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JP5733607B2 - プラスチックボトル - Google Patents

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Description

本発明は、口部と、首部と、胴部と、底部とを備えたプラスチックボトルに関する。
従来、プラスチックボトルの充填方法としては、アセプティック充填方法(常温無菌充填方法)とホット充填方法(高温充填方法)とが存在する。
このうちアセプティック充填方法は、無菌環境下でプラスチックボトル内を薬剤で滅菌し、次に滅菌されたプラスチックボトル内に常温で清涼飲料を充填する手法である。このようなアセプティック充填方法を用いる場合、プラスチックボトルはその製造工程で高温に晒されることがないため、一般に耐熱性が低いものを用いる事も可能である。
特開2009−298483号公報
ところで近年、ボトルに使用されるプラスチック材料の使用量を減らし、プラスチックボトルを更に軽量化することが望まれている。しかしながら、軽量化したプラスチックボトル内に常温で清涼飲料を充填し、液体窒素(LN2)を滴下した場合、充填直後の内圧上昇により、ボトルの底部が反転してしまうおそれがある(バックリングという)。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、内容液をアセプティック充填し、充填直後にボトル内圧が上昇した場合であっても、底部の反転(バックリング)を防止することが可能な、プラスチックボトルを提供することを目的とする。
本発明は、口部と、首部と、胴部と、底部とを備え、口部にはキャップが装着されたプラスチックボトルにおいて、底部は、中央に位置する中央部と、中央部から周縁部に放射状に延びる複数のペタロイド脚と、隣接する各ペタロイド脚間に形成された谷部とを有するペタロイド形状をもち、中央部は、環状面と、環状面から内方に引っ込む凹部とを有し、ボトル内部に内容液が10℃〜40℃の充填温度でアセプティック充填され、液化ガスが添加され、凹部の底部とペタロイド脚の接地部との距離をt1、凹部の底部と環状面との距離をt2、凹部の直径をt3、胴部の最大直径をt4とした場合、0.10<t2/t1<0.50かつ0.15<t3/t4<0.35となり、ペタロイド脚の接地部における厚みが、0.03mm〜0.25mmであり、底面側から見たとき、各ペタロイド脚よりも各谷部の方が広いことを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、底部は、5本〜9本のペタロイド脚を有することを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、凹部は、底面から見て円形状からなることを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、凹部は、垂直端面から見てドーム形状からなることを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明によれば、底部は、中央に位置する中央部と、中央部から周縁部に放射状に延びる複数のペタロイド脚とを有するペタロイド形状をもち、中央部は、環状面と、環状面から内方に引っ込む凹部とを有する。このことにより、ボトル内部を陽圧とした場合であっても、底部の変形を少なくすることができ、底部の反転(バックリング)を防止することができる。
また、ボトルの軽量化を進めていった場合、ペタロイド底は、丸底より凹凸が激しい為、脚先が薄肉化し、荷重が掛かった際にペタロイド脚の脚先が潰れやすくなってしまう。この場合、ボトルが水平状態を保てなくなり、荷崩れを引き起こしてしまう。本発明によれば、底部の中央部に凹部を設けたことにより、底中心部の未延伸部を減らし応力を緩和させる他、底中心部に樹脂が溜まらなくなるので、その分ペタロイド脚の脚先に樹脂が溜まるようになる。これにより、ペタロイド脚の脚先が潰れる不具合を防止することができる。
図1は、本発明の一実施の形態による充填した状態でのプラスチックボトルを示す正面図。 図2は、本発明の一実施の形態による空の状態でのプラスチックボトルを示す垂直端面図(図1のA−A線断面図)。 図3は、本発明の一実施の形態による空の状態でのプラスチックボトルを示す上面図。 図4は、本発明の一実施の形態による空の状態でのプラスチックボトルを示す底面図。 図5は、本発明の一実施の形態による空の状態でのプラスチックボトルの底部を示す拡大端面図。 図6(a)〜(c)は、本発明の一実施の形態による充填した状態でのプラスチックボトルの底部を示す拡大端面図。 図7は、比較例による空の状態でのプラスチックボトルを示す垂直端面図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図6は本発明の一実施の形態を示す図である。
まず、図1乃至図6により本実施の形態によるプラスチックボトルの概要について説明する。なお、本明細書中、「上方」、「下方」とは、それぞれプラスチックボトル10を正立させた状態(図1および図2)における上方、下方のことをいう。
図1乃至図4に示すように、プラスチックボトル10は、口部11と、口部11に連接する首部12と、首部12に連接する肩部13と、肩部13に連接する胴部20と、胴部20に連接する底部30とを備えている。
このうち胴部20は略円筒形状からなり、その表面は略平坦に構成されている。また、図1に示すように、プラスチックボトル10内部には、内容液15がアセプティック充填(常温無菌充填)され、内容液15上のヘッドスペース16内には、液化ガスが添加されている。さらに、口部11にはキャップ17が装着されている。
図2および図4に示すように、底部30はペタロイド形状をもっている。すなわち底部30は、中央に位置する中央部31と、中央部31から底部30の周縁部30bに向けて放射状に延びる複数(この場合は5本)のペタロイド脚32とを有している。
図4に示すように、5本のペタロイド脚32は、底部30の周縁部30bに沿って周方向に等間隔に配置されている。ペタロイド脚32は、プラスチックボトル10を安定して正立させるためには5本以上設けることが好ましいが、成形性の観点等から、その上限は9本程度とすることが好ましい。また、バックリングを効果的に防止するために、ペタロイド脚32の本数を奇数本とすることが好ましく、とりわけ5本とすることが更に好ましい。
また図2および図4に示すように、各ペタロイド脚32は、各々円周状に延びる接地部32aと、接地部32aから中央部31側に向けて上方に延びる内側傾斜面32bと、接地部32aから周縁部30b側に向けて上方に延びる外側傾斜面32cとを有している。
一方、隣接する各ペタロイド脚32間には、谷部33が形成されている。各谷部33は、中央部31から周縁部30bに向かって上方へ延びる湾曲面からなっている。各谷部33は、中央部31から周縁部30bに向かう断面において、下方へ向けて湾曲する球面の一部を構成している(図2参照)。この場合、各谷部33は、ドーム状曲面の一部からなっていても良い。
本実施の形態において、中央部31は、円形の環状面34と、この環状面34から内方(上方)に引っ込む凹部35とを有している。凹部35の形状は、底部30の耐圧性を高めるという観点から、底面から見て円形状であることが好ましい。更に、成形性を高めるという観点からは、凹部35の垂直端面形状(図2)がドーム形状であることが好ましい。
図2および図5に示すように、凹部35は、全体的に滑らかな曲面からなっており、凹部35内にて底中心部の中心に凸部を設けず、滑らかな曲面になっている。このことにより、ボトル内部を陽圧とした場合に、凹部35が反転し難い構造となっている。
このほか、凹部35の形状としては、円筒形状であっても良く、あるいは円筒に半球を連結した形状からなっていても良い。
このようなプラスチックボトル10のサイズは限定されるものではなく、どのようなサイズのボトルからなっていても良い。例えばプラスチックボトル10の容量が500mlである場合、胴部20の直径t4(図4および図5参照)を60mm乃至70mmとすることができる。また、プラスチックボトル10の容量が1000mlの場合は、胴部20の直径t4を70mm乃至90mmとし、1500mlの場合は、胴部20の直径t4を80mm乃至100mmとすることができる。
図5において、凹部35の底部35aとペタロイド脚32の接地部32aとの距離をt1とし、凹部35の底部35aと環状面34との距離をt2とした場合、0.10<t2/t1<0.50となることが好ましい。なお、t2/t1≧0.50となる場合、底部30の凹凸が大きくなるため、ブロー成形時にペタロイド脚32の接地部32aに、過延伸による白化(薄肉化)が発生するおそれがある。他方、t2/t1≦0.10となる場合、凹部35の深さが浅いため、底部30のバックリングを防止する効果が得られにくい。
また図5において、凹部35の直径をt3とし、胴部20の最大直径をt4とした場合、0.15<t3/t4<0.35となることが好ましい(図6(a)参照)。なお、t3/t4≧0.35となる場合、凹部35の曲率半径R1が大きくなる為底部30のバックリングを防止する効果が得られにくい(図6(b)参照)。更にペタロイド脚32の内側傾斜面32bが急になる為、ペタロイド脚32で成形不良による過延伸により白化(薄肉化)が発生するおそれがある。他方、t3/t4≦0.15となる場合、凹部の直径t3が短い為、底部30のバックリングを防止する効果が得られにくい(図6(c)参照)。このため、0.10<t2/t1<0.50かつ0.15<t3/t4<0.35とすることが好ましい。
なおプラスチックボトル10のペタロイド脚32の接地部32aの肉厚は、0.03mm〜0.25mmとすることが可能である。このようにプラスチックボトル10の肉厚を薄くすることにより、プラスチックボトル10の軽量化を図ることができる。
プラスチックボトル10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なおプリフォームすなわちプラスチックボトル10の主材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PLA(ポリ乳酸)等を使用する事が好ましい。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、空のプラスチックボトル10の内部に薬剤(殺菌液)が投入され、その後薬剤を洗浄液により洗浄し、さらに乾燥気体により乾燥してプラスチックボトル10内を無菌に保持する。薬剤としては、過酸化水素や過酢酸、洗浄液として水、乾燥気体としては、空気を使用する事が好ましい。また、プラスチックボトル10内を無菌にする方法としては、薬剤による方法だけではなく電子線(EB)照射による方法を用いても良い。次いで、プラスチックボトル10には、図示しない無菌充填機内で滅菌された内容液15が、例えば10℃〜40℃の温度で充填される。なお内容液15としては、例えばミネラルウォーターや緑茶、混合茶等の茶飲料や、コーヒー等のミルク入り飲料を挙げることができる。
続いて、液体窒素等の液化不活性ガス(液化ガス)を無菌化させ、この無菌化した液化不活性ガス(液化ガス)を内容液15上のヘッドスペース16内に充填し、キャップ17により閉栓する。液化不活性ガス(液化ガス)を無菌化させる方法としては、目の細かいフィルターを通過させる方法が好ましい。フィルターの材質としては、樹脂製及び金属製のものを用いることが好ましく、特に樹脂としてはポリオレフィン製やポリイミド製ものを用いることが好ましく、金属としてはステンレス製のものを用いることが好ましい。また、フィルターの目の細かさとしては0.01μm〜1μmのものを採用することが好ましい。この間、各工程は無菌雰囲気下で行われる。閉栓直後、充填された不活性ガスまたは内容液15により、プラスチックボトル10の内部は陽圧となる。
このようにプラスチックボトル10内部が陽圧となることにより、プラスチックボトル10の内方(上方)から外方(下方)へ力が作用し、底部30においては、概ね内方から外方へ向けて圧力が加わる。この場合、底部30の中央部31が外方へ向けて膨らむように作用する。
本実施の形態においては、底部30の中央部31に、環状面34から内方に引っ込む凹部35を設けている。このことにより、閉栓したプラスチックボトル10の内部が陽圧となり、プラスチックボトル10の内方から外方へ力が作用した場合であっても、底部30の変形を抑えることができ、底部30のバックリングを防止することができる。
このように本実施の形態によれば、底部30の中央部31に、環状面34から内方に引っ込む凹部35を設けたので、アセプティック充填後に液体窒素(LN2)を滴下することにより、閉栓したプラスチックボトル10の内部が陽圧となった際、底部30の変形を少なくすることができ、底部30のバックリングを防止することができる。
また本実施の形態によれば、底部30のバックリングを防止することができるので、プラスチックボトル10を薄肉に形成することが可能となり、プラスチックボトル10を軽量化することができ、プラスチック材料の使用量を減らすことができる。
次に、本実施の形態における具体的実施例について説明する。
(ブロー成形性および耐圧性の評価)
以下に挙げる6種類のプラスチックボトル(実施例1および比較例1〜5)について、それぞれブロー成形性および耐圧性について評価した。
(実施例1)
図1乃至図5に示す構成からなる、500ml用のプラスチックボトル10(実施例1)を作製した。この場合、18gのプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより、プラスチックボトル10(実施例1)を作製した。実施例1において、凹部35の底部35aと環状面34との距離t2の、凹部35の底部35aとペタロイド脚32の接地部32aとの距離t1に対する比(t2/t1)は、0.30であった。また凹部35の直径t3の、胴部20の最大直径t4に対する比(t3/t4)は、0.25であった。このプラスチックボトル10(実施例1)は、従来一般に用いられるプラスチックボトルよりも薄肉化されたものである。
(比較例1)
距離t2の距離t1に対する比(t2/t1)を0.10としたこと、以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同じ重量および肉厚を有する500ml用のプラスチックボトル10(比較例1)を作製した。
(比較例2)
距離t2の距離t1に対する比(t2/t1)を0.50としたこと、以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同じ重量および肉厚を有する500ml用のプラスチックボトル10(比較例2)を作製した。
(比較例3)
距離t3の距離t4に対する比(t3/t4)を0.15としたこと、以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同じ重量および肉厚を有する500ml用のプラスチックボトル10(比較例3)を作製した。
(比較例4)
距離t3の距離t4に対する比(t3/t4)を0.35としたこと、以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同じ重量および肉厚を有する500ml用のプラスチックボトル10(比較例4)を作製した。
(比較例5)
図7に示す構成からなる、500ml用のプラスチックボトル50(比較例5)を作製した。この場合、28gのプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより、プラスチックボトル50(比較例5)を作製した。
これら6種類のプラスチックボトル(実施例1および比較例1〜5)のうち、比較例2、4に係るプラスチックボトルは、ブロー成形時にペタロイド脚先の成形不良(過延伸による白化)が発生した。それ以外の実施例1、比較例1、3、5に係るプラスチックボトルは、良好なブロー成形性を有していた。
次に、比較例2、4を除いた4種類のプラスチックボトル(実施例1および比較例1、3、5)に薬剤(殺菌液)を投入し無菌状態にした後、無菌雰囲気下で緑茶を充填した。この際、緑茶の温度は30℃であった。次いで、各プラスチックボトル内へ無菌化した液体窒素(LN2)を滴下した。その後、各プラスチックボトルの口部にキャップを装着することにより、閉栓したプラスチックボトルを得た。
次に、各プラスチックボトルについて、中央部の深さ(距離t1´)及びボトル内圧を測定した(表1参照)。
Figure 0005733607
この結果、実施例1のプラスチックボトル10は、正立し(t1´>0mm)、かつブロー成形性は良好であり、28gの重量を有するプラスチックボトル50(比較例5)と同等程度の性能を有していた。一方、比較例1、3のプラスチックボトルは、転倒しやすくなってしまった(t1´<0mm)。
結果として、0.10<t2/t1<0.50、かつ0.15<t3/t4<0.35とすることが好ましいといえる。
10 プラスチックボトル
11 口部
12 首部
13 肩部
15 内容液
16 ヘッドスペース
17 キャップ
20 胴部
30 底部
31 中央部
32 ペタロイド脚
33 谷部
34 環状面
35 凹部

Claims (4)

  1. 口部と、首部と、胴部と、底部とを備え、口部にはキャップが装着されたプラスチックボトルにおいて、
    底部は、中央に位置する中央部と、中央部から周縁部に放射状に延びる複数のペタロイド脚と、隣接する各ペタロイド脚間に形成された谷部とを有するペタロイド形状をもち、
    中央部は、環状面と、環状面から内方に引っ込む凹部とを有し、
    ボトル内部に内容液が10℃〜40℃の充填温度でアセプティック充填され、液化ガスが添加され
    凹部の底部とペタロイド脚の接地部との距離をt1、凹部の底部と環状面との距離をt2、凹部の直径をt3、胴部の最大直径をt4とした場合、0.10<t2/t1<0.50かつ0.15<t3/t4<0.35となり、
    ペタロイド脚の接地部における厚みが、0.03mm〜0.25mmであり、
    底面側から見たとき、各ペタロイド脚よりも各谷部の方が広いことを特徴とするプラスチックボトル。
  2. 底部は、5本〜9本のペタロイド脚を有することを特徴とする請求項1記載のプラスチックボトル。
  3. 凹部は、底面から見て円形状からなることを特徴とする請求項1または2記載のプラスチックボトル。
  4. 凹部は、垂直端面から見てドーム形状からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のプラスチックボトル。
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