JP5856817B2 - 医療用処置具およびこれを備えるマニピュレータ - Google Patents
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Description
ところが、体腔内で用いられる処置具は、処置が容易となるように、例えば切開された生体組織を処置中に押し開く動作が必要になる場合がある。また、例えば、体腔内で加わる外力によって処置具片が容易に閉じてしまわないように、開いた状態を安定的に維持する必要がある場合がある。
このため、医療用処置具において、処置具片を開閉させる場合に、閉じるときに閉じ力を増大させるとともに、開くときに開き力を増大させることができる医療用処置具が強く望まれている。
ことが好ましい。
以下、本発明の第1の実施形態について説明するが、その前に本実施形態の医療用処置具(以下、単に「処置具」と称する。)およびマニピュレータが適用される医療用マニピュレータシステムの一例について説明する。
図1は、本発明の医療用処置具が適用される医療用マニピュレータシステムの構成の一例を示す模式図である。
以下、記載を簡潔にするため、アルファベット順の符号「Xa、Xb、…、Xz」を、「Xa〜Xz」のように表す場合がある。例えば、「スレーブアーム200a、200b、200c、200d」を「スレーブアーム200a〜200d」と表す場合がある。
スレーブアーム200a〜200dは、装着された処置具240a〜240dを駆動するための複数の動力部も有している(不図示)。この動力部も、例えばサーボモータを用いることができ、その動作制御はスレーブ制御回路400によって行われる。
アダプタ220a〜220dの駆動機構は、対応する処置具の構成に応じて、例えば、直動機構、回動機構等が設けられている。
図2(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の医療用処置具の先端側を示す模式的な正面図、および断面図である。図3は、本発明の第1の実施形態の医療用処置具の先端側の模式的な分解斜視図である。図4は、図3におけるA−A断面である。図5は、本発明の第1の実施形態の医療用処置具の処置部の開閉に用いるワイヤ駆動部の一例を示す模式的な正面図である。
処置具1の概略構成は、図2(a)、(b)および図3に示すように、各種処置を行なうための処置部10と、処置部10を操作するための操作部材20A(第1の操作部材)、操作部材20B(第2の操作部材)(図3参照)と、操作部材20A、20Bを牽引するワイヤ21(図2(b)、図3参照)と、操作部材20A、20Bが挿通されたシース部30(図2(a)、(b)参照)とを備えている。
また、処置部10は、鉗子回動軸13を固定し、第1鉗子片11および第2鉗子片12の基端側(鉗子部14と反対側)を側方から覆うとともに、シース部30を連結するカバー部材32(基体)を備える。
アーム部11Aの基端側の端部11aには貫通孔が設けられ、この貫通孔に、リンク部材15(第2リンク部材)の先端部15a(第1の端部)に設けられたリンク回動軸15cが挿通され、これによりリンク部材15がアーム部11Aに対し回動可能に連結されている。
また、アーム部11Bの基端側の端部11bには貫通孔が設けられ、この貫通孔に、リンク部材16(第1リンク部材)の先端部16a(第1の端部)に設けられたリンク回動軸16cが挿通され、これによりリンク部材16がアーム部11Bに対し回動可能に連結されている。
リンク回動軸15c、16cの中心軸線は、いずれも鉗子回動軸13の中心軸線と平行である。
また、以下に説明する他のリンクの端部の位置についても同様とする。
第2鉗子片12は、第1鉗子片11の空間11d内に、基部12cを挿入し、各貫通孔11eおよび貫通孔12eを鉗子回動軸13が貫通した状態で、第1鉗子片11とともに鉗子回動軸13に対して回動可能に連結されている。
アーム部12Aの基端側の端部12aには貫通孔が設けられ、この貫通孔に、リンク部材17(第1リンク部材)の先端部17a(第1の端部)に設けられたリンク回動軸17cが挿通され、これによりリンク部材17がアーム部12Aに対し回動可能に連結されている。
また、アーム部12Bの基端側の端部12bには貫通孔が設けられ、この貫通孔に、リンク部材18(第2リンク部材)の先端部18a(第1の端部)に設けられたリンク回動軸18cが挿通され、これによりリンク部材18がアーム部12Bに対し回動可能に連結されている。
リンク回動軸17c、18cの中心軸線は、いずれも鉗子回動軸13の中心軸線と平行である。また、各リンク部材17、18の各先端部17a、18aは、第1鉗子片11において鉗子回動軸13より基端側で連結されている。
操作部材20Aの基端側には、ワイヤ21の一端部が挿入され、ワイヤ21の一端部が溶接や接着、あるいはかしめ等により一体に接続されている。
操作部材20Bの基端側には、ワイヤ21の他端部が挿入され、ワイヤ21の他端部が溶接や接着、あるいはかしめ等により一体に接続されている。
本実施形態では、一例として、アーム部11Aとアーム部12B、アーム部11Bとアーム部12A、リンク部材15とリンク部材18、リンク部材16とリンク部材17の各対同士を同じ長さとし、開閉の中心に対して対称なリンク機構が構成されている場合の例で説明する。
ワイヤ21の一端部および他端部は、それぞれ操作部材20A、20Bの基端側に固定されている。
以下では、処置部10における相対的な方向を参照する場合、図3に示すように、中心軸線Oに一致する軸をZ軸、Z軸に直交し鉗子回動軸13の中心軸線に平行な方向をY軸、Y軸およびZ軸に直交する軸をX軸とするXYZ座標系を用いる場合がある。
Z軸の正方向は処置部10における先端側、同じく負方向は処置部10における基端側である。
本実施形態では、カバー部材32における対称面は、YZ平面およびZX平面であり、側板部32a、32bは、YZ平面およびZX平面に関して面対称な形状を有する。
また、側板部32a、32bが固定された円柱状部分の先端側には、側板部32a、32bの間に、鉗子回動軸13で連結された第1鉗子片11および第2鉗子片12のアーム部11A、12A、リンク部材15、16を回動可能の収容する溝部32eと、アーム部11B、12B、リンク部材17、18を回動可能の収容する溝部32fとが、ZX平面に沿う位置にX軸方向に貫通して設けられている。
このため、図2(a)に示すように、組立状態では、鉗子回動軸13はカバー部材32に固定され、第1鉗子片11および第2鉗子片12は、カバー部材32に対して回動可能に支持されている。
これにより、操作部材20A(20B)がワイヤ21によってZ軸方向に沿って駆動されると、ガイド溝部32j(32k)をガイドとして、操作部材20A(20B)がZ軸方向に円滑に進退できるようになっている。
シース31の先端部は、カバー部材32の基端側に設けられた基端支持部32gの内部に取り付けられている。これにより、鉗子回動軸13は、シース部30に対しても移動しないように固定されている。
ワイヤ駆動部33は、図1のアダプタ220a〜220dのうち、駆動機構として回動機構が設けられたものに着脱可能に接続され、そのアダプタに対応するスレーブアームから供給される動力をワイヤ21に伝達する部材である。以下では、一例として、ワイヤ駆動部33が、アダプタ220aに装着され、スレーブアーム200aからの動力を受ける場合の例で説明する。
ワイヤ駆動部33の概略構成は、本実施形態では、アダプタ220aに着脱可能な形状を有する筐体33aの内部に、駆動軸35、駆動プーリ34、および張力付加部36A、36Bを備える。
また、張力付加部36A、36Bは、それぞれ共通して、固定プーリ37a、37b、テンションプーリ38、およびスプリング39を備え、ワイヤ21に対するこれらの設置位置のみが異なっている。
テンションプーリ38は、固定プーリ37a、37bの間に張られたワイヤ21に対して、ワイヤ21の配回し経路の内側から巻き掛けて、配回し経路の外側に向かってワイヤ21を引き出すものである。本実施形態では、テンションプーリ38は、スプリング39を介して筐体33aに弾性支持された回転軸38aに回転可能に取り付けられている。
スプリング39の構成は、回転軸38aを弾性支持できれば、特に限定されず、例えば、コイルばねや板ばね等の適宜のばね部材、弾性部材を採用することができる。
図6は、本発明の第1の実施形態の医療用処置具の処置部が開いた状態を示す模式的な断面図である。図7(a−1)、(a−2)は、本発明の第1の実施形態の医療用処置具の処置部の閉じた時のリンク部材の位置関係を示す模式図である。図7(b−1)、(b−2)は、本発明の第1の実施形態の医療用処置具の処置部の開いた時のリンク部材の位置関係を示す模式図である。図8(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の医療用処置具のトグル機構における開閉作用について説明するための模式図である。
操作者Opが対応するマスターアームに所定の操作を行うと、スレーブ制御回路400aを介して当該スレーブアームの動力部が駆動される。当該動力部で発生した動力は、アダプタを介して直動運動または回動運動に変換される。
本実施形態では、図5で、駆動プーリ34が図示反時計回り(矢印Aの方向)に回転されると、操作部材20A側のワイヤ21によって操作部材20Aが駆動プーリ34側に牽引される(矢印a参照)。また、操作部材20B側のワイヤ21は駆動プーリ34から操作部材20B側に送り出される。
逆に、駆動プーリ34が図示時計回り(矢印Bの方向)に回転されると、操作部材20B側のワイヤ21によって操作部材20Bが駆動プーリ34側に牽引される(矢印b参照)。また、操作部材20A側のワイヤ21は駆動プーリ34から操作部材20A側に送り出される。
このため、操作部材20Aは、カバー部材32に対して一定の進退方向に沿って移動可能に設けられ、第1鉗子片11および第2鉗子片12を開く方向に回動させるため牽引による操作力を伝達する第1の操作部材になっている。
また、操作部材20Bは、カバー部材32に対して一定の進退方向に沿って移動可能に設けられ、第1鉗子片11および第2鉗子片12を閉じる方向に回動させるため牽引による操作力を伝達する第2の操作部材になっている。
本実施形態では、基端部16b、17bの進退軸OA(図7(a−2)、(b−2)参照)は、鉗子回動軸13の中心軸線と接続回動軸20aの中心軸線とを通り、カバー部材32の中心軸線Oに平行である。また、進退軸OAは、ガイド溝部32jの長手方向に沿う中心軸とも平行である。
また、基端部15b、18bの進退軸OB(図7(a−1)、(b−1)参照)は、鉗子回動軸13の中心軸線と接続回動軸20bの中心軸線とを通り、カバー部材32の中心軸線Oに平行である。また、進退軸OBは、ガイド溝部32kの長手方向に沿う中心軸とも平行である。
鉗子部14が閉じた状態では、図7(a−1)に示すように、第1鉗子片11および第2鉗子片12は、先端側が密着して閉じられている。基端側では、アーム部11Aの端部11aと、アーム部12Bの端部12bとが、鉗子回動軸13回りの回動の周方向において最も離れた状態になっている。また、このとき、図7(a−2)示すように、アーム部11Bの端部11bと、アーム部12Aの端部12aとは、鉗子回動軸13回りの回動の周方向において最も近づいた状態になっている。
この閉じた状態は、本実施形態では、図7(a−1)に示すように、接続回動軸20bが、進退軸OB上の可動範囲において鉗子回動軸13に対して一定距離以上離れた位置に位置付けられることにより実現される。すなわち、開いた状態から、リンク回動軸15c回りにリンク部材15が図示反時計回りに回動されるとともにリンク回動軸18c回りにリンク部材18が図示時計回りに回動されることで、接続回動軸20bとリンク回動軸15c、18cとがZ軸方向において一定距離以下に近づくため実現される。
また、このとき、図7(a−2)に示すように、接続回動軸20aは、進退軸OA上の可動範囲において鉗子回動軸13に対して一定距離以下に近づいた位置に位置付けられ、接続回動軸20aとリンク回動軸16c、17cとは、Z軸方向において一定距離以上離間されている。
カバー部材32に形成されたY軸正方向側の段部32hの位置は、操作部材20Bの基端側への移動範囲を規定しており、段部32hは、操作部材20Bの最大後退量を規制するストッパとして機能している。段部32hの位置は、把持する対象物の形状と上記降伏応力を考慮して設定されている。そのため、対象物を把持した状態で、段部32hに操作部材20Bの基端が後退されても各リンク部材15、18と第1鉗子片11および第2鉗子片12とは塑性変形を生じない。
この際、操作部材20Aはシース部30側に後退するが、鉗子回動軸13はカバー部材32に固定されているので、シース部30側に後退しない。この結果、図7(b−2)に示すように、接続回動軸20aが鉗子回動軸13から遠ざかる。これに伴って、接続回動軸20aとリンク回動軸16c、17cとがZ軸方向において近づくことにより、リンク部材16、17が第1鉗子片11、第2鉗子片12、および操作部材20Aに対して回動し、鉗子部14が開かれていく。
ただし、操作部材20Bは、アーム部11B、12Aと同様に鉗子回動軸13回りに回動されるアーム部11A、12Bにリンク部材15、18を介して連結され、リンク機構の動きに連動するため、ワイヤ21からの作用がなくても図5の矢印a’方向に移動していく。
このため、ワイヤ21の張力は牽引開始前と大きな変化はないが、例えば、ワイヤ21の伸び変形、リンク機構の移動誤差、リンクの変形等の影響により、ワイヤ21の張力が変化する。本実施形態では、操作部材20Bと駆動プーリ34との間に張力付加部36Bを設けている。このため、ワイヤ21の張力が変化しようとしても、張力の変化に応じてテンションプーリ38が移動してスプリング39の弾性復元力が作用することで、ワイヤ21の張力が一定に保たれる。
このとき、上述とは反対に、操作部材20Aと駆動プーリ34との間のワイヤ21がたるみ側となるが、本実施形態では、操作部材20Aと駆動プーリ34との間に張力付加部36Aを設けている。このため、ワイヤ21の張力が変化しようとしても、張力の変化に応じてテンションプーリ38が移動してスプリング39の弾性復元力が作用することで、ワイヤ21の張力が一定に保たれる。
また、処置具1は、操作部材20A、20Bを移動させて鉗子部14の開閉動作を行う際に、ロッドを用いることなく、ワイヤ21の牽引のみで操作を行うことができるため、シース部30の可撓性を高めることが可能である。
また、リンク部材15の基端部15bの進退軸OBとリンク回動軸15cとの距離は、リンク部材15の長さより短い。同様に、基端部18bの進退軸OBとリンク回動軸18cとの距離は,リンク部材18の長さより短い。
このため、図8(a)に示すように、一対の処置具片の回動中心(鉗子回動軸13の中心軸線)とリンク部材15の基端部15bの位置(ZX平面における接続回動軸20bの中心位置)とを結んだ線分を基端部15bの進退軸OBに射影した長さL1(本実施形態では、処置具片の回動中心とリンク部材15の基端部15bとの距離に等しい)は、当該回動中心とリンク部材15の先端部15aの位置(ZX平面におけるリンク回動軸15cの中心位置)とを結ぶ長さlaの線分を基端部の進退軸OB上に射影した長さL2よりも短くなるように設定されている。なお、図8(a)の詳細については後述する。
また、特に図示しないが、本実施形態におけるリンク機構の、開閉の中心軸に関する対称性から、鉗子回動軸13、先端部18a、基端部18bの位置関係についても同様の関係が成立している。
また、リンク部材16の基端部16bの進退軸OAとリンク回動軸16cとの距離は、リンク部材16の長さより短い。同様に、基端部17bの進退軸OAとリンク回動軸17cとの距離は,リンク部材17の長さより短い。
このため、図8(b)に示すように、一対の処置具片の回動中心(鉗子回動軸13の中心軸線)とリンク部材16の基端部16bの位置(ZX平面における接続回動軸20aの中心位置)とを結んだ線分を基端部16bの進退軸OAに射影した長さL1’(本実施形態では、処置具片の回動中心とリンク部材16の基端部16bとの距離に等しい)は、当該回動中心とリンク部材16の先端部16aの位置(ZX平面におけるリンク回動軸16cの中心位置)とを結ぶ長さla’の線分を基端部の進退軸OA上に射影した長さL2’よりも短くなるように設定されている。なお、図8(b)の詳細については後述する。
また、特に図示しないが、本実施形態におけるリンク機構の、開閉の中心軸に関する対称性から、鉗子回動軸13、先端部17a、基端部17bの位置関係についても同様の関係が成立している。
トグル機構では、小さい操作力でも容易に開閉動作を行うことができる。この点について、以下、図8(a)、(b)を参照して説明する。
図8(a)に示すように、ワイヤ21に操作入力Fiを作用させて接続回動軸20bをZ軸負方向に牽引すると、接続回動軸20bが後退して進退軸OBとリンク部材15とが基端側でなす角度αが大きくなり、リンク回動軸15cを進退軸OBから離間させる方向に移動させる力Fbが生じる。力Fbは第1鉗子片11を鉗子回動軸13回りにY軸負方向から正方向をみて反時計回り方向に回動させるように作用し、最終的に鉗子部14において出力Foが発生する。
なお、図8(a)に示すlbおよびlaは、第1鉗子片11において、鉗子回動軸13より基端側の領域の長さおよび鉗子回動軸13より先端側のアーム部11Aの長さを、角度βは、進退軸OBと、鉗子回動軸13とリンク回動軸15cとを結ぶ直線とがなす角度を指す。また、第2鉗子片12等は図示していないが、同様に出力Foが発生する。
図8(b)に示すように、ワイヤ21に操作入力Fi’を作用させて接続回動軸20aをZ軸負方向に牽引すると、接続回動軸20aが後退して進退軸OAとリンク部材15とが基端側でなす角度α’が大きくなり、リンク回動軸16cを進退軸OAから離間させる方向に移動させる力Fb’が生じる。力Fb’は第1鉗子片11を鉗子回動軸13回りにY軸負方向から正方向をみて時計回り方向に回動させるように作用し、鉗子部14が開くのを阻害する外力が作用する場合には、最終的に鉗子部14において出力Fo’が発生する。
なお、図8(b)に示すla’は、第1鉗子片11において、鉗子回動軸13より先端側のアーム部11Bの長さを、角度β’は、進退軸OAと、鉗子回動軸13とリンク回動軸16cとを結ぶ直線とがなす角度を指す。また、第2鉗子片12等は図示していないが、同様に出力Fo’が発生する。
なお、上記と同様に、カバー部材32に形成されたY軸負方向側の段部32hは、操作部材20Aの最大後退量を規制するストッパとしても機能しており、この段部32hの位置は、鉗子部14が開くのを阻害する外力と、処置具1の各部材の降伏応力とを考慮して設定されている。
特に、鉗子部14を閉じる場合には、鉗子部14に生じる把持力を効率よく増大させることができる。このため、被把持物を、効率よく加圧したり、強固に把持したりすることができる。
また鉗子部14を開く場合には、鉗子部14に生じる開き力を効率よく増大させることができる。このため、開くのを阻害する外力に抗して円滑に開くことができる。また、例えば、生体組織などを押し開く動作を容易に行うことができる。また、例えば、鉗子部14が最大限開いた状態を外力に抗して安定的に維持することができる。
したがって、処置具片の対を操作して開閉する際に、処置具片を閉じる場合に閉じ力を増大させるとともに開く場合にも開き力を増大させることができる。
このため、接続回動軸20bはリンク回動軸15c、18cの中間に位置し、接続回動軸20aはリンク回動軸16c、17cの中間に位置するため、接続回動軸20b、20aにそれぞれ作用する出力Foの反力、Fo’の反力は、正反対の方向に作用する結果、打ち消しあってゼロとなる。
したがって、ガイド溝部32j、32kに収容された操作部材20A、20Bがそれぞれガイド溝部32j、32kの内面に強く押し付けられることはなく、大きな摩擦が発生することが抑制される。
図9(a)、(b)は、本発明の第2の実施形態の医療用処置具の先端側を示す模式的な正面図、および断面図である。図10は、本発明の第2の実施形態の医療用処置具の先端側の模式的な分解斜視図である。
処置具1Aの概略構成は、図9(a)、(b)および図10に示すように、上記第1の実施形態の処置部10に代えて、処置部10Aを備える。
処置部10Aは、上記第1の実施形態の処置部10のカバー部材32に代えて、カバー部材32A(基体)を備え、上記第1の実施形態の操作部材20A、20Bにそれぞれガイドピン22を追加したものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ガイドピン22は、例えば螺設、圧入、溶接等の適宜の固定手段によって操作部材20Aと固定されている。本実施形態では、一例として螺設を採用しており、これによりガイドピン22は操作部材20A、20Bと着脱可能に固定されている。
カバー部材32Aは、本実施形態では、シース部30の端部の中心軸線と一致する基端支持部42cの中心軸線O(図10参照)を含んで互いに直交する2平面に対して面対称な形状を有している。
カバー部材32Aの材質は、例えば金属等からなる。
Z軸の正方向は処置部10Aにおける先端側、同じく負方向は処置部10Aにおける基端側である。
本実施形態では、カバー部材32Aにおける対称面は、YZ平面およびZX平面であり、側板部42a、42bは、YZ平面およびZX平面に関して面対称な形状を有する。
また、側板部42aにおいて軸固定部32cよりも基端側の中間部には、操作部材20Aに固定されたガイドピン22の摺動軸部22aをがたつくことなく挿通させる長穴42e(第1ガイド)が側板部42aに貫通して設けられている。
長穴42eの位置は、長穴42eの長手方向に沿う対称面がZY平面となる位置に設けられている。すなわち、長穴42eの長手方向の中心線は、軸固定部32cの中心を通り、かつ基端支持部42cの中心軸線Oに平行となる位置とされている。
長穴42eの外周側には、ガイドピン22のヘッド部22bを内部に収容する段穴部42fが設けられている。
このため、図9(a)に示すように、組立状態では、鉗子回動軸13はカバー部材32Aに固定され、第1鉗子片11および第2鉗子片12は、カバー部材32Aに対して回動可能に支持されている。
また、摺動軸部22a、ヘッド部22bは、それぞれ長穴42e、段穴部42f内で、軸固定部32cの中心に向かってZ軸方向に進退移動可能に配置されている。
これにより、操作部材20Aがワイヤ21によってZ軸方向に沿って駆動されると、長穴42eをガイドとして、摺動軸部22aおよび操作部材20AがZ軸方向に円滑に進退できるようになっている。
このため、特に図示しないが、組立状態では、操作部材20Bに固定されたガイドピン22の摺動軸部22a、ヘッド部22bは、それぞれ長穴42h、段穴部42i内で、軸固定部32dの中心に向かってZ軸方向に進退移動可能に配置されている。
これにより、操作部材20Bがワイヤ21によってZ軸方向に沿って駆動されると、長穴42hをガイドとして、摺動軸部22aおよび操作部材20BがZ軸方向に円滑に進退できるようになっている。
すなわち、上記第1の実施形態の処置部10が、カバー部材32の内部に形成されたガイド溝部32j、32kによって、操作部材20A、20BのZ軸方向の移動がガイドされているのに対して、本実施形態の処置部10は、カバー部材32Aに設けられた長穴42e、42fによって、操作部材20A、20Bの接続回動軸20a、20bに同軸に設けられたガイドピン22の摺動軸部22aがガイドされる点のみが異なる。
このため、本実施形態の処置具1Aも、上記第1の実施形態の処置具1と同様な動作を行うことができ、上記第1の実施形態の処置具1と略同様の作用を備える。
例えば、接続回動軸20b、20aにそれぞれ作用する出力Foの反力、Fo’の反力は、正反対の方向に作用する結果、打ち消しあってゼロとなるが、本実施形態では、長穴32h、32eに挿通された接続回動軸20b、20aがそれぞれ長穴32h、32eの内面に強く押し付けられることはなく、大きな摩擦が発生することが抑制される。
次に、本発明の第3の実施形態の医療用処置具について説明する。
図11(a)、(b)は、本発明の第3の実施形態の医療用処置具の模式的な正面図および裏面図である。図12は、本発明の第3の実施形態の医療用処置具の処置部が開いた状態を示す模式的な断面図である。
本実施形態の処置具1Bは、一対の処置具片のうち一方だけが回動可能である点が、上記第2の実施形態の処置具1と異なる。
以下、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
鉗子片41は、中央部に鉗子回動軸13を挿通する軸孔部41cを備え、軸孔部41cよりも先端側に被処置物を押さえる鉗子片部41Cが形成され、軸孔部41cより基端側に、アーム部41A、41Bが延ばされている。
鉗子片部41Cは、後述するカバー部材40の鉗子片40aとともに、開閉して体内組織や手術器具等の対象物を把持したり、押し開いたり、押さえたりする鉗子部14Aを構成している。
また、アーム部41Bの基端側の端部41bには、上記第1の実施形態と同様のリンク部材16(第1リンク部材)の先端部16a(第1の端部)が、先端部16aに設けられたリンク回動軸16cを介してアーム部41Bに対し回動可能に連結されている。
ただし、上記第1の実施形態とは異なり、操作部材20B、20Aには、リンク部材18、17のような他のリンクは接続されていない。
リンク回動軸15c、16cの中心軸線は、いずれも鉗子回動軸13の中心軸線と平行である。
このように、アーム部41A、41B、リンク部材15、16は、それぞれリンク機構のリンクであり、端部41a、41b、先端部15a、16aには、リンク機構の回動継手であるリンク回動軸15c、16cが設けられている。
すなわち、接続回動軸20bの中心軸線は、鉗子回動軸13、およびリンク回動軸15cの各中心軸線と平行であり、リンク部材15は、操作部材20Bに対して相対回動可能である。また、接続回動軸20aの中心軸線は、鉗子回動軸13、およびリンク回動軸16cの各中心軸線と平行であり、リンク部材16は、操作部材20Aに対して相対回動可能である。また、操作部材20B、20Aには、それぞれ上記第1の実施形態と同様にワイヤ21が接続されている。
また、操作部材20B、20Aには、上記第1の実施形態と同様にそれぞれの接続回動軸20b、20aと同軸となるように、ガイドピン22が固定されている。
カバー部材40の材質は、上記第2の実施形態のカバー部材32Aと同様、例えば金属等からなる。
Z軸の正方向は処置部10Bにおける先端側、同じく負方向は処置部10Bにおける基端側である。
また、側板部40Aにおいて軸固定部32cよりも基端側の中間部には、操作部材20Aに固定されたガイドピン22の摺動軸部22aをがたつくことなく挿通させる長穴42e(第1ガイド)が側板部40Aに貫通して設けられている。
長穴42eの位置は、長穴42eの長手方向の中心線が、軸固定部32cの中心を通り、かつ基端支持部42cの中心軸線Oに平行となる位置とされている。
長穴42eの外周側には、ガイドピン22のヘッド部22bを内部に収容する段穴部42fが設けられている。
このため、図11(a)に示すように、組立状態では、鉗子回動軸13はカバー部材40に固定され、鉗子片41は、カバー部材40に対して回動可能に支持されている。
また、操作部材20Aに接続された摺動軸部22a、ヘッド部22bは、それぞれ長穴42e、段穴部42f内で、軸固定部32cの中心に向かってZ軸方向に進退移動可能に配置されている。
これにより、操作部材20Aがワイヤ21によってZ軸方向に沿って駆動されると、長穴42eをガイドとして、摺動軸部22aおよび操作部材20AがZ軸方向に円滑に進退できるようになっている。
カバー部40bは、側板部40AとYZ平面に関して面対称な形状を有する板状部であり、側板部40Aの軸固定部32c、長穴42e、段穴部42fに対応して、それぞれYZ平面に関して面対称な位置、形状を有する軸固定部32d、長穴42h(第2ガイド)、段穴部42iが設けられている。
このため、組立状態では、操作部材20Bに固定されたガイドピン22の摺動軸部22a、ヘッド部22bは、それぞれ長穴42h、段穴部42i内で、軸固定部32dの中心に向かってZ軸方向に進退移動可能に配置されている。
これにより、操作部材20Bがワイヤ21によってZ軸方向に沿って駆動されると、長穴42hをガイドとして、摺動軸部22aおよび操作部材20BがZ軸方向に円滑に進退できるようになっている。
このため、鉗子部14Aは、一対の処置具片が、カバー部材40に対して回動可能に支持された鉗子片部41Cと、固定支持された鉗子片40aとから構成されている。
また、ワイヤ21を牽引することで操作部材20Aを牽引した場合は、鉗子片41の鉗子片部41Cが開く方向(鉗子片40aから離れる方向)に回動され、鉗子部14Aを開くことができる。また、鉗子部14Aを略最大限開いてから、さらにワイヤ21を同方向に牽引することで、鉗子部14Aが開くのを阻害する外力を受ける場合に、トグル機構の作用により小さな操作力によって開く力を増大させることができる。
したがって、上記第2の実施形態と同様に、処置具片の対を操作して開閉する際に、処置具片を閉じる場合に閉じ力を増大させるとともに開く場合にも開き力を増大させることができる。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図13(a)、(b)は、本発明の第3の実施形態の医療用処置具の処置部が閉じた状態、および開いた状態を示す模式的な断面図である。図14は、本発明の第4の実施形態の医療用処置具の処置部の開閉に用いるラックピニオン駆動部の一例を示す模式的な正面図である。
このような構成の処置具1Cは、上記第2の実施形態と同様に、図1に示す医療用マニピュレータシステムの処置具240a〜240dとしてスレーブアーム200a〜200dに装着して用いることができるものである。
以下では、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。また、2組の構成の説明がほとんど重複するため、対応する部材をかっこ書きして説明を簡素化する。
第1鉗子片51(第2鉗子片52)は、中央部に鉗子回動軸13を挿通する軸孔部51c(52c)を備え、軸孔部51c(52c)よりも先端側に被処置物を押さえる鉗子片部51C(52C)が形成され、軸孔部51c(52c)より基端側に、アーム部51A、51B(52A、52B)が延ばされている。
鉗子片部51C、52Cは、開閉して体内組織や手術器具等の対象物を把持したり、押し開いたり、押さえたりする鉗子部14Bを構成している。
また、アーム部51B(52A)の基端側の端部51b(52a)には、上記第1の実施形態と同様のリンク部材16(第1リンク部材)の先端部16a(第1の端部)が、先端部16aに設けられたリンク回動軸16cを介してアーム部51B(52A)に対し回動可能に連結されている。
ただし、上記第2の実施形態とは異なり、操作部材20B、20Aには、リンク部材18、17のような他のリンクは接続されていない。
各リンク回動軸15c、16cの中心軸線は、いずれも鉗子回動軸13の中心軸線と平行である。
このように、アーム部51A、51B(52B、52A)、リンク部材15、16は、それぞれリンク機構のリンクであり、端部51a、51b(52b、52a)、先端部15a、16aは、リンク機構の回動継手であるリンク回動軸15c、16cが設けられている。
すなわち、各接続回動軸20bの中心軸線は、鉗子回動軸13、およびリンク回動軸15cの各中心軸線と平行であり、各リンク部材15は、各操作部材20Bに対して相対回動可能である。また、各接続回動軸20aの中心軸線は、鉗子回動軸13、および各リンク回動軸16cの各中心軸線と平行であり、各リンク部材16は、各操作部材20Aに対して相対回動可能である。
各操作部材20B、20Aには、上記第2の実施形態と同様にそれぞれの接続回動軸20b、20aに図示略のガイドピン22が固定され、図示略の基体に設けられた長穴等のガイド内で移動可能に設けられている。
ただし、上記第2の実施形態とは異なり、リンク部材15(16)の基端部15b(16b)の進退軸PB(PA)は、中心軸線Oから先端部15a(16a)側(X軸正(負)方向側)に平行にずれた軸線に設定される。
2組のラックピニオン駆動部63は、図1のアダプタ220a〜220dのうち、駆動機構として回動機構が設けられたものに着脱可能に接続され、そのアダプタに対応するスレーブアームから供給される動力をワイヤ21A、21Bに伝達する部材である。
以下では、一例として、2組のラックピニオン駆動部63が、アダプタ220bに装着され、スレーブアーム200bからの動力を受ける場合の例で説明する。
各ラックピニオン駆動部63の概略構成は、図14に示すように、本実施形態では、アダプタ220bに着脱可能な形状を有する筐体63aの内部に、駆動軸66、ピニオン65、およびラック64A、64Bを備える。なお、各ラックピニオン駆動部63の構成は同一のため、図14では、一方のラックピニオン駆動部63のみを示している。
ラック64A(64B)は、操作部材20A(20B)に一端が接続されたワイヤ21A(21B)の他端が固定され、ピニオン65の回動に伴って一定方向に直動移動できるように筐体63aに支持されている。
このため本実施形態では、例えば、ピニオン65が図14の矢印B方向(図示反時計回り)に回動されると、ラック64Bはワイヤ21Bをラックピニオン駆動部63側に牽引する方向に移動し、ラック64Aはワイヤ21Aを処置部10B側に押し出す方向に移動する。逆に、ピニオン65が図示A方向に回動されると、これと反対の動作が行われる。
以下では、簡単のため、一例として、各ラックピニオン駆動部63を同様に駆動することによって、第1鉗子片51および第2鉗子片52が対称的な動作をする場合の例で説明する。ただし、本実施形態では、第1鉗子片51および第2鉗子片52に対して、それぞれを独立に回動する2組のラックピニオン駆動部63を備えているため、第1鉗子片51および第2鉗子片52はいずれかの位置を固定したり、開閉量や開閉速度を互いに変えたりすることも可能である。
これにより、各接続回動軸20aが移動して、進退軸PAに対する各リンク部材16のなす角が増大して90°に近づき、各リンク部材16の先端部16cのリンク回動軸16cに連結されたアーム部51B、52Aが回動される。
このとき、アーム部51Bは図示時計回りに回動され、アーム部52Aは図示反時計回りに回動される。これにより、鉗子片部51C、52Cが互いに離間する方向に回動され、鉗子部14Bが開かれる。
また、鉗子部14Bが閉じてから、さらにワイヤ21Bを同方向に牽引することで、トグル機構の作用により小さな操作力によって把持力を増大させることができる。
また、ワイヤ21Aを牽引することで操作部材20Aを牽引した場合は、鉗子部14Bを略最大限開いてから、さらにワイヤ21Aを同方向に牽引することで、鉗子部14Bが開くのを阻害する外力を受ける場合に、トグル機構の作用により小さな操作力によって開く力を増大させることができる。
したがって、上記第2の実施形態と同様に、処置具片の対を操作して開閉する際に、処置具片を閉じる場合に閉じ力を増大させるとともに開く場合にも開き力を増大させることができる。
例えば、上記第3、4の実施形態において、ガイドが長穴である構成を、上記第1の実施形態におけるガイド溝部である構成に変更することが可能である。
また、上記第1〜第3の実施形態のワイヤ駆動部33を用いてワイヤを牽引する構成を、第4の実施形態のラックピニオン駆動部63を用いて牽引する構成に変更することが可能である。
この場合、ロッドに適宜の剛性を持たせることにより、ロッド自身の軸線に沿って操作部材を進退させることができるようにすれば、長穴32e、32h等のガイドは設けなくてもよい。
例えば、第1の実施形態の処置具1は、ワイヤ駆動部33の駆動軸35を操作者が手動で回動操作することにより、単独の処置具として用いることが可能である。
10、10A、10B、10C 処置部
11、51 第1鉗子片(処置具片)
11A、11B、12A、12B アーム部
12、52 第2鉗子片(処置具片)
13 鉗子回動軸
14、14A、14B 鉗子部
15、18 リンク部材(第2リンク部材)
16、17 リンク部材(第1リンク部材)
15a、16a、17a、18a 先端部(第1の端部)
15b、16b、17b、18b 基端部(第2の端部)
15c、16c、17c、18c リンク回動軸
20A 操作部材(第1の操作部材)
20B 操作部材(第2の操作部材)
20a 接続回動軸(第1接続回動軸)
20b 接続回動軸(第2接続回動軸)
21、21A、21B ワイヤ
22 ガイドピン
22a 摺動軸部
22b ヘッド部
32、32A、40 カバー部材(基体)
32g 基端支持部
32j ガイド溝部(第1ガイド)
32k ガイド溝部(第2ガイド)
33 ワイヤ駆動部
34 駆動プーリ
36A、36B 張力付加部
40B 固定鉗子片部(処置具片)
41 鉗子片(処置具片)
42e 長穴(第1ガイド)
42h 長穴(第2ガイド)
63 ラックピニオン駆動部
64A、64B ラック
65 ピニオン
200a、200b、200c、200d スレーブアーム(マニピュレータ)
O 中心軸線
OA、PA 進退軸(第1の進退軸)
OB、PB 進退軸(第2の進退軸)
Claims (8)
- 少なくとも一方が基体に対して回動可能に支持された一対の処置具片を有する処置部と、
前記基体に対して一定の進退方向に沿って移動可能に設けられ、前記一対の処置具片を開く方向に回動させるため牽引による操作力を伝達する第1の操作部材と、
前記基体に対して前記進退方向に平行な方向に沿って移動可能に設けられ、前記一対の処置具片を閉じる方向に回動させるため牽引による操作力を伝達する第2の操作部材と、
回動可能な前記処置具片に第1の端部が連結され、第2の端部が前記第1の操作部材に連結された第1リンク部材と、
回動可能な前記処置具片に第1の端部が連結され、第2の端部が前記第2の操作部材に連結された第2リンク部材と、
を備え、
前記基体は、前記第1の操作部材の最大後退量を規制するためのストッパを有し、
前記第1リンク部材では、
前記第1の操作部材の移動に伴って前記第2の端部が進退する第1の進退軸と前記第1の端部との距離は、前記第1リンク部材の長さより短く、
前記第2の端部と前記一対の処置具片の回動中心とを結んだ線分を前記第1の進退軸に射影した長さは、前記第1の端部と前記回動中心を結んだ線分を前記第1の進退軸に射影した長さよりも短く、
前記第2リンク部材では、
前記第2の操作部材の移動に伴って前記第2の端部が進退する第2の進退軸と、前記第1の端部との距離は、前記第2リンク部材の長さより短く、
前記第2の端部と前記一対の処置具片の回動中心とを結んだ線分を前記第2の進退軸に射影した長さは、前記第1の端部と前記回動中心を結んだ線分を前記第2の進退軸に射影した長さよりも短い
ことを特徴とする医療用処置具。 - 前記一対の処置具片の両方が前記基体に対して回動可能に支持されており、
前記処置具片の一方が、前記第1リンク部材を介して前記第1の操作部材と連結され、
前記処置具片の他方が、前記第2リンク部材を介して前記第2の操作部材が連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用処置具。 - 前記一方の処置具片に連結された前記第1リンク部材と、前記他方の処置具片に連結された前記第1リンク部材とが、それぞれの前記第2の端部において、1つの第1接続回動軸を介して前記第1の操作部材に連結され、
前記一方の処置具片に連結された前記第2リンク部材と、前記他方の処置具片に連結された前記第2リンク部材とが、それぞれの前記第2の端部において、1つの第2接続回動軸を介して前記第2の操作部材に連結された
ことを特徴とする請求項2に記載の医療用処置具。 - 前記基体は、前記第1の進退軸に沿って延びる第1ガイドと、前記第2の進退軸に沿って延びる第2ガイドとを備え、
前記第1の操作部材は、前記第1ガイドに沿って移動可能に支持され、
前記第2の操作部材は、前記第2ガイドに沿って移動可能に支持された
ことを特徴とする請求項2または3に記載の医療用処置具。 - 前記第1の操作部材と前記第2の操作部材とが、一端部および他端部に連結されたワイヤと、
該ワイヤを巻きかけて回転することにより、前記第1の操作部材を前記第1の進退軸に沿って、前記第2の操作部材を前記第2の進退軸に沿って、それぞれ進退させるワイヤ駆動部と、
を備える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用処置具。 - 2つのラックと、該2つのラックにそれぞれ係合されたピニオンとを有し、該ピニオンの回転によって前記2つのラックを互いに逆向きに進退駆動するラックピニオン駆動部と、
前記ラックの一方と前記第1の操作部材、および、前記ラックの他方と前記第2の操作部材を、それぞれ連結するワイヤと、
を備え、
前記ラックピニオン駆動部によって、前記ワイヤを進退駆動することにより、前記第1の操作部材を前記第1の進退軸に沿って、前記第2の操作部材を前記第2の進退軸に沿って、それぞれ進退させる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用処置具。 - 前記ワイヤの途中に前記ワイヤに張力を加える張力付加部を設けた
ことを特徴とする請求項5または6に記載の医療用処置具。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療用処置具を備える
ことを特徴とするマニピュレータ。
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