JP5829484B2 - トレッド厚さ測定装置及び測定方法 - Google Patents
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Description
トレッド厚さは、例えば非接触式の渦電流センサを用いることで測定される。渦電流センサは、内部に備える検出コイルに高周波電流を流すことで磁束を誘起し、スチールベルトを積層して形成されたベルト層に渦電流を生じさせる。ベルト層に生じた渦電流は、検出コイルに対して磁束の変化を誘起させることで検出コイルにインピーダンス変化を生じさせる。このインピーダンス変化を渦電流センサが、渦電流センサからベルト層までの距離として検出している。具体的には、渦電流センサは、トレッド表面から所定距離離間した位置に配置され、使用済みタイヤを回転させつつ幅方向に移動させることで検出コイルのインピーダンス変化を電圧として検出し、検出した電圧を渦電流センサからベルト層のうち最外に位置する最外ベルトまでの距離とすることでタイヤ1周分のトレッド厚さの測定を可能にしている。
本構成によれば、タイヤ昇降手段のタイヤ搭載部にタイヤを搭載してタイヤ搭載部を上昇させ、タイヤ固定手段にタイヤを固定したのちに、タイヤ搭載部を下降させ、タイヤ昇降手段とともに内部に液体が貯留された水槽を昇降させる水槽昇降手段を固定されたタイヤの下方に移動させ、水槽昇降手段を上昇させてタイヤのトレッド表面を水槽の液体に浸し、水槽内に浸る超音波探触子からトレッド表面に向けて超音波を発振することにより、超音波を液体を媒体としてタイヤに伝播させることでタイヤ内部の構造を破壊することなく検査することができる。即ち、トレッド表面に発振された超音波は、水槽内の液体によってタイヤに伝播し、トレッド表面、ベルト層のベルト表面等、タイヤを構成する構造材の表面おいて異なる時間差で反射するので、この反射波を超音波探触子により受信することによりタイヤの内部の構造を取得してタイヤ表面からベルト層の最外に位置するベルト表面までの距離であるトレッド厚さを測定することができる。よって、タイヤのバフがけ時に本発明のトレッド厚さ測定装置によってタイヤ表面からベルト層までのトレッド厚さを測定することで、最外に位置するベルトを傷つけることなくバフ掛けするときのバフ量を設定することができる。また、トレッド厚さの測定に超音波を用いているので、ベルト層を構成するベルトの素材に関わらずトレッド厚さを測定することができる。また、トレッド厚さ測定装置がタイヤ昇降手段を備えることにより、異なるサイズのタイヤをタイヤ固定手段に保持させることができる。また、トレッド厚さ測定装置が、タイヤ固定手段により固定される異なるサイズのタイヤに対応するように、内部に液体を貯留する水槽を昇降させる水槽昇降手段をタイヤ昇降手段とは別に備え、移動手段によって水槽を水槽昇降手段とともに、タイヤ昇降手段がタイヤを昇降させる位置に移動させることにより、タイヤ昇降手段を動作させてタイヤ固定手段にタイヤを固定させたのちに、直ちに水槽を移動させるとともにトレッド表面が液体に浸るように水槽を上昇させることで、効率良くトレッド厚さを測定することができる。
本構成によれば、タイヤ固定手段に超音波探触子を設けることにより、タイヤ固定手段に固定されるタイヤに対して超音波探触子の位置が安定するので、トレッド厚さを精度良く測定することができる。
本構成によれば、重量のあるタイヤであっても、タイヤ搭載部に容易にタイヤを搬入出することができる。また、タイヤ搭載部に搭載されたタイヤをタイヤ昇降装置が昇降させることにより、後述のタイヤ固定装置4のタイヤ固定位置まで作業者の力を必要とすることなく重量の軽いタイヤから重いタイヤまでを昇降させることができる。
本構成によれば、タイヤに内圧を印加した状態でトレッド厚さを測定することにより、タイヤ使用時のトレッド表面からベルト層までのトレッド厚さが測定できるので、バフ掛けするときにベルト表面上に均等にトレッドゴムが残るようにバフ量を正確に設定できる。
本構成によれば、トレッド厚さの測定時にタイヤを回転させることで、タイヤ全体のトレッド厚さを測定することができるので、例えばトレッド表面に対してベルト層が偏心した状態であっても、トレッド表面からベルト層までのトレッド厚さが薄い部分を基準にしてバフ掛けすることができるので、バフ掛け時にベルト層を傷つけることを防止できる。
本態様によれば、タイヤ昇降手段のタイヤ搭載部にタイヤを搭載してタイヤ搭載部を上昇させ、タイヤ固定手段にタイヤを固定したのちに、タイヤ搭載部を下降させ、タイヤ昇降手段とともに内部に液体が貯留された水槽を昇降させる水槽昇降手段を固定されたタイヤの下方に移動させ、水槽昇降手段を上昇させてタイヤのトレッド表面を水槽の液体に浸し、水槽内に浸る超音波探触子からトレッド表面に向けて超音波を発振することにより、超音波を液体を媒体としてタイヤに伝播させることでタイヤ内部の構造を破壊することなく検査することができる。即ち、トレッド表面に発振された超音波は、水槽内の液体によってタイヤに伝播し、トレッド表面、ベルト層のベルト表面等、タイヤを構成する構造材の表面おいて異なる時間差で反射するので、この反射波を超音波探触子により受信することによりタイヤの内部の構造を取得してタイヤ表面からベルト層の最外に位置するベルト表面までの距離であるトレッド厚さを測定することができる。よって、タイヤのバフがけ時に本発明のトレッド厚さ測定装置によってタイヤ表面からベルト層までのトレッド厚さを測定することで、最外に位置するベルトを傷つけることなくバフ掛けするときのバフ量を設定することができる。また、トレッド厚さの測定に超音波を用いているので、ベルト層を構成するベルトの素材に関わらずトレッド厚さを測定することができる。また、本方法によれば、タイヤ昇降手段がタイヤを昇降させることにより、異なるサイズのタイヤをタイヤ固定手段に保持させることができる。また、タイヤ固定手段に固定される異なるサイズのタイヤに対応して、内部に液体を貯留する水槽を上昇させる水槽昇降手段をタイヤ昇降手段とは別に備え、移動手段によって水槽を水槽昇降手段とともに、タイヤ昇降手段がタイヤを昇降させる位置に移動させることにより、タイヤ昇降手段を動作させてタイヤ固定手段にタイヤを固定させたのちに、直ちに水槽を移動させるとともにトレッド表面が液体に浸るように水槽を上昇させることで、効率良くトレッド厚さを測定することができる。
図1は、被検体であるタイヤTの断面図である。図2は、トレッド厚さ測定装置1の一例を示す概略構成図である。
まず、本発明のトレッド厚さ測定装置1によりトレッド厚さDが測定されるタイヤTの構造について説明する。図1に示すように、被検体であるタイヤTは、例えば使用済みのタイヤであって、複数のベルト91乃至94により構成されるベルト層90をトレッド部に有する。ベルト層90は、タイヤ半径方向の内側に位置するベルト91乃至93と、タイヤ半径方向の最外に位置するベルト94とにより構成される。ベルト91乃至93がスチールベルト、ベルト94が非金属の繊維によって形成された繊維ベルトである。例えば、本実施形態におけるトレッド厚さDは、トレッド表面からベルト層90のうち最外に位置するベルト94までの距離をいう。
トレッド厚さ測定装置1は、被検体であるタイヤTを昇降させるタイヤ昇降手段としてのタイヤ昇降装置2と、タイヤTの内部構造を検査するために使用する水槽31を昇降させる水槽昇降手段としての水槽昇降装置3と、被検体であるタイヤTを固定するタイヤ固定手段としてのタイヤ固定装置4と、タイヤ昇降装置2及び水槽昇降装置3を移動させる移動手段とにより構成される。
サーボモータ11;11は、それぞれ後述の測定制御装置100と接続され、測定制御装置100の信号に基づいて同期して駆動する。なお、スライダ9を駆動するための駆動手段は、上記ボールネジ機構及びサーボモータ11に限らず、エアーシリンダ等の駆動手段によって動作させても良い。即ち、エアーシリンダをレール8;8の延長方向に沿って設け、エアーシリンダの一端をスライダ9に固定し、他端をレール8;8に固定してエアーシリンダを伸縮させることで、スライダ9;9をレール8;8に沿って移動させることができる。
即ち、レール8と、スライダ9と、サーボモータ11と、基板12とが、本発明に係るタイヤ昇降装置2及び水槽昇降装置3を移動させる移動手段を構成する。
タイヤ昇降装置2は、被検体であるタイヤTを搭載するタイヤ搭載部15と、当該タイヤ搭載部15に搭載されたタイヤTを昇降するタイヤ昇降機構16とを備える。
タイヤ昇降機構16は、一対のX字型リンク17と、X字型リンク17の交差角度を制御する油圧シリンダ18とを備える。X字型リンク17は、リンク動作をガイドする下側ガイド部材19及び上側ガイド部材20と、一対のリンク片21,22とにより構成される。下側ガイド部材19及び上側ガイド部材20は、断面I字状の部材によって構成される。下側ガイド部材19及び上側ガイド部材20は、それぞれ、一端側に円孔19A;20Aと、他端側から一端側に向けて延長する長孔19B;20Bとを有する。各リンク片21;22は、延長方向の中心に中心孔21C、一端側に軸21A;22A、他端側に長孔19B;20Bに沿って回転可能な大きさの車輪21B;22Bとを備える。一対のリンク片21;22は、車輪21Bが同一方向に面するように互いの中心孔21Cを一致させてボルト等の軸部材を貫通させることにより互いに回転可能に支持される。
また、上側ガイド部材20の円孔20Aに他方のリンク片22の軸22Aを嵌入させることで上側ガイド部材20に対して他方のリンク片22が回転可能に固定され、上側ガイド部材20の長孔20Bに一方のリンク片21の車輪21Bをはめることにより長孔20Bに沿って一方のリンク片21が移動可能に支持される。
左右の上側ガイド部材20には、タイヤTを搭載するための搭載板25が架設される。
タイヤ搭載部15は、一対の支持板27;27と、一対の支持板27;27により支持される一対のローラ28;28とにより構成される。
支持板27は、くの字状に形成された平板であって、延長方向がタイヤ搬入方向に沿って設けられる。支持板27は、くの字状に突出する頂部を搭載板25に向け、延長方向中央において搭載板25の支持部29;29にそれぞれ回転自在に取り付けられる。ローラ28は、一対の支持板27;27の間に挟まれ、支持板27;27の両端側において支持板27;27間を貫通する軸により回転自在に支持される。
具体的には、タイヤ搭載部15にタイヤTを搭載するときには、スライダ30をタイヤ搬入方向上流側に移動させることで、タイヤ搭載部15を傾斜させ、上流側に位置するローラ28を下向き、下流側に位置するローラ28を上向きに移動させる。そして、タイヤ搭載部15にタイヤTが搬入されると、スライダ30を搬入方向下流側に移動させてタイヤ搭載部15を水平にする。また、タイヤTを搬出するときには、スライダ30をタイヤ搬入側に移動させてタイヤ搭載部15をタイヤ搬入方向に傾斜させる。
タイヤ搭載部15が傾斜することにより、重量のあるタイヤTであっても、タイヤ搭載部15に容易にタイヤTを搬入出することができる。また、タイヤ搭載部15に搭載されたタイヤTをタイヤ昇降装置2が昇降させることにより、後述のタイヤ固定装置4のタイヤ固定位置まで作業者の力を必要とすることなく重量の軽いタイヤから重いタイヤまでを昇降させることができる。
水槽昇降装置3は、水槽31を昇降させる水槽昇降機構32を備える。なお、水槽昇降機構32の構成は、タイヤ昇降機構16と同一構成のため説明を省略する。水槽昇降機構32の搭載板33上には、水槽31が固定される。
水槽31は、上側が開口する箱型で、内部に液体34を貯留し、被検体であるタイヤTのトレッド表面が液体に浸る大きさの開口部35を有する。水槽31に貯留される液体34には、例えば水を用いる。なお、液体34は、水に限らず超音波を伝播する媒体であれば良い。例えばジェル等を利用することも可能であるが、リトレッドにおける後の工程を考慮すれば水を用いると良い。
なお、水槽31の形状は、上記形状に限らず、図16(a),(b)に示すように、水槽31の底面31bを水槽昇降装置3側に窪む台形形状や三角形状に形成しても良い。底面を台形形状や三角形状とすることで、底面31bがタイヤTの円周に沿うように近似されるので、水槽31内に貯留する液体34の量を少なくすることができるとともに、タイヤ外径の大きなものから小さなものまでの対応を可能にする。また、底面31bの窪む領域が、後述の測定手段45によるトレッド厚さDの測定時に、超音波探触子59の逃げ部となり、超音波探触子59がタイヤTのトレッド表面Tsや水槽31の底面31bに接触することを防止できる。
タイヤ固定装置4は、タイヤ昇降装置2がタイヤTを昇降させる昇降位置に配置される(図8参照)。具体的には、タイヤ昇降装置2及び水槽昇降装置3が移動するレール8;8を跨ぐように両側に配置される。
タイヤ固定装置4は、概略左本体40と右本体70とにより構成される。なお、以下の説明において、右及び左とは、図中に示す方向に従うものとする。
左本体40は、レール8:8の延長方向に対して直交方向に延長する左主軸41と、左主軸41の一端に取り付けられ、タイヤTを支持する左リム体42と、タイヤTを回転させるタイヤ回転手段43と、リム体に支持されたタイヤT内に内圧を印加する内圧印加手段44と、トレッド厚さDを測定する測定手段45とを備える。
左主軸41は、中空円筒状に形成され、タイヤ昇降装置2の上方において、レール8の延長方向に対して直交方向に延長する。左主軸41は、一端側が左本体40内においてベアリング等により回転可能に支持され、他端側が左本体40の一側面側から右本体70側に突出する。左主軸41の一端側は、内圧印加手段44に接続される。
モータ53は、左本体40に内蔵され、モータ53の回転軸が一側面から突出するように固定される。駆動プーリ54は、軸側プーリ55よりも小径な大きさで左側本体から突出する回転軸に取り付けられる。軸側プーリ55は、左主軸41に取り付けられ、リム体42と左本体40との間に取り付けられる。ベルト56は、駆動プーリ54と軸側プーリ55とに掛け渡され、モータ53の回転力を軸側プーリ55に伝達することで左主軸41を回転させる。
超音波探触子59は、例えば非接触式の探触子で、測定面59aをトレッド表面Tsに向けて固定部60Bの先端に固定される。超音波探触子59は、発振部59Aと受信部59Bとを同一面側に備える。発振部59Aは、超音波発振器58から出力された超音波をトレッド表面Tsに向けて発振する。受信部59Bは、発振部59Aから発振した超音波の反射波を受信する。なお、超音波探触子59は、接触式で合っても良いが接触式ではトレッド表面Tsに凹凸に追従することができない虞があるため、好ましくは非接触式を用いると良い。
測定手段45は、図7(a)に示すように、タイヤTを固定するときには、左本体側に超音波探触子59を移動させ、タイヤTが固定されたときには再び元の位置に戻る。また、図7(b),(c)に示すように、タイヤサイズが小さいときには延長部材60の伸縮部60Aを縮端させ、タイヤサイズが大きいときには延長部材60の伸張部60Aを伸張させる。
具体的には、制御部は、タイヤ昇降装置2のタイヤ昇降機構16の油圧シリンダ18(図2参照)の伸縮の制御と、タイヤ搭載部15の傾斜を制御するスライダ30の移動とを制御する(図2参照)。また、水槽昇降装置3の水槽昇降機構32の油圧シリンダ18の伸縮の制御を行う(図3参照)。また、タイヤ昇降装置2及び水槽昇降装置3を移動させるスライダ9の駆動源であるサーボモータ11の回転の制御を行う。また、タイヤ固定装置4の移動体76を移動させてタイヤを左右リム体42;72により固定する制御と、内圧印加手段44により左右リム体42;72に固定されたタイヤに内圧を印加する制御と、測定手段45の超音波探触子59による測定の制御と、タイヤ回転手段43によるタイヤの回転の制御とを行う(図1,図4参照)。
まず、測定手段45の進退部57Aを左本体40側に移動させて超音波探触子59を退避させる(図7(a)参照)。超音波探触子59を左本体40側に移動させることで、タイヤ昇降装置2によりタイヤTを上昇させるときにタイヤTに接触することを防ぐことができる。
次に、図8(a)に示すように、タイヤ昇降装置2のスライダ30を移動させてタイヤ搭載部15を搬入側に回転させて傾斜させ、タイヤTを搬入経路上に設けられたスロープ7に沿って転動させながらタイヤ搭載部15に搭載する。次に、図8(b)に示すように、スライダ30を移動させてタイヤ搭載部15を水平にしてタイヤTが自立するように搭載する。次に、図8(c)に示すように、タイヤ昇降機構16の油圧シリンダ18を縮短させてリンク片21;22の車輪21B;22Bを長孔19B;20Bに沿って移動させることでタイヤ搭載部15を上昇させる。詳細には、タイヤTの回転中心とタイヤ固定装置4のリム体42;72の軸心Cとが一致する高さまでタイヤTを上昇させる。
次に、スロープ7を下降させた後に、図9(b)に示すように、スライダ9をタイヤ搬入側に移動させタイヤ固定装置4にタイヤTを固定するときのタイヤ昇降装置2の昇降位置と同位置に、水槽昇降装置3を移動させる。つまり、タイヤ昇降装置2と水槽昇降装置3とを入れ替えるようにスライダ9を移動させる。次に、図9(c)に示すように、水槽昇降装置3の昇降機構32の油圧シリンダ18を駆動して水槽31を上昇させる。当該上昇動作により、トレッド表面Tsと超音波探触子59とが液体34に浸される(図7(b)参照)。
次に、図10(b)に示すように、水槽31が下降するとスライダ9を移動させて水槽昇降装置3を搬入方向下流側に移動させて、タイヤ昇降装置2と水槽昇降装置3とを入れ替える。詳細には、トレッド厚さD測定において水槽昇降装置3が位置していた位置にタイヤ昇降装置2を移動させる。次に、図10(c)に示すように、タイヤ昇降装置2のタイヤ昇降機構16を駆動して、タイヤ搭載部15を上昇させてタイヤ下面に当接させるとともに、タイヤ内の空気を脱気して右リム体72をタイヤTから離間させる。
さらに、水槽31に貯留された液体34を介してトレッド表面Tsに超音波を伝播させているので、水槽内にタイヤTのトレッド表面Tsの一部が浸ることでトレッド厚さDを測定することができるので、リム体42;72に異なるサイズのタイヤTが支持されたとしても、トレッド表面Tsの一部が浸るようにすることでどのようなタイヤサイズに対してもトレッド厚さDを測定することができる。
よって、タイヤTをリトレッドするときに、本発明に係るトレッド厚さ測定装置1によりトレッド厚さDを測定することで、最外に位置するベルト94の素材に関わらず、タイヤTを傷つけることなくバフ掛けするときのバフ量を正確に設定することができる。なお、バフ量とは、最外に位置するベルト94から所定厚さ残すようにトレッドを切削する厚さである。
図12は、トレッド厚さ測定装置1の他の形態の概略構成図を示す。
本実施形態2は、超音波探触子59が水槽31内に配設される点で実施形態1と異なる。即ち、本実施形態では、測定手段45が水槽31に配置され、水槽31とともに移動及び昇降する。
同図に示すように、測定手段45は搬入方向下流側に位置する水槽31の枠31Aに設けられる。測定手段45は、枠31Aに沿って配置されるガイドレール85と、ガイドレール85に沿って移動するスライダ86と、スライダ86に固定される延長棒87と、延長棒87の先端に取り付けられる超音波探触子59とにより構成される。ガイドレール85は、タイヤ固定装置4に固定された状態のタイヤ幅方向に延長する枠31Aの開口縁部に設けられる。スライダ86は、図外の駆動機構によりガイドレール85に沿って移動する。延長棒87は、一端がスライダ86に固定され、タイヤ固定装置4に固定された状態において水槽31内に貯留された液体34に浸るトレッド表面Tsに対面するようにタイヤ搬入側に延長する。超音波探触子59は、測定方向がトレッド表面Tsと対面するように延長棒87の先端に取着される。即ち、本実施形態では、超音波探触子59がタイヤ幅方向に走査することでトレッド厚さDを測定する。
本実施形態では、タイヤ固定装置4に固定されたタイヤTに対して水槽昇降装置3を上昇させてトレッド表面Tsを液体34内に浸す。次に、タイヤTを回転させつつ超音波探触子59をタイヤ幅方向に移動させることでトレッド表面Tsからベルト表面94aまでの厚さを測定する。
本実施形態のように、トレッド表面Tsからベルト表面までの厚さを測定しても実施形態1と同様の効果を得ることができる。また、超音波探触子59をタイヤ幅方向に走査させることにより、トレッド表面から最外に位置するベルト94までの厚さをより正確に測定することができる。
図14は、実施形態3のトレッド厚さ測定装置1の概略構成図を示す。
本実施形態は、タイヤ昇降装置2と水槽昇降装置3とを一体にした点で、上記実施形態1及び実施形態2と大きく異なる。なお、本実施形態では、トレッド厚さDを測定するための超音波探触子59は、実施形態1と同様にタイヤ固定装置4に設けられているものとする。
図14に示すように、タイヤ昇降装置2が水槽昇降装置3の水槽31内に配置される。本実施形態では、被検体であるタイヤTを水槽31内のタイヤ昇降機構16のタイヤ搭載部15を上昇させて、タイヤ搭載台からタイヤTを転動させてタイヤ搭載部15に搭載する。次に、左右のリム体42;72によりタイヤTを固定する。次に、タイヤ搭載部15を最下位の位置まで下降させる。次に、水槽昇降装置3の水槽31を上昇させてタイヤTとともに超音波探触子59を水槽31内の液体34に浸し、タイヤTを回転させることでタイヤ一周分に亘るトレッド表面からベルト表面までの厚さを測定する。
よって、本実施形態のようにトレッド厚さ測定装置1を構成しても、実施形態1及び実施形態2と同様にトレッド厚さDを測定することができる。また、水槽昇降装置3の有する水槽31内にタイヤ昇降装置2を設けることで、工場内にトレッド厚さ測定装置1を配置するスペースを省スペース化することができる。
図15(a)は、トレッド厚さ測定装置1における測定手段45の他の形態を示す側面図、図15(b)は、平面図を示す。
本実施形態4は、超音波探触子59が、タイヤ固定装置4に固定されたタイヤTのトレッド表面Tsに対してタイヤ幅方向、タイヤ近接方向に移動可能に、タイヤ固定装置4に設けられる点、及び外形測定手段46を備える点で実施形態1乃至実施形態3と異なる。
図15(a),(b)に示すように、測定手段45は、タイヤ固定装置4の左本体40と右本体70とが互いに対向する壁面40a;70aに掛け渡される支持部材64に取り付けられる。支持部材64は、直線的に延長する棒状部材であって、水槽昇降装置3を待機位置から昇降位置に移動させたときに、水槽が衝突しない高さに水平に架設される。
幅方向変位機構60は、例えば、ガイドレール60Aとスライダ60Bとサーボモータ60Cとを備えるリニアガイドが適用される。ガイドレール60Aは、支持部材64の延長方向に沿って設けられ、左本体40の壁面40aから右本体70の70aに略到達する長さを有し、内部に図外のボールネジ機構を備える。スライダ60Bは、ボールネジ機構のボールナットに固定され、ボールナットがボールネジに沿って移動することで、スライダ60Bもガイドレール60Aに沿って移動する。サーボモータ60Cは、ボールネジ機構のボールネジの一端と接続され、サーボモータ60Cの回転力がボールネジに伝達される。また、サーボモータ60Cは、測定制御装置100と接続され、測定制御装置100から出力される信号に基づいて回転する。
よって、サーボモータ60Cは、測定制御装置100から出力される信号に基づいて回転することで、ボールネジを回転させ、スライダ60Bをガイドレール60Aの延長方向に沿って移動させる。
よって、サーボモータ61Cは、測定制御装置100から出力される信号に基づいて回転し、ボールネジを回転させることで、スライダ61Bがガイドレール61Aの延長方向に沿って移動する。
超音波探触子59は、発振部59Aと受信部59Bとを有する測定面を上方、かつ、発振部59A及び受信部59Bによる測定位置を略左右主軸41;71の軸心Cを通る鉛直線の延長上となるように、探触子取付部62Cに取り付けられる。
本実施形態では、まず、タイヤ固定装置4に固定されたタイヤTに対して水槽昇降装置3を上昇させる前に、タイヤTを回転させて、トレッド表面Tsの周方向に設定される超音波探触子59によるトレッド厚さDの測定位置において外形測定手段46をタイヤ幅方向に移動させて、トレッド表面Tsの外形形状を予め外形測定手段46により測定する。このとき、超音波探触子59は、トレッド表面Tsと接触しない位置に待機させる。
次に、水槽昇降装置3を上昇させてトレッド表面Tsを液体34内に浸し、超音波探触子59をトレッド表面Tsに対して所定距離離間して配置する。次に、トレッド表面Tsの周方向に設定される測定位置において、超音波探触子59をタイヤ幅方向に移動させることでトレッド表面Tsからベルト表面94aまでの厚さを測定する。
次に、周方向の一つの位置における幅方向のトレッド厚さDの測定が終了すると、タイヤTを所定角度回転させて、再び、超音波探触子59をタイヤ幅方向に測定開始位置から測定終了位置まで移動させ、タイヤ円周方向に所定角度位置ずれした位置におけるタイヤ幅方向のトレッド厚さDを測定する。上記工程をタイヤ1周分行うことにより、タイヤ一本当たりのトレッド厚さDの測定が終了する。
9 スライダ、15 タイヤ搭載部、16 タイヤ昇降機構、31 水槽、
32 水槽昇降機構、42;72 リム体、43 タイヤ回転手段、
44 内圧印加手段、45 測定手段、58 超音波発振器、59 超音波探触子、
94 ベルト、94a ベルト表面、100 測定制御装置、
T タイヤ、Ts トレッド表面。
Claims (5)
- タイヤ搭載部を有し、該搭載部に搭載されたタイヤを昇降させるタイヤ昇降手段と、
前記タイヤ昇降手段により上昇したタイヤの内径部を保持するタイヤ固定手段と、
内部に液体を貯留し、前記タイヤ固定手段により固定されたタイヤのトレッド表面が前記液体に浸る大きさの開口部を有する水槽と、
前記水槽を前記タイヤ昇降手段がタイヤを昇降させる位置に移動させる移動手段と、
前記水槽を前記タイヤ固定手段に固定されたタイヤに向けて上昇させる水槽昇降手段と、
前記タイヤ固定手段に設けられ、前記水槽内において前記水槽昇降手段の上昇動作により前記液体に浸ったタイヤのトレッド表面に向けて超音波を発振し、反射した超音波を受信する超音波探触子と、
を備えるトレッド厚さ測定装置。 - 前記タイヤ搭載部は、タイヤの搬入前に搬入側に傾斜し、タイヤの搬入後に水平となってタイヤの回転軸の向きを前記タイヤ固定手段がタイヤを保持するときのタイヤの回転軸の向きと同一方向に向けてタイヤを自立させる請求項1に記載のトレッド厚さ測定装置。
- 前記タイヤ固定手段が固定したタイヤに内圧を印加する内圧印加手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のトレッド厚さ測定装置。
- 前記タイヤ固定手段がタイヤを回転させる回転手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか記載のトレッド厚さ測定装置。
- タイヤを昇降させるタイヤ昇降手段のタイヤ搭載部にタイヤを搭載する工程と、
前記タイヤ搭載部とともにタイヤを上昇させてタイヤ固定手段にタイヤ内径部を保持させる工程と、
内部に液体を貯留し、タイヤのトレッド表面が前記液体に浸る大きさの開口部を有する水槽を前記タイヤ昇降手段がタイヤを昇降させる位置に移動させる工程と、
前記水槽を水槽昇降手段により上昇させて、水槽に貯留される液体にトレッド表面を浸す工程と、
前記水槽内において前記液体に浸ったタイヤのトレッド表面に向けて前記タイヤ固定手段に設けられた超音波探触子から超音波を発振し、反射した超音波を受信してトレッドの厚さを測定する工程とを含むトレッド厚さ測定方法。
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