JP5728844B2 - 転がり軸受 - Google Patents
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Description
転がり軸受の軌道輪と転動体は、両者の接触部に高い面圧が発生し、内部に高い剪断応力が発生するため、これに耐え得る硬さとなっている必要がある。特に、大型の軸受では、剪断応力が内部の深くまで作用するため、深い位置まで硬くなっていることが要求される。また、ころ軸受は、軌道輪と転動体の接触面積が大きいため、剪断応力が作用する領域が大きい。玉軸受の場合でも、玉(転動体)の直径が30mm以上である大形の転がり軸受では、剪断応力が作用する領域が大きい。
潤滑油から発生した水素は、軌道輪および転動体をなす鋼に侵入して、転がり軸受の組織変化型剥離を加速させる要因となると考えられている。組織変化型剥離とは、鋼の金属組織がマルテンサイトから超微細なフェライトに変化し、フェライトになった部分が起点となって疲労亀裂が生じ、剥離に至る現象である。
建設機械は、前進と後進を繰り返しながら使用されるため、転がり軸受の回転方向もその度毎に変化する。回転方向が頻繁に変化すると、転動体と軌道輪との間の油膜が切れ易くなり、切れた部分で金属接触が生じるため、前述のように、潤滑油が分解して水素が発生し易くなり、発生した水素が軌道輪および転動体をなす鋼に侵入し易くなる。
従来より、転がり軸受の組織変化型剥離を抑制するための提案がなされている(特許文献1および2等を参照)。特許文献1は、エンジン補機用の転がり軸受に関するものであり、内輪、外輪、および転動体の少なくとも一つは、下記の構成(ア)を満たすことを特徴としており、下記の構成(イ)を有することが好ましいと記載されている。
(ア)質量比で、Cの含有率が0.2〜0.6%、Crの含有率が2.5〜7.0%、Mnの含有率が0.5〜2.0%、Siの含有率が0.1〜1.5%、Moの含有率が0.5〜3.0%、Vの含有率が2.0%以下、Niの含有率が2.0%以下、残部がFeおよび不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、浸炭又は浸炭窒化処理、焼入れ処理および焼戻し処理が施されて得られ、その転がり面をなす表層部は、CおよびNの合計含有率が質量比で1.0〜2.5%、残留オーステナイト量が体積比で15〜45%、硬さがロックウェル硬さでHRC60以上、炭化物および炭窒化物の少なくとも一種からなる析出物の存在率が転がり面内の面積比で15〜35%となっている。転がり面をなす表層部の定義に関しては、「表面から所定深さ(例えば、転動体直径Daの5%である0.05Da)までの範囲を指す」と記載されている。
(イ)前記転がり面をなす表層部の圧縮残留応力の最大値は、150〜2000MPaとなっている。
(a) 炭素含有率〔C〕が0.90質量%以上1.2質量%以下、珪素含有率〔Si〕が0.20質量%以上0.70質量%以下、マンガン含有率〔Mn〕が0.30質量%以上1.2質量%以下、クロム含有率〔Cr〕が0.90質量%以上1.6質量%以下、モリブデン含有率〔Mo〕が0.30質量%以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物であり、下記の(1)式で表されるDI値が5.0以上9.0以下を満たす。
DI=(0.18〔C〕+0.16)(0.7〔Si〕+1.0)(3.4〔Mn〕+1.0)(2.2〔Cr〕+1.0)(3.0〔Mo〕+1.0)‥‥(1)
(b) 転走部(内輪および外輪の軌道面部、ころの転動面部)の最大厚さをt(mm)とした時に下記の(2)式を満たす。DI/t≧0.20‥‥(2)
特許文献2に記載された発明では、軌道輪および転動体の内部に不完全焼入れ組織があると、潤滑油の分解で生じた水素をトラップして金属組織の変化が生じやすく、これを起点とした剥離が生じて、転動疲労寿命の低下の原因となるため、軌道輪および転動体に不完全焼入れ組織が生じないようにしている。
この発明の課題は、風車用軸受や建設機械用軸受のように、組織変化型剥離が生じ易い条件で使用する転がり軸受の転動疲労寿命を、より一層長くすることである。
(1) 炭素含有率〔C〕が0.10質量%以上0.30質量%以下、珪素含有率〔Si〕が0.20質量%以上0.50質量%以下、マンガン含有率〔Mn〕が0.20質量%以上1.20質量%以下、クロム含有率〔Cr〕が2.6質量%以上4.5質量%以下、モリブデン含有率〔Mo〕が0.10質量%以上0.40質量%以下、選択成分であるニッケル含有率〔Ni〕が0.20質量%以下、選択成分である銅含有率〔Cu〕が0.20質量%以下、硫黄含有率〔S〕が0.02質量%以下、リン含有率〔P〕が0.02質量%以下、酸素含有率〔O〕が12質量ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である合金鋼からなり、任意の切断面で面積320mm2 当たりに存在する直径10μm以上の酸化物系介在物が10個以下である素材を、所定形状に加工した後、浸炭または浸炭窒化と焼入れ焼戻しを行って得られる。
(2) 転がり面の表面(内外輪の軌道面、転動体の転動面)から転動体の直径の0.01倍に相当する深さの位置で、炭素と窒素の合計含有率〔C+N〕が0.8質量%以上1.2質量%以下、ビッカース硬さ(Hv)が720以上830以下であり、残留オーステナイト量が20体積%以上45体積%以下であり、圧縮残留応力が50MPa以上300MPa以下である。
(3) 芯部の硬さがビッカース硬さ(Hv)で400以上550以下である。
(4) 転がり面(内外輪の軌道面、転動体の転動面)の表面粗さが、粗さ曲線の最大山高さ(Rp)で1.0μm以下である。
〔C〕を0.10質量%以上0.30質量%以下とする理由は以下の通りである。
炭素(C)は、焼入れによって基地(マトリックス)に固溶し、組織をマルテンサイト化することで鋼を強化する元素である。炭素含有率が0.10質量%未満であると、芯部の硬さが不足して剛性が不十分となる。ただし、炭素含有率が0.30質量%を超えると、芯部の靱性が不足する。
珪素(Si)は、精鋼時に脱酸剤として作用する。また、基地に固溶して焼入れ性を向上させる作用を有する。さらに、マルテンサイトを安定化する元素であるため、水素によるマルテンサイトからフェライトへの組織変化を抑制する作用を有する。珪素含有率が0.20質量%未満であると、その作用が実質的に得られない。ただし、珪素含有率が0.50質量%を超えると、浸炭性および浸炭窒化性が不十分となる。
マンガン(Mn)は、基地に固溶して焼入れ性を向上させる作用を有する。また、マルテンサイトを安定化する元素であるため、水素によるマルテンサイトからフェライトへの組織変化を抑制する作用を有する。さらに、オーステナイトを安定化する元素でもあるため、鋼の組織変化の原因となる水素の局所集積を抑制する残留オーステナイト量を多くする作用も有する。マンガン含有率が0.20質量%未満であると、その作用が実質的に得られない。
ただし、マンガン含有率が1.20質量%を超えると、残留オーステナイト量が多くなり過ぎて、硬さと寸法安定性が低下する。好適な硬さと寸法安定性を得るために、好ましくは0.20質量%以上0.45質量以下とする。
クロム(Cr)は、基地に固溶して焼入れ性を向上させる作用を有する。また、炭素と結合して鋼中に硬い炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる作用を有する。また、マルテンサイトを安定化する元素であるため、水素によるマルテンサイトからフェライトへの組織変化を抑制する作用を有する。クロム含有率が2.6質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られない。
ただし、クロムは高価な元素であるため含有率は少ない方が好ましい。また、クロム含有率が4.5質量%を超えると、靱性、浸炭性および浸炭窒化性が不十分となるとともに、化学的に安定した炭化物を形成するために焼入れ温度を高くする必要があるため、生産性が低下する。
モリブデン(Mo)は、基地に固溶して焼入れ性および焼戻し軟化抵抗性を向上させる作用を有する。また、炭素と結合して鋼中に硬い炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる作用を有する。また、マルテンサイトを安定化する元素であるため、水素によるマルテンサイトからフェライトへの組織変化を抑制する作用を有する。さらに、オーステナイトを安定化する元素でもあるため、鋼の組織変化の原因となる水素の局所集積を抑制する残留オーステナイト量を多くする作用も有する。モリブデンの含有率が0.10質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られない。
ただし、モリブデン含有率が0.40質量%を超えると、靱性が不十分となり、冷間加工性および被削性も不十分となって、生産性が低下する。
ニッケル(Ni)は、基地に固溶して焼入れ性および靱性を向上させる作用を有する。また、オーステナイトを安定化する元素であるため、鋼の組織変化の原因となる水素の局所集積を抑制する残留オーステナイト量を多くする作用を有する。
ニッケルは高価な元素であるため、含有率を0.20質量%以下とする。また、ニッケルは必須成分ではないが、その含有率が0.01質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られないため、ニッケルを含有させる場合にはその含有率を0.01質量%以上とする。
銅(Cu)は、基地に固溶して焼入れ性および粒界強度を向上させる作用を有する。銅は必須成分ではないが、その含有率が0.02質量%未満であるとこれらの作用が実質的に得られないため、銅を含有させる場合にはその含有率を0.02質量%以上とする。
ただし、銅の含有率が0.20質量%を超えると、熱間鍛造性が不十分となって、生産性が低下する。
硫黄(S)は、マンガン(Mn)と結合してMnSを形成し、介在物となるため、その含有率を0.02質量%以下にする。
〔P〕を0.02質量%以下とする理由は以下の通りである。
リン(P)は、結晶粒界に偏析して、粒界強度や破壊靱性を低下させるため、その含有率を0.02質量%以下にする。
〔O〕を12質量ppm以下とする理由は以下の通りである。
酸素(O)は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等と結合してAl2 O3 、MgO、CaO等の酸化物を形成する。これらの酸化物は介在物となり、剥離の起点となるため、その含有率を12質量ppm以下にする。
鋼に大きな非金属介在物が存在すると、介在物の周りに応力が集中して、介在物を起点とした疲労亀裂が生じ、剥離の原因となる。また、鋼に侵入した水素は応力集中部に集積し易いため、大きな非金属介在物の周りには鋼の組織変化も生じ易い。
非金属介在物のうち、Al2 O3 、MgO、CaO等の酸化物系介在物であって、大きさが直径10μm以上であるものは、亀裂の起点となり易い。酸化物系介在物の大きさが10μm未満の場合は、介在物を起点とした亀裂が生じる前に、鋼の基地組織が水素で変化し、これに伴う亀裂が生じる。よって、直径10μm未満の酸化物系介在物が存在していても実質的に有害にならない。
これらの観点から、介在物を起点とした疲労亀裂が生じることを抑制するために、任意の切断面で面積320mm2 当たりに存在する直径10μm以上の酸化物系介在物が10個以下である素材を用いている。
前記構成の素材に対して浸炭または浸炭窒化と焼入れ焼戻しを行うことで、軸受部品(内輪、外輪、転動体のいずれか)の表層部に炭素または炭素と窒素が導入される。
浸炭または浸炭窒化処理の保持温度は960℃以下とすることが好ましい。960℃を超える温度に保持すると結晶粒の粗大化が生じる。焼入れ処理の保持温度は860〜880℃とすることが好ましい。860℃未満であると焼入れ後の硬さが不足し、880℃を超えると残留オーステナイト量が過剰になったり、結晶粒の粗大化が生じて靱性が低下する。
焼戻し処理の保持温度は160〜200℃とすることが好ましい。160℃未満であると、靱性が低下したり、水素と敏感に反応して組織変化が生じ易くなったりする。200℃を超えると、組織変化を遅延させるために必要な残留オーステナイト量が不十分となる。
構成(2) は、熱処理後の表層部の性状を特定している。
先ず、表層部の性状を特定する位置を、転がり面の表面から転動体の直径(ころの場合は、最大直径)の0.01倍に相当する深さ(以下、「1%D」と称する。)に設定している。
1%D位置の周辺は、軌道輪と転動体との接触部の材料内部に生じる剪断応力が最大になる位置であって、水素の局所集積が生じ易いため、この位置での性状を水素による組織変化が生じないように特定する。
1%D位置での炭素と窒素の合計含有率〔C+N〕を0.8質量%以上とすることで、転がり面に必要な硬さを得るとともに、表層部の残留オーステナイト量を多くして組織変化の抑制作用を得る。1%D位置での炭素と窒素の合計含有率〔C+N〕が1.2質量%を超えると、転がり面に必要な靱性が不足する。
1%D位置でのビッカース硬さ(Hv)を720以上とすることで、鋼に水素が侵入した場合でも局所的な塑性変形が生じ難くなるため、水素による組織変化を抑制できる。これは、水素による組織変化が鋼に局所的な塑性変形が生じることで引き起こされるという知見に基づく。1%D位置でのビッカース硬さが830を超えると、転がり面に必要な破壊靱性値が得られない。
1%D位置での残留オーステナイト量を20体積%以上とすることで、残留オーステナイトによる水素拡散抑制効果が発揮されて、組織変化を抑制する作用が得られる。
1%D位置での残留オーステナイト量が45体積%を超えると、寸法安定性が不良となる。
1%D位置に存在する圧縮残留応力は、水素による組織変化から生じた亀裂の進展を抑制する作用を有する。50MPa未満ではこの作用が実質的に得られず、300MPaを超えると、圧縮残留応力と釣り合う大きさで内部に発生する引張残留応力の作用によって、亀裂の進展が促進される場合がある。
芯部の硬さがビッカース硬さ(Hv)で400未満であると、剛性が不十分となる。しかし、550を超えると靱性が不十分となる。芯部の硬さをHv400以上550以下とすることで、転動体直径が30mm以上である大形の転がり軸受として十分な靱性が得られる。
転がり面の表面粗さが粗いと、油膜が切れ易くなり、油膜が切れた部分で軌道輪と転動体が金属接触し、組織変化の原因となる潤滑油の分解や水素の侵入が生じ易くなる。通常、転がり軸受の転がり面の表面粗さは算術平均粗さ(Ra)で管理されているが、粗さ曲線の最大山高さ(Rp)の方が部分的な油膜の切れ易さの指標としては適している。そして、転がり面の表面粗さが粗さ曲線の最大山高さ(Rp)で1.0μmを超えると、油膜が切れて部分的な金属接触が生じ易くなるため、1.0μm以下とした。
転動体の直径が30mm以上の転がり軸受は、軌道輪と転動体の接触面積が大きいため油膜が安定して形成されにくくなり、局所的に金属接触が生じやすいことに起因して、潤滑油が分解して水素が発生し易くなり、発生した水素が軌道輪および転動体をなす鋼に侵入し易くなる。
転がり軸受の回転方向が頻繁に変化する用途では、転動体と軌道輪との間の油膜が切れ易くなり、切れた部分で金属接触が生じるため、潤滑油が分解して水素が発生し易くなり、発生した水素が軌道輪および転動体をなす鋼に侵入し易くなる。
また、風力発電用風車の変速機の入出力軸(増速機の回転軸)を支持する用途は、歯車で動力を伝達する変速機の軸を支持し、軸に作用するトルクの方向が一時的に変化する用途に含まれ、建設機械の車軸を支持する用途は、転がり軸受の回転方向が頻繁に変化する用途に含まれる。
図1は、この実施形態の玉軸受を示す断面図である。この玉軸受は、内輪1、外輪2、ボール(転動体)3、および保持器4で構成されている。
図1の形状の玉軸受として、呼び番号「6317」の玉軸受(内径:85mm、外径:180mm、幅:41mm、ボール直径:30.2mm)を作製する。
外輪2とボール3は、SUJ2製の素材を用い、通常の方法で作製した。内輪1は以下の方法で作製した。内輪1用の素材として、表1の鋼種A〜Oからなる円柱状の素材をそれぞれ用意した。なお、鋼種OはSUJ2である。
<熱処理ア:浸炭→焼入れ焼戻し>
960℃に調整されたRxガス+エンリッチガス雰囲気に24時間保持する浸炭処理を行った後、860〜880℃で1.5時間保持した後に油冷する焼入れを行い、次いで160〜240℃の各温度で2時間保持する焼戻しを行った後、空冷する。
960℃に調整されたRxガス+エンリッチガス+アンモニアガス雰囲気に24時間保持する浸炭窒化処理を行った後、860℃、880℃、900℃の各温度で1.5時間保持した後に油冷する焼入れを行い、次いで160℃、180℃、200℃、240℃の各温度で2時間保持する焼戻しを行った後、空冷する。
840℃のRxガス雰囲気に1.5時間保持した後に油冷する焼入れを行い、次いで180℃で2時間保持する焼戻しを行った後、空冷する。
得られた内輪1、外輪2、ボール3と、一般的な鋼板の打ち抜き形の保持器4を用いて、図1の玉軸受を各3体組み立てて、以下の条件で回転試験を行い、内輪1、外輪2、ボール3のいずれかに剥離等の破壊が生じるまでの時間(寿命)を調べた。また、剥離が生じている面に組織変化が有るかどうかと、組織変化から芯部に向かう亀裂が生じているかどうかを、光学顕微鏡で観察した。
ラジアル荷重:53.2kN
回転速度:2000min-1
潤滑剤:高トラクション油(分解して水素が生じ易い潤滑油)
各サンプルの3体の軸受寿命の平均値(平均寿命)を算出し、各サンプルの平均寿命から、サンプルNo. 17の平均寿命を「1」とした相対値を算出した。その結果も表2に併せて示す。
また、得られた内輪1の軌道面を含む一部を切り出し、切断面を鏡面に研磨してビッカース硬さ測定用の試験片を作製した。この試験片を用い、マイクロビッカース硬さ測定機により、軌道面の1%D位置のビッカース硬さを10カ所で測定し、10カ所の測定値の平均値を算出した。
また、得られた内輪1の軌道面の表面粗さを、軸方向の8カ所で、軸方向に各4mmの長さで測定し、算術平均粗さ(Ra)と粗さ曲線の最大山高さ(Rp)を調べた。
これらの結果も下記の表2に併せて示す。
なお、表2の「寿命(相対値):5.0以上」は、サンプルNo. 17の寿命の5.0倍以上の時間が経過しても剥離が生じなかったため、試験を打ち切ったことを示す。また、剥離は全て内輪に生じ、剥離が生じていた軌道面には組織変化が生じていた。表2の下線部は、この発明の構成から外れていることを意味する。
No. 1〜9は前記構成(1) 〜(3) を満たすものであるが、このうち鋼種AとBからなる素材を用いたNo. 1〜4は、鋼種AとBのマンガン含有率が好ましい範囲にあるため、好適な硬さとなり、No. 17の5.0倍以上の寿命が得られた。
2 外輪
3 ボール(転動体)
4 保持器
Claims (5)
- 内輪、外輪、および転動体の少なくとも何れかは、
炭素含有率〔C〕が0.10質量%以上0.30質量%以下、珪素含有率〔Si〕が0.20質量%以上0.50質量%以下、マンガン含有率〔Mn〕が0.20質量%以上1.20質量%以下、クロム含有率〔Cr〕が2.6質量%以上4.5質量%以下、モリブデン含有率〔Mo〕が0.10質量%以上0.40質量%以下、選択成分であるニッケル含有率〔Ni〕が0.20質量%以下、選択成分である銅含有率〔Cu〕が0.20質量%以下、硫黄含有率〔S〕が0.02質量%以下、リン含有率〔P〕が0.02質量%以下、酸素含有率〔O〕が12質量ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である合金鋼からなり、
任意の切断面で面積320mm2 当たりに存在する直径10μm以上の酸化物系介在物が10個以下である素材を、所定形状に加工した後、浸炭または浸炭窒化と焼入れ焼戻しを行って得られ、
転がり面の表面から転動体の直径の0.01倍に相当する深さの位置で、炭素と窒素の合計含有率〔C+N〕が0.8質量%以上1.2質量%以下、ビッカース硬さ(Hv)が720以上830以下であり、残留オーステナイト量が20体積%以上45体積%以下であり、圧縮残留応力が50MPa以上300MPa以下であり、
芯部の硬さがビッカース硬さ(Hv)で400以上550以下であることを特徴とする転がり軸受。 - 転がり面の表面粗さが粗さ曲線の最大山高さ(Rp)で1.0μm以下である請求項1記載の転がり軸受。
- 転動体の直径が30mm以上である請求項1または2記載の転がり軸受。
- 風力発電用風車の回転軸を支持する用途で使用される請求項1または2記載の転がり軸受。
- 建設機械の回転軸を支持する用途で使用される請求項1または2記載の転がり軸受。
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