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JP5717559B2 - 被覆膜付部材および集電部材ならびに燃料電池セル装置 - Google Patents

被覆膜付部材および集電部材ならびに燃料電池セル装置 Download PDF

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JP5717559B2 JP2011144430A JP2011144430A JP5717559B2 JP 5717559 B2 JP5717559 B2 JP 5717559B2 JP 2011144430 A JP2011144430 A JP 2011144430A JP 2011144430 A JP2011144430 A JP 2011144430A JP 5717559 B2 JP5717559 B2 JP 5717559B2
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Description

本発明は、被覆膜付部材および集電部材ならびに燃料電池セル装置に関する。
近年、次世代エネルギーとして、燃料ガス(水素含有ガス)と酸素含有ガス(空気等)とを用いて600℃〜1000℃の高温下で発電する複数の燃料電池セルを、集電部材を介して電気的に直列に接続してなる燃料電池セル装置が知られている。そして、対向する燃料電池セル間に板状の集電部材を配置し、該板状の集電部材と燃料電池セルとを導電性接合材を用いて接合することが知られており(例えば、特許文献1参照)、集電部材は、板状の集電基体の表面に耐酸化性の被覆膜を形成して構成されている(例えば、特許文献2参照)。
この集電部材では、燃料電池セルに対向しているセル対向主面を有しており、該集電部材のセル対向主面と燃料電池セルとの間に導電性接合材が介在し、燃料電池セルと集電部材が電気的に接続されている。また、燃料電池セル間は、空気等の温度の低い酸素含有ガスが流れる構造とされている。
特開2005−339904号公報 特開2007−194025号公報
上記の集電部材は、燃料電池セルと対向するセル対向主面と、このセル対向主面と反対側の主面(一対の対向主面)を有しており、導電性接合材で燃料電池セルに接合された集電部材のセル対向主面では、発電時に燃料電池セルからの熱が伝導し、高い温度となるものの、集電部材のセル対向主面と反対側の主面では、温度が低い、例えば空気等の酸素含有ガスが接触するため、集電部材のセル対向主面と、このセル対向主面と反対側に位置する主面との間で温度差が生じ、セル対向主面と、該セル対向主面と反対側に位置する主面との間に形成される側面、言い換えれば、集電部材の厚みを規定する側面に、温度差に基づく熱応力が生じ、集電基体の表面に形成された耐酸化性の被覆膜にクラックが発生するおそれがあった。
本発明は、被覆膜におけるクラックの発生を抑制できる被覆膜付部材および集電部材ならびに燃料電池セル装置を提供することを目的とする。
また、本発明の燃料電池用集電部材は、金属または合金からなる板状の集電基体と、該板状の集電基体の全体を被覆する耐酸化性の被覆膜とを有するとともに、該被覆膜は、前記集電基体の一対の対向主面を被覆する主面側被覆膜と、前記集電基体の側面を被覆する側面側被覆膜とを有しており、前記側面側被覆膜は、前記主面側被覆膜よりも多孔質であることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池用集電部材は、金属または合金からなる板状の集電基体と、該板状の集電基体の全体を被覆する耐酸化性の被覆膜とを有するとともに、該被覆膜は、前記集電基体の一対の対向主面を被覆する主面側被覆膜と、前記集電基体の側面を被覆する側面側被覆膜とを有しており、前記被覆膜はセラミック粒子のみから成り、前記側面側被覆膜を構成するセラミック粒子の平均粒径は、前記主面側被覆膜を構成するセラミック粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする。
また、本発明の燃料電池用集電部材は、金属または合金からなる板状の集電基体と、該板状の集電基体の全体を被覆する耐酸化性の被覆膜とを有するとともに、該被覆膜は、前記集電基体の一対の対向主面を被覆する主面側被覆膜と、前記集電基体の側面を被覆する側面側被覆膜とを有しており、前記側面側被覆膜の硬度は、前記主面側被覆膜の硬度よりも小さいことを特徴とする。
また、本発明の燃料電池用集電部材は、金属または合金からなる板状の集電基体と、該板状の集電基体の全体を被覆する耐酸化性の被覆膜とを有するとともに、該被覆膜は、前記集電基体の一対の対向主面を被覆する主面側被覆膜と、前記集電基体の側面を被覆する側面側被覆膜とを有しており、前記側面側被覆膜のヤング率は、前記主面側被覆膜のヤング率よりも小さいことを特徴とする。
さらに、本発明の燃料電池セル装置は、複数の燃料電池セルと、該複数の燃料電池セル間に配置された上記の燃料電池用集電部材とを具備するとともに、前記燃料電池セルと前記燃料電池用集電部材とが導電性接合材で接合されており、前記集電基体の一対の対向主面のうち前記燃料電池セルに接合されたセル対向主面は、該セル対向主面と反対側の主面よりも温度が高いことを特徴とする。
本発明によれば、被覆膜付部材の一方の対向主面から加熱され、被覆膜付部材の他方の対向主面から冷却され、被覆膜付部材に熱応力が生じたとしても、側面側被覆膜は主面側被覆膜とは膜質が異なり、応力緩和膜とすることにより、燃料電池用集電部材等の被覆膜付部材の側面側被覆膜におけるクラックの発生を抑制することができる。
本発明の一実施形態である燃料電池セル装置を示すもので、(a)は燃料電池セル装置を概略的に示す側面図、(b)は(a)の一部を拡大して示す横断面図である。 図1に示す燃料電池セルを詳細に示すもので、(a)は横断面図、(b)は側面図である。 図1に示す集電部材を抜粋して示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のB−B線に沿った断面図である。 集電部材を示すもので、(a)は主面に沿った断面図であり、図3(b)のD−D線に沿った断面図、(b)は(a)のE−E線に沿った断面図、(c)は(a)のF−F線に沿った断面図である。 一対の燃料電池セルを集電部材で接合した状態を示す横断面図であり、(b)は(a)のC−C線に沿った断面図である。 (a)は一対の燃料電池セル間の集電部材を導電性接合材で接合した状態を示す縦断面図であり、(b)は(a)の一部を抜き出して示す拡大図である。 図1に示す燃料電池セル装置を収納容器に収納してなる燃料電池モジュールを分解して示す外観斜視図である。 図7に示す燃料電池モジュールを外装ケースに収納してなる燃料電池装置を示す斜視図である。
本発明の実施形態である燃料電池セル装置1について図1、2を用いて説明する。この燃料電池セル装置1は、一対の対向する主面をもち全体的に見て柱状の導電性支持体7の一方の主面上に、内側電極層である燃料極層8と、固体電解質層9と、外側電極層である空気極層10とをこの順に積層してなる発電部を備える燃料電池セル3を有している。導電性支持体7の内部にはガス流路12を有している。
そして、燃料電池セル3は、導電性支持体7の他方の主面のうち固体電解質層9が形成されていない部位にインターコネクタ11を積層してなる柱状(中空平板状)であり、これらの燃料電池セル3の複数個を1列に配列し、隣接する燃料電池セル3間に集電部材4を配置することで、燃料電池セル3同士を電気的に直列に接続してなるセルスタック2を備えている。
燃料電池セル3と集電部材4とは詳しくは後述するが、導電性接合材13を介して接合されており、それにより、複数個の燃料電池セル3を集電部材4を介して電気的および機械的に接合して、セルスタック2を形成している。
また、インターコネクタ11の外面にはP型半導体層(図示せず)を設けることもでき
る。集電部材4を、P型半導体層を介してインターコネクタ11に接続させることより、両者の接触がオーム接触となって電位降下を少なくすることができる。このP型半導体層は、空気極層10の外面にも設けてもよい。
すなわち、導電性支持体7は、図2に示されている形状から理解されるように、互いに平行な一対の平坦面nと、一対の平坦面nをそれぞれ接続する弧状面(側面)mとで構成されている。平坦面nの両面は互いにほぼ平行に形成されており、一方の平坦面n(下面)と両側の弧状面mを覆うように多孔質な燃料極層8が設けられており、さらに、この燃料極層8を覆うように、緻密質な固体電解質層9が積層されている。また、固体電解質層9の上には、多孔質な空気極層10が積層されている。固体電解質層9と空気極層10との間には、図示しなかったが、反応防止層が形成されている。
燃料極層8、固体電解質層9および空気極層10により発電部が構成されており、この発電部が導電性支持体7に設けられている。導電性支持体7は、内部に燃料ガスを流通させるためのガス流路12を有するとともに、固体電解質層9とインターコネクタ11とで気密に囲まれている。
燃料極層8および固体電解質層9は、両端の弧状面mを経由して他方の平坦面n(上面)まで形成されており、固体電解質層9の両端部にインターコネクタ11の両端部が接合され、固体電解質層9とインターコネクタ11で導電性支持体7を取り囲み、内部を流通する燃料ガスが外部に漏出しないように構成されている。
そして、セルスタック2を構成する各燃料電池セル3の下端部が、ガスタンク6に、ガラス等のシール材(図示せず)により固定されており、ガスタンク6内の燃料ガスが、燃料電池セル3の内部に設けられたガス流路12を介して固体電解質層9に燃料ガスを供給するように構成されている。
図1に示す燃料電池セル装置1においては、燃料電池セル3のガス流路12の内部を燃料ガスとして水素含有ガスが流れるとともに、燃料電池セル3の間に配置された集電部材4の内側を酸素含有ガス(空気)が流れる構成となる。それにより、燃料極層8にガスタンク6から燃料ガスが供給され、空気極層10に集電部材4の内側を通じて酸素含有ガスが供給されることで、燃料電池セル3の発電が行なわれる。以下の説明においては、外側電極層を空気極層10、内側電極層を燃料極層8として説明する。
燃料電池セル装置1は、燃料電池セル3の配列方向xの両端から、セルスタック2を挟持するように、ガスタンク6に下端部が固定された弾性変形可能な導電部材5を具備している。ここで、図1に示す導電部材5は、セルスタック2の端部に位置するように設けられた平板部5aと、燃料電池セル3の配列方向xに沿って外側に向けて延びた形状で、セルスタック2(燃料電池セル3)の発電により生じる電流を引出すための電流引出部5bとを有している。
以下に、図1において示す燃料電池セル3を構成する各部材について説明する。燃料極層8は、一般的に公知のものを使用することができ、多孔質の導電性セラミックス、例えば希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニアと称する)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。
固体電解質層9は、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有していると同時に、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを防止するためにガス遮断性を有することが必要とされ、3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrO等の固体酸化物から形成される。なお、上記特性を有する限りにおいては、他の材料等を用いて形成してもよい。
空気極層10は、一般的に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、いわゆるABO型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成することができる。空気極層10はガス透過性を有していることが必要であり、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲とすることができる。
インターコネクタ11は、導電性セラミックスから形成することができるが、燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガス(空気等)と接触するため、耐還元性及び耐酸化性を有することが必要であり、それゆえランタンクロマイト(LaCrO)を使用することができる。なお、ランタンクロマイト(LaCrO)以外の材料を用いることもできる。インターコネクタ11は、導電性支持体7に形成された複数のガス流路12を流通する燃料ガス、および導電性支持体7の外側(集電部材4の内側)を流通する酸素含有ガスのリークを防止するために緻密質でなければならず、93%以上、特に95%以上の相対密度であることが好ましい。
導電性支持体7としては、燃料ガスを燃料極層8まで透過するためにガス透過性であること、さらには、インターコネクタ11を介して集電するために導電性であることが必要とされる。したがって、導電性支持体7としては、かかる要求を満足するものを用いる必要があり、例えば導電性セラミックスやサーメット等を用いることができる。
なお、燃料電池セル3を作製するにあたり、燃料極層8または固体電解質層9との同時焼成により導電性支持体7を作製する場合においては、鉄属金属成分と特定希土類酸化物とから導電性支持体7を形成することができる。また、導電性支持体7は、所要ガス透過性を備えるために開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあるのが好適であり、そしてまたその導電率は50S/cm以上、さらには300S/cm以上、440S/cm以上にしてもよい。
さらに、P型半導体層(図示せず)としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物からなる層を例示することができる。具体的には、インターコネクタ11を構成するランタンクロマイトよりも電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Coなどが存在するランタンマンガナイト(LaSrMnO)、ランタンフェライト(LaSrFeO)、ランタンコバルタイト(LaSrCoO)などの少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができる。このようなP型半導体層の厚みは、一般に、30〜100μmの範囲とすることが好ましい。
導電性接合材13は、燃料電池セル3と集電部材4とを接合するために設けられており、導電性セラミックス等を用いて形成することができる。導電性セラミックスとしては、空気極層10を形成するものと同様のものを用いることができ、空気極層10と同じ成分により形成すると、空気極層10と導電性接合材13との接合強度が高くなるため空気極層10と同じ成分により形成することが好ましい。
具体的には、LaSrCoFeO、LaSrMnO、LaSrCoO等を用いることができる。これらの単一の材料を用いて作製してもよく、2種以上組み合わせて導電性接合材13を作製してもよい。
また、導電性接合材13は、空気極層10とは、粒径の異なる異種材料により構成してもよく、粒径の同じ異種材料により構成してもよい。さらに、粒径の異なる同材料により構成してもよく、粒径の同じ同材料により構成してもよい。異なる粒径を用いた場合には微粒の粒径を0.1〜1.0μm、粗粒の粒径を1.0〜10.0μmとすることが好ましい。また同じ粒径で導電性接合材13を構成する場合は、粒径が0.1〜10μmとす
ることが好ましい。
このように、異なる粒径の材料を用いて導電性接合材13を作製することにより、粒径の大きな粗粒が導電性接合材13の強度を向上させるとともに、粒径の小さな微粒が導電性接合材13の焼結性を向上させることができる。
次に、集電部材4について図3〜5を用いて説明する。集電部材4は、隣接する一方の燃料電池セル3と接合される複数の板状の第1セル対面部4a1と、燃料電池セルから離れるように第1セル対面部4a1の両側から延びた板状の第1離間部4a2と、隣接する他方の燃料電池セル3と接合される複数の板状の第2セル対面部4b1と、燃料電池セルから離れるように第2セル対面部4b1の両側から延びた板状の第2離間部4b2とを有している。
さらに、複数の第1離間部4a2および複数の第2離間部4b2の一端同士を連結する第1連結部4cと、複数の第1離間部4a2および複数の第2離間部4b2の他端同士を連結する第2連結部4dとを加えて一組のユニットとし、これらのユニットの複数組が、燃料電池セル3の長手方向に導電性連結片4eにより連結されて構成されている。第1セル対面部4a1および第2セル対面部4b1は、図5(a)に示すように、燃料電池セル3に導電性接合材13で接合されており、これらの部位が燃料電池セル3の発電電力を出入する部分となっている。
集電部材4は、第1セル対面部4a1および第2セル対面部4b1が、第1、第2連結部4c、4dに対して、一対の燃料電池セル方向に交互に突出するように折り曲げられており、第1セル対面部4a1と第2セル対面部4b1との間には、例えば空気等の酸素含有ガスが通過する空間Sが、燃料電池セル3の長さ方向、言い換えれば燃料ガスの流れ方向に形成されている。
そして、集電部材4は、図3、4に示すように、金属または合金からなる板状の集電基体15と、該板状の集電基体15の全体を被覆する耐酸化性のセラミックスからなる被覆膜17とを有するとともに、該被覆膜17は、集電基体15の一対の対向主面を被覆する主面側被覆膜17aと、集電基体15の側面を被覆する側面側被覆膜17bとを有しており、側面側被覆膜17bは主面側被覆膜17aとは膜質が異なり、応力緩和膜とされている。
すなわち、集電基体15の主面部分には主面側被覆膜17aが、集電基体15の厚みを規定する側面部分には側面側被覆膜17bが形成されており、図3のような集電部材4では、集電基体15が露出した部分がなく、全体が耐酸化性の被覆膜17で被覆されている。
集電基体15の厚みは、10〜100μm、主面側被覆膜17aは0.1〜100μm、側面側被覆膜17bは0.1〜100μmとされている。なお、図面では、集電部材4の厚みを誇張して記載し、セルの長さを短縮して記載した。
このような集電部材4は、図3のような形状の集電基体15を作製した後、集電基体15が露出した部分に、耐酸化性の被覆膜17を被覆することで、酸化しやすい集電基体15の表面全面を、耐酸化性の被覆膜17で被覆することができる。
集電部材4は、耐熱性および導電性を有する必要があり、金属または合金により作製されている。特には、集電部材4は、高温の酸化雰囲気に曝されることから4〜30%の割合でCrを含有する合金から作製することができ、Fe−Crの合金やNi−Crの合金
等により作製できる。
耐酸化性の被覆膜17は、例えば、Cr拡散防止層とされており、例えば、Znと、Cr、Mn、Al、Sr等とを含むスピネル型酸化物を含有している。Cr拡散防止層としては、例えば、Mnを主として含有するスピネル型酸化物、Tiを主として含有するスピネル型酸化物であっても良い。
そして、図5、6に示すように、燃料電池セル3と集電部材4の第1、第2セル対面部4a1、4b1とが導電性接合材13で接合されている。
言い換えると、複数の燃料電池セル3が一対の平坦部を有し、一方の平坦部に、インターコネクタ11を有しており、該インターコネクタ11に第1セル対面部4a1が対面し、また、他方の燃料電池セル3の他方の平坦部に設けられた空気極層10に第2セル対面部4b1が対面し、これらが導電性接合材13で接合されている。
さらに言い換えると、固体電解質層9が形成されていない導電性支持体7の面、および固体電解質層9の両端部に、インターコネクタ11が接合されており、インターコネクタ11と、第1セル対面部4a1との間が導電性支持体7で接合されている。また、他方の燃料電池セル3の空気極層10と、集電部材4の第2セル対面部4b1との間が導電性支持体7で接合されている。第1セル対面部4a1と第2セル対面部4b1との間に形成されている空間Sを、図6の矢印で示すように、空気が上方に流れることになる。
固体酸化物形燃料電池においては、燃料電池セル3間を電気的に接続するために、集電部材4としては耐熱性を有する金属または合金で構成する必要があり、しかも600〜850℃程度の高い温度で発電するため、集電基体15が酸化しないように、耐酸化性の被覆膜17で、表面を被覆する必要がある。このような耐酸化性の被覆膜17では、一部にクラックが発生すると、そのクラック部分から、酸化が生じ、例えば、Crが酸化クロムとなって拡散していくおそれがあるため、被覆膜17におけるクラックを防止する必要がある。
燃料電池セル3は、発電時に生じるジュール熱により高温となり、このジュール熱が空気極層10と第2セル対面部4b1との間の導電性接合材13、およびインターコネクタ11と第1セル対面部4a1との間の導電性接合材13を介して、集電部材4側に伝導する。一方で、第1セル対面部4a1と第2セル対面部4b1との間に形成されている空間Sを、温度の低い空気が上方に流れることになるため、集電部材4の第1セル対面部4a1、第2セル対面部4b1では、燃料電池セル3側から加熱され、集電部材4の空間S側から空気により冷却され、第1セル対面部4a1、第2セル対面部4b1の側面側被覆膜17bには高い熱応力が生じ、側面側被覆膜17bにクラックが入るおそれがある。
従来は、集電基体15の全体、すなわち、主面側被覆膜、側面側被覆膜とが同じ膜質とされていたが、本実施形態では、側面側被覆膜17bは主面側被覆膜17aとは膜質を異ならせ、応力緩和膜としている。
具体的には、側面側被覆膜17bは主面側被覆膜17aよりも多孔質としている。側面側被覆膜17bが主面側被覆膜17aよりも多孔質であるため、集電部材4の第1セル対面部4a1、第2セル対面部4b1が、燃料電池セル3側から加熱され、集電部材4の空間S側から空気により冷却され、集電部材4が変形しても、多孔質である側面側被覆膜17bが変形し、第1セル対面部4a1、第2セル対面部4b1の側面側被覆膜17bにおける熱応力を抑制することができ、側面側被覆膜17bにおけるクラック発生を抑制することができる。
側面側被覆膜17bが主面側被覆膜17aよりも多孔質か否かは、集電部材4の表面及び断面写真を撮り、側面側被覆膜17bと主面側被覆膜17aとの気孔径、気孔含有率を比較することにより、確認することができる。側面側被覆膜17bを主面側被覆膜17aよりも多孔質とするためには、例えば、側面側被覆膜17bを、主面側被覆膜17aとは別個に形成する。例えば、以下のような手法で形成することができる。例えば、スパッタ法により形成する場合には、主面側被覆膜17aをスパッタ法で形成した後、主面側被覆膜17aにマスクし、側面側被覆膜17bのみを多孔質に形成する。また、例えば、集電基体15の側面部に被覆膜形成を抑制する防着板を設置することにより側面側被覆膜17bを多孔質にすることができる。また出力、雰囲気ガス流量の調整によっても多孔質にすることができる。ディップ法の場合には、側面側被覆膜17bを、主面側被覆膜17aとは別個に形成することにより、側面側被覆膜17bを主面側被覆膜17aとは膜質を異ならせ、多孔質とすることができる。
例えば、主面側被覆膜17aの気孔率は0〜1.0%、側面側被覆膜17bは1.0〜5.0%とされている。
また、側面側被覆膜17bを構成するセラミック粒子の平均粒径を、主面側被覆膜17aを構成するセラミック粒子の平均粒径よりも大きくすることによっても、第1セル対面部4a1、第2セル対面部4b1の側面側被覆膜17bにおける熱応力を抑制することができ、側面側被覆膜17bにおけるクラック発生を抑制することができる。セラミック粒子の平均粒径は、集電部材4の表面及び断面写真から求めることができる。この場合も、上記と同様の方法にて作製することができる。
さらに、側面側被覆膜17bの硬度を、主面側被覆膜17aの硬度よりも小さくすること、側面側被覆膜17bのヤング率を、主面側被覆膜17aのヤング率よりも小さくすることによっても、第1セル対面部4a1、第2セル対面部4b1の側面側被覆膜17bにおける熱応力を抑制することができ、側面側被覆膜17bにおけるクラック発生を抑制することができる。側面側被覆膜17b、主面側被覆膜17aの硬度、ヤング率は、ナノインデンテンター法(荷重−変位曲線から算出)により、求めることができる。
ここで、集電部材4の作製方法について説明する。一枚の矩形状をした板状の集電基体15にプレス加工を施して集電基体15の幅方向に延びるスリットを集電基体15の長手方向に複数形成する。そして、第1セル対面部4a1および第2セル対面部4b1となるスリット間の部位を交互に突出させることにより、図3に示すような集電基体15を作製することができる。この後、上記したように、例えば、側面側被覆膜17b、主面側被覆膜17aを別個に作製することにより、側面側被覆膜17bを主面側被覆膜17aとは膜質を異ならせることができる。
次に、燃料電池セル装置1を収納容器21内に収納してなる燃料電池モジュール20について図7を用いて説明する。
図7に示す燃料電池モジュール20は、燃料電池セル3にて使用する燃料ガスを得るために、天然ガスや灯油等の原燃料を改質して燃料ガスを生成するための改質器22をセルスタック2の上方に配置している。そして、改質器22で生成された燃料ガスは、ガス流通管23を介してガスタンク6に供給され、ガスタンク6を介して燃料電池セル3の内部に設けられたガス流路12に供給される。
なお、図7においては、収納容器21の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されている燃料電池セル装置1および改質器22を後方に取り出した状態を示している。ここで
、図7に示した燃料電池モジュール20においては、燃料電池セル装置1を、収納容器21内にスライドして収納することが可能である。
また収納容器21の内部に設けられた酸素含有ガス導入部材24は、図7においてはガスタンク6に並置されたセルスタック2の間に配置されるとともに、酸素含有ガスが、燃料ガスの流れに合わせて、燃料電池セル3の側方を下端部側から上端部側に向かって流れるように、燃料電池セル3の下端部側に酸素含有ガスを供給するように構成されている。そして、燃料電池セル3のガス流路より排出される発電に使用されなかった余剰の燃料ガス(燃料オフガス)を燃料電池セル3の上方で燃焼させることにより、セルスタック2の温度を効果的に上昇させることができ、燃料電池セル装置1の起動を早めることができる。また、燃料電池セル3の上方にて、燃料電池セル3のガス流路から排出される発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させることにより、セルスタック2の上方に配置された改質器22を温めることができる。それにより、改質器22で効率よく改質反応を行うことができる。
次に、燃料電池モジュール20と、燃料電池モジュール20を作動させるための補機(図示せず)とを外装ケースに収納してなる燃料電池装置25について図8を用いて説明する。
図8に示す燃料電池装置25は、支柱26と外装板27から構成される外装ケース内を仕切板28により上下に区画し、その上方側を上述した燃料電池モジュール20を収納するモジュール収納室29とし、下方側を燃料電池モジュール20を作動させるための補機を収納する補機収納室30として構成されている。なお、補機収納室30に収納する補機を省略している。
また、仕切板28には、補機収納室30の空気をモジュール収納室29側に流すための空気流通口31が設けられており、モジュール収納室29を構成する外装板27の一部に、モジュール収納室29内の空気を排気するための排気口32が設けられている。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
例えば、上述した燃料電池セル装置1においては、燃料電池セル3のガス流路12に燃料ガスを供給し、燃料電池セル3の外側に酸素含有ガスを供給する例を示したが、ガス流路12に酸素含有ガスを供給し、燃料電池セル3の外側に燃料ガスを供給する構成としてもかまわない。その場合においては、内側電極層を空気極層10とし、外側電極層を燃料極層8とする構成の燃料電池セル3とすればよい。その際は、導電性接合材13の成分を燃料極層8と同様の組成にすることにより、外側電極層としての燃料極層8と導電性接合材13との接合強度を向上させることができる。
また、上記形態では、被覆膜付部材として、燃料電池用集電部材に適用した形態について説明したが、その他のエンジン、炉、ボイラー等高温の熱が発生する装置の構成部材等に被覆膜付部材を用いることもできる。
さらに、上記形態では、集電部材4を、一方の燃料電池セル3のインターコネクタ11と、他方の燃料電池セル3の空気極層10とに接合した燃料電池セル装置について説明したが、例えば、集電部材4で、一方の燃料電池セルの空気極と、他方の燃料電池セルの空気極層とを接合した燃料電池セル装置であっても良い。
また、上記形態では、中空平板型の燃料電池セルを用いたが、円筒型、平板型の燃料電池セルを用いても良い。
1:燃料電池セル装置
2:セルスタック
3:燃料電池セル
4:集電部材
4a1:第1セル対面部
4b1:第2セル対面部
6:ガスタンク
13:導電性接合材
15:集電基体
17:被覆膜
17a:主面側被覆膜
17b:側面側被覆膜
20:燃料電池モジュール
25:燃料電池装置
S:空間

Claims (5)

  1. 金属または合金からなる板状の集電基体と、該板状の集電基体の全体を被覆する耐酸化性の被覆膜とを有するとともに、該被覆膜は、前記集電基体の一対の対向主面を被覆する主面側被覆膜と、前記集電基体の側面を被覆する側面側被覆膜とを有しており、
    前記側面側被覆膜は、前記主面側被覆膜よりも多孔質であることを特徴とする燃料電池用集電部材。
  2. 金属または合金からなる板状の集電基体と、該板状の集電基体の全体を被覆する耐酸化性の被覆膜とを有するとともに、該被覆膜は、前記集電基体の一対の対向主面を被覆する主面側被覆膜と、前記集電基体の側面を被覆する側面側被覆膜とを有しており、
    前記被覆膜はセラミック粒子のみから成り、
    前記側面側被覆膜を構成するセラミック粒子の平均粒径は、前記主面側被覆膜を構成するセラミック粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする燃料電池用集電部材。
  3. 金属または合金からなる板状の集電基体と、該板状の集電基体の全体を被覆する耐酸化性の被覆膜とを有するとともに、該被覆膜は、前記集電基体の一対の対向主面を被覆する主面側被覆膜と、前記集電基体の側面を被覆する側面側被覆膜とを有しており、
    前記側面側被覆膜の硬度は、前記主面側被覆膜の硬度よりも小さいことを特徴とする燃料電池用集電部材。
  4. 金属または合金からなる板状の集電基体と、該板状の集電基体の全体を被覆する耐酸化性の被覆膜とを有するとともに、該被覆膜は、前記集電基体の一対の対向主面を被覆する主面側被覆膜と、前記集電基体の側面を被覆する側面側被覆膜とを有しており、
    前記側面側被覆膜のヤング率は、前記主面側被覆膜のヤング率よりも小さいことを特徴とする燃料電池用集電部材。
  5. 複数の燃料電池セルと、該複数の燃料電池セル間に配置された請求項乃至のうちいずれか記載の燃料電池用集電部材とを具備するとともに、前記燃料電池セルと前記燃料電池用集電部材とが導電性接合材で接合されており、
    前記集電基体の一対の対向主面のうち前記燃料電池セルに接合されたセル対向主面は、該セル対向主面と反対側の主面よりも温度が高いことを特徴とする燃料電池セル装置。
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