JP5845218B2 - ボールエンドミル - Google Patents
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Description
このような硬脆材等からなる被削材をエンドミルで切削加工する場合、耐欠損性を向上させるために、切刃にホーニングを施すことが行われている。
本発明によるボールエンドミルは、切刃の周速の低い先端側でホーニングの曲率半径を大きくしたから刃先強度が高くてチッピングを防ぐと共にこすれ作用が大きいため、加工面を鏡面加工することができ、しかも、円弧状の切刃の中間では高速回転するため切刃に与える負担が大きいが、ホーニングの曲率半径を小さくしたから切れ味が良くチッピングを防止して高速切削加工ができる。更に、切刃の後端側では、外周刃に近く高速回転切削するが、切刃部が高圧焼結体等の比較的脆い素材であると、切削時の衝撃が上昇するが、切刃は回転方向後方側に捩じれているため切削時の衝撃を和らげてチッピングを抑制できる。しかも、切刃の後端側では、ホーニングの曲率半径が大きいためチッピングと切れ味の低下を抑制して高速切削を行える。
しかも、すくい面とギャッシュ側面との交差稜線の負の角度から正の角度への変化位置を軸線方向において0.3D〜0.7Dの範囲に設定することで切り屑排出性が良好で刃先強度を高く維持できる。一方、上記交差稜線において、負の角度から正の角度への変化位置が先端から0.3Dより短いと刃先強度が低下し、0.7Dより長いと切り屑の排出性が悪いという不具合がある。
切刃にスモールリリーフを設け、先端側から基端側に向けて0.5°〜10°の範囲で次第に大きくさせたため、切刃の先端側ではスモールリリーフの逃げ角が小さくホーニングが大きいため、こすれ作用を行って鏡面加工でき、切刃の中間ではホーニングが小さくスモールリリーフの逃げ角は増大するため切れ味が高く高速切削でき、更に切刃の後端側ではホーニングは大きいがスモールリリーフの逃げ角が大きくなるため、切れ味を落とさず高速回転切削加工を行える。
切刃のホーニングの曲率半径は0.5μmより小さいとホーニング効果が小さくチッピングを生じ易く、20μmより大きいと切削抵抗が増加して加工精度と加工面粗さが低下してバリを発生し易い。
切刃の先端部のすくい角を−5°〜−30°の範囲の負角に設定したことで、切刃強度が高く切削時にチッピングを生じにくい。
切刃の軸線に対するねじれ角を5°〜30°の範囲に設定することで、高速回転させて切削する切刃の基端側で切刃が回転方向後方側に捩じれているために切削時の衝撃を和らげてチッピングを抑制して切れ味が良好である。
しかも、すくい面とギャッシュ側面との交差稜線の負の角度から正の角度への変化位置を軸線方向において0.3D〜0.7Dの範囲に設定することで切り屑排出性が良好で刃先強度を高く維持できる。
図1乃至図3において、本実施形態によるボールエンドミル1は、シャンク部材を有する工具本体2の先端部に例えばcBN等の高硬度材料からなっていて略半球状の刃先部3をろう付け等で固定しており、中心の軸線O回りに回転可能とされている。本明細書では、工具本体2の軸線Oにおいて刃先部3側を先端側といい、主軸に取り付ける側を基端側というものとする。
工具本体2にはその軸線O方向の先端部から基端側に向かって軸線O回りの回転方向後方側に螺旋状に捩じれた二条の切り屑排出溝4が工具本体2の周方向に等間隔に配設され、刃先部3まで延びている。各切り屑排出溝4の回転方向を向く壁面と工具本体2の外周面との交差稜線部には切り屑排出溝4に沿って2条の外周刃6が形成されている。各外周刃6の回転方向前方の面がすくい面であり、外周刃6の後方の外周面が逃げ面とされている。
ボール刃8は先端側から基端側に向けて回転方向先端側から後方側に正角の方向に捩じれて形成され、径方向にも正角で捩じれて形成され、正角の軸方向すくい角と径方向すくい角を有している。ボール刃8と外周刃6は軸線Oに対するねじれ角θが5°〜30°の範囲に設定されている。ねじれ角θがこの範囲であれば、ボール刃8の切れ味と切り屑排出性を良好に維持できる。
なお、交差稜線14の負角から正角への変化位置の範囲は、好ましくは0.4D〜0.6Dの範囲であり、更に好ましくは0.5Dである。
先端部8aのホーニング16aは曲率半径R1が比較的大きく周速が低くてもチッピングを生じることなく加工面を鏡面加工できるように形成されている。中間部8bのホーニング16bは曲率半径R2が比較的小さく高速で切削する際の切れ味が良好で加工精度が高くチッピングを生じにくい。また、後端部8cのホーニング6cは曲率半径R3が中間部の曲率半径R2より大きく中間部8bよりも高速切削する際に良好な切れ味を確保してチッピングを防止できるように設定している。そのため、ボール刃8の先端部8a、中間部8b、後端部8cにおける各ホーニング16a、16b、16cは曲率半径がR1>R2<R3とされている。
なお、ホーニング16a、16b、16cの曲率半径R1、R2、R3は好ましくは2μm〜10μm、更に好ましくは3μm〜7μmの範囲に設定するものとする。
更に、ボール刃8の後端部8cでは、軸線Oから離れた外周刃6に近い位置で高速回転切削できる。また、刃先部3が高圧焼結体のcBNであり比較的脆い素材であるため、周速が高いと切削時の衝撃が大きいが、ボール刃8の後端部8cは回転方向後方側に捩じれ角θが5°〜30°の範囲で捩じれているため、切削時の衝撃を和らげることができてチッピングを抑制できる。
しかも、ボール刃8の後端部8cでは、ホーニング16cの曲率半径R3が比較的大きくてもスモールリリーフ10の逃げ角βが先端部8aや中間部8bと比較して大きくなっているために、切れ味の低下を抑制して高速切削を行える。
そのため、ボール刃8でワークを切削加工する際、刃先部3の強度を高く維持できると共に切り屑排出溝4を通した切り屑の排出性が良好である。
更に、ボール刃8の後端部8cでは、高速回転切削するが、刃先部3が高圧焼結体のcBNであり比較的脆い素材であるため切削時の衝撃が上昇するが、ボール刃8は回転方向後方側に捩じれ角θが5°〜30°の範囲で捩じれているため、切削時の衝撃を和らげてチッピングを抑制できる。しかも、ボール刃8の後端部8cでは、ホーニング16cの曲率半径R3が比較的大きく且つスモールリリーフ10の逃げ角βが先端部8aや中間部8bより大きいために、切れ味の低下とチッピングを抑制して高速切削を行える。
例えば本実施形態では、刃先部3をcBN等の高圧焼結体で形成したが、これに限定されることなく、超硬合金等、適宜の高硬度材料を採用することができる。なお、ソリッドタイプのボールエンドミルにも適用できる。
また、上述した実施形態では、二枚刃のボール刃8を備えたボールエンドミル1について説明したが、本発明は二枚刃に限定されるものではなく、三枚刃またはそれ以上のボール刃8を備えていてもよい。
2 工具本体
3 刃先部
4 切り屑排出溝
6 外周刃
8 ボール刃
8a 先端部
8b 中間部
8c 後端部
9 すくい面
10 スモールリリーフ
11 第二逃げ面
13 ギャッシュ溝
13a ギャッシュ側面
14 交差稜線
16,16a、16b、16c ホーニング
Claims (5)
- 軸線回りに回転する工具本体の外周面には先端から基端側に向けて工具本体の回転方向後方側に捩じれた複数の切り屑排出溝が形成され、工具本体の先端側の切刃部における前記切り屑排出溝の回転方向を向く壁面に略円弧状の切刃が形成されたボールエンドミルにおいて、
前記切刃は軸線の先端側から基端側に向けて断面円弧状のホーニングが形成され、該ホーニングの曲率半径は前記切刃の先端側と基端側で大きく、その中間で小さく形成してなり、
前記切刃のすくい面側にはギャッシュ側面が形成され、前記すくい面とギャッシュ側面との交差稜線の軸線に対する傾斜角度は先端側から基端側に向けて負の角度から正の角度に変化しており、前記負の角度から正の角度への変化位置は、前記切刃の最大外径をDとして、軸線方向における先端側から0.3D〜0.7Dの範囲に設定されていることを特徴とするボールエンドミル。 - 前記切刃にはスモールリリーフが形成されており、前記スモールリリーフの逃げ角は切刃の先端側から基端側に向けて0.5°〜10°の範囲で次第に大きくなるように変化させた請求項1に記載されたボールエンドミル。
- 前記切刃のホーニングの曲率半径は軸線方向の先端側から基端側にかけて0.5μm〜20μmの範囲内で変化するようにした請求項1または2に記載されたボールエンドミル。
- 前記切刃の先端部における軸線方向のすくい角は−5°〜−30°の範囲に設定した請求項1乃至3のいずれか1項に記載されたボールエンドミル。
- 前記切刃の軸線に対するねじれ角を5°〜30°の範囲に設定した請求項1乃至4のいずれか1項に記載されたボールエンドミル。
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