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JP5883492B1 - 燃料電池 - Google Patents

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JP5883492B1 JP2014211863A JP2014211863A JP5883492B1 JP 5883492 B1 JP5883492 B1 JP 5883492B1 JP 2014211863 A JP2014211863 A JP 2014211863A JP 2014211863 A JP2014211863 A JP 2014211863A JP 5883492 B1 JP5883492 B1 JP 5883492B1
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Abstract

【課題】固体電解質層とバリア層の間に剥離が生じることを抑制可能な燃料電池を提供する。【解決手段】燃料電池10は、燃料極20と、固体電解質層30と、中間層40と、バリア層50と、空気極60とを備える。固体電解質層30は、燃料極20と空気極60の間に配置され、ジルコニウムを含む。バリア層50は、固体電解質層30と空気極60の間に配置され、セリウムを含む。中間層40は、固体電解質層30とバリア層50の間に配置され、ジルコニウムとセリウムを含む。中間層40の断面において、中間層40は、厚み方向の寸法が面方向の寸法よりも小さい複数の扁平粒子を有する。中間層の断面において、複数の扁平粒子の平均アスペクト比は1.2以上である【選択図】図3

Description

本発明は、バリア層を備える燃料電池に関する。
従来、燃料極と、空気極と、燃料極と空気極の間に配置される固体電解質層と、固体電解質層と空気極の間に配置されるバリア層とを備える燃料電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1において、固体電解質層はYSZ(イットリアで安定化されたジルコニア)によって構成され、バリア層はGDC(ガドリニウムドープセリア)によって構成されている。
特開2013−191546号公報
しかしながら、構成材料の熱膨張係数差に起因して、固体電解質層とバリア層の間に剥離が生じやすいという問題がある。
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、固体電解質層とバリア層の間に剥離が生じることを抑制可能な燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池は、燃料極と、空気極と、固体電解質層と、バリア層と、中間層とを備える。固体電解質層は、燃料極と空気極の間に配置され、ジルコニウムを含む。バリア層は、固体電解質層と空気極の間に配置され、セリウムを含む。中間層は、固体電解質層とバリア層の間に配置され、ジルコニウムとセリウムを含む。中間層の断面において、中間層は、アスペクト比が1.2以上である複数の扁平粒子を有する。
本発明によれば、固体電解質層とバリア層の間に剥離が生じることを抑制可能な燃料電池を提供することができる。
燃料電池の構成を示す拡大断面図 固体電解質層、中間層及びバリア層の断面を示すSEM画像 図2に示される断面をEBSD法によって結晶方位解析した結果を示すEBSD画像 中間層を構成する粒子のアスペクト比の分布状況を示すヒストグラム 固体電解質層を構成する粒子のアスペクト比の分布状況を示すヒストグラム バリア層を構成する粒子のアスペクト比の分布状況を示すヒストグラム
次に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(燃料電池10の構成)
燃料電池10の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、燃料電池10の構成を示す拡大断面図である。
燃料電池10は、いわゆる固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)である。燃料電池10は、縦縞型、横縞型、燃料極支持型、電解質平板型、或いは円筒型などの形態を取ることができる。燃料電池10は、図1に示すように、燃料極20、固体電解質層30、中間層40、バリア層50および空気極60を備える。
燃料極20は、燃料電池10のアノードとして機能する。燃料極20は、多孔質の板状焼成体である。燃料極20は、図1に示すように、燃料極集電層21と燃料極活性層22を有する。
燃料極集電層21は、ガス透過性に優れる多孔質体である。燃料極集電層21を構成する材料としては、従来SOFCの燃料極集電層に用いられてきた材料を用いることができ、例えばNiO(酸化ニッケル)-8YSZ(8mol%のイットリアで安定化されたジルコニア)やNiO‐Y(イットリア)が挙げられる。ただし、燃料極集電層21がNiOを含んでいる場合、NiOの少なくとも一部はNiに還元されていてもよい。燃料極集電層21の厚みは、0.2mm〜5.0mmとすることができる。
燃料極活性層22は、燃料極集電層21上に配置される。燃料極活性層22は、燃料極集電層21よりは緻密質な多孔質体である。燃料極活性層22を構成する材料としては、従来SOFCの燃料極活性層に用いられてきた材料を用いることができ、例えばNiO‐8YSZが挙げられる。ただし、燃料極活性層22がNiOを含んでいる場合、NiOの少なくとも一部はNiに還元されていてもよい。燃料極活性層22の厚みは5.0μm〜30μmとすることができる。
固体電解質層30は、燃料極20と空気極60の間に配置される。固体電解質層30は、空気極60で生成される酸素イオンを透過させる機能を有する。固体電解質層30は、ジルコニウムを含む。固体電解質層30は、ジルコニウムをジルコニア(ZrO)として含んでもよい。固体電解質層30は、ジルコニアを主成分として含んでいてもよい。本実施形態において、組成物Xが物質Yを「主成分として含有する」とは、組成物X全体のうち、物質Yが好ましくは60重量%以上を占め、より好ましくは70重量%以上を占め、さらに好ましくは90重量%以上を占めることを意味する。
固体電解質層30は、ジルコニアの他に、イットリア(Y)及び/又は酸化スカンジウム(Sc)等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、安定化剤として機能する。固体電解質層30において、安定化剤のジルコニアに対するmol組成比(安定化剤:ジルコニア)は、3:97〜20:80程度とすることができる。従って、固体電解質層30の材料としては、例えば、3YSZ、8YSZ、10YSZ、或いはScSZ(スカンジアで安定化されたジルコニア)などが挙げられる。固体電解質層30の厚みは、例えば30μm以下とすることができる。固体電解質層30は緻密質であり、固体電解質層30の気孔率は10%以下であることが好ましい。
中間層40は、固体電解質層30とバリア層50の間に配置される。中間層40は、ジルコニウムとセリウムとを含む。中間層40は、ジルコニウムをジルコニアとして含んでいてもよい。中間層40は、イットリアやスカンジアで安定化されたジルコニア(例えば、3YSZ、8YSZ、10YSZ、ScSZなど)を含んでいてもよい。中間層40は、セリウムを酸化セリウム(CeO:セリア)として含んでいてもよい。中間層40は、希土類金属酸化物が固溶したセリア(例えば、GDC(ガドリニウムドープセリア)やSDC(サマリウムドープセリア)など)を含んでいてもよい。中間層40において、セリウム(又はセリア)とジルコニウム(又はジルコニア)は固溶体を形成していてもよい。
中間層40は、セリウムとジルコニウムに加えて、固体電解質層30やバリア層50に含まれる添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、固体電解質層30に含まれるイットリウム(Y)やスカンジウム(Sc)、バリア層50に含まれるガドリニウム(Gd)やサマリウム(Sm)などが挙げられる。中間層40の厚みは、0.3μm〜3μmとすることができる。中間層40は緻密質であり、中間層40の気孔率は1%〜15%とすることができる。中間層40における各元素の濃度分布や中間層40の微構造については後述する。
バリア層50は、固体電解質層30と空気極60の間に配置される。バリア層50は、固体電解質層30と空気極60の間に高抵抗層が形成されることを抑制する。バリア層50は、GDCやSDCなどのセリア系材料を主成分とする。バリア層50の厚みは、3μm〜20μmとすることができる。バリア層50は緻密質であり、バリア層50の気孔率は10%以下とすることができる。
空気極60は、バリア層50上に配置される。空気極60は、燃料電池10のカノードとして機能する。空気極60は、多孔質の焼成体である。空気極60は、一般式ABOで表され、AサイトにLa及びSrの少なくとも一方を含むペロブスカイト型複合酸化物を主成分として含有する。このようなペロブスカイト型複合酸化物としては、(La,Sr)(Co,Fe)O、(La,Sr)FeO、(La,Sr)CoO、LaSrMnOなどが挙げられる。空気極60の厚みは、5μm〜50μmとすることができる。
(中間層40における濃度分布)
次に、中間層40におけるジルコニウムとセリウムの濃度分布について説明する。
中間層40におけるジルコニウムとセリウムの濃度分布は、例えば、原子濃度プロファイルによるライン分析、つまりEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)による特性X線強度の比較によって得ることができる。具体的には、燃料電池10の厚み方向(図1の上下方向)に平行な断面において厚み方向に沿ってEPMAでライン分析を行うことによって、中間層40におけるジルコニウム濃度分布データとセリウム濃度分布データを取得することができる。本実施形態において、EPMAは、EDS(Energy Dispersive x−ray Spectroscopy)を含む概念である。
中間層40におけるセリウム濃度は、固体電解質層30側からバリア層50側に向かって徐々に増加している。すなわち、中間層40におけるセリウム濃度は、固体電解質層30付近で最も低く、バリア層50付近で最も高い。中間層40におけるセリウム濃度は、バリア層50に近いほど漸増していればよく、無段階的に変動していてもよいし段階的に変動していてもよい。中間層40の平均セリウム濃度は、バリア層50の平均セリウム濃度よりも低く、固体電解質層30の平均セリウム濃度よりも高い。中間層40の最大セリウム濃度は、バリア層50の最大セリウム濃度よりも低く、バリア層50の最低セリウム濃度と同等である。中間層40の最低セリウム濃度は、固体電解質層30の最低セリウム濃度よりも高く、固体電解質層30の最大セリウム濃度と同等である。
中間層40におけるジルコニウム濃度は、バリア層50側から固体電解質層30側に向かって徐々に増加している。すなわち、中間層40におけるジルコニウム濃度は、固体電解質層30付近で最も高く、バリア層50付近で最も低い。中間層40におけるジルコニウム濃度は、固体電解質層30に近いほど漸増していればよく、無段階的に変動していてもよいし段階的に変動していてもよい。中間層40の平均ジルコニウム濃度は、バリア層50の平均セリウム濃度よりも高く、固体電解質層30の平均ジルコニウム濃度よりも低い。中間層40の最大ジルコニウム濃度は、固体電解質層30の最大ジルコニウム濃度よりも低く、固体電解質層30の最低ジルコニウム濃度と同等である。中間層40の最低ジルコニウム濃度は、バリア層50の最低ジルコニウム濃度よりも高く、バリア層50の最大ジルコニウム濃度と同等である。
ここで、図2は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によって3000倍に拡大された固体電解質層30、中間層40及びバリア層50の断面を示すSEM画像である。図3は、図2に示される断面を電子線後方散乱回折(EBSD:Electron Backscatter Diffraction)法によって結晶方位解析した結果を示すEBSD画像である。EBSD法による結晶方位解析では、結晶方位の不連続性を観測することができ、結晶方位差が所定角度(図3では15度)以上の境界によって規定される領域が描画される。図3のEBSD画像に描画された1つ1つの領域は、各層を構成する1つ1つの粒子に対応している。
図2及び図3では、固体電解質層30がYSZによって構成され、中間層40がYSZとGDCの固溶体によって構成され、さらに、バリア層50がGDCによって構成された場合が一例として示されている。
図2及び図3に示すように、中間層40は、第1界面ラインR1と第2界面ラインR2によって規定される。第1界面ラインR1と第2界面ラインR2の間隔は、中間層40の厚みに相当する。
第1界面ラインR1は、固体電解質層30と中間層40の界面を示す。第1界面ラインR1は、固体電解質層30の最大ジルコニウム濃度の85%の濃度を示すラインである。中間層40は、第1界面ラインR1上において最大ジルコニウム濃度と最低セリウム濃度を示す。
第2界面ラインR2は、中間層40とバリア層50の界面を示す。第2界面ラインR2は、バリア層50の最大セリウム濃度の85%の濃度を示すラインである。中間層40は、第2界面ラインR2上において最大セリウム濃度と最低ジルコニウム濃度を示す。
中間層40に含まれるセリウムとジルコニウムは、第1界面ラインR1と第2界面ラインR2の間の全域において固溶体を形成していてもよい。
図3には、第1界面ラインR1と第2界面ラインR2に加えて基準ラインR3が示されている。基準ラインR3は、中間層40の断面においてセリウム濃度とジルコニウム濃度が一致するラインである。従って、セリウム系材料とジルコニウム系材料の異種材料が、基準ラインR3上において接合されていると考えることができる。基準ラインR3上におけるセリウム濃度及びジルコニウム濃度は45%〜55%とすることができる。
図3に示すように、基準ラインR3は、EBSD画像上において中間層40の厚み方向と交差している。本実施形態において、基準ラインR3は、中間層40の厚み方向と直交する方向(以下、面方向という。)と略平行である。基準ラインR3は、中間層40の断面において、中間層40を構成する少なくとも1つの粒子と重なっている。本実施形態において、基準ラインR3は、面方向に並んだ複数の粒子それぞれと重なっている。すなわち、基準ラインR3は、EBSD画像上において、中間層40を構成する複数の粒子上を横切っている。ただし、基準ラインR3の一部は、粒界(中間層40を構成する粒子どうしの境界)と重なっていてもよい。
このように、基準ラインR3が中間層40の構成粒子と重なっているため、粒内に異種材料の接合界面が存在していると考えることができる。従って、基準ラインR3が構成粒子の粒界と重なっている場合に比べて、異種材料の接合強度を向上させることができる。その結果、固体電解質層30とバリア層50の熱膨張係数差に起因する剥離が、固体電解質層30とバリア層50の間に生じることを抑制できる。
(中間層40を構成する粒子)
次に、図3を参照しながら、中間層40を構成する粒子について説明する。
図3に示すように、中間層40は、固体電解質層30上に複数の粒子が厚み方向及び面方向に堆積することで構成されている。中間層40は、厚み方向の寸法が面方向の寸法よりも小さい粒子、すなわち面方向に長い扁平な粒子(以下、「扁平粒子」と略称する。)を含む。扁平粒子は、粒子全体として面方向に広がった形状であればよい。従って、扁平粒子には、一様に平たい円盤状の粒子だけでなく、部分的に凹凸が形成された円盤状の粒子や全体的に歪んだ円盤状の粒子が含まれる。また、中間層40は、厚み方向の寸法よりも面方向の寸法の方が小さい粒子や、厚み方向の寸法と面方向の寸法が同等の粒子を含んでいてもよい。
中間層40を構成する粒子のうち面方向に長い複数の扁平粒子の平均アスペクト比は、1.2以上であることが好ましく、1.4以上であることがより好ましい。平均アスペクト比は、複数の扁平粒子の面方向における平均寸法(すなわち、平均長径)を厚み方向における平均寸法(すなわち、平均短径)で除した値である。
中間層40の断面において、複数の扁平粒子の平均長径は、0.5μm以上10μm以下にすることができる。中間層40の断面において、複数の扁平粒子の平均短径は、0.3μm以上2μm以下にすることができる。
中間層40の断面において、複数の扁平粒子の面積占有率は、30%以上であることが好ましい。面積占有率は、中間層40の断面積に対する測定対象粒子の合計面積の割合である。
中間層40の断面において、複数の扁平粒子は、面方向に並んでいてもよい。この場合、複数の扁平粒子は、面方向において互いに離間していてもよいし、互いに接合していてもよい。複数の扁平粒子は、図3に示すように、基準ラインR3と重なっていてもよい。また、複数の扁平粒子は、面方向だけでなく厚み方向に並んでいてもよい。すなわち、複数の扁平粒子は、厚み方向に堆積していてもよい。
ここで、図4は、中間層40を構成する粒子のアスペクト比の分布状況を示すヒストグラムである。図4では、中間層40がYSZとGDCの固溶体によって構成された場合が一例として示されている。
また、図5は、固体電解質層30を構成する粒子のアスペクト比の分布状況を示すヒストグラムである。図6は、バリア層50を構成する粒子のアスペクト比の分布状況を示すヒストグラムである。図5では、固体電解質層30がYSZによって構成された場合が一例として示されている。図6では、バリア層50がGDCによって構成された場合が一例として示されている。
続いて、図3を再び参照しながら、固体電解質層30,中間層40及びバリア層50を構成する粒子サイズについて説明する。
中間層40を構成する粒子の平均円相当径は、固体電解質層30を構成する粒子の平均円相当径よりも小さい。中間層40を構成する粒子の平均円相当径は、バリア層50を構成する粒子の平均円相当径よりも大きい。バリア層50を構成する粒子は、中間層40から離れるほど小さい。
平均円相当径とは、各粒子の円相当径を算術平均した値である。円相当径とは、各粒子と同じ面積を有する円の直径のことである。
(燃料電池10の製造方法)
次に、燃料電池10の製造方法の一例について説明する。
まず、金型プレス成形法で燃料極集電層用粉末を成形することによって、燃料極集電層21の成形体を形成する。
次に、燃料極活性層用粉末と造孔剤(例えばPMMA)との混合物にバインダーとしてPVA(ポリビニルブチラール)を添加して燃料極活性層用スラリーを作製する。そして、印刷法などによって燃料極活性層用スラリーを燃料極集電層21の成形体上に印刷することによって、燃料極活性層22の成形体を形成する。以上によって、燃料極20の成形体が形成される。
次に、ジルコニウムを含む材料粉末にテルピネオールとバインダーを混合して固体電解質層用スラリーを作製する。そして、印刷法などによって固体電解質層用スラリーを燃料極20の成形体上に印刷することによって、固体電解質層30の成形体を形成する。
次に、燃料極20と固体電解質層30の成形体を焼成(1350℃〜1450℃、1時間〜20時間)することによって、燃料極20と固体電解質層30を形成する。この際、原料の粉体性状(平均粒経や粒度分布)や焼成条件(最高温度や保持時間)を制御することによって、固体電解質層30を構成する粒子の形状や平均円相当径を調整することができる。
次に、固体電解質層30の表面にRF(radio-frequency)マグネトロンスパッタ装置によってジルコニウムとセリウムの2種のターゲットを用いて反応性スパッタリングすることによって中間層40を形成する。この際、基板温度、スパッタ出力、ガス組成を制御することによって、中間層40を構成する粒子の形状や平均円相当径を調整することができる。特に、基板温度を高温化することによって中間層40に含まれる扁平粒子のアスペクト比を調整することができる。また、スパッタ出力を制御することによって、中間層40に含まれる扁平粒子の面積占有率を調整することができる。
次に、中間層4を熱処理(600℃〜1000℃、1時間〜20時間)する。予め、スパッタ成膜時の、ジルコニウムとセリウムのスパッタ率からスパッタ膜内のジルコニウムとセリウムの組成を制御することによって、ジルコニウム濃度とセリウム濃度が一致する基準ラインR3が中間層40の粒子と重なるように調整するができる。
次に、セリアを含む材料粉末にテルピネオールとバインダーを混合してバリア層用スラリーを作製する。そして、スクリーン印刷法などでバリア層用スラリーを中間層40上に塗布することによってバリア層50の成形体を形成する。
次に、バリア層50を焼成(1400℃〜1500℃、1時間〜20時間)することによってバリア層50を形成する。この際、原料の粉体性状(平均粒経や粒度分布)や焼成条件(最高温度や保持時間)を制御することによって、バリア層50を構成する粒子の形状や平均円相当径を調整することができる。
次に、空気極用粉末にテルピネオールとバインダーを混合して空気極用スラリーを作製する。そして、スクリーン印刷法などで空気極用スラリーをバリア層50上に塗布することによって、空気極60の成形体を形成する。次に、空気極60の成形体を焼成(1000〜1100℃、1〜10時間)することによって空気極60を形成する。
(他の実施形態)
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、バリア層40は、単層構造を有することとしたが、緻密質のバリア層と多孔質のバリア層が積層された複層構造を有していてもよい。
(サンプルNo.1〜No.10の作製)
以下のようにして、サンプルNo.1〜No.10に係る燃料電池を作製した。
まず、NiO粉末とY粉末と造孔材(PMMA)の調合粉末とIPAを混合したスラリーを窒素雰囲気下で乾燥させることによって混合粉末を作製した。
次に、混合粉末を一軸プレス(成形圧50MPa)することで縦30mm×横30mm、厚み3mmの板を成形し、その板をCIP(成形圧:100MPa)でさらに圧密することによって燃料極集電層の成形体を作製した。
次に、NiO‐8YSZとPMMAの調合粉末とIPAを混合したスラリーを燃料極集電層の成形体上に塗布した。
次に、8YSZにテルピネオールとバインダーを混合して固体電解質層用スラリーを作成した。次に、固体電解質層用スラリーを燃料極の成形体上に塗布することによって固体電解質層の成形体を形成した。
次に、燃料極と固体電解質層の成形体を焼成(1450℃、5時間)して、燃料極と固体電解質層を形成した。
次に、固体電解質層の表面にRFマグネトロンスパッタ装置(日電アネルバ製、SPF−332H)によって、純度99.9%以上のジルコニウム(Zr)とセリウム(Ce)とジルコニア-セリア固溶体の3種のターゲットを用いて反応性スパッタリング(反応ガス:Ar+O2の混合ガス(O2/Ar比:0.2〜0.6)、スパッタ圧力:2〜10×10−3Torr、基板温度:常温〜600℃)することによって中間層を形成した。この際、基板温度、ガス組成を調整することによって、扁平粒子の平均アスペクト比と平均円相当径を調整した。また、スパッタ出力を調整することによって、扁平粒子の面積占有率を調整した。
次に、中間層を熱処理(600℃〜1000℃、1時間〜20時間)した。上述のスパッタ成膜時においてジルコニウムとセリウムのスパッタ率からスパッタ膜内のジルコニウムとセリウムの組成を予め制御しておくことによって、ジルコニウム濃度とセリウム濃度が一致する基準ラインを構成粒子と重ねた。
次に、GDCスラリーを作製し、中間層の成形体上にGDCスラリーを塗布することによってバリア層の成形体を作製した。続いて、バリア層の成形体を焼成(1400℃、20時間)してバリア層を形成した。
次に、LSCFスラリーを作製し、共焼成体上にLSCFスラリーを塗布することによって空気極の成形体を作製した。続いて、空気極の成形体を焼成(1100℃、1時間)して空気極を形成した。
(セリウム及びジルコニウムの濃度分布の測定)
各サンプルを厚み方向に平行に切断し、FE‐EPMA(電界放射型電子プローブマイクロアナライザ)を用いて断面を元素マッピングすることによって、セリウム及びジルコニウムのシグナル強度を測定した。
(EBSD画像の取得)
各サンプルを厚み方向に平行に切断し、EBSD法によって結晶方位解析することによって、中間層を構成する粒子を示すEBSD画像を取得した。
次に、固体電解質層の最大ジルコニウム濃度の85%の濃度を示す第1界面ラインR1とバリア層の最大セリウム濃度の85%の濃度を示す第2界面ラインR2をEBSD画像上に描画することによって中間層の範囲を規定した(図3参照)。
そして、EBSD画像上において、各サンプルの中間層において面方向に延びる複数の扁平粒子の平均長径、平均短径及び平均アスペクト比と、面方向に延びる扁平粒子の中間層における面積占有率とを測定した。
(焼成後における剥離の観察)
セルの作製後、各サンプルの断面を顕微鏡で観察することによって、固体電解質層とバリア層の間における剥離の有無を確認した。確認結果を表1にまとめて示す。
(熱サイクル試験後における剥離の観察)
各サンプルについて、Arガス及び水素ガス(Arに対して4%)を燃料極に供給して還元雰囲気を維持した状態で、常温から800℃まで2時間で昇温した後に4時間で常温まで降下させる工程を1サイクルとして10回繰り返した。
その後、各サンプルそれぞれの断面を顕微鏡で観察することによって、固体電解質層とバリア層の間における剥離の有無を確認した。確認結果を表1にまとめて示す。
表1に示すように、扁平粒子の平均アスペクト比が1.2以上であるサンプルNo.2〜No.10では、焼成後における剥離頻度を低減することができた。
表1に示すように、扁平粒子の平均アスペクト比が1.4以上であるサンプルNo.4〜No.10では、熱サイクル試験後においても剥離頻度を低減することができた。
10 燃料電池
20 燃料極
30 固体電解質層
40 中間層
50 バリア層
60 空気極
R3 基準ライン

Claims (5)

  1. 燃料極と、
    空気極と、
    前記燃料極と前記空気極の間に配置され、ジルコニウムを含む固体電解質層と、
    前記固体電解質層と前記空気極の間に配置され、セリウムを含むバリア層と、
    前記固体電解質層と前記バリア層の間に配置され、ジルコニウムとセリウムを含む中間層と、
    を備え、
    前記中間層は、厚み方向の寸法が前記厚み方向に直交する面方向の寸法よりもそれぞれ小さい複数の扁平粒子を有し、
    前記複数の扁平粒子の平均アスペクト比は、1.2以上であ
    前記複数の扁平粒子の平均長径は、0.5μm以上10μm以下であり、
    前記複数の扁平粒子の平均短径は、0.3μm以上2μm以下であって、
    前記中間層の断面における前記複数の扁平粒子の面積占有率は、30%以上である、
    燃料電池。
  2. 燃料極と、
    空気極と、
    前記燃料極と前記空気極の間に配置され、ジルコニウムを含む固体電解質層と、
    前記固体電解質層と前記空気極の間に配置され、セリウムを含むバリア層と、
    前記固体電解質層と前記バリア層の間に配置され、ジルコニウムとセリウムを含む中間層と、
    を備え、
    前記中間層は、厚み方向の寸法が前記厚み方向に直交する面方向の寸法よりもそれぞれ小さい複数の扁平粒子を有し、
    前記複数の扁平粒子の平均アスペクト比は、1.2以上であり、
    前記中間層を構成する粒子の平均円相当径は、前記固体電解質層を構成する粒子の平均円相当径よりも小さく、
    前記中間層を構成する粒子の前記平均円相当径は、前記バリア層を構成する粒子の平均円相当径よりも大きく、
    前記中間層の断面における前記複数の扁平粒子の面積占有率は、30%以上である、
    燃料電池。
  3. 前記複数の扁平粒子の平均アスペクト比は、1.4以上である、
    請求項1又は2に記載の燃料電池。
  4. 前記複数の扁平粒子は、面方向において互いに離れた状態で並んでいる、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池。
  5. 前記バリア層を構成する粒子は、前記中間層から離れるほど小さい、
    請求項1乃至のいずれかに記載の燃料電池。
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