JP5852524B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
このような車両用シートにおいては、座り心地を確保した上で、軽量化や低コスト化を図るために、パッド材のうち、乗員が着座したときに荷重を受ける部分(例えば、尻下部等)と、それ以外の部分(例えば、尻下部の両側部分等)と、で硬度の異なるパッドを用いる構成が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
そこで、例えば特許文献4に示されるように、シートクッションパッドの裏面に伸縮性を有する軟質スラブウレタンフォームを採用することで、共振点を含む不快領域での伝達率の低減を図る構成が記載されている。
また、サスペンションの減衰特性(例えば、減衰特性を低くする等)を調整して乗り心地を向上させることも考えられるが、この場合には車両の安定性が低下するという問題がある。
特に、第1パッド材を面状支持体により支持することで、従来のように弾性変形可能な弾性支持体によりパッド材を支持する構成と異なり、第1パッド材の減衰特性を効果的に発揮させることができる。すなわち、第1パッド材を支持する面状支持体での共振の発生を抑えて、不快領域の振動レベルを大幅に低下させることができる。
また、面状支持体がシートフレームに対して遊びをもって揺動可能に連結されているため、車両用シートに振動が伝達された場合に、面状支持体がシートフレームとは異なる位相(逆位相)で揺動することになる。これにより、車両用シートに伝達された振動が面状支持体により減衰(キャンセル)され、乗員に伝達されるのを抑制できるので、乗り心地の更なる向上を図ることができる。
次に、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
(車両用シート)
図1は車両用シートを斜め前方から見た斜視図である。なお、図中矢印Fは、前方を示している。
図1に示すように、本実施形態の車両用シート1は、乗員の臀部を支持するシートクッション2と、このシートクッション2の後端部に傾動可能に連結されて、乗員の腰部及び背部を支持するシートバック3と、このシートバック3の上部に支持されて、乗員の頭部及び首部を支持するヘッドレスト4と、を備えている。
図2は、車両用シートの分解斜視図である。
図1、図2に示すように、シートクッション2は、図示しないシートレールを介して車両フロアに、前後方向にスライド可能に支持される。具体的に、シートクッション2は、骨格をなすクッションフレーム(シートフレーム)11と、クッションフレーム11における内側の開口部分に配設された面状支持体12と、クッションフレーム11及び面状支持体12を上方から被覆するクッションユニット13と、を備えている。
各側部フレーム14は、それぞれシート幅方向の内側に向けて開放された断面視コ字状の板材である。前部フレーム15は、シート幅方向に沿って延在する板状に形成され、シート幅方向の両端部が側部フレーム14の上面に固定されている。また、前部フレーム15の中央部は、下方に向けて窪んでいる。
各支持バー22は、シート幅方向に沿って延在する板材であり、前部フレーム15よりも後方で前後方向に間隔をあけて2本配設されている。各支持バー22は、シート幅方向の両端部が側部フレーム14の上面にボルト等によってそれぞれ固定されるとともに、中央部が乗員の臀部の形状に倣って下方に向けて膨出する湾曲形状をなしている。
シートバック3は、その下端部がシートクッション2の後端部に傾動軸27を介して傾動可能に連結されている。具体的に、シートバック3は、骨格をなすシートバックフレーム(シートフレーム)31と、シートバックフレーム31における内側の開口部分に配設された面状支持体32と、シートバックフレーム31及び面状支持体32を前方から被覆するクッションユニット33と、を備えている。なお、シートバック3の構成は、上述したシートクッション2とほぼ同様の構成からなるため、上述した説明と同様の構成については説明を省略する。
上部フレーム34は、シート幅方向の両端部が下方に向けて屈曲形成されたコ字状のパイプ材からなり、シート幅方向に延在する上辺部の中央にヘッドレスト4を昇降可能に支持する支持パイプ37が取り付けられている。
各支持バー42は、シート幅方向に沿って延びる板状の部材であり、下部フレーム36よりも上方で上下方向に間隔をあけて2本配設されている。各支持バー42は、シート幅方向の両端部が側部フレーム35の後面にボルト等によってそれぞれ固定されるとともに、中央部が乗員の腰部及び背部の形状に倣って後方に向けて膨出する湾曲形状をなしている。
ここで、本実施形態のパッド材43は、パッド材43のうち、乗員が着座したときに荷重を受ける背もたれ領域(第1領域)に配設された第1パッド材45と、背もたれ領域に対してシート幅方向の外側に位置するサイドサポート部(第2領域)に配設された第2パッド材46と、を備えている。
この構成によれば、乗員が着座したときに荷重を受ける領域(臀部支持領域や背もたれ領域)に第1パッド材25,45を配設することで、例えば乗員が着座したときに荷重を受ける領域に第2パッド材26,46と同様のパッド材を配設する場合に比べて上述した不快領域の振動レベルを低下させることができる。これにより、サスペンションの減衰特性を調整することなく、振動レベルを低下させることができるので、車両の安定性を維持した上で、乗り心地の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、第1パッド材25,45を面状支持体12,32により支持することで、従来のように弾性変形可能な弾性支持体によりパッド材を支持する構成と異なり、第1パッド材25,45の減衰特性を効果的に発揮させることができる。すなわち、第1パッド材25,45を支持する面状支持体12,32での共振の発生を抑えて、不快領域の振動レベルを大幅に低下させることができる。
さらに、面状支持体12,32(プレート部材21,41及び支持バー22,42)が乗員の臀部や腰部、背部の形状に倣って湾曲形状をなしているため、乗員とクッションユニット13,33との接触面積を増加させ、乗員の荷重を第1パッド材25,45全体に分散できる。これにより、ホールド性や座り心地を改善できるとともに、本実施形態のような減衰特性の高い第1パッド材25,45を採用した場合であっても、第1パッド材25,45の圧縮量を抑えて乗員に底突き感を与えることがない。
本試験では、実施例1(高減衰材+リジット化)の車両用シートとして、上述した図1、図2で示した車両用シート1を採用した。また、比較例1(ベース材+弾性化)として、臀部支持領域及び背もたれ領域のパッド材を第2パッド材26,46と同様の材料により構成し、このパッド材をSばね等の弾性変形可能な弾性支持体で支持する構成を採用し、比較例2(高減衰材+弾性化)としては、臀部支持領域及び背もたれ領域の第1パッド材45をSばね等の弾性変形可能な弾性支持体により支持する構成を採用した。そして、本試験では、実施例及び各比較例それぞれにおいて、下記の条件により車両用シートを加振し、そのときの周波数(Hz)と、振動レベル(dB)と、の関係について測定した。
加振周波数:1〜30Hz
加振振幅:±1mm
図3、図4に示すように、実施例1ではシートクッション2側、及びシートバック3側の何れの箇所においても、第1パッド材25,45により車両用シート1に伝達される振動を効果的に減衰できたことで、比較例1に比べて不快領域での振動レベルを大幅に低減できた。
一方、図4の比較例2で示すように、第1パッド材45を弾性支持体により支持した構成にあっては、比較例1よりは振動レベルを低減できたものの、実施例1に比べて振動レベルが高くなる結果となった。これは、比較例2では、第1パッド材45を支持する弾性支持体が共振することで、第1パッド材45の減衰特性が効果的に発揮されていないためと考えられる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5は第2実施形態における車両用シートの背面を示す概略構成図であり、図6は図5のA矢視図である。第2実施形態では、上述した面状支持体32をシートバックフレーム31に対して遊びをもって揺動可能に連結した点で、上述した第1実施形態と相違している。なお、以下の説明においては、上述した第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、図6では、図5のA矢視のうち支持バー42については断面を示している。
図6に示すように、支持バー42におけるシート幅方向の両端部には、厚さ方向に貫通する貫通孔101がそれぞれ形成され、これら貫通孔101内にカラー102を介してボルト103が挿通されている。そして、ボルト103が側部フレーム35の後面に締結されることで、支持バー42が側部フレーム35に固定される。
筒部110は、外径が貫通孔101の内径よりも小径に形成され、貫通孔101の内面との間に隙間が設けられている。
図7に示すように、上述した実施例1のように第1パッド材25,45を面状支持体12,32で支持する構成にあっては、不快領域での振動レベルを大幅に低減できるものの、周波数が10(Hz)以上の高周波数領域では、再び振動レベルが増加し、比較例1よりも振動レベルが大きくなっていることが分かる。
例えば、上述した第1実施形態では、シートバック3側及びシートクッション2側のそれぞれに本発明の構成を採用する場合について説明したが、これに限らず、シートバック3側及びシートクッション2側の何れか一方のみに本発明の構成を採用すれば構わない。
また、第2実施形態では、シートバック3側に本発明の構成を採用する場合について説明したが、これに限らず、シートクッション2側、またはシートバック3側及びシートクッション2側の両方に本発明の構成を採用しても構わない。
さらに、上述した第2実施形態では、面状支持体132を、シート幅方向、前後方向、及び上下方向に沿って揺動可能に連結する構成について説明したが、これに限らず、少なくとも揺動可能にするように遊びをもっていれば構わない。またシートクッション2にも同様にこの構造を採用することができる。この場合はシート幅方向に加え、シート厚み方向、シート前後方向に沿って揺動可能にするように遊びをもって連結するとよい。
Claims (3)
- シートフレームと、
前記シートフレームに重ね合わされるパッド材と、を備えた車両用シートにおいて、
前記パッド材は、
乗員が着座したときに荷重を受ける第1領域に配設された第1パッド材と、
前記パッド材のうち、前記第1領域以外の第2領域に配設された第2パッド材と、を備え、
前記第1パッド材は、前記第2パッド材よりも高い減衰特性を有し、
前記第1パッド材と厚さ方向で対向する部分には、前記第1パッドを厚さ方向に支持する面状支持体が前記シートフレームに対して遊びをもって揺動可能に連結され、
前記面状支持体及び前記シートフレームの連結部分は、前記シートフレームに設けられたカラーが、前記面状支持体の貫通孔内に遊挿されて構成されていることを特徴とする車両用シート。 - 前記第2領域は、前記第1領域に対してシート幅方向の両側に設定されたサイドサポート部であることを特徴とする請求項1記載の車両用シート。
- 前記面状支持体は、前記第1パッド材における厚さ方向の外側に向けて膨出する湾曲形状をなしていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。
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