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JP5832095B2 - 画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明はノイズ低減処理に関する。
通常、デジタルカメラやスキャナ等の撮像装置により撮影された画像にはノイズが含まれている。被写体像にノイズが混入すると、撮影画像の画質を低下させるという問題がある。
従来、様々なノイズ低減処理方法が提案されているが、それらは主として、平滑化フィルタによる処理を基礎にしている。
通常、被写体像は低周波成分に比べて高周波成分の強度が弱いため、画像の高周波領域ではノイズが支配的となる。そこで高周波成分を抑圧する平滑化フィルタを画像に適用すれば、被写体像の低〜中周波成分を保存しつつ、ノイズを低減し得る。
また、特許文献1では撮像画像の高周波成分をノイズらしくなるように補正して推定ノイズ画像を取得し、取得された推定ノイズ画像を撮像画像から減算することでノイズ低減処理を行なっている。
特開2006−310999
上述の平滑化フィルタをベースとするノイズ低減技術では、ノイズを低減するとともに被写体像の高周波成分も抑圧してしまう。その結果、被写体像の細かなテクスチャ成分が除去されてしまうという課題があった。
また、撮像画像中の個々の画素値のみから、注目画素が被写体のエッジであるかノイズによるものであるかを区別することができない。よって、特許文献1では、推定ノイズ画像の中に被写体像のエッジ成分が含まれることとなる。その結果、特許文献1では、撮像画像からエッジ成分が含まれる推定ノイズ画像を減算することとなり、ノイズ低減処理後の画像のエッジがぼけてしまうという課題があった。
上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、撮像部により取得された入力画像データを入力する入力手段と、前記入力画像データに基づいて、前記入力画像データの入力ヒストグラムを生成する第一生成手段と、前記入力画像データの示す画像中の画素の特徴を決定する第一決定手段と、ノイズ特性データと前記入力ヒストグラムと前記画素の特徴とに基づいて、前記入力画像データを補正する補正手段と、を有する画像処理装置であって、前記ノイズ特性データは、注目画素の特性値の理想値が、複数の特性値の各々である確率に応じたデータであることを特徴とする。
本発明によれば、被写体像の細かなテクスチャ成分とエッジ成分を保存しつつ良好なノイズ低減を実行することができる。
実施例1における装置構成を表す図 実施例1における信号処理部103を表す図 実施例1におけるノイズ低減処理にかかる構成を表す図 実施例1におけるノイズ特性テーブルを表す図 ノイズの有無と画像の一次元ヒストグラムの関係を表す概念図 実施例1におけるヒストグラム回復の概念図 実施例1におけるLUT作成方法、及びLUTを説明に用いる図 図4のノイズ特性テーブルにおいて画素値90に対応する行を抜き出した図 グラデーション画像及びノイズを含めた該画像を表す図 図9の画像データに対応する一次元ヒストグラムを表す図 グラデーション画像が入力である場合のLUT作成方法の説明する図 ノイズの有無とかかる画像の2次元ヒストグラムの関係を表す概念図 実施例1におけるLUT作成方法を説明する図 グラデーション中にエッジ部を含む画像を表す図 図14にノイズがのった画像が入力である場合のLUT作成方法の説明する図 実施例3におけるノイズ低減処理にかかる構成を表す図 実施例3における領域判定部のブロック図 自然画像の多次元ヒストグラムの例 自然画像の多次元ヒストグラムの例 ヒストグラム生成のブロック図 多次元ヒストグラム作成時の位置関係を表す図 画素値変換部により画素値を割り当てる際の組合せを模式的に示した図 統計ノイズを説明する図 ノイズ特性テーブルの作成方法のフローを示す図
[実施例1]
(画像処理装置の概要)
図1は、本実施例における画像処理装置を示す図である。
撮像部101は、ズーム/フォーカス/ぶれ補正/レンズ、絞り、シャッター、光学LPF、IRカットフィルタ、カラーフィルタ、及びCMOSやCCDなどのセンサなどから構成され、被写体から入射される光量を取得(撮像)する。
A/D変換部102は、センサが取得した被写体から入射される光量をデジタル値に変換する。
信号処理部103は、デジタル値に対して、ノイズ低減処理、ホワイトバランス処理、エッジ強調処理、色変換処理、ガンマ処理を行い、デジタル画像データを生成する。各処理の順序は上述の順序に限らない。
D/A変換部104は、デジタル画像データに対しアナログ変換を行い、表示部113に出力する。
エンコーダ部105は、デジタル画像データをJPEGやMPEGなどのファイルフォーマットの画像データに変換する処理を行う。
メディアインターフェース106は、PCその他メディア(例えば、ハードディスク、メモリーカード、CFカード、SDカード、USBメモリ)につなぐためのインターフェースである。
CPU107は、画像処理装置内の各構成の処理に関わり、ROM108やRAM109に格納された命令を順に読み込み、本実施例の各種処理を実行する。また、ROM108とRAM109は、その処理に必要なプログラム、データ、作業領域などをCPU107に提供する。
撮像系制御部110は、フォーカスの合焦、シャッターの開閉、絞り調節などの、CPU107から指示された撮像部101の制御を行う。
操作部111は、タッチパネルやボタン、モードダイヤルなどにより構成され、これらを介して入力されたユーザ指示を受け取る。
キャラクタージェネレーション部112は、表示などのための文字やグラフィックなどを生成する。
表示部113は、一般的には液晶ディスプレイが広く用いられており、キャラクタージェネレーション部112やD/A変換部104から受け取った画像データで示される画像や文字、グラフィックの表示を行う。また、タッチスクリーン機能を有していても良く、その場合は、ユーザ指示を操作部111の入力として扱うことも可能である。
なお、本実施例における装置の構成要素は上記の画像処理装置以外にも考えられる。例えば、デジタルカメラ等の撮像装置で撮影されたデジタル画像データを、ネットワークやメディアを介してコンピュータが取得し、コンピュータにあるアプリケーションが本実施例の一連の処理を実施しても良い。
本実施例のノイズ低減処理は、信号処理部103において実行されることが好適である。信号処理部103の詳細図を図2に示す。図2に示す信号処理部103は入力されたデジタル画像データに対して画質向上のための様々な処理を行う。まず、ノイズ低減処理部201は、以下に詳述するノイズ低減処理を実行する。ノイズ低減処理された画像データは、ホワイトバランス制御部202により画像のホワイトバランスが調整される。その後、エッジ強調部203により画像データにより示される画像の鮮鋭性を向上させるためのエッジ強調処理がなされる。そして、色変換部204による色再現性を向上させるための色変換処理や、ガンマ処理部205による画像データに対するガンマ処理がなされる。これら一連の信号処理部103によって処理された結果はD/A変換部104やエンコーダ部105に送られる。なお、ノイズ低減処理部201によるノイズ低減処理は、必ずしもホワイトバランス制御部202の前段で行なう必要はない。例えば、色変換部204による色変換処理やガンマ処理部205によるガンマ処理の後段で、ノイズ低減処理を行なってもよい。ただし、色変換やガンマ処理によって実質的なノイズ特性が変わるため、ノイズ低減処理の前段の処理に応じて後述するノイズ特性テーブルも補正する必要があることは言うまでもない。例えば、入力画像の画素値を2倍する処理がノイズ低減処理の前に存在する場合、ノイズ低減処理の処理対象画像のノイズ量も2倍に増えるため、ノイズ特性テーブルのノイズ量を2倍する補正などである。
(一次元ヒストグラムを用いた場合のノイズ低減方法)
多次元ヒストグラムを用いたノイズ低減方法の原理の説明のため、まず一次元ヒストグラムを用いたノイズ低減方法について以下に述べる。
図3(a)に一次元ヒストグラムを用いたノイズ低減処理に必要なブロック構成図を示す。図3(a)の各ブロックの動作を説明する。まず、入力部301は、入力画像データをA/D変換部102から取得する。また、入力部301は、入力画像データが示す入力画像の総画素数およびノイズ特性データをROM108あるいはRAM109から取得する。なお、入力画像の総画素数は、入力された入力画像データを解析することにより取得しても良い。
図4(a)は、ROM108あるいはRAM109に保持されているノイズ特性データ(又はノイズ特性テーブル)の一例である。
図4(a)のノイズ特性テーブルは、ある画素値(理想値)が画像処理装置に入力された際に、その画素値がノイズの影響によりどのようなデジタル値(実際値)に変換されるかという確率ヒストグラムを示すテーブルである。
図4(a)の例では、入力された画素値58に対して、画像中の画素の10%(0.10)は画素値が58となる。一方で、5%の画素は画素値が56となり、9%の画素は画素値が57となり、9%の画素は画素値59となる。
図4(a)に示すノイズ特性テーブルの作成方法を説明する。図24はノイズ特性テーブルの作成フローを示している。ステップS401にて、略一様な輝度を有する被写体を、露光量を変えて撮影し、各露光量に対応した複数枚の画像(参照画像)を取得する。ステップS402にて、各参照画像の平均画素値を取得する。この平均画素値を前述の中央画素値とみなす。なお、平均画素値(中央画素値)は、各参照画像の画素値の最頻値であっても良い。ステップS403にて、参照画像ごとに参照画像中の画素値の出現頻度と平均画素値との関係を示すヒストグラムを生成する。そして、ステップS404にて、参照画像の総画素数で、各ノイズヒストグラムを除算することにより正規化ノイズヒストグラムを生成する。中央画素値がMである参照画像に対応する正規化ノイズヒストグラムをHとする。ステップS405にて、正規化ノイズヒストグラムHを列ベクトルとして表し、列ベクトルHから列ベクトルHMmax(Mmaxは画像処理装置がとりうる画素値の最大値)までを横に並べて図4(a)のノイズ特性テーブルを得る。ノイズ特性テーブル中の各要素(画像中の各画素値の画素数を総画素数Nで除算したもの)を正規化画素頻度と呼ぶ。なお、略一様な輝度を有する被写体を撮影することにより、撮像光学系の解像度特性の影響を低減した状態でノイズ特性が得られる。また、周辺光量落ちのあるレンズでは、画像中の小領域でノイズ特性を計算するなどが考えられる。
なおノイズ特性テーブル中の各要素は、正規化画素頻度ではなく、画像中の各画素値の画素数であってもよい。
また、代表的な中央画素値Mに対する正規化ノイズヒストグラムHを複数取得し、取得された正規化ノイズヒストグラムHに対して補間処理を行なうことによって残りの中央画素値Mに対する正規化ノイズヒストグラムHを計算しても良い。
更に、ノイズ特性データは、図4(a)のようなテーブル形式としたが、画像処理装置における入力された理想値に対する実際値の確率ヒストグラムが生成できるものであればこの限りではない。例えば、ノイズ特性データを関数で作成し、入力された理想値に対して逐次実際値の確率ヒストグラムを生成するとしても良い。
また、複数の反射率の異なる領域を有するチャートを撮影した画像からノイズ特性データを生成しても良い。この場合は、領域毎に中央画素値Mに対する正規化ノイズヒストグラムHを取得することにより、少ない撮影回数でノイズ特性データを生成することができる。
なお、ノイズ特性データは、テーブル形式で記述されるとしたが、他の形式で記述しても良い。例えば、中央画素値(理想値)ごとに標準偏差等の分布を示す統計値を保持しておくことにより、画素値(実際値)を計算に求めるとしても良い。
図5は、画像処理装置におけるある画素値の正規化ノイズヒストグラムの分布を示している。
輝度が略一様な被写体を撮影した場合、ノイズが少なければ図5(a)のような分散の少ない画像値の正規化ノイズヒストグラムの分布が得られる。一方で、ノイズが画像に混入した場合、図5(b)のような分散の大きい画素値の正規化ノイズヒストグラムの分布が得られる。この広がりがノイズの特性を表している。実際に得られる画像は図5(b)のようになることが多い。
そこで、画像処理装置に入力された中央画素値601に対応する画素にノイズが混入することにより、中央画素値601の周囲に画素値(実際値)が広がって分布されると仮定する。前述のとおり、輝度によってノイズ特性が異なるため、様々な輝度で撮影を行い、複数の中央画素値601に対する正規化ノイズヒストグラムを並べて図4(a)のノイズ特性テーブルを作成する。
また、図4(a)のノイズ特性テーブルの他の作成方法として、まずノイズの少ないカメラ(参照カメラ)を用いて撮影した画像をノイズがない画像と見なす。この場合、上述のような輝度が略一様な被写体を撮影する必要はない。例えば、屋内の被写体が固定されているものであれば良い。そして前記参照カメラで撮影した被写体を、ノイズ低減処理を行いたいカメラ(対象カメラ)で撮影する。参照カメラで取得した画像データの平均値を中央画素値に設定し、図24のS402の平均画素値(中央値)とみなす。そして、対象カメラにより取得した画像データを図24のS401の一つの参照画像とみなす。この処理を参照カメラと対象カメラの露光量を変更しながら複数回行い、複数の中央画素値および参照画像を取得する。あとの処理は、前述のノイズ特性テーブルの作成処理と同一である。
また、同一のカメラにより図4(a)のノイズ特性テーブルを作成しても良い。撮影感度を調整し、ノイズが少ない画像を取得した後、同一の被写体についてノイズ低減処理が必要な撮影感度で画像を取得する。これら二つの差分画像を参照画像とみなし、同様にノイズ特性テーブルを作成しても良い。
ノイズ特性は、露光量のみならず、温度に依存する。よって、ノイズ低減処理の精度を高めるために、図4(a)に示すノイズ特性テーブルを温度に応じて作成していても良い。
次に、一次元ヒストグラム生成部304は、入力画像データの画素値に対する頻度を総画素数Nで除算して一次元ヒストグラムを生成する。なお除算は、ビットシフトなどの演算コストの低い除算に相当する処理でもよい。生成された一次元ヒストグラムは、入力画像データ中の画素値がXである画素の画素数を第X要素とするベクトルにより表す。
一次元ヒストグラム生成部304の詳細を図20(a)に示す。頻度計算部はA/D変換部からの入力画像データを得て、入力画像データに含まれる各画素値の頻度をカウントし、カウントされた頻度を入力画像データの総画素数で除算して一次元ヒストグラムを出力する。なお、出力される一次元ヒストグラムは、総画素数で除算することなく各画素値の画素数の頻度からなるヒストグラムであってもよい。
次に、回復行列生成部306により、入力画像データの総画素数N、ノイズ特性テーブル、及び一次元ヒストグラムから回復行列を生成し、回復行列保持バッファ307に保持する。回復行列の生成の詳細は後述する。回復行列を一次元ヒストグラムに適用することにより、ノイズ混入により分散したヒストグラムを、ノイズ混入前の頻度が鮮鋭化した状態に近づける。「鮮鋭化した状態」とは、ヒストグラムをフーリエ変換(周波数変換)した際に、高周波成分が大きくなった状態を言う。以降では、この作用を回復(又はヒストグラム回復)と呼ぶ。
次にヒストグラム回復部308において、一次元ヒストグラムに回復行列を適用する事により、回復ヒストグラムを算出する。図6(a)にヒストグラム回復の概念図を示す。ヒストグラム回復により、入力画像データの一次元ヒストグラム807が、より鮮鋭化し、回復ヒストグラムへと変換される。鮮鋭化された回復ヒストグラムの高周波成分は、入力画像データの一次元ヒストグラムの高周波成分よりも大きい。図6(b)は、入力画像データの一次元ヒストグラムの周波数成分、および先鋭化された回復ヒストグラムの周波数成分を示している。図中、高周波成分に注目すれば明らかなように、一次元ヒストグラムの高周波成分は、回復ヒストグラムの高周波成分よりも大きい。
次に、LUT作成部310によりノイズ特性データ、及び回復ヒストグラムからLUT(ルックアップテーブル)を作成し、LUT保持バッファ311にLUTを保存する。LUTは入力画像データの画素値を、ノイズ混入前の画素値の推定値に変換するためのテーブルである。
LUT作成部310の説明のため、例として、画素値が90の入力画像データに対する、ノイズが混入する前の画素値を導出する方法を以下に説明する。
ノイズの混入前のなんらかの画素値がノイズの混入により、入力画像データの画素値が90になると推定する。そこで、どのような画素値にノイズが混入することで入力画像データの画素値が90となったかを考える。まず図4(a)のノイズ特性テーブルにおいて、ノイズ混入後に画素値が90となる行(実際値が90になる行)を抜き出したものを図8(a)に示す。図8(a)によれば、画素値が90になる確率が最も高い元の画素値は90である。また、元の画素値が89や91など画素値が90に近い画素値は、ノイズが混入すると画素値90となる確率を有する。しかし、元の画素値が0である画素が、ノイズが混入することにより画素値が90になる確率は0となっている。このように図4(a)のノイズ特性テーブルを横方向に読むことによって、ノイズ混入により画素値90となり得る画素値の確率が特定され得るのである。
図4(a)のノイズ特性テーブルは縦方向には1で正規化されているが、横方向には正規化されていない。そこで、図4(a)のテーブルを横方向に正規化することで、入力画像データの画素値X’として90を得た場合に、元の画素値の確率を表すテーブルとして利用できる。
図8(b)は、図8(a)のノイズ特性テーブルの画素値が90の行を正規化したものを示している。図8(b)において、画素値が90の行の正規化画素値頻度を合計すると1となる。
この図8(b)のような横方向の正規化画素頻度の分布をノイズ変動特性分布と呼ぶ。
また同様に、回復ヒストグラムも合計値が1になるように正規化することで正規化回復ヒストグラム806を取得する。
図7(a)は、正規化回復ヒストグラム806及びノイズ変動特性分布801を同時に図示している。ノイズ混入前の元の画素値Xは、正規化回復ヒストグラムとノイズ変動特性分布の重複する領域に存在する可能性が非常に高い。そこで、正規化回復ヒストグラム806とノイズ変動特性分布801を画素値ごとに乗算した結果をノイズ混入前画素値の確率分布802と見なす。そして、ノイズ混入前画素値の確率分布802の重心に相当する画素値をもって、ノイズ混入前の画素値の推定値Xとする。なお、ノイズ混入前の画素値の推定値Xは、ノイズ混入前画素値の確率分布802の中央値や最頻値等の他の統計値であっても良い。
LUT作成部310では上記のような計算を、画素値が90以外の他の画素値に対しても行い、入力画像データの画素値X’から、ノイズ混入前の画素値の推定値Xを対応づけるLUTを作成する。
図7(b)は、入力画像データの画素値X’とノイズ混入前の画素値の推定値X(理想値X)との対応関係を示すLUTの一例である。作成されたLUTはLUT保持バッファ311に保持される。なお、代表的な画素値のみに対してノイズ混入前の画素値を推定し、代表的な画素値以外の画素値については、補間処理により推定値を取得することによりLUTを作成しても良い。
次に、画素値変換部312では入力画像データにLUT保持バッファ311にあるLUTを適用して処理画像(補正画像)を得る。この処理により、入力画像データの画素にノイズ混入前の画素値の推定値を割り当てた結果、処理画像データはノイズ混入前画像の推定画像データとなる。処理画像は入力画像データが示す画像に比べノイズが低減されている。
最後に、画素値変換部312では信号処理部103における他処理に処理画像データを出力する。なお、画素値変換部312は、LUTを参照することなく、ノイズ混入前の画素値の推定値を入力画像データの画素毎に算出し、その推定値を出力してもよい。
以上の動作により、ノイズの低減された画像を得る事が出来る。画素値ごとにLUTを適用することでノイズを低減しているため、入力画像の空間周波数に応じて処理内容が変化することはない。従って入力画像の空間周波数に関わらずノイズを低減できる。
(回復行列)
以下、回復行列の生成及び適用方法について説明する。
図4(a)に示されたノイズ特性を表すノイズ特性テーブル中の正規化画素頻度を要素として持つ行列をDと表記する。行列Dの要素Dijはj番目のノイズ混入前の画素値(図4(a)の中央画素値)がノイズ混入によってi番目の画素値(図4(a)の画素値)になる確率を表している。入力画像データの一次元ヒストグラムをベクトル表記でp’(x)とする。xは画素値である。ノイズ混入前の画像のヒストグラムを同じくベクトル表記でp(x)とする。行列D及びベクトルp’(x)とp(x)との間には次式の関係が成り立つ。
式(1)は、ノイズ特性を示す行列Dとノイズ混入前の画像のヒストグラムp(x)との積により、ノイズ混入後の画像のヒストグラムp’(x)(入力画像の一次元ヒストグラム)が表されることを示している。ノイズ混入前の画像のヒストグラムp(x)を導出するには、式(2)のように行列Dの逆行列D−1を式(1)の両辺に乗ずれば良い。
なお、行列Dの特性によっては正確にベクトルpを計算することができない場合がある。例えば、行列Dが非正方行列や非正則行列の場合である。この際、Dの疑似逆行列Qを計算し、Qp’(x)をもってノイズ混入前の画像のヒストグラムのベクトルp(x)の近似されたヒストグラム
とする。式(3)は、擬似逆行列Qによってノイズ混入前の画像のヒストグラムを取得する際の式である。
この疑似逆行列Qを改良し、後述する統計ノイズに対してもロバストな回復行列Rを計算してRp’によりノイズ混入前のヒストグラムpの近似とすることも可能である。
図23を用いて統計ノイズを説明する。図23の実線は計算機で確率分布が正規分布に従う乱数を発生させ、そのヒストグラムをプロットしたものである。発生させる乱数が有限であるかぎり、ヒストグラムは正規分布にはならない。発生させる乱数の数を増加させていくと、ヒストグラムは正規分布に近づいていく。このように、サンプルが有限であるが故に発生する、理想ヒストグラムと実際のヒストグラムとの誤差を統計ノイズと称する。この統計ノイズの存在を考慮して疑似逆行列を改良したものが回復行列Rである。疑似逆行列Qはノイズによるヒストグラムの分散を低減するため、ヒストグラムを鮮鋭にする作用がある。しかし、実際のヒストグラムには統計ノイズが存在するため、単純に疑似逆行列Qを入力画像データのヒストグラムp’に適用すると、統計ノイズまでも鮮鋭化してしまい、ノイズ混入前のヒストグラムの推定誤差が大きくなる。そこで、統計ノイズが大きい場合には疑似逆行列Qによる鮮鋭化の程度を抑えることが望ましい。統計ノイズの大小はヒストグラム作成に用いたサンプルの個数、すなわち総画素数に依存するため、総画素数に応じて疑似逆行列Qによる鮮鋭化の程度を調整した回復行列Rを用いることが望ましい。回復行列Rの計算方法の一例を次式に示す。
上式の回復行列Rは単位行列Iと疑似逆行列Qの加重平均であることを意味している。係数a,bはヒストグラムp’(x)、及び入力画像データの総画素数Nに応じて変化する係数である。総画素数Nが多い場合はaが大きくbが小さくなることによってRを疑似逆行列に近づけ、回復処理を行う。一方で、総画素数Nが少ない場合は、aを小さくbを大きくすることにより統計ノイズによる推定誤差を抑える。
係数a,bが総画素数N以外にもヒストグラムp’(x)に依存する理由を説明する。例えば、ヒストグラムにおいて画素値が多く分布する範囲と、画素値が少なく分布する範囲がある場合、前者の範囲は後者の範囲よりもサンプル数が多いため、より統計ノイズの少ないヒストグラムの範囲である。そのため、画素値の多い範囲ではaの値を上げ、bの値を下げて、回復行列Rを疑似逆行列Qに近づけても統計ノイズによる誤差は少ないと考えられる。一方で、サンプル数が少ない範囲では統計ノイズによる推定誤差が大きくなると考えられるため、係数bの値を大きく、係数aの値を小さく設定することにより統計ノイズによる影響を相対的に小さくすることが望ましい。
式(4)により導出される回復行列Rを用いた回復処理を以下の(5)式に示す。
(一次元ヒストグラムを用いた場合のノイズ低減方法の制限)
上記の一次元ヒストグラムを用いたノイズ低減方法では、実際のノイズ低減には不充分である場合があることを示す。図9(a),(b)はグラデーション画像と、グラデーション画像にノイズが重畳された画像をそれぞれ示す。図9(a),(b)の一次元ヒストグラムは図10(a),(b)のように平坦なものとなる。これらの一次元ヒストグラムの回復ヒストグラムはやはり平坦であり、回復前後でヒストグラムに差が生じにくい。
図11は、入力画像データが図10(a),(b)のようなグラデーション画像の場合の回復処理を示している。図11から明らかなように、(正規化)回復ヒストグラムとノイズ変動特性分布の積はノイズ変動特性分布と同一形状となることが分かる。すると、ノイズ混入前の画素値の確率分布の重心により示される画素値は入力画像データの画素値と同一となる。そのため、実質的にノイズ低減処理を行う事ができない。この問題はノイズ混入という現象が一次元ヒストグラムの変化に現れていないことに起因する。
(多次元ヒストグラムを用いた場合のノイズ低減方法)
そこで本実施例では、多次元ヒストグラムを用いたノイズ低減処理を示す。
図3(b)は、多次元ヒストグラムを用いたノイズ低減処理に必要なブロック構成図を示している。なお、図3(b)の処理の一部は、図3(a)に記載の一次元ヒストグラムを用いたノイズ低減処理と同様の処理を行なうため重複する部分の詳細は省略する。
まず、入力部351は、入力画像データ、総画素数、及びノイズ特性データを取得する。
そして、多次元ヒストグラム生成部354は、入力画像データ、及び総画素数により多次元ヒストグラムを生成する。多次元ヒストグラム生成部の詳細を図20(b)に示す。周辺画素選択部2011は入力画像データの画素値をA/D変換部から逐次取得し、注目画素の画素値と、所定の位置関係にある画素の画素値の組合せを頻度計算部2012に出力する。頻度計算部2012では組合せの頻度をカウントし、入力部351により入力される画素値で除算することにより多次元ヒストグラムを生成する。本実施例において、多次元ヒストグラムとは、複数画素を一組とする頻度分布を言う。即ち、多次元ヒストグラムとは、入力画像データが示す入力画像中の各注目画素の画素値と所定の位置関係にある画素の画素値との組合せの出現頻度に基づいて生成される。本実施例では、一次元ヒストグラムを用いたノイズ低減処理における画素値、および、或いは多次元ヒストグラムを用いたノイズ低減処理における画素値と画素値の組合せを特性値と呼ぶ。
本実施例では、多次元ヒストグラムは二次元ヒストグラムであり、位置関係が「注目画素と右隣の画素」とする。入力画像データの二次元ヒストグラムは、入力画像データを走査することにより、注目画素の画素値がXであり、かかる注目画素の右隣の画素の画素値がYである組合せを画像全体に渡ってカウントする。そして、一次元ヒストグラムの場合と同様に、かかる頻度を画像全体の総画素数で除算することで二次元ヒストグラムを取得する。図12(a)は、図9(a)のグラデーション画像に対する二次元ヒストグラム、図12(b)は、図9(b)のノイズを含むグラデーション画像に対する二次元ヒストグラムを示している。Xは注目画素の画素値、Yは注目画素と所定の位置関係ある画素の画素値を示している。
図12(a)(b)では、実線で囲った範囲内に0でない頻度(出現確率)が分布しているものとする。
図12(a)は、対角方向に0でない頻度が分布している。これはグラデーション画像では隣接する画素の画素値が近いため、X=Yとなる直線の付近に分布が発生するためである。一方で、X=Yとなる直線から外れた領域での分布は発生しない。
図12(b)は、同様に対角方向に0でない頻度が分布している。加えて、ノイズの影響によりX=Yとなる直線から離れた領域においても分布が存在する。このような広がった分布は、図9(b)からも明らかなようにノイズを含む画素とノイズを含まない画素との組合せにより生じる分布である。
以上のとおり、二次元ヒストグラムではノイズ混入によるヒストグラムの形状の変化が顕著に見られる。これは、図10(a)(b)に示した、ノイズ混入による一次元ヒストグラムの形状の変化とは大きく異なる点である。
以下、回復テンソル生成部356に入力されるノイズ特性テーブルについて説明する。図4(b)は、中央画素値が(30,45)の組合せのノイズ特性テーブルを示している。図4(b)は、中央画素値(30,45)が入力された場合、画素値が(30,45)の組合せとなる確率は0.040であることを示している。二次元ヒストグラムを用いてノイズ低減処理を行なう場合は、図4(b)のようなテーブルを全ての画素値の組合せに対して用意することとなる。前述の通り、全ての画素値の組合せについて撮影して取得することが困難な場合は、補間演算などをつかってノイズ特性テーブルを生成しても良い。
回復テンソル生成部356にて行われる処理を説明する。まず、二次元ヒストグラムを用いる場合に上述の(1)式に対応する、ヒストグラムとノイズの関係を表すモデル式は次式となる。
(6)式において、p’(x,y)は多次元ヒストグラム生成部354で生成される入力画像データの二次元ヒストグラムである。x、iは注目画素の画素値、y、jは注目画素の右に隣接する画素(第一の位置関係にある画素)の画素値、を示している。p(i,j)はノイズ混入前画像の二次元ヒストグラムである。また、Dxiはノイズ混入によってi番目の画素値がx番目の画素値となる確率である。Dyjも同様である。(6)式はノイズ混入によって多次元ヒストグラムがX方向,Y方向に広がることを意味している。一次元ヒストグラムを用いる場合と同様に行列Dの擬似逆行列Qを用いて(6)式を以下のように変形することができる。
xi、yjそれぞれは、Dxi、yjの擬似逆行列である。
はノイズ混入前の二次元ヒストグラムp(x,y)の推定値である。この場合においても統計ノイズを考慮して、(4)式に対応する(8)式を用いて回復テンソルRxiyj(変換データ)が求められる。
ここで、δxi、δyjは単位行列を示す。一次元ヒストグラムを用いたノイズ低減処理の変換データRは行列形式であるが、二次元以上のヒストグラムを用いたノイズ低減処理の変換データは、テンソル形式となる。一次元ヒストグラムの場合と同様に、係数a,bはヒストグラムp’および入力画像データの総画素数Nに応じて変化する係数である。二次元ヒストグラムにおいて画素値が多く分布する範囲と画素値が少なく分布する範囲が存在する場合、以下のような処理をする。即ち、画素値の多い範囲では係数aの値を上げ、bの値を下げて、回復テンソルRを擬似逆行列Qに近づける。一方で、総画素数(サンプル数)が少ない範囲では、統計ノイズによる推定誤差が大きくなると考えられるため、係数bの値を大きく、係数aの値を小さく設定する。以上により、統計ノイズの影響を相対的に小さくすることができる。
以上のように求められた回復テンソルは、回復テンソル保持バッファ357に保持される。
そして、ヒストグラム回復部358により、回復テンソル保持バッファ357に保持されている回復テンソルRxiyjを用いて、回復ヒストグラム(回復多次元ヒストグラム)
を以下の(9)式により求める。
多次元LUT作成部360で作成される多次元LUTは2つの画素値(X’、Y’)対2つの画素値(X、Y)の変換テーブルである。一次元ヒストグラムによるノイズ低減処理の場合と同様に、ノイズ変動特性分布と回復ヒストグラムとの積を画素値の組合せごとに計算し、ノイズ混入前の画素値の確率分布を求める。そして、ノイズ混入前イの画素値の確率分布の重心をノイズ混入前の画素値の推定値(X,Y)とする。
図13は二次元ヒストグラムを用いたノイズ低減処理を示す図であり、横軸Xが注目画素の画素値を、縦軸Yが注目画素の右隣の画素の画素値を表す。また、図示していないが、注目画素の画素値Xと注目画素の右隣の画素の画素値Yとの組合せの頻度(又は出現確率)を示す軸が紙面と垂直な方向に存在する。なお、実線(1403、1404)ないし破線(1402)で囲った範囲内に0でない頻度が分布しているとする。ヒストグラム回復部358によるヒストグラム回復によって、入力画像データの二次元ヒストグラム1402に対して回復ヒストグラム1403が計算される。回復ヒストグラム1403は入力画像の二次元ヒストグラム1402よりも頻度が鮮鋭化している。入力画素値1401を得た場合、まずノイズ変動特性分布1404が行列Dにより計算される。具体的には入力画素値1401が(X’,Y’)であった場合、ノイズが加わる前の状態が(X,Y)である確率はDXX’YY’で表される。この確率分布がノイズ変動特性分布1404である。次にノイズ変動特性分布1404と回復ヒストグラム1403の積を計算し、ノイズ混入前画素値の確率分布1405を得る。そして、ノイズ混入前の画素値の確率分布1405の重心1406を計算し出力画素値とする。以上の計算を入力画像データ中の各(X’,Y’)に対して行い、入力画素値に対応する出力画素値(X,Y)を計算して、二次元LUTを作成する。作成された二次元LUTは、多次元LUT保持バッファ361に保持される。
図7(c)は、二次元LUTの一例を示している。二次元LUT中、左列は入力画像データの画素値の組合せ(X’,Y’)を表し、右列に推定された画素値の組合せ(出力画素値(X,Y))を表している。
画素値変換部362は、入力画像データに多次元LUT保持バッファ361にある二次元LUTを適用して処理画像(補正画像)を得る。具体的には、入力画像データを走査し、順次、注目画素と右隣にある画素の画素値の組合せ(X’,Y’)を取得する。そして、二次元LUTを参照することにより対応する出力画素値(X,Y)を取得し、取得された出力画素値Xを注目画素の画素値とする。
ここで、入力画像データが高周波成分を含んでいたとしても、上記の処理によってノイズ低減が良好に行えることを説明する。高周波成分を有する画像として図14のようなグラデーション画像の中に画素値E,画素値Fの画素から構成されるエッジを有する画像にノイズがのった入力画像データを考える。平滑化フィルタでは図14に示すエッジ部の周辺で、エッジをぼけを抑えつつノイズを低減することが困難であった。
図15に入力画像データの図14のグラデーション画像の二次元ヒストグラムを示す。横軸は注目画素の画素値X’、縦軸はその右隣の画素値Y’である。図15において破線で囲った領域は、入力画像データの二次元ヒストグラムにおいて頻度(又は頻度確率)が0でない領域を表す。図15に示すようにグラデーションとエッジが混ざった画像にノイズがのった画像のヒストグラムは2つの領域に集中して分布する。すなわち、グラデーション領域、平坦領域に属する画素値の組合せは領域1601に対応し、エッジ部の画素値の組合せは領域1602に対応する。エッジ部近傍にノイズが重畳された画素値の組合せ1605を得たとする。回復ヒストグラム処理により、二次元ヒストグラム1601に対応する回復ヒストグラム1603が生成される。同様に、回復ヒストグラムにより、二次元ヒストグラム1602に対応する回復ヒストグラム1604が生成される。回復ヒストグラム1604、1605の実線で囲まれた領域に、0でない頻度(又は頻度確率)が分布する。画素値の組合せ1605に対応するノイズ変動特性分布1606と回復ヒストグラムとの積を計算しノイズ混入前の画素値の確率分布を取得する。そして、ノイズ混入前の画素値の確率分布の重心を計算することで出力画素値1608を得る。さて、入力画素値1605はノイズがのったエッジ部近傍の画素の組合せである。この組合せが本実施例のノイズ低減により出力画素値1608へと変換される。多次元ヒストグラムにおいてコントラストが高い画素値の組合せは図15では左上ないし右下に配置される。すると、本実施例のノイズ低減処理によってエッジ部近傍の入力画素値の組合せ1605は左上に移動したのであるから、コントラストは下がるどころか、むしろ向上している。また本実施例のノイズ低減により、入力画素値1605がノイズが重畳される前の状態の画素値1607に近づいているため、ノイズも低減されている事が分かる。以上により、本実施例では入力画像データが高周波成分を含んでいても、良好にノイズ低減が行えることが分かる。
その一方で、低〜中周波成分が主要なグラデーション部分に属する画素値の組合せ1609は、回復ヒストグラムと画素値の組合せ1609のノイズ変動特性分布1610の積の重心である1611に変換される。グラデーション部分の注目画素と右隣の画素値の差をCとして、図15の横軸をX、縦軸をYとおくと、多次元ヒストグラムの一部領域である1601は線分Y=X+Cで表される中心軸1612付近に0でない値が分布する。ヒストグラム回復により、領域1601は中心軸1612により近い領域1603に変換される。そのため、移動後の画素値の組合せである1611は1609より中心軸1612に近い座標であり、ノイズ混入前の状態であるY=X+C線分上に近づいている。つまり1611は入力画素値の組合せ1609よりノイズの低減された状態であるから、グラデーション部に対しても良好にノイズが低減されたことになる。
以上により、入力画像の高周波成分であるエッジ部においても、低〜中周波成分であるグラデーション部においても本実施例によりノイズが低減されることが示された。言い換えれば、本件発明では入力画像の空間周波数に関わらず、良好にノイズを低減できることが分かる。
以上、多次元ヒストグラムの例として二次元ヒストグラムを用いてノイズ低減処理を説明した。本実施例においては、画像の右端に位置する注目画素を補正する際、注目画素の右隣の画素値を得る事ができない。その場合には、端に位置する注目画素の右隣に注目画素と同じ画素値を有する画素があるとしてヒストグラムを作成したり、端に位置する注目画素に対して補正処理をしないことが考えられる。入力画像がベイヤ配列を採用したセンサで撮影された画像である場合は、注目画素の右隣が注目画素と同じ色に対応する画素であるとは限らない。そこで入力画像中の画素が、複数の色のいづれかに対応している場合、色毎に本実施例を適用しても良い。また、入力画像を間引いて縮小した画像のノイズ低減に本実施例を適用する場合には、間引かれない画素を対象として本実施例を適用する事が望ましい。また、入力画像の奇数列と偶数列を別々の画像処理装置で処理する場合には、それぞれの演算装置で奇数列のみ、あるいは偶数列のみからなる画像に本実施例を適用しても良い。
あるいは画像を領域分割し、領域ごとに本実施例のノイズ低減処理を適用してもよい。かかる領域とは色、入力画素の位置、入力画素値などで区分された画素の集合のことである。色により画素を区分する場合、例えば、R値/B値/G値で区分したり、あるいは輝度値/色差値で区分してもよい。入力画素の位置により画素を区分する場合、所定のサイズのブロック(メッシュ)で区分したり、画像判定技術(例えば、顔認識)により区分してもよい。領域毎のノイズ低減処理の結果は合成され、最終的な補正画像が取得される。また、ノイズ低減処理を行なった領域と、ノイズ低減処理を行なわなかった領域を合成して最終的な補正画像を取得してもよい。
二次元ヒストグラムを生成する際に注目画素の画素値と右隣の画素の画素値を用いた。しかし、この位置関係は右隣の画素である必要はなく、例えば、左隣の画素、或いは注目画素と一画素を挟んで右の画素などとしてもよい。また、三次元以上のヒストグラムに基づいてノイズ低減処理を行なっても良い。例えば、入力画像データの注目画素の画素値と右隣にある画素の画素値と下隣にある画素の画素値との組合せにより多次元ヒストグラムを生成しても良い。
入力画像と、ノイズ低減処理後の出力画像との関係からみた本実施例の特徴は、入力画像のある画素値とその隣の画素値の組合せによって出力画素の値が決定する事である。さらにかかる決定の方法は、入力画素値の組合せを、入力画像の二次元ヒストグラムにおいて、頻度の高い画素値の組合せに近づけるようになされることである。これはヒストグラム回復により、入力ヒストグラムの山はより急峻になり、山の付近の画素値の組合せはより山に近づくように変換されるからである。
[実施例2]
実施例1のノイズ低減処理では、入力画像を走査しつつ、図7(c)のLUTを用いて入力画像データの画素値の組合せ(X’、Y’)に対して、ノイズ混入前の画素値の推定値の組合せ(X,Y)を取得する。そして、画素値変換部362は、LUTを参照することにより注目画像の画素値X’を推定値Xに変換する。
本実施例は、画素値変換部362で一つの画素に対して画素を割り当てる際に少なくとも二つの組合せの画素値を使用する。
図22(a)は、画素値変換部362により画素値Wを割り当てる際の組合せを模式的に示している。AからIは入力画像データの画素を示している。
注目画素が画素Aの場合、画素Aの画素値X’と画素Bの画素値Y’と基づいて実施例1に記載されたノイズ低減処理によりノイズ混入前の画素値の推定値XとYとを得る。同様に注目画素が画素Bの場合、画素Bの画素値X’と画素Cの画素値Y’と基づいてノイズ混入前の画素値の推定値XとYとを得る。
本実施例の画素値変換部362は、画素Bに対するノイズ低減処理後の画素値の推定値Wを以下の式(10)により割り当てる。
=(Y+X)/2 (10)
即ち、実施例1では、画素Bに対して推定値Xを割り当てられる。一方で、本実施例では、画素Bに対して二つの組合せ(1701および1702)それぞれについて推定された画素Bの推定値(YおよびX)の平均値Wが割り当てられる。
画素値変換部362は、他の画素に対しても式(10)と同様に、ノイズ低減処理後の画素値の推定値Wを割り当てる。
図22(b)は、本実施例における三次元ヒストグラムを用いた場合のノイズ低減処理を実行した場合における割り当て処理の概要を示した図である。画素Eに対して、ノイズ低減処理後の画素値の推定値Wを割り当てる際に、以下の組合せによる画素値の推定値を使用する。
組合せB,C,Eにおける画素Eの推定画素値V
組合せD,E,Gにおける画素Eの推定画素値V
組合せE,F,Hにおける画素Eの推定画素値V
V1、V2、V3を使用してWは以下の式により求める。
=(V+V+V)/3 (11)
以上のように、本実施例では、より多くの情報を使うためノイズ混入前画像の推定精度が高まることが期待される。
また、入力画像データを大きく変更したくない場合は、ノイズ低減の効果を抑えるために、V、V、Vの中で入力画像の画素Eの画素値に最も近い、すなわち補正による変化の少ない推定画素値を割り当てても良い。このように割り当て方を様々変える事によってノイズ低減後の画像に所望の特性を持たせることが出来る。
また本実施例では、画像のDCが必ずしも保存されない。入力画像の画素値の組合せを(X’,Y’),ノイズ混入前の画素値の推定値の組合せ(X,Y)とする。すると(X’+Y’)/2と(X+Y)/2は必ずしも等しくなるとは限らない。そこで、平均値が保存されるようにLUTを補正してもよい。DCが保存されるよう補正されたノイズ混入前の推定値を(X2,Y2)と定義する。すると(X2,Y2)は
X2=X−(X−X’+Y−Y’)/2 (12)
Y2=Y−(X−X’+Y−Y’)/2 (13)
と計算できる。上式によれば
(X2+Y2)/2=(X+Y)/2 (14)
となりDCが保存されていることが分かる。
[実施例3]
(多次元ヒストグラムを用いた場合のノイズ低減方法の拡張)
以下、画像を複数の領域に分割して、よりエッジをぼけにくくしながら、ノイズ低減処理を実現する実施例を示す。
図18は、本実施例の自然画像の2次元ヒストグラムの一例を示している。図18のX軸、Y軸は、図13や図15のX軸、Y軸と同様である。自然画像では隣接画素が近い画素値をとる傾向があるため、2次元ヒストグラムでは直線Y=Xの付近の平坦領域頻度分布4302の頻度が非常に高い。平坦領域頻度分布4302は、画像中の平坦領域に対応する。一方、画像中のエッジ領域に対応する2次元ヒストグラム上のエッジ領域頻度分布4301の頻度は平坦領域頻度分布4302の頻度に比べて非常に小さい。図19は線分4304に沿った頻度を縦軸にプロットした図である。平坦領域頻度分布4402の頻度はエッジ領域頻度分布4401の頻度に比べて非常に大きい。今、図18の4303、図19の4403で表される入力画素値の組合せを得たとする。入力画素値の組合せは、例えば、注目画素の画素値とその右隣の画素の画素値との組み合わせである。入力画素値の組合せ4403とエッジ領域頻度分布の頻度の中央値との距離4406は、入力画素値の組合せ4403と平坦領域頻度分布4402の頻度の中央値との距離4405に比べて短い。実施例1と同様に、図19において、ノイズ変動特性分布4404と、2次元ヒストグラム(4401と4402)との積をとり補正量を決定する。ここで、平坦領域4402の頻度が非常に大きいために距離的にはエッジ領域頻度分布4401に近くても、平坦領域頻度分布4402に近づくように入力画素値の組合せ4403が補正されてしまう。なお、ノイズ変動特性分布4404は、図7(a)のノイズ変動特性分布801に対応する。この場合、エッジ領域頻度分布4401とノイズ変動特性分布4404との間に重複部分があるため、急激に平坦領域頻度分布4402に近づくような補正をされるようなことはない。エッジ領域頻度分布4401の頻度は入力画素値の組合せ4403がぼけすぎないよう、ブレーキ(抑制)の役割は果たしている。仮に入力画素値の組合せ4403がノイズ混入前には平坦領域であった場合は、エッジ領域の頻度は無視して、直線Y=Xに近づけたほうが良い。また、仮に入力画素値の組合せ4403がノイズ混入前にはエッジ領域であった場合には平坦領域の頻度は無視してエッジ領域頻度分布4401に近づけた方が良い。しかし、事前に入力画素値の組合せ4403がどちらの領域に属するかという画素の特徴が分からないため、上記のような中途半端な補正をすることとなる。以下、これらの課題を解決するための本実施例について説明する。
まず、画像中の全ての画素について予め領域判定を行い、各画素の特徴を決定する。本実施例においては、注目画素の特徴とは、画像中の注目画素とその周辺画素とから、注目画素が平坦領域に属する確率、及び注目画素がエッジ部に属する確率を示す情報である。そして、それら確率に基づいて画素値の補正を行う。図19の例を用いて説明すると、仮に入力画素値の組合せ4403が100%の確率で平坦領域に属すると判定されていれば、エッジ領域頻度分布4401の頻度を無視してノイズ低減処理を行う。逆に入力画素値の組合せ4403が100%の確率でエッジ領域に属すると判定されたならば、平坦領域頻度分布4402の頻度を無視して、ぼかすことなくノイズ低減処理がなされる。どちらも100%でない場合には、平坦領域頻度分布4402、エッジ領域頻度分布4401の頻度を適正に考慮して補正がなされる。
図16は本実施例におけるノイズ低減処理にかかる構成を示すブロック図である。実施例1に記載されている図3(b)との差異の一つは領域判定部4020を設けたことである。領域判定部4020ではA/D変換部102から得た入力画像データの各画素について領域判定データを生成する。
図17は、領域判定部4020のブロック図を示している。周辺画素信号選択部4220は、注目画素の画素値と注目画素の周辺画素の画素値とを入力画像データから取り出す。例えば注目画素を囲む11x11ピクセルほどの画像領域(以降、注目領域)の画素値を出力する。
平坦度計算部4221は、まず注目領域の平均画素値μ、及び分散σを計算する。仮に注目領域が平坦領域であれば、注目領域内の画素のばらつきはノイズによるものとみなせる。ノイズは正規分布に従うため、注目領域内の画素群は正規分布に従って分布しているはずである。統計学では、平均μ、分散σの正規分布に従うk個の独立な変数をxとすると、
は自由度kのカイ二乗分布という確率分布に従うことが知られている。カイ二乗分布を用いれば、注目領域内の画素群から計算したZがどれくらいの確率で得られるものかが計算できる。例えばZが得られる確率が0.001%であるとすると、非常に希な事象が発生したと考えられる。本実施例ではこの0.001%という確率を注目領域が平坦領域である確率と読み替える。以下、具体的には注目領域が平坦領域である確率P-flatの計算方法を述べる。カイ二乗分布の累積分布関数をF(x,k)とすると
と表される。ここでγは不完全ガンマ関数、Γはガンマ関数である。Pflatを以下の式で計算する。
このように計算されたPflatは平均μ、分散σの正規分布に従うk個の独立な変数から計算したZがZ以上の値を取る確率に対応している。Zが大きいほど希な事象であるため、Zが大きくなるに従ってPflatは小さい値をとるようになる。
以上のとおり平坦度計算部4221は、式(15)乃至(17)に基づいて、注目領域が平坦領域である確率P-flatを出力する。注目領域が平坦である確率はP-flatであるため、注目領域がエッジ領域である確率は1−P-flatとなる。本実施例ではさらにエッジ領域を4つの領域に分ける。すなわち、横方向、縦方向、右斜め、左斜めに相関がある領域である。各領域はそれぞれ横のエッジ、縦のエッジ、右斜めのエッジ、左斜めのエッジに相当する領域である。
図21(a)の位置関係にあるXYの頻度に基づいて生成される2次元ヒストグラムを考える。図3(b)に示される多次元ヒストグラムを用いたノイズ低減処理において、複数の画素を一組として頻度を計算する理由は、ノイズ混入前の被写体画像における、かかる複数の画素に相関があるからである。つまり、複数の画素に相関があるために図13(a),(b)のように多次元ヒストグラムにおいて0でない頻度が一部に集中し、その集中の度合いを高めることでヒストグラム回復が可能なのである。ここで集中の度合いを高めるとは、多次元ヒストグラムのピーク周辺の画素をピークに近づける事を意味する。例えば、多次元ヒストグラムを生成する場合に、図21(a)に示されるXYの位置関係を採用することが考えられる。しかし仮に注目画素が縦方向に相関の高い領域であることが予め分かっていたとすると、図21(b)の位置関係にある複数の画素を用いて多次元ヒストグラムを構成した方が、図21(a)の位置関係の場合と比べて密集度は高まるはずである。そこで、領域判定部4020では平坦領域に加え、横方向相関、縦方向相関、右斜め相関、左斜め相関の計5つの領域を考え、注目画素がそれぞれの領域に属する度合いを確率として出力する。横相関計算部4222,縦相関計算部4223,左斜め相関計算部4225,右斜め計算部4226の出力値をそれぞれShorizontal,Svertical,Sleft_diagonal,Sright_diagonalとする。これら4つの出力値は、注目画素近傍領域の、各方向への相関の強さを示している。本実施例では、これら4つの相関の強さを示す出力値を共相関値と呼ぶ。共相関値を計算するには、例えば次式により計算を行う方法が挙げられる。
ただし、I(x,y)は注目画素の近傍領域の画像データであり、x,yの総和する範囲は注目画素の近傍領域である。xは画素の縦位置,yは画像の横位置を示す。上の式において(n,m)=(0,1),(1,0),(1,1),(1,−1)の場合のSがShorizontal,Svertical,Sleft_diagonal,Sright_diagonalに対応する。
領域信号生成部4224は平坦度計算部4221の出力Pflatと、横相関計算部4222〜4226の出力値Shorizontal,Svertical,Sleft_diagonal,Sright_diagonalから、領域判定データを計算する。領域判定データは注目画素の近傍が、平坦、横相関、縦相関、左斜め相関、右斜め相関の5つの領域に属する確率である。これら確率は、Pflat,Phorizontal,Pvertical,Pleft_diagonal,Pright_diagonalにより表される。Phorizontal,Pvertical,Pleft_diagonal,Pright_diagonalは次式により計算する。
以上のとおり、領域判定部4020は入力画像データの各画素について、平坦、横相関、縦相関、左斜め相関、右斜め相関の5つの領域夫々に属する確率(領域判定データ)を出力する。なお、領域判定データを算出する手法は、上述の手法に限らない。例えば、各方向に応じたエッジ検出フィルタを適用することにより領域判定データを算出しても良い。
次に多次元ヒストグラム生成部4004では入力画像データと、領域判定データから、平坦、横相関、縦相関、左斜め相関、右斜め相関の5つの領域それぞれに対応する5つの多次元ヒストグラムを計算して、出力する。
多次元ヒストグラム生成部4004の動作を説明する。例として横相関領域の多次元ヒストグラムの計算方法を述べる。横相関領域の多次元ヒストグラムをHhorizontal(X,Y)と表記する。Xは注目画素の画素値、Yは注目画素の右隣の画素の画素値を示す。まず全てのX,YについてHhorizontal(X,Y)を0で初期化する。次に画像を走査して、X,Yの組合せの頻度を示すHhorizontal(X,Y)の値を更新する。更新の方法は以下のようである。走査中の注目画素iの画素値をXi、注目画素の横相関領域判定データPhorizontal,iとする。注目画素iに対し図21(a)の位置関係にある右隣りの画素の画素値YをYとおく。ヒストグラムの更新はHhorizontal(Xi,Yi)の値をPhorizontal,iだけ増やす事で行われる。以上の処理を画像中の全画素に対して行うことによって、横相関領域に属する確率で重み付けされた横相関領域の多次元ヒストグラムが計算される。他の4つの領域についても同様である。但し多次元ヒストグラム生成時のXYの位置関係は縦相関領域では図21(b),左斜め相関領域では図21(c),右斜め相関領域では図21(d)を用いる。なお、平坦領域における多次元ヒストグラムの生成に当たっては、XYの位置関係は図21(a)乃至(d)のいずれでも良い。その理由は、そもそも平坦領域では領域内の画素が似たような値をとるため、全方向に相関が高い。そのため、どの位置関係を用いても2次元ヒストグラムは頻度が密集する傾向があるからである。本実施例では図21(a)の位置関係を用いることとする。
回復テンソル生成部4006の動作は式(7)、式(9)で示される回復テンソルの生成と同様である。本実施例では多次元ヒストグラムが5つあるので、回復テンソルも各多次元ヒストグラムに応じて5つ作成し、回復テンソル保持バッファ4007に保持する。個々の回復テンソルの作成方法は、二つの画素値を取得する際の画素の位置関係が図21(a)乃至(d)のそれぞれであるということ以外は、実施例1の通りである。平坦領域における回復テンソルの作成については、本実施例では図21(a)の位置関係を用いることとする。
ヒストグラム回復部4008では5つの領域の多次元ヒストグラムを対応する5つの回復テンソルでそれぞれ、回復処理を行う。個々の回復処理の内容は実施例1の通りである。
ルックアップテーブル作成部4010では5つの回復多次元ヒストグラム、ノイズ特性データから5つの領域に対応するルックアップテーブルを作成してルックアップテーブル保持バッファ4011に保持する。各ルックアップテーブル作成方法は実施例1の通りである。以降、平坦領域のルックアップテーブルにおける入力値(X,Y)に対する出力値をLUTXflat(X,Y)、横相関領域の出力値をLUTXhorizontal(X,Y)、縦相関領域の出力値をLUTXverticalとする。更に、左斜め相関領域のルックアップテーブルにおける入力値(X,Y)に対する出力値をLUTXleft_diagonal(X,Y)、右斜め相関領域の出力値をLUTXright_diagonal(X,Y)とする。
画素値変換部4012では、入力画像データを走査し、5つの領域に対応するルックアップテーブルと領域判定データとを用いて画素値を変換する。走査中の注目画素iの画素値をXiとする。注目画素iに対して図21(a)の位置関係にある画素の画素値YをYhorizontal_i、及びYflat_iとする。同様にして図21(b)の位置関係にある画素の画素値YをYvertical_i図21(c)の位置関係にある画素の画素値YをYleft_diagonal_i、図21(d)の位置関係にある画素の画素値をYright_diagonal_iとする。さらに注目画素の領域判定データをPflat_i,Phorizontal_i,Pvertical_i,Pleft_diagonal_i,Pright_diagonal_Iとする。画素値変換部4012は、Xiは次式によりXi’に変換される。
上式は注目画素Xの各領域に属する確率で、各領域のルックアップテーブルの出力を重み付けしたものの総和が、注目画素の補正後の画素値X’であることを示している。
最後に画素値変換部4012は変換後のXi’をホワイトバランス制御部へ出力する。
本実施例を総括する。実施例1及び2ではエッジ領域の画素及び平坦領域の画素を一まとめにして多次元ヒストグラムを構成していた。かかる方式による課題は、自然画像では平坦領域が多いため、回復ヒストグラムも平坦領域の頻度が大きくなり、ノイズ低減処理が平坦領域の影響を多く受け、処理結果が平坦になる傾向があることである。そこで本実施例では、予め平坦領域、及びエッジ領域の画素の特徴を決定し、領域毎に補正画素値を算出する。そして、注目画素が各領域に属する確率をもって前記補正画素値を加重平均して最終的な補正画素値とする。こうすることで、画像中の各領域の特徴に応じた適応的なノイズ低減処理を可能にしている。即ち、例えば、注目画素が縦方向のエッジに属する場合には縦相関領域の補正結果を重視する最終的な補正結果が得られる。一方で、縦相関領域の補正結果は平坦領域の影響が少ないので、入力画素は平坦化の度合いを抑えて補正される。つまり、本実施例のノイズ低減方法は実施例1及び2のノイズ低減方法に比べ、エッジ領域においてエッジがぼけにくいという利点がある。
なお、本実施例では2次元ヒストグラムで議論を進めたが、3次元ヒストグラムや、その他次元のヒストグラムでも同様の手法が実施できる。一例として3次元ヒストグラム作成時の各領域の位置関係を図22(e)−(i)に示す。図22(e)〜(i)はそれぞれ、平坦領域、横相関領域、縦相関領域、左斜め相関領域、右斜め相関領域の2次元ヒストグラム作成に関するXYZの位置関係である。平坦領域の位置関係は、図22(e)に示されている通り、横方向及び縦方向に関して密集度が高くなるような多次元ヒストグラムを生成することができる。
<他の実施例>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

Claims (11)

  1. 撮像部により取得された入力画像データに対してノイズ低減処理をする画像処理装置であって、
    前記入力画像データに基づいて、前記入力画像データのヒストグラムを生成する生成手段と、
    前記ヒストグラムを先鋭化することにより、回復ヒストグラムを生成する回復手段と、
    前記撮像部により得られる画像データを構成する画素が取り得る画素値毎のノイズ特性を示すノイズ特性データを保持する保持手段と、
    前記入力画像データにおける注目画素について、ノイズ特性データから得られる前記注目画素の画素値に対応するノイズ特性と前記回復ヒストグラムとを乗算することにより算出される確率分布の重心に相当する値を、前記注目画素の出力値とすることにより、前記入力画像データを補正する補正手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 撮像部により取得された入力画像データに対してノイズ低減処理をする画像処理装置であって、
    前記入力画像データに基づいて、前記入力画像データにおける画素値をノイズ混入前の画素値の推定値と対応づけることにより、前記入力画像データにおける画素値を変換するためのルックアップテーブルを作成する作成手段と、
    前記ルックアップテーブルを用いて前記入力画像データを構成する各画素の画素値を、該画素値に対応する推定値に変換することにより、前記入力画像データを補正する補正手段とを有し、
    前記作成手段は、
    前記入力画像データに基づいて、前記入力画像データのヒストグラムを生成する生成手段と、
    前記ヒストグラムを先鋭化することにより、回復ヒストグラムを生成する回復手段と、
    前記撮像部により得られる画像データを構成する画素が取り得る画素値毎のノイズ特性を示すノイズ特性データを保持する保持手段と、
    前記回復ヒストグラムと画素値毎のノイズ特性データとを乗算することにより算出される確率分布の重心に相当する値に基づいて、画素値毎の推定値を決定し、前記ルックアップテーブルを作成するルックアップテーブル作成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
  3. 前記ノイズ特性データは、理想的な画素値がノイズの影響によりどのような実際の画素値に変換されるかという確率を示すデータであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
  4. 前記ノイズ特性データは、前記撮像部により略一様な輝度を有する被写体を、露光量を変えて撮影し、各露光量に対応する複数の参照画像を取得し、
    前記参照画それぞれの平均値を前記理想的な画素値とみなし、前記参照画像ごとに、該参照画像を構成する画素の画素値の出現頻度を取得することにより、前記ノイズ特性データは生成されることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記回復手段は、前記入力画像データの総画素数、前記ノイズ特性データ、及び前記ヒストグラムに基づいて生成される回復行列を用いて、前記ヒストグラムを先鋭化することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  6. 前記重心に相当する値は、前記入力画像データにおける注目画素について、ノイズ特性データから得られる前記注目画素の画素値に対応するノイズ特性と前記回復ヒストグラムとを乗算することにより算出される確率分布の中央値であることを特とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  7. 前記重心に相当する値は、前記入力画像データにおける注目画素について、ノイズ特性データから得られる前記注目画素の画素値に対応するノイズ特性と前記回復ヒストグラムとを乗算することにより算出される確率分布の最頻値であることを特とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  8. 前記ルックアップテーブル作成手段は、前記撮像部により得られる画像データを構成する画素が取り得る画素値のうち代表的な画素値のみに対して前記推定値を算出し、前記代表的な画素値以外の画素値については、補間処理により推定値を取得することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  9. 撮像部により取得された入力画像データに対してノイズ低減処理をする画像処理方法であって、
    前記入力画像データに基づいて、前記入力画像データのヒストグラムを生成し、前記ヒストグラムを先鋭化することにより、回復ヒストグラムを生成し、
    前記撮像部により得られる画像データを構成する画素が取り得る画素値毎のノイズ特性を示すノイズ特性データを保持し、
    前記入力画像データにおける注目画素について、ノイズ特性データから得られる前記注目画素の画素値に対応するノイズ特性と前記回復ヒストグラムとを乗算することにより算出される確率分布の重心に相当する値を、前記注目画素の出力値とすることにより、前記入力画像データを補正することを特徴とする画像処理方法
  10. 撮像部により取得された入力画像データに対してノイズ低減処理をする画像処理方法であって、
    前記入力画像データに基づいて、前記入力画像データにおける画素値をノイズ混入前の画素値の推定値と対応づけることにより、前記入力画像データにおける画素値を変換するためのルックアップテーブルを作成し、
    前記ルックアップテーブルを用いて前記入力画像データを構成する各画素の画素値を、該画素値に対応する推定値に変換することにより、前記入力画像データを補正する補正手段とを有し、
    前記ルックアップテーブルの作成は、
    前記入力画像データに基づいて、前記入力画像データのヒストグラムを生成する生成工程と、
    前記ヒストグラムを先鋭化することにより、回復ヒストグラムを生成する回復工程と、前記撮像部により得られる画像データを構成する画素が取り得る画素値毎のノイズ特性を示すノイズ特性データを保持する保持工程と、
    前記回復ヒストグラムと画素値毎のノイズ特性データとを乗算することにより算出される確率分布の重心に相当する値に基づいて、画素値毎の推定値を決定する決定工程を含むことを特徴とする画像処理方法。
  11. コンピュータに読み込ませ実行させることで、前記コンピュータを請求項1乃至8のいずれか一項に記載されている画像処理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
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