以下、本発明の実施形態について説明する。図1は本実施形態の顕微鏡装置1を示している。顕微鏡装置1は、蛍光色素や蛍光タンパク等を導入した観察対象としての試料Sに照明光Lを照射する。これにより、試料Sを励起させて蛍光させる。そして、この蛍光を戻り光Rとして撮像部としてのカメラに結像させることで、試料Sの像を得る。
試料Sには複数の情報が含まれている。この情報としては、波長情報や偏光情報等がある。ここでは、波長情報ごとに試料Sの像を分離して観察を行う例について説明するが、偏光情報ごとに分離して観察を行うものであってもよい。勿論、波長情報や偏光情報以外の情報ごとに分離して観察を行うものであってもよい。
図1に示す顕微鏡装置1は、顕微鏡光学系2と視野分割光学系3とカメラ4とを備えている。顕微鏡光学系2は、光源装置10とビームスプリッタ11と対物レンズ12とディッシュ13と結像レンズ14とを備えている。ディッシュ13には観察対象である試料Sが載置されている。
光源装置10は照明光Lを出射する光源である。光源装置10としては、照明光Lをレーザ光として出射するレーザ光源、LED、水銀チップ等を適用することができる。照明光Lは試料Sの蛍光色素や蛍光タンパク等を励起させる波長を持つ光である。
ビームスプリッタ11は光の波長ごとに透過と反射とを分ける光学部品である。ビームスプリッタ11としてはダイクロイックミラー等を適用することができる。ビームスプリッタ11は照明光Lの波長域の光を反射し、試料Sの蛍光の波長域の光を透過する特性を有している。このため、照明光Lはビームスプリッタ11で反射する。
反射した照明光Lは対物レンズ12に入射する。対物レンズ12の作用により、照明光Lはディッシュ13に載置された試料Sに照射される。試料Sに照明光Lが照射されることにより、試料Sが励起して蛍光を発生する。この蛍光を戻り光Rとする。戻り光Rは対物レンズ12を経て、ビームスプリッタ11に入射する。
ビームスプリッタ11は蛍光の波長域の光を透過するため、戻り光Rは透過して、結像レンズ14に入射する。結像レンズ14に入射する戻り光Rは平行光になっているが、結像レンズ14はこれを収束光に変換する。以上が顕微鏡光学系2の構成である。
次に、視野分割光学系3について説明する。視野分割光学系3は戻り光R(つまり、蛍光)を複数の情報に分光する光学系である。ただし、分光を行わない場合もある。ここでは、波長情報ごとに分光を行うものとするが、波長以外の情報ごとに分光してもよい。
この分光光学系3は、視野絞り21と反射ミラー22と第1リレーレンズ23と分光ミラー移動機構24と第1反射ミラー25と第2反射ミラー26と合流ミラー移動機構27と第2リレーレンズ28とミラー角度調整機構29とフィルタAとフィルタBとを備えている。分光ミラー移動機構24は分光ミラー24Aを有しており、合流ミラー移動機構27は合流ミラー27Aを有している。
視野絞り21は戻り光Rの視野を可変にできる可変視野絞りであり、試料Sと光学的に共役的な位置に配置される。視野絞り21を通過した戻り光Rは反射ミラー21で反射する。第1リレーレンズ23に入射する戻り光Rは拡散光になっているため、第1リレーレンズ23はこれを平行光にする。なお、第1リレーレンズ23と第2リレーレンズ28とにより無限遠補正光学系を構成する。
分光ミラー移動機構24は分光ミラー24Aを戻り光Rの光路に配置することができ、また当該光路から退避させることができる。分光ミラー移動機構24は適宜の移動手段を用いることができ、例えばアクチュエータにより移動させてもよいし、ボールネジ等により移動させるものであってもよい。
分光ミラー24Aは戻り光Rを第1戻り光R1(図中実線)と第2戻り光R2(図中破線)とに分光する分光部である。ここでは、波長情報ごとに分光ミラー24Aは分光を行い、分光ミラー24Aはシアン色の波長域の光を透過し、黄色の波長域の光を反射する分光特性を有するものとする。透過光を第1戻り光R1とし、反射光を第2戻り光R2とする。なお、分光ミラー24Aの分光条件は任意に設定することができ、波長情報ごとに分光する場合には、任意の波長を透過し、任意の波長を反射させる特性を分光ミラー24Aに持たせることができる。これにより、種々の色の波長情報の像を観察することができる。
第1戻り光R1の光路にはフィルタAが設置される。フィルタAはシアン色の波長域の光のみを通過させ、それ以外の波長域の光を除去する光学特性を持つ。分光ミラー24Aにより第1戻り光R1はシアン色の波長情報となるが、シアン色以外の波長域の情報が混在している。そこで、第1戻り光R1にフィルタAを通過させることで、第1戻り光R1は純粋なシアン色の波長情報を持つ。
第2戻り光R2の光路にはフィルタBが設置される。フィルタBは黄色の波長域の光のみを通過させ、それ以外の波長域の光を除去する光学特性を持つ。分光ミラー24Aにより第2戻り光R2は黄色の波長情報となるが、黄色以外の波長域の情報が混在している。そこで、第2戻り光R2にフィルタBを通過させることで、第2戻り光R2は純粋な黄色の波長情報を持つ。
第1反射ミラー25は第1戻り光R1を合流ミラー27Aに向けて反射させる。また、第2反射ミラー26は第2戻り光R2を合流ミラー27Aに向けて反射させる。反射した第1戻り光R1と反射した第2戻り光R2との交点に合流ミラー27Aが配置される。この合流ミラー27Aは第1戻り光R1と第2戻り光R2とが合流する光路の位置に配置することもでき、また当該光路から退避させることもできる。
合流ミラー移動機構27は合流ミラー27Aを有しており、合流ミラー27Aの移動を行う。合流ミラー移動機構27も分光ミラー移動機構24と同様に、適宜の移動手段、例えばアクチュエータやボールネジ等を用いることができる。
合流ミラー27Aは分光ミラー24Aに応じた合流特性を持つ合流部である。つまり、シアン色の波長域の光(第1戻り光R1)を透過し、黄色の波長域の光(第2戻り光R2)を反射する。これにより、第1戻り光R1と第2戻り光R2とが合流する。
合流した第1戻り光R1および第2戻り光R2は平行光となっている。第2リレーレンズ28は合流した第1戻り光R1および第2戻り光R2をカメラ4に結像させる。カメラ4は所定の結像領域を有しており、この結像領域は第1結像領域4Aと第2結像領域4Bとに分割される。第1戻り光R1の像は第1結像領域4Aに結像される。また、第2戻り光R2の像は第2結像領域4Bに結像される。
ミラー角度調整機構29はミラー調整部であり、結像位置変更部でもある。ミラー角度調整機構29は第1反射ミラー25の角度を調整する。これにより、第1反射ミラー25による第1戻り光R1の反射角度が変化する。ミラー角度調整機構29としては第1反射ミラー25を保持する機構を回転させる回転モータ等を適用することができる。
図1の構成では、1台のカメラ4の結像領域を分割(視野分割)して、第1結像領域4Aに第1戻り光R1の像を結像させており、第2結像領域4Bに第2戻り光R2の像を結像させている。戻り光Rの視野が広いと、第1結像領域4Aに結像する第1戻り光R1の像が大きくなり、同様に第2結像領域4Bに結像する第2戻り光R2の像が大きくなる。
このため、カメラ4における第1戻り光R1の像と第2戻り光R2の像とが重複しないように、視野絞り21により戻り光Rの視野を絞る。これにより、視野が絞られて、第1戻り光R1の像と第2戻り光R2の像とがカメラ4の結像領域において重複することがない。
また、図1の構成において、第1戻り光R1はカメラ4の結像領域の中心ではなく、結像領域を分割した第1結像領域4Aに結像させている。つまり、結像領域の中心からずれた位置に第1戻り光R1を結像させている。このため、第1戻り光R1は第2リレーレンズ28の中心からずれた位置を通過する。
同様に、第2戻り光R2もカメラ4の結像領域の中心ではなく、結像領域を分割した第2結像領域4Bに結像させている。つまり、結像領域の中心からずれた位置に第2戻り光R2を結像させている。このため、第2戻り光R2も第2リレーレンズ28の中心からずれた位置を通過する。
従って、図1に示すように、合流後の第1戻り光R1の光路と第2戻り光R2の光路とは異なる光路を辿っている。このため、第1反射ミラー25は第1戻り光R1がカメラ4の第1結像領域4Aに結像するような角度に設定されており、第2反射ミラー26は第2戻り光R2がカメラ4の第2結像領域4Bに結像するような角度に設定されている。
これにより、合流ミラー27Aにより合流された後の第1戻り光R1と第2戻り光R2とは完全に同一の光路とならず、ずれた光路を辿って、カメラ4の異なる領域に結像される。
次に、動作について説明する。光源装置10は照明光Lを出射する。照明光Lはビームスプリッタ11で反射して、対物レンズ12によりディッシュ13に載置された試料Sに照射される。これにより、試料Sが励起されて蛍光(戻り光R)を発生する。戻り光Rは対物レンズ12を経て、ビームスプリッタ11を透過する。そして、結像レンズ14の作用により、収束光となり、視野分割光学系3に入射する。
視野分割光学系3の視野絞り21は戻り光Rの視野を絞る。そして、視野が絞られた戻り光Rが反射ミラー22で反射して、第1リレーレンズ23に入射する。このときの戻り光Rは拡散光になっているため、第1リレーレンズ23はこれを平行光にする。そして、平行光となった戻り光Rが分光ミラー24Aに入射する。
戻り光Rは分光ミラー24Aの作用により、シアン色の波長情報を持つ第1戻り光R1と黄色の波長情報を持つ第2戻り光R2とに分光される。第1戻り光R1は透過して、フィルタAによりシアン色の波長域以外の光が除去される。また、第2戻り光R2は反射して、フィルタBにより黄色の波長域以外の光が除去される。
第1反射ミラー25は第1戻り光R1を反射し、第2反射ミラー26は第2戻り光R2を反射する。そして、合流ミラー27Aにより第1戻り光R1と第2戻り光R2とが合流する。ただし、第1反射ミラー25および第2反射ミラー26は、第1戻り光R1および第2戻り光R2がカメラ4の結像領域中心を挟んで反対方向にずれた領域に結像するように反射をする。
従って、合流ミラー27Aにより合流された第1戻り光R1と第2戻り光R2とは同一の光路を辿らず、ずれた光路を辿る。第1戻り光R1と第2戻り光R2とは平行光であり、第2リレーレンズ28によりカメラ4の結像領域に結像される。第1戻り光R1は第1結像領域4Aに結像され、第2戻り光R2は第2結像領域4Bに結像される。
これにより、カメラ4の第1結像領域4Aに結像された第1戻り光R1の像と第2結像領域4Bに結像された第2戻り光R2の像とにより、視野を分割することができる。カメラ4には第1戻り光R1と第2戻り光R2とが同時に結像されるため、1台のカメラ4で2つの異なる波長情報の像の観察を同時間に行うことができる。
ところで、異なる波長情報の像を同時間に観察する場合(視野分割モード)もあるが、単一の波長情報の像を観察する場合(単一視野モード)もある。そこで、本実施形態では、視野分割モードと単一視野モードとを切り替え可能に構成している。図2は、単一視野モードにより単一の波長情報の像の観察を行う場合を示している。
図2において、分光ミラー移動機構24は分光ミラー24Aを戻り光Rの光路から退避させ、合流ミラー移動機構27は合流ミラー27Aを戻り光Rの光路から退避させている。従って、第1リレーレンズ23により平行光にされた戻り光Rは分光ミラー24Aの作用を受けることがない。つまり、分光しない。
戻り光R(=第1戻り光R1)はフィルタAを通過することにより、シアン色の波長域以外の光が除去されるため、戻り光Rはシアン色の波長情報を持つ。そして、第1反射ミラー25で反射する。戻り光Rの光路から合流ミラー27Aが退避している。よって、戻り光Rは第2リレーレンズ28によりカメラ4に結像される。
これにより、単一の波長情報(シアン色の波長情報)の像の観察を行うことができる。ここで、単一の波長情報の像の観察を行うときには、カメラ4の結像領域を分割(視野分割)する必要がない。従って、図2に示すように、カメラ4の結像領域の結像領域中心4Cに戻り光Rを結像させる。
このために、単一の波長情報の像の観察を行うときには、ミラー角度調整機構29が第1反射ミラー25の角度調整を行う。つまり、戻り光Rがカメラ4の結像領域中心4Cに結像する反射角度となるように第1反射ミラー25の角度調整を行う。つまり、ミラー角度調整機構29は戻り光Rの結像位置を変更する結像位置変更部として機能する。これにより、戻り光Rはカメラ4の結像領域中心4Cに結像すると共に、戻り光Rは第2リレーレンズ28の中心を通過する。
視野分割モード、つまり異なる波長情報の像の観察を同時間に行うときには、第1戻り光R1を第1結像領域4Aに結像させ、第2戻り光R2を第2結像領域4Bに結像させる必要があるため、第1戻り光R1および第2戻り光R2は第2リレーレンズ28の光軸中心からずれた位置を通過する。
これにより、カメラ4に結像される第1戻り光R1および第2戻り光R2の像の解像度は低下する。特に、辺縁部における解像度の低下は大きくなる。ただし、同時間に異なる波長情報の像の観察を行うことはできる。
一方、単一視野モード、つまり単一の波長情報の像の観察を行うときには、ミラー角度調整機構29が第1反射ミラー25の角度調整を行うことで、戻り光Rは第2リレーレンズ28の中心を通過して、カメラ4の結像領域中心4Cに結像する。これにより、単一の波長情報の像を高解像度に取得することができる。
従って、分光ミラー移動機構24と合流ミラー移動機構27とを用いることにより、視野分割モード単一視野モードとを切り替えることが可能である。そして、単一視野モードのときには、ミラー角度調整機構29が第1反射ミラー25の角度調整を行うことで、高解像度の像の観察を行うことができる。
図3(A)は視野分割モードで得られる像の一例を示しており、同図(B)は単一視野モードで得られる像の一例を示している。同図(A)に示すように、視野分割モードでは結像領域ARを2つに分割して、第1結像領域4Aと第2結像領域4Bとしている。第1結像領域4Aにはシアン色の試料Sの像が結像され、第2結像領域4Bには黄色の試料Sの像が結像される。ただし、これらの像は結像領域中心4Cからずれているため、像の解像度は低下する。
一方、同図(B)の単一視野モードでは、シアン色の試料Sの像が結像領域中心4Cに位置しているため、高解像度の像が得られる。従って、視野分割モードと単一視野モードとを切り替えることができ、視野分割モードのときには異なる波長情報の試料Sの像を同時に得ることができ、単一視野モードのときには単一の波長情報の試料Sの像を高解像度で得ることができる。
ところで、図1および図2に示す視野絞り21は視野の絞りを可変にすることができる。つまり、視野絞り21は可変視野絞りである。図1の視野分割モードでは、カメラ4の結像領域ARを第1結像領域4Aと第2結像領域4Bとの2つの領域に分割しなければならず、視野絞り21により戻り光Rの視野を絞っている。これにより、第1戻り光R1を第1結像領域4Aに結像させることができ、また第2戻り光R2を第2結像領域4Bに結像させることができる。
一方、図2の単一視野モードでは、結像領域ARを分割する必要がない。このため、視野範囲を広げることができる。そこで、単一視野モードのときには、視野絞り21の絞りを広げる。これにより、試料Sの広範囲の像を観察することができる。
単一視野モードのときの視野絞り21は視野分割モードのときの視野絞り21のときの絞りよりも絞り範囲を広げるが、どの程度広げるかは任意に設定できる。結像領域ARの全範囲で撮像可能な絞り範囲に広げることで、結像領域ARを最も有効活用することができる。つまり、視野Sの最も広範囲の像を取得することができる。
視野絞り21は可変であることが望ましいが、固定とすることもできる。前述したように、ミラー角度調整機構29を設けることで、単一視野モードのときの像を高解像度で取得することができる。ただし、視野絞り21を固定したままにすると、像の大きさは視野分割モードのときと同じになり、結像領域ARの半分の領域のみが使用される。つまり、結像領域ARの有効活用を図ることができない。このため、視野絞り21は可変であり、単一視野モードと視野分割モードとに応じて、絞り範囲をコントロールすることが望ましい。
また、図2に示すように、単一視野モードに切り替えるときには、分光ミラー移動機構24が分光ミラー24Aを光路から退避させ、合流ミラー移動機構27が合流ミラー27Aを光路から退避させている。この点、少なくとも分光ミラー24Aを退避させる必要はあるが、合流ミラー27Aは必ずしも退避させる必要はない。
つまり、合流ミラー27Aが配置されていたとしても、戻り光R(第1戻り光R1)は合流ミラー27Aを透過するため、カメラ4に戻り光Rを結像させることはできる。そして、このとき、分光されていないため、第2戻り光R2は発生していない。従って、必ずしも合流ミラー27Aを退避させる必要はない。
ただし、この場合、戻り光Rは合流ミラー27Aを透過することになる。これにより、戻り光Rに光量損失が発生する。戻り光Rに光量損失が発生すると、カメラ4に結像された像のS/N比が低下する。従って、合流ミラー27Aは必ずしも退避させる必要はないが、分光ミラー24Aと共に合流ミラー27Aを退避させることが望ましい。これにより、光量損失の発生を回避することができる。
また、分光ミラー移動機構24および合流ミラー移動機構27を設けずに、第2戻り光R2の光路に図21で示したような遮蔽板を配置してもよい。これにより、単一視野モードとして観察を行うことができる。
ただし、この場合、分光ミラー24Aおよび合流ミラー27Aは固定的に配置される。よって、単一視野モードの場合でも、戻り光Rは分光ミラー24Aおよび合流ミラー27Aを透過するため、その分の光量損失を発生する。従って、分光ミラー移動機構24および合流ミラー移動機構27により、分光ミラー24Aおよび合流ミラー27Aを光路から退避可能に構成することが望ましい。
また、ミラー角度調整機構29が第1反射ミラー25の角度調整を行うことにより、単一視野モードの像を高解像度にしていた。つまり、ミラー角度調整機構29がミラー調整部として機能する例について説明したが、ミラー調整部としては第1反射ミラー25の位置を調整するものであってもよい。
単一視野モードにおいて、第1反射ミラー25の位置を変化させることにより、戻り光Rの光路は変化する。従って、ミラー角度調整機構29をミラー位置調整機構とすることで、単一視野モードにおいて、第2リレーレンズ28における戻り光Rの通過位置を中心にすることができる。つまり、カメラ4の結像領域ARの結像領域中心ARに戻り光Rを結像させることができる。従って、ミラー調整部は第1反射ミラー25の位置または角度を調整するものであればよい。
また、単一視野モードにおいて、ミラー角度調整機構29、つまり結像位置変更部は、カメラ4の結像領域中心4Cに戻り光Rが結像するように結像位置を変更していた。これにより、最も高い解像度の像を得ることができる。この点、理想的には戻り光Rが結像領域中心4Cに結像することが望ましいが、結像領域中心4Cから外れた位置であっても、結像位置を結像領域中心4Cに近づけるように変更することで、像の解像度を高くすることができる。
次に、変形例1について説明する。図4は変形例1の顕微鏡装置1を示している。変形例1の顕微鏡装置1は、分光ミラー移動機構24が第1分光ミラー24Aと第2分光ミラー24ABとを有している。また、合流ミラー移動機構27が第1合流ミラー27Aと第2合流ミラー27Bとを有している。
また、第1フィルタホイール30と第2フィルタホイール31とを新たに設け、第1フィルタホイール30はフィルタAとフィルタCとを有しており、第2フィルタホイール31はフィルタBとフィルタDとを有している。
第1分光ミラー24Aは前述した分光ミラー24Aと同じであり、第1合流ミラー27Aは前述した合流ミラー27Aと同じである。一方、第2分光ミラー24ABは第1分光ミラー24Aとは異なる分光特性を有している。ここでは、第2分光ミラー24ABは緑色の波長域の光を透過し、赤色の波長域の光を反射する特性を有しているものとする。勿論、第1分光ミラー24Aと分光特性が異なれば、第2分光ミラー24ABの分光特性は任意に設定してもよい。
第2合流ミラー27Bは第1分光ミラー24Aに対応した合流特性を有している。つまり、緑色の波長域の光を透過し、赤色の波長域の光を反射する特性を有している。図4では、緑色の波長域の光が第1戻り光R1であり、赤色の波長域の光が第2戻り光R2である。よって、第1戻り光R1は試料Sの緑色の波長情報であり、第2戻り光R2は試料Sの赤色の波長情報である。
第1フィルタホイール30はフィルタAとフィルタCとを有している。フィルタAは前述したものと同じである。フィルタCは緑色の波長域の光のみを通過させる。第1フィルタホイール30はフィルタAとフィルタCとを第1戻り光R1の光路に交換して配置する。ここでは、フィルタAとフィルタCとは180度の角度をなすように第1フィルタホイール30に配置されており、第1フィルタホイール30が180度回転することで、フィルタAとフィルタCとを切り替えて第1戻り光R1の光路に配置できる。
第2フィルタホイール31はフィルタBとフィルタDとを有している。フィルタBは前述したものと同じである。フィルタDは赤色の波長域の光のみを通過させる。第2フィルタホイール31はフィルタBとフィルタDとを第2戻り光R2の光路に交換して配置する。ここでは、フィルタBとフィルタDとは180度の角度をなすように第2フィルタホイール31に配置されており、第2フィルタホイール31が180度回転することで、フィルタBとフィルタDとを切り替えて第2戻り光R2の光路に配置できる。
図4に示すように、分光ミラー移動機構24は第1分光ミラー24Aを戻り光Rの光路に配置している。これに伴い、合流ミラー移動機構27は第1合流ミラー27Aを光路に配置している。このときの動作は、図1のときと同じであり、カメラ4の第1結像領域4Aにはシアン色の波長情報の第1戻り光R1の像が結像し、第2結像領域4Bには黄色の波長情報の第2戻り光R2の像が結像する。
図4は視野分割モードの第1形態である。図5は視野分割モードの第2形態を示している。図5では、分光ミラー移動機構24および合流ミラー移動機構27が移動を行っている。これにより、第2分光ミラー24ABおよび第2合流ミラー27Bが光路に配置される。
そして、第1フィルタホイール30は180度回転して、フィルタCを第1戻り光R1の光路に配置している。また、第2フィルタホイール31は180度回転して、フィルタDを第2戻り光R2の光路に配置している。
この状態で、戻り光Rは第1リレーレンズ23により平行光にされて、第2分光ミラー24ABに入射する。第2分光ミラー24ABにより、緑色の波長域の光が第1戻り光R1として透過し、赤色の波長域の光が第2戻り光R2として反射する。透過した第1戻り光R1はフィルタCの作用を受けて、緑色の波長域以外の光が除去される。一方、第2戻り光R2はフィルタDの作用を受けて、赤色の波長域以外の光が除去される。
そして、第2合流ミラー27Bにおいて、第1戻り光R1は透過し、第2戻り光R2は反射する。これにより、第1戻り光R1と第2戻り光R2とは第2合流ミラー27Bで合流する。合流後の第1戻り光R1はカメラ4の第1結像領域4Aに結像され、第2戻り光R2は第2結像領域4Bに結像される。
従って、視野分割モードの第2形態では、試料Sの緑色の波長情報の像と赤色の波長情報の像とを同時間で観察することができる。つまり、変形例1では、シアン色の波長情報の像と黄色の波長情報の像とを同時観察する視野分割モードの第1形態と、緑色の波長情報の像と赤色の波長情報の像とを同時観察する視野分割モードの第2形態とを切り替えることができる。
これにより、観察できる像の波長情報の数を多くすることができる。つまり、視野分割モードの第1形態だけでは、シアン色と黄色との2色の波長情報の像を同時観察できるが、本変形例では視野分割モードの第2形態に切り替え可能にしているため、緑色と赤色との2色の波長情報の像を同時観察することもできる。つまり、合計で4色の波長情報の像を観察することができる。ただし、4色の波長情報の像を同時観察するのではなく、2色の波長情報の像を切り替えて観察する。
図6は、分光ミラー移動機構24が第1分光ミラー24Aおよび第2分光ミラー24ABの両方を光路から退避させ、合流ミラー移動機構27が第1合流ミラー27Aおよび第2合流ミラー27Bの両方を光路から退避させている。これにより、単一視野モードに切り替わる。
従って、戻り光Rは分光しない。図6では、フィルタAが配置されているため、戻り光Rはシアン色の波長情報となる。第1フィルタホイール30が、これをフィルタCに切り替えれば、戻り光Rは緑色の波長情報となる。
単一視野モードであるため、ミラー角度調整機構29は戻り光R(=第1戻り光R1)が第2リレーレンズ28の中心を通過する反射角度となるように第1反射ミラー25の角度調整を行う。勿論、位置調整を行ってもよい。これにより、戻り光Rは第2リレーレンズ28の中心を通過するため、カメラ4に結像される像は高解像度になる。また、視野絞り21の絞り範囲を広げることにより、結像領域ARの有効活用を図ることができる。
従って、変形例1では、視野分割モードの第1形態と視野分割モードの第2形態と単一視野モードとの3つに切り替え可能にしていることから、多数の波長情報の像を得ることができると共に、単一視野モードにおいて高解像度の像を得ることができる。
図4乃至図6では、分光ミラーおよび合流ミラーを2種類用い、これに応じて4つのフィルタを用いているが、分光ミラーおよび合流ミラーは3種類以上であってもよい。ただし、各分光ミラーの分光特性および各合流ミラーの合流特性はそれぞれ異なるものを用いる。また、各フィルタは各分光ミラーの分光特性に応じた透過特性を持つフィルタを用いる。
また、図4乃至図6では分光ミラー移動機構24の第1分光ミラー24Aと第2分光ミラー24ABとは直列的に配置し、その配列方向に移動を行っていたが、分光ミラーを切り替え、且つ光路から退避させることができれば、移動方向は任意に設定してもよい。例えば、図4乃至図6の紙面に直交する方向に移動させてもよい。これは、合流ミラー移動機構27に関しても同様である。
次に、変形例2について説明する。図7は、変形例2の顕微鏡装置1を示している。変形例2の顕微鏡装置1は、第1反射ミラー25ではなく、第2反射ミラー26にミラー角度調整機構29を設けている。つまり、第2反射ミラー26の角度調整を行うことができる。勿論、第2反射ミラー26の位置調整を行うようにしてもよい。
図7に示すように、分光ミラー移動機構24は第1分光ミラー24Aと第3反射ミラー24Cとを有しており、合流ミラー移動機構27は第1合流ミラー27Bと第4反射ミラー27Cとを有している。第3反射ミラー24Cおよび第4反射ミラー27Cは入射した光を透過させずに反射させるミラーである。また、第1分光ミラー24Aおよび第1合流ミラー27Aの特性は前述したものと同じである。
視野分割モードで試料Sの観察を行う場合、分光ミラー移動機構24は第1分光ミラー24Aを光路に配置し、合流ミラー移動機構27は第1合流ミラー27Aを光路に配置する。これにより、図1で示した場合と同じく、第1結像領域4Aにはシアン色の波長情報の像が結像され、第2結像領域4Bには黄色の波長情報の像が結像される。これにより、異なる波長情報の像を同時に観察することができる。
この構成において、単一視野モードに切り替えるために、分光ミラー移動機構24は第3反射ミラー24Cを光路に配置し、合流ミラー移動機構27は第4反射ミラー27Cを光路に配置する。この状態を図8で示す。
第1リレーレンズ23により平行光にされた戻り光Rは第3反射ミラー24Cで反射する。従って、第1戻り光R1は発生せず、戻り光Rは第2戻り光R2となる。戻り光RはフィルタBを通過する。フィルタBは黄色の波長域の光のみを通過させるため、戻り光Rは黄色の波長情報の光となる。
戻り光Rは第2反射ミラー26で反射して、さらに第4反射ミラー27Cで反射する。そして、第2リレーレンズ28によりカメラ4に戻り光Rが結像する。従って、カメラ4で黄色の波長情報の像を撮像することができる。
このとき、ミラー角度調整機構29は第2反射ミラー26の角度調整を行っている。単一視野モードのときには、第2戻り光R2の光路が第2リレーレンズ28の中心を通り、カメラ4の結像領域中心4Cに結像されるような反射角度に調整する。従って、戻り光Rは第2リレーレンズ28の中心を通ることから、カメラ4の結像領域中心4Cに結像された戻り光Rの像は高解像度になる。この場合も、単一視野モードのときに視野絞り21の絞り範囲を広げることで、結像領域ARの有効活用を図ることができる。
従って、変形例2では、第2反射ミラー26の調整を行っている。図2で示したように、第1反射ミラー25の調整を行う場合と同じ効果を得ることができる。ただし、変形例2の場合には、第3反射ミラー24Cおよび第4反射ミラー27Cにより戻り光Rを反射させる必要がある。このため、第3反射ミラー24Cおよび第4反射ミラー27Cにおいて光量損失が発生し、S/N比が低下する。
図2に示す単一視野モードのときには、第3反射ミラー24Cおよび第4反射ミラー27Cで戻り光Rを反射させる必要がないため、戻り光Rが作用を受ける光学部品の数が少ない。これにより、光量損失を低減することができ、S/N比の高い像の取得を行うことができる。また、使用する部品点数の削減を図ることができる。
次に、変形例3について説明する。前述した実施形態、変形例1および変形例2では落射照明による蛍光観察を行う例を示したが、変形例3は共焦点スキャナを用いて試料Sの所定範囲の走査を行う例について示す。つまり、変形例3の顕微鏡装置1は共焦点顕微鏡として機能する。
図9に示すように、顕微鏡装置1は共焦点スキャナ40を示している。共焦点スキャナ40を用いる場合には、図1で示した顕微鏡光学系2の構成が変わるが、視野分割光学系3の構成は同じである。
共焦点スキャナ40はピンホールディスク41とモータ42と回転軸43と照明絞り21とを有して構成している。ピンホールディスク41は多数のピンホールを螺旋状且つ多条に配列している回転ディスクである。各ピンホールは照明光Lおよび戻り光Rが通過する微小開口部であり、試料Sの焦点の範囲内の照明光Lおよび戻り光Rのみがピンホールを通過する。
モータ42はピンホールディスク41に回転力を付与する回転駆動手段である。回転軸43はモータ42に取り付けられている。そして、回転軸43にピンホールディスク41を取り付けることで、モータ42が回転を行うと、ピンホールディスク41が回転を行う。モータ42と回転軸43とにより回転部を構成する。
ピンホールディスク41を通過した照明光Lは視野絞り21で視野を絞られて、結像レンズ14を経て、対物レンズ12により試料Sで焦点を結ぶ。ピンホールディスク41が回転することで、試料Sの所定範囲に照明光Lの焦点が走査される。試料Sで照明光Lが焦点を結ぶことにより、試料Sは蛍光して戻り光Rを発生する。
この戻り光Rは対物レンズ12および結像レンズ14を経て、視野絞り21で再び視野を絞られて、ピンヒールディスク41のピンホールを通過する。そして、ビームスプリッタ11で戻り光Rは反射して、視野分割光学系3に入射する。視野分割光学系3は図1と同様に、視野分割モードになっているため、戻り光Rは分光ミラー24Aで分光する。
共焦点スキャナ40はピンホールディスク41を高速回転する。これにより、照明光Lは試料Sの所定範囲を高速に走査する。このため、カメラ4に第1戻り光R1および第2戻り光R2が高速に走査され、異なる波長情報の像が高速に生成される。
ピンホールディスク41のピンホールは試料Sの焦点の範囲内の光のみを通過させる。これにより、焦点の範囲外の光が除去されて、カメラ4に結像する第1戻り光R1および第2戻り光R2の像は光軸方向に分解能の高い像となる。つまり、カメラ4が取得する画像は光軸方向に分解能の高い共焦点画像となる。これにより、視野分割モードで、異なる波長情報の共焦点画像を得ることができる。
また、図9に示すように、視野絞り21は照明光Lおよび戻り光Rの光路に配置している。従って、試料Sには視野絞り21により視野が絞られた照明光Lが対物レンズ12により焦点を結ぶ。視野絞り21が照明光Lの視野を絞ることにより、試料Sにおいて照明光Lが焦点を結ぶ範囲を観察領域のみに限定することができる。
つまり、試料Sの観察領域以外の領域に照明光Lが照射されることがなくなる。これにより、試料Sの不必要な範囲に照明光Lが照射されることによるダメージを低減でき、また蛍光退色を低減することができる。
図10は、図9の共焦点スキャナ40に集光ディスク44を追加した構成となっている。集光ディスク44は多数の集光レンズを螺旋状且つ多条に配列した回転ディスクである。集光ディスク44における集光レンズの配列パターンはピンホールディスク41におけるピンホールの配列パターンと同一である。つまり、集光レンズとピンホールとは1対1で対応している。
集光ディスク44の集光レンズは照明光Lを対応するピンホールに集光させる。これにより、照明光Lの利用効率を向上させることができ、カメラ4に結像する第1戻り光R1の像および第2戻り光の像のS/N比を向上させることができる。
また、集光ディスク44は回転軸43に取り付けられており、集光ディスク44とピンホールディスク41とは一体的に回転する。従って、集光ディスク44とピンホールディスク41とを高速回転させることで、カメラ4に結像する第1戻り光R1の像および第2戻り光R2の像を高速に走査させることができる。
そして、図9ではピンホールディスク41の直下に視野絞り21を配置していたが、図10では照明光Lの光路、つまり光源装置10と集光ディスク44との間に照明絞り45を配置している。照明絞り45は照明光Lの範囲を絞っていることになる。これにより、戻り光Rの視野も絞られる。つまり、照明絞り45は視野絞りとして機能する。
照明絞り45としては絞り羽根を用いたものを使用することができるが、他にも光束形状を変化させるビームエキスパンダ等を用いてもよい。光源装置10と集光ディスク44との間の光路に照明絞り45を比較的配置しやすいことから、照明絞り45を用いて、戻り光Rの視野を絞るようにしてもよい。
従って、図1では戻り光Rの光路に視野絞り21を配置し、図9では照明光Lおよび戻り光Rの視野絞り21を配置し、図10では照明光Lの光路に照明絞り45を配置している。従って、照明光Lの光路と戻り光Rの光路とのうち何れか一方または両方に視野絞りを配置してもよいが、照明光Lの光路に視野絞り(照明絞り)を配置することで、試料Sに対するダメージや退色の問題を低減することができる。
従って、変形例3では、共焦点スキャナ40を用いて、共焦点画像を生成している。前述したように、共焦点画像は光軸方向に高い分解能の画像になっている。そして、単一視野モードのときには高い分解能の像を撮像することができる。よって、共焦点スキャナ40と組み合わせることで、試料Sの非常に解像度の高い画像を得ることができる。
次に、変形例4について説明する。図11は変形例4の顕微鏡装置1を示している。変形例4の顕微鏡装置1は図1の構成とほぼ同じであるが、第1戻り光R1の光路に第1フィルタホイール30を配置している。第1フィルタホイール30はフィルタAとフィルタBとを交換可能な回転式の機構である。
まず、視野分割モードのときには、分光ミラー移動機構24が分光ミラー24Aを光路に配置し、合流ミラー移動機構27が合流ミラー27Aを光路に配置する。これにより、シアン色の波長情報の像と黄色の波長情報の像とがカメラ4に結像される。従って、異なる波長情報の像を観察することができる。
単一視野モードのときには、分光ミラー移動機構24が分光ミラー24Aを光路から退避させ、合流ミラー移動機構27が合流ミラー27Aを光路から退避させる。従って、分光されないため、図12に示すように、第2戻り光R2は発生しない。戻り光R(=第1戻り光R1)はフィルタAを通過する。これにより、戻り光Rはシアン色の波長情報の像をカメラ4に結像させることができる。
このカメラ4に結像した像はミラー角度調整機構29により戻り光Rが第2リレーレンズ28の中心を通過するように第1反射ミラー25の角度調整を行っているため、高解像度の像を得ることができる。ただし、得られる像はシアン色のみの波長情報の像になる。
図11の視野分割モードのときには、シアン色の波長情報の像だけではなく、黄色の波長情報の像を得ることもできる。従って、2色の波長情報の像を得ることができる。ただし、視野分割モードのときには、得られる像は低解像度になる。
そこで、視野分割モードのときに得られる複数の波長情報と同じ数の高解像度の像を得たいときには、第1フィルタホイール30が回転を行って、図13に示すように、フィルタBを第1戻り光R1の光路に配置する。これにより、戻り光Rは黄色の波長情報の光になり、カメラ4には黄色の波長情報の像が結像される。このときの像は単一視野モードで得られる像であるため、高解像度の像になる。
従って、単一視野モードでは、同時間に観察を行うことはできないが、視野分割モードのときに得られる2色の波長情報の像を高解像度に取得することができる。勿論、視野分割モードに切り替えることで、同時間に2色の波長情報の像を観察することもできる。
図11乃至図13では分光ミラー移動機構24は1つの分光ミラー24Aを用いていたが、図4乃至図6のように、分光ミラー移動機構24が2つの分光ミラーを切り替えるようにしてもよい。この場合には、第1フィルタホイール30にはフィルタA〜Dを交換可能にすることで、単一視野モードにおいて、視野分割モードで観察できる4色の波長情報の像を高解像度で得ることができる。勿論、分光ミラーは3つ以上であってもよい。
次に、変形例5について説明する。図14は図10で説明した共焦点スキャナ40を用いている。勿論、図1のように落射照明による蛍光観察を行う顕微鏡装置1に適用してもよい。この変形例5では、フィルタ交換機構51と反射ミラー移動機構52とを新たに追加している。また、合流ミラー移動機構27は合流ミラー27Aと第4反射ミラー27Cとを切り替え可能に構成している。
フィルタ交換機構51はフィルタAとフィルタBとを有している。フィルタ交換機構51はフィルタAとフィルタBとを第1戻り光R1の光路と第2戻り光R2の光路とに配置可能に交換を行う。
フィルタ交換機構51は傘型の回転式の交換機構であり、フィルタAとフィルタBとを180度の角度で配置している。フィルタAが第1戻り光R1の光路に配置され、フィルタBが第2戻り光R2の光路の配置されているときに、フィルタ交換機構51が180度回転することにより、フィルタAは第2戻り光R2の光路に配置され、フィルタBは第1戻り光R1の光路に配置される。
反射ミラー移動機構52は第1反射ミラー25と角度調整ミラー52Aとを有しており、これらを第1戻り光R1の光路に交換して配置することができるミラー移動機構である。第1反射ミラー25は前述したものと同じである。角度調整ミラー52Aは単一視野モードのときに、第1戻り光R1が第2リレーレンズ28の中央を通過するような反射角度となるように調整されている。つまり、反射ミラー移動機構52は第1反射ミラー25と角度調整ミラー52Aとの切り替えを行うことで、結像位置変更部として機能する。
また、合流ミラー移動機構27は図7および図8で説明したものと同じく、合流ミラー27Aと第4反射ミラー27Cとを有している。なお、図14では図1乃至図13の顕微鏡装置1とカメラ4の位置が異なる。
以上の構成において、視野分割モードのときには、分光ミラー移動機構24は分光ミラー24Aを戻り光Rの光路に配置する。また、このとき、フィルタ交換機構51は第1戻り光R1の光路にフィルタAが配置され、第2戻り光R2の光路にフィルタBが配置されるようにしておく。反射ミラー移動機構52は第1反射ミラー25を第1戻り光R1の光路に配置する。また、合流ミラー移動機構27は合流ミラー27Aを第1戻り光R1および第2戻り光R2が合流する光路の位置に配置する。
これにより、戻り光Rは分光ミラー24Aで分光して、第1戻り光R1が透過し、第2戻り光R2が反射する。そして、第1戻り光R1は第1反射ミラー25で反射し、第2戻り光R2は第2反射ミラー26で反射する。合流ミラー27Aにより第1戻り光R1と第2戻り光R2とは合流されて、カメラ4に結像される。従って、視野分割モードとして機能させることができ、カメラ4にはシアン色の波長情報の像と黄色の波長情報の像とが撮像される。
次に、単一視野モードの場合について説明する。図15に示すように、分光ミラー移動機構24は分光ミラー24Aを戻り光Rの光路から退避させる。また、反射ミラー移動機構52は角度調整ミラー52Aを第1戻り光R1の光路に配置する。そして、合流ミラー移動機構27は第4反射ミラー27Cを光路に配置する。
これにより、戻り光Rは分光されない。戻り光RはフィルタAを通過することにより、シアン色の波長情報の光となり、角度調整ミラー52Bに入射する。角度調整ミラー52Bは戻り光Rが第2リレーレンズ28の中心を通過するような反射角度に調整されており、これにより、第4反射ミラー27Cで反射した戻り光Rは第2リレーレンズ28の中心を通過して、カメラ4の結像領域中心4Cに結像する。これにより、高分解能のシアン色の波長情報の像を撮像することができる。
ところで、前述したように、視野分割モードでは、解像度は低くなるものの、シアン色の波長情報だけでなく黄色の波長情報の像を撮像することができる。そこで、単一視野モードで黄色の波長情報の像を撮像する場合には、フィルタ交換機構51が回転することで、図16に示すように、フィルタBを戻り光Rの光路に配置することができる。
このフィルタBはもともと第2戻り光R2の光路に配置されて、第2戻り光R2から黄色の波長域以外の光を除去するために設けていた。そこで、フィルタ交換機構51がこのフィルタBを戻り光R(=第1戻り光R1)の光路に配置することで、戻り光Rは黄色の波長情報の光となる。
この戻り光Rは角度調整ミラー52Aで反射することにより、第2リレーレンズ28の中心を通過して、カメラ4の結像領域中心4Cに結像する。これにより、高解像度の黄色の波長情報の像を撮像することができる。従って、シアン色と黄色との2色の波長情報の高解像度の像を撮像することができる。ただし、同時間に観察することはできない。
変形例4では、第1戻り光R1の光路に第1フィルタホイール30を配置して、第1フィルタホイール30がフィルタAとフィルタBとを交換していた。そして、第2戻り光R2の光路にはフィルタBが固定的に配置されていた。従って、同一のフィルタBが顕微鏡装置1に重複して配置されている。これにより、光学部品の部品点数が多くなる。
本変形例5では、フィルタ交換機構51はフィルタAとフィルタBとを第1戻り光R1と第2戻り光R2とに配置可能に交換している。よって、フィルタBが重複することなく、光学部品の部品点数を削減することができる。
また、反射ミラー移動機構52は第1反射ミラー25と角度調整ミラー52Bとを切り替え可能に構成している。第1反射ミラー25は視野分割モードの観察を行うために、カメラ4の第1結像領域4Aに第1戻り光R1が結像するような反射角度に設定している。一方、角度調整ミラー52Bは単一視野モードの観察を行うために、第2リレーレンズ28の中心、すなわちカメラ4の結像領域中心4Cに結像するような反射角度に設定されている。
つまり、視野分割モードと単一視野モードとのそれぞれに最適な反射角度に調整された反射ミラーを切り替えて使用することで、第1反射ミラー25(または第2反射ミラー26)の角度調整を行う必要はない。位置調整の場合も同様である。
次に、変形例6について説明する。変形例6では、図4および図5で説明したように、分光ミラー移動機構24が第1分光ミラー24Aと第2分光ミラー24ABとを切り替え可能に構成している。そして、合流ミラー移動機構27が第1合流ミラー27Aと第2合流ミラー27Bとを切り替え可能に構成したときに、フィルタ交換機構51を用いた場合を図17および図18に示す。
図17は第1分光ミラー24Aおよび第1合流ミラー27Aが光路に配置されている場合を示している。従って、フィルタ交換機構51はフィルタAを第1戻り光R1の光路に配置し、第2戻り光R2の光路にフィルタBを配置する。これにより、シアン色の波長情報の像と黄色の波長情報の像とを同時に観察することができる。
分光ミラー移動機構24は第1分光ミラー24Aと第2分光ミラー24ABとを図17の紙面に直交する方向に切り替える。合流ミラー移動機構27も同様である。従って、第2分光ミラー24ABおよび第2合流ミラー27Bが光路に配置される。この状態を示しているのが図18である。
フィルタ交換機構51はフィルタA、フィルタC、フィルタB、フィルタDの順番で90度の角度で配置している。そして、フィルタ交換機構51は90度ずつ回転を行う。これにより、図18に示すように、第1戻り光R1の光路にフィルタCを配置し、第2戻り光R2の光路にフィルタDを配置することができる。これにより、緑色の波長情報の像と赤色の波長情報の像とを同時に観察することができる。
図19は、分光ミラー移動機構24が第1分光ミラー24Aおよび第2分光ミラー24ABを光路から退避させ、合流ミラー移動機構27が第1合流ミラー27Aおよび第2合流ミラー27Bを光路から退避させている状態を示している。従って、戻り光Rは分光しない。つまり、単一視野モードになる。
単一視野モードでは、ミラー角度調整機構29により第1反射ミラー25の反射角度を調整することにより、高解像の像を得ることができる。このとき、フィルタ交換機構51は90度ずつ回転することで、戻り光Rの光路にフィルタA〜Dの全てを配置することが可能である。
従って、同時に2つの異なる波長情報の像を観察することはできないが、シアン色、黄色、緑色、赤色の4色の異なる波長情報の像を高解像度で観察することができる。つまり、第1分光ミラー24Aおよび第2分光ミラー24ABを用いた視野分割モードで観察できる波長情報と同数の波長情報の像を高解像度に観察することが可能になる。
このとき、図4乃至図6では、第1フィルタホイール30と第2フィルタホイール31との2つのフィルタホイールを設ける必要があるため、装置が大型化する。一方、本変形例の図17乃至図19では、フィルタ交換機構51の1つだけを設けるため、装置を小型化することができる。
また、第1フィルタホイール30および第2フィルタホイール31を用いた図4乃至図6の構成において、4色の高解像度の像を得る場合には、第1フィルタホイール30にフィルタA〜Dの4つのフィルタを設ける必要がある。このうち、フィルタBおよびフィルタDは第2フィルタホイール31と重複する。
本変形例では、フィルタ交換機構51がフィルタA〜Dを第1戻り光R1の光路と第2戻り光R2の光路とに配置することができることから、フィルタBおよびフィルタDが重複することがない。つまり、第1戻り光R1と第2戻り光R2とでフィルタA〜Dを共有している。従って、多数の波長情報の像を得るときには、フィルタの部品点数の削減効果が大きくなる。