JP5852391B2 - 金属帯巻取ドラム - Google Patents
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Description
挿入溝が径方向に対して傾斜する角度は、0°以上40°以下であってもよい。
実施の形態1.
図1を参照すると、この発明の実施の形態1に係るソリッドブロック101を備えた巻取機10の一例が示されている。
巻取機10は、金属帯巻取ドラムである略円柱状をしたソリッドブロック101の軸部1の両端を回転自在に支持する減速機11及び軸受台12と、減速機11に接続された駆動モータ13とを有している。減速機11は内部に複数のギヤを有するギヤボックスを構成しており、ソリッドブロック101の軸部1の一方の端部及び駆動モータ13の駆動軸が減速機11内部のギヤにギヤ係合している。また、ソリッドブロック101の軸部1の他方の端部は、軸受台12の内部の軸受によって支持されている。このため、駆動モータ13の回転駆動力は、減速機11内のギヤによって駆動力が増大されてソリッドブロック101に伝達され、軸部1の中心軸Cを中心にソリッドブロック101を回転駆動する。
挿入溝3は、ドラム部2の外表面2aから内部側の中心軸C(図1参照)であるドラム部2の円形断面の中心Cに向かって形成されている。挿入溝3は、ドラム部2の外表面2aから互いに平行に延びる第一側部3a及び第二側部3bと、第一側部3a及び第二側部3bにおけるドラム部2の中心C側の第一端部3a2及び第二端部3b2を連結する底部3cとによって形成されている。さらに、第一側部3aは、ドラム部2の回転方向P1(紙面上で反時計回り)側に位置し、第二側部3bは、ドラム部2の回転方向P1と反対方向側に位置している。そして、挿入溝3は、第一側部3a及び第二側部3bの間の距離である溝幅X、深さLを有して形成されている。
なお、第一縁部3a1及び第二縁部3b1それぞれの角3a1a及び3b1aが落とされていないとは、角が全く落とされていない場合の他、機械加工時に必然的に生じる第一縁部3a1及び第二縁部3b1の角での微少な面や丸み等がある場合、第一縁部3a1及び第二縁部3b1の角の欠損の防止や取扱い時の安全のために形成された微少な面取り、丸み付け等がある場合等を含むものである。例えば、第一縁部3a1及び第二縁部3b1の角が落とされていないとは、面取りの場合は縁部の角から1mm以下(≦C1)、丸み付けの場合は、半径1mm以下(≦r1)程度をいう。
ソリッドブロック101のドラム部2に金属帯20を巻き付ける際、金属帯20の端部20aが図示しない機械によって挿入溝3に挿入される。そして、その挿入を円滑にするために、挿入溝3の溝幅Xは通常、金属帯20の厚さより大きく形成されている。
金属帯20の端部20aが挿入された後、ソリッドブロック101のドラム部2が回転方向P1に回転されて金属帯20がドラム部2の外表面2a上に巻き付けられる。
このとき、金属帯20は、挿入溝3内で湾曲しつつ第二縁部3b1で曲げられ、その際に第二縁部3b1では、急に曲げられることによって曲がり切れない部分が盛り上がりを生じ、その後ドラム部2の外表面2a上に沿って巻き付けられる。
金属帯20は、挿入溝31内で湾曲しつつ第二縁部31b1で曲げられ、さらに、第二縁部31b1で曲がり切れない部分が僅かに盛り上がりを生じた後、外表面2a上を沿う。また、挿入溝31の上を横切る1巻目の金属帯20では、第一縁部31a1における半径rの曲面部分の回転方向P1側の終端から第二縁部31b1にわたって、挿入溝31内への落ち込みによる変形を生じる。よって、ソリッドブロック100のドラム部2に巻き付けられた1巻目の金属帯20の挿入溝31付近では、第二縁部31b1付近での盛り上がりと、第一縁部31a1から第二縁部31b1にわたる落ち込みとによって、幅B1’にわたって変形が生じる。そして、この変形が2巻目以降の金属帯20にブレークを生じさせる。
よって、実施の形態1のソリッドブロック101における1巻目の金属帯20に生じる変形幅B1より、比較例1のソリッドブロック100における1巻目の金属帯20に生じる変形幅B1’の方が大幅に大きくなる。また、比較例1のソリッドブロック100における1巻目の金属帯20に生じる落ち込みによる半径線R方向の変形量も、実施の形態1のソリッドブロック101における1巻目の金属帯20に生じる落ち込みによる半径線R方向の変形量より、大きくなる。
この発明の実施の形態2に係るソリッドブロック201は、実施の形態1のソリッドブロック101における挿入溝3を半径線Rに対して傾斜させたものである。
なお、以下の実施の形態において、前出した図における参照符号と同一の符号は、同一または同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
挿入溝23は、ドラム部2の外表面2aから中心C(図1参照)に向かって、半径線Rに対して傾斜角α(αは0より大きい)で傾斜して延びている。
具体的には、挿入溝23は、実施の形態1における挿入溝3と同様にして、互いに平行に延びる第一側部23a及び第二側部23bと、第一側部23aの第一端部23a2及び第二側部23bの第二端部23b2を連結する底部23cとによって形成されている。そして、挿入溝23は、実施の形態1の挿入溝3と同様の溝幅X、深さLを有している。
第一側部23aの第一縁部23a1及び第二側部23bの第二縁部23b1はそれぞれ、面取り、丸みを付ける等することによって角23a1a及び23b1aが落とされておらず、第一側部23a及び第二側部23bと外表面2aとで形成されている。
金属帯20は、挿入溝23内で湾曲しつつ第二縁部23b1で曲げられた後、第二縁部23b1及びドラム部2の外表面2aに沿って巻き付けられる。このとき、挿入溝23が底部23cを回転方向P1側に半径線Rから離すようにして傾斜しているため、第二縁部23b1における金属帯20の曲げ角度が小さくなる。さらに、金属帯20は、挿入溝23内で湾曲しつつ第二縁部23b1で曲げられる。このため、金属帯20は、第二縁部23b1で急な曲げ角度での曲げにより曲がり切れずに生じる盛り上がり等を起こさずに、第二縁部23b1及びドラム部2の外表面2aに沿うように巻き付く。
ここで、図6を参照すると、幅変化率Fと傾斜角αとの関係が示されている。なお、幅変化率Fは、外表面幅W2を溝幅Xで除したものであり、F=1/cosαとなる。
これから傾斜角度αが大きくなるほど幅変化率F、換言すれば外表面幅W2が指数関数的に大きくなることがわかる。
図5及び図6をあわせて参照すると、例えば、実施の形態1のソリッドブロック101の1巻目の金属帯20に変形が生じる幅B1を溝幅Xで除した幅B1/溝幅Xよりも、幅変化率Fの方が小さくなるように傾斜角αを設定すれば、本実施の形態2のソリッドブロック201の1巻目の金属帯20に変形が生じる幅B2の方をより小さくすることができ、金属帯20にブレークが生じる巻き数を低減することができる。
また、傾斜角度αの上限を40°とすることで、挿入溝23への金属帯20のセット時や巻取り開始時に、金属帯20が挿入溝23から抜け落ちることを防止できるというメリットもある。
このように、傾斜角αを40°以下として外表面幅W2の増大を抑えることによって、金属帯20における第一縁部23a1及び第二縁部23b1の間での落ち込みによる変形量及び変形範囲が小さくなり、ドラム部2に巻き付けられた金属帯20においてブレークが生じる巻き数が低減する。
また、この発明の実施の形態2に係るソリッドブロック201のその他の構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
金属帯20は、挿入溝32内で湾曲しつつ第二縁部32b1で挿入溝32の延在方向に対して鋭角的に曲げられ、これにより、第二縁部32b1で曲がり切れない部分が大きく湾曲して盛り上がり、その後、ドラム部2の外表面2aに沿って巻き付けられる。このとき、金属帯20は、急激に鋭角的に曲げられるため、実施の形態1のソリッドブロック101に巻き付けられた金属帯20より、第二縁部32b1での盛り上がりが大きい。
そして、ソリッドブロック200のドラム部2に巻き付けられた1巻目の金属帯20の挿入溝32付近では、第一縁部32a1の角32a1aから第二縁部32b1の角32b1aまでの範囲内で発生する落ち込みと、第二縁部32b1付近での盛り上がりとによって、幅B2’にわたる変形が生じる。そして、幅B2’は、幅B2及び幅B1よりも大幅に大きくなる。このため、比較例2のソリッドブロック200では、実施の形態2のソリッドブロック201及び実施の形態1のソリッドブロック101より、金属帯20にブレークが生じる巻き数が多くなる。
また、本実施の形態2のソリッドブロック201に形成した挿入溝23の一例と、比較例1及び2のソリッドブロック100及び200に形成した挿入溝31及び32の一例と、別の形状の挿入溝の例とを比較したものを表1に示す。なお、表1の挿入溝はいずれも、溝幅Xが3mm、溝の深さLが40mmであり、巻き付けられる金属帯20は、材質がSUS304、板厚が0.48mm、板幅が1260mmである。また、挿入溝において角が丸められた縁部は、アールが10mmの曲面で丸められている。
表1の比較例1は、図3の比較例1の挿入溝31の一例である。
表1の比較例2は、図5の比較例2の挿入溝32の一例で、傾斜角βを20°としたものの例であり、つまり、本実施の形態2の挿入溝23において傾斜角αを−20°としたものの例である。
表1の比較例3は、本実施の形態2の挿入溝23において第一縁部23a1の角23a1a及び第二縁部23b1の角23b1aを丸めたものの一例である。
表1の実施例1と比較例1〜3との間で、ドラム部2に巻き付けられた金属帯20にブレークが発生する長さを比較すると、比較例1〜3でのブレーク発生長は、実施例1でのブレーク発生長の約1.46〜約2.24倍となっており、実施例1でのブレーク発生長が大幅に低減されていることがわかる。
また、ソリッドブロック201において、挿入溝23は、縁部23a1及び23b1からドラム部2の内部側にある挿入溝23の底部23cに向かって、両側の縁部23a1及び23b1の中央からドラム部2の中心軸Cに向かう径方向の半径線Rから離れるように、ドラム部2の回転方向P1へ傾斜する。これによって、ドラム部2に巻き付けられる際の金属帯20では、挿入溝23の第二縁部23b1での曲げ角度が小さくなるため、第二縁部23b1で金属帯20が曲がりきれずに引き起こす盛り上がり等が低減され、それにより、ドラム部2に巻き付けられた金属帯20においてブレークが発生する巻き数を低減することが可能になる。
Claims (3)
- 回転することによって金属帯が巻き付けられる金属帯巻取ドラムにおいて、
金属帯が外表面に巻き付けられる筒状をしたドラム部と、
前記ドラム部の前記外表面に形成された、前記金属帯の挿入溝とを備え、
前記挿入溝は、前記外表面に縁部を有し、
前記挿入溝と前記外表面との間に形成される前記縁部の角が全く落とされていないか又は1mm以下の面取り(≦C1)若しくは半径1mm以下の丸み付けされている金属帯巻取ドラム。 - 前記挿入溝は、前記縁部から前記ドラム部の内部側にある前記挿入溝の底部に向かって、両側の前記縁部の中央から前記ドラム部の中心軸に向かう径方向から離れるように、前記ドラム部の回転方向へ傾斜する請求項1に記載の金属帯巻取ドラム。
- 前記挿入溝が前記径方向に対して傾斜する角度は、0°以上40°以下である請求項1または2に記載の金属帯巻取ドラム。
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