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JP5803188B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機 Download PDF

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JP5803188B2 JP2011063855A JP2011063855A JP5803188B2 JP 5803188 B2 JP5803188 B2 JP 5803188B2 JP 2011063855 A JP2011063855 A JP 2011063855A JP 2011063855 A JP2011063855 A JP 2011063855A JP 5803188 B2 JP5803188 B2 JP 5803188B2
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Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図3および図4に示すように構成されている。図3に示すように、ケーシング50の内側には入力軸(中心軸)1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面)2a,2aと出力側ディスク3,3の内側面(凹面)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図4参照)が回転自在に挟持されている。
図3中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図3の右面)がローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図4は、図3のA−A線に沿う断面図である。図4に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図4においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、パワーローラ11を支持する支持板部16の長手方向(図4の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸(軸部)23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、ラジアルニードル軸受を介して各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図4の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図3の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は球状凹面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図4で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図4の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図4の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の変速比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、前述したようなトロイダル型無段変速機の部品点数の低減化および小型化を図るべく、特許文献1および特許文献2等には、一対の出力側ディスク3,3と出力歯車4とを一体とする中間ディスクの構造が記載されている。すなわち、図5に示されるように、一体型の出力側ディスク3Aの外周にギヤ部(歯部)3bを形成して成る構造を開示している。
特開平11−141637号公報 特開平11−063139号公報
一対の出力側ディスク3,3と出力歯車4との一体化に加え、更なる変速機の小型化のためには、トロイダル型無段変速機を支持する軸と一体型の出力側ディスク3Aに噛み合う歯車を支持する軸との軸間距離を極力小さくすることが好ましいが、そのようにすると、出力側ディスク3Aのトラクショ面(油膜によって形成されるパワーローラ11とディスクとの間の界面である。本明細書中では、便宜上、ディスク3Aの凹面3aをトラクション面と称することがある)の外周側端部から歯車までの距離が近くなるため、出力側ディスク3Aのギヤ部3bがトラクション面3aの接触部のせん断応力の影響を受けるようになる。
また、トロイダル型無段変速機を搭載した自動車の更なる低燃費化のためには、トロイダル型無段変速機の変速比幅を大きくすることが有効であり、トラクション面3aの有効範囲がこれまでよりも更に広くなるような設計を行なう必要がある。そのため、トロイダル型無段変速機の変速比が最低速の時の出力側ディスク3Aのトラクション面接触位置は、ギヤ部3bの溝底よりも大きく外側までに広がる場合があり、トラクション面接触部のせん断応力がギヤ部3bに影響する度合いが更に大きくなる。
また、図5に示されるように、最低速時のトラクション面3aに対する荷重入力方向は、図中に一点鎖線の矢印で示されるように更に径方向外側を向くようになるため、荷重の径方向成分力が更に大きくなる。そのため、一体型の出力側ディスク3Aを径方向外側に広げる力が作用するようになり、出力側ディスク3Aのギヤ部3bの歯底には引張り荷重が作用し易くなる。このように、一体型の出力側ディスク(中間ディスク)3Aの外周のギヤ部3bには、歯面からの力による応力だけでなく、前述したような影響を受けるようになる。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、中間ディスク(一体型のディスク)の外周ギヤ部の耐久性を向上できるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のトロイダル型無段変速機は、回転軸と、それぞれが断面円弧状の凹面である内側面を互いに対向させた状態で前記回転軸の両端部に、この回転軸と同期した回転を自在に支持された一対の外側ディスクと、軸方向両側面を断面円弧状の凹面とし、前記回転軸の周囲に、この回転軸に対する相対回転を自在として支持された中間ディスクと、この中間ディスクの外周面に直接形成された前記回転軸と同心のギヤ部と、前記外側ディスクの内側面と前記中間ディスクの側面との間に設けられたパワーローラとを備えるトロイダル型無段変速機において、前記ギヤ部に硬化層が形成され、この硬化層の深さは、前記ギヤ部と噛み合う歯車の硬化層深さよりも深く設定されていることを特徴とする。
上記構成において、ギヤ部の耐久性の更なる向上のため、前記ギヤ部の歯の根元の中心部に、中間ディスクの中心部の硬さと略同様の硬さから成る部位が存在することが好ましい。
本発明のトロイダル型無段変速機によれば、中間ディスク(一体型ディスク)の外周ギヤ部の硬化層深さが該ギヤ部と噛み合う歯車の硬化層深さよりも深く設定されているので、中間ディスクの外周ギヤ部の耐久性を向上できる。
本発明の実施形態に係るハーフトロイダル型無段変速機の断面図である。 図1のハーフトロイダル型無段変速機の一体型出力側ディスクの斜視図である。 従来から知られているハーフトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。 図3のA−A線に沿う断面図である。 出力側ディスクに作用する力の方向を示す概略図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の特徴は、一体型の出力側ディスクの外周ギヤ部の耐久性を向上させる点にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図3および図4と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1および図2は本発明の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、図3および図4を参照して説明した一対の出力側ディスク3,3を1つのディスクに一体化して成る一体型の出力側ディスク3A(軸方向両側面を断面円弧形の凹面3aとしている)の外周面に、出力歯車4に対応するギヤ部3bを直接形成したものである。回転軸に相当する入力軸1の両端部には、一対の入力側ディスク2,2(内側面を断面円弧形の凹面2aとしている)が入力軸1と同期して回転自在にかつ入力軸1の軸方向に変位自在に、ボールスプライン6により支持されている。一方、入力軸1の中間部の周囲には、一体型の出力側ディスク(中間ディスク)3Aが入力軸1に対して相対回転自在に、一対のニードル軸受5により支持されている。
また、本実施形態では、ギヤ部3bには、浸炭処理、浸炭窒化処理などの公知の硬化処置によって硬化層が形成されている。また、この硬化層の深さは、ギヤ部3bと噛み合う図示しない歯車の硬化層深さよりも深く設定されている。ギヤ部3bに作用する応力は、これと噛み合う図示しない歯車に作用する応力と比べて高いので、このように硬化層深さを異ならせることにより、ギヤ部3bの耐久性の向上が図られている。また、図2および図3に示すように、ギヤ部3bの耐久性の更なる向上のため、本実施形態では、ギヤ部3bの歯の根本の中心部Pの硬さ、すなわち歯底100同士を連ねた歯底円を含むギヤ部3bの歯の底面の中心部Pの硬さが、一体型の出力側ディスク3Aの中心部Q(本例では中心部の軸方向に貫通が形成されているので、実際には中心部近傍の位置になる。)の硬さと略同じ硬さに形成されている。これは、一体型の出力側ディスク3Aにも浸炭処理、浸炭窒化処理などの公知の硬化処置によって硬化層が形成されているので、ギヤ部3bの歯の根本の中心部Pの硬さがディスク3Aの表面の硬度と同じ程度であると、ギヤ部3bの歯底から割れが発生する虞があるためである。この場合、ギヤ部3bの歯の根本の中心部Pの硬さは、例えば、HRC30以上58以下程度となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、一体型の出力側ディスク3Aの外周のギヤ部3bの硬化層の深さが、ギヤ部3bと噛み合う歯車の硬化層深さよりも深く設定されているので、ギヤ部3bの耐久性を向上させることができる。
なお、前述の実施の形態では、本発明を一体型の出力側ディスク3Aのギヤ部3bに適用した場合について説明したが、一体型の出力側ディスク3Aに代えて一体型の入力側ディスク(中間ディスク)のギヤ部に本発明を適用することもできる。
本発明は、様々な形態のハーフトロイダル型無段変速機の他、トラニオンが無いフルトロイダル型無段変速機にも適用することができる。
1 入力軸(回転軸)
2 入力側ディスク(外側ディスク)
3A 一体型の出力側ディスク(中間ディスク)
3a トラクション面(側面)
3b ギヤ部
11 パワーローラ

Claims (2)

  1. 回転軸と、それぞれが断面円弧状の凹面である内側面を互いに対向させた状態で前記回転軸の両端部に、この回転軸と同期した回転を自在に支持された一対の外側ディスクと、軸方向両側面を断面円弧状の凹面とし、前記回転軸の周囲に、この回転軸に対する相対回転を自在として支持された中間ディスクと、この中間ディスクの外周面に直接形成された前記回転軸と同心のギヤ部と、前記外側ディスクの内側面と前記中間ディスクの側面との間に設けられたパワーローラとを備えるトロイダル型無段変速機において、
    前記ギヤ部に硬化層が形成され、この硬化層の深さは、前記ギヤ部と噛み合う歯車の硬化層深さよりも深く設定されていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記ギヤ部の歯の根元の中心部には、前記中間ディスクの中心部の硬さと略同様の硬さから成る部位が存在することを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
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