JP5811736B2 - ピラゾリノン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
<1> 炭化水素溶媒、及び、下記式
A+ OH-
(式中、A+はアルカリ金属カチオンを表す。)
で表されるアルカリ金属水酸化物を含む混合物(但し、下記式(2)で表される化合物を含まない。)を脱水処理する第1工程、
並びに、
第1工程で脱水処理された混合物、及び、式(2)
(式中、Arは置換基を有していてもよいフェニル基を表わし、R1は置換基を有していてもよい炭化水素基を表わす。該炭化水素基に含まれる−CH2−はヘテロ原子またはカルボニル基に置き換わっていてもよい。)
で表される化合物(以下、化合物(2)と記すことがある)を反応させる第2工程
を含むことを特徴とする、式(4)
(式中、A+、Ar及びR1はそれぞれ前記と同じ意味を表わす。)
で表される塩の製造方法。
<3> 第2工程が、第1工程で脱水処理された混合物、及び、式(2)で表される化合物を、第2工程の反応液に含まれる水量を0.8重量%以下に調整しながら反応させる工程であることを特徴とする<2>記載の製造方法。
<4> 第2工程が、第1工程で脱水処理された混合物、及び、式(2)で表される化合物を、減圧下、20〜100℃の温度範囲で共沸脱水しながら反応させる工程であることを特徴とする<2>又は<3>記載の製造方法。
<6> 第1工程が、減圧下、20〜100℃の温度範囲で共沸脱水する工程であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項記載の製造方法。
<8> 炭化水素溶媒が芳香族炭化水素溶媒であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項記載の製造方法。
<9> 第2工程が、エーテル溶媒の存在下で、第1工程で脱水処理された混合物、及び、式(2)で表される化合物を反応させる工程であることを特徴とする<1>〜<8>のいずれか記載の製造方法。
(式中、A+はアルカリ金属カチオンを表す。Arは置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。R1は置換基を有していてもよい炭化水素基を表わす。該炭化水素基に含まれる−CH2−はヘテロ原子またはカルボニル基に置き換わっていてもよい。)
で表わされる塩を得、得られた式(4)で表される塩と、式(3)
R2−O−SO2R3 (3)
(式中、R2は置換基を有していてもよい炭化水素基を表わし、R3は置換基を有していてもよいフェニル基又は炭素数1〜10のアルキル基を表わす。)
で表される化合物とを反応させる工程を含むことを特徴とする式(1)
(式中、Ar、R1及びR2はそれぞれ前記と同じ意味を表わす。)
で表わされるピラゾリノン誘導体(以下、誘導体(1)と記すことがある)の製造方法。
塩(4)の製造方法は、第1工程及び第2工程からなる。
第1工程は、炭化水素溶媒、及び、下記式
A+ OH-
(式中、A+はアルカリ金属カチオンを表す。)
で表されるアルカリ金属水酸化物を含む混合物(但し、下記式(2)で表される化合物を含まない。)を脱水処理する工程である。
第1工程における炭化水素溶媒の使用量は、例えば、アルカリ金属水酸化物1重量部に対し、0.1〜1000重量部、好ましくは、1〜50重量部を挙げることができる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジエチルエーテルなどの炭素数2〜20のジアルキルエーテル、例えば、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサンなどの構成原子数が5〜12の環状エーテル、例えば、ジエチレングルコールジメチルエーテル、ジエチレングルコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどの炭素数4〜12の(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル等を挙げることができる。好ましくは環状エーテルであり、より好ましくは、テトラヒドロフランである。
エーテル溶媒を使用する場合、エーテル溶媒の使用量は、炭化水素溶媒1重量部に対し、例えば1重量部以下、好ましくは0.25重量部以下を挙げることができる。
第1工程で得られ、第2工程に供せられる、アルカリ金属水酸化物及び炭化水素溶媒含有溶液に含まれる炭化水素溶媒の含有量は、例えば、アルカリ金属水酸化物1重量部に対し、0.1〜1000重量部、好ましくは1〜50重量部を挙げることができる。
第1工程における反応時間としては、含水量が0.8重量%以下に調整されるまでであれば、特に制限されない。
(式中、Arは置換基を有していてもよいフェニル基を表わし、R1は置換基を有していてもよい炭化水素基を表わす。該炭化水素基に含まれる−CH2−はヘテロ原子またはカルボニル基に置き換わっていてもよい。)
で表される化合物、すなわち、化合物(2)を反応させる工程である。
で表わされるフェニル基などの置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。
式(5)におけるR4〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロアルコキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいフェノキシ基を表すか、あるいは、R4〜R8のうち隣接する2つが末端で結合して−CH=CH−CH=CH−で示される基、ハロゲン原子を有していてもよいメチレンジオキシ基、または、アルキル基を有していてもよいアルキレン基を表す。該アルキレン基に含まれるメチレン基(−CH2−)は酸素原子(−O−)に置き換えられていてもよい。
アルコキシ基としては、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜C5のアルコキシ基等が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基等があげられる。アルコキシアルコキシ基としては、直鎖状もしくは分枝鎖状の(C1〜C3)アルコキシ(C1〜C3)アルコキシ基等が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシメトキシ基等があげられる。ハロアルコキシ基としては、同一もしくは相異なる1〜11個のハロゲン原子で置換された直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜C5アルコキシ基等が挙げられ、具体的には、例えば、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、テトラフルオロエトキシ基等があげられる。
アルキルチオ基としては、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜C5アルキルチオ基等が挙げられ、具体的には、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等があげられる。ハロアルキルチオ基としては、同一もしくは相異なる1〜11個のハロゲン原子で置換された直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜C5アルキルチオ基等が挙げられ、具体的には、例えば、トリフルオロメチルチオ基等があげられる。
アルキル基(例えばメチル基等のC1〜C4アルキル基等)を有していてもよいアルキレン基(例えばC2〜C6アルキレン基等)としては、例えばトリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。アルキレン基に含まれるメチレン基が酸素原子に置き換えられたアルキレン基としては、例えば、−OCH2CH2Clで示される基、−OCH2CH(CH3)Clで示される基等があげられる。
第2工程が炭化水素溶媒及びエーテル溶媒の混合溶媒の存在下で行われる場合、炭化水素溶媒及びエーテル溶媒の重量比としては、エーテル溶媒1重量部に対し、例えば、炭化水素溶媒1〜5重量部の範囲を挙げることができる。第2工程における炭化水素溶媒の使用量は、化合物(2)1重量部に対し、例えば、0.1〜1000重量部の範囲、好ましくは、1〜10重量部の範囲を挙げることができる。
塩(4)及び誘導体(1)の収率の観点から、第2工程の反応液は、脱水することにより、0.8重量%以下、好ましくは、0.5重量%以下に調整されていることが好ましい。
また、第2工程において、混合物[1]と化合物(2)とを徐々に混合することにより、第2工程の反応液の含水量を0.8重量%以下、好ましくは、0.5重量%以下に容易に調整することができる。
第2工程を具体的に説明すると、例えば、<2−I>炭化水素溶媒を還流脱水させながら、混合物[1]に化合物(2)を混合させる方法、例えば、<2−II>炭化水素溶媒を還流脱水させながら、混合物[1]および化合物(2)を並行して混合する方法、例えば、<2−III>炭化水素溶媒を還流脱水させながら、化合物(2)を含む溶液に混合物[1]を混合させる方法等を挙げることができる。好ましくは<2−I>の方法である。
(式中、A+、Ar及びR1はそれぞれ前記と同じ意味を表わす。)
で表される塩(以下、塩(4)と記すことがある)を含む溶液を得ることができる。このことは、該溶液に水を混合させることにより、再び、化合物(2)、すなわち、カルボニル基のα位に水素原子が結合した化合物として回収されることからわかる。また、該溶液に後述する第3工程を施すことにより、誘導体(1)、すなわち、カルボニル基のα位にR2が結合した化合物が製造できることからもわかる。
一方、本発明によれば、化合物(2)のR1がカルボニル基のα位の窒素原子に転位した塩、すなわち、式(4’)
(式中、A+、Ar及びR1は前記と同じ意味を表わす。)
で表される塩)の生成が抑制される。
(式中、A+、Ar及びR1は前記と同じ意味を表わす。)
で表される構造を有する塩、すなわち、塩(4)の互変異性体も存在すると考えられるが、前述したように、第1工程及び第2工程を行って得られた溶液に水を混合させた場合、化合物(2)を収率よく得られ、該溶液に後述する第3工程を行う場合、誘導体(1)を収率よく製造することができる。
R2−O−SO2R3 (3)
(式中、R2は置換基を有していてもよい炭化水素基を表わし、R3は置換基を有していてもよいフェニル基又は炭素数1〜10のアルキル基を表わす。)
で表される化合物(以下、化合物(3)と記すことがある)を反応させる工程(以下、第3工程と記すことがある)を行うことにより、式(1)
(式中、Ar、R1及びR2は前記と同じ意味を表わす。)
で表わされるピラゾリノン誘導体を得ることができる。
第3工程における反応温度としては、例えば、40℃〜120℃の範囲等を挙げることができ、60℃〜100℃の範囲が好ましい。
第3工程における反応の進行は、化合物(3)の消費量をガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の手段により確認し、化合物(3)が消費されなくなるまで反応することが好ましい。具体的な反応時間は、例えば、5分間〜72時間の範囲等を挙げることができる。
第1工程は、図1の装置(10)を用いておこなった。まず、図1を説明する。反応槽(1)には、加熱し得るようにジャケットが具備されている。反応槽(1)には、配管(2)を介して凝縮器(3)が接続され、凝縮器(3)には配管(4)を介して分離器(9)が接続されている。分離器(9)の上層(6)と反応槽(1)とは配管(5)を介して接続されている。
[第1工程]
反応槽(1)に、キシレン159重量部、水酸化リチウム一水和物12.1重量部を仕込み、ゲージ圧が約10kPaとなるまで減圧した。次に、反応槽(1)内のキシレン溶液が約67℃になるまで昇温したところ、水とキシレンとの共沸蒸気が配管(2)を経由して凝縮器(3)で冷却され、分離器(9)に移送された。分離器(9)内で分液されたキシレンは配管(5)を介して反応槽(1)に還流された。分離器(9)の下層(7)からは4.7重量部の水が回収された。
反応槽(1)内の混合物[1]の含水量は0.19重量%であった。
次に、5-アミノ−3−オキソ−4−O−トリル−2,3−ジヒドロピラゾール−1−チオカルボン酸S−アリルエステル(表1における化合物番号(2−1)で表される化合物)80重量部、キシレン240重量部、テトラヒドロフラン80重量部を含む溶液を、反応槽(1)内の混合物[1]に、11時間かけて配管(8)から滴下した。滴下中、水とキシレンとの共沸蒸気が配管(2)を経由して凝縮器(3)で冷却され、分離器(9)に移送された。分離器(9)の下層(7)からは4.7重量部の水が回収された。
反応槽(1)内から1時間ごとにサンプリングして含水量を求めたところ、0.19〜0.22重量%であった。
滴下終了後の溶液[2]をサンプリングし、当該サンプルに水を加えて液体クロマトグラフィで測定したところ、化合物(2)に相当する5-アミノ−3−オキソ−4−O−トリル−2,3−ジヒドロピラゾール−1−チオカルボン酸S−アリルエステルを100%(クロマトグラフの面積)とし、5-アミノ−3−オキソ−4−O−トリル−2,3−ジヒドロピラゾール−2−チオカルボン酸S−アリルエステル(式(1)におけるArが2−メチルフェニル基、R1が水素原子、R2がCH2=CH−CH2−S−C(=O)−である化合物、すなわち、式(4’)で表される化合物の窒素アニオンがNHとなった化合物)は1.72%(クロマトグラフの面積)であった。リチウムカチオンは、化合物(2)のカルボニル基のα位の窒素原子に結合した水素原子に選択的に置換されていることがわかる。
前記反応槽(1)及び(1’)とは異なるが同形の反応槽(1”)に、テトラヒドロフラン241重量部を仕込み85℃まで昇温させ、還流させた。次に、反応槽(1”)に第2工程で得られた溶液[2] 273重量部(5-アミノ−3−オキソ−4−O−トリル−2,3−ジヒドロピラゾール−1−チオカルボン酸S−アリルエステルとして84重量部)とメタンスルホン酸イソプロピルエステル51.9重量部を含むキシレン溶液とを1.5時間かけて滴下し、さらに、同温度にて20時間還流させた。
得られた反応溶液を液体クロマトグラフィ(内部標準法)で定量したところ、5-アミノ−2−イソプロピル−3−オキソ−4−O−トリル−2,3−ジヒドロピラゾール−1−チオカルボン酸S−アリルエステル(式(1)におけるArが2−メチルフェニル基、R1がイソプロピル基、R2がCH2=CH−CH2−S−C(=O)−。表3における化合物番号(1−1)で表される化合物)の収率は82.3%であった。
還流冷却器を具備する反応槽に、キシレン500重量部及び5-アミノ−3−オキソ−4−O−トリル−2,3−ジヒドロピラゾール−1−チオカルボン酸S−アリルエステル105重量部を入れ、得られた混合物を約78℃まで昇温した。該混合物が沸騰するまで減圧した後、キシレンを留去しながら、水酸化リチウム一水和物15.2重量部を加えた。得られた反応液は、さらに同温度にて4時間かけてキシレンの留去(キシレンの留去量としては360重量部)を行った。
得られた反応液に水を加えて液体クロマトグラフィで測定したところ、化合物(2)に相当する5−アミノ−3−オキソ−4−O−トリル−2,3−ジヒドロピラゾール−1−チオカルボン酸S−アリルエステルを100%(クロマトグラフの面積)とし、5−アミノ−3−オキソ−4−O−トリル−2,3−ジヒドロピラゾール−2−チオカルボン酸S−アリルエステル(式(1)におけるArが2−メチルフェニル基、R1が水素原子、R2がCH2=CH−CH2−S−C(=O)−である化合物、式(4’)で表される化合物の窒素アニオンがNHとなった化合物に相当)は16.7%(クロマトグラフィの面積)であった。キシレンを留去した場合、化合物(2)におけるカルボニル基のβ位に結合したCH2=CH−CH2−S−C(=O)−が、カルボニル基のα位に多く転位したことがわかる。
(2) 反応槽(1)から凝縮器(3)への配管
(3) 凝縮器
(4) 凝縮器(3)から分離器(9)への配管
(5) 分離器(9)の上層(6)から反応槽(1)への配管
(6) 分離器(9)の上層、実施例ではキシレン層
(7) 分離器(9)の下層、実施例では水層
(8) 反応槽(1)への仕込み用配管
(9) 分離器
(10)反応装置
Claims (7)
- 炭化水素溶媒、及び、下記式
A+ OH-
(式中、A+はリチウム金属カチオンを表す。)
で表されるアルカリ金属水酸化物の一水和物を含む混合物(但し、下記式(2)で表される化合物を含まない。)を脱水し、
得られた混合物に、式(2)
(式中、Arはo−トリル基を表わし、R1はアリルチオカルボニル基を表わす。)
で表される化合物を脱水条件下で加え、
式(4)
(式中、A + 、Ar及びR 1 は前記と同じ意味を表す。)
で表わされる塩を得、得られた式(4)で表される塩と、式(3)
R 2 −O−SO 2 R 3 (3)
(式中、R 2 はイソプロピル基を表わし、R 3 はメチル基、エチル基又は4−メチルフェニル基を表わす。)
で表される化合物とを反応させることを特徴とする、式(1)
(式中、Ar、R 1 及びR 2 はそれぞれ前記と同じ意味を表わす。)
で表わされるピラゾリノン誘導体の製造方法。 - 式(2)で表される化合物を、反応液に含まれる水量を0.8重量%以下に調整しながら加える、ことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 式(2)で表される化合物を、減圧下、20〜100℃の温度範囲で共沸脱水しながら加えることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
- 炭化水素溶媒、及び、下記式
A + OH -
(式中、A + はリチウム金属カチオンを表す。)
で表されるアルカリ金属水酸化物の一水和物を含む混合物に含まれる水量が0.8重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。 - 炭化水素溶媒、及び、下記式
A + OH -
(式中、A + はリチウム金属カチオンを表す。)
で表されるアルカリ金属水酸化物の一水和物を含む混合物を、減圧下、20〜100℃の温度範囲で共沸脱水することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。 - 炭化水素溶媒が芳香族炭化水素溶媒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
- 式(2)で表される化合物を、エーテル溶媒の存在下で加えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法。
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