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JP5710085B2 - 前照灯用光軸制御装置および前照灯用光軸制御システム - Google Patents

前照灯用光軸制御装置および前照灯用光軸制御システム Download PDF

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Description

この発明は、傾斜センサの計測する傾斜角度を使用して、車両の前方を照らす前照灯の上下方向の光軸を一定の角度に保つ前照灯用光軸制御装置および前照灯用光軸制御システムに関する。
車両に搭載された前照灯は、対向車を運転する運転者を眩惑しないように、すれ違い用の配光(すれ違い灯、ロウビーム)を形成する。当すれ違い用の配光を形成する上下方向の光軸は、例えば複数の乗客を乗せても、また、重い荷物を積載しても、対向車を運転する運転者を眩惑しないように、路面に対して常に一定の角度(一定の高さ)に保たれることが望ましい。そのため、前照灯の光軸を好適に保つために、従来より、前照灯用光軸制御装置(オートレベライザ)、ならびに、前照灯、当前照灯用光軸制御装置および光軸駆動装置等を含む前照灯用光軸制御システムが車両に搭載されている。
ところで、路面に対する車両の傾斜角度の計測方法としては懸架装置の伸び縮み量を計測するセンサを用いるもの、超音波センサを用いるもの等いくつかあるが、いずれの方式の傾斜センサを使用しても、車両が停止しているときの傾斜角度計測値は1点の傾斜角度である。従って、例えば、タイヤが縁石に乗り上げているような異常な状態において計測した異常な傾斜角度計測値に基づいて光軸の制御を行うと、縁石から離脱し平らな道路を走行しているときに、前照灯が異常な方向を照らし、対向車を運転する運転者を眩惑する可能性がある。
しかしながら、タイヤが縁石に乗り上げて停止しているような異常な状態においても、傾斜センサが測定する傾斜角度計測値は安定した値となるため、当傾斜角度計測値が異常であることを光軸制御装置で判別することは困難である。
以下に、傾斜センサが測定する傾斜角度計測値を使用しながらも、上述のような異常な制御を回避するために発案された従来例を示す。
なお、当前照灯用光軸制御には、搭乗者の人数および貨物の積載量等で変わる車両の傾斜角度の変化はもとより、走行中の加速および減速等による車両の傾斜角度の変化に対応して光軸を制御するダイナミック制御方式と、走行中の加速および減速等による車両の傾斜角度の変化には対応せずに、搭乗者の人数および貨物の積載量等で変わる車両の傾斜角度の変化に対応して光軸を制御するスタティック制御方式がある。
当スタティック制御方式においては、走行中の加速および減速等による傾斜角度の変化を吸収して一様にする目的で時定数の大きなフィルタが使用されるために、自ずと傾斜角度変化に対する応答は緩慢になる。
従来例として、例えば特許文献1は、一方で、走行の開始からサンプリングした傾斜角度計測値を累積し平均化することで傾斜角度平均値を求め、走行に従って時々刻々と得られる傾斜角度計測値を大量に使用して傾斜角度を真の値に漸近させながら、他方で、前照灯の光軸を少しずつ操作して、上記真の傾斜角度に対応する光軸に至らしめるものである。また、車速センサ等の出力に基づいて車両の走行と停止を判別し、タイヤが縁石に乗り上げている可能性がある停車中には光軸制御を行わない構成である。
また例えば、特許文献2は、応答性が緩慢な走行用の光軸制御と、応答性が迅速な試験用の光軸制御とを備え、人為的な車両の状態変化を検出したときに、走行用の光軸制御から試験用の光軸制御へ切換えて、光軸制御装置の試験を行うものである。この特許文献2は、上記特許文献1のように緩慢な光軸制御を行う構成でありながらも、特性を確認するとき(当然タイヤが縁石に乗り上げているような異常な状態での特性確認は行わない)には、停車中であっても迅速な光軸制御を行うように切換える構成である。
また例えば、特許文献3は、停車時の傾斜角度に基づいて走行中の前照灯の光軸を決定し、当停車時の傾斜角度が所定値以上の場合に光軸を操作するものである。タイヤが縁石に乗り上げて停車したとき、傾斜角度が所定値以上になるため、光軸制御が行われることになる。しかしながら、この特許文献3はダイナミック制御方式に関するもので、縁石に乗り上げて停車して、当異常な車両の傾斜角度に基づいて光軸制御を行っても、走行を開始すれば、傾斜角度が逐次更新され、当異常な状態が継続されないため、異常な光軸制御によって対向車を運転する運転者を眩惑する可能性は低い。
特開2004−359175号公報 特開2005−81867号公報 特開2000−225887号公報
以上のように、上記特許文献1に係る発明は、走行中ならば異常な状態が存在しないことに着眼し、傾斜角度の計測を走行中に限定する構成であるため、傾斜角度計測値が異常であることを光軸制御装置自身が判別することはできず、車速センサ等の走行と停止を判定する追加センサが必要になるという課題があった。
また、上記特許文献2に係る発明も、光軸制御装置自身が傾斜角度計測値の異常を判別するのではなく、車両に加えられる人為的な状態変化を検出して、異常な状態が存在しない特性確認時のみ、迅速な応答性の光軸制御を行う構成であった。
上記特許文献3に係る発明はダイナミック制御方式であり、異常な停車状態において計測された傾斜角度に基づいて光軸制御を行ったとしても、走行を開始すれば傾斜角度が逐次更新され、異常な状態が継続されない。そのため、光軸制御装置自身が傾斜角度計測値の異常を判別する必要がない。
しかしながら、上記ダイナミック制御より動作が緩慢なスタティック制御において、停車中の異常な傾斜角度に基づいて光軸制御を行えば、縁石から離脱し平らな道路を走行しているときに、前照灯が異常な方向を照らし、対向車を運転する運転者を眩惑する可能性がある。つまり、特許文献3のダイナミック制御をそのままスタティック制御に適用することはできず、スタティック制御を行う場合には傾斜角度計測値が異常であることを判別する必要があるという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、車両の走行および停車を判別することなく、例えばタイヤが縁石に乗り上げて車両が傾いて停車しているような異常な状態においては光軸を操作しない、好適な光軸制御を行う前照灯用光軸制御装置および前照灯用光軸制御システムを提供することを目的とする。
この発明の前照灯用光軸制御装置は、路面に対する車両の前後方向の傾斜角度を所定の周期で計測する傾斜センサと、傾斜センサが計測した今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が第1の閾値以上になる傾斜角度計測値を統計的に処理して車両の傾斜角度を算出し、当該傾斜角度を使用して車両の前照灯の光軸を制御する信号を生成する制御部とを備えるものである。
この発明の前照灯用光軸制御システムは、上述の前照灯用光軸制御装置と、車両の前照灯と、前照灯用光軸制御装置が生成する信号に基づいて前照灯の光軸を操作する光軸駆動装置とを備えるものである。
この発明によれば、例えばタイヤが縁石に乗り上げて車両が傾いて停車しているような異常な状態が存在する可能性がある、安定して変動しない傾斜角度計測値を除外し、例えば走行中のように異常な状態が存在する可能性がほとんど無い、変動している傾斜角度計測値を統計的に処理することにより、車両の走行および停車を判別することなく、異常な状態においては光軸を操作しない好適な光軸制御を行う前照灯用光軸制御装置、および当前照灯用光軸制御装置を用いた前照灯用光軸制御システムを提供することができる。
この発明の実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置を用いた前照灯用光軸制御システムの車両搭載例を示す図である。 実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置の光軸制御を説明する図であり、前輪を縁石に乗り上げて停車し、貨物を積載したときの一例である。 実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置の光軸制御を説明する図であり、停車中に搭乗者が乗り降りしたときの一例である。 実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置の動作を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置の光軸制御を説明する図であり、傾斜角度計測値の変動が所定時間途絶えたときに傾斜角度積算値をリセットしたときの一例である。 なだらかにうねる路面を走行する場合に計測される連続的に変動する傾斜角度計測値を説明する図である。 小さな凸凹がある路面を走行する場合に計測される不連続的に変動する傾斜角度計測値を説明する図である。 溝および石などが存在する路面を走行する場合に計測される突発的に変動する傾斜角度計測値を説明する図である。 この発明の実施の形態2に係る前照灯用光軸制御装置の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3に係る前照灯用光軸制御装置の動作を示すフローチャートである。 図11Aに示すフローチャートの続きである。 この発明の実施の形態4に係る前照灯用光軸制御装置において、応答性の緩慢な光軸制御から迅速な光軸制御へ切換えるためのパターン例を説明する図である。 この発明の実施の形態5に係る前照灯用光軸制御装置が用いる、接触式の傾斜センサを説明する図である。 図13に示す前照灯用光軸制御装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態5に係る前照灯用光軸制御装置が用いる、非接触式の傾斜センサを説明する図である。 実施の形態5に係る前照灯用光軸制御装置が用いる、加速度センサを使用した傾斜センサを説明する図である。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1に示すように、車両1には、光軸3の方向を調整する光軸駆動装置4を備えた前照灯2と、傾斜センサ6を含む前照灯用光軸制御装置5とが設置され、前照灯用光軸制御装置5と光軸駆動装置4とが配線8により接続されている。なお、光軸駆動装置4には、モータおよび光軸調整機構が内蔵されている。これら前照灯2、光軸駆動装置4、前照灯用光軸制御装置5(傾斜センサ6を含む)、および、配線8を始めとする各接続配線の一式を、前照灯用光軸制御システムとする。
本実施の形態1では、傾斜センサ6として、車両1の前後方向2箇所に、超音波または電波等を送受信して路面に対する高さを計測する車高センサを設置し、当2箇所の車高センサ間の距離および当2箇所で計測する車高値の差分を用いて、路面に対する車両1の前後方向の傾斜角度を演算する、非接触式の車高センサを用いる。
本実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置5は、車両1の前方を照らす前照灯2の上下方向(車両高さ方向)の光軸3を目標光軸角度に保つものであり、特に、走行中の加速および減速による車両1の傾斜角度変化には対応せずに、搭乗者9の人数および貨物10の積載量等で変わる車両1の傾斜角度変化に対応して制御するスタティック制御を行うものである。
図2は、本実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置5の構成を示すブロック図である。図示するように、前照灯用光軸制御装置5は、超音波式または電波式の傾斜センサ6と、傾斜センサ6の計測する傾斜角度に基づいて、前照灯2の光軸3を操作する操作信号を算出し出力する制御部7とを備える。この制御部7は、傾斜センサ6の計測する複数の傾斜角度計測値を平均化して傾斜角度平均値を算出し、〔操作信号=目標光軸角度+初期設定傾斜角度−傾斜角度平均値〕を計算し、当計算された操作信号を出力する。なお、前記目標光軸角度および初期設定傾斜角度は、予め制御部7に設定されている値とする。光軸駆動装置4が、前照灯用光軸制御装置5の制御部7から入力される操作信号に応じてモータを回し、光軸調整機構を介して前照灯2の光学系を前後に傾けて光軸3の角度を操作することによって、車両1の傾斜角度に見合った光軸制御を行う。
ここで、図3に、車両1の前輪を縁石に乗り上げて停車し、貨物10を積載したときの車両1の傾斜状態を示し、図4に、停車中に搭乗者9が乗り降りしたときの車両1の傾斜状態を示す。図3および図4において、(a)は車両1の走行/停車状態、(b)は搭乗者9の乗り降り、(c)は貨物10の有り無し、(d)は傾斜センサ6の計測する路面に対する車両1の傾斜角度、(e)は傾斜角度計測値から算出した傾斜角度平均値、(d)は傾斜角度平均値から算出した操作信号を表す。
路面に対する車両1の傾斜角度の計測において、停車しているときの傾斜角度計測値は、傾斜センサ6に対向する局所的な路面1点から得られる計測値であり、安定して一定な値とはなるが、例えば、図3に示すように、タイヤが縁石に乗り上げているような異常な状態である可能性が無いとは言えない。逆に、普通に走行しているときに、上記のような異常な状態になることはほとんど無く、それが連続する事態は皆無に等しい。
つまり、車両1が走行しているときに傾斜センサ6が計測する複数の傾斜角度計測値を使用して算出した傾斜角度平均値の方が、停車しているときの1点の傾斜角度計測値より確度が高い。従って、本実施の形態1では、安定して一定ながらも正しい値ではない可能性を含んだ傾斜角度計測値をあえて使用せずに、時々刻々と変動する傾斜角度計測値を複数使用して、路面に対する車両1の傾斜角度平均値を算出し、当傾斜角度平均値を使用して前照灯2の光軸3を制御する。
以上のことから、制御部7は、傾斜センサ6により周期的に計測される個々の傾斜角度計測値を比較し、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が所定値(第1の閾値)以上であるときに、傾斜角度計測値が変動している、即ち走行中と判断する。そして、変動していると判断した傾斜角度計測値を複数集計して傾斜角度平均値を算出する。一方、傾斜角度計測値が変動していない、即ち停止中と判断した場合は、当傾斜角度計測値を傾斜角度平均値の算出に使用しない。
なお、第1の閾値は、車両1の傾斜角度が一定で安定しているか変動しているかを判別する値であり、傾斜センサ6の計測精度等に応じて設定すればよい。
ここで、図5に示すフローチャートを用いて、前照灯用光軸制御装置5の動作を説明する。
ステップST1において、制御部7が光軸制御の演算に使用するパラメータ(計測タイマ、演算用カウンタ、傾斜角度計測数、傾斜角度積算値)をリセットする。当フローチャートの動作例では、傾斜角度の計測を10msごとに行うこととし、この計測周期を計測タイマで計時する。また、傾斜角度計測値を200個収集するごとに傾斜角度平均値を算出することとし、収集数を演算用カウンタで集計する。他方、傾斜角度計測値の計測数を表す傾斜角度計測数および傾斜角度計測値を積算した値である傾斜角度積算値は、図5に示すフローチャートを開始以降リセットせず累積する。
ステップST2において、制御部7は計測タイマをインクリメントし、計測タイマの値が10ms以上になると(ステップST3“YES”)、計測タイマをリセットすると共に(ステップST4)、以下の光軸制御を実施する(ステップST5〜ST14)。
制御部7は先ず、前回の傾斜角度計測値を前回計測値に移動し(ステップST5)、今回の傾斜角度計測値を傾斜センサ6から取得する(ステップST6)。続いて制御部7は、今回の傾斜角度計測値と前回計測値との差分が0.01度(第1の閾値)以上のときに傾斜角度計測値が変動していると判断し、また、当差分が0.1度(第2の閾値)以下のときにその変動が連続的であると判断して(ステップST7“YES”)、今回の傾斜角度計測値を採用することとし、傾斜角度計測数をインクリメントする(ステップST8)。
制御部7は、傾斜角度積算値に今回の傾斜角度計測値を加算して、傾斜角度積算値を更新する(ステップST9)。続いて制御部7は、演算用カウンタをインクリメントし(ステップST10)、演算用カウンタの値が200個以上になると(ステップST11“YES”)、演算用カウンタをリセットすると共に(ステップST12)、傾斜角度平均値の算出へ進む(ステップST13)。
一方、演算用カウンタの値が200個未満の場合(ステップST11“NO”)、ステップST2へ戻り、次回周期の計測を行う。
制御部7は、連続的に変動している傾斜角度計測値が200個蓄積されるごとに、光軸制御開始から累積する傾斜角度積算値を傾斜角度計測数で除して、傾斜角度平均値を算出する(ステップST13)。続いて制御部7は、傾斜角度平均値に基づいて前照灯2の光軸3を調整する操作信号を算出して、光軸駆動装置4へ当操作信号を出力する(ステップST14)。
図3では、時刻t1で車両1の前輪を縁石に乗り上げて停車し、時刻t2で貨物10を積載し、時刻t3で走行を再開し縁石から離脱した状態を示している。時刻t1〜t3の停車中、変動が0.01度未満の傾斜角度計測値は、安定して一定ながらも正しい値ではない可能性を含んでいるため、あえて平均化に使用しない。一方、時刻t2において貨物10の積載により後傾から始まる短時間の変動中の傾斜角度計測値は収集されるが、収集数が少ないため、この時点では傾斜角度平均値の算出はされていない。そのため傾斜角度平均値は変化しない。
時刻t3以降に走行を開始した際に、縁石に乗り上げた状態で収集された傾斜角度計測値を含めて平均化されるため、走行開始直後は傾斜角度平均値が大きい値になるが、走行中の収集数が増大するにつれ、傾斜角度平均値が車両1の傾斜状態に近づいていく。
また、図4において、車両1の停車中に時刻t4,t5で搭乗者9が乗り降りした場合、搭乗者9の乗り降りによる短時間の変動に相当する傾斜角度計測値は収集されるが、収集数が少ないため、傾斜角度平均値は算出されず、傾斜角度平均値は変化しない。
このように、傾斜角度計測値の変動が途絶えている期間は傾斜角度計測値の収集を停止するため、前照灯用光軸制御装置5は必然的に静止状態では動作しない。傾斜角度平均値の算出を200回の傾斜角度計測ごと(2秒相当)に行うため、光軸制御の応答性は緩慢になるが、傾斜角度計測値に基づいて直ちに光軸制御を行わないことにより、異常な状態に対応した光軸制御を回避でき、好ましい制御が可能になる。
また、制御部7は図5のフローチャートに示す光軸制御を、傾斜角度計測値が変動し始めたら(例えば、「0.01度≦|(傾斜角度計測値)−(前回計測値)|」で判断される変動が1秒間継続したら)開始し、傾斜角度計測値の変動が所定時間(例えば、5秒間)途絶えたときには停止し、累積した傾斜角度積算値をリセットするフローを備えるように構成し、変動が始まれば改めて傾斜角度平均値を算出して光軸制御を行うようにしてもよい。
図6に、傾斜角度積算値をリセットする場合の動作例を示す。図6において、(a)は車両1の走行/停車状態、(b)は搭乗者9の乗り降り、(c)は貨物10の有り無し、(d)は傾斜センサ6の計測する路面に対する車両1の傾斜角度、(e)は傾斜角度計測値から算出した傾斜角度平均値(実線はリセット有り、破線はリセット無し)、(d)は傾斜角度平均値から算出した操作信号(実線はリセット有り、破線はリセット無し)を表す。時刻t6の走行再開時、それまでに累積された傾斜角度積算値をリセットすると、リセットしない場合に比べて迅速に傾斜角度平均値が実際の車両1の傾斜状態に近づく。
なお、図6のように搭乗者9の乗り降りまたは貨物10の積み下ろしがあった場合だけでなく、道路交通信号機で一時停止した場合などにも、傾斜角度積算値をリセット可能である。
また、図5のフローチャートおよびその変形例によって示した考え方は基本的な考え方であり、上記以外に、明らかに異常な傾斜角度計測値を無視するルーチン、時間的な要素を加味するルーチン等を備える構成にしても構わないし、演算用カウンタの上限値(200個)等の設定値を変更しても構わない。
ちなみに、図5のフローチャートでは、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が所定値(例えば、0.1度)以下の場合を連続的と判断する構成にしたが、連続的か否かの判断方法はこれに限定されるものではない。
例えば、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との大小比較結果が、前回の傾斜角度計測値と前々回周期の傾斜角度計測値との大小比較結果と同一である(即ち、前傾または後傾の傾斜方向へ連続して変動している)場合に連続的と判断する構成にしてもよい。
また例えば、連続して計測した傾斜角度計測値の時系列データに対応する近似曲線が正弦波状の場合(例えば、図7(b))に連続的と判断する構成にしてもよい。
また、図5のフローチャートでは、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が所定値(0.01度)以下の場合に、安定した一定の傾斜角度計測値と判断して、走行中および停車中に関係なく収集しない構成にした。しかし、走行中に計測される安定した一定の傾斜角度計測値は、異常な状態における一定な傾斜角度計測値とは異なり、有効な計測値であるため、傾斜角度平均値を算出するための傾斜角度計測値の一部として採用することも可能である。ただし、一定な傾斜角度計測値が走行中のものか停車中のものかを判断するためには、車両1に搭載された車速センサの発するパルス信号、あるいは当車速センサの信号を加工した信号(例えば、所定の速度以上のとき(走行中)はオン、所定の速度未満のとき(停車中)はオフする信号)を使用する。
なお、走行中の傾斜角度計測値を収集する場合は、傾斜角度計測値の変動が所定時間(例えば、5秒間)途絶えたとしても、累積した傾斜角度積算値をリセットしない。
ところで、停車中に計測した傾斜角度計測値は、タイヤが縁石に乗り上げているような異常な状態である可能性があり、信頼できる傾斜角度計測値とは言い難い。そのため、上記実施の形態1の図5に示したフローチャートでは、制御部7が、連続的に変動する傾斜角度計測値を200個収集するごとに、光軸制御開始から積算した傾斜角度積算値を平均化して傾斜角度平均値を算出するように構成したが、この傾斜角度計測値の平均化にあたり、下記する図7〜図9のような路面の状態を、傾斜角度計測値の様相(乱れ具合)に基づいて判断し、平均化に使用する傾斜角度計測値の数量を任意に変更することが望ましい。
このときは、制御部7が、傾斜角度計測値の様相に基づいて路面の状態を判断して平均化に使用する傾斜角度計測値の数量を決定し、傾斜角度計測値の収集数が当決定した数量に達するたびに、傾斜角度積算値を平均化して傾斜角度平均値を算出する。
図7は、傾斜面が傾斜角度計測に要する長さ(面積)に対して充分に大きく、なだらかにうねる路面上を走行する場合の傾斜角度計測値を説明する図である。図7(a)に示すように、傾斜センサ6は、うねった路面が形成する大面積の傾斜面が連続するB地点に対して傾斜角度を計測するため、図7(b)に示すB地点通過時の傾斜角度計測値の時系列データは、周期的な計測ごとに少しずつ変化する連続的な値となり、個々の傾斜角度計測値の信頼性が高い。従って、少量の傾斜角度計測値が収集されるたびに傾斜角度平均値を算出可能である。
図5のフローチャートは、図7の路面状態を想定して、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が0.1度未満の傾斜角度計測値を収集し、200個収集ごと(2秒相当ごと)に、光軸制御開始から蓄積した傾斜角度計測値の積算値を平均化している。このため、当ならだかに変化する路面を通過する期間の傾斜角度計測値を使用すれば、短期間で確度の高い傾斜角度平均値を得ることができる。
換言すれば、連続的な傾斜角度計測値が得られるとき(計測周期に対して滑らかな表面の道路の走行において)は、平均化に使用する傾斜角度計測値の収集数を少なくしても確度の高い傾斜角度平均値を得ることができるので、傾斜角度平均値を算出するために要する時間は、多量の傾斜角度計測値を収集および平均化する場合に比べて短くなり、算出に要する走行距離も短くなる。
上記のように、傾斜角度平均値の算出に要する時間を短縮できれば、速やかに、光軸制御を行うことができる。
図8は、小さな凸凹がある路面上を走行する場合の傾斜角度計測値を説明する図である。図8(a)に示すように、傾斜センサ6は、凸凹が形成する小さな傾斜面が連続するA地点に対して傾斜角度を計測するため、図8(b)に示すA地点通過時の傾斜角度計測値の時系列データは、周期的な計測ごとに、路面の個々の傾斜面に対応して傾斜角度計測値が異なり、連続性の無い傾斜角度計測値が継続するため、個々の傾斜角度計測値の信頼性が低い。従って、確度の高い傾斜角度平均値を得るためには、多量の傾斜角度計測値が必要になり、自ずと傾斜角度平均値の算出に要する時間が長くなる。
傾斜角度計測値の時系列データに連続性がない場合、例えば、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が2度(第2の閾値)以下の傾斜角度計測値を収集し、収集数1000個(10秒相当)の傾斜角度計測値を収集するたびに傾斜角度平均値を算出する。
図9は、溝および石などが存在する路面上を走行する場合の傾斜角度計測値を説明する図である。図9(a)に示すように、傾斜センサ6は、溝および石などが形成する小さな傾斜面が存在するC地点に対して傾斜角度を計測するため、図9(b)に示すC地点通過時の傾斜角度計測値の時系列データは、溝および石などが存在する部分を通過するときに傾斜角度計測値が一過的に大きく変動する。従って、一過性の異常な傾斜角度計測値を収集せずに、連続的に変動する傾斜角度計測値のみを収集する。
傾斜角度計測値の時系列データが一過性の大きい変動を含む場合、例えば、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が2度を超える傾斜角度計測値を収集しない。これは、傾斜角度計測値に連続性が無いときの例として挙げた、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が2度以下の傾斜角度計測値を収集することの言い換えである。従って、図8および図9の設定においては、差分が2度を超える傾斜角度計測値は、一過性の異常な傾斜角度計測値として扱われ、傾斜角度平均値の算出には使用されない。
なお、図5のフローチャートには記載しないが、制御部7は、傾斜角度平均値の算出に使用する傾斜角度計測値の収集数(演算用カウンタの上限値)を任意に設定するフローを備え、傾斜角度計測値の時系列データの連続的(図7)、不連続的(図8)、あるいは突発的(図9)等の様相を識別して、傾斜角度平均値の算出に使用する傾斜角度計測値の収集数を当様相に応じて設定すればよい。
また、上記は、車両1が走行しているときに計測される傾斜角度計測値を処理する例であるが、車両1が停車中であっても下記するように傾斜角度計測値が変化することがある。
例えば、図4に示したように、搭乗者9の乗り降りおよび貨物10の積み下ろしを行うときに傾斜角度計測値が変化する。このとき、傾斜角度平均値の算出に使用する傾斜角度計測値の収集数を少量に設定しておくことにより、停車中に傾斜角度計測値が連続的に変化し充分な数量が得られれば、搭乗者9の乗り降りおよび貨物10の積み下ろしを行った直後に、速やかに前照灯2の光軸3を制御することができる。
以上より、実施の形態1によれば、前照灯用光軸制御装置5は、車両1の前後方向の傾斜角度を所定の周期で計測する傾斜センサ6と、傾斜センサ6が計測した今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が第1の閾値(例えば、0.01度)以上になる傾斜角度計測値を積算し平均化して傾斜角度平均値を算出し、当傾斜角度平均値を使用して車両1の前照灯2の光軸3を制御する制御部7とを備えるように構成した。このため、例えばタイヤが縁石に乗り上げて車両1が傾いて停車しているような異常な状態が存在する可能性がある、安定して変動しない傾斜角度計測値を使用せず、走行中のような異常な状態が存在していない傾斜角度計測値を複数使用して光軸制御を行うことになり、異常な状態においては光軸を操作しない好適な光軸制御を行う前照灯用光軸制御装置を提供することができる。また、車両1の走行と停止を判別する必要がないため、従来は必要であった車速センサ等の追加センサが不要となる。
また、実施の形態1によれば、前照灯用光軸制御システムは、上述の前照灯用光軸制御装置5と、車両1の前照灯2と、前照灯用光軸制御装置5が生成し出力する信号に基づいて前照灯2の光軸3を車両1の上下方向に操作する光軸駆動装置4とを備えるように構成した。このため、異常な状態においては光軸を操作しない好適な光軸制御を行う前照灯用光軸制御システムを提供することができる。
また、実施の形態1によれば、制御部7は、所定の周期で計測した個々の傾斜角度計測値について、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が第1の閾値(例えば、0.01度)以上になり変動していると判断した場合、かつ、第2の閾値(例えば、0.1度)以下になり連続していると判断した場合に、当連続的に変動する傾斜角度計測値を積算し平均化して傾斜角度平均値を算出するように構成した。連続的に変動する傾斜角度計測値は信頼性が高いので、平均化に使用する傾斜角度計測値の数量を少なくすることができ、短時間で確度の高い傾斜角度平均値を得ることができる。
また、実施の形態1によれば、制御部7は、連続的に変動する傾斜角度計測値を計測した計測回数(演算用カウンタ)が所定の回数(例えば、200)に達するたびに、傾斜角度平均値を算出するように構成した。このため、短時間で好適な傾斜角度が得られ、応答性の早い前照灯用光軸制御装置を提供することができる。
また、実施の形態1によれば、制御部7は、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が第2の閾値(例えば、0.1度)より大きい場合に不連続と判断し、当不連続な傾斜角度計測値を計測した回数を計測回数(演算用カウンタ)に加算しないように構成したので、一過性の異常な傾斜角度計測値を光軸制御に使用しないことになり、好ましい動作の前照灯用光軸制御装置を提供することができる。
また、実施の形態1によれば、制御部7は、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が第1の閾値(例えば、0.01度)より小さい場合に同一値と判断し、当今回の傾斜角度計測値と当前回の傾斜角度計測値とをひとつの傾斜角度計測値として扱い、計測回数(演算用カウンタ)に1回の計測として加算するように構成した。このため、傾斜角度計測値の中に一定で変化しない計測値が存在する場合、当計測値が、車両1が停止しているときに計測された傾斜角度計測値である可能性があると判断して、1点の傾斜角度として扱い、好ましい動作の前照灯用光軸制御装置を提供することができる。
なお、上記実施の形態1で説明したように、車両1に備えた車速センサの信号あるいは当車速センサの信号を加工した信号に基づいて、傾斜角度計測値が走行中に計測されたものであると確証が得られる場合は、走行中の一定で変化しない傾斜角度計測値を有効な値として、傾斜角度平均値を算出する傾斜角度計測値の一部として採用することも可能である。また、上記においては、車両の傾斜角度として傾斜角度計測値の平均値を採用する例を示したが、傾斜角度計測値の最頻値(モード)を採用する等の他の統計的な手法を使用しても構わない。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、傾斜角度計測値の収集数が所定の数量に達するたびに、傾斜角度平均値を算出する構成にしたが、本実施の形態2では、傾斜角度計測値の計測時間が所定の時間に達するたびに、傾斜角度平均値を算出する構成にする。
本実施の形態2に係る前照灯用光軸制御装置5、および当前照灯用光軸制御装置5を用いる前照灯用光軸制御システムは、上記実施の形態1に係る前照灯用光軸制御装置5および前照灯用光軸制御システムと図面上では同様の構成であるため、以下では図1〜図9を援用して説明する。
図10は、本実施の形態2に係る前照灯用光軸制御装置5の動作を示すフローチャートである。
ステップST21において、制御部7が光軸制御の演算に使用するパラメータ(計測タイマ、演算用タイマ、傾斜角度計測数、傾斜角度積算値)をリセットする。当フローチャートの動作例では、2秒ごとに傾斜角度計測値を計測する(10ms周期で計測する傾斜角度計測値の計測回数が200回に達することを演算用タイマで計時する)もので、その他のパラメータは図5のフローチャートと同様である。
ステップST22において、制御部7は計測タイマをインクリメントし、計測タイマの値が10ms以上になると(ステップST23“YES”)、計測タイマをリセットする(ステップST24)。続いて制御部7は演算用タイマをインクリメントし(ステップST25)、演算用タイマの値が200(2秒)以上になると(ステップST26“YES”)、演算用タイマをリセットすると共に(ステップST27)、以下の光軸制御を実施する(ステップST28,ST29)。
ステップST28において、制御部7は、光軸制御開始から累積する傾斜角度積算値を傾斜角度計測値数で除して、傾斜角度平均値を算出する。続くステップST29において、制御部7は、傾斜角度平均値に基づいて前照灯2の光軸3を調整する操作信号を算出して、光軸駆動装置4へ当操作信号を出力する。
一方、演算用タイマの値が200(2秒)未満の場合(ステップST26“NO”)、制御部7は先ず、前回の傾斜角度計測値を前回計測値に移動し(ステップST30)、今回の傾斜角度計測値を傾斜センサ6から取得する(ステップST31)。続いて制御部7は、今回の傾斜角度計測値と前回計測値との差分が0.01度以上のときに傾斜角度計測値が変動していると判断し、また、当差分が0.1度以下のときにその変動が連続的であると判断して(ステップST32“YES”)、今回の傾斜角度計測値を採用することとし、傾斜角度計測数をインクリメントする(ステップST33)。最後に制御部7は、傾斜角度積算値に今回の傾斜角度計測値を加算して、傾斜角度積算値を更新し(ステップST34)、ステップST22へ戻って次回周期の計測を行う。
ステップST32では、連続的に変化する傾斜角度計測値の中に不連続な傾斜角度計測値が計測された場合、当傾斜角度計測値が、路面上の石および溝等によって生じた平均化には不適切な一過性の傾斜角度計測値である可能性があるため、当不連続な傾斜角度計測値を収集せず、傾斜角度平均値の算出に使用しない。
以上のように、制御部7は、今回の傾斜角度計測値が前回の傾斜角度計測値と略同等なとき(例えば、差分が0.01度以下)、または、不連続な傾斜角度計測値が計測されたとき(例えば、差分が0.1度以上)に、傾斜角度計測値を収集しないことがあっても、演算用タイマは一定の時間で動作する。
従って、制御部7は、新たな傾斜角度計測値が収集されないときには同じ操作信号を繰り返し出力することとなるが、車両1の傾斜および路面の状態によらず、常に一定の間隔で光軸操作を行うことができる。
なお、図10のフローチャートには記載しないが、制御部7は、上記のように一定の間隔で光軸操作信号を出力することができるが、演算用タイマの設定値、即ち、当操作信号を出力する間隔を任意に設定するフローを備え、傾斜角度計測値の時系列データの連続的(図7)、不連続的(図8)、あるいは突発的(図9)等の様相を識別して、当様相に応じて光軸操作信号を出力する間隔を設定することもできる。
例えば、図7のように、なだらかなうねりが等間隔にある路面を走行するときは、2秒ごと(10ms周期で計測する傾斜角度計測動作の200回に相当する)に傾斜角度平均値を算出し、図8のように、小さな凸凹がある路面を走行するときは、10秒ごと(10ms周期で計測する傾斜角度計測動作の1000回に相当する)に傾斜角度平均値を算出する。
以上より、実施の形態2によれば、制御部7は、連続的に変動する傾斜角度計測値を計測した計測時間(演算用タイマ)が所定の時間(例えば、2秒)に達するたびに、傾斜角度平均値を算出するように構成したので、車両の傾斜および路面の状態によらず、所定の間隔で光軸操作を行うことができる。
また、実施の形態2によれば、所定の間隔で光軸操作信号が発せられるため、動作していることを外部の機器が容易に監視できる前照灯用光軸制御装置を提供することができる。
実施の形態3.
本実施の形態3に係る前照灯用光軸制御装置5、および当前照灯用光軸制御装置5を用いる前照灯用光軸制御システムは、上記実施の形態1,2に係る前照灯用光軸制御装置5および前照灯用光軸制御システムと図面上では同様の構成であるため、以下では図1〜図10を援用して説明する。
車両1に加わる一般的な揺動は、減衰し、やがては収束する振動であり、最初の1波の振動幅が大きい(例えば、図4の時刻t4,t5の後傾および前傾を参照)。そのため、前傾から始まる一連の揺動から算出する傾斜角度平均値と、後傾から始まる一連の揺動から算出する傾斜角度平均値とには若干のずれが存在する。
そこで、本実施の形態3では、前傾あるいは後傾から開始されるそれぞれの揺動によって計測される傾斜角度のずれの影響を少なくして、確度の高い傾斜角度平均値を得るために、前傾から開始する連続的な傾斜角度計測値と、後傾から開始する連続的な傾斜角度計測値をそれぞれ同数使用して平均化する。
図11Aおよび図11Bは、本実施の形態3に係る前照灯用光軸制御装置5の動作を示すフローチャートである。
ステップST41において、制御部7が光軸制御の演算に使用するパラメータ(計測タイマ、演算用カウンタ、傾斜角度計測数、傾斜角度積算値、前傾側計測数、後傾側計測数、100回傾斜角度積算値)をリセットする。当フローチャートの動作例では、前傾の傾斜角度計測値の収集数を前傾側傾斜数としてカウントし、後傾の傾斜角度計測値の収集数を後傾側計測数としてカウントすることとし、前傾および後傾それぞれの傾斜角度計測値を50個ずつ収集するごとに、合計100個の傾斜角度計測値(100回傾斜角度積算値)から傾斜角度平均値を算出する。その他のパラメータは図5のフローチャートと同様である。
続くステップST2〜ST7は、図5に示すステップST2〜ST7と同様のため説明を省略する。
続くステップST42において、制御部7は、今回の傾斜角度計測値が前回算出した傾斜角度平均値より大きい場合(ステップST42“YES”)、後傾の揺動が生じていると判断して今回の傾斜角度計測値を抽出する。一方、今回の傾斜角度計測値が前回算出した傾斜角度平均値以下(ステップST42“NO”)、および前回算出した傾斜角度平均値より小さい場合(ステップST43“YES”)、前傾の揺動が生じていると判断して今回の傾斜角度計測値を抽出する。それ以外の場合(ステップST43“NO”)、以下の光軸制御を実施する(ステップST8〜ST14)。
なお、続くステップST8〜ST14は、図5に示すステップST8〜ST14と同様のため説明を省略する。
ステップST44において制御部7は、後傾側計測数が50個以上あれば(ステップST44“YES”)、ステップST8へ進み、50個未満の場合は(ステップST44“NO”)、後傾側計測数をインクリメントする(ステップST45)。
他方、ステップST46において制御部7は、前傾側計測数が50個以上あれば(ステップST46“YES”)、ステップST8へ進み、50個未満の場合は(ステップST46“NO”)、前傾側計測数をインクリメントする(ステップST47)。
続いて制御部7は、100回傾斜角度積算値に、今回周期で抽出した前傾または後傾の傾斜角度計測値を加算して、100回傾斜角度積算値を更新する(ステップST48)。その後、制御部7は、後傾側計測数が50個に到達すると共に(ステップST49“YES”)、前傾側計測数が50個に到達すると(ステップST50“YES”)、これら前傾および後傾それぞれ50個ずつの傾斜角度計測値から傾斜角度平均値を算出する(ステップST51)。続いて制御部7は、前傾および後傾それぞれ50個ずつの傾斜角度計測値の傾斜角度平均値から操作信号を算出して、光軸駆動装置4へ当操作信号を出力し(ステップST52)、ステップST8へ進む。
一方、後傾側計測数が50個に到達していない場合(ステップST49“NO”)、または前傾側計測数が50個に到達していない場合には(ステップST50“NO”)、ステップST8へ進む。
このように、ステップST52においては100個の傾斜角度計測値を使用して傾斜角度平均値を算出するため、ステップST14において傾斜角度平均値を算出するより応答性が早い。そのため、例えば図4の時刻t4の後傾から始まる揺動中に傾斜角度平均値を算出可能になり、搭乗者9の乗車による車両1の傾斜状態に応じて前照灯2の光軸3を制御可能となる。
また、ステップST52においては前傾および後傾の傾斜角度計測値を同数使用するので、揺動中の傾斜角度計測値を平均化する際に、前傾から開始される場合と後傾から開始される場合のずれの影響を少なくして、確度の高い傾斜角度平均値を得ることができる。
以上より、実施の形態3によれば、制御部7は、車両1が前傾するときに連続的に変動する一連の傾斜角度計測値と、後傾するときに連続的に変動する一連の傾斜角度計測値とをそれぞれ同数使用して傾斜角度平均値を算出するように構成した。このため、前傾から始まる一連の揺動から算出する傾斜角度平均値と後傾から始まる一連の揺動から算出する傾斜角度平均値とのずれの影響を少なくして、確度の高い傾斜角度平均値を得ることができ、適切な光軸制御を行うことができる前照灯用光軸制御装置を提供することができる。
実施の形態4.
本実施の形態4に係る前照灯用光軸制御装置5、および当前照灯用光軸制御装置5を用いる前照灯用光軸制御システムは、上記実施の形態1〜3に係る前照灯用光軸制御装置5および前照灯用光軸制御システムと図面上では同様の構成であるため、以下では図1〜図11を援用して説明する。
変動する傾斜角度計測値が計測されたときには、例えば図3の時刻t1のように、停車時に縁石に乗り上げた異常な状態であることも考えられるため、当異常な状態に対応した異常な光軸制御を回避するために、直ちに光軸制御を行わないことが、好ましい制御となる。従って、上記実施の形態1,2に係る前照灯用光軸制御装置5は、例えば、数多くの傾斜角度計測値を使用して光軸制御を行うように構成されるので、実車における応答性は緩慢にならざるを得ない。
然るに、傾斜センサ6を含む前照灯用光軸制御装置5、および前照灯用光軸制御装置5を用いる前照灯用光軸制御システムの特性を確認するときには、上記実施の形態1で説明したように平均化に使用する傾斜角度計測値の収集数を少量にするか、上記実施の形態2で説明したように平均化に使用する傾斜角度計測値を収集する時間を短くするかして、迅速な光軸制御を行うことが望ましい。
そこで、実車において計測される、例えば図3のように単発的に発生する傾斜角度計測値の変動とは明らかに異なる、所定のパターンの変動を車両1に加えて、前照灯用光軸制御装置5が当所定のパターンの変動を検知すると特性確認用の変動であると判別して、直ちに応答性の早い光軸制御に切換えるように構成する。
ここで、図12に、特性確認に切換えるための所定のパターンの変動例を示す。この例は、前傾から始まる揺動と後傾から始まる揺動を交互に3回ずつ、車両1に加えた場合の傾斜角度計測値を示している。前照灯用光軸制御装置5の制御部7は、傾斜センサ6の計測する傾斜角度計測値の様相が図12に示すパターンに該当した場合に、平均化に使用する傾斜角度計測値の数量を少量に設定変更する等して、応答性を早める。
なお、上記所定のパターンの変動としては、図12以外のパターンでもよく、例えば、下記様相にて計測される傾斜角度計測値がある。
例えば、前傾から開始する連続的に変動する傾斜角度計測値の一群に次いで、後傾から開始する連続的に変動する傾斜角度計測値の一群が計測されるパターンとする。
また例えば、前傾から開始する連続的に変動する傾斜角度計測値の一群と、後傾から開始する連続的に変動する傾斜角度計測値の一群とが、交互に計測されるパターンとする。
また例えば、前傾あるいは後傾から開始する連続的に変動する傾斜角度計測値の一群が、所定の間隔(または所定の周期)で繰り返し計測されるパターンとする。
また例えば、前傾あるいは後傾から開始する連続的に変動する傾斜角度計測値の一群が、所定の回数、繰り返し計測されるパターンとする。
さらに、上記所定のパターンの変動を構成する前傾および後傾の順序、間隔、周期、および回数は任意でよく、制御部7に当パターンを予め設定しておけばよい。
なお、特性確認のために人為的に行う車両1の揺動周期は500ms程度であり、例えば傾斜センサ6が傾斜角度を計測する周期を10msにすれば、車両1の揺動に追従した傾斜角度計測値、即ち、連続的な傾斜角度計測値を収集することができるので、特性確認用の迅速な応答の光軸制御に切換えることが可能である。
図3、図4および図6においては、搭乗者9の乗り降りおよび貨物10の積み下ろしのときの車両1の揺動によって発生する、連続的に変動する傾斜角度計測値の数量が、傾斜角度平均値を算出するために要する所定数量を満たさず、傾斜角度平均値が算出されない様子を示したが、本実施の形態4のように前照灯用光軸制御装置5の特性を確認するための、図12に示すような車両1の揺動であれば、充分な数量の傾斜角度計測値を収集することができるため、速やかに傾斜角度平均値を算出することができ、光軸操作信号を出力することができる。
ちなみに、先立って説明した特許文献2に係る発明では、車両1の傾斜角度を検出する傾斜センサ6に加えて、車両1の上下方向の加速度を検知する加速度センサを備え、停車中に加速度センサが特定の振動を検知した時に光軸制御の応答性を早める構成であった。これに対して、本実施の形態4に係る前照灯用光軸制御装置5は、傾斜センサ6の傾斜角度計測値に基づいて通常走行用の光軸制御と特性確認用の光軸制御とを切換えることができ、加速度センサ等の追加センサが不要である。そのため、前照灯用光軸制御装置5の特性を確認する際に、車両1に搭載せずに、直接的に前照灯用光軸制御装置5に所定のパターンの変動を与えて、光軸制御を切換えることができ、前照灯用光軸制御装置5を単品で試験可能である。従って、簡単な操作で迅速に特性の確認ができ、効率的な試験を実施可能となり好都合である。
以上より、実施の形態4によれば、制御部7は、所定の周期で計測した個々の傾斜角度計測値から所定のパターンの変動を検出したときに、演算用カウンタの上限値または演算用タイマの上限値を変更するように構成した。このため、例えば、図12のように、前傾から開始する揺動と後傾から開始する揺動を交互に3回ずつ行う等の所定のパターンを予め制御部7に設定して、制御部7は当所定のパターンを認識したときだけ応答性の早い光軸制御を行うように設定すれば、傾斜角度平均値の算出に充分に足りる数量の傾斜角度計測値を確保できて、光軸制御を行うことができる一方で、通常の走行状態においては、異常とも取られかねない当特性確認用の動作が不本意に発生することを回避できる。
従って、特性確認用には、平均化に使用する傾斜角度計測値を最小限の数量に減らして、迅速な応答の光軸制御を行うことが可能ながらも、実際の走行においては、異常な動作と取られる可能性がある特性確認用の光軸制御を行うことなく、確実な傾斜角度平均値の算出、および、光軸操作信号を出力することができる。
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、超音波または電波等を送受信する非接触の車高センサから構成された傾斜センサ6を使用する構成を説明したが、これに限定されるものではない。本実施の形態5では、傾斜センサ6として使用可能なセンサについて、いくつか具体例を説明する。
図13は、本実施の形態5に係る前照灯用光軸制御装置5を用いた前照灯用光軸制御システムの車両搭載例を示す図である。図14は、本実施の形態5に係る前照灯用光軸制御装置5の構成を示すブロック図である。図13および図14において図1〜図9と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
本実施の形態5の傾斜センサ6としては、例えば、図13のように、懸架装置の伸び量あるいは縮み量を計測する車高センサ6−1,6−2を使用して、車両1の前後の車軸部11,12を車高の計測点として、ホイールベース(車軸間距離)および車高センサ6−1,6−2が計測する車高値の差分から路面に対する車両1の傾斜角度を演算する傾斜角度演算部6−3を備える接触式の傾斜センサがある。制御部7は、傾斜角度演算部6−3が演算した傾斜角度を用い、光軸操作信号を生成する。
なお、上記接触式の傾斜センサ6の例は、前輪と後輪の車軸部11,12の車高値の差分を使用して車両1の傾斜角度を求めるものであるが、例えば、前輪の懸架装置が堅固で、搭乗人数および積載貨物量などによってほとんど車高が変わらない車両においては、前輪側の車高センサ6−1を装着せずに、後輪側の車高センサ6−2が計測する車高値を使用して車両1の傾斜角度を求めることができる。
この方式においては、傾斜角度演算部6−3は、前輪側の車高センサ6−1から入力される車高値を固定値として設定するだけで、2箇所の車高値の差分とホイールベースとを使用して傾斜角度を計測する考え方は上記と同じである。この場合、前輪側の車高センサ6−1を省略する以外、傾斜センサ6の構成は図14と同等である。
また例えば、上記2箇所の車高を個々に計測する車高センサ(接触式の車高センサ6−1,6−2、あるいは非接触式の車高センサ)に代替して、下記のような、2箇所の車高値の差分を直接計測する車高差センサを使用しても構わない。
図15に、車高差センサを使用した前照灯用光軸制御装置5の構成例を示す。この場合、前照灯用光軸制御装置5の路面に対向する位置に送信用超音波センサ6−4を設置して、路面に超音波を送信し、この車両1の前後方向に設置した2個の受信用超音波センサ6−5,6−6が路面で反射して帰り着く超音波を受信する。不図示の傾斜角度演算部6−3は、受信用超音波センサ6−5,6−6が受信した超音波の位相差を、受信用超音波センサ6−5から路面までの距離と受信用超音波センサ6−6から路面までの距離との差分として計測する。
また、上記超音波に代替して、電波を送受信するようにしてもよい。車両1の前後方向に3個のアンテナを並べ、中央のアンテナ(図15の送信用超音波センサ6−4の位置に相当する)から電波を送信し、前後2個のアンテナ(図15の受信用超音波センサ6−5,6−6の位置に相当する)によって路面で反射して帰り着く電波を受信する。そして、傾斜角度演算部6−3が、前後2個のアンテナが受信した電波の位相差を、前後2個のアンテナから路面までの距離の差分として計測すればよい。
また例えば、加速度センサによって構成された傾斜センサ6を使用してもよい。
図16は、本実施の形態5に係る前照灯用光軸制御装置5を用いた前照灯用光軸制御システムの車両搭載例を示す図であり、車両1に加速度センサ6−7,6−8が設置されている。当方式においては、車両1の前後方向の加速度を検出する加速度センサ6−7と、上下方向の加速度を検出する加速度センサ6−8を使用し、それぞれの加速度を計測する。不図示の傾斜角度演算部6−3は、加速度センサ6−7,6−8によって検出される加速度から路面に対する車両1の傾斜角度を演算する。
なお、車両1の上下方向の加速度を検出する加速度センサ6−8を使用すれば、鉛直方向に加わる重力加速度を基準にして水平面に対する車両1の傾斜角度を計測することはできるが、上り坂および下り坂(勾配のある道路)を走行するときには車両1の上下方向と鉛直方向が異なるために、路面に対する車両1の傾斜角度が計測できない。そこで、前後方向の加速度を検出する加速度センサ6−7を追加して、車両1が加速および減速するときに生じる加速度を検出し、当加速度を加味することによって、上り坂および下り坂の傾斜角度(勾配)を差し引くことで、路面に対する車両1の傾斜角度を求めることができる。なお、当路面に対する車両1の傾斜角度を求める方法は公知の技術を用いればよく、また、本願発明の本筋から外れるため、割愛する。
以上より、実施の形態5によれば、路面に対する車両1の傾斜角度を計測する傾斜センサ6として、車両1の前後の車高差に基づき傾斜角度を計測するセンサ、車両1の上下方向および前後方向の加速度に基づき傾斜角度を計測するセンサ等を使用することが可能であり、いずれの計測方法を使用しても好適な光軸制御を行う前照灯用光軸制御装置を実現することができる。
実施の形態6.
本実施の形態6に係る前照灯用光軸制御装置5、および当前照灯用光軸制御装置5を用いる前照灯用光軸制御システムは、上記実施の形態1〜5に係る前照灯用光軸制御装置5および前照灯用光軸制御システムと図面上では同様の構成であるため、以下では図1〜図16を援用して説明する。
上記の傾斜センサ6を内蔵した前照灯用光軸制御装置5においては、車両1側機器からの情報が不要なため、前照灯用光軸制御装置5単品での動作および調整作業が可能であるが、初回電源投入時、あるいは、初期設定時には、当前照灯用光軸制御装置5が行う演算に使用する各種の情報の設定が必要である。例えば、当傾斜センサ6の基準面が水平になるように前照灯用光軸制御装置5を試験機に取り付け、水平な試験面(道路の路面に相当する)に対向させたときに、傾斜角度が0度(水平)と算出されるように、前照灯用光軸制御装置5の調整(初期設定)を行い、当調整に要した初期設定情報を前照灯用光軸制御装置5内に記憶する。
なお、2つの超音波センサで検出する車高値から車両1の傾斜角度を計測する傾斜センサ6を使用する前照灯用光軸制御装置5の場合、初期設定情報として以下のような項目がある。
・各超音波センサの出力電圧と車高値との相関
・一方の超音波センサと他方の超音波センサとの距離
・傾斜センサ6の出力電圧と傾斜角度との相関
・前照灯用光軸制御装置5の出力に使用する傾斜角度と光軸駆動装置4に入力した傾斜角度のオフセット値(即ち、初期設定傾斜角度)
・前照灯用光軸制御装置5の出力電圧と傾斜角度との相関
・不図示のA/Dコンバータおよびインタフェイスのずれ量、あるいは補正量
・不図示の内部温度計測用の温度センサの補正値
前照灯用光軸制御装置5の制御部7をマイクロコンピュータ(以下、マイコン)で構成した場合には、マイコン内蔵の記憶部(例えば、EEPROM;Electrically Erasable Programmable ROM、フラッシュメモリ等)にこれらの初期設定情報を記憶しておき、当初期設定情報を読み出して、演算を実行する。
前照灯用光軸制御装置5に対する初期設定操作を行う場合、例えば、上記試験環境の中に設置し、前照灯用光軸制御装置5に接続される配線に所定の信号を加えたり、通信回線を使用して初期設定操作であることを認識させたりした上で、上記初期設定情報の入力を行う。
一方、車両1側の初期設定は、上記初期設定を済ませた前照灯用光軸制御装置5を車両1に取り付けて光軸制御を行わせたときに、同じく車両1に取り付けた前照灯2の光軸駆動装置4の調整機構をドライバ(ねじ回し)等によって操作して前照灯2の光軸3を機械的に調整することによって行う。
以上より、実施の形態6によれば、前照灯用光軸制御装置5は、制御部7が光軸3の制御に用いる初期設定用の情報を記憶する記憶部を備えるように構成した。このため、予め前照灯用光軸制御装置5の初期設定を行い、当初期設定用の情報を記憶することで、扱い易い前照灯用光軸制御装置5を提供することができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
以上のように、この発明に係る前照灯用光軸制御装置は、安定して変化しない傾斜角度計測値を使用せずに、変動している傾斜角度計測値を複数使用して路面に対する車両の傾斜角度を算出し、当傾斜角度を使用して前照灯の光軸を制御するようにしたので、搭乗者の人数および貨物の積載量等で変わる車両の傾斜角度変化に対応したスタティック制御を行う前照灯用光軸制御装置および前照灯用光軸制御システムなどに用いるのに適している。
1 車両、2 前照灯、3 光軸、4 光軸駆動装置、5 前照灯用光軸制御装置、6 傾斜センサ、6−1,6−2 車高センサ、6−3 傾斜角度演算部、6−4 送信用超音波センサ、6−5,6−6 受信用超音波センサ、6−7,6−8 加速度センサ、7 制御部、8 配線、9 搭乗者、10 貨物、11,12 車軸部。

Claims (18)

  1. 路面に対する車両の前後方向の傾斜角度を所定の周期で計測する傾斜センサと、
    前記傾斜センサが計測した今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が第1の閾値以上になる傾斜角度計測値を統計的に処理して前記車両の傾斜角度を算出し、当該傾斜角度を使用して前記車両の前照灯の光軸を制御する信号を生成する制御部とを備える前照灯用光軸制御装置。
  2. 前記車両の傾斜角度を算出する統計的な処理は、前記傾斜センサが計測した今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が前記第1の閾値以上になる傾斜角度計測値を積算して平均する平均化処理であることを特徴とする請求項1記載の前照灯用光軸制御装置。
  3. 前記傾斜センサは、路面に対する前記車両の2箇所の高さの差分と、当2箇所の間の距離とを使用して、前記路面に対する前記車両の傾斜角度を算出することを特徴とする請求項1記載の前照灯用光軸制御装置。
  4. 前記傾斜センサは、前記路面に対して電波あるいは超音波を送受信するものであることを特徴とする請求項3記載の前照灯用光軸制御装置。
  5. 前記傾斜センサは、前記車両の鉛直方向および水平方向の加速度を使用して、前記路面に対する前記車両の傾斜角度を算出することを特徴とする請求項1記載の前照灯用光軸制御装置。
  6. 前記制御部は、前記所定の周期で計測した個々の傾斜角度計測値について、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が前記第1の閾値以上になり変動している場合、かつ、当個々の傾斜角度計測値の変動が連続的な場合、当連続的に変動する傾斜角度計測値を積算して前記傾斜角度平均値を算出することを特徴とする請求項2記載の前照灯用光軸制御装置。
  7. 前記制御部は、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が、前記第1の閾値より大きい第2の閾値以下になる場合に、連続と判断することを特徴とする請求項6記載の前照灯用光軸制御装置。
  8. 前記制御部は、連続的に変動する傾斜角度計測値を計測した計測回数が所定の回数に達する度に、前記傾斜角度平均値を算出することを特徴とする請求項6記載の前照灯用光軸制御装置。
  9. 前記制御部は、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が前記第2の閾値より大きい場合に不連続と判断し、当不連続な傾斜角度計測値を使用することなく、計測した回数を前記計測回数に加算しないことを特徴とする請求項8記載の前照灯用光軸制御装置。
  10. 前記制御部は、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が前記第1の閾値より小さい場合に同一値と判断し、当今回の傾斜角度計測値と当前回の傾斜角度計測値とをひとつの傾斜角度計測値として扱い、前記計測回数に1回の計測として加算することを特徴とする請求項8記載の前照灯用光軸制御装置。
  11. 前記制御部は、連続的に変動する傾斜角度計測値を計測した計測時間が所定の時間に達する度に、前記傾斜角度平均値を算出することを特徴とする請求項6記載の前照灯用光軸制御装置。
  12. 前記制御部は、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が前記第2の閾値より大きい場合に不連続と判断し、当不連続な傾斜角度計測値を使用しないことを特徴とする請求項11記載の前照灯用光軸制御装置。
  13. 前記制御部は、今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が前記第1の閾値より小さい場合に同一値と判断し、当今回の傾斜角度計測値と当前回の傾斜角度計測値とをひとつの傾斜角度計測値として扱うことを特徴とする請求項11記載の前照灯用光軸制御装置。
  14. 前記制御部は、前記車両が前傾するときの連続的に変動する傾斜角度計測値と、後傾するときの連続的に変動する傾斜角度計測値とをそれぞれ同数使用して前記傾斜角度平均値を算出することを特徴とする請求項6記載の前照灯用光軸制御装置。
  15. 前記制御部は、前記所定の周期で計測した個々の傾斜角度計測値から所定のパターンの変動を検出した場合に、前記所定の回数を変更することを特徴とする請求項8記載の前照灯用光軸制御装置。
  16. 前記制御部は、前記所定の周期で計測した個々の傾斜角度計測値から所定のパターンの変動を検出した場合に、前記所定の時間を変更することを特徴とする請求項11記載の前照灯用光軸制御装置。
  17. 前記制御部が前記光軸の制御に用いる初期設定用の情報を記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項1記載の前照灯用光軸制御装置。
  18. 車両の前後方向の傾斜角度を所定の周期で計測する傾斜センサ、および、前記傾斜センサが計測した今回の傾斜角度計測値と前回の傾斜角度計測値との差分が第1の閾値以上になる傾斜角度計測値を統計的に処理して前記車両の傾斜角度を算出し、当該傾斜角度を使用して前記車両の前照灯の光軸を制御する信号を生成する制御部を有する前照灯用光軸制御装置と、
    前記車両の前照灯と、
    前記前照灯用光軸制御装置が生成する信号に基づいて前記前照灯の光軸を操作する光軸駆動装置とを備える前照灯用光軸制御システム。
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