前記電線との間に隙間を形成する拡径部と、を備え、
前記拡径部が、前記隙間を形成する前記電線の外径が大きくなるにしたがって前記隙間が大きくなるように設けられることを特徴とするワイヤハーネス止水構造。 - 車室外部と車室内部とを仕切る車体パネルに穿設された貫通孔に筒状の本体部の外周が水密に取り付けられると共に前記本体部に一端部が接続された小径の管状部を有するグロメットと、非結束状態の複数の電線が前記貫通孔に対して所定の高低差をもって配索される立ち上がり配索部を有すると共に該立ち上がり配索部が前記管状部に挿通されるワイヤハーネスと、前記管状部に挿通された前記ワイヤハーネスの少なくとも一本の前記電線の外周に突設され、隣接する前記電線との間に隙間を形成する拡径部と、を備え、
前記拡径部が、前記複数の電線のうち最大外径を有する電線に設けられることを特徴とするワイヤハーネス止水構造。 - 請求項2記載のワイヤハーネス止水構造であって、
前記ワイヤハーネスは、外径の異なる複数種の電線が混在すると共に同一外径の前記電線からなる複数の電線群を有し、
前記拡径部が、前記所定の高低差の距離に応じて前記隙間を形成する対象とされる所定外径の電線を含む前記電線群の各電線、並びに前記所定外径の電線より太い電線からなる前記電線群の各電線の全てに、設けられることを特徴とするワイヤハーネス止水構造。
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