以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
以下に説明する基板処理装置は、半導体ウエハなどの円板状の基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置である。基板処理装置は、複数の大きさの基板(たとえば、φ200mmの円形基板と、φ300mmの円形基板)を処理可能な構成を備えている。基板は、半導体ウエハなどの円形基板であってもよいし、液晶表示装置用ガラス基板などの多角形基板であってもよい。また、基板処理装置は、洗浄装置、エッチング装置、レジスト塗布装置、および現像装置のいずれであってもよく、基板に対するその他の処理を行う装置であってもよい。以下の実施形態に係る基板処理装置は、デバイス形成面である表面とは反対側の裏面をエッチングすることにより、シリコンウエハをシンニングする(薄くする)エッチング装置である。
処理対象の基板は、たとえば、シリコンウエハと支持基板とを貼り合わせた貼合せ基板である。貼合せ基板は、シリコンウエハと、接着剤によってシリコンウエハのデバイス形成面(表面)に貼り付けられた支持基板とによって構成されている。支持基板は、たとえば、ガラス基板からなり、シリコンウエハと実質的に同等の半径を有する円形基板である。支持基板を用いることによって、シリコンウエハの変形および破損を抑制または防止しながら、その吸着保持および搬送を行うことができる。シリコンウエハの薄型化のために用いられるエッチング液は、たとえば、フッ硝酸(フッ酸硝酸混合液)であってもよいし、バッファードフッ酸であってもよい。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の模式的な平面図である。
基板処理装置1は、基板Wを収容する複数のキャリアCを保持するロードポート2と、基板Wの受け渡しが行われる基板受け渡しユニット3と、基板Wを処理する複数の処理ユニット4が配置された処理ブロックB1と、基板Wの大きさおよび厚みに応じて選択される複数のアダプターリング5を収容する複数の収容ユニット6が配置された収容ブロックB2(収容室)とを含む。ロードポート2、基板受け渡しユニット3、処理ブロックB1、および収容ブロックB2は、水平方向に間隔を空けて配置されている。基板受け渡しユニット3は、ロードポート2と処理ブロックB1との間に配置されており、収容ブロックB2は、処理ブロックB1に対してロードポート2とは反対側に配置されている。基板処理装置1は、さらに、ロードポート2と基板受け渡しユニット3との間に配置されたインデクサロボットIRと、基板受け渡しユニット3と処理ブロックB1との間に配置されたメインロボットMRと、処理ブロックB1と収容ブロックB2との間に配置された取替ロボットR1(リング移動ユニット、搬送ユニット)と、基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御装置7とを含む。
インデクサロボットIRは、基板Wを支持した状態で水平に保持する平面視U字状のハンドHIRを備えている。インデクサロボットIRは、ハンドHIRを水平方向および鉛直方向に移動させる。さらに、インデクサロボットIRは、鉛直軸線まわりに回転(自転)することにより、ハンドHIRの向きを変更する。複数のキャリアCは、水平な配列方向D1に配列されている。インデクサロボットIRは、配列方向D1に移動する。インデクサロボットIRは、配列方向D1への移動および自転によって、任意のキャリアCおよび基板受け渡しユニット3にハンドHIRを対向させる。そして、インデクサロボットIRは、水平方向および鉛直方向のハンドHIRの移動によって、キャリアCおよび基板受け渡しユニット3に基板Wを搬入する搬入動作、およびキャリアCおよび基板受け渡しユニット3から基板Wを搬出する搬出動作を行う。インデクサロボットIRは、キャリアCと基板受け渡しユニット3との間で基板Wを搬送する。
メインロボットMRは、基板Wを支持した状態で水平に保持する平面視U字状のハンドHMRを備えている。メインロボットMRは、ハンドHMRを水平方向および鉛直方向に移動させる。さらに、メインロボットMRは、鉛直軸線まわりに回転(自転)することにより、ハンドHMRの向きを変更する。複数の処理ユニット4は、配列方向D1に配列されている。メインロボットMRは、配列方向D1に移動する。メインロボットMRは、配列方向D1への移動および自転によって、任意の処理ユニット4および基板受け渡しユニット3にハンドHMRを対向させる。そして、メインロボットMRは、水平方向および鉛直方向のハンドHMRの移動によって、処理ユニット4および基板受け渡しユニット3に基板Wを搬入する搬入動作、および処理ユニット4および基板受け渡しユニット3から基板Wを搬出する搬出動作を行う。メインロボットMRは、処理ユニット4と基板受け渡しユニット3との間で基板Wを搬送する。
取替ロボットR1は、アダプターリング5を支持した状態で水平に保持する平面視U字状のハンドHR1を備えている。取替ロボットR1は、ハンドHR1を水平方向および鉛直方向に移動させる。さらに、取替ロボットR1は、鉛直軸線まわりに回転(自転)することにより、ハンドHR1の向きを変更する。複数の収容ユニット6は、上下に積層された状態で配列方向D1に配列されている。取替ロボットR1は、配列方向D1に移動する。取替ロボットR1は、配列方向D1への移動および自転によって、任意の処理ユニット4および収容ユニット6にハンドHR1を対向させる。そして、取替ロボットR1は、水平方向および鉛直方向のハンドHR1の移動によって、処理ユニット4および収容ユニット6にアダプターリング5を搬入する搬入動作、および処理ユニット4および収容ユニット6からアダプターリング5を搬出する搬出動作を行う。取替ロボットR1は、収容ユニット6と処理ユニット4との間でアダプターリング5を搬送する。
アダプターリング5は、全周に亘って連続したリングである。後述するように、処理ユニット4では、水平に支持された基板Wの周縁部にアダプターリング5の上面の内周縁(具体的には、環状面57の内周縁)が近接した状態で、基板Wが、アダプターリング5の上面によって水平に取り囲まれる。この状態で、基板Wの上面に処理液が供給され、基板Wの中心からアダプターリング5まで連続したほぼ円形の処理液の液膜が形成される。複数の収容ユニット6は、大きさおよび厚みの異なる複数のアダプターリング5を収容している。制御装置7は、基板受け渡しユニット3に設けられた検出ユニット10によって、処理ユニット4に搬入される基板Wの大きさおよび厚みを測定する。そして、制御装置7は、測定値に基づいて、最適な大きさおよび厚みのアダプターリング5を選択し、選択したアダプターリング5を処理ユニット4に搬入する。これにより、アダプターリング5と基板Wとの間の径方向への隙間と、基板Wの上面とアダプターリング5の上面との高低差とが最小値に設定される。
図2Aおよび図2Bは、基板受け渡しユニット3の内部を水平方向から見た模式図である。
基板受け渡しユニット3は、基板Wを支持する複数の小基板支持ピン8と、小基板支持ピン8によって支持される基板Wよりも大きい基板Wを支持する複数の大基板支持ピン9と、小基板支持ピン8および大基板支持ピン9に支持された基板Wの大きさおよび厚みを検出する検出ユニット10(サイズ検出ユニット、厚み検出ユニット)とを含む。小基板支持ピン8および大基板支持ピン9は、半球状の先端部を有する上向きに凸の円錐状である。大基板支持ピン9は、小基板支持ピン8よりも長い。図示はしないが、複数の小基板支持ピン8は、中心位置P1を取り囲む2つの同心円のうちの内側の円に沿って配置されており、複数の大基板支持ピン9は、外側の円に沿って配置されている。したがって、小基板支持ピン8および大基板支持ピン9は同心円状に配置されている。
インデクサロボットIRおよびメインロボットMRは、ハンドHIRおよびハンドHMRによって小基板支持ピン8または大基板支持ピン9上に基板Wを置き、小基板支持ピン8または大基板支持ピン9に支持されている基板WをハンドHIRおよびハンドHMRによって持ち上げる。インデクサロボットIRおよびメインロボットMRは、中心位置P1を通る鉛直軸線上に基板Wの中心が位置するように、小基板支持ピン8または大基板支持ピン9に基板Wを渡す。相対的に小さい基板Wが搬入された場合には、小基板支持ピン8だけが、基板Wの下面周縁部に点接触する。一方、相対的に大きい基板Wが搬入された場合には、大基板支持ピン9だけが、基板Wの下面周縁部に点接触する。したがって、相対的に大きい基板Wの下面において周縁部より内側の領域に小基板支持ピン8が接触して、接触跡が残ることを防止できる。
検出ユニット10は、上下に対向する一対の内側センサ11と、一対の内側センサ11より外側(中心位置P1から離れる方向)で上下に対向する一対の外側センサ12とを含む。一対の内側センサ11は、小基板支持ピン8または大基板支持ピン9によって支持されている基板Wが配置される基板支持位置の上側および下側に配置されている。同様に、一対の外側センサ12は、基板支持位置の上側および下側に配置されている。各センサ11、12は、所定位置に保持されている。各センサ11、12は、対象物である基板Wまでの距離を非接触で測定する非接触センサである。各センサ11、12は、光学センサであってもよいし、磁気センサであってもよいし、他の形式のセンサであってもよい。
図2Aに示すように、相対的に小さい基板Wが基板受け渡しユニット3に搬入されると、基板Wが一対の内側センサ11の間に配置され、一対の内側センサ11だけがオンに切り替わる。一方、図2Bに示すように、相対的に大きい基板Wが基板受け渡しユニット3に搬入されると、基板Wが一対の内側センサ11の間と一対の外側センサ12の間とに配置され、内側センサ11および外側センサ12の両方がオンに切り替わる。制御装置7は、各センサ11、12のオン・オフに基づいて基板Wの大きさを検出する。さらに、制御装置7は、各センサ11、12から基板Wまでの距離に基づいて基板Wの厚みを検出する。このようにして、基板Wの大きさおよび厚みが検出される。
図3は、基板処理装置1において行われる動作の一例を示すフローチャートである。以下では、図1および図3を参照する。
制御装置7は、インデクサロボットIRによって、キャリアCから基板Wを搬出させ、この基板Wを基板受け渡しユニット3に搬入させる(S1)。そして、制御装置7は、検出ユニット10からの検出値に基づいて基板Wの大きさおよび厚みを同時に測定する(S2)。その後、制御装置7は、基板Wの大きさおよび厚みに対応するアダプターリング5を選択する(S3)。そして、制御装置7は、取替ロボットR1によって、選択されたアダプターリング5をいずれかの収容ユニット6から搬出させ、このアダプターリング5をいずれかの処理ユニット4に搬入させる(S4)。その後、制御装置7は、メインロボットMRによって、基板受け渡しユニット3から基板Wを搬出させ、選択されたアダプターリング5が搬入された処理ユニット4にこの基板Wを搬入させる(S5)。そして、制御装置7は、処理ユニット4によって基板Wを処理させる(S6)。
基板Wが処理された後は、制御装置7は、メインロボットMRによって、処理済みの基板Wを処理ユニット4から搬出させ(S7)、この基板Wを基板受け渡しユニット3に搬入させる。そして、制御装置7は、インデクサロボットIRによって、処理済みの基板Wを基板受け渡しユニット3から搬出させ、この基板WをいずれかのキャリアCに搬入させる。また、制御装置7は、基板Wを処理ユニット4からキャリアCに搬送させるのと並行して、取替ロボットR1によって、処理ユニット4からアダプターリング5を搬出させ(S8)、このアダプターリング5を収容ユニット6に搬入させる。制御装置7は、インデクサロボットIR等にこの一連の動作を繰り返し実行させることにより、複数枚の基板Wを一枚ずつ処理させる。
図4は、処理ユニット4およびこれに関連する構成の模式図である。
処理ユニット4は、基板Wを水平に保持するセンターチャック13(支持ユニット)と、センターチャック13に保持されている基板Wに処理液を供給する処理液供給ユニット14と、センターチャック13の周囲でアダプターリング5を水平に支持するベース15と、基板Wを収容する処理室16を形成する隔壁17とを含む。さらに、処理ユニット4は、センターチャック13に基板Wを吸着させる吸引ユニット18と、センターチャック13に保持されている基板Wを昇降させるチャック昇降ユニット19と、センターチャック13に保持されている基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させる回転ユニット20とを含む。基板Wを水平に保持して回転軸線A1まわりに回転させるスピンチャックC1は、センターチャック13、ベース15、アダプターリング5、および回転ユニット20によって構成されている。
隔壁17は、2つの開口部が形成された本体21と、2つの開口部をそれぞれ覆う2つのシャッター22、23とを含む。2つの開口部は、それぞれ、2つのシャッター22、23によって開閉される。基板Wは、メインロボットMRによって一方の開口部から処理室16に搬入され、アダプターリング5は、取替ロボットR1によって他方の開口部から処理室16に搬入される。アダプターリング5は、ベース15に取り外し可能に取り付けられる。アダプターリング5は、環状面57を有している。複数の収容ユニット6は、環状面57の高さH1(アダプターリング5の厚み)が等しく、環状面57の内径ID1がそれぞれ異なる複数のサイズ調整リングと、環状面57の内径ID1が等しく、環状面57の高さH1がそれぞれ異なる複数の厚み調整リングとを含む。
2つのアダプターリング5A、5Bは、環状面57の内径ID1が互いに異なっており、環状面57の高さH1が互いに等しいサイズ調整リングである。同様に、2つのアダプターリング5C、5Dは、環状面57の内径ID1が互いに異なっており、環状面57の高さH1が互いに等しいサイズ調整リングである。また、2つのアダプターリング5A、5Cは、環状面57の内径ID1が互いに等しく、環状面57の高さH1が互いに異なる厚み調整リングである。同様に、2つのアダプターリング5B、5Dは、環状面57の内径ID1が互いに等しく、環状面57の高さH1が互いに異なる厚み調整リングである。2つのアダプターリング5A、5Cは、グループG1を構成しており、2つのアダプターリング5B、5Dは、別のグループG2を構成している。制御装置7は、これらのアダプターリング5の中からいずれか一つのアダプターリング5を選択し、選択したアダプターリング5を取替ロボットR1によってベース15に取り付けさせる。
処理液供給ユニット14は、基板Wの上面に薬液を供給する薬液ノズル24を含む。薬液ノズル24は、薬液バルブ25が介装された薬液配管26に接続されている。さらに、薬液ノズル24は、薬液ノズル24を水平方向および鉛直方向に移動させるノズル移動機構(図示せず)に接続されている。薬液ノズル24は、たとえば、スリット状の吐出口を有するスリットノズルである。薬液ノズル24の下面には、基板Wの直径よりも長いスリット吐出口27が形成されている。可撓性を有する2つのシート28は、スリット吐出口27の両側で薬液ノズル24に取り付けられている。各シート28は、薬液ノズル24と共に移動する。シート28は、スリット吐出口27が延びる方向(長手方向)に長い長方形状である。長手方向へのシート28の長さは、スリット吐出口27の長さ以上である。シート28は、鉛直な姿勢で薬液ノズル24に取り付けられており、シート28の下端は、スリット吐出口27よりも下方に配置されている。薬液ノズル24から基板Wに薬液が供給されるときには、各シート28の下端が基板Wの上面に当接して、各シート28が撓む位置に薬液ノズル24が配置される。
処理液供給ユニット14は、さらに、基板Wの上面にリンス液を供給する上面リンス液ノズル29と、基板Wの下面周縁部にリンス液を供給する下面リンス液ノズル30とを含む。上面リンス液ノズル29は、上面リンス液バルブ31が介装された上面リンス液配管32に接続されている。さらに、上面リンス液ノズル29は、上面リンス液ノズル29を水平方向および鉛直方向に移動させるノズル移動機構(図示せず)に接続されている。同様に、下面リンス液ノズル30は、下面リンス液バルブ33が介装された下面リンス液配管34に接続されている。さらに、下面リンス液ノズル30は、下面リンス液ノズル30を水平方向および鉛直方向に移動させるノズル移動機構(図示せず)に接続されている。上面リンス液ノズル29および下面リンス液ノズル30は、たとえば、連続流の状態でリンス液を吐出するストレートノズルである。上面リンス液ノズル29は、下向きにリンス液を吐出し、下面リンス液ノズル30は、上向きにリンス液を吐出する。
図5Aおよび図5Bは、スピンチャックC1の概略構成を示す模式的な断面図である。図5Aは、相対的に小さい基板W用のスピンチャックC1の構成を示しており、図5Bは、相対的に大きい基板W用のスピンチャックC1の構成を示している。以下では、アダプターリング5がベース15に取り付けられており、センターチャック13が下位置である上面処理位置に位置している状態について説明する。
前述のように、スピンチャックC1は、センターチャック13、ベース15、アダプターリング5、および回転ユニット20によって構成されている。センターチャック13は、水平に配置された円板状の吸着ヘッド35と、吸着ヘッド35の中央部から下方に延びる筒状の吸着軸36とを含む。吸着ヘッド35の外径は、基板Wの直径よりも小さい。基板Wの下面中央部は、吸着ヘッド35の上面によって支持されている。吸着ヘッド35および吸着軸36の内部には、吸着ヘッド35の上面中央部から下方に延びる吸引路37が形成されており、吸着ヘッド35の上面には、吸引路37に連通する吸引溝38が形成されている。吸引溝38は、吸引路37の上端を同心円状に取り囲む複数の環状溝と、吸引路37の上端から放射状に延びる複数の放射溝とを含む。図5Aおよび図5Bでは、複数の環状溝だけが図示されている。吸引ユニット18は、吸引路37に接続されている。吸引ユニット18の吸引力は、吸引路37を介して吸引溝38に伝達される。吸着ヘッド35によって基板Wが支持されている状態で、吸引路37が吸引ユニット18によって吸引されると、基板Wは、吸引ユニット18からの吸引力によって吸着ヘッド35に吸引される。これにより、基板Wが水平に保持される。
ベース15は、水平に配置された円板状のベースプレート39と、ベースプレート39の中央部から下方に延びるベースシャフト40とを含む。ベースプレート39およびベースシャフト40の内部には、ベースプレート39の上面中央部から下方に延びる挿入孔41が形成されている。吸着ヘッド35は、ベースプレート39の上方に配置されており、吸着軸36は、挿入孔41に挿入されている。ベース15の内周面(挿入孔41の内周面)と吸着軸36の外周面は、上下方向に延びる筒状の気体供給路42を形成している。気体供給路42の上端は、ベースプレート39の上面と吸着ヘッド35の下面との間の平面視円形の空間に連なっている。気体供給路42の下端は、気体バルブ43が介装された気体配管44に接続されている。気体供給源からの気体は、気体配管44を介して気体供給路42に供給される。気体供給路42に供給される気体は、たとえば、窒素ガスなどの不活性ガスであってもよいし、清浄空気などのその他の気体であってもよい。
ベース15は、吸着軸36の外周面に取り付けられた複数のキー45と、ベース15の内周面に設けられた複数のキー溝との係合によって、センターチャック13に連結されている。センターチャック13およびベース15は、キー45に限らず、スプラインによって連結されていてもよい。キー45およびキー溝は、上下方向に延びている。センターチャック13およびベース15は、キー45およびキー溝の係合によって同軸的に連結されている。また、図示はしないが、ベース15は、回転軸線A1まわりに回転可能に保持されている。センターチャック13およびベース15が上下方向に延びるキー45によって連結されており、ベース15が回転可能であるから、センターチャック13およびベース15は、上下に相対移動可能であり、回転軸線A1まわりに一体回転可能である。
ベースプレート39は、センターチャック13を支持する円板状のチャック支持部46と、アダプターリング5に噛み合う環状の噛み合い部47と、アダプターリング用シール48を保持する環状のシール保持凹部49と、アダプターリング5を支持する環状のリング支持部50とを含む。チャック支持部46は、吸着ヘッド35と概ね同じ大きさの外径を有する円板状の部分である。噛み合い部47は、チャック支持部46を取り囲んでおり、シール保持凹部49は、噛み合い部47を取り囲んでいる。リング支持部50は、シール保持凹部49を取り囲んでいる。噛み合い部47、シール保持凹部49、およびリング支持部50は、チャック支持部46を同心円状に取り囲んでいる。
ベースプレート39の上面(チャック支持部46の上面)は、吸着ヘッド35の下面に対向している。チャック支持部46は、チャック支持部46の上面から上方に突出する堰き止め突起51を含む。堰き止め突起51は、ベースプレート39と同心で、全周に亘って連続した環状の部分である。堰き止め突起51は、吸着ヘッド35の下面に設けられた環状の嵌合溝に嵌合している。また、堰き止め突起51の外側には、堰き止め突起51を取り囲むチャック用シール52が配置されている。チャック用シール52は、吸着ヘッド35に保持されており、堰き止め突起51の外側でチャック支持部46の上面に押し付けられている。これにより、チャック支持部46の上面と吸着ヘッド35の下面との隙間がシールされている。吸着ヘッド35は、チャック用シール52を介してベースプレート39に支持されている。
アダプターリング5は、ベース15の上方でセンターチャック13(吸着ヘッド35)を取り囲んでいる。アダプターリング5は、アダプターリング5の内周部の下部に設けられた環状の噛み合い部53と、噛み合い部53を取り囲む環状の被支持部54とを含む。噛み合い部53は、ベース15の噛み合い部47に噛み合っている。2つの噛み合い部47、53は、上下に取り付けおよび取り外し可能な噛み合いクラッチを構成している。すなわち、噛み合い部47、53は、周方向に交互に配置された複数の凸部および凹部を含む。ベース15およびアダプターリング5は、噛み合い部47、53の噛み合いによって連結されている。したがって、ベース15およびアダプターリング5は、上下に相対移動可能であり、回転軸線A1まわりに一体回転可能である。また、被支持部54は、ベース15のリング支持部50によって支持されている。ベース15のシール保持凹部49に保持されたアダプターリング用シール48は、被支持部54の下面に押し付けられている。これにより、ベースプレート39の上面とアダプターリング5の下面との隙間がシールされている。
アダプターリング5は、さらに、基板Wの下面に対向する環状の対向面55と、対向面55より外側に配置された環状のシール保持凹部56と、シール保持凹部56より外側に配置された環状面57とを含む。対向面55、シール保持凹部56、および環状面57は、同心円状に配置されている。対向面55および環状面57は、アダプターリング5の上面の一部である。対向面55および環状面57は、互いに異なる高さに配置された上向きの水平面である。すなわち、対向面55は、センターチャック13の上面と概ね同じ高さに配置されている。環状面57は、対向面55の外側で対向面55より上方に配置されている。環状面57は、センターチャック13に保持されている基板Wの上面を含む水平面に沿って配置されており、基板Wの上面と概ね同じ高さに配置されている。環状面57は、基板Wの上面と同じ高さに配置されていてもよいし、基板Wの上面よりやや上側または下側に配置されていてもよい。環状面57の内周縁は、径方向の微小隙間(たとえば、数mm以下の隙間)を介して基板Wを取り囲んでおり、基板Wの周端面に近接している。
アダプターリング5に設けられたシール保持凹部56は、対向面55および環状面57より下方に凹んでいる。シール保持凹部56は、基板用シール58を保持している。基板用シール58は、全周に亘って連続した環状の弾性体である。基板用シール58は、たとえば、リップ付きのパッキンである。基板用シール58の上面は、センターチャック13に保持されている基板Wの下面周縁部に押し付けられている。これにより、基板Wの下面周縁部とアダプターリング5との間の隙間がシールされている。基板用シール58が基板Wに押し付けられている状態では、基板用シール58の上面の外周縁と基板Wの下面の外周縁とが一致している。さらに、基板用シール58の上面は、弾性変形による復元力によって、基板Wの下面周縁部に密着している。これにより、基板Wの下面周縁部が基板用シール58によって保護されており、基板Wの下面周縁部に対する処理液の接触が防止されている。
アダプターリング5は、ベース15に対して上から取り付けられている。アダプターリング5は、ベース15に対して上方に取り外し可能である。ベース15に対するアダプターリング5の取り付けおよび取り外しは、取替ロボットR1によって行われる。すなわち、アダプターリング5は、取替ロボットR1のハンドHR1によってハンドリングされるハンドリング突起59をさらに含む。ハンドリング突起59は、アダプターリング5の外周部に設けられている。ハンドリング突起59は、アダプターリング5の周方向に複数に分割されていてもよいし、全周に亘って連続していてもよい。ハンドリング突起59は、環状面57の外側で環状面57より下方に配置されている。ハンドリング突起59は、取替ロボットR1によって支持される。これにより、アダプターリング5が取替ロボットR1に支持される。取替ロボットR1は、ベース15に対してアダプターリング5を昇降させることにより、ベース15に対するアダプターリング5の取り付けおよび取り外しを行う。
チャック昇降ユニット19は、センターチャック13(吸着軸36)に連結されている。前述のように、センターチャック13およびベース15は、キー45によって上下方向に相対移動可能に連結されている。したがって、チャック昇降ユニット19の駆動力が、センターチャック13に入力されると、センターチャック13は、ベース15およびアダプターリング5に対して昇降する。チャック昇降ユニット19は、上面処理位置(下位置)と、上面処理位置の上方の下面処理位置(中間位置)と、さらに上方の受渡位置(上位置)との間でセンターチャック13を昇降させる。上面処理位置および下面処理位置は、それぞれ、基板Wの上面および下面の処理が行われる位置であり、受渡位置は、メインロボットMRとセンターチャック13との間で基板Wの受け渡しが行われる位置である。上面処理位置では、基板Wの下面が基板用シール58に接触しており、下面処理位置では、基板Wの下面が基板用シール58から離れている(図6A参照)。また、受渡位置では、センターチャック13(吸着ヘッド35)が、アダプターリング5より上方に位置している(図6H参照)。
また、回転ユニット20は、ベース15に連結されている。前述のように、センターチャック13およびベース15は、キー45によって一体回転可能に連結されており、ベース15およびアダプターリング5は、噛み合い部47、53によって一体回転可能に連結されている。キー45およびキー溝は、上下方向に延びており、センターチャック13が上面処理位置と受渡位置との間のいずれの高さに位置している状態でも噛み合っている。したがって、回転ユニット20の駆動力が、ベース15に入力されると、この駆動力が、ベース15からセンターチャック13およびアダプターリング5に伝達され、センターチャック13、ベース15、およびアダプターリング5が、回転軸線A1まわりに一体回転する。これにより、センターチャック13に保持されている基板Wが回転軸線A1まわりに回転する。
図6A〜図6Hは、アダプターリング5が処理ユニット4に搬入されてから処理済みの基板Wが処理ユニット4から搬出されるまでの一連の動作の一例を示す図解的な断面図である。以下では、シリコンウエハの裏面に薬液としてのエッチング液を供給することにより、シリコンウエハの裏面をエッチングするシンニング工程、およびこれに関連する工程について説明する。また、以下では、図4を参照する。図6A〜図6Hについては適宜参照する。
最初に、アダプターリング5を処理ユニット4に搬入するアダプターリング搬入工程が行われる。具体的には、制御装置7は、予め、各ノズル24、29、30をセンターチャック13の上方から退避させる。さらに、制御装置7は、チャック昇降ユニット19によってセンターチャック13を下位置(上面処理位置)に位置させる。制御装置7は、この状態で、取替ロボットR1によってアダプターリング5を処理ユニット4内(処理室16内)に搬入させる。続いて、図6Aに示すように、制御装置7は、取替ロボットR1によってアダプターリング5を下降させてベース15上にアダプターリング5を載置させる。その後、制御装置7は、取替ロボットR1を処理ユニット4から退避させる。このようにして、処理ユニット4に搬入される基板Wの大きさおよび厚みに対応するアダプターリング5がベース15に取り付けられる。
次に、基板Wを処理ユニット4に搬入する基板搬入工程が行われる。具体的には、制御装置7は、各ノズル24、29、30がセンターチャック13の上方から退避している状態で、チャック昇降ユニット19によってセンターチャック13を中間位置(下面処理位置)まで上昇させる。この状態で、制御装置7は、メインロボットMRによって未処理の基板Wを処理ユニット4内に搬入させる。続いて、制御装置7は、シリコンウエハの裏面を上に向けた状態で、メインロボットMRによって基板Wをセンターチャック13の上方に移動させる。そして、図6Bに示すように、制御装置7は、チャック昇降ユニット19によってセンターチャック13を上位置(受渡位置)まで上昇させる。メインロボットMRのハンドHMRに支持されている基板Wは、センターチャック13が上位置に移動する過程で、センターチャック13によって受け取られ、吸着ヘッド35によって支持される。制御装置7は、基板Wがセンターチャック13によって受け取られた後、メインロボットMRを処理ユニット4から退避させる。
メインロボットMRが処理ユニット4から退避した後、制御装置7は、吸引ユニット18によって基板Wの下面を吸着ヘッド35の上面に吸着させる。これにより、基板Wが水平な姿勢で保持される。この状態で、制御装置7は、チャック昇降ユニット19によってセンターチャック13を上位置から下位置まで下降させる。基板用シール58は、センターチャック13が下位置に移動する過程で、基板Wの下面周縁部に接触し下方に圧縮される。これにより、基板用シール58が弾性変形し、基板Wの下面周縁部に密着する。そのため、基板Wの下面周縁部とアダプターリング5との間が密閉される。さらに、基板Wの下面周縁部の全域が基板用シール58によって保護される。同様に、チャック用シール52は、センターチャック13が下位置に移動する過程で、ベース15の上面(チャック支持部46の上面)に接触し下方に圧縮される。これにより、チャック用シール52が弾性変形し、ベース15に密着する。そのため、吸着ヘッド35とベース15との間が密閉される。
センターチャック13が下位置に達した後、制御装置7は、回転ユニット20によってスピンチャックC1(アダプターリング5、センターチャック13、およびベース15)を回転軸線A1まわりに低速(たとえば、10rpm)で等速回転させる。これにより、基板Wが回転軸線A1まわりに低速で回転する。また、センターチャック13が下位置に達した後、制御装置7は、気体バルブ43を開いて、気体の一例である窒素ガスを気体供給路42に供給させる。気体供給路42は、吸着ヘッド35の下面とベース15の上面(チャック支持部46の上面)との間の隙間に連通している。さらに、吸着ヘッド35の下面とベース15の上面の間の隙間は、チャック用シール52によって封止されている。したがって、気体供給路42に窒素ガスが供給されると、吸着ヘッド35の下面とベース15の上面との間の気圧が高まり、チャック用シール52の内側の空間が正圧に保たれる。そのため、アダプターリング5の内周面と吸着ヘッド35の外周面との間を通ってチャック用シール52に達した処理液がチャック用シール52の内側に移動することを確実に防止できる。気体供給路42への窒素ガスの供給は、後述する2回目のスピンドライ工程が終了するまで継続される。
次に、エッチング液の一例であるフッ硝酸を基板Wの上面に供給する薬液処理工程(シンニング工程)が行われる。具体的には、制御装置7は、ノズル移動機構(図示せず)によって薬液ノズル24を基板Wの上方に移動させる。その後、制御装置7は、基板Wを薬液処理速度(たとえば、10rpm)で等速回転させながら、薬液バルブ25を開いて、薬液ノズル24からフッ硝酸を吐出させる。これにより、図6Cに示すように、回転状態の基板Wの上面にフッ硝酸が供給される。制御装置7は、薬液ノズル24からフッ硝酸を吐出させながら、ノズル移動機構によって、スリット吐出口27の長手方向に交差する水平な方向に薬液ノズル24を往復移動させる(図6Cにおいて一点鎖線で示す位置と二点鎖線で示す位置を参照)。したがって、フッ硝酸の着液位置が基板Wの上面全域を走査し、基板Wの上面全域にフッ硝酸が供給される。これにより、回転状態の基板Wの上面全域にフッ硝酸が供給され、基板Wの上面全域を覆うフッ硝酸の液膜が形成される。制御装置7は、基板Wへのフッ硝酸の供給が所定時間に亘って行われた後、薬液バルブ25を閉じて、薬液ノズル24からのフッ硝酸の吐出を停止させる。その後、制御装置7は、ノズル移動機構によって基板Wの上方から薬液ノズル24を退避させる。
回転状態の基板Wに供給されたフッ硝酸は、遠心力によって外方に流れる。前述のように、基板Wの回転速度が低速であるので、基板Wの上面中央部でのフッ硝酸の流速と、基板Wの上面周縁部でのフッ硝酸の流速との差が小さい。そのため、基板Wへのフッ硝酸の供給状態が均一化される。さらに、内周縁が基板Wの周端面に近接した状態でアダプターリング5の環状面57が基板Wの周囲を水平に取り囲んでいるので、図6Cに示すように、基板Wの上面周縁部から環状面57まで連続するフッ硝酸の液膜が形成される。したがって、基板Wの上面周縁部から環状面57にフッ硝酸がスムーズに流れる。そのため、基板Wを低速で回転させたとしても、外方に向かうフッ硝酸の流れが基板Wの上面周縁部で滞り、他の領域よりも厚い液膜が基板Wの上面周縁部に形成されることを抑制または防止できる。これにより、基板Wへのフッ硝酸の供給状態をさらに均一化できる。しかも、薬液ノズル24に取り付けられた2つのシート28は、基板Wの上面に接触している状態で薬液ノズル24と共に移動するので、先行するシート28は、基板W上の失活したフッ硝酸を掻き取り、後続のシート28は、基板W上のフッ硝酸の液膜を均す。そのため、基板Wへのフッ硝酸の供給状態がさらに均一化される。これにより、基板Wの上面をフッ硝酸によって均一に処理できる。
次に、リンス液の一例である純水(脱イオン水)を基板Wの上面に供給する上面リンス工程が行われる。具体的には、制御装置7は、ノズル移動機構(図示せず)によって上面リンス液ノズル29を基板Wの上方に移動させる。その後、制御装置7は、基板Wを上面リンス速度(たとえば、10rpm)で等速回転させながら、上面リンス液バルブ31を開いて、上面リンス液ノズル29から純水を吐出させる。これにより、図6Dに示すように、回転状態の基板Wの上面に純水が供給される。したがって、基板W上のフッ硝酸が純水によって置換される。さらに、基板Wに供給された純水が環状面57と基板Wとの間の微小隙間を跨いで基板W上からアダプターリング5上に流れ、環状面57上のフッ硝酸が純水によって置換される。そのため、基板Wの中心から環状面57まで連続したほぼ円形の純水の液膜が形成され、この純水の液膜によって基板Wの上面および環状面57が覆われる。制御装置7は、基板Wへの純水の供給が所定時間に亘って行われた後、上面リンス液バルブ31を閉じて、上面リンス液ノズル29からの純水の吐出を停止させる。その後、制御装置7は、ノズル移動機構によって基板Wの上方から上面リンス液ノズル29を退避させる。
次に、基板Wを乾燥させる乾燥工程(1回目のスピンドライ工程)が行われる。具体的には、制御装置7は、センターチャック13を下位置に位置させた状態で、回転ユニット20によってスピンチャックC1の回転を加速させて、基板Wの回転速度を第1乾燥速度(3000rpm〜4000rpm程度)まで上昇させる。これにより、図6Eに示すように、基板Wに付着している純水に大きな遠心力が作用し、基板Wに付着している純水が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから純水が除去され、基板Wが乾燥する。そして、乾燥工程が所定時間にわたって行われた後は、制御装置7は、回転ユニット20を制御することにより、スピンチャックC1による基板Wの回転を停止させる。
次に、リンス液の一例である純水を基板Wの下面周縁部に供給する下面リンス工程が行われる。具体的には、制御装置7は、チャック昇降ユニット19によって、センターチャック13を中間位置に上昇させる。さらに、制御装置7は、ノズル移動機構(図示せず)によって下面リンス液ノズル30を基板Wの近傍の所定位置に移動させる。その後、制御装置7は、回転ユニット20によってスピンチャックC1を下面リンス速度(たとえば、200rpm)で等速回転させる。この状態で、制御装置7は、下面リンス液バルブ33を開いて、下面リンス液ノズル30から純水を吐出させる。これにより、図6Fに示すように、回転状態の基板Wの下面周縁部に純水が供給される。さらに、基板Wの下面周縁部に供給された純水は、基板Wの下面周縁部から基板Wの周端面および上面周縁部にまで回り込み、それらの部分に供給される。このようにして、基板Wの周縁部に純水が供給され、基板Wの周縁部に付着している液体や異物が洗い流される。制御装置7は、基板Wへの純水の供給が所定時間に亘って行われた後、下面リンス液バルブ33を閉じて、下面リンス液ノズル30からの純水の吐出を停止させる。その後、制御装置7は、ノズル移動機構によって基板Wの近傍から下面リンス液ノズル30を退避させる。
下面リンス工程において基板Wの下面周縁部に供給された純水は、基板Wの下面周縁部に沿って回転方向に移動しつつ、基板Wの下面周縁部から側方に飛散する。したがって、下面リンス液ノズル30から基板Wに供給された純水は、基板Wの回転半径内方には殆ど向かわない。しかも、センターチャック13が中間位置に位置しているので、チャック用シール52は、ベース15から離れている。したがって、気体吐出口に相当する気体供給路42の上端から上方に吐出された窒素ガスは、吸着ヘッド35の下面とベース15の上面との間を外方(回転軸線A1から離れる方向)に流れ、外方に向かう気流を形成する。そのため、回転半径内方に液滴が向かうことを確実に抑制または防止できる。さらに、ベース15の上面に沿って液滴が内方に移動したとしても、この液滴は、ベース15の上面に設けられた堰き止め突起51によって堰き止められる。したがって、ベースシャフト40内への液体の進入が確実に抑制または防止される。
次に、基板Wを乾燥させる乾燥工程(2回目のスピンドライ工程)が行われる。具体的には、制御装置7は、センターチャック13を中間位置に位置させた状態で、回転ユニット20によってスピンチャックC1の回転を加速させて、基板Wの回転速度を第2乾燥速度(3000rpm〜4000rpm程度)まで上昇させる。これにより、図6Gに示すように、基板Wに付着している純水に大きな遠心力が作用し、基板Wに付着している純水が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから純水が除去され、基板Wが乾燥する。そして、乾燥工程が所定時間にわたって行われた後は、制御装置7は、回転ユニット20を制御することにより、スピンチャックC1による基板Wの回転を停止させる。さらに、制御装置7は、気体バルブ43を閉じて、気体供給路42への窒素ガスの供給を停止させる。
次に、基板Wを処理ユニット4から搬出する基板搬出工程が行われる。具体的には、制御装置7は、各ノズル24、29、30がセンターチャック13の上方から退避している状態で、チャック昇降ユニット19によって、センターチャック13を上位置まで上昇させる。その後、制御装置7は、吸引ユニット18を制御することにより、吸着ヘッド35による基板Wの吸着を解除させる。続いて、図6Hに示すように、制御装置7は、メインロボットMRのハンドHMRを処理ユニット4内に進入させて、ハンドHMRを基板Wの下面周縁部の下方に位置させる。この状態で、制御装置7は、チャック昇降ユニット19によって、センターチャック13を中間位置まで下降させる。これにより、処理済みの基板WがメインロボットMRによって受け取られる。制御装置7は、メインロボットMRによって基板Wが受け取られた後、メインロボットMRを処理ユニット4から退避させて、基板Wを処理ユニット4から搬出させる。その後、制御装置7は、取替ロボットR1によってアダプターリング5を処理ユニット4から搬出させる。
以上のように第1実施形態では、大きさおよび厚みの異なる複数のアダプターリング5が基板処理装置1に設けられており、基板Wの大きさおよび厚みに対応するアダプターリング5が収容ブロックB2から処理ユニット4に搬送される。これにより、基板Wの大きさおよび厚みに対応するアダプターリング5が、基板Wの周囲に配置される。したがって、基板Wから環状面57まで連続した処理液の液膜を形成できる。これにより、基板Wの上面に処理液を均一に供給でき、基板Wの上面を均一に処理できる。このように、大きさおよび厚みの異なる複数のアダプターリング5が基板処理装置1に設けられているから、1つの基板処理装置1で複数の大きさの基板Wを処理できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置201について説明する。
前述の第1実施形態では、複数のアダプターリングが、処理室の外に配置されており、選択されたアダプターリングだけが処理室内に搬入されるのに対し、第2実施形態では、センターチャックを同心円状に取り囲む複数の同心リングが処理室内に配置されている。以下の図7Aおよび図7Bにおいて、前述の図1〜図6Hに示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図7Aおよび図7Bは、本発明の第2実施形態に係るスピンチャックC201の概略構成を示す模式的な断面図である。第2実施形態に係るスピンチャックC201は、相対的に小さい基板W(たとえば、φ200mmの円形基板)を保持する状態と、相対的に大きい基板W(たとえば、φ300mmの円形基板)を保持する状態との間で切り替わる。図7Aは、相対的に小さい基板Wを保持する状態を示しており、図7Bは、相対的に大きい基板Wを保持する状態を示している。
基板処理装置201は、図1に示す収容ブロックB2、取替ロボットR1、および処理ユニット4を除き、第1実施形態に係る基板処理装置1と同様の構成を備えている。すなわち、収容ブロックB2および取替ロボットR1が設けられておらず、複数の同心リング261、262およびリング昇降ユニット260(リング移動ユニット、処理室内移動ユニットが、各処理ユニット204に設けられている。処理ユニット204は、センターチャック13と、処理液供給ユニット14と、隔壁17と、吸引ユニット18と、チャック昇降ユニット19と、回転ユニット20とを含む(図4参照)。さらに、処理ユニット204は、センターチャック13を同心円状に取り囲む複数の同心リング(インナーリング261およびアウターリング262)と、インナーリング261およびアウターリング262をセンターチャック13の周囲で水平に支持するベース215と、インナーリング261およびアウターリング262を昇降させるリング昇降ユニット260とを含む。スピンチャックC201は、センターチャック13、ベース215、インナーリング261、アウターリング262、および回転ユニット20によって構成されている。
ベース215は、水平に配置された円板状のベースプレート239と、ベースプレート239の中央部から下方に延びるベースシャフト240とを含む。ベースプレート239およびベースシャフト240の内部には、ベースプレート239の上面中央部から下方に延びる挿入孔41が形成されている。吸着ヘッド35は、ベースプレート239の上方に配置されており、吸着軸36は、挿入孔41に挿入されている。ベース215の内周面(挿入孔41の内周面)と吸着軸36の外周面は、上下方向に延びる筒状の気体供給路42を形成している。気体供給路42の上端は、ベースプレート239の上面と吸着ヘッド35の下面との間の平面視円形の空間に連なっている。気体供給路42の下端は、気体バルブ43が介装された気体配管44に接続されている。
ベース215は、吸着軸36の外周面に取り付けられた複数のキー45と、ベース215の内周面に設けられた複数のキー溝との係合によって、センターチャック13に連結されている。キー45およびキー溝は、上下方向に延びている。センターチャック13およびベース215は、キー45およびキー溝の係合によって同軸的に連結されている。また、図示はしないが、ベース215は、回転軸線A1まわりに回転可能に保持されている。センターチャック13およびベース215が上下方向に延びるキー45によって連結されており、ベース215が回転可能であるから、センターチャック13およびベース215は、上下に相対移動可能であり、回転軸線A1まわりに一体回転可能である。
ベースプレート239は、センターチャック13を支持する円板状のチャック支持部46を含む。チャック支持部46は、吸着ヘッド35と概ね同じ大きさの外径を有する円板状の部分である。ベースプレート239の上面(チャック支持部46の上面)は、吸着ヘッド35の下面に対向している。チャック支持部46は、チャック支持部46の上面から上方に突出する堰き止め突起51を含む。堰き止め突起51は、ベースプレート239と同心で、全周に亘って連続した環状の部分である。堰き止め突起51は、吸着ヘッド35の下面に設けられた嵌合溝に嵌合している。また、堰き止め突起51の外側には、堰き止め突起51を取り囲むチャック用シール52が配置されている。チャック用シール52は、吸着ヘッド35に保持されており、堰き止め突起51の外側でチャック支持部46の上面に押し付けられている。これにより、チャック支持部46の上面と吸着ヘッド35の下面との隙間がシールされている。吸着ヘッド35は、チャック用シール52を介してベースプレート239に支持されている。
インナーリング261は、ベース215およびセンターチャック13(吸着ヘッド35)を取り囲んでおり、アウターリング262は、インナーリング261を取り囲んでいる。2つのリング261、262は、同心円状に配置されている。インナーリング261の内周部は、たとえばスプラインによってベースプレート239の外周部に連結されている。ベースプレート239およびインナーリング261は、上下方向に相対移動可能であり、回転軸線A1まわりに一体回転可能である。同様に、アウターリング262の内周部は、たとえばスプラインによってインナーリング261の外周部に連結されている。インナーリング261およびアウターリング262は、上下方向に相対移動可能であり、回転軸線A1まわりに一体回転可能である。したがって、回転ユニット20の駆動力が、ベース215に入力されると、この駆動力が、ベース215からインナーリング261に伝達され、さらに、インナーリング261からアウターリング262に伝達される。また、ベース215に入力された駆動力は、キー45によってセンターチャック13にも伝達される。そのため、センターチャック13、ベース215、インナーリング261、およびアウターリング262は、回転軸線A1まわりに一体回転する。
2つのリング261、262は、リング昇降ユニット260に連結されている。2つのリング261、262は、リング昇降ユニット260によって個別に昇降される。リング昇降ユニット260は、処理位置(図7Aに示す位置)と、処理位置の下方の退避位置(図7Bに示す位置)との間でインナーリング261を昇降させる。処理位置は、インナーリング261によって基板Wの下面周縁部が支持される位置であり、退避位置は、インナーリング261全体が基板Wの下面より下方に配置される位置である。同様に、リング昇降ユニット260は、処理位置(図7Bに示す位置)と、処理位置の下方の退避位置(図7Aに示す位置)との間でアウターリング262を昇降させる。処理位置は、アウターリング262によって基板Wの下面周縁部が支持される位置であり、退避位置は、アウターリング262全体が基板Wの下面より下方に配置される位置である。
基板Wの下面周縁部は、インナーリング261およびアウターリング262のいずれか一方によって支持される。インナーリング261およびアウターリング262のいずれを用いるかは、基板Wの大きさによって選択される。相対的に小さい基板Wの場合には、図7Aに示すように、インナーリング261およびアウターリング262がそれぞれ処理位置および退避位置に配置され、基板Wの下面周縁部がインナーリング261によって支持される。それとは反対に、相対的に大きい基板Wの場合には、図7Bに示すように、インナーリング261およびアウターリング262がそれぞれ退避位置および処理位置に配置され、基板Wの下面周縁部がアウターリング262によって支持される。したがって、基板Wは、インナーリング261およびアウターリング262のいずれか一方と、センターチャック13とによって支持される。制御装置7は、このようにして、リング昇降ユニット260を制御することにより、スピンチャックC201の状態を切り替える。
インナーリング261は、基板Wの下面に対向する環状の内対向面263と、内対向面263より外側に配置された環状の内シール保持凹部264と、内シール保持凹部264より外側に配置された環状の内環状面265とを含む。内対向面263、内シール保持凹部264、および内環状面265は、同心円状に配置されている。内対向面263および内環状面265は、インナーリング261の上面の一部である。内対向面263および内環状面265は、互いに異なる高さに配置された上向きの水平面である。すなわち、内対向面263は、インナーリング261の処理位置において、センターチャック13の上面と概ね同じ高さに配置されている。内環状面265は、内対向面263の外側で内対向面263より上方に配置されている。内環状面265は、インナーリング261の処理位置において、センターチャック13に保持されている基板Wの上面を含む水平面に沿って配置されており、基板Wの上面と概ね同じ高さに配置されている。内環状面265の内周縁は、径方向の微小隙間を介して基板Wを取り囲んでおり、基板Wの周端面に近接している。
インナーリング261に設けられた内シール保持凹部264は、内対向面263および内環状面265より下方に凹んでいる。内シール保持凹部264は、基板用シール58を保持している。基板用シール58の上面は、インナーリング261の処理位置において、センターチャック13に保持されている基板Wの下面周縁部に押し付けられている。これにより、基板Wの下面周縁部とインナーリング261との間の隙間がシールされている。基板用シール58が基板Wに押し付けられている状態では、基板用シール58の上面の外周縁と基板Wの下面の外周縁とが一致している。さらに、基板用シール58の上面は、弾性変形による復元力によって、基板Wの下面周縁部に密着している。これにより、基板Wの下面周縁部が基板用シール58によって保護されており、基板Wの下面周縁部に対する処理液の接触が防止されている。
アウターリング262は、インナーリング261と同様に、基板Wの下面に対向する環状の外対向面266と、外対向面266より外側に配置された環状の外シール保持凹部267と、外シール保持凹部267より外側に配置された環状の外環状面268とを含む。外対向面266、外シール保持凹部267、および外環状面268は、同心円状に配置されている。外対向面266および外環状面268は、アウターリング262の上面の一部である。外対向面266および外環状面268は、互いに異なる高さに配置された上向きの水平面である。すなわち、外対向面266は、アウターリング262の処理位置において、センターチャック13の上面と概ね同じ高さに配置されている。外環状面268は、外対向面266の外側で外対向面266より上方に配置されている。外環状面268は、アウターリング262の処理位置において、センターチャック13に保持されている基板Wの上面を含む水平面に沿って配置されており、基板Wの上面と概ね同じ高さに配置されている。外環状面268の内周縁は、径方向の微小隙間を介して基板Wを取り囲んでおり、基板Wの周端面に近接している。
アウターリング262に設けられた外シール保持凹部267は、外対向面266および外環状面268より下方に凹んでいる。外シール保持凹部267は、基板用シール58を保持している。基板用シール58の上面は、アウターリング262の処理位置において、センターチャック13に保持されている基板Wの下面周縁部に押し付けられている。これにより、基板Wの下面周縁部とアウターリング262との間の隙間がシールされている。基板用シール58が基板Wに押し付けられている状態では、基板用シール58の上面の外周縁と基板Wの下面の外周縁とが一致している。さらに、基板用シール58の上面は、弾性変形による復元力によって、基板Wの下面周縁部に密着している。これにより、基板Wの下面周縁部が基板用シール58によって保護されており、基板Wの下面周縁部に対する処理液の接触が防止されている。
以上のように第2実施形態では、センターチャック13を同心円状に取り囲む複数の同心リング261、262が、処理室16内に配置されている。制御装置7は、リング昇降ユニット260を制御することにより、基板Wの大きさに対応するリング(インナーリング261またはアウターリング262)を基板Wの周囲に配置する。したがって、基板Wから環状面(内環状面265または外環状面268)まで連続した処理液の液膜を形成できる。これにより、基板Wの上面に処理液を均一に供給でき、基板Wの上面を均一に処理できる。このように、大きさの異なる複数の同心リング261、262が基板処理装置201に設けられているから、1つの基板処理装置201で複数の大きさの基板Wを処理できる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る基板処理装置301について説明する。
前述の第1実施形態では、基板の大きさおよび厚みに応じてアダプターリングが取り替えられるのに対し、第3実施形態では、センターチャックとリングとを含むアダプターユニットが、基板の大きさおよび厚みに応じて取り替えられる。以下の図8Aおよび図8Bにおいて、前述の図1〜図7Bに示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図8Aは、本発明の第3実施形態に係るスピンチャックC301の概略構成を示す模式的な断面図である。図8Bは、本発明の第3実施形態に係るスピンチャックC301にアダプターユニット361が取り付けられている状態を示す模式的な断面図である。
基板処理装置301は、図1に示す処理ユニット4およびアダプターリング5を除き、第1実施形態に係る基板処理装置1と同様の構成を備えている。すなわち、第3実施形態に係る処理ブロックB1には、第1実施形態に係る複数の処理ユニット4に代えて、複数の処理ユニット304が配置されている。また、第3実施形態に係る収容ブロックB2には、第1実施形態に係る複数のアダプターリング5に代えて、複数のアダプターユニット361が配置されている。図示はしないが、複数のアダプターユニット361は、環状面の高さが等しく、環状面の内径がそれぞれ異なる複数のサイズ調整リングと、環状面の内径が等しく、環状面の高さがそれぞれ異なる複数の厚み調整リングとを含む。
以下では、処理ユニット304およびアダプターユニット361について説明する。最初に、処理ユニット304について説明する。以下では、図8Aを参照する。図8Aは、上面処理位置に位置するセンターチャック313によって基板Wが支持されている状態を示している。
[処理ユニット304]
処理ユニット304は、基板Wを水平に保持するセンターチャック313(支持ユニット、支持部材)と、センターチャック313に保持されている基板Wに処理液を供給する処理液供給ユニット14(図4参照)と、センターチャック313の周囲に配置されたリング305と、センターチャック313の周囲でリング305を水平に支持するベース315と、基板Wを収容する処理室16を形成する隔壁17(図4参照)とを含む。さらに、処理ユニット304は、センターチャック313に基板Wを吸着させる吸引ユニット18と、センターチャック313に保持されている基板Wを昇降させるチャック昇降ユニット19と、回転軸線A1まわりに基板Wを回転させる回転ユニット20とを含む。スピンチャックC301は、センターチャック313、ベース315、リング305、および回転ユニット20によって構成されている。
センターチャック313は、水平に配置された円板状の吸着ヘッド335と、吸着ヘッド335の中央部から下方に延びる筒状の吸着軸336とを含む。処理ユニット304は、吸着軸336の下端部から下方に延びる筒状の中継軸362(共通部材)をさらに含む。吸着ヘッド335の外径は、基板Wの直径よりも小さい。基板Wの下面中央部は、吸着ヘッド335の上面によって支持されている。吸着軸336の上端部は、吸着ヘッド335に固定されており、吸着軸336の下端部は、たとえばネジ363によって、中継軸362の上端部に固定されている。したがって、吸着軸336および中継軸362は、取り外し可能に連結されている。センターチャック313は、中継軸362に対して取り外し可能である。センターチャック313および中継軸362は、回転軸線A1まわりに一体回転可能であり、上下方向に一体移動可能である。チャック昇降ユニット19は、中継軸362を介してセンターチャック313に連結されている。
吸着ヘッド335、吸着軸336、および中継軸362の内部には、吸着ヘッド335の上面中央部から下方に延びる吸引路37が形成されており、吸着ヘッド335の上面には、吸引路37に連通する吸引溝38が形成されている。吸引ユニット18は、吸引路37に接続されている。吸引ユニット18の吸引力は、吸引路37を介して吸引溝38に伝達される。吸着ヘッド335によって基板Wが支持されている状態で、吸引路37が吸引ユニット18によって吸引されると、基板Wは、吸引ユニット18からの吸引力によって吸着ヘッド335に吸引される。これにより、基板Wが水平に保持される。
ベース315は、水平に配置された円板状のベースプレート339と、ベースプレート339の中央部から下方に延びるベースシャフト40とを含む。ベースプレート339およびベースシャフト40の内部には、ベースプレート339の上面中央部から下方に延びる挿入孔41が形成されている。吸着ヘッド335は、ベースプレート339の上方に配置されており、吸着軸336は、挿入孔41に挿入されている。ベース315の内周面(挿入孔41の内周面)と吸着軸336および中継軸362の外周面は、上下方向に延びる筒状の気体供給路42を形成している。気体供給路42の上端は、ベースプレート339の上面と吸着ヘッド335の下面との間の平面視円形の空間に連なっている。気体供給路42の下端は、気体バルブ43が介装された気体配管44に接続されている。
ベース315は、中継軸362の外周面に取り付けられた複数のキー45と、ベース315の内周面に設けられた複数のキー溝との係合によって、中継軸362に連結されている。したがって、ベース315は、中継軸362を介してセンターチャック313に連結されている。センターチャック313およびベース315は、キー45およびキー溝の係合によって同軸的に連結されている。また、図示はしないが、ベース315は、回転軸線A1まわりに回転可能に保持されている。センターチャック313およびベース315が上下方向に延びるキー45によって連結されており、ベース315が回転可能であるから、センターチャック313およびベース315は、上下に相対移動可能であり、回転軸線A1まわりに一体回転可能である。回転ユニット20の駆動力は、ベースシャフト40に入力される。
ベースプレート339は、センターチャック313を支持するチャック支持部346と、センターチャック313を取り囲む環状の外壁364と、外壁364に設けられた環状のシール保持凹部349と、リング305を支持する環状のリング支持部350とを含む。チャック支持部346は、吸着ヘッド335と概ね同じ大きさの外径を有する円板状の部分である。外壁364、シール保持凹部349、およびリング支持部350は、チャック支持部346を同心円状に取り囲んでいる。チャック支持部346の上面は、吸着ヘッド335の下面に対向している。チャック支持部346は、チャック支持部346の上面から上方に突出する堰き止め突起51を含む。堰き止め突起51は、ベースプレート339と同心で、全周に亘って連続した環状の部分である。堰き止め突起51は、吸着ヘッド335の下面に設けられた嵌合溝に嵌合している。また、堰き止め突起51の外側には、堰き止め突起51を取り囲むチャック用シール52が配置されている。チャック用シール52は、吸着ヘッド335に保持されており、堰き止め突起51の外側でチャック支持部346の上面に押し付けられている。これにより、チャック支持部346の上面と吸着ヘッド335の下面との隙間がシールされている。吸着ヘッド335は、チャック用シール52を介してベースプレート339に支持されている。
外壁364は、ベースプレート339と同心で、全周に亘って連続した環状の部分である。外壁364は、チャック支持部346と共に、吸着ヘッド335を収容する平面視円形の収容凹部365を形成している。外壁364は、基板Wの下面に対向する環状の対向面355を含み、リング305は、対向面355より外側に配置された環状面357を含む。対向面355および環状面357は、同心円状に配置されており、シール保持凹部349は、対向面355および環状面357の間に配置されている。対向面355は、外壁364の上面の一部であり、環状面357は、リング305の上面である。
対向面355および環状面357は、互いに異なる高さに配置された上向きの水平面である。すなわち、対向面355は、センターチャック313の上面と概ね同じ高さに配置されている。環状面357は、対向面355の外側で対向面355より上方に配置されている。環状面357は、センターチャック313に保持されている基板Wの上面を含む水平面に沿って配置されており、基板Wの上面と概ね同じ高さに配置されている。環状面357の内周縁は、径方向の微小隙間を介して基板Wを取り囲んでおり、基板Wの周端面に近接している。
外壁364に設けられたシール保持凹部56は、対向面355および環状面357より下方に凹んでいる。シール保持凹部56は、基板用シール58を保持している。基板用シール58の上面は、センターチャック313に保持されている基板Wの下面周縁部に押し付けられている。これにより、基板Wの下面周縁部と外壁364との間の隙間がシールされている。基板用シール58が基板Wに押し付けられている状態では、基板用シール58の上面の外周縁と基板Wの下面の外周縁とが一致している。さらに、基板用シール58の上面は、弾性変形による復元力によって、基板Wの下面周縁部に密着している。これにより、基板Wの下面周縁部が基板用シール58によって保護されており、基板Wの下面周縁部に対する処理液の接触が防止されている。
リング305は、複数のボルト366によってベース315に連結されている。リング305およびセンターチャック313は、ベース315によって連結されている。ベース315は、リング305およびセンターチャック313を連結することにより、リング305およびセンターチャック313をユニット化している。すなわち、センターチャック313、リング305、およびベース315は、1つのユニットを構成している。
[アダプターユニット361]
次に、アダプターユニット361について説明する。以下では、図8Bを参照する。図8Bは、センターチャック313がベース315から取り外されており、センターチャック313の代わりに、アダプターユニット361がベース315に取り付けられている状態を示している。基板Wは、上面処理位置に位置するセンターチャック367によって支持されている。
アダプターユニット361は、基板Wを水平に保持するセンターチャック367(支持ユニット、支持部材)と、センターチャック367を取り囲むリング368と、センターチャック367の周囲でリング368を水平に支持するベース369とを含む。センターチャック367は、ベース369に支持されており、リング368は、複数のボルト366によってベース369に連結されている。ベース369は、センターチャック367およびリング368を連結することにより、センターチャック367およびリング368をユニット化している。すなわち、センターチャック367、リング368、およびベース369は、1つのユニットを構成している。
センターチャック367は、水平に配置された円板状の吸着ヘッド370と、吸着ヘッド370の中央部から下方に延びる筒状の吸着軸371とを含む。吸着軸371の下端部は、たとえばネジ363によって、中継軸362の上端部に固定されている。センターチャック367および中継軸362は、回転軸線A1まわりに一体回転可能であり、上下方向に一体移動可能である。吸着ヘッド370の外径は、基板Wの直径よりも小さい。基板Wの下面中央部は、吸着ヘッド370の上面によって支持されている。吸着ヘッド370および吸着軸371の内部には、吸着ヘッド370の上面中央部から下方に延びる吸引路372が形成されており、吸着ヘッド370の上面には、吸引路372に連通する吸引溝373が形成されている。吸引ユニット18は、中継軸362内の吸引路37を介して吸引路372に接続されている。吸引ユニット18の吸引力は、吸引路37および吸引路372を介して吸引溝373に伝達される。吸着ヘッド370によって基板Wが支持されている状態で、吸引路372が吸引ユニット18によって吸引されると、基板Wは、吸引ユニット18からの吸引力によって吸着ヘッド370に吸引される。これにより、基板Wが水平に保持される。
ベース369は、水平に配置された円板状のベースプレート374と、ベースプレート374の中央部から下方に延びる円板状の嵌合部375とを含む。嵌合部375は、取り外されているセンターチャック313(吸着ヘッド335。図8A参照)と外径が等しい円板状の部分である。嵌合部375は、下側のベース315に支持されている。嵌合部375の下面には、下側のベース315に設けられた堰き止め突起51が嵌合する環状の嵌合溝が形成されており、嵌合溝の外側の部分には、チャック用シール52が保持されている。ベースプレート374および嵌合部375の内部には、ベースプレート374の上面中央部から下方に延びる挿入孔377が形成されている。吸着ヘッド370は、ベースプレート374の上方に配置されており、吸着軸371は、挿入孔377に挿入されている。ベース369の内周面(挿入孔41の内周面)と吸着軸371の外周面は、上下方向に延びる筒状の気体供給路378を形成している。気体供給路378の上端は、ベースプレート374の上面と吸着ヘッド370の下面との間の平面視円形の空間に連なっている。気体供給路378の下端は、その下側の気体供給路42に連通している。したがって、気体配管44からの気体は、気体供給路42を介して気体供給路378に供給される。
ベース369は、吸着軸371の外周面に取り付けられた複数のキー45と、ベース369の内周面に設けられた複数のキー溝との係合によって、センターチャック367に連結されている。キー45およびキー溝は、上下方向に延びている。センターチャック367およびベース369は、キー45およびキー溝の係合によって同軸的に連結されている。センターチャック367およびベース369は、上下に相対移動可能であり、回転軸線A1まわりに一体回転可能である。回転ユニット20の駆動力が、下側のベース315に入力されると、この駆動力は、下側のベース315から中継軸362に伝達され、さらに、中継軸362から吸着軸371に伝達される。そして、吸着軸371に伝達された駆動力は、キー45によって吸着軸371から上側のベース369に伝達される。これにより、センターチャック367およびベース369が回転軸線A1まわりに一体回転する。
ベースプレート374は、センターチャック367を支持するチャック支持部379と、センターチャック367を取り囲む環状の外壁380と、外壁380に設けられた環状のシール保持凹部381と、リング368を支持する環状のリング支持部382とを含む。チャック支持部379は、吸着ヘッド370と概ね同じ大きさの外径を有する円板状の部分である。外壁380、シール保持凹部381、およびリング支持部382は、チャック支持部379を同心円状に取り囲んでいる。チャック支持部379の上面は、吸着ヘッド370の下面に対向している。チャック支持部379は、チャック支持部379の上面から上方に突出する堰き止め突起376を含む。堰き止め突起376は、ベースプレート374と同心で、全周に亘って連続した環状の部分である。堰き止め突起376は、吸着ヘッド370の下面に設けられた嵌合溝に嵌合している。また、堰き止め突起376の外側には、堰き止め突起376を取り囲むチャック用シール52が配置されている。チャック用シール52は、吸着ヘッド370に保持されており、堰き止め突起376の外側でチャック支持部379の上面に押し付けられている。これにより、チャック支持部379の上面と吸着ヘッド370の下面との隙間がシールされている。吸着ヘッド370は、チャック用シール52を介してベースプレート374に支持されている。
ベースプレート374に設けられた外壁380は、ベースプレート374と同心で、全周に亘って連続した環状の部分である。外壁380は、チャック支持部379と共に、吸着ヘッド370を収容する平面視円形の収容凹部383を形成している。外壁380は、基板Wの下面に対向する環状の対向面384を含み、リング368は、対向面384より外側に配置された環状面385を含む。対向面384および環状面385は、同心円状に配置されており、シール保持凹部381は、対向面384および環状面385の間に配置されている。対向面384は、外壁380の上面の一部であり、環状面385は、リング368の上面である。
対向面384および環状面385は、互いに異なる高さに配置された上向きの水平面である。すなわち、対向面384は、センターチャック367の上面と概ね同じ高さに配置されている。環状面385は、対向面384の外側で対向面384より上方に配置されている。環状面385は、センターチャック367に保持されている基板Wの上面を含む水平面に沿って配置されており、基板Wの上面と概ね同じ高さに配置されている。環状面385の内周縁は、径方向の微小隙間を介して基板Wを取り囲んでおり、基板Wの周端面に近接している。
ベースプレート374に設けられたシール保持凹部381は、対向面384および環状面385より下方に凹んでいる。シール保持凹部381は、基板用シール58を保持している。基板用シール58の上面は、センターチャック367に保持されている基板Wの下面周縁部に押し付けられている。これにより、基板Wの下面周縁部とベース369との間の隙間がシールされている。基板用シール58が基板Wに押し付けられている状態では、基板用シール58の上面の外周縁と基板Wの下面の外周縁とが一致している。さらに、基板用シール58の上面は、弾性変形による復元力によって、基板Wの下面周縁部に密着している。これにより、基板Wの下面周縁部が基板用シール58によって保護されており、基板Wの下面周縁部に対する処理液の接触が防止されている。
以上のように第3実施形態では、リング305およびセンターチャック313が、ベース315によってユニット化されており、リング368およびセンターチャック367が、ベース369によってユニット化されている。これらのユニットは、複数のサイズ調整リングと、複数の厚み調整リングとを含む。したがって、これらのユニットの中から基板Wの大きさおよび厚みに対応するユニットを選択し、このユニットによって基板Wを支持することにより、基板Wの大きさおよび厚みに対応する環状面(環状面357または環状面385)を基板Wの周囲に配置することができる。したがって、基板Wから環状面357または環状面385まで連続した処理液の液膜を形成できる。これにより、基板Wの上面に処理液を均一に供給でき、基板Wの上面を均一に処理できる。このように、大きさおよび厚みの異なる複数のユニットが基板処理装置301に設けられているから、1つの基板処理装置301で複数の大きさの基板Wを処理できる。
この発明の実施形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の第1〜第3実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の第1実施形態では、基板の大きさおよび厚みに基づいてアダプターリングが選択される場合について説明したが、アダプターリングは、基板の大きさだけに基づいて選択されてもよい。
また、前述の第1実施形態では、アダプターリングが自動で取り替えられる場合について説明したが、アダプターリングは、手動で(使用者)によって取り替えられてもよい。第2および第3実施形態についても同様である。
また、前述の第1〜第3実施形態では、基板処理装置が、円板状の基板を処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置は、液晶表示装置用基板などの多角形の基板を処理する装置であってもよい。
また、前述の第1〜第3実施形態では、2種類の異なる大きさの基板Wを処理可能な基板処理装置について説明したが、基板処理装置は、3種類以上の異なる大きさの基板Wを処理可能な構成であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。