JP5880828B2 - 自動変速機のクラッチ制御装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された自動変速機では、アクセル開度や車速などに基づき予め設定されたシフトマップから目標変速段を決定し、この目標変速段に基づき変速機の変速段を切り換えている。例えば車両の加速中において現変速段よりも高いギヤが目標変速段としてシフトマップから決定されたときには、まずクラッチを切断し、次いで現変速段を目標変速段に切り換えた上で、クラッチを接続する一連の操作を実行している。
例えば上記特許文献1の技術において変速に伴ってクラッチを切断する際には、まずクラッチを所定速度で切断方向に操作し、その後にクラッチトルク(クラッチを介して伝達されるトルク)が十分に低下してショック発生の虞が無くなった所定タイミングで、クラッチの操作速度を増加させて切断を完了している。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、変速操作に伴うクラッチ切断時のクラッチ操作速度を適切に制御して、ショックを発生することなく迅速にクラッチを切断でき、もってクラッチ切断時のショック抑制と変速時間の短縮化とを両立して変速フィーリングを向上することができる自動変速機のクラッチ制御装置を提供することにある。
請求項2の発明は、請求項1において、クラッチ操作速度制御手段が、半クラッチ状態の判定が下されたときに、クラッチの操作速度を所定の変化率で連続的に増加させるものである。
クラッチの半クラッチ状態では、切断方向への操作速度を増加しても大きなショックを発生することがなく、一方、操作速度の増加によりクラッチの切断完了のタイミングが速められる。よって、クラッチ切断時のショック抑制と変速時間の短縮化とを両立でき、もって変速フィーリングを向上することができる。
図1は本実施形態の自動変速機のクラッチ制御装置が適用されたトラックの駆動系を示す全体構成図である。
車両には走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)1が搭載されている。エンジン1の出力軸1bにはクラッチ装置2を介して自動変速機(以下、単に変速機という)3の入力軸3aが接続され、クラッチ装置2の接続時にエンジン1の回転が変速機3に伝達されるようになっている。当該変速機3は、前進6段及び後退1段を備えた手動式変速機をベースとしたものであり、以下に述べるように、その変速操作及び変速に伴うクラッチ装置2の断接操作を自動化したものである。
電磁弁9の開弁時にはエアタンク11からエア通路10を介してエアシリンダ8(クラッチ駆動手段)に圧縮エアが供給され、エアシリンダ8が作動してアウタレバー7を介してクラッチ板5をフライホイール4から離間させ、これによりクラッチ装置2が接続状態から切断状態に切り換えられる。一方、電磁弁9が閉弁すると、圧縮エアの供給中止によりエアシリンダ8が作動しなくなることから、クラッチ板5はプレッシャスプリング6によりフライホイール4に圧接され、これによりクラッチ装置2は切断状態から接続状態に切り換えられる。このように電磁弁9の開閉に応じてエアシリンダ8が作動して、クラッチ装置2を自動的に断接操作可能になっている。
ECU21の入力側には、エンジン1の回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ22、変速機3の入力軸3aの回転速度(クラッチ回転速度Nc)を検出するクラッチ回転速度センサ23、運転席に設けられたチェンジレバー13の切換位置を検出するレバー位置センサ24、変速機3のギヤ位置を検出するギヤ位置センサ25、アクセルペダル26の操作量Accを検出するアクセルセンサ27、変速機3の出力軸3bに設けられて出力軸回転速度Vss(車速Vと相関する)を検出する車速センサ28、及びフットブレーキ29の操作を検出するブレーキスイッチ30などのセンサ類が接続されている。
また、ECU21は、レバー位置センサ24によりチェンジレバー13のDレンジへの切換が検出されているときには自動変速モードを実行し、アクセル操作量Acc及び車速センサ28により検出された車速Vに基づき、図示しないシフトマップから目標変速段を算出する。そして、クラッチ装置2の電磁弁9を開閉してエアシリンダ8によりクラッチ装置2を断接操作させながら、ギヤシフトユニット14の所定の電磁弁を開閉してエアシリンダにより対応するシフトフォークを切換操作して変速段を目標変速段に切り換え(変速制御手段)、これにより常に適切な変速段をもって車両を走行させる。
ここで、本発明者は、クラッチ切断操作の開始から所定タイミングまでの期間中にもクラッチ装置2の操作速度を速められる余地が存在することを見出した。より詳しくは、変速操作の開始から所定タイミングまでの期間において、クラッチ装置2は滑りを生じない接続状態から滑りを生じた半クラッチ状態へと移行し、半クラッチ状態ではクラッチ装置2の操作速度が多少速くても大きなショックは発生せず、操作速度を速める余地がある。このような知見の下で、本実施形態では切断中のクラッチ装置2の回転差ΔNに基づき操作速度を切り換えており、以下、ECU21によって実行されるクラッチ制御について詳述する。
シフトマップに基づき目標変速段が切り換えられると(ポイントa)、変速機3の変速操作に先行して、クラッチ装置2はエアシリンダ8の駆動により予め設定された一定の操作速度a1で切断側に操作され始める。これに伴ってクラッチストローク(=エアシリンダ8の操作量)は、次第に切断方向(以下、増加方向と表現する)に変化する。このとき変速操作に備えてエンジントルクTeは次第に低下方向に制御され、これと対応してクラッチ装置2を介して伝達されるクラッチトルクTcも次第に低下方向に制御される。
クラッチストロークの増加により何れかの時点でクラッチ入出力間に滑りが生じ(ポイントb)、クラッチ入力側のエンジン回転速度Neと出力側のクラッチ回転速度Ncとの間に回転差ΔN(滑り指標)が発生する。クラッチ滑りと共に回転差ΔNは次第に増加し、このときの回転差ΔNはECU21により逐次算出される(クラッチ滑り指標算出手段)。
なお、本実施形態では、クラッチ滑りと相関する滑り指標としてクラッチ入出力間の回転差ΔNを用いたが、これに限ることはない。例えばエンジン回転速度Neとクラッチ回転速度Ncとの比を用いてもよい。
このようなクラッチトルクTcが0まで低下した直後として所定タイミングが予め設定されており、例えばクラッチストロークが所定の判定値ST0まで増加した時点で所定タイミングに到達したと見なされ(ポイントe)、クラッチ装置2の操作速度はa2からa3(>a2)に切り換えられる。以降はショック抑制を配慮する必要がないため、操作速度a3は十分に大きな値に設定されている。このためクラッチ装置2は一層迅速に切断側に操作されて、切断完了に至る(ポイントf)。
以上のクラッチ装置2の切断操作の直後に変速機3が現変速段から目標変速段に切り換えられ、引き続いてクラッチ装置2が接続操作されるが、この点は一般的な制御内容と相違ないため、詳細な説明は省略する。
以上のように本実施形態の自動変速機のクラッチ制御装置によれば、クラッチ装置2の切断を開始して入出力間の回転差ΔNが所定の判定値ΔN0を超えたときに、エアシリンダ8によるクラッチ装置2の操作速度をa1からa2に増加させている。そして、この時点のクラッチ装置2は半クラッチ状態になっているため、操作速度を増加しても大きなショックを発生することがなく、一方、操作速度の増加によりクラッチ装置2の切断完了のタイミングを大幅に速めることができる。結果として、クラッチ切断時のショック抑制と変速時間の短縮化とを両立でき、もって変速フィーリングを向上することができる。
図3はこのようなクラッチ制御を実行したときのタイムチャートを示しており、回転差ΔNが判定値ΔN0を超えると(ポイントc)、クラッチ操作速度をa1から所定の変化率で連続的に増加側に設定させている(クラッチ操作速度制御手段)。このため、ショック抑制と変速時間の短縮化とをより高次元で両立することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態ではトラックに適用したが、これに限ることはなくバスや乗用車に適用したりしてもよい。
8 エアシリンダ(クラッチ駆動手段)
21 ECU(変速制御手段、滑り指標算出手段、半クラッチ判定手段、クラッチ操作速度制御手段)
Claims (2)
- 変速制御手段による変速機の変速操作に先行してクラッチ駆動手段によりクラッチを切断操作し、該変速操作の完了後に上記クラッチ駆動手段により上記クラッチを接続操作する自動変速機のクラッチ制御装置において、
上記クラッチの入出力回転速度に基づき該クラッチの滑り状態と相関する滑り指標を算出するクラッチ滑り指標算出手段と、
上記クラッチ駆動手段による上記クラッチの切断方向への操作中に、上記クラッチ滑り指標算出手段により算出された滑り指標に基づき上記クラッチが滑りを生じた半クラッチ状態になったか否かを判定する半クラッチ状態判定手段と、
上記半クラッチ状態判定手段により半クラッチ状態の判定が下されたときに上記クラッチ駆動手段による上記クラッチの操作速度を増加するクラッチ操作速度制御手段と
を備えたことを特徴とする自動変速機のクラッチ制御装置。 - 上記クラッチ操作速度制御手段は、上記半クラッチ状態の判定が下されたときに、上記クラッチの操作速度を所定の変化率で連続的に増加させることを特徴とする請求項1記載の自動変速機のクラッチ制御装置。
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