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JP5793386B2 - ポリスチレン系樹脂発泡シート及び成形品 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂発泡シート及び成形品 Download PDF

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Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂発泡シート及び成形品に関する。
従来より、ポリスチレン系樹脂発泡シートは、レンジアップ用容器等の食品用容器の材料として用いられている。このようなポリスチレン系樹脂発泡シートで形成された食品用容器は、高強度及び高耐熱性に対する要望が強く、特に熱変形温度を向上させることが求められている。このような要望に対して、ポリスチレン系樹脂発泡シートの原料にポリフェニレンエーテル系樹脂を添加することで、このシートを用いてなる成形品の熱変形温度を向上させる技術がある(特許文献1)。特許文献1に開示のポニフェニレンエーテル系樹脂を含有させたポリスチレン系樹脂発泡シートは、スチレン−メタクリル酸共重合系樹脂発泡シートに比べて、割れ難いとともに、脆性が良好である。
特開2008−94919号公報
しかしながら、特許文献1に開示のポニフェニレンエーテル系樹脂を含有させたポリスチレン系樹脂発泡シートにおいて、シート発泡倍率が低くなる場合があり、このことに起因して割れが生じるという問題や、食品用容器の形状によっては圧縮した際に割れるという問題があり、割れの特性が十分でないことを本発明者は見出した。
本発明は、上記問題点に鑑み、割れを抑制したポリスチレン系樹脂発泡シート及び成形品を提供することを課題とする。
本発明者は、ポリフェニレンエーテル樹脂を含むポリスチレン系樹脂発泡シートおよびその成形品において割れるという問題は、分子量と、連続気泡率と、裏面層の密度に対する表面層の密度の比と、厚み方向の気泡径とに起因することを見出した。そこで、本発明者は、これらの要因について割れを抑制できる範囲を鋭意研究した結果、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートは、表面と、表面と反対側の裏面とを有するとともに、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂が含有され、且つポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対してポリフェニレンエーテル系樹脂が10質量部以上50質量部以下含有されたポリスチレン系樹脂組成物を用いて形成されたポリスチレン系樹脂発泡シートであって、分子量が160000以上310000以下であり、連続気泡率が20%未満であり、裏面から表面に向けて200μmの深さ位置までの裏面層の密度Bに対する、表面から裏面に向けて200μmの深さ位置までの表面層の密度A(A/B)が、0.77以上1.30以下であり、厚み方向の気泡径が100μm以上400μm以下であることを特徴とする。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートによれば、ポリフェニレンエーテル系樹脂を、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下となる割合で含有させているので、ポリフェニレンエーテル系樹脂の添加効果を発現できる。また、ポリスチレン系樹脂発泡シートの分子量が160000以上であるので、脆性を向上できるため、割れを低減できる。ポリスチレン系樹脂発泡シートの分子量が310000以下であるので、押出時の圧力を低く維持できるため、製品として実現できる。また、ポリスチレン系樹脂発泡シートの連続気泡率が20%未満であるので、脆性を向上できるため、割れを抑制できる。また、裏面から表面に向けて200μmの深さ位置までの裏面層の密度Bに対する、表面から裏面に向けて200μmの深さ位置までの表面層の密度A(A/B)が、0.77以上1.30以下であるので、表面側の密度と裏面側の密度との差を低減できるため、割れを抑制できる。また、ポリスチレン系樹脂発泡シートの厚み方向の気泡径が100μm以上400μm以下であるので、脆性を向上できるため、割れを低減できる。これらの相乗効果により、割れを抑制したポリスチレン系樹脂発泡シートを実現できる。
本発明の成形品は、ポリスチレン系樹脂発泡シートを用いて作製されることを特徴とする。
本発明の成形品によれば、割れを低減したポリスチレン系樹脂発泡シートを用いて作製されているので、成形品の割れも抑制できる。
以上説明したように、本発明によれば、割れを抑制したポリスチレン系樹脂発泡シート及び成形品を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
本実施の形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂が含有されたポリスチレン系樹脂組成物を用いて形成されている。
ポリスチレン系樹脂組成物に用いる原料としては、特に限定されるものではなく、一般的に使用されるものを用いることができる。なお、ポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性の観点からは、スチレン単独重合体などのポリスチレン樹脂が好適である。
一方、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性の付与に有効なものであり、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下となる割合で含有される。
なお、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、通常、次の一般式で表される。
Figure 0005793386
ここでR1及びR2は、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、nは、重合度を表す正の整数である。
例示すれば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジクロルフェニレン−1,4−エーテル)等が本実施形態において用いられ得る。また、重合度nは、通常10〜5000の範囲内である。
このようなポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性の向上に有効なものではあるが、ポリフェニレンエーテル系樹脂を、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下となる割合で含有させるのは、上記範囲未満では、ポリフェニレンエーテル系樹脂の添加効果が十分に発揮されないおそれを有し、逆に上記範囲を超えてポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させても、それ以上にポリフェニレンエーテル系樹脂の添加効果が発揮されないおそれを有するためである。
また、一般的にはポリスチレン系樹脂に比べて高価であるために上記範囲を超えてポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させると材料コストの観点においても問題を生じさせるおそれを有する。
通常、ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度(JIS K7206−1991、B法、50℃/h)は、102℃程度であるが、上記のようなポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させることにより、ビカット軟化温度を110℃以上155℃以下の範囲に向上させることができ、このポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだポリスチレン系樹脂組成物を使用することで、得られるポリスチレン系樹脂発泡シートやこのポリスチレン系樹脂発泡シートを2次加工した製品などの耐熱性向上を図ることができる。
一般にポリスチレン系樹脂組成物が用いられてなる成形品に耐熱性が求められる場合には、スチレンホモポリマーよりもビカット軟化温度の高いスチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、ポリパラメチルスチレン樹脂などのコポリマーをその形成材料に採用することが行われている。一方で、上記のようにポリフェニレンエーテル系樹脂をブレンドする方法は、単に製品に耐熱性を付与することができるばかりでなく、優れた靱性を付与することができる点においても優れている。
したがって、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだポリスチレン系樹脂組成物を使用して発泡トレーなどの成形品を作成すると、急激な変形が加えられても割れを抑制できる成形品を形成させ得る。
また、ポリスチレン系樹脂発泡シートの分子量は、160000以上310000以下であり、200000以上240000以下であることが好ましく、208000以上232000以下であることがより好ましい。分子量が160000未満であると、脆性が悪いので、割れやすくなる。分子量が200000以上であると、脆性をより向上できるので、割れをより抑制でき、分子量が208000以上であると、割れをより効果的に抑制できる。一方、分子量が310000を超えると、押出時の圧力が高くなるので、外観が不良になるなど製品として生産ができない場合がある。分子量が240000以下であると、押出時の圧力を低く維持できるので、製品としてより実現しやく、分子量が232000以下であると、生産性をより効果的に向上できる。
ここで、上記「分子量」とは、ポリスチレン系樹脂発泡シートとしての混合物の重量平均分子量を意味し、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定される値である。
また、上記分子量は、例えば配合するGPPSの分子量変更(GPPSグレードの変更)で調整することができる。
また、ポリスチレン系樹脂発泡シートの連続気泡率は20%未満であり、12.5%以下が好ましく、11.5%以下がより好ましい。連続気泡率が20%以上であると、脆性が悪く、割れやすくなる。連続気泡率が12.5%以下であると、脆性をより向上できるので、割れをより抑制でき、連続気泡率が11.5%以下であると、割れをより効果的に抑制できる。
ここで、上記「連続気泡率」は、空気比較式比重計を用いてポリスチレン系樹脂発泡シートの試験体の体積を測定し、「連続気泡率(%)=(V0−V)/V0×100(Vは試験体の体積(cm3)、V0は測定に使用した試験体の外形寸法から計算される試験体の見掛けの体積(cm3))」により求められる値である。
また、上記連続気泡率は、例えば押出発泡時の樹脂温度変更などで調整することができる。
また、ポリスチレン系樹脂発泡シートは、長手方向に延在する表面と、この表面と反対側の裏面とを有する。裏面から表面に向けて200μmの深さ位置までの裏面層の密度Bに対する、表面から裏面に向けて200μmの深さ位置までの表面層の密度A(A/B)は、0.77以上1.30以下であり、0.85以上1.15以下であることが好ましく、1.10以上1.14以下であることがより好ましい。A/Bが0.77未満であると、表面層側に割れが生じやすくなる。A/Bが1.30を超えると、裏面層側に割れが生じやすくなる。A/Bが0.85以上1.15以下であると、表面層側の密度と裏面層側の密度との差を低減できるので、表面層側および裏面層側のいずれを外側に配置して成形品を作製しても、割れを抑制できる。A/Bが0.85以上1.15以下であると、割れをより抑制できる。
ここで、上記「裏面層の密度に対する表面層の密度」とは、表面層の密度および裏面層の密度A、Bを例えばJIS K 7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」に準拠して測定し、その比を求めた値を意味する。
また、上記裏面層の密度に対する表面層の密度は、例えば押出発泡時の金型から樹脂が出た直後のシート表面を冷却する空冷リングエアー量などで調整することができる。
また、ポリスチレン系樹脂発泡シートの厚み方向(表面から裏面に向かう方向又は裏面から表面に向かう方向)の気泡径は、100μm以上400μm以下であり、152μm以上382μm以下であることが好ましく、264μm以上290μm以下であることがより好ましい。気泡径が100μm未満である場合、連続気泡率が上がることで脆性が悪くなり、割れやすくなる。一方、気泡径が400μmを超える場合、脆性が悪く、割れやすくなる。気泡径が152μm以上382μm以下の場合、脆性を向上できるので、割れを低減でき、気泡径が264μm以上290μm以下の場合、割れをより効果的に抑制できる。
ここで、上記「厚み方向の気泡径」とは、厚み方向に沿った3点以上の断面について、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定される気泡径の平均値である。
また、例えば造核剤(タルクなど)の量を調整することで、上記気泡径を調整することができる。
また、ポリスチレン系樹脂発泡シートのシート発泡率は、2.0以上20.0以下であることが好ましい。シート発泡倍率をこの範囲内にすることによって、硬くなりすぎることを抑制できるので、割れをより抑制することができる。
ここで、上記「シート発泡倍率」とは、樹脂比重/坪量(g/m2)×厚み(mm)×1000で求められる値である。
また、例えば押出時の注入ガス量の調整などで、上記シート発泡倍率を調整することができる。
なお、ポリスチレン系樹脂発泡シートは、1.5mm以上3.0mm以下であることが好ましい。
本実施の形態の成形品は、上記ポリスチレン系樹脂発泡シートを用いて作製される。成形品としては、食品用トレー、カップ等の食品用容器が好適に用いられ、レンジアップ用容器がより好適に用いられる。
続いて、本実施の形態のポリスチレン系樹脂発泡シートおよび成形品の製造方法について説明する。
具体的には、まず、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂が含有され、且つポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対してポリフェニレンエーテル系樹脂が10質量部以上50質量部以下含有されたポリスチレン系樹脂組成物を準備する。この工程では、分子量が200000以上400000以下のポリスチレン系樹脂を用いることが好ましい。
次に、準備したポリスチレン系樹脂組成物に、各種添加剤(造核剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、消臭剤等)を必要に応じて添加し、第1押出機に供給して溶融混練する。この工程では、ポリスチレン系樹脂組成物100質量部に対して、1.0質量部以上1.4質量部以下の造核剤を添加することが好ましい。
次に、第1押出機の途中に設けた注入口から発泡剤を供給して、溶融混練物に発泡剤を含有する。この工程では、発泡剤として、揮発性発泡剤、無機ガス系発泡剤、分解型発泡剤等を、それぞれ単独で又は2以上組み合わせて用いることが好ましい。揮発性発泡剤としては、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素類等が挙げられる。無機ガス系発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、空気等の不活性ガスが用いられる。また、分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。しかしながら、ポリスチレン系樹脂発泡シートの熱成形に先立つ加熱時の二次発泡性向上の観点からは、揮発性発泡剤を主たる発泡剤として使用することが望ましい。発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、基材樹脂、目的とする発泡倍率等によって異なるため、発泡剤の種類、基材樹脂の種類に応じて目的とする発泡倍率が得られるように添加量を選択する。
上記発泡剤とともに併用される気泡調整剤としては、タルク、シリカ等の無機粉末や、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムとの反応混合物等が挙げられる。気泡調整剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂組成物100質量部に対して0.5質量部以5質量部以下であることが好ましい。
次に、発泡剤を含有する溶融混練物を第1押出機から環状ダイスを有する第2押出機に供給し、樹脂(発泡剤含有ポリスチレン系樹脂組成物)を冷却して、環状ダイスから押出して筒状の発泡体を形成するとともに、冷却マンドレル等で発泡体の内側から径を拡張させ、押出直後の発泡体に、その内側および外側から空気などのガスを吹き付けて冷却する。この工程では、樹脂(発泡剤含有ポリスチレン系樹脂組成物)温度が184℃以下になるように樹脂を冷却することが好ましい。また、この工程では、筒状の発泡体の内側からのガスの流量を0.5m3/分以上1.2m3/分以下にし、且つ発泡体の外側からのガスの流量を0.4m3/分以上1.5m3/分にして発泡体を冷却することが好ましい。
次いで、筒状の発泡体を押出方向に沿って一端から切り開いてシート状に展開する。
以上の工程を実施することにより、本実施の形態のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造することができる。
次に、得られたポリスチレン系樹脂発泡シートを用いて成形することにより、成形品を製造する。成形する方法は、例えば熱成形が挙げられる。熱成形する方法としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形等の方法が挙げられる。
なお、成形品の製造方法は熱成形に限定されず、例えばポリスチレン系樹脂発泡シートにV溝加工を施し、折り曲げて折箱容器としてもよい。
以上の工程を実施することにより、本実施の形態における成形品を製造することができる。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
まず、70質量部のポリスチレン樹脂(DIC社製の商品名「XC−515」)と、30質量部のポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)及びポリスチレン系樹脂(PS)の混合樹脂(SABIC社製の商品名「ノリルEFN4230」 PPE/PS=70/30)とからなる樹脂組成物100質量部に対し、1質量部の造核剤(東洋スチレン社製の商品名「DSM1401A」)と、0.5質量部の消臭剤(東亞合成社製の商品名「ケスモンNS−100」)とを、直径115mmの第1押出機に投入して270℃で加熱して溶融混練した。
次に、第1押出機の途中に配置された注入口から、イソブタンとノルマルブタンとを有する発泡剤(ブタンガス)を、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂の樹脂混合物100質量部に対して、3.0質量部の割合で第1押出機に圧入してこれらを混合した。
次に、造核剤及び発泡剤と混練された樹脂組成物を第1押出機から直径180mmの押出機に供給し、樹脂組成物(発泡剤含有ポリスチレン系樹脂組成物)を184℃まで冷却した後、サーキュラーダイを通して押出発泡した。さらに、発泡体の内部に配置された空冷リングの風量を1.2m3/分にするとともに、発泡体の外部に配置された空冷リングの風量を1.5m3/分として、押出直後の発泡体の外側および内側にエアを吹き付けて冷却し、ポリスチレン系樹脂発泡体を得た。この筒状のポリスチレン系樹脂発泡体を冷却マンドレルに沿わせて冷却した後に、押出方向に沿って切断し、坪量220g/m2、厚み2.05mm、幅1050mmのポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(実施例2)
ポリスチレン樹脂として東洋スチレン社製の商品名「HRM18」を用いた点及び樹脂温度を180℃にした点以外は実施例1と同様にして実施例2のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(実施例3)
発泡体の内部に配置された空冷リングの風量を1.0m3/分とした点及び発泡体の外部に配置された空冷リングの風量を0.5m3/分とした点以外は実施例1と同様にして実施例3のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(実施例4)
発泡体の内部に配置された空冷リングの風量を0.5m3/分とした点及び発泡体の外部に配置された空冷リングの風量を0.4m3/分とした点以外は実施例1と同様にして実施例4のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(実施例5)
造核剤を1.4質量部とした点以外は実施例1と同様にして実施例5のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(実施例6)
造核剤を0.7質量部とした点以外は実施例1と同様にして実施例6のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(比較例1)
ポリスチレン樹脂として東洋スチレン社製の商品名「G100C」を用いた点以外は実施例1と同様にして比較例1のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(比較例2)
樹脂温度を193℃にした点以外は実施例1と同様にして比較例2のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(比較例3)
発泡体の内部に配置された空冷リングの風量を1.4m3/分とした点及び発泡体の外部に配置された空冷リングの風量を0.3m3/分とした点以外は実施例1と同様にして比較例3のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(比較例4)
発泡体の内部に配置された空冷リングの風量を0.6m3/分とした点及び発泡体の外部に配置された空冷リングの風量を2.3m3/分とした点以外は実施例1と同様にして比較例4のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(比較例5)
造核剤を1.8質量部とした点以外は実施例1と同様にして比較例5のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(比較例6)
造核剤を0.4質量部とした点以外は実施例1と同様にして比較例6のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(比較例7)
ポリスチレン樹脂として東洋スチレン社製の商品名「HRM30」を用いた点以外は実施例1と同様にして比較例7のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
(測定方法)
実施例1〜6及び比較例1〜7のポリスチレン系樹脂発泡シートについて、分子量Mwを以下のようにGPCにより測定した。この結果を下記の表1に記載する。
具体的には、測定装置として東ソー社製のHPLC(ポンプDP−8020、オートサンプラーAS−8020、検出器UV−8020,RI−8020)を用い、カラムとしてShodex社製のGPC K−806L×2(試験数2)を用いた。測定条件としては、カラム温度を40℃とし、移動相をクロロホルムとし、移動相流量を1.2mL/分とし、ポンプ温度を室温とし、測定時間を25分とし、検出器をRIとし、注入量を50μLとし、内部標準法(0.1重量%BHT)を用いた。
製造した各々のポリスチレン系樹脂発泡シートから10mgの試験体をそれぞれ形成し、0.1重量%のBHTを含有したクロロホルム4mLで試験体の各々を溶解し、非水系0.45μmクロマトディスクで濾過し、浸透時間を測定した。浸透時間は、完全溶解するまでの時間とした各々の浸透時間とし、0.1重量%BHTの分子量から、実施例1〜6及び比較例1〜7のポリスチレン系樹脂発泡シートの分子量を求めた。
また、実施例1〜6および比較例1〜6のポリスチレン系樹脂発泡シートについて、連続気泡率、裏面層の密度に対する表面層の密度の比(A/B)、および厚み方向の気泡径について以下のように測定した。なお、比較例7は押出圧力が高かったため、外観の良好な発泡体が得られず、評価できなかった。これらの結果を下記の表1に記載する。
<連続気泡率>
連続気泡率は、空気比較式比重計(東京サイエンス(株)製)を用いて測定される、ポリスチレン系樹脂発泡シートの試験体の体積から、下記式により算出した。
連続気泡率(%)=(V0−V)/V0×100
なお、上記式において、Vは上述した方法で測定される試験体の体積(cm3)、V0は測定に使用した試験体の外形寸法から計算される試験体の見掛けの体積(cm3)である。
<密度の比>
密度の比(A/B)は、表面から裏面に向けて200μmの深さ位置でスライスするとともに、裏面から表面に向けて200μmの深さ位置でスライスして、それらのスライス片の平均密度をJIS K 7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」に基づいて測定することで、各々の密度A、Bの値を求め、その値からA/Bを求めた。
なお、裏面から表面に向けて200μmの深さ位置までの裏面層の密度をBとし、表面から裏面に向けて200μmの深さ位置までの表面層の密度をAとした。また、裏面とは、冷却マンドレルに接触する面とし、表面とは、冷却マンドレルに接触する面と反対側の面とした。表面及び裏面の算術平均粗さRaを表2に記載する。
表面及び裏面の粗さRaは、JIS B 0601−1994「表面粗さ−定義及び表示」に準じて、以下の条件で測定した。装置:非接触輪郭形状 粗さ測定システム キーエンス社製MAP−2DS、測定範囲:20000μm、測定ピッチ:20μm、速度:500μm/秒、評価長さ(ln):12.5mm、カットオフ(l):2.5mm、測定箇所:シート表裏面MD方向(押出方向)、TD方向(押出方向に直交し且つシート面に沿った方向)、平均フィルター:4、ノイズフィルター:1 表側MD方向、TD方向の各n=3で測定し、全平均値をとった。
<厚み方向の気泡径>
厚み方向の気泡径は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠し測定した。具体的には、まず、試験用の発泡シート試料を、押出方向に直交する平面に沿って切断し、また、押出方向及び厚み方向に広がる平面に沿って切断し、それぞれの切断面厚み方向の両外側1/10の部分を除いた部分につき、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製「S−3000N」)を用いて17〜20倍、必要に応じて最大200倍に拡大して撮影した。撮影した4つの画像をそれぞれA4用紙上に印刷して、MD方向(押出方向)、TD方向(押出方向に直交し且つシート面に沿った方向)、VD方向(厚み方向)の各方向に沿った平行な線分(長さ60mm)を各A4用紙につき6ヶ所引いた。斯かる線分に重なる気泡の数から、各方向における気泡の平均弦長(t)を下記式(1)により算出した。ただし、線分は、できる限り気泡が接点でのみ接しないように引き、接してしまった場合は、気泡数に含めることとした。
平均弦長(t)=60/(気泡数×写真の倍率)・・・(1)
そして、下記式(2)により、各方向における気泡径を算出した。
D=t/0.616・・・(2)
さらに、上記のように測定した各気泡径(DMD、DTD、DVD)に基づいて、平均気泡径を下記式(3)により算出した。
平均気泡径(mm)=(DMD+DTD+DVD)/3・・・(3)
なお、試験用の発泡シート試料の厚みが薄く、VD方向に60mm長さ分の線分を引くことができない場合は、30mm又は20mm長さの線分に重なる気泡数を数えて、60mm長さ線分における気泡数に換算する。
(評価方法)
また、実施例1〜6および比較例1〜6のポリスチレン系樹脂発泡シートについて、圧縮割れの発生率及びフィルムインパクトテスター衝撃強度を測定した。これらの結果を下記の表1に記載する。なお、比較例7は押出圧力が高かったため、外観の良好な発泡体が得られず、評価できなかった。
<圧縮割れの発生率>
圧縮割れの発生率は、以下のように測定した。製造した各々のポリスチレン系樹脂発泡シートを一定期間養生した後、片面(作製する容器の内側となる面)に接着剤を積層した無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム40μm(接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム層=2μm/40μm、合計42μm)をドライラミネートし、さらに反対面(作製する容器の外側となる面)に弱延伸PSフィルム(CPSフィルム40μm)を熱ラミネートして積層シートを作製した。そして、各々の積層シートを用いて開口部直径155mm、底部直径120mm、高さ65mm(1ショットが5×4=20個)の食品用丼容器を熱成型した。各々の容器をテンシロンにて、リップ部MD方向(押出方向)およびTD方向(MD方向と直交する方向)にそれぞれ20個(合計40個)を30mm圧縮したときのリップ部の割れの発生率を測定した。
<フィルムインパクトテスター衝撃強度>
フィルムインパクトテスター衝撃強度は、安田精機製作所のフィルムインパクトテスターを用いて、衝撃球面0.5インチ半球にて測定した。
<容器変形発生率>
上記圧縮割れの発生率の測定の際に熱成型した食品用丼容器に100gのサラダ油を入れ、1500W電子レンジで70秒加熱し、サラダ油を廃棄した後、容器開口部直径が5mm以上変形したものを不良(NG)とし、このNG品の発生率を測定した。なお、サラダ油の温度は約120℃とした。
Figure 0005793386
Figure 0005793386
(評価結果)
表1に示すように、本発明の範囲内の実施例1〜6のポリスチレン系発泡シートは、分子量が本発明の範囲外の比較例1、連続気泡率が本発明の範囲外の比較例2および比較例5、裏面層の密度に対する表面層の密度の比が本発明の範囲外の比較例3および比較例4、および気泡径が本発明の範囲外の比較例5および6に比べて、圧縮割れ発生率を0%に低減できるとともに、フィルムインパクトテスター強度を6.3kg/cm以上に向上することができた。
また、本発明の範囲内の実施例1〜6のポリスチレン系発泡シートは、外観が良好であり、圧縮割れ発生率およびフィルムインパクトテスター衝撃強度を向上した製品として実現できたが、分子量が本発明の上限を超えた比較例7は押出圧力が高かったため、外観の良好な発泡体が得られず、製品として実現できなかった。
以上より、本実施例によれば、分子量が160000以上310000以下であり、且つ連続気泡率が20%未満であり、且つ裏面から表面に向けて200μmの深さ位置までの裏面層の密度に対する、表面から裏面に向けて200μmの深さ位置までの表面層の密度が、0.77以上1.30以下であり、且つ厚み方向の気泡径が100μm以上400μm以下であることにより、シート発泡倍率が低くなることに起因した割れや、食品用容器の形状に起因した圧縮による割れを抑制できることが確認できた。
また、表2に示すように、表面の粗さRaは、裏面の粗さRaよりも大きかった。粗さRaが相対的に大きい表面を含む表面層の密度をAとし、粗さRaが相対的に小さい裏面を含む裏面層の密度をBとしたときに、表1の容器変形発生率に示すように、A/Bが1.01以上1.30以下の実施例1、2、5、6は、容器内面に配置されるシートの密度を高くすることで、内面側の耐熱性を高めることができたので、容器の変形を抑制することができた。この結果から、分子量が160000以上310000以下であり、且つ連続気泡率が20%未満であり、且つ粗さRaが相対的に大きい面を表面とし、Raが相対的に小さい面を裏面としたときに、裏面から表面に向けて200μmの深さ位置までの裏面層の密度に対する、表面から裏面に向けて200μmの深さ位置までの表面層の密度が、1.01以上1.30以下であり、且つ厚み方向の気泡径が100μm以上400μm以下であることにより、割れを抑制できると共に、成形する容器の変形を抑制できることがわかった。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、各実施の形態および実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (2)

  1. 表面と、前記表面と反対側の裏面とを有するとともに、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂が含有され、且つ前記ポリスチレン系樹脂及び前記ポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対して前記ポリフェニレンエーテル系樹脂が10質量部以上50質量部以下含有されたポリスチレン系樹脂組成物を用いて形成されたポリスチレン系樹脂発泡シートであって、
    分子量が160000以上310000以下であり、
    連続気泡率が20%未満であり、
    前記裏面から前記表面に向けて200μmの深さ位置までの裏面層の密度に対する、前記表面から前記裏面に向けて200μmの深さ位置までの表面層の密度が、0.77以上1.30以下であり、
    厚み方向の気泡径が100μm以上400μm以下であることを特徴とする、ポリスチレン系樹脂発泡シート。
  2. 請求項1に記載のポリスチレン系樹脂発泡シートを用いて作製されたことを特徴とする、成形品。
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