JP5957264B2 - 易開栓性ライナー材 - Google Patents
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Description
このようなオレフィン系ライナー材においては、時間の経過と共にキャップの開栓トルクが著しく増大することから、開栓トルクを低減し、開栓性を高めるために一般に滑剤が配合されているが、オレフィン系樹脂中に添加された滑剤がライナー表面に移行しすぎると、容器蓋の密封の初期トルクが過度に低下するおそれや滑剤が内容物中に落下するおそれがある。
従って本発明の目的は、オレフィン系樹脂及び滑剤から成るオレフィン系ライナーにおいて、熱処理を施すことなく、滑剤をライナー表面に移行させることが可能なライナー材に関する。
本発明のライナー材においては、
1.前記グリセリン脂肪酸エステルが、不飽和脂肪酸のモノエステルであること、
2.前記オレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンであること、
が好適である。
また本発明のライナー材は、密封性に優れていると共に、開栓トルクが低減されており開栓性にも優れている。
更に本発明のライナー材が施されたキャップは、熱間充填に適用された場合にも、滑剤が過剰に溶出するようなことがなく、内容物に対する影響も低減されている。
すなわち、上記範囲よりも溶解度パラメータの絶対値の差が小さい場合(比較例6)、
また、溶解度パラメータの絶対値の差が上記範囲にあっても、滑剤の融点が上記範囲より高い場合(比較例2、4、5)、または、滑剤の融点が上記範囲より低い場合(比較例3)には開栓トルクが十分低減されず、開栓性の点で十分満足するものではなかった。これに対して、本発明のライナー材は、開栓性及び密封性の両方において十分満足する結果が得られていると共に、成形性にも優れている(実施例1〜4)。
本発明のライナー材に使用するオレフィン系樹脂としては、従来ライナー材に使用されていたオレフィン系樹脂及びオレフィン系エラストマーを使用することができ、例えば低−、中−或いは高−密度のポリエチレン(LDPE、MDPE、HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LULDPE)、アイソタクティックポリプロピレン(iso−PP)、シンジオタクティックポリプロピレン(syn−PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EA)等を挙げることができる。
これらのオレフィン系樹脂は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)は、通常0.1〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分の範囲にあることが好適である。
本発明においては特に低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂が好ましく用いられる。更にこれらの中でも、柔軟性と耐ストレスクラック性の点から直鎖状の低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
本発明のライナー材においては、滑剤としてオレフィン系樹脂との溶解度パラメータ(Sp値)の差の絶対値が2.00(cal/cm3)以上及び融点が−2.0〜40℃の範囲にあるグリセリン脂肪酸エステルを用いることが重要な特徴である。
すなわち、本発明においては、ライナー材を構成するオレフィン系樹脂と滑剤の組合せとして相溶性の低いものを選定することにより、従来技術のような熱処理を行わなくてもライナー材中の滑剤を徐放的にライナー表面に浸出させることができ、長期にわたって平均的に開栓トルクを低減することが可能になる。
本発明において、滑剤とオレフィン系樹脂の溶解度パラメータの差の絶対値は、好適には、2.00乃至4.10(cal/cm3)の範囲にあることが望ましい。すなわち上記範囲よりも溶解度パラメータの差の絶対値が小さい場合には、滑剤がライナー材表面に十分浸出せず、所期の目的を達成することができず、その一方上記範囲よりも溶解度パラメータの差の絶対値が大きい場合には、溶融混練する際に押出機のスクリューが滑ってしまい、混練できないおそれがあることから、成形性を確保するために上記範囲にあることが望ましい。
すなわち、滑剤の融点が上記範囲よりも低い場合には、常温以下でも滑剤が液状であり、摩擦係数の低減に十分寄与できず、一方上記範囲よりも大きい場合は滑剤が溶出しても滑り性が悪く、何れの場合もライナー材として所望の開栓性は得られない。
尚、溶解度パラメータには種々の求め方があり、測定方法や計算方法によって多少異なる値が得られると共に、表示単位によっても絶対値の差は多少異なる値が得られるが、本発明においては、溶解度パラメータ(δ)は、一般に知られているように、
δ=(E/V)1/2〔ここで、Eは分子凝集エネルギー、Vは分子容であり、E/Vは凝集エネルギー密度である。〕の式を基に計算した溶解度パラメータ及び用いる原料の製造メーカーのカタログ掲載の値を使用した。
本発明のライナー材は、オレフィン系樹脂及び滑剤を上述した条件を満足するように選定する以外は、従来公知のライナー材と同様に作製することができる。
例えば、オレフィン系樹脂及び滑剤を溶融混練し、この溶融樹脂塊をキャップ頂板部内面に施し、これを圧縮成形するインシェルモールドによって好適にライナー材を形成することができるが、勿論、予めリング状、円盤状、或いはインナーリングが形成された中栓状等、種々の形状のライナーに成形し、これをキャップ頂板部内面に固定してもよい。
また本発明のライナー材には、それ自体公知の樹脂用配合剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、着色剤、充填剤等をそれ自体公知の処方で含有することができる。
本発明のライナー材は、金属製キャップ、樹脂製キャップの何れにも適用することができるが、開栓トルクが低減されていることから、特にねじキャップに好適に使用することができる。
線状低密度ポリエチレン100重量部に対し、10重量部の量のエチレンプロピレンゴム(EPR)を配合し、公知の酸化防止剤、着色剤、分散剤とともに表1に示した滑剤を0.2重量部添加して、押出機で溶融混練してペレットを作成した。
プレス成形により作成した直径28mmのアルミニウム製のキャップに、作成したペレットを用いてライナーとして押出機により押出し、溶融樹脂を回転刃で前記キャップ内側に投入し、直ちに押圧してライナー付キャップを作成した。
(開栓トルクの測定)
作成した前記キャップを室温1日保管した後に、60℃の温水を100ml充填したガ
ラス壜にキャッピングマシンで巻き締めた後、室温で静置した。これを5℃の恒温室に1週間保管した後に、トルク計にて開栓トルクを測定した。測定本数10本の平均値が90〜100Ncmであり、良好な結果が得られた。
(開栓トルクの測定)
実施例1〜4と同一の条件でキャップ作成、充填、巻き締め、保管した後にトルク計にて開栓トルクを測定した。測定本数10本の平均値が120Ncmを越え、満足できる開栓性は得られなかった。
(開栓トルクの測定)
作成した前記キャップを60℃に1日保管して熱処理した以外は実施例1〜4、比較例1〜6と同一の条件でキャップ作成、充填、巻き締め、保管した後にトルク計にて開栓トルクを測定した。
Claims (3)
- オレフィン系樹脂及び滑剤を含有する樹脂組成物から成るライナー材であって、前記滑剤が、前記オレフィン系樹脂との溶解度パラメータ(Sp値)の差の絶対値が2.00〜4.10cal/cm 3 及び融点が−2.0〜40℃の範囲にあるグリセリン脂肪酸エステルであり、前記滑剤が、オレフィン系樹脂100重量部に対し0.01〜0.5重量部の量で配合されていることを特徴とするライナー材。
- 前記グリセリン脂肪酸エステルが、不飽和脂肪酸のモノエステルである請求項1記載のライナー材。
- 前記オレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンである請求項1又は2に記載のライナー材。
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