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JP5947712B2 - インクジェット捺染方法及び布状繊維製品 - Google Patents

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Description

本発明は、布状繊維製品に対し前処理の後で水性顔料インクをインクジェット印捺するインクジェット捺染方法及びその方法により得られた布状繊維製品に関する。
近年、布状繊維製品の着色方法として、製版を要しない利点から、染料又は顔料を着色剤とするインクを用いたインクジェットによるものが開発されている。
染料による着色の場合、予め布状繊維製品をセルロース糊料などで前処理しておき、その後、繊維種に応じた染料を着色剤とするインクをインクジェット印捺する。すなわち、綿、麻などのセルロース繊維には反応性染料又は直接染料、ウールやシルクなどの動物繊維には酸性染料、ナイロン繊維には酸性染料又は分散染料、ポリエステル繊維には分散染料、アクリル繊維にはカチオン染料などを着色剤とするインクを用いる。インクジェット印捺の後、蒸し、水洗、ソーピング、乾燥などの工程を経ることにより、所望の図柄の布状繊維製品がインクジェット捺染により無製版で得られる。
しかしながら、染料を着色剤とするものであるため、繊維種に応じ、染料(すなわち、染料を含有するインク)を変更する必要があり、また、インクジェット印捺後の蒸し、水洗、ソーピング、乾燥などの工程が複雑で環境負荷も大きくなりがちであるという課題を有する。
一方、染料と異なり繊維に対し直接性がない着色剤である顔料を用いたインクによる着色の場合、顔料を繊維に固着させる上で固着剤を必要とするものの、染料と異なり一種類のインクで各繊維種の布状繊維製品を着色することができ、また、印刷後の蒸し、水洗の工程を要しないので環境負荷が少ないという利点がある。
しかしながら、顔料は、染料と異なり不溶性の着色粒子であるため、顔料インクを用いるインクジェット印刷については、インクジェット印捺機の微細ノズルに目詰まりを生じさせたり、インク中の顔料の経時的沈降や凝集が生じ得るという課題がある。また、繊維に顔料を固着させるために必要とする固着剤によって、インクジェット印捺機のノズル先端において膜張りが生じてノズルの目詰まりが起こり易い、風合いが硬くなりがちである、十分な堅牢性が得られにくいなどの課題を有する。また、顔料インクを繊維に直接印捺すると、繊維中に顔料インクが浸透して高濃度の図柄を得ることが困難となり、更に、顔料インクがマイグレーションして鮮明な画像が得られ難いという課題を有している。
顔料を着色剤とするインクジェット法による着色に関するこれまでの提案の具体例としては、以下の(1)乃至(6)の文献記載の技術を挙げることができる。
(1)特開2003−268271号公報
溶剤中で重合されたアニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料分散した後、溶剤を留去し、酸を加えて酸析することで顔料表面を有機高分子化合物で被覆し、その後、水と塩基を加えて可溶化した着色剤にブロックイソシアネートを配合したインクを用いてインクジェット印捺した布帛に対し加熱処理を行うことで印刷安定性、吐出安定性、保存安定性、洗濯堅牢度に優れたインクジェット捺染を行う技術。
(2)特開2009−215506号公報
顔料、水分散性樹脂、架橋剤としてのブロックイソシアネート系化合物、及び水からなる洗濯堅牢度および摩擦堅牢度が良好である捺染インクジェット用インクを布帛に対する捺染に用いる技術。
(3)特開2006−218791号公報
ポリ乳酸繊維基材上にインク受容層としてガラス転移点が−50℃から−10℃の範囲の水性エマルジョン型アクリル系粘着剤と水溶性カチオンポリマーを主成分とするものを形成した、画像鮮明性、耐水性、耐光性、及び発色性に優れたインクジェット用被記録材を用いる技術。
(4)特開2009−215686号公報
布帛をカチオン系ポリマーの水分散液で前処理した後、インクジェットで着色し、その後ブロックイソシアネートを水に分散した分散液で後処理し、120℃乃至210℃で加熱処理する、高い摩擦堅牢性と優れた発色、鮮明性とを兼ね備えるインクジェット捺染方法。
(5)特表2010−503779号公報
(a)ノニオン性ラテックスポリマーおよび多価カチオン塩溶液を含む水性前処理溶液で織物を前処理するステップと、(b)前処理した織物を乾燥させるステップと、(c)乾燥し、前処理した織物をカラーインクジェットインクでデジタル印刷するステップとを含み、ノニオン性ラテックスポリマーは、多価カチオン塩溶液の存在下において安定であるように十分なノニオン性成分を有する、織物をデジタル印刷する方法。
(6)特開平11−315485号公報
インクジェットでプリントされた織物であって、(a)水性ビヒクル及び着色剤を含む水性インクと(b)該水性インクがプリントされる織物を有し、前記織物は、少なくとも一種類の架橋性熱可塑性ポリマー含有の親水性組成物で処理されており、前記架橋性熱可塑性ポリマーの分子量は少なくとも6000であり、さらに前記架橋性熱可塑性ポリマーは、(1)少なくとも一つのカルボン酸基と少なくとも一つの架橋性基とを有するポリマーと、(2)少なくとも一つのカルボン酸基を有する第一のポリマーと少なくとも一つの架橋性基を有する第二のポリマーとの混合物からなる群から選択されるポリマーと、からなる群から選択されるプリント織物に関する技術。
しかしながら、上記(1)乃至(6)の文献記載の提案は以下のような点において課題を有する。
文献(1)記載の技術は、一旦溶剤系で顔料を微分散した後、酸析して顔料表面に有機高分子化合物を固着させ、その後、塩基を配合して可溶化して着色剤にするという複雑な工程を必要とし、作業性が悪く手間を要し、適切な着色剤を得る方法とは言い難い。また、これらの顔料分散剤によって顔料分散された顔料分散体は、粘度が高く、顔料を高濃度に分散させるとインクジェットに使用し得ない程度にインク粘度が高くなるため高着色濃度のインクジェット用インクには適さないと考えられる。また、このインクにブロックイソシアネートを配合して布帛を着色し、加熱処理を行った場合においても、布帛に対するインク成分の固着力が弱く、満足できる堅牢性が得られるとは言い難い。
文献(2)記載の技術は、文献(1)記載の技術と同じく着色インク中にのみ架橋剤としてのブロックイソシアネート系化合物を配合するものであり、着色インク中の水分散性樹脂とブロックイソシアネート系化合物の架橋のみでは布帛への顔料の固着が十分ではなく、堅牢性を確保し得ないと考えられる。
文献(3)記載の技術は、予め、水性エマルジョン型アクリル系粘着剤と水溶性カチオンポリマーを主成分とするもので繊維基材を前処理することにより、繊維基材の表面全面が樹脂膜で被覆されることとなるため、繊維基材の風合いが硬くなり、通気性が阻害されるものと考えられる。また、疎水性膜上にインクジェットプリントするものであるため、インクがはじかれて鮮明な画像は得られ難いものと考えられる。
文献(4)記載の技術は、カチオン系ポリマーで布帛を前処理し、インクジェットプリントの発色濃度を向上させ、ブロックイソシアネート化合物で後処理することで堅牢性を向上させることを目的としたものであるが、ポリマーで前処理すると風合いが硬くなる。また、インクジェットプリント後、ブロックイソシアネートで後処理すると、着色インク中の固着剤とブロックイソシアネートの架橋が生じ、固着剤の耐水性は向上するが、布帛と顔料及び固着剤の固着が十分でなく、着色布帛としての十分な堅牢性が確保できるとは考えられない。
文献(5)及び(6)記載の技術は、文献(4)記載の技術と同様に、ポリマーで布帛を前処理するため、風合いを阻害し、また、疎水性膜上にインクジェットプリントすることからインクがはじかれて鮮明な画像が得られ難いものと考えられる。
以上のように、インクジェット法による布状繊維製品の着色において染料を着色剤とする場合、インクジェット装置のノズルの目詰まりが生じにくくインクの吐出安定性が良好であると共に、繊維に対し染着性があり、着色された布状繊維製品の風合いや堅牢性等の品質が良好である。しかしながらこの場合は、繊維種による染料の選定が必要である他、工程が複雑で、効率が良いとは言えず、設備及び資源消費のコストを要し、且つ、廃液による環境負荷が比較的大きいという課題が存する。
一方、インクジェット法による布状繊維製品の着色において顔料を着色剤とする場合は、繊維種に応じた顔料の選定が不要で工程も比較的簡便なものとなるが、顔料インクの長期保存安定性及びインクジェット装置におけるノズルの目詰まり発生や吐出安定性低下の可能性、並びに、着色された布状繊維製品の風合いや堅牢性等の品質が良好とは言い難いという課題を有する。
そのため、顔料を着色剤とするインクを用いたインクジェット法による布状繊維製品の着色に関し、鮮明な画像が得られ、インクジェット印捺機の微細ノズルに目詰まりが生じることが防がれ、着色の堅牢性に優れ、風合いが柔軟な着色製品が得られる、インクジェット法による着色方法の開発が待たれている。
特開2003−268271号公報 特開2009−215506号公報 特開2006−218791号公報 特開2009−215686号公報 特表2010−503779号公報 特開平11−315485号公報
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、顔料インクを用いて布状繊維製品を鮮明に着色し得、インクジェット印捺機のノズルに目詰まりが生じることが防がれ、着色された布状繊維製品の風合いや堅牢性等の品質が良好なインクジェット捺染方法及びその布状繊維製品を提供することにある。
[1] 本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねることにより、特定のカチオン性界面活性剤とブロックイソシアネート化合物により対象布状繊維製品を前処理した後、架橋反応性を有する水溶性分散剤、自己乳化型ウレタン樹脂、及びブロックイソシアネート化合物を少なくとも含む水性顔料インクをインクジェット印捺することによって、風合い柔軟で堅牢性に優れた顔料着色を布状繊維製品に対し行い得るインクジェット捺染方法を完成させることができた。
このインクジェット捺染方法によれば、特定のカチオン性界面活性剤とブロックイソシアネート化合物により布状繊維製品を前処理することによって、その布状繊維製品に対する水性顔料インクのインクジェット印捺を、滲みや浸透を可及的に防いで鮮明に而も高濃度に行うことが可能となると共に、前処理において用いられたブロックイソシアネート化合物および/または水性顔料インクにおけるブロックイソシアネート化合物が、当該水性顔料インクにおける架橋反応性を有する水溶性分散剤および/または自己乳化型ウレタン樹脂の架橋性官能基と架橋反応することにより、水溶性分散剤、自己乳化型ウレタン樹脂、ブロックイソシアネート化合物が一体となって水不溶性化し、顔料を含有した状態で布状繊維製品における繊維に強固に固着して、風合い柔軟で堅牢性に優れた顔料着色がなされた布状繊維製品が得られる。
[2] 本発明のインクジェット捺染方法及び布状繊維製品は、次のように表すことができる。
1.布状繊維製品のうち所定の前処理がなされた部分に対し、インクジェット法で水性顔料インクを印捺する印捺工程を有するインクジェット捺染方法であって、
前記所定の前処理は、少なくとも、
(A)下記式(1)で表される第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、及び、
(B)ブロックイソシアネート化合物
を前記布状繊維製品の全体又は所要部分に適用することによりなされるものであり、
前記水性顔料インクは、顔料、及び、溶媒又は分散媒としての水系液体、並びに、
(C)架橋反応性を有する水溶性分散剤、
(D)自己乳化型ウレタン樹脂、及び、
(E)ブロックイソシアネート化合物
を少なくとも含むものであるインクジェット捺染方法。
Figure 0005947712
....(1)
[式(1)中、R乃至Rのうち、何れか2つは互いに独立的に炭素数8乃至18のアルキル基を示し、残りの2つは互いに独立的にメチル基又はエチル基を示し、Xはアニオンを示す。]
2.上記印捺工程よりも前に、布状繊維製品の全体又は所要部分に対し上記所定の前処理を行う前処理工程を有する上記1記載のインクジェット捺染方法。
3.上記前処理が、
少なくとも、
(A)上記式(1)で表されるカチオン性界面活性剤、及び、
(B)ブロックイソシアネート化合物
を含有する前処理剤を布状繊維製品の全体又は所要部分に適用することによりなされるものである上記1又は2記載のインクジェット捺染方法。
4.上記(B)ブロックイソシアネート化合物が、
ヘキサメチレンジイソシアネート、
水添キシリレンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、又は
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの、
トリメチロールプロパンアダクト体
又は
イソシアヌレート体
のイソシアネート基がブロックされてなるものである上記1、2又は3記載のインクジェット捺染方法。
5.上記(B)のブロックイソシアネート化合物が、マロン酸ジエチル、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチルピラゾール、又は2−ブタノンオキシムをブロック剤として得られたものである上記4記載のインクジェット捺染方法。
6.上記水性顔料インクが、最大粒子径が500nm以下の顔料が分散してなる分散液である上記1乃至5の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
7.上記(C)の架橋反応性を有する水溶性分散剤が、
(1)CH=CR−COOR[式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2乃至8のアルキル基を示す。]で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体20乃至80重量部、
(2)カルボキシル基を有する脂肪族ビニル単量体80乃至20部、並びに
(3)架橋反応性を有する脂肪族ビニル単量体0乃至20部
から得られた分子量2,000乃至20,000のエマルジョン重合体が、塩基性物質により中和されてなるものである上記1乃至6の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
8.上記(2)カルボキシル基を有する脂肪族ビニル単量体が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記7記載のインクジェット捺染方法。
9.上記塩基性物質が第二級アミン又は第三級アミンである上記7又は8記載のインクジェット捺染方法。
10.上記水性顔料インク中の(C)の架橋反応性を有する水溶性分散剤の配合割合が、顔料1.0重量部に対して0.05乃至2.0重量部の範囲である上記1乃至9の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
11.上記水性顔料インクが、分散助剤として、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含有する上記1乃至10の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
12.上記(D)の自己乳化型ウレタン樹脂が、
少なくとも、
イソシアネート類、及び、
カルボキシル基又はスルホン酸基を有するポリオール
からなる成分より得られたものである上記1乃至11の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
13.上記(D)の自己乳化型ウレタン樹脂のガラス転移点(Tg)が−60乃至20℃である上記1乃至12の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
14.上記(E)のブロックイソシアネート化合物が、
ヘキサメチレンジイソシアネート、
水添キシリレンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、又は
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの、
トリメチロールプロパンアダクト体
又は
イソシアヌレート体
のイソシアネート基がブロックされてなるものである上記1乃至13の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
15.上記(E)のブロックイソシアネート化合物が、マロン酸ジエチル、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチルピラゾール、又は2−ブタノンオキシムをブロック剤として得られたものである上記14記載のインクジェット捺染方法。
16.上記(E)のブロックイソシアネート化合物が水溶性又は自己乳化性であり、上記水性顔料インクが再分散性に優れたものである上記1乃至15の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
17.上記水性顔料インクの粘度が、20℃において3乃至30mPa・sである上記1乃至16の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
18.上記水性顔料インクの表面張力が20乃至40mN/mである上記1乃至17の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
19.上記印捺工程によりインクジェット法で水性顔料インクが印捺された布状繊維製品のうち少なくとも水性顔料インクが印捺された部分に対し加熱処理を行う熱処理工程を有する上記1乃至18の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
20.上記前処理が、
少なくとも、
(A)上記式(1)で表されるカチオン性界面活性剤、及び、
(B)ブロックイソシアネート化合物
を、パディング法、コーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット法又はスプレー法により布状繊維製品の全体又は所要部分に適用することによりなされる上記1乃至19の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
21.上記印捺工程によりインクジェット法で水性顔料インクが印捺された布状繊維製品のうち少なくとも水性顔料インクが印捺された部分に対し、パディング法、コーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット法又はスプレー法により後処理を行う後処理工程を有する上記1乃至20の何れかに記載のインクジェット捺染方法。
22.上記後処理が、アクリル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、架橋剤、可塑剤、界面活性剤及びシリコーン系柔軟剤のうち少なくとも1種を、上記布状繊維製品のうち少なくとも水性顔料インクが印捺された部分に対し適用することにより行われる上記21記載のインクジェット捺染方法。
23.上記1乃至22の何れかに記載のインクジェット捺染方法により捺染がなされた布状繊維製品。
[3] 本発明は、次のような知見に基づいてなされたものである。
(1) 顔料インクを用いたインクジェット捺染における課題
顔料を着色剤とするインクを用いたインクジェット捺染には、例えば、
非イオン性界面活性剤又は陰イオン性界面活性剤を顔料分散剤とし、それに水、湿潤剤などの親水性溶媒、固着剤としてのエマルジョン型樹脂などを配合してインク化の後、布状繊維製品に所望の図柄を印捺する;
予めカチオン性ポリマーとアクリル系エマルジョン樹脂(粘着剤)で前処理した布に印捺する;
被覆顔料として、溶剤中で重合されたアニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料分散した後、溶剤を留去し、その後、酸を加えて酸析し、顔料表面を有機高分子化合物で被覆し、その後、水と塩基を加えて可溶化したマイクロカプセル化顔料に、ブロックイソシアネートを配合したインクをインクジェット法で印捺して加熱処理を行う;
顔料を水分散性樹脂で分散し、架橋剤としてのブロックイソシアネートを加え加熱することで、堅牢性に優れた着色を行う
等があるが、次のような課題があった。
(1-1) 顔料分散剤として非イオン性界面活性剤や陰イオン性界面活性剤を用いると、これらは分散能が高いので、長期安定性に優れ、インクジェット用に適した顔料分散体を得ることができる。しかしながら、これを布状繊維製品の着色に用いると、繊維との親和性が良くないので、顔料の固着を阻害しがちとなる。また、布状繊維製品に残った界面活性剤は、その水溶性のため、布状繊維製品の洗濯堅牢性、摩擦堅牢性などに悪影響を与える。
(1-2) アニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料分散し、酸析、塩基で再溶解させたマイクロカプセル化顔料は、顔料表面を有機高分子で被覆することにより耐水性を向上させることができるが、極めて複雑な製造工程を必要とすることから生産性が悪い。また、分散後、酸析、塩基による再溶解を必要とすることから、一部の顔料が凝集を起こし、長期保管中の着色濃度低下、分離沈降及び増粘、並びにノズル詰まり惹起等が発生しがちである。また、固着剤を兼ねた水分散性樹脂による顔料分散体は、水分散性であることから親油性が強く、顔料分散時の粘度が高くなる。また、溶媒としての水が揮散すると水不溶性となり、ノズル先端での目詰まりが生じ易くなる。
(1-3) 顔料を布状繊維製品に固着させるため布状繊維製品表面に予めカチオン性ポリマーとアクリル系エマルジョン樹脂を塗工し、その表面にインクジェット印捺することで顔料を布状繊維製品上に固着する方法では、固着された顔料はイオン的に表面固着しているのみであり、十分な堅牢性を保持できるものではない。また、カチオン系ポリマーにアクリル系樹脂(粘着剤)を併用するが、乾燥した樹脂膜に対するインクジェット印捺であるため、樹脂表面に顔料が表面接着しているものとなり、その堅牢度は不十分である。また、前処理剤が布状繊維製品全体に塗工されるので、風合いや触感を悪くし、通気性を阻害しがちである。また、前処理なしに顔料を布状繊維製品表面に固着させるには、インク中に固着用エマルジョン樹脂を大量に配合することを要する。固着用エマルジョン樹脂は、顔料を強固に布状繊維製品に接着することができるが、乾燥すると水不溶性の皮膜を形成するため、大量配合はインクジェットノズルの目詰まりを引き起こし、布状繊維製品における着色箇所の風合いも硬くなる。
(1-4) 前記(1-3)におけるエマルジョン樹脂の大量配合によるインクジェットノズルの目詰まり発生を、多量の湿潤剤を配合して乾燥を遅らせることにより防ぐことが考えられるが、多量の湿潤剤の配合は布状繊維製品における着色箇所の堅牢性を大きく低下させるおそれがあるばかりか、湿潤剤を多量に配合したとしてもノズル先端の目詰まりを完全に解消することはできない。
(1-5) カルボキシル基を有する有機高分子化合物で被覆した顔料にブロックイソシアネートと水を加えてインクジェット印捺を行い、その後加熱して布状繊維製品を着色する方法においては、カルボキシル基とイソシアネート基の反応により、布状繊維製品表面で顔料を水不溶化することができるが、前記のように、被覆顔料は、その複雑な製造工程ゆえにインクジェットインクとしての長期保存安定性を損ないがちである。また、カルボキシル基とイソシアネート基の反応のみでは、布状繊維製品における着色箇所に十分な堅牢性(洗濯堅牢性、摩擦堅牢性等)をもたらすことは難しい。
(2) 課題の解決
(2-1) 前処理において特定のカチオン性界面活性剤を布状繊維製品に適用することにより、水性顔料インクとの間でイオンコンプレックスを形成させて滲みや浸透を可及的に防止し、鮮明で高濃度の印捺を可能とする。前処理に樹脂を用いないため布状繊維製品の風合いが損なわれない。
(2-2) 前記(2-1)におけるカチオン性界面活性剤の使用は、耐水性などの堅牢性の低下が懸念されるが、前記前処理においてブロックイソシアネート化合物を用い、且つ、水性顔料インク中に架橋反応性を有する水溶性分散剤及び自己乳化型ウレタン樹脂を用いることにより、前処理におけるブロックイソシアネート化合物と、水性顔料インク中の架橋反応性を有する水溶性分散剤および/または自己乳化型ウレタン樹脂の架橋性官能基が架橋反応し、顔料、架橋反応性を有する水溶性分散剤、自己乳化型ウレタン樹脂、ブロックイソシアネート化合物が一体的なものとなり、堅牢性が確保される。
(2-3) 架橋反応性を有する水溶性分散剤を用いて得られる顔料分散体と、固着剤としての自己乳化型ウレタン樹脂と、架橋剤としてのブロックイソシアネート化合物を配合することで、低粘度且つ高着色濃度であり、印捺作業に優れ、長期保存安定性を有するインクジェット用の水性顔料インクが得られる。更に、前処理におけるブロックイソシアネート化合物および/または水性顔料インク中のブロックイソシアネート化合物と、水性顔料インク中の架橋反応性を有する水溶性分散剤および/または自己乳化型ウレタン樹脂の架橋性官能基が架橋反応することで、それらが水不溶性となり、顔料固着剤として機能するので、風合いを損なうことを防ぎつつ、着色箇所の堅牢性が良好な布状繊維製品が得られる。
(3) 以上の点に基づいた本発明のインクジェット捺染方法によれば、従来のインクジェット捺染の、無製版で捺染を行い得るゆえの利点である小ロット、多品種、短納期で製版代を必要とせず、極めて効率的に捺染を行うことが可能である点に加え、特定のカチオン性界面活性剤とブロックイソシアネート化合物により布状繊維製品を前処理することによって、その布状繊維製品に対する水性顔料インクのインクジェット印捺を、滲みや浸透を可及的に防いで鮮明に而も高濃度に行うことが可能となると共に、前処理において用いられたブロックイソシアネート化合物および/または水性顔料インクにおけるブロックイソシアネート化合物と、当該水性顔料インクにおける架橋反応性を有する水溶性分散剤および/または自己乳化型ウレタン樹脂の架橋性官能基が架橋反応することにより、水溶性分散剤、自己乳化型ウレタン樹脂、ブロックイソシアネート化合物が一体となって水不溶性化し、顔料を含有した状態で布状繊維製品における繊維に強固に固着して、風合い柔軟で堅牢性に優れた顔料着色がなされた布状繊維製品が得られる。
本発明におけるインクジェット捺染方法においては、前処理における特定のカチオン性界面活性剤と水性顔料インクによりイオンコンプレックスが形成され、前処理におけるブロックイソシアネート化合物および/または水性顔料インクにおけるブロックイソシアネート化合物と当該水性顔料インクにおける架橋反応性を有する水溶性分散剤および/または自己乳化型ウレタン樹脂の架橋性官能基が架橋反応することにより、或いは、更にブロックイソシアネート化合物自身が縮合反応することにより、所期の効果がもたらされるものであり、何れの構成が欠けても本発明の目的は達成され得ない。すなわち、本発明の構成には格別の意義がある。
本発明によれば、特定のカチオン性界面活性剤とブロックイソシアネート化合物により布状繊維製品を前処理することによって、その布状繊維製品に対する水性顔料インクのインクジェット印捺を、滲みや浸透を可及的に防いで鮮明に而も高濃度に行うことが可能となると共に、前処理において用いられたブロックイソシアネート化合物および/または水性顔料インクにおけるブロックイソシアネート化合物と、当該水性顔料インクにおける架橋反応性を有する水溶性分散剤および/または自己乳化型ウレタン樹脂の架橋性官能基が架橋反応することにより、水溶性分散剤、自己乳化型ウレタン樹脂、ブロックイソシアネート化合物が一体となって水不溶性化し、顔料を含有した状態で布状繊維製品における繊維に強固に固着して、風合い柔軟で堅牢性に優れた顔料着色がなされた布状繊維製品が得られる。
本発明の実施の形態を説明する。
(1) 布状繊維製品
本発明のインクジェット捺染方法の対象となる布状繊維製品は、各種繊維により構成された織物、編み物、不織布、起毛布等であって、生地であると、衣類(シャツ、トレーナー、ジャージ、パンツ、ワンピース、ブラウス、帽子、靴下等)、身の回り品(ハンカチ、ネクタイ、布製ベルト等)、その他の製品(靴、寝具、シーツ、カーテン、カーシート、バッグ、旗等)であるとを問わない。繊維以外により構成された部分を有するものであっても原則として対象から除外されない。
布状繊維製品を構成する繊維にも原則として制限はなく、例えばナイロン、ポリエステル、アクリル、乳酸繊維、アセテート、レーヨン、綿、絹、毛、麻、ガラス繊維等の各種合成繊維、半合成繊維、天然繊維及び無機繊維(これらの混紡を含む)により構成された布状繊維製品が対象となる。
また、白色繊維製品のみならず、有色繊維製品に対しても、例えば白色隠蔽性水性顔料インクを用いて本発明のインクジェット捺染方法により捺染を行った後、有色水性顔料インクを用いて本発明のインクジェット捺染方法により捺染を行うことで、カラー画像を含む所望の図柄等を形成することができる。
(2) 前処理
本発明のインクジェット捺染方法は、布状繊維製品に対する前処理工程を含むものの他、布状繊維製品に対し前処理が予め行われている場合も含む。
本発明における前処理は、少なくとも、
(A)上記式(1)で表される第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、及び、
(B)ブロックイソシアネート化合物
を布状繊維製品の全体又は所要部分に適用することによりなされる。
この前処理においては、式(1)のカチオン性界面活性剤、及び、ブロックイソシアネート化合物を、別個に布状繊維製品に適用する(例えば、布状繊維製品に含浸させ又は付着させる)ことができるほか、両者を含有する1つの前処理剤を布状繊維製品に適用することもできる。
(A)式(1)で表される第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤
式(1)の第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤を、前処理において布状繊維製品の全体又は所望の部分に適用することにより、その後にインクジェット印捺される水性顔料インクとの間でイオンコンプレックスを形成する。そのため、着色の堅牢性の低下を招くことなく、水性顔料インクの滲みや浸透を可及的に防止し、鮮明且つ高着色濃度での水性顔料インクのインクジェット印捺を可能とする。
前処理において式(1)の第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤は、布状繊維製品に対し、水性顔料インクの滲みや浸透を防止する量を適用することができる。適用量が多いと耐水性などの堅牢性が低くなる可能性があり、少なければ滲みや浸透の防止が不十分となる可能性がある。
式(1)中のR乃至Rのうち、何れか2つは互いに独立的に炭素数8乃至18のアルキル基とし、残りの2つは互いに独立的にメチル基又はエチル基とする。
前記4つのアルキル基のうち2つをメチル基又はエチル基とすることで、式(1)の第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤が水溶性となり、ブロックイソシアネート化合物と共に前処理剤を構成した場合における前処理剤の保存安定性を良好なものとする。
前記4つのアルキル基における他の2つのアルキル基のうち一方又は両方の炭素数が8より少ないと、耐水性が低くなる。一方、2つのアルキル基のうち一方又は両方の炭素数が18より多いと鮮明且つ高着色濃度での水性顔料インクのインクジェット印捺を行い難くなり、更に、ブロックイソシアネート化合物と共に前処理剤を構成した場合に、相分離が起こり易くなる等、前処理剤の保存安定性が低くなる。
式(1)における炭素数8乃至18のアルキル基は、直鎖又は分岐であってもよく、例えばオクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イソオクチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、4−エチル−2−メチルヘプチル基等が挙げられるが、これらに限るものではない。
また、式(1)の第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤は、前記4つのアルキル基を全てメチル基又はエチル基とすると、より親水性が高まるが、水性顔料インクによる着色の堅牢性を低下させる。一方、前記4つのアルキル基の全てを炭素数8乃至18とすると、式(1)の界面活性剤の疎水性が高まるため耐水性は向上するが、水溶性とならない。更に、式(1)の界面活性剤は、1つのアルキル基のみが炭素数8乃至18では耐水性が不十分であり、2つのアルキル基の炭素数を8乃至18、他の2つのアルキル基をメチル基又はエチル基として両者の比率を1:1とすることで、水溶性と着色の堅牢性に適度なバランスが得られる。
式(1)中のXはアニオンを示す。このアニオンの例としては、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、有機酸イオン、水酸化物イオンを挙げることができる。ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、有機酸イオンのより具体的な例としては、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、マロン酸イオン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(B)ブロックイソシアネート化合物
本発明において前処理に用いるブロックイソシアネート化合物としては、(C)架橋反応性を有する水溶性分散剤、及び、(D)自己乳化型ウレタン樹脂の架橋性官能基と、加熱(好ましくは100℃以上の加熱)により反応性を示す基を有するもの(例えば、2又は3以上有するもの)を用いることができる。
本発明におけるブロックイソシアネート化合物を、前処理において布状繊維製品に適用することにより、その後インクジェット印捺される水性顔料インク中の架橋反応性を有する水溶性分散剤及び自己乳化型ウレタン樹脂と架橋反応し、それらが水不溶性化して布状繊維製品に固着する。また、ブロックイソシアネート化合物自体が縮合して布状繊維製品に固着することでプライマー様機能を発揮し得る。
前処理においてブロックイソシアネート化合物は、布状繊維製品に対し、少なくとも反応する架橋反応性を有する水溶性分散剤及び自己乳化型ウレタン樹脂の架橋性官能基の数に見合う量より多く適用することが好ましい。適用量が多すぎると布状繊維製品の風合いが硬くなるおそれがあり、少なければ着色の堅牢性が低下するおそれがある。
ブロックイソシアネート化合物としては、
HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、
H6XDI(水添キシリレンジイソシアネート)、
IPDI(イソホロンジイソシアネート)、又は
H12MDI(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)の、
TMP(トリメチロールプロパン)アダクト体
又は
イソシアヌレート体
のイソシアネート基がブロックされてなるものが好ましい。 この場合のブロック剤としては、DEM(マロン酸ジエチル)、DIPA(ジイソプロピルアミン)、TRIA(1,2,4−トリアゾール)、DMP(3,5−ジメチルピラゾール)、又はMEKO(2−ブタノンオキシム)が好ましいが、これに限るものではない。
なお、本発明における(B)のブロックイソシアネート化合物は、そのイソシアネート基の一部をポリオール、ポリカーボネート、ポリエステル、又はポリエーテル等と反応させたオリゴマーとして用いることもできる。
(3) 前処理剤
本発明において布状繊維製品の前処理に用いる前処理剤は、少なくとも、
(A)式(1)で表される第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、及び
(B)ブロックイソシアネート化合物
を含有する。
また、前処理剤には上記以外の成分として、水、水溶性有機溶剤、酸化防止剤、乾燥防止剤、紫外線吸収剤、架橋触媒、可塑剤、消泡剤等を適宜配合することができる。
前処理剤中、式(1)で表される第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤の配合量は例えば0.5乃至20重量%、ブロックイソシアネート化合物の配合量は例えば0.5乃至15重量%とすることができる。
式(1)の第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤の前処理剤への配合量としては、水性顔料インクの滲みや浸透を防止する量を配合する必要があり、前処理剤100部に対し、20部以下が好ましく、より好ましくは10部以下、更に好ましくは5部以下である。配合量が多いと耐水性などの着色堅牢性が低くなり、少なければ水性顔料インクの滲みや浸透の防止ができなくなるおそれがある。
ブロックイソシアネート化合物の前処理剤への配合量としては、反応する架橋反応性を有する水溶性分散剤及び自己乳化型ウレタン樹脂の架橋性官能基の数に見合う量より多く配合することが望ましい。前処理剤100部に対するブロックイソシアネート化合物の配合量は、15部以下が好ましく、より好ましくは10部以下、更に好ましくは5部以下である。それより配合量が多いと布状繊維製品の風合いが硬くなるおそれがあり、少なければ着色堅牢性が低くなるおそれがある。
(4) 前処理方法
本発明における前処理は、式(1)で表されるカチオン性界面活性剤及びブロックイソシアネート化合物(或いは、少なくともこれらを含有する前処理剤)を、パディング法、コーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット法又はスプレー法により布状繊維製品の全体又は所要部分に適用することにより行うことができる。
このように布状繊維製品に対し前処理剤等を適用した後、湿潤状態で、又は乾燥させた後、或いは、加熱処理を加えた後、水性顔料インクをインクジェット印捺することができる。
(5) 印捺工程
本発明のインクジェット捺染方法においては、布状繊維製品のうち前記前処理がなされた部分に対し、インクジェット法で水性顔料インクを印捺する。
対象布状繊維製品における所望の部分の全てについて前処理工程を終えた後でその前記所望の部分の全てについて印捺工程を行うものとすることができる他、例えば、対象布状繊維製品における所望の部分について順次前処理工程を行い、所望の部分の全てについて前処理工程が終わるより前に、前処理工程を終えた部分について順次印捺工程を行うものとすることができる。
(6) 水性顔料インク
本発明における水性顔料インクは、顔料、及び、溶媒又は分散媒としての水系液体、並びに、
(C)架橋反応性を有する水溶性分散剤、
(D)自己乳化型ウレタン樹脂、及び、
(E)ブロックイソシアネート化合物
を少なくとも含む。
(C)架橋反応性を有する水溶性分散剤
本発明における架橋反応性を有する水溶性分散剤と(D)自己乳化型ウレタン樹脂が、前処理における(B)ブロックイソシアネート化合物および/または水性顔料インク中の(E)ブロックイソシアネート化合物と架橋反応することにより、それらが一体となって水不溶性化し、顔料を含有した状態で布状繊維製品における繊維に強固に固着する。
本発明における架橋反応性を有する水溶性分散剤は、例えば、
(C1)(メタ)アクリル酸エステル単量体、
(C2)カルボキシル基を有する脂肪族ビニル単量体、
(C3)架橋反応性を有する脂肪族ビニル単量体からなる
(C4)エマルジョン重合体を
(C5)塩基性物質により中和したもの
である。
本発明において、水性顔料インク中の架橋反応性を有する水溶性分散剤の配合割合は、顔料1.0重量部に対して水溶性分散剤が0.05乃至2.0重量部の範囲が好ましく、0.05より少ないと分散粘度が高くなるおそれがあり、2.0より多いと経時粘度安定性が低下するおそれがある。
(C1)(メタ)アクリル酸エステル単量体
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、CH=CR−COOR[式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2乃至8のアルキル基を示す。]で表されるものを好適に用いることができる。
が水素原子又は炭素数1のアルキル基である場合は布状繊維製品に対する着色部分が耐水性を欠くか又は耐水性が不十分となり、Rが炭素数9以上のアルキル基であれば顔料の分散性が悪くなり、Rに芳香環があれば水性顔料インクの粘度が高くなり、また経時粘度安定性も悪くなる。
この(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。本発明においては、このような(メタ)アクリル酸エステル単量体の1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
(C2)カルボキシル基を有する脂肪族ビニル単量体
上記カルボキシル基を有する脂肪族ビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。本発明においては、このようなカルボキシル基を有する脂肪族ビニル単量体の1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
(C3)架橋反応性を有する脂肪族ビニル単量体
上記架橋反応性を有する脂肪族ビニル単量体としては、前記の(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合可能なカルボキシル基を除く架橋性官能基を有する脂肪族ビニル単量体を用いることができる。具体例としては、(メタ)ヒドロキシアクリレート、(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド、水酸基を伴うウレタン基含有ビニル単量体、エポキシ基含有ビニル単量体、高カルボン酸とポリアルコール等の単量体から形成されるエステル基含有ビニル単量体、オルガノシロキサンなどが形成されるシリコーン基含有ビニル単量体、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシアルキルの硫酸エステル、ビニルホスホン酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルのリン酸エステル、(メタ)アクリル酸アルキルホスホン酸、ビニルアルコール、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン等を挙げることができるが、これらに限らない。
(C4)エマルジョン重合体
上記単量体を重合させるには、例えば、通常の乳化重合法によりビニル重合させることが可能である。例えば、重合触媒、(C4−a)乳化分散剤、及び(C4−b)連鎖移動剤の存在下、50乃至90℃で4乃至10時間程度反応させることにより、所望のエマルジョン重合体が得られる。
本発明に適した(C1)(メタ)アクリル酸エステル単量体の比率は、全単量体100部に対し20乃至80部、より好ましくは30乃至70部の範囲、着色箇所の堅牢性の点から更に好ましくは40乃至60部の範囲である。20部を下回ると架橋後の耐水性が得られにくく、80部を超えると塩基性物質で中和しても水溶性になり難い。
本発明に適した(C2)カルボキシル基を有する脂肪族ビニル単量体の比率は、顔料分散時の低粘度化、経時粘度安定性の点から、全単量体100部に対して80乃至20部である。好ましくは70乃至30部、更に好ましくは60乃至40部の範囲である。80部を超えると架橋後の着色箇所に耐水性が得られにくく、20部を下回ると水溶性になり難い。
本発明に適した(C3)架橋反応性を有する脂肪族ビニル単量体の比率は、全単量体100部に対して0乃至20部、より好ましくは0乃至15部である。20部を超えると顔料分散性が低下し、モノマー種によっては水溶性とならないおそれがある。
重合後の分子量は例えば2,000乃至20,000とすることができるが、好ましくは3,000乃至10,000の範囲である。20,000を超えると分散粘度が高くなり易く、顔料分散性も低下するおそれがある。2,000を下回ると顔料の固着性が不十分となるおそれがある。
(C4−a)乳化分散剤
乳化分散剤としては、例えば、非イオン又はアニオン性界面活性剤を用いることができる。特に、重合時に単量体と共重合可能な反応性界面活性剤を用いることで、着色箇所の耐水性が向上する。
反応性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル等を例示することができるが、これらに限るものではない。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
(C4−b)連鎖移動剤
連鎖移動剤は、エマルジョン重合体の分子量を2,000乃至20,000の所望の分子量に調整するためのものであり、例えば、メルカプト系、四塩化炭素、アルファ−メチルスチレンダイマーなどが挙げられるが、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、3−メルカプトプロピオネート、3,3’−チオジプロピオン酸、チオグリコール酸などのメルカプト系連鎖移動剤を用いることが分子量を制御する上で好適である。
配合量は、全単量体1.0に対して連鎖移動剤0.02乃至0.1の範囲(重量比)が好ましく、更に好ましくは0.04乃至0.08の範囲である。
(C5)塩基性物質
塩基性物質は、エマルジョン重合体の中和剤として用いるものであり、塩基性物質であれば特に限定されない。例えば、アンモニア、塩基性金属塩、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物など用いることができる。これらのうち、顔料分散体の再溶解性を高める意味においては、第2級又は第3級アミン化合物により中和を行うことが好ましい。これらの塩基性化合物によりエマルジョン重合体を中和し、pHを6乃至9に調整して架橋反応性を有する水溶性分散剤とする。
中和剤としては、イソプロピルアミン、t−ブチルアミン、n−プロピルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定するものではない。また、これらを1種のみ、又は2種以上を併用しても良い。
(D)自己乳化型ウレタン樹脂
本発明における自己乳化型ウレタン樹脂と(C)架橋反応性を有する水溶性分散剤が、前処理における(B)ブロックイソシアネート化合物および/または水性顔料インク中の(E)ブロックイソシアネート化合物と架橋反応することにより、それらが一体となって水不溶性化し、顔料を含有した状態で布状繊維製品における繊維に強固に固着し、布状繊維製品を顔料着色する。
一般に、ウレタン樹脂は水溶性型、自己乳化型、強制乳化型に大別される。
水溶性型ウレタン樹脂は、親水性ポリオールを使用して重合されたものであり、樹脂自体が水溶性であるため、水性顔料インクに配合した場合に着色部分に必要な耐水性が得られ難い。また強制乳化型ウレタン樹脂は、界面活性剤存在下で重合されたものであり、樹脂自体が疎水性であり、粒子径が大きく、水性顔料インクに配合した場合に膜が張り易く、連続印捺を行った際にヘッドノズル先端の目詰まりによるドット抜け、印捺ムラが生じ易く、水性顔料インクの長期保存安定性も低い。
一方、自己乳化型ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂末端に親水基を付与し、その親水基により水中に乳化したものである。自己乳化型ウレタン樹脂は、水性顔料インクに配合した場合、粒子径が微細であり、膜張りが生じ難く、連続印捺に適し、長期保存安定性にも優れる。また、自己乳化型ウレタン樹脂は、末端の親水基をブロックイソシアネート化合物で架橋することで疎水性となり、(C)架橋反応性を有する水溶性分散剤の架橋体と共に、堅牢性に優れた顔料固着剤となる。
本発明における自己乳化型ウレタン樹脂としては、例えば、ポリオール、イソシアネート類、カルボキシル基および/またはスルホン酸基から選ばれるアニオン性基を含有するアニオン性基導入ポリオールから少なくともなるウレタンプレポリマーを、アニオン性基中和剤を用いて水に分散させ、鎖伸長させてなる自己乳化型ウレタン樹脂を用いることができる。
前記ポリオール成分は、特に限定されるものではなく、例えばポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエステルポリカーボネートポリオール類等を使用することができる。
より具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、水添ビスフェノールAのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物等の低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等、又は、上記低分子量ポリオールを開始剤としてエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを付加してなるポリエーテルポリオール、上記低分子量ポリオールとシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の多価カルボン酸、又はそのエステル、酸無水物等とのエステル化反応によって得られるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルグリコールとアルキレンカーボネートとの反応生成物、エチレンカーボネートと多価アルコールとの反応生成物に有機ジカルボン酸を反応させた反応生成物であるポリエステルポリカーボネートポリオールが挙げられる。
前記イソシアネート類は、特に限定されるものではなく、ジイソシアネート及びイソシアネート基を1分子中に3個以上有するポリイソシアネート等を使用することができる。
ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、及びこれらの混合物が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、これらの混合物等の3官能以上のイソシアネート、これら3官能以上のイソシアネートのカルボジイミド変性、イソシアヌレート変性、ビウレット変性等の変性物、これらを各種のブロッキング剤によってブロックしたブロックイソシアネート、前述したジイソシアネートのイソシアヌレート(3量体)及びビウレット3量体等が挙げられる。
前記アニオン性基導入ポリオールとしては、例えばカルボキシル基および/またはスルホン酸基を含有するポリオール類を用いることができる。具体例としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸等のカルボキシル基を含有するポリオール類、1,4−ブタンジオール−2−スルホン酸等のスルホン酸基を含有するポリオール類が挙げられるが、これに限定されるものではない。
アニオン性基の中和剤としては、塩基性化合物を用いることができる。その例としては、アンモニア、塩基性金属塩、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物、第三級アミン化合物等を挙げることができ、特に限定されるものではない。
また、本発明の自己乳化型ウレタン樹脂は、必要に応じて、通常用いられる各種添加剤を添加しても良い。このような添加剤としては、例えば、粘度調整剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
布状繊維製品の風合いを柔軟なものとするため、本発明の自己乳化型ウレタン樹脂のガラス転移点(Tg)は、−60乃至20℃の範囲にあることが好ましい。ガラス転移点(Tg)のより好ましい範囲は−40乃至0℃、更に好ましくは−30乃至−10℃である。
本発明の自己乳化型ウレタン樹脂は、顔料を布状繊維製品に固着するためのものであるが、配合量が多いと堅牢性は向上するが着色部分の風合いが硬くなる。従って、本発明の水性顔料インク100部に対する自己乳化型ウレタン樹脂の配合量は、50部以下が好ましい。より好ましくは30部以下、更に好ましくは20部以下である。
(E)ブロックイソシアネート化合物
本発明における水性顔料インク中のブロックイソシアネート化合物としては、(C)架橋反応性を有する水溶性分散剤、及び、(D)自己乳化型ウレタン樹脂の架橋性官能基と、加熱(例えば100℃以上の加熱)により反応性を示す基を有するもの(例えば、2又は3以上有するもの)を用いることができる。
ブロックイソシアネート化合物としては、
HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、
H6XDI(水添キシリレンジイソシアネート)、
IPDI(イソホロンジイソシアネート)、又は
H12MDI(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)の、
TMP(トリメチロールプロパン)アダクト体
又は
イソシアヌレート体
のイソシアネート基がブロックされてなるものが好ましい。 この場合のブロック剤としては、DEM(マロン酸ジエチル)、DIPA(ジイソプロピルアミン)、TRIA(1,2,4−トリアゾール)、DMP(3,5−ジメチルピラゾール)、又はMEKO(2−ブタノンオキシム)が好ましいが、これに限るものではない。
なお、本発明における(E)のブロックイソシアネート化合物は、そのイソシアネート基の一部をポリオール、ポリカーボネート、ポリエステル、又はポリエーテル等と反応させたオリゴマーとして用いることもできる。
また、本発明における(E)のブロックイソシアネート化合物は、親水基を付与することで水溶性や自己乳化性があるものとして水性顔料インクに配合するのが好ましい。これにより、水性顔料インクを低粘度で再分散性に優れたものとすることができる。
ブロックイソシアネート化合物の水性顔料インクへの配合量としては、反応する架橋反応性を有する水溶性分散剤及び自己乳化型ウレタン樹脂の架橋性官能基の数に見合う量より多く配合することが望ましく、水性顔料インク100部に対するブロックイソシアネート化合物の配合量は、30部以下が好ましく、より好ましくは20部以下、更に好ましくは10部以下である。配合量が多いと布状繊維製品の風合いが硬くなるおそれがあり、少なければ着色堅牢性が低くなるおそれがある。
(F)顔料
本発明の水性顔料インクに用いる顔料は、有機顔料、無機顔料を問わず、繊維製品の着色材料として用いることができる顔料であれば原則として何れのものも使用することができる。
例えば、黒色顔料としてカーボンブラック、酸化鉄黒顔料など、黄色顔料としてのアゾ系顔料、イミダゾロン系顔料、チタン黄色顔料など、赤色顔料としてのアゾ系顔料、キナクリドン系顔料、クロモフタル系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アンスラキノン系顔料など、青色顔料としてのフタロシアニン系顔料、白色顔料としての酸化チタン、アルミニウムシリケート、酸化ケイ素など、オレンジ系顔料としてのインダンスレン系顔料、紫色顔料としてのジオキサジン系顔料、緑色顔料としてのフタロシアニン系顔料などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
(G)水系液体
水系液体は、水性顔料インクにおける溶媒又は分散媒として用いられるものである。
水系液体としては、水又は水と水溶性有機溶剤の混合物などを用いることができる。
水溶性有機溶剤の例としては、
湿潤剤としてのエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等のグリコール類及びグリセリン類系溶剤;
表面張力、溶解性、又は乾燥速度調整剤としてのメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノn‐ブチルエーテル
などが挙げられるが、これらに限るものではない。このような水溶性有機溶剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
(7) 水性顔料インクの調製
本発明における水性顔料インクは、顔料、溶媒又は分散媒としての水系液体、並びに、
(C)架橋反応性を有する水溶性分散剤、
(D)自己乳化型ウレタン樹脂、及び、
(E)ブロックイソシアネート化合物
を少なくとも含む。
本発明における水性顔料インクは、
例えば、
少なくとも、(F)顔料、(G)溶媒又は分散媒としての水系液体、及び、(C)架橋反応性を有する水溶性分散剤より、顔料分散体を得、
その顔料分散体と、(D)自己乳化型ウレタン樹脂、(E)ブロックイソシアネート化合物、及び、(G)溶媒又は分散媒としての水系液体を混合することにより得ることができる。
この顔料分散体は、例えば、顔料固形分が5乃至40重量%であるものとすることができるが、これに限るものではない。
これらの成分を配合した水性顔料インクは、例えば溶媒又は分散媒としての水系液体の種類や量、或いはその他の成分の種類や量によって、粘度を20℃において3乃至30mPa・sの範囲に調整することにより、又は、表面張力を20乃至40mN/mの範囲に調整することにより、或いは粘度及び表面張力を何れもこれらの範囲に調整することにより、インクジェット印捺に適したインクとすることができる。
また、フィルタによる濾過や遠心分離により500nm以上の粗大顔料粒子を分離することが、インクジェット印捺に適したインクとする上で好適である。
なお、前記顔料分散体を得る際には、分散能補助のために(I)分散助剤を用いることもできる。
また、本発明における水性顔料インクには、上記以外の成分として、例えば、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、ワックス、消泡剤、沈降防止剤、架橋触媒、キレート剤、界面活性剤などを配合することができる。
(H)ミル機による湿式分散
本発明における水性顔料インクの調製に用いられる上記顔料分散体は、(F)顔料、(G)溶媒又は分散媒としての水系液体、及び、(C)架橋反応性を有する水溶性分散剤、並びに必要に応じて(I)分散助剤を混合し、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ又はチタニアビーズ等を用いてミル機(ビーズミル)により湿式分散することにより得ることができる。
(I)分散助剤
顔料分散体を得る際に、必要に応じ分散助剤を用い得る。分散助剤としてアニオン性界面活性剤を(C)架橋反応性を有する水溶性分散剤の分散能補助として用いることにより、分散効率の向上、顔料粒子の微細化、水性顔料インク保存中の分離や増粘等の抑制による経時安定性が得られる。
分散助剤としてのアニオン性界面活性剤として好ましいものの例としては、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩であってHLBが10乃至16のものを挙げることができる。着色の堅牢性に与える影響が少なく、長期保存安定性に優れた顔料分散体を得ることができるからである。尤も、本発明において用い得る分散助剤としてのアニオン性界面活性剤はこれらに限るものではない。
分散助剤を用いる場合の配合割合(重量)は、顔料1に対して分散助剤が0.3以下とするのが好ましい。分散助剤が0.3より多いと耐水性の低下が起こるおそれがある。
(8) インクジェット印捺機
印捺工程においてインクジェット法で水性顔料インクを印捺するためのインクジェット印捺機は、特に限定されるものではないが、ピエゾ型のノズルヘッドを搭載したものが好ましい。サーマル型のノズルヘッドの場合は長時間使用した際にインク中のブロックイソシアネート化合物が熱開裂して架橋反応が進行するおそれがある。ピエゾ型ではこのようなおそれなく長時間安定的に吐出することができる。
このような印捺機の例としては、EPSON PX−V700、EPSON PM−40000PX、ミマキ社TX−1600S、FUJIFILM DMP−2831、MASTERMIND MMP8130(何れも商品名)などが挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
(9) 熱処理工程
本発明のインクジェット捺染方法においては、布状繊維製品のうち前処理がなされた部分に対し、印捺工程によりインクジェット法で水性顔料インクが印捺された布状繊維製品のうち、少なくとも水性顔料インクが印捺された部分に対し(例えば100℃以上で)加熱処理を行う。
これにより、前処理において用いられたブロックイソシアネート化合物および/または水性顔料インクにおけるブロックイソシアネート化合物と、当該水性顔料インクにおける架橋反応性を有する水溶性分散剤および/または自己乳化型ウレタン樹脂の架橋性官能基が架橋反応することにより、それらが一体となって水不溶性化し、顔料を含有した状態で布状繊維製品における繊維に強固に固着し、布状繊維製品を顔料着色する。
加熱処理の加熱温度及び加熱時間は、対象とする布状繊維製品の耐熱性及び捺染に用いた物質の特性等に鑑みて行われる。十分な架橋を行わせるためには、ブロックイソシアネート化合物が解離反応温度以上となることが必要であり、一般には、100乃至220℃で1乃至20分間、好適には100乃至150℃で3乃至10分間、更に好ましくは120乃至150℃で3乃至5分間である。
(10) 後処理
印捺工程によりインクジェット法で水性顔料インクが印捺された布状繊維製品のうち少なくとも水性顔料インクが印捺された部分に対し、必要な熱処理工程を経て、後処理を行うことにより、風合い向上、着色堅牢性向上、スベリ性向上、帯電防止、変色防止等の効果を加えることができる。
後処理は、アクリル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、架橋剤、可塑剤、界面活性剤及びシリコーン系柔軟剤等のうち1種又は2種以上(後処理剤)を、布状繊維製品の少なくとも所要箇所に対し、パディング法、コーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット法又はスプレー法等により適用することにより行うことができる。これらの後処理剤には、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、乾燥防止剤等の所要の添加剤を配合することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これ等に限定されるものでない。なお、実施例等に言う「部」は特に断らない限り「重量部」を意味する。
(実施例1)
<前処理剤1>
塩化ジデシルジメチルアンモニウム5部、フィクサーN(ブロックイソシアネート化合物の商品名;株式会社松井色素化学工業所製)5部、水90部を攪拌混合し、前処理剤1を得た。
<前処理方法>
前処理剤1を絞り率60%で綿ブロード布、ポリエステルデシン布、及び、T/Cブロード布にそれぞれパディングした後、60℃で10分間乾燥させ、それぞれの前処理布1を得た。
<水溶性分散剤1>
1リットルガラス製フラスコに攪拌装置、温度計、滴下漏斗3つをセットし、水442部、アクアロンKH−10(反応性界面活性剤の商品名;第一工業製薬株式会社製)15部を入れ、攪拌を行いながら窒素置換し60℃に昇温させた。
次いで、フラスコ内に、
1つ目の滴下漏斗からブチルアクリレート100部、エチルアクリレート20部、2−エチルヘキシルアクリレート30部、メタクリル酸150部、及びチオカルコール20(連鎖移動剤の商品名;株式会社花王製)21部の混合液を、
2つ目の滴下漏斗から過硫酸アンモニウム3部と蒸留水108部の水溶液を、
3つ目の滴下漏斗から亜硫酸水素ナトリウム3部と蒸留水108部の水溶液を、
それぞれ滴下した。滴下は、フラスコ内の混合物の温度を60℃に保ちつつ3つの滴下漏斗から同時に4時間かけて行った。
滴下終了後、60℃で1時間反応させた。次いで、反応合成物を20℃まで自然冷却させた後、金網で濾過し、固形分34%のエマルジョン重合体を得た。得られたエマルジョン重合体にトリエチルアミンを加えて、pH8.2、分子量8,000の水溶性分散剤1を得た。
<顔料分散体1>
顔料20部、水溶性分散剤1 6.5部、水50部、ジエチレングリコール20部、尿素3部、SNデフォーマー777(消泡剤の商品名;サンノプコ株式会社製)0.5部を混合し、0.3mm径のジルコニアビーズと共にミル機にかけ1時間分散を行った。その後、ジルコニアビーズを取り除き、孔径0.5μmのメンブレンフィルターで濾過して顔料分散体1を得た。
顔料として、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックにそれぞれ対応する、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントブルー15:3、及びカーボンブラックを用いたものを、それぞれ、顔料分散体1−Y、顔料分散体1−M、顔料分散体1−C、及び顔料分散体1−Kとした。
<水性顔料インク1>
顔料分散体1 20部、グリセリン18部、スーパーフレックス460(自己乳化型ウレタン樹脂の商品名;第一工業製薬株式会社製)20部、水28部、フィクサーN 9部を攪拌混合し、水又はエチレングリコール5部を加えて、粘度が20℃において4mPa・s、表面張力が32mN/mになるよう調整し、水性顔料インク1を得た。
顔料分散体(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)をそれぞれ用いた水性顔料インク1を、水性顔料インク(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)とした。
得られた各色の水性顔料インクについて、粒度分布計(商品名:マイクロトラック UPA−EX150; 日機装株式会社製)を用いて測定したところ、最大粒径が500nm以上の粗大粒子は測定されなかった。
また、得られた水性顔料インクの各色について、60℃で1週間の経時安定性を確認したが、粘度及び顔料の粒径に特段の変化は認められなかった。
<印捺評価試験>
各色の水性顔料インク(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)を、株式会社マスターマインド製のインクジェット印捺試験機MMP813BTに充填し、それぞれ各前処理布1にインクジェット印捺後、60℃で10分間乾燥させ、150℃で3分間の加熱処理を行ったところ、滲みがなく、鮮明で高着色濃度であり、且つ風合い柔軟な着色布が得られた。
<印捺安定性試験>
各色の水性顔料インク(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)を、株式会社マスターマインド製のインクジェット印捺試験機MMP813BTに充填し、それぞれ各前処理布1に10分間連続して印捺したところ、ドット抜けや印捺ムラ等なく、良好な吐出安定性及び印捺安定性を示した。
その後、インクジェット印捺試験機を停止させ、各色の水性顔料インクをそのインクジェット印捺試験機に充填した状態で室温下で1週間放置後、ヘッドクリーニングを行い、各前処理布1に10分間連続して印捺したところ、放置前と同じくドット抜けや印捺ムラ等なく、良好な吐出安定性及び印捺安定性を示した。
<洗濯堅牢性試験>
得られた着色布について洗濯堅牢性試験JIS L−0217 103法×5回(5級法)を行ったところ、綿ブロード布、ポリエステルデシン布、T/Cブロード布の全てで4級と良好な洗濯堅牢性を示した。
<摩擦堅牢性試験>
得られた着色布について摩擦堅牢性試験JIS L−0849 学振型摩擦試験(5級法)を行ったところ、乾式摩擦では綿ブロード布、ポリエステルデシン布、T/Cブロード布の全てで4級、湿式摩擦では綿ブロード布、T/Cブロード布が3−4級、ポリエステルデシン布が3級と、良好な摩擦堅牢性を示した。
(実施例2)
<前処理剤2>
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム5部、フィクサーN 5部、水90部を攪拌混合し、前処理剤2を得た。
<前処理方法>
実施例1と同様に、前処理剤2を綿ブロード布、ポリエステルデシン布、及び、T/Cブロード布にそれぞれパディングした後、60℃で10分間乾燥させ、それぞれの前処理布2を得た。
<水溶性分散剤2>
1つ目の滴下漏斗におけるモノマー種をブチルアクリレート140部、エチルアクリレート20部、2−エチルヘキシルアクリレート30部、メタクリル酸80部、アクリル酸10部、及びヒドロキシエチルアクリレート20部とした以外は実施例1において水溶性分散剤1を得たのと同様にして、pH8.2、分子量7,000の水溶性分散剤2を得た。
<顔料分散体2>
顔料20部、水溶性分散剤2 8部、水48.5部、ジエチレングリコール20部、尿素3部、SNデフォーマー777 0.5部を混合し、0.3mm径のジルコニアビーズと共にミル機にかけ1時間分散を行った。その後、ジルコニアビーズを取り除き、孔径0.5μmのメンブレンフィルターで濾過して顔料分散体2を得た。
イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックに対応する顔料は、実施例1と同一のものを用い、それぞれ顔料分散体(2−Y、2−M、2−C、2−K)とした。
<水性顔料インク2>
顔料分散体2 20部、グリセリン18部、パーマリンUA−300(自己乳化型ウレタン樹脂の商品名;三洋化成工業株式会社製)20部、水28部、フィクサーN 9部を攪拌混合し、水又はエチレングリコール5部を加えて、粘度が20℃において5mPa・s、表面張力が33mN/mになるよう調整し、水性顔料インク2を得た。
顔料分散体(2−Y、2−M、2−C、及び2−K)をそれぞれ用いた水性顔料インク2を、水性顔料インク(2−Y、2−M、2−C、及び2−K)とした。
得られた各色の水性顔料インクについて実施例1と同様に測定したところ、最大粒径が500nm以上の粗大粒子は測定されなかった。
また、得られた水性顔料インクの各色について、60℃で1週間の経時安定性を確認したが、粘度及び顔料の粒径に特段の変化は認められなかった。
<印捺評価試験>
実施例1と同様に、水性顔料インク(2−Y、2−M、2−C、及び2−K)について、前処理布2への印捺評価試験を行ったところ、滲みがなく、鮮明で高着色濃度であり、且つ風合い柔軟な着色布が得られた。
<印捺安定性試験>
実施例1と同様に、水性顔料インク(2−Y、2−M、2−C、及び2−K)について、前処理布2を使用して印捺安定性試験を行ったところ、放置前後何れにおいても良好な吐出安定性及び印捺安定性を示した。
<洗濯堅牢性試験>
得られた着色布について、実施例1と同様に洗濯堅牢性試験を行ったところ、綿ブロード布、ポリエステルデシン布、T/Cブロード布の全てで4級と良好な洗濯堅牢性を示した。
<摩擦堅牢性試験>
得られた着色布について、実施例1と同様に摩擦堅牢性試験を行ったところ、乾式摩擦では、綿ブロード布、ポリエステルデシン布、T/Cブロード布の全てで4級、湿式摩擦では、綿ブロード布、T/Cブロード布が3−4級、ポリエステルデシン布が3級と、良好な摩擦堅牢性を示した。
(実施例3)
<前処理剤3>
塩化ジデシルジメチルアンモニウム 5部、AQB−102(ブロックイソシアネート化合物の商品名;日本ポリウレタン工業株式会社製)5部、水90部を攪拌混合し、前処理剤3を得た。
<前処理方法>
実施例1と同様に、前処理剤3を綿ブロード布、ポリエステルデシン布、及び、T/Cブロード布にそれぞれパディングした後、60℃で10分間乾燥させ、それぞれの前処理布3を得た。
<水性顔料インク3>
実施例1の顔料分散体1 20部、グリセリン18部、パーマリンUA−300 20部、水28部、AQB−102 9部を攪拌混合し、水又はエチレングリコール5部を加えて、粘度が20℃において5mPa・s、表面張力が32mN/mになるよう調整し、水性顔料インク3を得た。
顔料分散体(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)をそれぞれ用いた水性顔料インク3を、水性顔料インク(3−Y、3−M、3−C、及び3−K)とした。
得られた各色の水性顔料インクについて実施例1と同様に測定したところ、最大粒径が500nm以上の粗大粒子は測定されなかった。
また、得られた水性顔料インクの各色について、60℃で1週間の経時安定性を確認したが、粘度及び顔料の粒径に特段の変化は認められなかった。
<印捺評価試験>
実施例1と同様に、水性顔料インク(3−Y、3−M、3−C、及び3−K)について、前処理布3への印捺評価試験を行ったところ、滲みがなく、鮮明で高着色濃度であり、且つ風合い柔軟な着色布が得られた。
<印捺安定性試験>
実施例1と同様に、水性顔料インク(3−Y、3−M、3−C、及び3−K)について、前処理布3を使用して印捺安定性試験を行ったところ、放置前後何れにおいても良好な吐出安定性及び印捺安定性を示した。
<洗濯堅牢性試験>
得られた着色布について、実施例1と同様に洗濯堅牢性試験を行ったところ、綿ブロード布、ポリエステルデシン布、T/Cブロード布の全てで4級と良好な洗濯堅牢性を示した。
<摩擦堅牢性試験>
得られた着色布について、実施例1と同様に摩擦堅牢性試験を行ったところ、乾式摩擦では、綿ブロード布、ポリエステルデシン布、T/Cブロード布の全てで4級、湿式摩擦では、綿ブロード布、T/Cブロード布が3−4級、ポリエステルデシン布が3級と良好な摩擦堅牢性を示した。
(実施例4)
<顔料分散体3>
顔料20部、実施例2の水溶性分散剤2 6.5部、ハイテノールNF13(分散助剤:アニオン性界面活性剤の商品名;第一工業製薬株式会社製)6部、水44部、ジエチレングリコール20部、尿素3部、SNデフォーマー777 0.5部を混合し、0.3mm径のジルコニアビーズと共にミル機にかけ1時間分散を行った。その後、ジルコニアビーズを取り除き、孔径0.5μmのメンブレンフィルターで濾過して顔料分散体3を得た。
イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックに対応する顔料は、実施例1と同一のものを用い、それぞれ顔料分散体(3−Y、3−M、3−C、3−K)とした。
<水性顔料インク4>
顔料分散体3 20部、グリセリン18部、スーパーフレックス460 20部、水28部、フィクサーN 9部を攪拌混合し、水又はエチレングリコール5部を加えて、粘度が20℃において5mPa・s、表面張力が31mN/mになるよう調整し、水性顔料インク4を得た。
顔料分散体(3−Y、3−M、3−C、及び3−K)をそれぞれ用いた水性顔料インク4を、水性顔料インク(4−Y、4−M、4−C、及び4−K)とした。
得られた各色の水性顔料インクについて実施例1と同様に測定したところ、最大粒径が500nm以上の粗大粒子は測定されなかった。
また、得られた水性顔料インクの各色について、60℃で1週間の経時安定性を確認したが、粘度及び顔料の粒径に特段の変化は認められなかった。
<印捺評価試験>
実施例1と同様に、水性顔料インク(4−Y、4−M、4−C、及び4−K)について、前処理布1への印捺評価試験を行ったところ、滲みがなく、鮮明で高着色濃度であり、且つ風合い柔軟な着色布が得られた。
<印捺安定性試験>
実施例1と同様に、水性顔料インク(4−Y、4−M、4−C、及び4−K)について、前処理布1を使用して印捺安定性試験を行ったところ、放置前後何れにおいても良好な吐出安定性及び印捺安定性を示した。
<洗濯堅牢性試験>
得られた着色布について、実施例1と同様に洗濯堅牢性試験を行ったところ、綿ブロード布、ポリエステルデシン布、T/Cブロード布の全てで4級と良好な洗濯堅牢性を示した。
<摩擦堅牢性試験>
得られた着色布について、実施例1と同様に摩擦堅牢性試験を行ったところ、乾式摩擦では、綿ブロード布、ポリエステルデシン布、T/Cブロード布の全てで4級、湿式摩擦では、綿ブロード布、T/Cブロード布が3級、ポリエステルデシン布が2−3級と良好な摩擦堅牢性を示した。
(実施例5)
<前処理方法>
実施例1と同様に、前処理剤1を黒色綿ブロード布にパディングした後、60℃で10分間乾燥させ、前処理布5を得た。
<顔料分散体5>
顔料として酸化チタンを用いた以外は実施例1と同様に処理して顔料分散体5−Wを得た。
<水性顔料インク5>
顔料分散体5−W 50部、グリセリン18部、スーパーフレックス460 10部、水12部、フィクサーN 5部を攪拌混合し、水又はエチレングリコール5部を加えて、粘度が20℃において5mPa・s、表面張力が32mN/mになるよう調整し、水性顔料インク5−Wを得た。
得られた水性顔料インク5−Wについて実施例1と同様に測定したところ、最大粒径が500nm以上の粗大粒子は測定されなかった。
また、得られた水性顔料インクの各色について、60℃で1週間の経時安定性を確認したが、粘度及び顔料の粒径に特段の変化は認められなかった。
<印捺評価試験>
水性顔料インク5−Wをインクジェット印捺試験機MMP813BTに充填し、前処理布5にインクジェット印捺して白色隠蔽層を設けた。その白色隠蔽層の上に、実施例1と同様に水性顔料インク(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)をインクジェット印捺した後、60℃で10分間乾燥させ、150℃で3分間の加熱処理を行ったところ、滲みがなく、鮮明で高着色濃度であり、且つ風合い柔軟な着色布が得られた。
<洗濯堅牢性試験>
得られた着色布について、実施例1と同様に洗濯堅牢性試験を行ったところ、4級と良好な洗濯堅牢性を示した。
<摩擦堅牢性試験>
得られた着色布について、実施例1と同様に摩擦堅牢性試験を行ったところ、乾式摩擦では3−4級、湿式摩擦では3級と、良好な摩擦堅牢性を示した。
(実施例6)
<後処理>
実施例1乃至5の各着色布に対して、フィクサーN 5部、ファスターXA(アクリル樹脂エマルジョンの商品名;株式会社松井色素化学工業所製)3部、アブレーションXF(シリコーン系柔軟剤の商品名;株式会社松井色素化学工業所製)5部、水87部からなる後処理剤を、絞り率65%でパディングし、60℃で10分間乾燥させた後、150℃で3分間の加熱処理を行った。
得られた後処理布について、各実施例において行った洗濯堅牢性試験及び摩擦堅牢性試験と同様に試験を行ったところ、後処理していない着色布に比べて半級程度各堅牢性が向上し、風合いもより柔軟なものとなった。
(比較例1)
前処理を行わないこと以外は実施例1と同様にして水性顔料インク(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)について印捺評価試験を行ったところ、滲みがひどく不鮮明で品質不十分な着色布となった。
(比較例2)
<前処理剤NG1>
塩化ジデシルジメチルアンモニウム5部、水95部を攪拌混合し、前処理剤NG1を得た。
<前処理方法>
実施例1と同様に、前処理剤NG1を綿ブロード布、ポリエステルデシン布、及び、T/Cブロード布にそれぞれパディングした後、60℃で10分間乾燥させ、それぞれの前処理布NG1を得た。
<印捺評価試験>
実施例1と同様に、水性顔料インク(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)について、前処理布NG1への印捺評価試験を行ったところ、滲みがなく、鮮明で高着色濃度であり、且つ風合い柔軟な着色布が得られた。
<洗濯堅牢性試験>
得られた着色布について、実施例1と同様に洗濯堅牢性試験を行ったところ、綿ブロード布、ポリエステルデシン布、T/Cブロード布の全てで3級と、洗濯堅牢性において実施例1に劣るものであった。
<摩擦堅牢性試験>
得られた着色布について、実施例1と同様に摩擦堅牢性試験を行ったところ、乾式摩擦では、綿ブロード布、ポリエステルデシン布、T/Cブロード布の全てで3級、湿式摩擦では、綿ブロード布、T/Cブロード布が2−3級、ポリエステルデシン布が2級と、摩擦堅牢性において実施例1に劣るものであった。
(比較例3)
<前処理剤NG2>
フィクサーN 5部、水95部を攪拌混合し、前処理剤NG2を得た。
<前処理方法>
実施例1と同様に、前処理剤NG2を綿ブロード布、ポリエステルデシン布、及び、T/Cブロード布にそれぞれパディングした後、60℃で10分間乾燥させ、それぞれの前処理布NG2を得た。
<印捺評価試験>
実施例1と同様に、水性顔料インク(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)について、前処理布NG2への印捺評価試験を行ったところ、滲みがひどく不鮮明で品質不十分な着色布となった。
(比較例4)
<前処理剤NG3>
塩化ラウリルトリメチルアンモニウム5部、フィクサーN 5部、水90部を攪拌混合し、前処理剤NG3を得た。
<前処理方法>
実施例1と同様に、前処理剤NG3を綿ブロード布、ポリエステルデシン布、及び、T/Cブロード布にそれぞれパディングした後、60℃で10分間乾燥させ、それぞれの前処理布NG3を得た。
<印捺評価試験>
実施例1と同様に、水性顔料インク(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)について、前処理布NG3への印捺評価試験を行ったところ、滲みがなく、鮮明で高着色濃度であり、且つ風合い柔軟な着色布が得られた。
<洗濯堅牢性試験>
得られた着色布について、実施例1と同様に洗濯堅牢性試験を行ったところ、綿ブロード布、ポリエステルデシン布、T/Cブロード布の全てで3級と、洗濯堅牢性において実施例1に劣るものであった。
<摩擦堅牢性試験>
得られた着色布について、実施例1と同様に摩擦堅牢性試験を行ったところ、乾式摩擦では、綿ブロード布、ポリエステルデシン布、T/Cブロード布の全てで3−4級、湿式摩擦では、綿ブロード布、T/Cブロード布が2−3級、ポリエステルデシン布が2級と、摩擦堅牢性において実施例1に劣るものであった。
(比較例5)
<前処理剤NG4>
サフトマーST−3300(カチオン性アクリル樹脂の商品名;三菱化学株式会社製)5部、フィクサーN 5部、水90部を攪拌混合し、前処理剤NG4を得た。
<前処理方法>
実施例1と同様に、前処理剤NG4を綿ブロード布、ポリエステルデシン布、及び、T/Cブロード布にそれぞれパディングした後、60℃で10分間乾燥させ、それぞれの前処理布NG4を得た。
<印捺評価試験>
実施例1と同様に、水性顔料インク(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)について、前処理布NG4への印捺評価試験を行ったところ、僅かに滲みがあり、やや不鮮明で着色濃度が低く、風合いが硬く品質不十分な着色布が得られた。
(比較例6)
<水溶性分散剤NG1>
1つ目の滴下漏斗におけるモノマー種をブチルアクリレート50部、メタクリル酸250部とした以外は実施例1において水溶性分散剤1を得たのと同様にして、pH8.1、分子量7,500の水溶性分散剤NG1を得た。
<顔料分散体NG1>
顔料20部、水溶性分散剤NG1 6.5部、水50部、ジエチレングリコール20部、尿素3部、SNデフォーマー777 0.5部を混合し、0.3mm径のジルコニアビーズと共にミル機にかけ1時間分散を行ったが、得られた顔料分散体は高粘度であり、本発明における水性顔料インクを得るためには使用し得ないものであった。
(比較例7)
<顔料分散体NG2>
顔料20部、エマルゲン108(非イオン性界面活性剤の商品名;花王株式会社製)7部、水49.5部、ジエチレングリコール20部、尿素3部、SNデフォーマー777 0.5部を混合し、0.3mm径のジルコニアビーズと共にミル機にかけ1時間分散を行った。その後、ジルコニアビーズを取り除き、孔径0.5μmのメンブレンフィルターで濾過して顔料分散体NG2を得た。
イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックに対応する顔料は、実施例1と同一のものを用い、それぞれ顔料分散体(NG2−Y、NG2−M、NG2−C、NG2−K)とした。
<水性顔料インクNG1>
顔料分散体(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)を顔料分散体(NG2−Y、NG2−M、NG2−C、及びNG2−K)とした以外は、実施例1と同様に処理して水性顔料インク(NG1−Y、NG1−M、NG1−C、及びNG1−K)を得た。
水性顔料インク(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)を水性顔料インク(NG1−Y、NG1−M、NG1−C、及びNG1−K)に代えること以外は実施例1と同様に前処理布1に対しインクジェット印捺を行い、得られた着色布について実施例1と同様に洗濯堅牢性試験及び摩擦堅牢性試験を行ったところ、洗濯堅牢性は全ての前処理布1において2級、摩擦堅牢性は乾式では全て3級、湿式では綿ブロード布、T/Cブロード布が2級と、何れも実施例1に劣るものであった。
(比較例8)
<水性顔料インクNG2>
水性顔料インク2中のパーマリンUA−300をスーパーフレックスE−4800(強制乳化型ウレタン樹脂:第一工業製薬株式会社製)に代えたこと以外は、実施例2と同様に処理して水性顔料インク(NG2−Y、NG2−M、NG2−C、NG2−K)を得た。
得られた各色の水性顔料インクについて実施例1と同様に測定したところ、最大粒径が500nm以上の粗大粒子は測定されなかった。
しかしながら、得られた水性顔料インクの各色について、60℃で1週間の経時安定性を確認したところ、粘度が上昇し、500nm以上の粗大粒子が測定された。
また、実施例1と同様に、水性顔料インク(NG2−Y、NG2−M、NG2−C、NG2−K)について、前処理布2を使用して印捺安定性試験を行ったところ、乾燥によるドット抜けや印捺ムラが見られ、印捺安定性は不良であった。更に、インクジェット印捺試験機を停止させ、各色の水性顔料インクをそのインクジェット印捺試験機に充填した状態で室温下で1週間放置した後では、ヘッドクリーニングを行っても十分にインクジェット印捺が可能な状態とはならず、安定な吐出は実現し得なかった。
(比較例9)
<水性顔料インクNG3>
水性顔料インク2中のフィクサーNを水に代えたこと以外は、実施例2と同様に処理して水性顔料インク(NG3−Y、NG3−M、NG3−C、NG3−K)を得た。
水性顔料インク(1−Y、1−M、1−C、及び1−K)を水性顔料インク(NG3−Y、NG3−M、NG3−C、及びNG3−K)に代えること以外は実施例1と同様に前処理布1に対しインクジェット印捺を行い、得られた着色布について実施例1と同様に洗濯堅牢性試験及び摩擦堅牢性試験を行ったところ、洗濯堅牢性は全ての前処理布1において2−3級、摩擦堅牢性は乾式では全て3−4級、湿式では綿ブロード布、T/Cブロード布が2−3級と、何れも実施例1に劣るものであった。
以上の実施例及び比較例の結果から、本発明における(A)式(1)で表される第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、(B)ブロックイソシアネート化合物、(C)架橋反応性を有する水溶性分散剤、(D)自己乳化型ウレタン樹脂、(E)ブロックイソシアネート化合物の各成分構成には格別の意義があることが確認された。

Claims (23)

  1. 布状繊維製品のうち所定の前処理がなされた部分に対し、インクジェット法で水性顔料インクを印捺する印捺工程を有するインクジェット捺染方法であって、
    前記所定の前処理は、少なくとも、
    (A)下記式(1)で表される第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、及び、
    (B)ブロックイソシアネート化合物
    を前記布状繊維製品の全体又は所要部分に適用することによりなされるものであり、
    前記水性顔料インクは、顔料、及び、溶媒又は分散媒としての水系液体、並びに、
    (C)架橋反応性を有する水溶性分散剤、
    (D)自己乳化型ウレタン樹脂、及び、
    (E)ブロックイソシアネート化合物
    を少なくとも含むものであるインクジェット捺染方法。
    Figure 0005947712
    ....(1)
    [式(1)中、R乃至Rのうち、何れか2つは互いに独立的に炭素数8乃至18のアルキル基を示し、残りの2つは互いに独立的にメチル基又はエチル基を示し、Xはアニオンを示す。]
  2. 上記印捺工程よりも前に、布状繊維製品の全体又は所要部分に対し上記所定の前処理を行う前処理工程を有する上記1記載のインクジェット捺染方法。
  3. 上記前処理が、
    少なくとも、
    (A)上記式(1)で表されるカチオン性界面活性剤、及び、
    (B)ブロックイソシアネート化合物
    を含有する前処理剤を布状繊維製品の全体又は所要部分に適用することによりなされるものである上記1又は2記載のインクジェット捺染方法。
  4. 上記(B)ブロックイソシアネート化合物が、
    ヘキサメチレンジイソシアネート、
    水添キシリレンジイソシアネート、
    イソホロンジイソシアネート、又は
    ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの、
    トリメチロールプロパンアダクト体
    又は
    イソシアヌレート体
    のイソシアネート基がブロックされてなるものである請求項1、2又は3記載のインクジェット捺染方法。
  5. 上記(B)のブロックイソシアネート化合物が、マロン酸ジエチル、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチルピラゾール、又は2−ブタノンオキシムをブロック剤として得られたものである請求項4記載のインクジェット捺染方法。
  6. 上記水性顔料インクが、最大粒子径が500nm以下の顔料が分散してなる分散液である請求項1乃至5の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  7. 上記(C)の架橋反応性を有する水溶性分散剤が、
    (1)CH=CR−COOR[式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2乃至8のアルキル基を示す。]で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体20乃至80重量部、
    (2)カルボキシル基を有する脂肪族ビニル単量体80乃至20部、並びに
    (3)架橋反応性を有する脂肪族ビニル単量体0乃至20部
    から得られた分子量2,000乃至20,000のエマルジョン重合体が、塩基性物質により中和されてなるものである請求項1乃至6の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  8. 上記(2)カルボキシル基を有する脂肪族ビニル単量体が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項7記載のインクジェット捺染方法。
  9. 上記塩基性物質が第二級アミン又は第三級アミンである請求項7又は8記載のインクジェット捺染方法。
  10. 上記水性顔料インク中の(C)の架橋反応性を有する水溶性分散剤の配合割合が、顔料1.0重量部に対して0.05乃至2.0重量部の範囲である請求項1乃至9の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  11. 上記水性顔料インクが、分散助剤として、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含有する請求項1乃至10の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  12. 上記(D)の自己乳化型ウレタン樹脂が、
    少なくとも、
    イソシアネート類、及び、
    カルボキシル基又はスルホン酸基を有するポリオール
    からなる成分より得られたものである請求項1乃至11の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  13. 上記(D)の自己乳化型ウレタン樹脂のガラス転移点(Tg)が−60乃至20℃である請求項1乃至12の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  14. 上記(E)のブロックイソシアネート化合物が、
    ヘキサメチレンジイソシアネート、
    水添キシリレンジイソシアネート、
    イソホロンジイソシアネート、又は
    ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの、
    トリメチロールプロパンアダクト体
    又は
    イソシアヌレート体
    のイソシアネート基がブロックされてなるものである請求項1乃至13の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  15. 上記(E)のブロックイソシアネート化合物が、マロン酸ジエチル、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチルピラゾール、又は2−ブタノンオキシムをブロック剤として得られたものである請求項14記載のインクジェット捺染方法。
  16. 上記(E)のブロックイソシアネート化合物が水溶性又は自己乳化性であり、上記水性顔料インクが再分散性に優れたものである請求項1乃至15の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  17. 上記水性顔料インクの粘度が、20℃において3乃至30mPa・sである請求項1乃至16の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  18. 上記水性顔料インクの表面張力が20乃至40mN/mである請求項1乃至17の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  19. 上記印捺工程によりインクジェット法で水性顔料インクが印捺された布状繊維製品のうち少なくとも水性顔料インクが印捺された部分に対し加熱処理を行う熱処理工程を有する請求項1乃至18の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  20. 上記前処理が、
    少なくとも、
    (A)上記式(1)で表されるカチオン性界面活性剤、及び、
    (B)ブロックイソシアネート化合物
    を、パディング法、コーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット法又はスプレー法により布状繊維製品の所要部分に適用することによりなされる請求項1乃至19の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  21. 上記印捺工程によりインクジェット法で水性顔料インクが印捺された布状繊維製品のうち少なくとも水性顔料インクが印捺された部分に対し、パディング法、コーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット法又はスプレー法により後処理を行う後処理工程を有する請求項1乃至20の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  22. 上記後処理が、アクリル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、架橋剤、可塑剤、界面活性剤及びシリコーン系柔軟剤のうち少なくとも1種を、上記布状繊維製品のうち少なくとも水性顔料インクが印捺された部分に対し適用することにより行われる請求項21記載のインクジェット捺染方法。
  23. 請求項1乃至22の何れか1項に記載のインクジェット捺染方法を使用する、インクジェット捺染がなされた布状繊維製品を製造する方法
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