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JP5957264B2 - 易開栓性ライナー材 - Google Patents

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JP5957264B2 JP2012078014A JP2012078014A JP5957264B2 JP 5957264 B2 JP5957264 B2 JP 5957264B2 JP 2012078014 A JP2012078014 A JP 2012078014A JP 2012078014 A JP2012078014 A JP 2012078014A JP 5957264 B2 JP5957264 B2 JP 5957264B2
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Description

本発明はキャップに用いられるライナー材に関し、より詳細には、密封性と易開栓性の両方を兼ね備えたライナー材に関する。
オレフィン系ライナー材は適度なクッション性と優れた衛生性との組合せを有し、キャップの密封用ライナーとして従来より広く使用されている。
このようなオレフィン系ライナー材においては、時間の経過と共にキャップの開栓トルクが著しく増大することから、開栓トルクを低減し、開栓性を高めるために一般に滑剤が配合されているが、オレフィン系樹脂中に添加された滑剤がライナー表面に移行しすぎると、容器蓋の密封の初期トルクが過度に低下するおそれや滑剤が内容物中に落下するおそれがある。
このようなオレフィン系ライナー材の問題を解決するために、本出願人は、オレフィン系樹脂及び滑剤から成るライナーを、オレフィン系樹脂の融点から40℃低い温度よりも高い温度で熱処理することを提案している(特許文献1)。
特開昭57−27734号公報
上記ライナーによれば、開栓性と密封性という相反する性能を満足するものであるが、上述したような熱処理が必要であることから、生産性に劣るという問題がある。
従って本発明の目的は、オレフィン系樹脂及び滑剤から成るオレフィン系ライナーにおいて、熱処理を施すことなく、滑剤をライナー表面に移行させることが可能なライナー材に関する。
本発明によれば、オレフィン系樹脂及び滑剤を含有する樹脂組成物から成るライナー材であって、前記滑剤が、前記オレフィン系樹脂との溶解度パラメータ(Sp値)の差の絶対値が2.00〜4.10cal/c び融点が−2.0〜40℃の範囲にあるグリセリン脂肪酸エステルであり、前記滑剤が、オレフィン系樹脂100重量部に対し0.01〜0.5重量部の量で配合されていることを特徴とするライナー材が提供される。
本発明のライナー材においては、
.前記グリセリン脂肪酸エステルが、不飽和脂肪酸のモノエステルであること、
.前記オレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンであること、
が好適である。
本発明のライナー材においては、オレフィン系ライナーに配合する滑剤を特定のグリセリン脂肪酸エステルとすることにより、従来、オレフィン系ライナーにおける滑剤をブリードアウトさせるために必須であった熱処理を行う必要がなく、生産性及び経済性に優れている。
また本発明のライナー材は、密封性に優れていると共に、開栓トルクが低減されており開栓性にも優れている。
更に本発明のライナー材が施されたキャップは、熱間充填に適用された場合にも、滑剤が過剰に溶出するようなことがなく、内容物に対する影響も低減されている。
本発明のこのような効果は後述する実施例の結果からも明らかである。
すなわち、上記範囲よりも溶解度パラメータの絶対値の差が小さい場合(比較例6)、
また、溶解度パラメータの絶対値の差が上記範囲にあっても、滑剤の融点が上記範囲より高い場合(比較例2、4、5)、または、滑剤の融点が上記範囲より低い場合(比較例3)には開栓トルクが十分低減されず、開栓性の点で十分満足するものではなかった。これに対して、本発明のライナー材は、開栓性及び密封性の両方において十分満足する結果が得られていると共に、成形性にも優れている(実施例1〜4)。
(オレフィン系ライナー材)
本発明のライナー材に使用するオレフィン系樹脂としては、従来ライナー材に使用されていたオレフィン系樹脂及びオレフィン系エラストマーを使用することができ、例えば低−、中−或いは高−密度のポリエチレン(LDPE、MDPE、HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LULDPE)、アイソタクティックポリプロピレン(iso−PP)、シンジオタクティックポリプロピレン(syn−PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EA)等を挙げることができる。
これらのオレフィン系樹脂は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)は、通常0.1〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分の範囲にあることが好適である。
また上記オレフィン系樹脂には、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、水素化エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、SBSエラストマー、SISエラストマー、SEBSエラストマー、SEPSエラストマー、ブチルゴム、SBR等の熱可塑性エラストマーをブレンドして用いることもできる。
本発明においては特に低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂が好ましく用いられる。更にこれらの中でも、柔軟性と耐ストレスクラック性の点から直鎖状の低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
(滑剤)
本発明のライナー材においては、滑剤としてオレフィン系樹脂との溶解度パラメータ(Sp値)の差の絶対値が2.00(cal/cm)以上及び融点が−2.0〜40℃の範囲にあるグリセリン脂肪酸エステルを用いることが重要な特徴である。
すなわち、本発明においては、ライナー材を構成するオレフィン系樹脂と滑剤の組合せとして相溶性の低いものを選定することにより、従来技術のような熱処理を行わなくてもライナー材中の滑剤を徐放的にライナー表面に浸出させることができ、長期にわたって平均的に開栓トルクを低減することが可能になる。
本発明において、滑剤とオレフィン系樹脂の溶解度パラメータの差の絶対値は、好適には、2.00乃至4.10(cal/cm)の範囲にあることが望ましい。すなわち上記範囲よりも溶解度パラメータの差の絶対値が小さい場合には、滑剤がライナー材表面に十分浸出せず、所期の目的を達成することができず、その一方上記範囲よりも溶解度パラメータの差の絶対値が大きい場合には、溶融混練する際に押出機のスクリューが滑ってしまい、混練できないおそれがあることから、成形性を確保するために上記範囲にあることが望ましい。
また、滑剤とオレフィン系樹脂の溶解度パラメータの差の絶対値が上記範囲にあり、滑剤がライナー材表面に浸出しても、滑剤の融点が上記範囲にない場合には、所望の滑り性を得ることができず、やはり開栓トルクを低減させることができない。
すなわち、滑剤の融点が上記範囲よりも低い場合には、常温以下でも滑剤が液状であり、摩擦係数の低減に十分寄与できず、一方上記範囲よりも大きい場合は滑剤が溶出しても滑り性が悪く、何れの場合もライナー材として所望の開栓性は得られない。
本発明のライナー材においては、上述したライナー材を構成する好適なオレフィン系樹脂であるポリエチレンの溶解度パラメータ(Sp値)は約7.9(cal/cm)、ポリプロピレンが約8.3(cal/cm)であることから、用いる滑剤は、溶解度パラメータが9.95乃至12.00の範囲にあるグリセリン脂肪酸エステルであることが望ましい。また、このようなグリセリン脂肪酸エステルの中でも、熱間充填の際の過剰な溶出を防止する観点から、不飽和脂肪酸のモノエステル及び長鎖分岐脂肪酸のモノエステルが好適である。具体的には、グリセリンモノオレート(Sp値10.85及び融点37.0℃)、グリセリンモノウンデシレート(Sp値12.00及び融点18.8℃)、グリセリンモノイソステアレート(Sp値10.80及び融点−1.7℃)等を挙げることができる。
尚、溶解度パラメータには種々の求め方があり、測定方法や計算方法によって多少異なる値が得られると共に、表示単位によっても絶対値の差は多少異なる値が得られるが、本発明においては、溶解度パラメータ(δ)は、一般に知られているように、
δ=(E/V)1/2〔ここで、Eは分子凝集エネルギー、Vは分子容であり、E/Vは凝集エネルギー密度である。〕の式を基に計算した溶解度パラメータ及び用いる原料の製造メーカーのカタログ掲載の値を使用した。
本発明においては、滑剤が、オレフィン系樹脂100重量部に対し0.01〜0.5重量部、特に0.1〜0.3重量部の量で配合されていることが望ましい。上記範囲よりも滑剤の量が少ない場合には、上記範囲にある場合に比して満足する開栓性を得ることができず、一方上記範囲よりも滑剤の量が多い場合には、滑り性が大きくなりすぎ、容器蓋の密封の初期トルクが過度に低下するおそれや滑剤が内容物中に落下するおそれがある。
(ライナー材の成形)
本発明のライナー材は、オレフィン系樹脂及び滑剤を上述した条件を満足するように選定する以外は、従来公知のライナー材と同様に作製することができる。
例えば、オレフィン系樹脂及び滑剤を溶融混練し、この溶融樹脂塊をキャップ頂板部内面に施し、これを圧縮成形するインシェルモールドによって好適にライナー材を形成することができるが、勿論、予めリング状、円盤状、或いはインナーリングが形成された中栓状等、種々の形状のライナーに成形し、これをキャップ頂板部内面に固定してもよい。
また本発明のライナー材には、それ自体公知の樹脂用配合剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、着色剤、充填剤等をそれ自体公知の処方で含有することができる。
本発明のライナー材は、金属製キャップ、樹脂製キャップの何れにも適用することができるが、開栓トルクが低減されていることから、特にねじキャップに好適に使用することができる。
(ライナー材の作成)
線状低密度ポリエチレン100重量部に対し、10重量部の量のエチレンプロピレンゴム(EPR)を配合し、公知の酸化防止剤、着色剤、分散剤とともに表1に示した滑剤を0.2重量部添加して、押出機で溶融混練してペレットを作成した。
(キャップの作成)
プレス成形により作成した直径28mmのアルミニウム製のキャップに、作成したペレットを用いてライナーとして押出機により押出し、溶融樹脂を回転刃で前記キャップ内側に投入し、直ちに押圧してライナー付キャップを作成した。
実施例1〜4
(開栓トルクの測定)
作成した前記キャップを室温1日保管した後に、60℃の温水を100ml充填したガ
ラス壜にキャッピングマシンで巻き締めた後、室温で静置した。これを5℃の恒温室に1週間保管した後に、トルク計にて開栓トルクを測定した。測定本数10本の平均値が90〜100Ncmであり、良好な結果が得られた。
比較例1〜6
(開栓トルクの測定)
実施例1〜4と同一の条件でキャップ作成、充填、巻き締め、保管した後にトルク計にて開栓トルクを測定した。測定本数10本の平均値が120Ncmを越え、満足できる開栓性は得られなかった。
比較例7
(開栓トルクの測定)
作成した前記キャップを60℃に1日保管して熱処理した以外は実施例1〜4、比較例1〜6と同一の条件でキャップ作成、充填、巻き締め、保管した後にトルク計にて開栓トルクを測定した。
Figure 0005957264
本発明のライナー材は、優れた密封性を確保しながら、開栓トルクが低減され、開栓性にも優れており、ねじ付きキャップに好適に使用できる。また滑剤を開栓初期から長期に亘って徐放的に浸出することができるため、長期間に亘って開閉操作が行われる調味料等の容器のキャップにも好適に用いることができる。また熱間充填等の高温条件に賦された場合にも滑剤の過剰な溶出を抑制できるため、熱間充填が必要な内容物に適用されるキャップに好適に利用できる。更に本発明のライナー材が適用されたキャップは、容器の材質にかかわらず、優れた開栓性及び密封性を発現でき、金属製容器、ガラス容器、樹脂製容器等に好適に適用することができる。

Claims (3)

  1. オレフィン系樹脂及び滑剤を含有する樹脂組成物から成るライナー材であって、前記滑剤が、前記オレフィン系樹脂との溶解度パラメータ(Sp値)の差の絶対値が2.00〜4.10cal/c び融点が−2.0〜40℃の範囲にあるグリセリン脂肪酸エステルであり、前記滑剤が、オレフィン系樹脂100重量部に対し0.01〜0.5重量部の量で配合されていることを特徴とするライナー材。
  2. 前記グリセリン脂肪酸エステルが、不飽和脂肪酸のモノエステルである請求項1記載のライナー材。
  3. 前記オレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンである請求項1又は2に記載のライナー材。
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