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JP5737777B2 - 波長可変レーザアレイ素子の制御方法および制御装置 - Google Patents

波長可変レーザアレイ素子の制御方法および制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバ通信用光源および光計測用光源として用いられる波長可変レーザアレイ素子の制御方法および制御装置に関し、特に光通信における光波長(周波数)多重システム用光源、および広帯域波長帯をカバーする光計測用光源の波長制御方法および制御装置に関するものである。
光ファイバ通信における波長多重通信方式では、規格で定められた間隔で異なる複数の周波数(波長)のレーザ光を一つの光ファイバで伝送する。一つ一つの周波数をチャンネルと呼び、高速なチャンネル切り替えのために高速に発振周波数の切り替えが可能な波長可変レーザが求められている。
通信用のレーザでは、単一モードレーザと呼ばれる一つの波長で発振するレーザが用いられており、単一モードを得るためには、例えば導波路に周期的に凹凸を設けた回折格子が用いられている。回折格子が形成された半導体光導波路は、回折格子の周期Λと光導波路の等価屈折率nより決まるブラッグ波長λBで選択的に反射する分布反射器(DBR:Distributed Bragg Reflector)となる。λBとΛ、nの関係は、以下に示す(1)式で表される。
Figure 0005737777
また、分布反射器に利得を持たせて作製したレーザのことを分布帰還型(DFB:Distributed Feedback)レーザと呼ぶ。
上述した式(1)から、分布反射器の等価屈折率nを変化させることで、ブラッグ波長を変化させることができることがわかる。すなわち選択的に反射する波長を変化させることができ、分布反射器を用いた共振器を構成すれば、等価屈折率の変化により発振波長を変化させることのできる波長可変レーザを構成することが可能となる。回折格子を利用した波長可変レーザとしては、均一な回折格子のDBRを用いたDBRレーザや、SG(Sampled Grating)−DBRレーザ、SSG(Super Structure Grating)−DBRレーザなどが知られている。
また、連続的に波長を変化させることのできる分布活性(TDA‐)DFBレーザがある。ここで、分布活性DFBレーザの基本構造の断面を図8に示す。図8に示すように、分布活性DFBレーザは、下部クラッド101上に、活性導波路層102と非活性導波路層(波長制御領域)103とがそれぞれ一定の長さLa,Ltで交互に周期的に縦続接続された構造となっている。活性導波路層102および非活性導波路層103の上には上部クラッド104が形成され、活性導波路層102および非活性導波路層103と上部クラッド104との間には凹凸、すなわち回折格子105が形成されている。更に、上部クラッド104上には、活性導波路層102、非活性導波路層103に対応して活性領域電極106、波長制御領域電極107がそれぞれ設けられている。また、下部クラッド101の下方には共通の電極108が設けられている。この分布活性DFBレーザにおいては、活性導波路層102へ電流Iaを注入することにより発光するとともに利得が生じるが、それぞれの導波路には回折格子105が形成されており、回折格子105の周期に応じた波長のみ選択的に反射されてレーザ発振が起こる。一方、非活性導波路層103へ電流Itを注入することによりキャリア密度に応じてプラズマ効果により屈折率が変化するため、非活性導波路の回折格子の光学的な周期は変化する。非活性導波路層の等価屈折率が変化し、1周期の長さに対する波長制御領域の長さの割合分だけ共振縦モード波長が短波長側にシフトする。活性領域長をLa、波長制御領域長をLtとすれば、繰り返し構造の1周期の長さはLa+Ltとなり、共振縦モード波長の変化の割合Δλr/λrは、以下に示す(2)式となる。
Figure 0005737777
一方、複数の反射ピークの各波長も、電流注入による等価屈折率の変化の結果、短波長側にシフトする。反射ピーク波長は繰り返し構造1周期内の平均等価屈折率変化に比例するので、反射ピーク波長の変化の割合Δλs/λsは、以下に示す(3)式で表される。
Figure 0005737777
(2)式、(3)式より、反射ピーク波長と共振縦モード波長とは同じ量だけシフトする。したがって、このレーザでは、最初に発振したモードを保ったまま連続的に波長が変化する。
その他、光導波路をリング状にしたリング共振器などの場合でも、リングの物理的長さと等価屈折率との積である光学長により共振波長が決まるため、等価屈折率の変化により共振波長を変化させることができることが知られている。
半導体の等価屈折率を動的に変化させる方法は、温度を変化させる方法、電流注入により変化させる方法、などがある。温度による屈折率変化は比較的遅く、安定するまでに数秒かかる。一方で、電流注入による屈折率の変化はプラズマ効果などに起因し、数ナノ秒で屈折率変化が生じることが知られている。
しかしながら、一般的に半導体中では電流が流れることにより抵抗成分のために発熱する。チャンネル切り替え時には波長制御電流量が変化することで発熱量が変わるため、半導体レーザチップの温度が変化する。しかしながら、電流注入による屈折率変化が生じると同時に、温度変化によりゆっくりと屈折率変化が生じるため、チャンネル切り替え直後に設定周波数と比べて数GHzから数十GHz程度のズレが生じ、ゆっくりと設定周波数に近づいていくというドリフト現象が現れる。このドリフト現象は熱的要因で生じ、数ミリ秒以上の時間がかかるため、電流注入によるプラズマ効果の高速性を十分に発揮するためには、熱ドリフト現象を抑制することが必要となる。
波長可変レーザの熱による波長ドリフトを抑制するために、特許文献1、2、3では、波長可変レーザの波長制御領域に隣接して熱補償用の電極を用意し、制御層の電流が変化するタイミングに合わせ、熱補償用の電極に流す電流も変化させることで熱補償を行っている。
また、特許文献3では、6個の波長可変レーザ(LD)を20μm間隔で並列に配置し、結合器(カプラ)と半導体光増幅器(SOA)を集積した素子において、常に投入電力の総和が一定となるように、発光しているLD以外のLDの制御領域にも電流を流し、チップ全体の熱量が一定となるように制御する方法が示されている。
特許第3168855号 特許第3257185号 特開2008−218947号公報
電流制御型の波長可変レーザにおいて、熱ドリフトを抑制するために、レーザに平行に熱補償用の電極を設ける必要があった。また、複数の波長可変レーザを並列に配置した波長可変レーザアレイの場合、発振させている波長可変レーザ以外の波長可変レーザの制御層に電流を流し熱補償することが可能であるが、レーザの間隔を20μm程度に近接させる必要があった。
しかしながら、各種DBRレーザや、分布活性DFBレーザなどの場合、利得を生じさせる活性導波路層への電流と、波長を制御するための非活性導波路層への電流が必要なため、電極の引き出し、引き回しスペースが必要となる。特に分布活性DFBレーザにおいては、交互に活性導波路と非活性導波路が並び、かつ、活性導波路同士、非活性導波路同士はそれぞれ電極が接続されているため、電極は共振器方向に対して左右に引き出す必要があり、電極を片側に寄せることが非常に困難である。したがって、レーザに近接して熱補償用の電極を設けたり、レーザアレイのレーザ間隔を狭くしたりすることは困難である。
以上のことから、本発明は上述した課題を解決するために為されたものであって、波長可変レーザアレイのレーザ間隔が比較的広い場合においても、特別な構造を付加することなく、波長切り替え時の電流変化に起因する熱変動による波長ドリフトを抑制し、波長安定性を高める波長可変レーザアレイ素子の制御方法および制御装置を提供することを目的としている。
上述した課題を解決する第1の発明に係る波長可変レーザアレイ素子の制御方法は、
活性領域と、熱補償電流が流れる波長制御領域を有する電流制御型の波長可変半導体レーザを複数並列に配置した波長可変レーザアレイ素子の制御方法であって、
前記複数の波長可変半導体レーザのうち任意の動作中の波長可変半導体レーザから次に動作する波長可変半導体レーザに切替える際に、
前記動作中の波長可変半導体レーザがまだ動作している切替前に、前記次に動作する波長可変半導体レーザの波長制御領域に予め熱補償電流を流し、
前記次に動作する波長可変半導体レーザの切替後の動作条件における波長制御領域に流す波長制御電流量をI、および前記次に動作する波長可変半導体レーザの切替後の動作条件における全電流量をIallとして、前記次に動作する波長可変半導体レーザの波長制御領域に切替前に予め流す熱補償電流量Iを、前記Iより大きく、前記Iallより小さくなる範囲で制御する
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第2の発明に係る波長可変レーザアレイ素子の制御方法は、
第1の発明に係る波長可変レーザアレイ素子の制御方法であって、
前記動作中の波長可変半導体レーザと、次に動作する波長可変半導体レーザ以外の波長可変半導体レーザのいずれかの波長制御領域とに熱補償電流を流すことにより、前記複数の波長可変半導体レーザの全電流の合計量、またはその全電力の合計量を、動作中の波長可変半導体レーザから次に動作する波長可変半導体レーザに切り替わる前後で同一に制御する
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第3の発明に係る波長可変レーザアレイ素子の制御方法は、
第2の発明に係る波長可変レーザアレイ素子の制御方法であって、
前記複数の波長可変半導体レーザの全電流の合計量、またはその全電力の合計量を、次に動作する波長可変半導体レーザに隣接しない波長可変半導体レーザの波長制御領域を用いて保存する
ことを特徴とする。
また、上述した課題を解決する第4の発明に係る波長可変レーザアレイ素子の制御装置は、
活性領域と、熱補償電流が流れる波長制御領域を有する電流制御型の波長可変半導体レーザを複数並列に配置した波長可変レーザアレイ素子の制御装置であって、
前記複数の波長可変半導体レーザのうち任意の動作中の波長可変半導体レーザから次に動作する波長可変半導体レーザに切替える際に、
前記動作中の波長可変半導体レーザがまだ動作している切替前に、前記次に動作する波長可変半導体レーザの波長制御領域に予め熱補償電流を流し、
前記次に動作する波長可変半導体レーザの切替後の動作条件における波長制御領域に流す波長制御電流量をI、および前記次に動作する波長可変半導体レーザの切替後の動作条件における全電流量をIallとして、前記次に動作する波長可変半導体レーザの波長制御領域に切替前に予め流す熱補償電流量Iを、前記Iより大きく、前記Iallより小さくなる範囲で制御する第1の熱補償制御部を備える
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第5の発明に係る波長可変レーザアレイ素子の制御装置は、
第4の発明に係る波長可変レーザアレイ素子の制御装置であって、
前記動作中の波長可変半導体レーザと、次に動作する波長可変半導体レーザ以外の波長可変半導体レーザのいずれかの波長制御領域とに熱補償電流を流すことにより、
前記複数の波長可変半導体レーザの全電流の合計量、またはその全電力の合計量を、動作中の波長可変半導体レーザから次に動作する波長可変半導体レーザに切り替わる前後で同一に制御する第2の熱補償制御部をさらに備える
ことを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、波長可変レーザアレイに特別な構造を付加することなく、波長を制御するための電流変化により生じる発熱量の変化を抑えることができ、発振波長を安定化することができる。
本発明の第一番目の実施形態に係る波長可変レーザアレイ素子の制御装置で制御する波長可変レーザアレイ素子の一例を示す図である。 波長可変レーザアレイ素子が具備する分布活性DFBレーザの構造を説明するための図であって、図2(a)にその上面を示し、図2(b)にその断面を示す。 図1におけるIII−III線の断面図である。 波長可変レーザアレイ素子において、同一分布活性DFBレーザ内で波長を切り替えたときの切替直後の発振周波数の特性を示すグラフであって、図4(a)に補償電流が無い場合を示し、図4(b)に補償電流が有る場合を示す。 波長可変レーザアレイ素子において、異なる分布活性DFBレーザ間で波長を切り替えたときの切替直後の発振周波数の特性を示すグラフであって、図5(a)に補償電流が無い場合を示し、図5(b)に補償電流が有る場合を示し、図5(c)に熱補償電流と局所熱補償電流とが有る場合を示す。 本発明の第二番目の実施形態に係る波長可変レーザアレイ素子の制御装置で制御するDBR型波長可変半導体レーザの構造の一例を説明するための図である。 DBR型波長可変半導体レーザの構造の他例を説明する図である。 分布活性DFBレーザの構造を説明するための図である。
本発明に係る波長可変レーザアレイ素子の制御方法および制御装置について、各実施形態で具体的に説明する。
[第一番目の実施形態]
本発明の第一番目の実施形態に係る波長可変レーザアレイ素子の制御方法および制御装置について、図1〜図5を参照して説明する。
本実施形態に係る波長可変レーザアレイ素子(波長可変レーザアレイ、光集積素子)10は、図1に示すように、同一基板の上に設けられたものであり、図中左から順に、発振波長の異なる6個の分布活性DFBレーザ(波長可変半導体レーザ、LD1〜LD6)11a〜11fからなる6チャンネル分布活性DFBレーザアレイ(LD部)11と、それらの出力光がそれぞれ導波する導波路12a〜12fからなる導波路部12と、導波路部12を導波した出力光をひとつに合波する光結合器である多モード干渉(MMI:Multi-Mode Interferometer)結合器(カプラ)13と、最終段で出力光の強度を調整する半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)14とから構成されている。6個の分布活性DFBレーザ11a〜11fは隣接する分布活性DFBレーザ同士の間隔LLDが60μmで並列に配置される。また、上述した波長可変レーザアレイ素子10には制御装置15が設けられる。制御装置15は、次に動作する波長可変半導体レーザの制御領域に流す電流量Iを、当該次に動作する波長可変半導体レーザの動作条件における制御電流量Itより大きく、その全電流量Iallより小さくなる範囲で制御する第1の熱補償制御部、複数の波長可変半導体レーザの全電流の合計量、またはその全電力の合計量を、動作中の波長可変半導体レーザから次に動作する波長可変半導体レーザに切り替わる前後で同一に制御する第2の熱補償制御部、光制御素子への注入電流の電流変化量もしくは電力変化量に応じて、動作していない波長可変半導体レーザの制御領域の電流量もしくは電力量を変化させる第3の熱補償制御部を備える。制御装置15により、6個の分布活性DFBレーザ(LD1〜LD6)の後述する活性領域電極及び制御領域電極へ投入される電流もしくは電力を後述の制御方法でそれぞれ制御している。
まず、6チャンネル分布活性DFBレーザアレイ11に集積された分布活性DFBレーザの基本構造を説明する。
分布活性DFBレーザは、図2(b)に示すように、第一のレーザ部A1、位相シフト領域20、第2のレーザ部A2からなり、図中右から、この順に直列に接続されたものである。
第一のレーザ部A1においては、n型InPからなる下部クラッド(半導体基板)21上に形成された、発振波長帯に対して光学的利得を有し、GaInAsPからなる長さLa1の活性導波路層(活性領域、活性層)22a1と、光学的利得を持たず、活性導波路層22a1とは組成の異なるGaInAsPからなる長さLt1の非活性導波路層(非活性領域、波長制御領域、制御層)23t1とが、光の伝搬方向に沿って、周期L1で交互に複数繰り返して縦続接続された周期構造となっている。
第二のレーザ部A2においては、n型InPからなる下部クラッド(半導体基板)21上に形成された、発振波長帯に対して光学的利得を有し、GaInAsPからなる長さLa2の活性導波路層(活性領域、活性層)22a2と、光学的利得を持たず、活性導波路層22a2とは組成の異なるGaInAsPからなる長さLt2の非活性導波路層(非活性領域、波長制御層、制御層)23t2とが、光の伝搬方向に沿って、周期L2で交互に複数繰り返して縦続接続された周期構造となっている。
また、図3に示すように、活性導波路層22(22a1,22a2)及び非活性導波路層23(23t1,23t2)の両脇に、Feをドーピングして高抵抗としたInPからなる電流ブロック層24が形成される。
これら層22a1,23t1,22a2,23t2の上には、図2(b)および図3に示すように、p型InPからなる上部クラッド25が形成され、これら層22a1,23t1,22a2,23t2と上部クラッド25の間には、周期的な凹凸を形成して導波路の等価屈折率を周期変調させた回折格子26が形成されている。位相シフト領域20においては、n型InPからなる下部クラッド21上に回折格子26の位相をλ/4位相する位相シフト部27が形成され、位相シフト部27上にp型InPからなる上部クラッド25が形成されている。これにより、第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2の回折格子26はλ/4位相がシフトしている。
さらに、上部クラッド25の上にはオーミックコンタクトのために高ドープのp型InGaAsからなるコンタクト層28を設け、このコンタクト層28の上に活性領域電極29及び波長制御領域電極30を形成している。活性領域電極29、波長制御領域電極30に対応してコンタクト層28を2つに分離することにより、活性領域電極29と波長制御領域電極30とが互いに独立して電流を注入できるようにしている。活性領域電極29として、活性層導波路層22a1,22a2の領域の上方にこれら領域に対応して活性領域電極29a1,29a2がそれぞれ設けられ、全ての活性領域電極29a1,29a2同士が互いに素子上で短絡して構成されている。波長制御領域電極30として、非活性導波路層23t1,23t2の領域の上方にこれら領域に対応して波長制御領域電極30t1,30t2がそれぞれ設けられ、全ての波長制御領域電極30t1,30t2同士が互いに素子上で短絡して構成されている。また、下部クラッド21の下部には共通の下部電極31を形成している。なお、電極同士を素子上で短絡しているので、活性領域電極29の下層においては、活性層領域22の上方の領域にのみコンタクト層28が形成され(図2(a)の電極幅の広い部分)、非活性導波路層23の上方の領域には絶縁層32が形成されている(図2(a)の電極幅の狭い部分、図3参照)。同様に、波長制御領域電極30が非活性導波路層23のみに電流を注入できるように、波長制御領域電極30の下層においても、非活性導波路層23の上方の領域にのみコンタクト層28が形成され(図2(a)の電極幅の広い部分)、活性導波路層22の上方の領域には絶縁層32が形成されている(図2(a)の電極幅の狭い部分、図3参照)。
活性導波路層22(22a1,22a2)としてバンドギャップ波長1.55μmのGaInAsPを用いた場合、非活性導波路層23(23t1,23t2)としてはそれより短波のバンドギャップ波長、例えば、1.4μmのバンドギャップ波長のGaInAsPを用いることにより、レーザ発振の利得に寄与しないために、キャリア密度が一定にならない。これにより、電流注入により大きく屈折率を変化させることができる。
活性導波路層22及び非活性導波路層23はバルク材料でなくともよく、例えば、量子井戸構造、もしくは、量子井戸をバリア層で挟んで重ねた多層量子井戸構造や、さらに低次元の量子井戸構造を備えたものであっても良い。また、活性層への光閉じ込めやキャリア閉じ込めを高めるなどのために、活性層とクラッド層の間に中間の屈折率を持つ層を導入する分離閉じ込めへテロ構造などを導入しても良い。
本素子に用いる半導体は、InPとGaInAsPの組み合わせに限定することなく、GaAs、GaInNAs、AlGaInAsなど、その他の半導体を用いても良いし、活性導波路層22と非活性導波路層23のバンドギャップ波長の組み合わせも上記に限定するものではない。
第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2では、活性導波路層22と非活性導波路層23の繰り返し周期は、それぞれL1=50μm、L2=70μmと異なるが、活性導波路層22と非活性導波路層23の割合(La1/Lt1、および、La2/Lt2)は同じである。本実施形態では、この割合を1/2とした。第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2の間において、回折格子26の位相をλ/4波長変化させている。これにより、第一のレーザ部A1での反射波と第二のレーザ部A2での反射波の位相を、発振条件を満たすように整合させている。
活性導波路層22及び波長制御用の非活性導波路層23の上部に設けられる活性領域電極29及び波長制御領域電極30は互いに分離されており、図2(a)に示すように、活性導波路層22上の活性領域電極29a1,29a2同士及び非活性導波路層23上の波長制御領域電極30t1,30t2同士は素子上で短絡されており、櫛型の電極形状になっている。このように素子上で各々の領域の電極同士を短絡しておくことにより、金属製のボンディング・ワイヤをどこか一か所ずつ接着させるだけで、各領域に電流を注入することができる。
ここで、上述した構成の分布活性DFBレーザの作製方法について簡単に説明する。
(1)最初に有機金属気相エピタキシャル成長法と、これによる選択成長法を用いて、n型InPからなる下部クラッド21上に活性導波路層(活性層)22(22a1,22a2)と非活性導波路層(波長制御層)23(23t1,23t2)とを作製する。
(2)その後、塗布したレジストに、電子ビーム露光法を用いて回折格子26のパターンを転写し、転写パターンをマスクとしてエッチングを行い、回折格子26を形成する。
(3)次に、p型InPからなる上部クラッド25及びp型InGaAsからなるコンタクト層28を成長した後、横モードを制御するために、幅1.2μmのストライプ状に導波路を加工し、その両側にFeをドーピングしたInP(半絶縁体)からなる電流ブロック層24を成長する。
(4)そして、活性領域電極29及び波長制御領域電極30を形成した後、活性層駆動用の活性領域電極29と波長制御用の波長制御領域電極30とを電気的に分離するために、それらの電極間のコンタクト層28を除去する。
なお、電極同士を素子上で短絡すると共に、活性領域電極29が活性導波路層22のみに電流を注入できるように、活性領域電極29を形成する前に、活性導波路層22の上方の領域にコンタクト層28を形成し、非活性導波路層23の上方の領域に絶縁層32を形成し、それらの上層に活性領域電極29を形成している。同様に、電極同士を素子上で短絡すると共に、波長制御領域電極30が非活性導波路層23のみに電流を注入できるように、波長制御領域電極30を形成する前に、非活性導波路層23の上方の領域にコンタクト層28を形成し、活性導波路層22の上方の領域に絶縁層32を形成し、それらの上層に波長制御領域電極30を形成している。その後、下部クラッド21の下部に下部電極31を形成している。
半導体の成長法としては、有機金属気相エピタキシャル成長法に限らず、分子線エピタキシャル成長法やその他の手段を用いてもよい。回折格子の形成方法も電子線露光法に限らず、二束干渉露光法やそのほかの手段を用いてもよい。
電流ブロック層24は、FeをドーピングしたInP層に限定することなく、Ruなどのその他のドーパントをドーピングして高抵抗化したInP層を用いても良い。また、p型半導体とn型半導体を交互に重ねた多層構造としてもよい。
また、導波路構造は、本実施形態では埋め込み構造を採用しているが、一般的なリッジ構造やハイメサ構造などでも本発明の原理を用いることができる。
本実施形態では、第一のレーザ部A1及び第二のレーザ部A2における活性導波路層22と非活性導波路層23の繰り返しの数をそれぞれ6としている。第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2では同じ結合係数の回折格子26を用いているので、活性導波路層22と非活性導波路層23の繰り返し周期の長い第二のレーザ部A2の方が結合係数と長さの積が大きくなるため反射率は高くなる。したがって、繰り返し数を同数とした場合、自然に出力は非対称となり、反射率の低い第一のレーザ部A1からの出力が反射率の高い第二のレーザ部A2からの出力に比べて大きくとれるため、第一のレーザ部A1側から出力を効率よく取り出すことができる。なお、活性導波路層22と非活性導波路層23の繰り返しの数は6に限らず、また繰り返し数が第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2で同じである必要もないため、必要な反射率に応じて繰り返し周期や繰り返し数を設計すればよい。
本実施形態の波長可変半導体レーザでは、図2(a)および図2(b)に示す活性領域電極29と下部電極31との間に電流を流すことによりレーザ光が発振する。このときの発振波長は、図2で示した第一のレーザ部A1および第二のレーザ部A2の回折格子26により決まる波長となる。また、図2(a)および図2(b)に示す波長制御領域電極30へ電流注入することにより、非活性導波路層23の等価屈折率が変化し、共振縦モード波長が短波長側にシフトさせることができ、それに伴い、発振波長も短波長側にシフトする。この際、後述するように、動作中の波長可変レーザの他に、動作中の波長可変レーザの次に動作する波長可変レーザの制御領域に電力を投入したり、動作中の波長可変レーザの次に動作する波長可変レーザに隣接しない波長可変レーザの制御領域に電力を投入したりするような制御を行った。
<制御方法>
波長可変レーザアレイにおいて、チャンネルを変更する場合、二つのパターンがある。第一は、発振させているLDは同じで、波長制御電流Itの変化のみでチャンネルが変わる場合である。第二は、異なるLD間でチャンネルが切り替わる場合である。
同一LD内でのチャンネル切替の場合は、活性層電流Iaはほぼ一定に保ち、制御電流Itのみで発振波長が変化する。例えば、LD1内でIa=75mA、It=1.56mAのチャンネル1からIa=75mA、It=52.3mAのチャンネル2に切り替えることを考える。この場合、チャンネル1とチャンネル2では、全電流量では約50mAの差がある。二つのチャンネル間で総発熱量が一定となれば波長の温度ドリフトは生じず、純粋にキャリアのプラズマ効果などで決まる数nsでの誤差のない波長切替が可能となる。そこで、チャンネル1とチャンネル2では使用しないLD2の波長制御領域に電流を流す。より厳密には、電圧などを測定し、投入電力が一定となるように制御する必要があるが、単純には、LD2の波長制御電流を熱補償電流としてチャンネル1動作時には52.3mA、チャンネル2動作時には1.56mAと、LD1の波長制御電流とは逆に電流に流すことにより、全電流量を一定とし、発熱量をおよそ一定とすることができる。これにより、チップ温度変化を抑制し、温度変化による屈折率変化を抑制することが可能となる。
ここで、LD1にてチャンネル1とチャンネル2を100ms周期で切り替えたときの切替直後の発振周波数ズレを測定した結果を図4に示す。図4の横軸は時間を示し切り替えたときを0としている。図4の縦軸は発振周波数の連続動作時の周波数からのズレを示している。すなわち、チャンネル2の動作条件で連続的に動作させたときの周波数を0としている。図4(a)は、LD2の熱補償電流を用いなかった場合の切替の結果であり、図4(b)は、LD2の熱補償電流を用いた場合の切替の結果である。熱補償電流を用いなかった場合、図4(a)に示すように、設定した周波数(連続動作時の周波数)からのズレは5GHz以上あり、周波数ズレが1GHz以内になるまでに2ms以上の時間がかかるが、熱補償電流を用いることにより、図4(b)に示すように、周波数ズレは2GHz程度以下に抑えられるとともに、1GHz以内の周波数ズレに0.2ms以下で到達することが可能となり、切替時間は1桁改善された。
チップ温度の安定化のためには、必ずしも隣接するLDを使用する必要は無く、必要に応じてLD2に流す電流量を、他のLD(例えば、LD3、LD4、LD5、またはLD6)に投入(分配)しても良い。
一方で、異なるLD間でのチャンネル切替の場合は、活性層電流Ia、波長制御電流Itともに変化する。例えば、LD6のIa=75mA、It=1.14mAで動作するチャンネル3から、LD5のIa=75mA、It=17.47mAで動作するチャンネル4の切替を考えると、チップ全体での電流量の変化は16.33mAであり、上述した同一LD内でのチャンネル切替時よりも小さい。しかしながら、LD内での電流変化は活性層電流Iaの変化も加わるため、局所的には、LD6で76.14mA、LD5で92.47mAの電流が切り替わることになる。一般的に、安定して発振動作を得るために、活性層電流Iaを波長制御電流Itよりも多くすることが多いため、同一LD内でのチャンネル切り替えの場合には、LD内での電流量の変化は半分以下であるが、LD間のチャンネル切替では、活性層電流Iaと波長制御電流Itの合計値が一度に切り替わるので、補償電流を用いてチップ全体の投入電力を一定としても局所的には大きな変動となる。例えば、全電流量だけ一定としようとした場合、単純には、LD6、LD5ともにチャンネル3とチャンネル4のときにも波長制御電流Itを流し続ければよい。すなわち、活性層電流Iaのみをチャンネル3と4でLD6からLD5に切り替えればよい。これにより全電流量は一定となるので、総発熱量はほぼ一定となる。
ここで、LD6で動作するチャンネル3とLD5で動作するチャンネル4を100ms周期で切り替えたときの切替直後の発振周波数ズレを測定した結果を図5に示す。図5の横軸は時間を示し切り替えたときを0としている。図5の縦軸は発振周波数の連続動作時の周波数からのズレを示している。すなわち、チャンネル4の動作条件で連続的に動作させたときの周波数を0としている。図5(a)は、熱補償電流を用いずに切り替えた場合の結果である。図5(a)に示すように、切替直後に約4GHz程度の周波数ズレが生じ、周波数ズレが1GHz以内になるのに1ms以上の時間がかかる。図5(b)は、前述の単純に全電流量を一定にする切替動作の結果であり、LD6、LD5ともに両チャンネルで波長制御電流Itを流し続け、活性層電流Iaのみ切り替えている。これにより、切替直後の周波数ズレは2GHz程度に抑制され、1GHz以内に入るには0.3ms程度に短縮されており、熱補償電流の効果が得られている。特に、切替直後の急激な変化の後のだらだらと変化する周波数ズレは大きく改善している。
しかしながら、切替直後の波長ズレは同一LD内のチャンネル切替に比べて大きく、また、それが1GHz以内のズレに入るまでに時間もかかり、完全に熱補償がされているとは言い難い。この原因は、チップ総熱量は補償され、チップの平均的な温度は安定しているものの、LD内の電流量の変化量が増大しているため、チャネル切替直後には局所的に熱分布が発生しているためである。すなわち、図5(b)では、LD5の波長制御電流Itを一定としており、活性層電流Iaを切り替えているため、LD5だけで電流量を見ると、活性層電流75mAだけ電流量が増加している。そのため、切替直後にはLD5で発生する熱量は増大する。これは、LDの間隔にも起因している。これまで報告されている20μm以下の間隔でヒータ用メサを形成したり、20μm程度の間隔でレーザアレイを形成したりしたものでは、ヒータ用メサや隣接LDからも熱が伝わり動作LDの温度が安定していたが、これに比べ、本実施形態ではLD間隔が60μmと広い。そのため、隣接LDを熱補償用として用いたとしても、そこで発生した熱が動作中のLDに十分伝わらない。これにより、チップ内で温度分布が生じるとともに、動作するLDが安定した温度になるまでに時間がかかる。
これを解決するために、動作中のLDの次に動作するLDの波長制御電流Itをより大きく流すことにより、予め次に動作するLDを適切な温度にしておく。すなわち、局所的に熱補償するための電流を流す。具体的には、チャンネル3動作時は、LD6にIa=75mA、It=1.14mA、LD5にIt=65mA、LD3にIt=27.47mA流し、チャンネル4動作時には、LD6にIt=1.14mA、LD5にIa=75mA、It=17.47mA、LD3にIt=75mA流した。LD3の波長制御領域には、全電流量が一定となるために電流を流した。図5(c)がその結果である。本測定は時間分解能40μsで行ったが、その範囲内では1GHz以上の波長ズレは観測されなかった。また、LD5に予め流す制御電流量を変えて実験した結果、60mA以下の電流量では、図5(b)のように正の周波数ズレが生じ、70mA以上の電流量では、負の周波数ズレが生じた。LD5の全電流量よりも低い電流量で局所的な熱補償が行えるのは、隣接するLDからの熱の影響による。すなわち、隣接するLDとの距離が重要であるとともに、隣接するLDとの距離が変わっても、電流量を調整することで適切な局所的な熱補償を行えることを意味している。すなわち、周囲から伝わる熱量P1と自身が発生する熱量P2との総和が一定となるように制御する。
このことは、単純には、次に動作するLDの制御層の電流量Itを調整する範囲を、次に動作するLDの動作条件が活性層電流Ia0、制御領域電流It0とすると、It0<It<Ia0+It0となるようにすれば実現できる。また、より詳細には、次に動作するLDの波長制御領域の電圧Vt、次に動作するLDの動作条件時の活性層電圧Va0、Vt0も合わせて考え、Vt0×It0<Vt×It<Va0×Ia0+Vt0×It0となるようにすればよい。
本実施形態では、制御の単純化のために電流量一定として説明したが、より厳密には電力を一定とすることにより、さらに制御精度を向上させることができる。本発明の重要な点は、それに加え、LD間隔が離れた場合であっても、局所的熱補償電流を適切に使用することにより、より制御精度を向上させるものである。
また、チップ総電流を補償するために、LD3を用いているが、LD6からは180μm、LD5からは120μm離れている。チップ総熱量の補償のためには、必ずしも隣接LDを使用する必要がないことを示している。むしろ、隣接LDからの発熱は、局所的熱補償の電流量に影響を与えるため、条件によっては、チップ総熱量の補償のためには、離れたLDを利用した方が望ましい場合も多い。
本発明のレーザアレイで用いている分布活性DFBレーザの構造は、本実施形態の構造のみに限らず、活性層と波長制御層を均一な周期で繰り返したものや、活性層と波長制御層の周期の組み合わせが2種類以上のものであっても良い。分布活性DFBレーザの場合、活性層と波長制御層とが交互に並んでおり、局所的に熱補償をするのに適した構造となっている。活性領域は共振器方向の前後に隣接する波長制御領域により温められるため、活性領域の長さLa1もしくはLa2の半分が、レーザ間隔よりも短ければ局所的熱補償の効果が得られる。本実施形態で説明したレーザ構造の場合、図2(b)に示したように、第一のレーザ部A1の端面側は活性導波路層22a1となっており、制御領域23t1に挟まれた構造とはなっておらず、前後両側から温めることができない。しかしながら、本レーザでは、第一および第二のレーザ部A1,A2で各々6周期の活性層22と制御層23の繰り返しとしているため、第一のレーザ部A1の端面側の活性導波路層22a1の占める割合は全活性導波路層22に対して1/12以下であって小さいため、上記で説明したように、活性領域22は共振器方向の前後に隣接する制御領域23により温められるため、活性領域22の長さLa1もしくはLa2の半分が、レーザ間隔よりも短ければ局所的熱補償の効果が得られる、としても差し支えない。
また、波長可変レーザアレイ素子の場合、レーザの構造によっては各レーザの間に分離溝を形成することがある。その場合、レーザ間隔が狭かったとしても、隣接するレーザから伝わる熱量は分離溝がない場合に比べて小さくなる。そのような場合に対しても本発明は効果がある。
本実施形態では、図1のように、複数個の波長可変半導体レーザLD1〜LD6と、結合器13、SOA14による構成を説明したが、本発明を実現するためにはレーザが少なくとも2個以上並列に配置されていれば良い。すなわち、結合器13もMMI結合器でなくともよく、ファネル型など他の結合器でも良い。また、結合器13やSOA14を集積せずに、半導体レーザアレイからの光をレンズで結合したり、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いて光路を変更したりする場合でも、半導体レーザアレイに本発明を適用可能である。
SOAなどと集積した集積波長可変レーザアレイ素子の場合、電流を流す領域はレーザ部だけではない。例えば、出力を一定に保つためにSOAにも電流を流すが、チャンネルを切り替えることで、出力を調整する必要がある場合もある。その場合、SOAの電流量が変わるためチップ全体の発熱量が変化する。これを補償するために、SOAにおける電流の変化量分も波長可変レーザ部の制御領域を用いて補償することにより、チップ温度を安定化させることができる。また、その他の電流を流す素子、例えば、可変アッテネーターなどの光遮断素子、位相制御素子、光スイッチなど光の出力を制御する光制御素子を集積した場合であっても、SOAと同様に電流値の差分を波長可変レーザの制御領域で補償することができる。すなわち、チップ全体の電流量、より正確には発熱量を一定になるように制御することにより、温度安定化が図られ、正確な波長切替動作を行うことができる。
[第二番目の実施形態]
本実施形態に係る波長可変レーザアレイ素子の制御方法および制御装置について、図6および図7を参照して説明する。
上述した第一番目の実施形態の波長可変レーザアレイ素子で用いられる波長可変半導体レーザは、分布活性DFBレーザであったが、他の電流注入により制御する波長可変半導体レーザにおいても適用可能である。波長可変半導体レーザの波長を制御する領域と局所的に温度を安定化させたい部分の距離の最大値が、並列に配置された別の波長可変半導体レーザとの間隔よりも小さければ本発明が有効である。本実施形態では、波長可変半導体レーザとしてDBRレーザを用いた場合を説明する。
DBRレーザは、図6に示すように、下部クラッド61の上に形成された、長さLt1の第一の非活性導波路層63t1と、長さLaの活性導波路層62と、長さLt2の第二の非活性導波路層63t2とが、図中右から、この順に縦続接続された構造となっている。活性導波路層62及び非活性導波路層63t1,63t2の上には、上部クラッド64が形成され、これら層63t1,63t2と上部クラッド64の間には、周期的な凹凸、すなわち回折格子65がそれぞれ形成されている。上部クラッド64の上には、活性導波路層62、第一,第二の非活性導波路層63t1,63t2に対応して、活性領域電極66、非活性領域電極67t1,67t2がそれぞれ形成されている。このような構成のDBRレーザを複数集積したDBRレーザアレイの場合、波長制御領域である第一,第二の非活性導波路層63t1,63t2を局所ヒータとして用いる。局所的には、レーザ共振器の温度が安定化すればよいが、活性導波路層62は両端の第一の非活性導波路層63t1と第二の非活性導波路層63t2の両方により温度安定化が図られるため、片側の非活性導波路は、活性導波路層62の半分を温めればよい。この場合、隣接するレーザの間隔LLDよりも、第一の非活性導波路層63t1と第二の非活性導波路層63t2に挟まれた活性導波路層62の長さの半分の方が短ければ(LLD>La/2)、局所ヒータとしての効果が現れる。逆にLLD<La/2であれば、隣接するLDの制御領域をヒータとして用いた方が効率よく活性導波路の中央部を温めることができる。
また、DBRレーザの構成によっては、位相調整を行うための回折格子を形成していない非活性導波路が、例えば回折格子形成領域と活性導波路層の間など、共振器内に設置される場合があるが、これも非活性導波路層なので、局所ヒータとして用いることができる。
また、図7に示すように片側を端面ミラーとしたDBRレーザを適用することも可能である。DBRレーザは、図7に示すように、下部クラッド71上に形成された、長さLaの活性導波路層72と、長さLt1の非活性導波路層73とが、図中左から、この順に縦続接続された構造となっている。活性導波路層72及び非活性導波路層73の上には、上部クラッド74が形成され、これら層73と上部クラッド74の間には、周期的な凹凸、すなわち回折格子75が形成されている。上部クラッド74の上には、活性導波路層72及び非活性導波路層73に対応して、活性領域電極76及び非活性領域電極77がそれぞれ形成されている。このような構成のDBRレーザでは、活性導波路層72を共振器の方向に対して両側から温めることができないため、LLD>Laの場合に、局所ヒータとしての効果が現れる。すなわち、熱補償に用いる制御領域から局所的に熱を与えたい箇所までの距離が波長可変レーザアレイのアレイ間隔よりも短ければよい。このように考えれば、DBRレーザに限らず、その他の電流注入型の波長可変半導体レーザにおいても、本発明を適用できるか出来ないかを判断することができる。
本発明に係る波長可変レーザアレイ素子の制御方法および制御装置によれば、波長可変レーザアレイのレーザ間隔が比較的広い場合においても、特別な構造を付加することなく、波長切り替え時の電流変化に起因する熱変動による波長ドリフトを抑制し、波長安定性を高めることができるため、通信産業などで有益に利用することができる。
10 波長可変レーザアレイ素子
11 LD部
12 導波路部
13 多モード干渉結合器
14 半導体光増幅器(SOA)
15 制御装置
20 位相シフト領域
21 下部クラッド
22 活性導波路層
23 非活性導波路層(波長制御領域)
24 電流ブロック層
25 上部クラッド
26 回折格子
27 位相シフト部
28 コンタクト層
29 活性領域電極
30 波長制御領域電極
31 下部電極
32 絶縁層
33 コア層
61 下部クラッド
62 活性導波路層
63 非活性導波路層
64 上部クラッド
65 回折格子
66 活性領域電極
67 非活性領域電極
68 下部電極
71 下部クラッド
72 活性導波路層
73 非活性導波路層
74 上部クラッド
75 回折格子
76 活性領域電極
77 非活性領域電極
78 下部電極

Claims (5)

  1. 活性領域と、熱補償電流が流れる波長制御領域を有する電流制御型の波長可変半導体レーザを複数並列に配置した波長可変レーザアレイ素子の制御方法であって、
    前記複数の波長可変半導体レーザのうち任意の動作中の波長可変半導体レーザから次に動作する波長可変半導体レーザに切替える際に、
    前記動作中の波長可変半導体レーザがまだ動作している切替前に、前記次に動作する波長可変半導体レーザの波長制御領域に予め熱補償電流を流し、
    前記次に動作する波長可変半導体レーザの切替後の動作条件における波長制御領域に流す波長制御電流量をI、および前記次に動作する波長可変半導体レーザの切替後の動作条件における全電流量をIallとして、前記次に動作する波長可変半導体レーザの波長制御領域に切替前に予め流す熱補償電流量Iを、前記Iより大きく、前記Iallより小さくなる範囲で制御する
    ことを特徴とする波長可変レーザアレイ素子の制御方法。
  2. 請求項1に記載の波長可変レーザアレイ素子の制御方法であって、
    前記動作中の波長可変半導体レーザと、次に動作する波長可変半導体レーザ以外の波長可変半導体レーザのいずれかの波長制御領域とに熱補償電流を流すことにより、前記複数の波長可変半導体レーザの全電流の合計量、またはその全電力の合計量を、動作中の波長可変半導体レーザから次に動作する波長可変半導体レーザに切り替わる前後で同一に制御する
    ことを特徴とする波長可変レーザアレイ素子の制御方法。
  3. 請求項2に記載の波長可変レーザアレイ素子の制御方法であって、
    前記複数の波長可変半導体レーザの全電流の合計量、またはその全電力の合計量を、次に動作する波長可変半導体レーザに隣接しない波長可変半導体レーザの波長制御領域を用いて保存する
    ことを特徴とする波長可変レーザアレイ素子の制御方法。
  4. 活性領域と、熱補償電流が流れる波長制御領域を有する電流制御型の波長可変半導体レーザを複数並列に配置した波長可変レーザアレイ素子の制御装置であって、
    前記複数の波長可変半導体レーザのうち任意の動作中の波長可変半導体レーザから次に動作する波長可変半導体レーザに切替える際に、
    前記動作中の波長可変半導体レーザがまだ動作している切替前に、前記次に動作する波長可変半導体レーザの波長制御領域に予め熱補償電流を流し、
    前記次に動作する波長可変半導体レーザの切替後の動作条件における波長制御領域に流す波長制御電流量をI、および前記次に動作する波長可変半導体レーザの切替後の動作条件における全電流量をIallとして、前記次に動作する波長可変半導体レーザの波長制御領域に切替前に予め流す熱補償電流量Iを、前記Iより大きく、前記Iallより小さくなる範囲で制御する第1の熱補償制御部を備える
    ことを特徴とする波長可変レーザアレイ素子の波長制御装置。
  5. 請求項4に記載の波長可変レーザアレイ素子の制御装置であって、
    前記動作中の波長可変半導体レーザと、次に動作する波長可変半導体レーザ以外の波長可変半導体レーザのいずれかの波長制御領域とに熱補償電流を流すことにより、
    前記複数の波長可変半導体レーザの全電流の合計量、またはその全電力の合計量を、動作中の波長可変半導体レーザから次に動作する波長可変半導体レーザに切り替わる前後で同一に制御する第2の熱補償制御部をさらに備える
    ことを特徴とする波長可変レーザアレイ素子の制御装置。
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