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JP5841027B2 - 検査装置および検査方法 - Google Patents

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JP5841027B2 JP2012192419A JP2012192419A JP5841027B2 JP 5841027 B2 JP5841027 B2 JP 5841027B2 JP 2012192419 A JP2012192419 A JP 2012192419A JP 2012192419 A JP2012192419 A JP 2012192419A JP 5841027 B2 JP5841027 B2 JP 5841027B2
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Description

本発明は、検査装置および検査方法に関し、特に、弾性波を用いた非破壊検査装置および方法に関するものである。
各種機械の構成部材、建築部材、建設部材等の長尺部材は、機械の深部に配設されたり、建造物中や土中に埋設されたりすることがある。このような場合には、経時変化などにより亀裂、摩耗、腐食などが生じて断面積や断面形状の変化が生じても、その変化を目視等で直接点検することが困難である。そこで、従来より、長尺部材に直接アクセス可能な場所から長尺部材の軸線に進行する弾性波を送信し、形状が変化した部分から反射される弾性波(エコー)を受信することにより、欠陥の存在、位置、程度等を検出する弾性波パルスエコー法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。この方法では、弾性波を送信してから反射されたエコーを受信するまでの時間によって欠陥までの距離を評価し、エコーの振幅によって欠陥の程度を評価している。
亀山俊平、その他、ガイド波探傷システム、(社)日本非破壊検査協会、非破壊検査、第52巻、第12号、672−678頁、平成15年12月1日発行
しかしながら、上述した方法では、形状が変化した部分からのエコーに基づいてその変化を検出しているので、ある程度空間的に急激な形状の変化については検出できるものの、断面形状が軸線方向に緩やかに変化する場合については検出することができなかった。このため、断面形状が緩やかに変化したような場合であっても、その変化を検出できることが望まれていた。
そこで、本発明は、断面形状が緩やかに変化したような場合であっても、長尺部材の形状が変化したか否かを検出することができる検査装置および検査方法を提供することを目的とする。
上述したような課題を解決するために、本発明に係る検査装置は、検査対象部材に弾性波を送出する送出部と、前記検査対象部材を伝播した弾性波を受信する受信部と、この受信部が受信した前記弾性波の平均群速度の周波数特性を検出する検出部と、比較対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性を予め記憶する記憶部と、前記検出部により検出された前記検査対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性と、前記記憶部に記憶された前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性とを比較して、前記検査対象部材の形状が前記比較対象部材の形状と同一であるか否かを判定する判定部と、前記検査対象部材および前記比較対象部材の形状にかかわらず平均群速度が一定となる既知の周波数の弾性波を用いて前記検査対象部材の長さを測定する測定部とを備え、前記平均群速度の周波数特性は、平均群速度の周波数依存性であることを特徴とするものである。
上記検査装置において、前記送出部は、検査対象部材および比較対象部材の間の平均群速度の差が最大となる周波数の弾性波を前記検査対象部材に送出し、前記受信部は、前記検査対象部材を伝播した弾性波を受信前記検出部は、この受信部が前記弾性波を受信したときの伝播時間を検出前記測定部は、前記検査対象部材および前記比較対象部材の形状にかかわらず前記平均群速度が一定となる既知の周波数の弾性波を前記送出部により前記検査対象部材に送出してから受信するまでの伝播時間を計測し、前記既知の周波数の平均群速度と、前記伝播時間とに基づいて、前記検査対象部材の長さを測定し、前記記憶部は、前記検査対象部材および前記比較対象部材の間の平均群速度の差が最大となる周波数の弾性波を比較対象部材に送出したときに伝播する弾性波の伝播時間を予め記憶前記判定部は、前記検出部により検出された前記検査対象部材を伝播する弾性波の伝播時間と、前記記憶部に記憶された前記比較対象部材を伝播する弾性波の伝播時間とを比較して、前記検査対象部材の形状が前記比較対象部材の形状と同一であるか否かを判定することを特徴とするものである。
また、本発明に係る検査方法は、送出部が、検査対象部材に弾性波を送出する送出ステップと、受信部が、前記検査対象部材を伝播した弾性波を受信する受信ステップと、検出部が、前記受信部が受信した前記弾性波の平均群速度の周波数特性を検出する検出ステップと、記憶部が、比較対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性を予め記憶する記憶ステップと、判定部が、前記検出部により検出された前記検査対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性と、前記記憶部に記憶された前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性とを比較して、前記検査対象部材の形状が前記比較対象部材の形状と同一であるか否かを判定する判定ステップと、測定部が、前記検査対象部材および前記比較対象部材の形状にかかわらず平均群速度が一定となる既知の周波数の弾性波を用いて前記検査対象部材の長さを測定する測定ステップとを有し、前記平均群速度の周波数特性は、平均群速度の周波数依存性であることを特徴とするものである。
また、上記検査方法において、前記送出ステップは、検査対象部材および比較対象部材の間の平均群速度の差が最大となる周波数の弾性波を前記検査対象部材に送出し、前記受信ステップは、前記検査対象部材を伝播した弾性波を受信し、前記検出ステップは、この受信部が前記弾性波を受信したときの伝播時間を検出し、前記測定ステップは、前記検査対象部材および前記比較対象部材の形状にかかわらず前記平均群速度が一定となる既知の周波数の弾性波を前記送出部により前記検査対象部材に送出してから受信するまでの伝播時間を計測し、前記既知の周波数の平均群速度と、前記伝播時間とに基づいて、前記検査対象部材の長さを測定し、前記記憶ステップは、前記検査対象部材および前記比較対象部材の間の平均群速度の差が最大となる周波数の弾性波を比較対象部材に送出したときに伝播する弾性波の伝播時間を予め記憶し、前記判定ステップは、前記検出部により検出された前記検査対象部材を伝播する弾性波の伝播時間と、前記記憶部に記憶された前記比較対象部材を伝播する弾性波の伝播時間とを比較して、前記検査対象部材の形状が前記比較対象部材の形状と同一であるか否かを判定することを特徴とするものである。
本発明によれば、検査対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性と、比較対象部材を伝播する平均群速度の周波数特性とを比較することにより、断面形状が緩やかに変化したような場合であっても、検査対象部材の形状が変化したか否かを検査することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の構成を示すブロック図である。 図2は、長尺部材の一例を示す正面図である。 図3は、群速度の周波数特性の測定結果を示す図である。 図4は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の検査動作を示すフローチャートである。 図5は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置の構成を示すブロック図である。 図6は、図3の測定結果から群速度の周波数特性として所定の周波数における弾性波の群速度を用いることを説明するための図である。 図7は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置の検査動作を示すフローチャートである。
[第1の実施の形態]
まず、本発明に係る第1の実施の形態について説明する。
<検査装置の構成>
図1に示すように、本実施の形態に係る検査装置1は、送受信部11と、信号処理部12と、記憶部13と、判定部14と、出力部15とを備えている。
送受信部11は、図2に示すように、測定対象となる長尺部材10の任意の位置に固定される探触子111と、この探触子111を駆動するとともに探触子111によって検出された信号を信号処理部12に出力する送受信回路112とを有する。
探触子111は、例えば超音波の送受信を行う圧電素子のアレイによって実現することができる。この探触子111は、例えば土中に埋設された金属棒の地表に露出した部分などに取り付けられて、後述する信号処理部12からの指示に基づいて、長尺部材10に固定された位置から長尺部材の延在方向に伝播する弾性波の波束を送信し、この弾性波が長尺部材の端部Eで反射したエコーを受信する。
送受信回路112は、後述する信号処理部12からの指示に基づいて、任意の波形を発生させる波形発生器と、この波形に基づいて探触子111の圧電素子を駆動する電力増幅回路と、探触子111により受信した弾性波の信号を増幅する受信増幅器とを有する。
信号処理部12、記憶部13、判定部14および出力部15は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置と、メモリ、HDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置と、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、タッチパネル等の外部から情報の入力を検出する入力装置と、外部との情報の送受を行うI/F(Interface)装置と、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)等の表示装置とを備えたコンピュータから構成されている。このような検査装置1は、そのコンピュータにインストールされたプログラムにより上述したようなハードウェア資源が制御されて、ハードウェア装置とソフトウェアが協働することにより、信号処理部12、記憶部13、判定部14および出力部15が実現される。
信号処理部12は、送受信部11に対して所定の波形のデータを与えて、長尺部材に弾性波を送出するよう駆動する一方、探触子111が受信した信号を処理して長尺部材を伝播した弾性波の平均群速度の周波数特性を検出する。
本実施の形態において、信号処理部12は、図3において符号a,bで示すような平均群速度の周波数依存性を示す周波数分布プロファイルを検出する。なお、図3において、縦軸は平均群速度[m/sec]、横軸は周波数[kHz]を示している。
このような周波数特性の検出は、次のように行われる。まず、弾性波を送出してから受信するまでの時間を測定し、弾性波が進行した距離から弾性波の平均群速度を算出する。これにより、図3における1点の平均群速度が算出される。そして、このような平均群速度の算出を所定の周波数範囲に渡って繰り返し行うことにより、図3に示すような周波数分布プロファイルを得ることができる。
例えば、材料が鉄で、断面形状がどの位置でも直径20[mm]の円形である円柱の棒に弾性波を送信すると、図3の符号aで示すような群速度の周波数プロファイルが得られる。同様に、材料が鉄で、断面形状がどの位置でも直径10[mm]である円柱の場合には、図3の符号bで示すような群速度の周波数プロファイルを得ることができる。
ここで、図2に示す長尺丸棒部材、すなわち、材料が鉄で、長さが10[m]、直径が大部分の範囲で20[mm]、符号Lで示す範囲(長さr[m])の大部分で10[mm]である円柱について考える。各周波数における平均群速度Vaverageは、直径20[mm]の丸棒に対する群速度V20と、直径10[mm]の丸棒に対する群速度V10とをそれらの長さの比を踏まえて平均すると、下式(1)で示すようになる。
Vaverage=10・V10・V20/((10-r)・V10+r・V20) ・・・(1)
このような評価を複数の周波数の弾性波波束について行うことによって、図3の符号a,bで表される特性の間に入る平均群速度の周波数プロファイルを得ることができる。
このように、断面形状や断面積が一部でも異なると、平均群速度の周波数プロファイルは変化する。そこで、本実施の形態では、検査対象の長尺部材(以下、「検査対象部材」という。)の使用前の形状など既知の形状を有する部材を比較対象(以下、「比較対象部材」という。)として予め平均群速度の周波数プロファイルを取得しておき、この比較対象部材の周波数プロファイルと、検査対象部材の周波数プロファイルとを比較して、一致するか否かにより検査対象部材が変形したか否かを検査している。なお、図3においては、弾性波としてL(0,1)モードのガイド波を送信した場合の測定結果を示している。ここで、Lモードとは、長尺部材が軸対称に振動するモードを意味しているが、使用する弾性波のモードはこれらに限定されない。
記憶部13は、比較対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数依存性を予め記憶する。本実施の形態においては、平均群速度の周波数特性として、周波数プロファイルが記憶される。ここで、比較対象部材とは、上述したように、検査対象部材が変形したか否かを検出するための比較対象であり、例えば、使用前の検査対象部材やこの使用前の検査対象部材と同一の形状を有する部材などからなる。比較対象部材の周波数プロファイルは、信号処理部12が長尺部材の周波数プロファイルを検出する方法と同等の方法により取得することができる。
判定部14は、信号処理部12により検出された検査対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性と、記憶部13に記憶された比較対象部材の平均群速度の周波数特性とを比較して、検査対象部材の形状が比較対象部材の形状と同一であるか否かを判定する。本実施の形態においては、検査対象部材の周波数プロファイルと、比較対象部材の周波数プロファイルとを比較し、これらが同一であるか否かにより検査対象部材が変形したか否かを判定する。この判定結果は、出力部15に出力される。
出力部15は、判定部14による判定結果をモニタ等に出力する。
<検査装置の動作>
次に、本実施の形態に係る検査装置1による検査動作について説明する。
まず、検査装置1は、比較対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数プロファイルを予め記憶部13に記憶しておく(ステップS1)。その周波数プロファイルは、信号処理部12により、送受信部11に対して所定の波形のデータを与えて、比較対象部材に弾性波を送出するよう駆動するとともに、探触子111が受信した信号を処理して比較対象部材を伝播した弾性波の平均群速度の周波数プロファイルを検出させることにより取得することができる。
次に、信号処理部12は、検査対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数プロファイルを検出する(ステップS2)。具体的には、送受信部11に対して比較対象部材の周波数プロファイルを検出するときと同じ所定の波形のデータを与えて、検査対象部材に弾性波を送出するよう駆動するとともに、探触子111が受信した信号を処理することにより検査対象部材を伝播した弾性波の平均群速度の周波数プロファイルを検出する。検出した検査対象部材の周波数プロファイルは、判定部14に出力される。
検査対象部材の周波数プロファイルが入力されると、判定部14は、記憶部13から比較対象部材の周波数プロファイルを取得し、検査対象と比較対象の周波数プロファイルを比較し、これらが同一であるか否かを判定する(ステップS3)。この比較は、例えば、図3に示すような周波数特性プロファイルを重ね合わせて、一致するか否かを確認することにより行われる。
検査対象部材と比較対象部材の周波数プロファイルが同一である場合(ステップS3:YES)、判定部14は、検査対象部材が変形していないと判定する(ステップS4)。
一方、検査対象部材と比較対象部材の周波数プロファイルが同一ではない場合(ステップS3:NO)、判定部14は、検査対象部材が変形していると判定する(ステップS5)。
判定部14により判定が行われると、出力部15は、その判定結果をモニタ等に出力する(ステップS6)。これにより、ユーザは、モニタ画面を確認することによって、検査対象部材が変形しているか否かを確認することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、検査対象部材を伝播する弾性波の周波数プロファイルと、比較対象部材を伝播する弾性波の周波数プロファイルとを比較することにより、従来では検査することが困難であった断面形状が緩やかに変化したような場合についても、検査対象部材の形状が変化したか否かを検査することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、平均群速度の周波数特性として、所定の周波数の弾性波の平均群速度を用いるものである。したがって、上述した第1の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付して、適宜説明を省略する。
<検査装置の構成>
に示すように、本実施の形態に係る検査装置2は、送受信部11と、信号処理部2
2と、記憶部23と、判定部24と、出力部15と、測定部26とを備えている。
ここで、信号処理部22は、送受信部11に対して所定の波形のデータを与えて、長尺部材に弾性波を送出するよう駆動する一方、探触子111が受信した信号を処理して長尺部材を伝播した弾性波の平均群速度の周波数特性を検出する。本実施の形態において、その周波数特性としては、所定の周波数の弾性波の平均群速度を用いる。具体的には、探触子111により特定の周波数の弾性波を送信してから探触子111がエコーを受信するまでの伝播時間を、周波数特性として用いる。この理由について以下に説明する。
図6の符号a,bに示すような平均群速度の周波数プロファイルは、長尺部材の形状によって相違するので、殆どの周波数において平均群速度が異なることとなる。このため、長尺部材の形状によって平均群速度が異なる特定の周波数の弾性波を、異なる形状の長尺部材に送信した場合には、弾性波を送信してからエコーを受信するまでの伝播時間は異なる一方、同じ形状の長尺部材に送信した場合には、その伝播時間は同一となる。なお、図6の符号a,bで示す周波数プロファイルは、図3の符号a,bで示す周波数プロファイルと同一である。
例えば、図6の符号aで示す周波数プロファイルを有する長さ10[m]の長尺部材と、図6の符号bで示す周波数プロファイルを有する長さ10[m]の長尺部材に対して、平均群速度の差が最大である周波数f1(165[kHz])の弾性波を送信した場合について考える。符号aの長尺部材の伝播時間は、周波数が165[kHz]のときの平均群速度が約1960[m/sec]で、弾性波の進行距離が20[m]であるから、送信から受信までの時間は約10.2[msec]となる。また、符号bの長尺部材の伝播時間は、周波数が165[kHz]のときの平均群速度が約4670[m/sec]であるから、約4.3[msec]となる。
また、図2に示した長尺丸棒部材の伝播時間は、直径が10[mm]である区間Lが実効的に1[m]存在したとすると、18[m]の距離を速度1960[m/sec]、2[m]の距離を速度4670[m/sec]で進行するため、伝播時間は約9.6[msec]となる。このように、長尺部材の形状が異なると、弾性波の伝播時間も異なることとなる。
なお、断面積が変化した区間における弾性波の伝播時間差(断面積変化の有無による伝播時間差)は、下式(2)により算出することができる。下式(2)において、lは断面積が変化した区間を弾性波が進行する距離(エコーによって評価する場合、往復となるので実際の長さの2倍)の長さ、ν0は断面積が変化していない場合の群速度、ν1は断面積が変化した場合の群速度を意味する。
l・(1/ν0−1/ν1)=t ・・・(2)
そこで、本実施の形態では、図6の符号a,bに示すような周波数プロファイルや経験などから検査対象部材と比較対象部材との間で平均群速度の差が最大となる周波数を予め検出しておき、この周波数の弾性波を検査対象部材および比較対象部材に送信してからエコーを受信するまでの伝播時間を測定し、この時間を比較することにより、検査対象の形状が変化したか否かを判定する。
記憶部23は、比較対象部材に特定の周波数を送信してからエコーを受信するまで伝播時間を予め記憶する。この比較対象部材の伝播時間は、信号処理部22が検査対象部材の伝播時間を検出する方法と同等の方法により取得することができる。
判定部24は、信号処理部22により検出された検査対象部材の伝播時間と、記憶部23に予め記憶された比較対象部材の伝播時間とを比較することにより、検査対象部材の形状が比較対象部材の形状と同一であるか否かを判定する。この判定結果は、出力部15に出力される。
測定部26は、検査対象部材の長さが分からない場合、信号処理部22により、平均群速度が既知である特定の周波数の弾性波を検査対象部材に送信させてからエコーを受信するまでの伝播時間を計測し、この時間と既知の平均群速度から検査対象の長さを測定する。
図6に示すように、周波数f2(10〜30[kHz])付近の群速度は、符号a,bのプロファイルの何れも同じ値となっている。これは、周波数が10〜30[kHz]の弾性波は、断面の直径が10[mm]〜20[mm]範囲では長尺部材の形状にかかわらず群速度が一定であることを意味する。したがって、その周波数の弾性波を長さが分からない検査対象部材に送信してエコーを受信するまでの伝播時間を測定すれば、この伝播時間とその周波数の弾性波の平均群速度とから検査対象部材の断面の直径の変化の有無にかかわらずその長さを測定することができる。このような原理に基づいて、測定部26は、検査対象部材の長さを測定する。
<検査装置の動作>
次に、本実施の形態に係る検査装置2による検査動作について説明する。
まず、検査装置2は、比較対象部材の伝播時間を予め記憶部23に記憶しておく(ステップS11)。その伝播時間は、信号処理部22により、比較対象部材の形状に基づいて予め設定された特定の周波数の弾性波を比較対象部材に送信させてからその弾性波のエコーを受信するまでの時間を計測することにより取得することができる。
次に、測定部26は、検査対象部材の長さが未知の場合、その長さを測定する(ステップS12)。
次に、信号処理部22は、検査対象部材の伝播時間を検出する(ステップS13)。具体的には、比較対象部材に送信した弾性波と同じ特定の周波数の弾性波を検査対象部材に送信させてからその弾性波のエコーを受信するまでの時間を計測することにより検出する。検出した検査対象部材の伝播時間は、判定部24に出力される。
検査対象部材の伝播時間が入力されると、判定部24は、記憶部23から比較対象部材の伝播時間を取得し、検査対象部材と比較対象部材の伝播時間が同一であるか否かを判定する(ステップS14)。
検査対象部材と比較対象部材の伝播時間が同一である場合(ステップS14:YES)、判定部24は、検査対象部材が変形していないと判定する(ステップS15)。
一方、検査対象部材と比較対象部材の伝播時間が同一ではない場合(ステップS14:NO)、判定部24は、検査対象部材が変形していると判定する(ステップS16)。
判定部24により判定が行われると、出力部15は、その判定結果をモニタ等に出力する(ステップS17)。これにより、ユーザは、モニタ画面を確認することによって、検査対象部材が変形しているか否かを確認することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、検査対象部材を伝播する弾性波の伝播時間と、比較対象部材を伝播する弾性波の伝播時間とを比較することにより、従来では検査することが困難であった断面形状が緩やかに変化したような場合についても、検査対象部材の形状が変化したか否かを検査することができる。
なお、本実施の形態では、平均群速度の差が最大となる周波数の弾性波を送信する場合を例に説明したが、長尺部材の形状により平均群速度が異なる周波数であるならばどのような周波数の弾性波を送信するようにしてもよい。
また、第1の実施の形態において、本実施の形態における測定部26をさらに備えるようにしてもよい。これにより、第1の実施の形態においても、長尺部材の長さを計測することが可能となる。
また、第1、第2の実施の形態では、長尺部材の任意の位置から弾性波を送出し、その長尺部材の端部で反射されたエコーを受信する場合を例に説明したが、その任意の位置と端部との間に探触子をさらに設け、この探触子により検出される長尺部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性を検出するようにしてもよい。
また、第1,第2の実施の形態では、長尺部材について変形しているか否かを検査する場合を例に説明したが、弾性波を伝播させることができる部材であれば、その形状は長尺部材に限定されず、各種形状について変形しているか否かを検査することができる。
また、図3においては、ガイド波を送信した場合の測定結果を示しているが、弾性波としてはガイド波に限定されず、受信波によって平均群速度を評価できるのであればバルク波を用いるようにしてもよい。ここで、バルク波とは、無限に大きな(波にとって境界が無いとみなせるような)材質中の平面波等を意味し、音速(群速度、位相速度)の周波数依存性が一般的にないものである。これに対して、ガイド波は、波にとって境界が存在するような状況でその境界条件によって規定される波を意味し、一般に音速の周波数依存性を有するものである。なお、部材形状の変化を評価する場合には、平均群速度の周波数特性が形状によって変化することが必要であるので、バルク波を用いる場合には、一般的には少なくともその経路の一部でガイド波となっていることが必要である。また、検査対象部材の長さを評価する場合には、群速度の周波数特性が形状によって変化しないことが必要である。
本発明は、地中や構造物中に埋設、設置された長尺部材が変形したか否かを検査する各種検査装置に適用することができる。
1,2…検査装置、10…長尺部材、11…送受信部、12,22…信号処理部、13,23…記憶部、14,24…判定部、15…出力部、26…測定部、111…探触子、112…送受信回路。

Claims (4)

  1. 検査対象部材に弾性波を送出する送出部と、
    前記検査対象部材を伝播した弾性波を受信する受信部と、
    この受信部が受信した前記弾性波の平均群速度の周波数特性を検出する検出部と、
    比較対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性を予め記憶する記憶部と、
    前記検出部により検出された前記検査対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性と、前記記憶部に記憶された前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性とを比較して、前記検査対象部材の形状が前記比較対象部材の形状と同一であるか否かを判定する判定部と
    前記検査対象部材および前記比較対象部材の形状にかかわらず平均群速度が一定となる既知の周波数の弾性波を用いて前記検査対象部材の長さを測定する測定部と
    を備え、
    前記平均群速度の周波数特性は、平均群速度の周波数依存性である
    ことを特徴とする検査装置。
  2. 前記送出部は、検査対象部材および比較対象部材の間の平均群速度の差が最大となる周波数の弾性波を前記検査対象部材に送出し、
    前記受信部は、前記検査対象部材を伝播した弾性波を受信
    前記検出部は、この受信部が前記弾性波を受信したときの伝播時間を検出
    前記測定部は、前記検査対象部材および前記比較対象部材の形状にかかわらず前記平均群速度が一定となる既知の周波数の弾性波を前記送出部により前記検査対象部材に送出してから受信するまでの伝播時間を計測し、前記既知の周波数の平均群速度と、前記伝播時間とに基づいて、前記検査対象部材の長さを測定し、
    前記記憶部は、前記検査対象部材および前記比較対象部材の間の平均群速度の差が最大となる周波数の弾性波を比較対象部材に送出したときに伝播する弾性波の伝播時間を予め記憶
    前記判定部は、前記検出部により検出された前記検査対象部材を伝播する弾性波の伝播時間と、前記記憶部に記憶された前記比較対象部材を伝播する弾性波の伝播時間とを比較して、前記検査対象部材の形状が前記比較対象部材の形状と同一であるか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1記載の検査装置。
  3. 送出部が、検査対象部材に弾性波を送出する送出ステップと、
    受信部が、前記検査対象部材を伝播した弾性波を受信する受信ステップと、
    検出部が、前記受信部が受信した前記弾性波の平均群速度の周波数特性を検出する検出ステップと、
    記憶部が、比較対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性を予め記憶する記憶ステップと、
    判定部が、前記検出部により検出された前記検査対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性と、前記記憶部に記憶された前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均群速度の周波数特性とを比較して、前記検査対象部材の形状が前記比較対象部材の形状と同一であるか否かを判定する判定ステップと、
    測定部が、前記検査対象部材および前記比較対象部材の形状にかかわらず平均群速度が一定となる既知の周波数の弾性波を用いて前記検査対象部材の長さを測定する測定ステップと
    を有し、
    前記平均群速度の周波数特性は、平均群速度の周波数依存性である
    ことを特徴とする検査方法
  4. 前記送出ステップは、検査対象部材および比較対象部材の間の平均群速度の差が最大となる周波数の弾性波を前記検査対象部材に送出し、
    前記受信ステップは、前記検査対象部材を伝播した弾性波を受信し、
    前記検出ステップは、この受信部が前記弾性波を受信したときの伝播時間を検出し、
    前記測定ステップは、前記検査対象部材および前記比較対象部材の形状にかかわらず前記平均群速度が一定となる既知の周波数の弾性波を前記送出部により前記検査対象部材に送出してから受信するまでの伝播時間を計測し、前記既知の周波数の平均群速度と、前記伝播時間とに基づいて、前記検査対象部材の長さを測定し、
    前記記憶ステップは、前記検査対象部材および前記比較対象部材の間の平均群速度の差が最大となる周波数の弾性波を比較対象部材に送出したときに伝播する弾性波の伝播時間を予め記憶し、
    前記判定ステップは、前記検出部により検出された前記検査対象部材を伝播する弾性波の伝播時間と、前記記憶部に記憶された前記比較対象部材を伝播する弾性波の伝播時間とを比較して、前記検査対象部材の形状が前記比較対象部材の形状と同一であるか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項に記載の検査方法
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