JP5896137B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
中でも、モノマー、重合開始剤、着色剤、及び帯電制御剤等を、分散安定剤を含む水相中に攪拌しながら加えて油滴を形成させ、その後、昇温して重合反応を行わせることにより、トナー粒子を得る懸濁重合法が広く知られている。また、乳化重合や懸濁重合により微粒子を形成させ、該微粒子を凝集させ、更に、凝集した微粒子を融着させることによりトナー粒子を得る会合法が提案されている。
前記溶解懸濁法では、分散工程で生ずる液滴の界面張力により分散粒子が必然的に球形化する傾向がある。球形トナーは小粒径であっても流動性が良く、ホッパーの設計や現像ロールを回転させるためのトルクが小さくなる等現像装置の設計に有利である反面、一部のクリーニング方式ではクリーニングされにくいという問題があった。すなわち、トナー像を転写した後の感光体表面は、例えば、ブレード、ファーブラシ、あるいは磁気ブラシ等の手段でクリーニングされるが、中でも構造が簡単で、しかもクリーニング性が良好なブレードクリーニング方式が一般的には多用されている。この方式の場合、クリーニングブレードと感光体との間で球形トナーが回転し、その隙間に入り込むため、クリーニングされにくいという大きな問題があった。
しかしながら、前者は機械的なせん断力と樹脂溶液の構造粘性の2つでトナー形状を制御しているため、構造粘性を解放した後の微調整が難しく、製造上のバラつきに対して弱いという問題があり、後者は乳化分散する設備の他に加温機能の付いた管が必要となるため、製造設備が大きくなり易く生産性の点で問題がある。
(1)少なくとも、樹脂成分として結着樹脂、又は結着樹脂と結着樹脂前駆体を含み、更に着色剤を含むトナー組成物を有機溶媒に溶解乃至分散してなる油相を、水系媒体中に乳化または分散させ、乳化粒子を含む乳化分散液を作製する工程と、前記乳化粒子を収斂させてトナー母体粒子を造粒する工程と、前記有機溶媒を除去する工程とを有する電子写真用トナーの製造方法であって、
前記乳化粒子を収斂させてトナー母体粒子を造粒する工程において、前記乳化分散液の温度を0〜40℃とすることによりトナー母体粒子の円形度を制御する工程を有し、
前記樹脂成分が、結晶性樹脂を該樹脂成分全体の50質量%以上含有し、
トナー母体粒子の平均円形度が0.940〜0.980であることを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
(2)前記乳化粒子を収斂させてトナー母体粒子を造粒する工程において、収斂中に温度を上昇させてトナー母体粒子の円形度を制御することを特徴とする前記(1)に記載の電子写真用トナーの製造方法。
(3)前記トナー組成物が有機変性層状無機鉱物を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の電子写真用トナーの製造方法。
(4)前記有機変性層状無機鉱物が、スメクタイト群粘土鉱物の層間のイオンの少なくとも一部が有機カチオンで変性された有機変性層状無機鉱物であることを特徴とする前記(3)に記載の電子写真用トナーの製造方法。
(5)前記有機変性層状無機鉱物が、モンモリロナイトの層間のイオンの少なくとも一部が有機カチオンで変性された有機変性層状無機鉱物であることを特徴とする前記(3)又は(4)に記載の電子写真用トナーの製造方法。
(6)前記結晶性樹脂が、ウレタン骨格及びウレア骨格の少なくともいずれかを有することを特徴とする前記(1)から(5)のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
(7)前記結晶性樹脂が、直鎖型ポリエステル樹脂、該直鎖型ポリエステル樹脂を含む複合樹脂であることを特徴とする前記(6)に記載の電子写真用トナーの製造方法。
(8)前記トナー母体粒子の平均円形度が0.950〜0.970であることを特徴とする前記(1)から(7)のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
樹脂成分である前記結着樹脂及び結着樹脂前駆体は、結晶性樹脂を該樹脂成分の50質量%以上含有することを必要とする。また、前記乳化粒子を収斂させてトナー母体粒子を造粒する工程において、前記乳化分散液の温度を制御することによりトナー母体粒子の円形度を制御することを必要とし、トナー母体粒子の平均円形度は0.940〜0.980である。
以下、本発明のトナーの製造方法の説明と併せて、本発明のトナーについて詳細に説明する。
1)油相
前記油相は、少なくとも結着樹脂、又は結着樹脂と結着樹脂前駆体と、着色剤とを含み、更に必要に応じて、有機変性層状無機鉱物、離型剤、帯電制御剤、及び結着樹脂前駆体と反応可能な活性水素基含有化合物などのその他の成分を含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させてなる。
前記結着樹脂や前記結着樹脂前駆体、及び前記着色剤を含むトナー組成物を溶解乃至分散させる場合に用いる有機溶媒としては、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
前記着色剤、前記有機変性層状無機鉱物などの樹脂以外のトナー組成物、及びそれらのマスターバッチなどは、それぞれ個別に有機溶剤に溶解乃至分散させ、前記樹脂溶解液乃至分散液に混合してもよい。
前記樹脂成分としては、結晶性樹脂を該樹脂成分の50質量%以上含有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記結晶性樹脂と非結晶性樹脂を併用してもよく、実質的に樹脂成分の主成分が前記結晶性樹脂であることが好ましい。
前記結晶性樹脂の前記樹脂成分に対する含有量としては、50質量%以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性樹脂による優れた低温定着性と耐熱保存性の両立性を最大限に発現させる観点から、65質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上が特に好ましい。前記含有量が、50質量%未満の場合、樹脂成分の熱急峻性がトナーの粘弾特性上で発現できず、低温定着性と耐熱保存性の両立は難しい。
樹脂成分である結着樹脂前駆体は、結晶性樹脂であることが好ましい。また、結着樹脂は結晶性樹脂を含有することが好ましく、結晶性樹脂と非結晶性樹脂を併用してもよい。
結着樹脂と結着樹脂前駆体の好ましい割合については、樹脂成分100質量部に対する結着樹脂前駆体の割合としては0〜70質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。前記割合が70質量部より大きいと、油相の粘度が大きくなり、乳化・分散効率が悪くなることがある。
また、「非結晶性」とは、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が1.55より大きく、熱により緩やかに軟化する性状であり、この性状を有する樹脂を「非結晶性樹脂」とする。
前記結晶性樹脂としては、結晶性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、変性結晶性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂が好ましく、ウレタン骨格及びウレア骨格の少なくともいずれかを有する樹脂が好ましく、また、直鎖型ポリエステル樹脂、該直鎖型ポリエステル樹脂を含む複合樹脂がより好ましい。
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステル樹脂、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステル樹脂が、結晶性発現の観点から好ましい。
前記ポリオールとしては、例えば、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオールなどが挙げられる。
前記ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数4〜36の脂環式ジオール;前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどが挙げられる。これらの中でも、鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記直鎖型脂肪族ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
前記炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンオキサイド(以下EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下BOと略記する)等の付加物(付加モル数1〜30)などが挙げられる。
前記ポリラクトンジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリε−カプロラクトンジオールなどが挙げられる。
前記スルホン酸基又は前記スルファミン酸基を有するジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1〜6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用が好ましい。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
なお、前記ジカルボン酸又は前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
前記ラクトン開環重合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、前記炭素数3〜12のモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物などが挙げられる。
また、前記ラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、ダイセル株式会社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
前記ポリヒドロキシカルボン酸の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間若しくは3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法などが挙げられるが、分子量の調整の観点から前記開環重合する方法が好ましい。
前記環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド、及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
前記ポリウレタン樹脂としては、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、前記ジオールと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレタン樹脂が好ましい。
前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、前記ポリエステル樹脂において挙げた前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートなどが挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜20の芳香族ジイソシアネート、2〜18の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネート、8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが挙げられる。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
前記脂環式ジイソシアネート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、前記ジイソシアネートの変性物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート含有プレポリマー等のウレタン変性TDIなどのジイソシアネートの変性物;これらジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)などが挙げられる。
前記ポリウレア樹脂としては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレア樹脂等が挙げられる。これらの中でも、前記ジアミンと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレア樹脂が好ましい。
前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、前記ポリウレタン樹脂において挙げた前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
前記ポリアミンとしては、例えば、ジアミン、3価以上のポリアミンなどが挙げられる。
前記ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類が好ましい。また、必要により、前記3価以上のアミン類を使用してもよい。
前記ポリアミド樹脂としては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸等のポリカルボン酸とから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ジアミンとジカルボン酸とから合成されるポリアミド樹脂が好ましい。
前記ジアミン及び前記3価以上のポリアミンとしては、前記ポリウレア樹脂において挙げた前記ジアミン及び前記3価以上のポリアミンと同様のものが挙げられる。
前記ジカルボン及び前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、前記ポリエステル樹脂において挙げた前記ジカルボン及び前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸と同様のものが挙げられる。
前記ポリエーテル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性ポリオキシアルキレンポリオールなどが挙げられる。
また、特殊な錯体を用いる方法としては、ランタノイド錯体と有機アルミニウムを接触させた化合物を触媒として用いる方法(例えば、特開平11−12353号公報に記載)やバイメタルμ−オキソアルコキサイドとヒドロキシル化合物をあらかじめ反応させる方法(例えば、特表2001−521957号公報に記載)などが知られている。
測定試料約30mgを直径5mmの13C−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶剤を加えて溶解させ、分析用試料とする。ここで、重水素化溶剤としては、特に制限はなく、試料を溶解させることのできる溶剤を適宜選択することができ、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。13C−NMRの3種類のメチン基由来の信号は、それぞれシンジオタクチック値(S)75.1ppm付近とヘテロタクチック値(H)75.3ppm付近とアイソタクチック値(I)75.5ppm付近に観測される。
アイソタクティシティは、次の計算式(1)により算出する。
アイソタクティシティ(%)=[I/(I+S+H)]×100 計算式(1)
ただし、前記計算式(1)中、Iはアイソタクチック信号の積分値、Sはシンジオタクチック信号の積分値、Hはヘテロタクチック信号の積分値である。
前記ビニル樹脂としては、結晶性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性を有するビニルモノマーと、必要により結晶性を有しないビニルモノマーとを構成単位として有するものが好ましい。
前記結晶性を有するビニルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が12〜50の直鎖アルキル(メタ)アクリレート(炭素数12〜50の直鎖アルキル基が結晶性基である)などが好適に挙げられる。
前記スチレン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルスチレンなどが挙げられる。
前記結着樹脂前駆体としては、活性水素基と反応可能な官能基を有する結晶性樹脂であることが好ましく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基と反応可能な官能基を有する結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリエーテル樹脂、結晶性ビニル樹脂などが挙げられる。前記結着樹脂前駆体は、トナーの製造過程において、活性水素基を有する樹脂や、活性水素基を有する架橋剤や伸長剤等の活性水素基を有する化合物と反応させることで、樹脂を高分子量化させ、結着樹脂を形成することができる。したがって、これらの変性結晶性樹脂は、トナーの製造において、結着樹脂前駆体として使用することができる。
前記非結晶性樹脂としては、非結晶性であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合隊、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂など、及び活性水素基と反応可能な官能基を有するように変性されたこれらの樹脂類が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。
イエロー用着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合乃至混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。前記フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合乃至混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合乃至混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
本発明のトナーは、本発明の効果を損なわない範囲で、結着樹脂、着色剤の他に、有機変性層状無機鉱物、離型剤、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などのその他の成分を必要に応じて含有していてもよい。
前記有機変性層状無機鉱物は、層状無機鉱物の層間に存在するイオンの少なくとも一部が有機物イオンで変性された有機変性層状無機鉱物である。前記層状無機鉱物は、厚み数nmの層が重ね合わさって形成される層状の無機鉱物である。前記「変性された」とは、前記層状無機鉱物の層間に存在するイオンに有機物イオンを導入することと同義であり、広義にはインターカレーションである。
また、層状無機鉱物は、トナーの表層近傍に配置されることで最も大きな効果を発生するが、本発明における有機変性層状無機鉱物は、トナー表層近傍に均一に隙間なく配列することが分かっている。このため、トナー表層近傍の結着樹脂の構造粘性を効率的に高め、定着直後のような樹脂硬度の低い画像の状態であっても充分に画像が保護される。また、少ない添加量でも効率的に効果を発揮できるため、定着性への阻害も殆どないものと考えられる。
前記有機変性層状無機鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、これらの前記層状無機鉱物の層間に存在するイオンの少なくとも一部が有機物イオンで変性された有機変性層状無機鉱物などが挙げられる。これらの中でも、スメクタイト系の基本結晶構造を持つスメクタイト群粘土鉱物の層間のイオンの少なくとも一部が有機カチオンで変性されたものが、トナー表面近傍における分散安定性の観点で好ましく、モンモリロナイトの層間のイオンの少なくとも一部が有機カチオンで変性されたもの、ベントナイトの層間のイオンの少なくとも一部が有機カチオンで変性されたものが特に好ましい。
また、前記有機変性層状無機鉱物としては、前記層状無機鉱物の2価金属の一部を3価の金属に置換することにより、金属アニオンを導入し、更に該金属アニオンの少なくとも一部を有機アニオンで変性した層状無機化合物が挙げられる。
前記有機変性層状無機鉱物の前記トナーに対する含有量としては、0.1質量%〜3.0質量%が好ましく、0.5質量%〜2.0質量%がより好ましく、1.0質量%〜1.5質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、層状無機鉱物の効果が発揮されづらくなり、3.0質量%を超えると、低温定着性を阻害する傾向にある。
前記第4級アルキルアンモニウムとしては、トリメチルステアリルアンモニウム、ジメチルステアリルベンジルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム、オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムなどが挙げられる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトンなどが挙げられる。
前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
前記離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分間で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分間で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量%〜40質量%が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、そのような帯電制御剤としては、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
前記水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。前記混和可能な溶剤としては、例えば、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)などが挙げられる。
前記水系媒体の前記トナー組成物100質量部に対する使用量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常50〜2,000質量部であり、100〜1,000質量部が好ましい。前記使用量が50質量部未満では、トナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。また、前記使用量が2,000質量部を超えると経済的でない。
前記水系媒体中には、界面活性剤、高分子系保護コロイド、無機分散剤及び有機樹脂微粒子をあらかじめ水系媒体中に分散させていてもよく、粒度分布がシャープになるとともに分散安定性の観点で好ましい。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等の陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤;脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤;アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等の両性界面活性剤などが挙げられる。
前記フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の酸類;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体;ビニルアルコール;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のビニルアルコールとのエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、及びこれらのメチロール化合物;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子乃至その複素環を有するもの等のホモポリマー乃至共重合体;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類などが挙げられる。
前記無機分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。
前記有機樹脂微粒子を形成する樹脂としては、水性分散体を形成しうる樹脂であれば、いかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという観点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
乳化または分散における前記油相及び前記水系媒体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記水相を90〜10質量%含み、前記油相を10〜90質量%含むのが好ましい。前記水相及び前記油相の含有量が該数値範囲内にあると、前記水相に前記油相が分散された水中油型エマルション乃至サスペンションが形成される。
前記乳化粒子は、前記油相を前記水相中に乳化乃至分散させてなる。
前記乳化粒子の組成としては、前記油相の組成と同一である。すなわち、少なくとも結着樹脂及び結着樹脂前駆体の少なくともいずれかと、着色剤とを含み、更に必要に応じて、有機変性層状無機鉱物、離型剤、帯電制御剤、及び結着樹脂前駆体と反応可能な活性水素基含有化合物などのその他の成分を含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させてなる。
前記乳化粒子を収斂させてトナー母体粒子を造粒する工程においては、前記乳化分散液の温度を制御することによりトナー母体粒子の平均円形度を制御する。前記油相に含まれる樹脂成分は、結晶性樹脂を前記樹脂成分の50質量%以上含有するため、油相中においても液温を含有される結晶性樹脂の融点以上から融点未満に低下させると、結晶性樹脂の結晶化が始まる。これを利用し、前記乳化分散液の温度を制御することで結晶化度をコントロールし、トナー母体粒子の会合状態を任意に変化させることでトナー母体粒子の円形度を制御することができる。
前記収斂は、前記油相を前記水系媒体中に乳化乃至分散させて形成した乳化粒子において、互いに近傍に存在する前記乳化粒子同士を会合させることにより行う。前記収斂により、互いに近傍に存在する前記乳化粒子同士から一つの粒子が形成される。
前記油相を前記水系媒体中に乳化乃至分散させる際、結晶性樹脂の融点以上の温度で高剪断力を加えることにより乳化乃至分散を行うと、前記油相と前記水系媒体との界面張力差に従い、真球状の乳化粒子が形成される。
そして、この油滴に、ゆっくり攪拌する程度の低剪断力を加える、あるいは、静止状態にて前記収斂を行うと、粒度分布の狭いトナーを得ることができる。これは、前記油滴の粒度分布が広い場合でも、大きな油滴に小さな油滴が会合することにより微粉領域が減り、全体の粒度分布が狭くなるためであると考えられる。
トナーの形状を制御するためには、乳化分散直後の乳化粒子を収斂させて母体粒子を造粒する際、温度を制御することにより合一粒子ではなく凝集粒子を形成させ、円形度を制御する。なお、ここでいう「合一」とは、会合粒子同士が一体となり、粒子同士の境界がなくなった状態、「凝集」とは、会合粒子同士が互いに界面を保ちながら吸着している状態を指している。乳化粒子の温度が結晶性樹脂の融点の5℃程度以上であれば、乳化粒子同士は合一し球形化するが、融点未満の場合、乳化粒子の結晶化とそれに伴う高粘度化が進行し、界面を保った凝集粒子となる。凝集粒子を形成させる際の乳化粒子の温度としては結晶性樹脂の融点、分散条件により異なるが、例えば0〜40℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。0℃未満であると、水系媒体と乳化粒子の系における凝集のバランスが大きく変わる可能性があり、40℃を超えると結晶性樹脂の結晶化が進まない可能性がある。
形成した会合粒子の形状は、凝集粒子の一部が合一していく過程で各々の粒界はなくなっていき、表面の凹凸として残るため、無数に表面凹凸を有する形状となる。
前記有機溶媒を除去する工程では、前記有機溶媒を含む油相を乳化乃至分散させた後収斂させて形成したトナー母体粒子から、前記有機溶媒を除去する。
前記有機溶媒の除去は、乳化分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の非水溶性有機溶剤を完全に除去してトナー母体粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法等が挙げられる。
前記有機溶媒の除去の後、トナー母体粒子に対し、洗浄、乾燥等を行うことができ、更にその後、所望により分級等を行うことができる。上記分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができ、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等);金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等)、疎水化された金属酸化物微粒子、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子が好適に挙げられる。
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが使用できる。
前記無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、100nm以下が好ましく、3nm〜70nmがより好ましい。前記重量平均粒径が3nm未満であると、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくい。前記重量平均粒径が70nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけ好ましくない。
前記酸化物微粒子を含む外添剤の表面処理剤としては、例えば、ジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
前記流動性向上剤は、前記トナーの表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても前記トナーの流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、重量平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
本発明のトナーが、低温定着性と耐熱保存性をより高いレベルで両立し、耐ホットオフセット性に優れるものとするためには、前記トナーの示差走査熱量計により測定される融解熱の最大ピーク温度をTa(℃)、高化式フローテスターにより測定される軟化温度をTb(℃)とした場合、45≦Ta≦70、0.8≦Tb/Ta≦1.55であり、且つ、前記トナーの(Ta+20)℃における貯蔵弾性率をG’(Ta+20)(Pa・s)、(Ta+20)℃における損失弾性率をG”(Ta+20)(Pa・s)とした場合、1.0×103≦G’(Ta+20)≦5.0×106、1.0×103≦G”(Ta+20)≦5.0×106を満たすことが好ましい。
また、前記トナーの(Ta+30)℃における損失弾性率をG”(Ta+30)(Pa・s)、(Ta+70)℃における損失弾性率をG”(Ta+70)(Pa・s)とした場合、0.05≦〔G”(Ta+30)/G”(Ta+70)〕≦50であることが好ましく、この範囲にすることで、温度に対するトナーの損失弾性率の変化が緩やかになり、低温定着性を維持しながら、より耐ホットオフセット性に優れたトナーを得ることができる。〔G”(Ta+30)/G”(Ta+70)〕としては、0.05〜50が好ましく、0.1〜40がより好ましく、0.5〜30が特に好ましい。
前記トナーの粘弾特性は、結着樹脂を構成する結晶性樹脂と非結晶性樹脂の比率や、樹脂の分子量やモノマー組成を調整すること等により任意で制御することが可能である。
本発明の現像剤は、前記トナーを含んでなり、更に必要に応じて適宜選択した、キャリアなどのその他の成分を含む。
前記現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支、即ち、現像剤へのトナー供給と現像によるトナー消費とが行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75emu/g〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30emu/g〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂;アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性したシリコーン樹脂などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテートなどが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01質量%〜5.0質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記二成分系現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1質量部〜10.0質量部が好ましい。
本発明に係る画像形成装置は、静電潜像担持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記現像手段は、静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する手段であり、前記トナーが本発明のトナーであることを必要とする。
なお、帯電手段と、露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。また、前記現像手段は、内部に固定された磁界発生手段を有し、本発明のトナーを担持して回転可能な現像剤担持体を有している。
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記画像形成装置の大きさや仕様等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン、CdS、ZnO等の無機感光体;ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)などが挙げられる。
前記帯電手段は、前記静電潜像担持体表面を帯電させる手段である。
前記帯電手段としては、前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)静電潜像担持体と接触して帯電させる接触方式の帯電手段と、(2)静電潜像担持体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段とに大別される。
前記(1)の接触方式の帯電手段としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、磁気ブラシ、ファーブラシ、フィルム、ゴムブレードなどが挙げられる。これらの中でも、前記帯電ローラは、コロナ放電に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、静電潜像担持体の繰り返し使用時における安定性に優れ、画質劣化防止に有効である。
前記(2)の非接触の帯電手段としては、例えば、コロナ放電を利用した非接触帯電器や針電極デバイス、固体放電素子;静電潜像担持体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。
前記露光手段は、帯電された前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する手段である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系などの各種露光器が挙げられる。また、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像手段は、静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する手段であり、前記トナーが本発明のトナーであることを必要とする。
前記現像手段は、例えば、前記トナーを用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に前記トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像手段を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像手段は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよい。また、単色用現像手段であってもよいし、多色用現像手段であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に前記トナーを含む現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する現像装置等が好適に挙げられる。
前記現像手段内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
現像スリーブ442と感光体ドラム1は、一定の間隙(現像ギャップ)を挟んで近接するように配置されていて、双方の対向部分に現像領域が形成されている。現像スリーブ442は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成しており、回転駆動機構(不図示)によって回転されるようになっている。磁気ブラシは、現像スリーブ442の回転によって現像領域に移送される。現像スリーブ442には現像用電源(不図示)から現像電圧が印加され、磁気ブラシ上のトナーが現像スリーブ442と感光体ドラム1間に形成された現像電界によってキャリアから分離し、感光体ドラム1上の静電潜像上に現像される。なお、現像電圧には交流を重畳させてもよい。
また、前記ドクターギャップは、現像ギャップと同程度か、あるいはやや大きくすることが好ましい。感光体ドラム1のドラム径やドラム線速、現像スリーブ442のスリーブ径やスリーブ線速は、複写速度や装置の大きさ等の制約によって決まる。ドラム線速に対するスリーブ線速の比は、必要な画像濃度を得るために1.1以上にすることが好ましい。なお、現像後の位置にセンサを設置し、光学的反射率からトナー付着量を検出してプロセス条件を制御することもできる。
前記転写手段は、前記可視像を記録媒体に転写する手段である。
前記転写手段としては、静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に直接転写する転写手段と、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する二次転写手段とに大別され、いずれの転写手段でも特に制限されるものではなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができる。
前記定着手段は、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる手段である。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有する定着装置が好適に用いられる。前記定着部材としては、互いに当接してニップ部を形成可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せなどが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、無端状ベルトとローラとの組合せや誘導加熱などによる前記定着部材の表面からの加熱方法を用いるのが好ましい。
前記定着手段としては、(1)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する態様(内部加熱方式)と、(2)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する態様(外部加熱方式)とに大別される。なお、両者を組み合わせたものを用いることも可能である。
前記(2)の外部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材の少なくとも1つにおける表面の少なくとも一部が加熱手段により加熱される態様が好ましい。このような加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電磁誘導加熱手段などが挙げられる。前記電磁誘導加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁場を発生する手段と、電磁誘導により発熱する手段とを有するものなどが好ましい。前記電磁誘導加熱手段としては、例えば、前記定着部材(例えば、加熱ローラ)へ近接するように配置される誘導コイルと、この誘導コイルが設けられている遮蔽層と、この遮蔽層の誘導コイルが設けられている面の反対側に設けられている絶縁層とからなるものが好適に挙げられる。このとき、前記加熱ローラは、磁性体からなる態様、ヒートパイプである態様などが好ましい。前記誘導コイルは、前記加熱ローラの、前記加熱ローラと前記定着部材(例えば、加圧ローラ、無端状ベルト等)との接触部位の反対側において、少なくとも半円筒部分を包む状態にて配置されるのが好ましい。
本発明に係るプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有する。
前記現像手段は、前記静電潜像担持体上に担持された静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する手段であり、前記トナーが本発明のトナーであることを必要とする。
前記現像手段としては、前記トナーを収容するトナー収容器と、該トナー収容器内に収容されたトナーを担持しかつ搬送するトナー担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させる前記トナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。前記現像手段は、前記二成分現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容された二成分現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有することが好ましい。具体的には、上記画像形成装置で説明した現像手段のいずれかを好適に用いることができる。
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置、ファクシミリ、プリンターに着脱可能に備えさせることができ、本発明の前記画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが特に好ましい。
次に、図2に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、静電潜像担持体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(不図示)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104でトナーにより現像され、現像されたトナー像は転写手段108により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の静電潜像担持体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
<結晶性樹脂A1の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸241質量部、アジピン酸31質量部、1,4−ブタンジオール164質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.75質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ18,000に達するまで反応を行って、融点58℃の[結晶性樹脂A1](結晶性ポリエステル樹脂)を得た。
<結晶性樹脂A2の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、1,4−ブタンジオール126質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部、メチルエチルケトン(MEK)100質量部を入れて攪拌した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)341質量部を加え、窒素気流下にて80℃で8時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去し、Mwがおよそ18,000、融点59℃の[結晶性樹脂A2](結晶性ポリウレタン樹脂)を得た。
<結晶性樹脂A3の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、1,4−ブタンジアミン123質量部、1,6−ヘキサンジアミン211質量部、メチルエチルケトン(MEK)100質量部を入れて攪拌した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)341質量部を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去し、Mwがおよそ22,000、融点63℃の[結晶性樹脂A3](結晶性ポリウレア樹脂)を得た。
<結晶性樹脂A4の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行った。
得られた結晶性樹脂249質量部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)82質量部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させ、末端にイソシアネート基を有するMwがおよそ20,000、融点65℃の[結晶性樹脂前駆体B1](変性ポリエステル樹脂)の50質量%酢酸エチル溶液を得た。
<非結晶性樹脂C1の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、1,2−プロパンジオール240質量部、テレフタル酸226質量部及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.64質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,2−プロパンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて1時間反応させ、180℃まで冷却させた後、無水トリメリット酸8質量部、テトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、1時間反応させた後、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ7,000に達するまで反応を行って、融点61℃の[非結晶性樹脂C1](非結晶性ポリエステル樹脂)を得た。
−微粒子分散液W1の製造−
攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、水600部、スチレン120部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル45部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS‐2、三洋化成工業製)10部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で20分攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。
加熱して、系内温度75℃まで昇温し6時間反応させた。
さらに1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で6時間熟成してビニル樹脂(スチレンーメタクリル酸一メタクリル酸ブチルーアルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩の共重合体)の水性分散液である微粒子分散液W1を得た。
微粒子分散液WをLA‐920((株)HORIBA社製)で測定した体積平均粒径は80nmであった。微粒子分散液Wの一部を乾燥して樹脂分を単離し、該樹脂分のフローテスター測定によるガラス転移温度は74℃であった。
イオン交換水990質量部、微粒子分散液W130質量部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム50%水溶液(エレミノールMON−7/(株)三洋化成工業(株)製)370質量部、カルボキシメチルセルロース11質量部、酢酸エチル90質量部を50℃で混合撹拌して均一に溶解させて[水系媒体1]を調製した。なお、[水系媒体1]の温度は容器内にて50℃に保つようにした。
[結晶性樹脂A1]100質量部、シアン顔料(C.I.Pigment blue 15:3)100質量部、及びイオン交換水30質量部をよく混合して、オープンロール型混練機(ニーデックス/三井鉱山(株)製)にて混練を行った。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却し、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[着色剤マスターバッチP1]を作製した。
なお、イオン交換水は混練の間にほぼ蒸発するため、[着色剤マスターバッチP1]においては無視できる。
冷却管、温度計及び撹拌機を装備した反応容器に、パラフィンワックス(HNP−9(融点75℃)、日本精蝋社製)20質量部、及び酢酸エチル80質量部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、さらにウルトラビスコミル(アイメックス製)にて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒間、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕し、[ワックス分散液]を得た。
温度計及び攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A1]38質量部、及び酢酸エチル38質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を88質量部、[ワックス分散液]を30質量部、[着色剤マスターバッチP1]12質量部及び酢酸エチル46質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相1]を得た。なお、[油相1]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作製から5時間以内に使用した。
次に、撹拌機及び温度計をセットした別の容器内に、50℃に保たれた水系媒体1を100質量部入れ、さらに50℃に保たれた[油相1]を50質量部加え、50℃にてTKホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数13,000rpmで1分間混合した。その後、攪拌翼外周端周速16m/s、大気圧下、15℃にて攪拌を15分間攪拌し、[乳化スラリー1]を得た。ここで[乳化スラリー1]の乳化粒子の平均円形度を後述するトナーの性能評価の方法にて測定したところ、0.947であった。
撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー1]を投入し、15℃で6時間脱溶剤して、[スラリー1]を得た。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、[濾過ケーキ1]を得た。
得られた[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母粒子1]を作製した。
次に、得られた[トナー母体粒子1]100質量部に疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合して、体積平均粒径5.8μmの[トナー1]を作製した。
本発明における二成分系現像剤に用いられるキャリアは以下のように製造した。
芯材として、Mnフェライト粒子(重量平均径:35μm)5,000質量部、並びに、被覆材として、トルエン450質量部、シリコーン樹脂SR2400(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50質量%)450質量部、アミノシランSH6020(東レ・ダウコーニング・シリコーン製)10質量部、及びカーボンブラック10質量部をスターラーで10分間分散して調製されたコート液を用いて、前記芯材とこのコート液と流動床内において回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間の条件で焼成し、[キャリアA]を得た。
[キャリアA]100質量部に対し上記で作製したトナー7質量部を、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで3分間均一混合し帯電させた。本発明においては、キャリアA200gとトナー14gを内容積500mlのステンレス容器に入れて混合を行った。
また、以上作製した二成分現像剤について、接触帯電方式、二成分現像方式、二次転写方式、ブレードクリーニング方式、及び外部加熱のローラ定着方式を採用した間接転写方式のタンデム型画像形成装置(画像形成装置A)の現像ユニットに装填して画像形成を行い、トナー及び現像剤の性能評価を行った。
−画像形成装置A−
図3に示す画像形成装置A 100は、タンデム型カラー画像形成装置である。画像形成装置A 100は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図3中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング手段17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光手段21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写手段22が配置されている。二次転写手段22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写手段22の近傍には定着手段25が配置されている。
なお、画像形成装置A 100においては、二次転写手段22及び定着手段25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるための反転装置28が配置されている。
即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段18K、イエロー用画像形成手段18Y、マゼンタ用画像形成手段18M、及びシアン用画像形成手段18C)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段18K、イエロー用画像形成手段18Y、マゼンタ用画像形成手段18M、及びシアン用画像形成手段18C)は、図4に示すように、それぞれ、静電潜像担持体10(ブラック用静電潜像担持体10K、イエロー用静電潜像担持体10Y、マゼンタ用静電潜像担持体10M、及びシアン用静電潜像担持体10C)と、該静電潜像担持体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光(図4中、L)し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像器61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング手段63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用静電潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用静電潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
以下に、本発明における結着樹脂、トナー及び現像剤の性能評価の方法について詳細を説明する。
<<結着樹脂及びトナーの融点(Ta)、軟化温度(Tb)及び軟化温度と融点との比(Ta/Tb)>>
結着樹脂及びトナーの融点(融解熱の最大ピーク温度、Ta)は、示差走査熱量計(DSC)(TA−60WS及びDSC−60、島津製作所製)を用いて測定した。融解熱の最大ピーク温度の測定に供する試料は、前処理として、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温した。ここで、一度DSCにより、昇温速度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される20℃〜100℃にある吸熱ピーク温度を「Ta*」とした。なお、吸熱ピークが複数ある場合は、最も吸熱量が大きいピークの温度をTa*とした。その後、試料を(Ta*−10)℃で6時間保管した後、更に(Ta*−15)℃で6時間保管した。次いで、上記試料を、DSCにより、降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、昇温速度20℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、同様のグラフを描き、吸発熱量の最大ピークに対応する温度を、融解熱の最大ピーク温度とした。
以上より、結着樹脂及びトナーの軟化温度と融点との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度:Ta/Tb)を求めた。結着樹脂及びトナーについて、結果をそれぞれ表1及び4に示す。
乳化粒子及びトナー母体粒子の円形度の測定は、FPIA-2100(東亜医用電子製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA−2100 Data Processing Program for FPIA version00−10)を用いて解析を行った。
具体的には、ガラス製100mLビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A、第一工業製薬製)を0.1〜0.5mL添加し、各トナー0.1〜0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mLを添加した。さらに超音波分散器STM社製UH−50で20kHz、50W/10cm3の条件で1分間分散処理を行い、さらに、合計5分間の分散処理を行い、測定試料の粒子濃度が4000〜8000個/10-3cm3(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布及び形状を測定する。
A4サイズ、トナー付着量0.5mg/cm2のベタパターンをテスト画像として、1000枚出力時を初期、10万枚出力時を経時として、クリーニング工程を通過した感光体上の転写残トナーを、スコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)を用いて白紙に移し、これをマクベス反射濃度計(RD514)で測定し、下記基準に基づいて、クリーニング性を評価した。
〔評価基準〕
○:経時と初期との差が0.01以下である
×:経時と初期との差が0.01を超える
画像形成装置Aを用い、転写紙(リコービジネスエキスパート株式会社製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナー付着量が0.85±0.1mg/cm2のベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器AD−401(上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260μmR〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作製した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/sである。定着下限温度は、低い程、低温定着性に優れる。結果を表5に示す。
〔評価基準〕
◎:定着下限温度が110℃未満
○:定着下限温度が110℃以上120℃未満
△:定着下限温度が120℃以上130℃未満
×:定着下限温度が130℃以上
画像形成装置Aを用い、転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)上に、転写後のトナー付着量が0.85±0.1mg/cm2のベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度と、定着下限温度との温度幅を定着可能温度幅とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作製した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/sである。定着可能温度幅は、広い程、耐ホットオフセット性に優れ、約50℃が従来のフルカラートナーの平均的な温度幅である。結果を表5に示す。
〔評価基準〕
◎:定着可能温度幅が60℃以上
○:定着可能温度幅が50℃以上60℃未満
△:定着可能温度幅が40℃以上50℃未満
×:定着可能温度幅が40℃未満
50mlのガラス容器にトナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した後、24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により、針入度を測定し、下記基準で耐熱保存性を評価した。なお、針入度が大きい程、耐熱保存性が優れていることを意味し、針入度が150未満であるものは、使用上、問題が発生する可能性が高い。結果を表5に示す。
〔評価基準〕
◎:針入度が250以上
○:針入度が200上250未満
△:針入度が150以上200未満
×:針入度が150未満
−トナー2の製造−
撹拌機及び温度計をセットした別の容器内に、50℃に保たれた水系媒体1を入れ、さらに50℃に保たれた[油相1]を50質量部加え、50℃にてTKホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数13,000rpmで1分間混合した。その後、攪拌翼外周端周速16m/s、大気圧下、15℃にて攪拌を15分間攪拌し、平均円形度を測定したところ、0.947であった。乳化分散液の温度を25℃に上げ、さらに5分間攪拌を続け、平均円形度を測定したところ、0.953であった。乳化分散液の温度を30℃に上げ、さらに5分間攪拌を続け、平均円形度を測定したところ、0.961であった。ここで攪拌を止め[乳化スラリー2]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー2]を投入し、30℃で6時間脱溶剤して、[スラリー2]を得た。
以後の工程は実施例1と同様の処理を実施し、[トナー2]を作製し、トナー及び現像剤の性能評価を行った。
−着色剤マスターバッチP3の製造−
[着色剤マスターバッチP1]の製造において、[結晶性樹脂A1]に代えて[結晶性樹脂A2]を添加したこと以外は、実施例1と同様にして[着色剤マスターバッチP3]を作製した。
実施例1において[結晶性樹脂A1]に代えて[結晶性樹脂A2]を、[着色剤マスターバッチP1]に代えて[着色剤マスターバッチP3]を添加したこと以外は実施例1と同様にして[乳化スラリー3]を得た。平均円形度は0.944であった。以後の工程は実施例1と同様の処理を実施し、[トナー3]を作製し、トナー及び現像剤の性能評価を行った。
−着色剤マスターバッチP4の製造−
[着色剤マスターバッチP1]の製造において、[結晶性樹脂A1]に代えて[結晶性樹脂A3]を添加したこと以外は、実施例1と同様にして[着色剤マスターバッチP4]を作製した。
−油相4の製造−
温度計及び攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A3]38質量部、及び酢酸エチル38質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス分散液]30質量部、[着色剤マスターバッチP4]12質量部及び酢酸エチル46質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、更に[結晶性樹脂前駆体B1]の50質量%酢酸エチル溶液を88質量部加え、50℃にてTK式ホモミキサーで回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相4]を得た。なお、[油相4]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作製から5時間以内に使用した。
撹拌機及び温度計をセットした別の容器内に、50℃に保たれた水系媒体1を140質量部入れ、さらに50℃に保たれた[油相4]を80質量部及びイソホロンジアミン7.5質量部を加え、加え、50℃にてTKホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数13,000rpmで1分間混合した。その後、攪拌翼外周端周速16m/s、大気圧下、15℃にて攪拌を15分間攪拌し、[乳化スラリー4]を得た。平均円形度は0.945であった。
以後の工程は実施例1と同様の処理を実施し、[トナー4]を作製し、トナー及び現像剤の性能評価を行った。
−水系媒体5の製造−
イオン交換水975質量部、微粒子分散液W145質量部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム50%水溶液(エレミノールMON−7/(株)三洋化成工業(株)製)370質量部、カルボキシメチルセルロース11質量部、酢酸エチル90質量部を50℃で混合撹拌して均一に溶解させて[水系媒体5]を調製した。なお、[水系媒体5]の温度は容器内にて50℃に保つようにした。
実施例1において[水系媒体1]に代えて[水系媒体5]を添加したこと以外は実施例1と同様にして[乳化スラリー5]を得た。平均円形度は0.952であった。以後の工程は実施例1と同様の処理を実施し、[トナー5]を作製し、トナー及び現像剤の性能評価を行った。
−トナー6の製造−
撹拌機及び温度計をセットした別の容器内に、50℃に保たれた水系媒体5を入れ、さらに50℃に保たれた[油相1]を50質量部加え、50℃にてTKホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数13,000rpmで1分間混合した。その後、攪拌翼外周端周速16m/s、大気圧下、15℃にて攪拌を15分間攪拌し、平均円形度を測定したところ、0.952であった。乳化分散液の温度を25℃に上げ、さらに5分間攪拌を続け、平均円形度を測定したところ、0.963であった。ここで攪拌を止め[乳化スラリー6]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー6]を投入し、25℃で6時間脱溶剤して、[スラリー6]を得た。
以後の工程は実施例1と同様の処理を実施し、[トナー6]を作製し、トナー及び現像剤の性能評価を行った。
−層状無機鉱物マスターバッチF1の製造−
[結晶性樹脂A1]100質量部、少なくとも一部にベンジル基を有する第4級アンモニウム塩で変性したモンモリロナイト化合物(クレイトンAPA、サザンクレイプロダクツ社製)100質量部、及びイオン交換水50質量部をよく混合して、オープンロール型混練機(ニーデックス、三井鉱山(株)製)にて混練を行った。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却し、樹脂と層状無機鉱物の比率(質量比)が1:1である[層状無機鉱物マスターバッチF1]を作製した。
なお、イオン交換水は混練の間にほぼ蒸発するため、[層状無機鉱物マスターバッチF1]においては無視できる。
温度計及び攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A1]37質量部、及び酢酸エチル37質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を88質量部、[ワックス分散液]を30質量部、[層状無機鉱物マスターバッチF1]2質量部、[着色剤マスターバッチP1]12質量部及び酢酸エチル47質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相7]を得た。なお、[油相7]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作製から5時間以内に使用した。
実施例1において[油相1]に代えて[油相7]を添加したこと以外は実施例1と同様にして[乳化スラリー7]を得た。平均円形度は0.943であった。以後の工程は実施例1と同様の処理を実施し、[トナー7]を作製し、トナー及び現像剤の性能評価を行った。
−トナー8の製造−
撹拌機及び温度計をセットした別の容器内に、50℃に保たれた水系媒体1を入れ、さらに50℃に保たれた[油相7]を50質量部加え、50℃にてTKホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数13,000rpmで1分間混合した。その後、攪拌翼外周端周速16m/s、大気圧下、15℃にて攪拌を15分間攪拌し、平均円形度を測定したところ、0.943であった。乳化分散液の温度を30℃に上げ、さらに5分間攪拌を続け、平均円形度を測定したところ、0.954であった。乳化分散液の温度を37℃に上げ、さらに5分間攪拌を続け、平均円形度を測定したところ、0.961であった。ここで攪拌を止め[乳化スラリー8]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー8]を投入し、37℃で6時間脱溶剤して、[スラリー8]を得た。
以後の工程は実施例1と同様の処理を実施し、[トナー8]を作製し、トナー及び現像剤の性能評価を行った。
−トナー9の製造−
撹拌機及び温度計をセットした別の容器内に、50℃に保たれた水系媒体1を入れ、さらに50℃に保たれた[油相1]を50質量部加え、50℃にてTKホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数13,000rpmで1分間混合した。その後、攪拌翼外周端周速16m/s、大気圧下、50℃にて攪拌を15分間攪拌して[乳化スラリー9]を得た。ここで[乳化スラリー9]の乳化粒子の平均円形度を後述するトナーの性能評価の方法にて測定したところ、0.983であった。
撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー9]を投入し、25℃で6時間脱溶剤して、[スラリー9]を得た。
以後の工程は実施例1と同様の処理を実施し、[トナー9]を作製し、トナー及び現像剤の性能評価を行った。
−油相10の製造−
温度計及び攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A1]29質量部、及び酢酸エチル29質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を106質量部、[ワックス分散液]を30質量部、[着色剤マスターバッチP1]12質量部及び酢酸エチル46質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相10]を得た。なお、[油相10]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作製から5時間以内に使用した。
撹拌機及び温度計をセットした別の容器内に、50℃に保たれた水系媒体1を入れ、さらに50℃に保たれた[油相10]を50質量部加え、50℃にてTKホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数13,000rpmで1分間混合した。その後、攪拌翼外周端周速16m/s、大気圧下、15℃にて攪拌を15分間攪拌して[乳化スラリー10]を得た。ここで[乳化スラリー10]の乳化粒子の平均円形度を後述するトナーの性能評価の方法にて測定したところ、0.952であった。
撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー10]を投入し、25℃で6時間脱溶剤して、[スラリー10]を得た。
以後の工程は実施例1と同様の処理を実施し、[トナー10]を作製し、トナー及び現像剤の性能評価を行った。
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング手段
18K、18Y、18M、18C 画像形成手段
21 露光手段
22 二次転写手段
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着手段
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
60 帯電器
61 現像器
62 転写帯電器
63 クリーニング手段
64 除電器
100 画像形成装置
101 静電潜像担持体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 転写手段
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
220 加熱ローラ
230 加圧ローラ
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
424 現像装置
441 スクリュー
442 現像スリーブ
443 ドクターブレード
L 露光
Claims (8)
- 少なくとも、樹脂成分として結着樹脂、又は結着樹脂と結着樹脂前駆体を含み、更に着色剤を含むトナー組成物を有機溶媒に溶解乃至分散してなる油相を、水系媒体中に乳化または分散させ、乳化粒子を含む乳化分散液を作製する工程と、前記乳化粒子を収斂させてトナー母体粒子を造粒する工程と、前記有機溶媒を除去する工程とを有する電子写真用トナーの製造方法であって、
前記乳化粒子を収斂させてトナー母体粒子を造粒する工程において、前記乳化分散液の温度を0〜40℃とすることによりトナー母体粒子の円形度を制御する工程を有し、
前記樹脂成分が、結晶性樹脂を該樹脂成分全体の50質量%以上含有し、
トナー母体粒子の平均円形度が0.940〜0.980であることを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。 - 前記乳化粒子を収斂させてトナー母体粒子を造粒する工程において、収斂中に温度を上昇させてトナー母体粒子の円形度を制御することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記トナー組成物が有機変性層状無機鉱物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記有機変性層状無機鉱物が、スメクタイト群粘土鉱物の層間のイオンの少なくとも一部が有機カチオンで変性された有機変性層状無機鉱物であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記有機変性層状無機鉱物が、モンモリロナイトの層間のイオンの少なくとも一部が有機カチオンで変性された有機変性層状無機鉱物であることを特徴とする請求項3又は4に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記結晶性樹脂が、ウレタン骨格及びウレア骨格の少なくともいずれかを有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記結晶性樹脂が、直鎖型ポリエステル樹脂、該直鎖型ポリエステル樹脂を含む複合樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記トナー母体粒子の平均円形度が0.950〜0.970であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
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