JP5775752B2 - 家電製品からの有価金属回収方法 - Google Patents
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Description
特に、レアメタル、ベースメタル及び貴金属(以下「レアメタル等」)などの有価金属は、貴重な資源であり、地下資源に乏しい我が国にとって、その安定的確保は極めて重要であり、これらは、家電製品、特に小型家電製品に、高い濃度で集積されている。
この破砕には、粗破砕機を用いることができ、粗破砕機としては、パーツセパレータやハンマークラッシャーなどの装置を用いることができる。
パーツセパレータとしては、具体的には、松下電器産業及び平田機工が共同開発した「パーツセパレータ」を用いることができ、底内で回転する回転羽根で家電製品を破砕できるものである。
破砕工程に、パーツセパレータを用いた場合は、回転羽根などの回転数を750rpm〜1500rpm、好ましくは1000rpm〜1500rpmで20秒間〜60秒間回転させ、その際の家電製品の投入量は5kg〜10kgにするのが好ましい。
携帯電話を破砕する場合は、回転羽根などの回転数を750rpm〜1000rpmで20秒間〜60秒間回転させ、投入量は2.5kg〜10kgであるのが好ましい。
破砕室の下方に設けられたスクリーンの間隙の幅によって破砕物の粒度を調整することができる。また、スクリーンを使用せず、破砕物を篩分けして粒度を調整することもできる。
ハンマークラッシャーとしては、具体的には、増野製作所株式会社の「ハンマークラッシャー」を用いることができ、プレート型ハンマーを12列配したものであり、スクリーンのメッシュを5mm〜50mmのいずれかに設定できるものである。
破砕工程に、ハンマークラッシャーを用いた場合は、ハンマーの回転数を500rpm〜1000rpmにし、スクリーンのメッシュを17mm〜50mmに設定し、その際の家電製品の投入量は5kg〜10kgにするのが好ましい。
携帯電話を破砕する場合は、ハンマーの回転数を500rpm〜1000rpm、スクリーンのメッシュを10mm〜30mmに設定しであるのが好ましい。
携帯電話を篩で分別する場合は、10mm〜20mm、特に17mmの篩で分別するのが好ましい。
磁力選別には、磁力選別機を用いることができ、例えば、永久磁石式吊り下げ磁力選別機を用いた時は磁力を300G〜700G、好ましくは500G〜700G、ドラム型磁力選別機を用いた場合には1000G〜1500Gに設定して行うことができる。
携帯電話を選別する場合は、吊下げ式では磁力を200G〜300G、ドラム式では700G〜1500Gに設定して行うことが好ましい。
具体的には、磁力選別機としては、日本エリーズ社製「吊下げ磁選機」又は「ドラムセパレーター」を用いることができる。
渦電流選別には、渦電流選別機を用いることができ、ベルトスピード25m/min〜110m/min、ドラム回転数500rpm〜2000rpm、磁力1000G〜5000Gに設定して行うことができる。
携帯電話を選別する場合は、ベルトスピード25m/min〜35m/min、ドラム回転数900rpm〜1000rpm、磁力3000Gに設定して行うことが好ましい。
渦電流選別機としては、具体的には、大阪マグネットロール社製「アルミセパレーター」を用いることができる。
色彩選別には、色彩選別機を用いるのが好ましい。この色彩選別機9は、例えば、図4に概略的に示すように、渦電流工程で選別した金属物又は非金属物をコンベア10上に流し、色彩センサー11で色彩を識別し、設定した色をエアノズル12により圧縮エアで遠くに飛ばし、非設定の色は圧縮エアを発射せずに近くに飛ばして選別できるものである。色の設定は、実装基板でよく用いられる色の緑色及び茶色の少なくとも二色を設定するのが好ましい。この他にも、白色などに設定することができる。家電製品によって、設定する色は変えることが好ましく、例えば、携帯電話の実装基板を回収するには、緑色及び茶色の二色に設定するのが好ましい。
色彩選別機は、具体的には、北川鉄工所製「セレスター」を用いることができる。
分別工程に、パーツセパレータを用いた場合は、回転羽根などの回転数を1000rpm〜1800rpm、特に1000rpm〜1500rpmで60秒間以上、特に90〜240秒間回転させ、その際の実装基板の投入量は2.5kg〜10kg、特に4.0kg〜7.0kgにするのが好ましい。
携帯電話の実装基板を分別する場合は、回転羽根などの回転数を1000rpm〜1500rpmで100秒間〜150秒間回転させ、投入量は3kg〜7kgにするのが好ましい。
パーツセパレータとしては、上記した松下電器産業及び平田機工が共同開発した「パーツセパレータ」などを用いることができる。
比重選別機は、比重の違いにより実装部品を選別できるものであり、比重選別機としては乾式比重選別機(エアテーブル)、ジグ(JIG)選別機や湿式薄流選別機(ウォータナゲット)などを用いることができる。
乾式比重選別機としては、具体的には、原田産業株式会社の「エアテーブルSH−4」を用いることができる。
比重選別工程に、乾式比重選別機を用いた場合は、風力40m3/min〜80m3/min、特に50m3/min〜65m3/min、傾斜角度10°〜20°、特に12.5°〜14°、振動数50Hz〜75Hz、特に58Hz〜60Hzに設定するのが好ましい。
携帯電話の実装部品を選別する場合は、風力50m3/min〜60m3/min、傾斜角度13.5°〜14°、振動数55Hz〜65Hzに設定するのが好ましい。
ジグ選別機としては、具体的には、日本エリーズマグネチック株式会社の「JIG試験装置RJC−150」を用いることができる。
比重選別工程に、ジグ選別機を用いた場合は、波高さを30mm〜80mm特に40mm〜60mm、振動数20Hz〜50HZ特に30Hz〜40Hzに設定するのが好ましい。
携帯電話の実装部品を選別する場合は、振動数を30Hz〜40Hz、波高さ40cm〜50cmに設定するのが好ましい。
湿式薄流選別機としては、具体的には、三立機械工業株式会社の「WN試験装置WN−50型」を用いることができる。
比重選別工程に、湿式薄流選別機を用いた場合は、水の流速を0.1m/s〜0.5m/s、斜面の振動数を40Hz〜70Hz、特に50Hz、斜面の振幅1cm〜5cm、特に2cmに設定することが好ましい。
携帯電話の実装部品を選別する場合は、水の流速を0.1m/s〜0.5m/s、特に0.2m/s、斜面の振動数を50Hz、斜面の振幅2cmに設定することが好ましい。
そして、大粒品の実装部品には、比重選別機として乾式比重選別機を使用し、中粒品の実装部品には比重選別機としてジグ選別機を使用し、小粒品の実装部品には比重選別機として湿式比重選別機を使用することが好ましい。
使用済みの家電製品として以下のものを集めた。
・デジタルカメラ
・ビデオカメラ
・音楽プレイヤー
・ポータブルDVDプレイヤー
・携帯ラジオ
・携帯TV
・ゲーム機
・電子辞書
・電卓
・ハードディスク
・携帯電話
・リモコン
増野製作所株式会社製「ハンマークラッシャー」を用いて、上記各家電製品を破砕した。「ハンマークラッシャー」は、12列のプレート型ハンマーを有するものである。各家電製品において設定した回転数及び用いたスクリーンの目は下記表1に示す。
17mmの篩を用いて破砕した家電製品を分別した。それぞれの篩上分及び篩下分の重量は下記表1に示す。
日本エリーズ社製「ドラムセパレータ」を用いて、篩上分を選別した。「磁力選別機」は、磁力を1500Gに設定した。これにより、鉄及びステンレスなどの磁着物と、実装基板などを含む非磁着物とに選別された。磁着物に選別された重量を上記表1に示す。
大阪マグネットロール社製「アルミセパレータ」を用いて、非磁着物を選別した。「渦電流選別機」は、ベルトスピード28m/min、ドラム回転数2000rpm、磁力3000Gに設定した。これにより、銅、アルミなどの金属物とプラスチックなどの非金属物に選別した。金属物及び非金属物に選別された重量を上記表1に示す。
北川鉄工所製「セレスター」を用いて、金属物及び非金属物をそれぞれ色彩選別した。飛ばす色の設定はそれぞれ緑色及び茶色の2色とし、これらの色を識別させて飛ばすようにした。
飛ばされた回収物を目視で確認したところ実装基板が多く含まれていた。これらの合計の重量を測定し、元の家電製品の重量に対する回収した実装基板の重量の割合を回収率とした。回収率を下記表2に示す。また、参考に実装基板を手作業で回収した場合の回収率を下記表2に示す。なお、空欄は未測定である。
篩工程で、篩下に分別された家電製品は、6mmの篩及び1mmの篩を用い、さらに17mm未満6mm以上、6mm未満1mm以上、1mm未満に分別し、これらのタングステンの含有量を測定した。その結果を図9に示す。なお、この測定は微粉砕後に化学成分分析により実施した。
このように、篩下に分別された家電製品には、タングステンを多く含むものであり、特に携帯電話は多くタングステンを含むものであった。
これらを、従来公知の方法、例えば、上記した「廃超硬工具からのタングステン等の回収技術の開発」などの方法により有価金属を回収することができる。
上記表2に示すように、手作業と比較して、実装基板の回収率は略同じであった。本発明の方が大きい値になる場合もあるが、これは他の部品などが混入してしまったためであると思われる。手作業と比較した実装基板の回収率は平均98.5%と問題ない値であった。
ここまでの工程を終わらせるには20分ほどであり、手作業の場合と比較して回収率が略同じながらも、大幅に時間を短縮することができた。
部品剥離装置として平田機工製社製「パーツセパレータ」を用い、回収した実装基板を投入して基板と実装部品とに分別させた。部品剥離装置の回転羽根は、1500rpmで120秒間回転させ、実装基板を約5kg投入した。
部品剥離装置から実装基板を取り出し、17mmの網目の篩にかけて分別した。目視で観察したところ、篩上には基板が、篩下には実装部品が略回収されていた。これらの重量割合を下記表3に示す。なお、空欄は未測定である。
まず、分別工程で回収した実装部品を6mm及び1mmの網目の篩を使用して6mm以上の実装部品、6mm未満1mm以上の実装部品、1mm未満の実装部品の3種類に分級した。
6mm以上の実装部品は、乾式比重選別機として原田産業株式会社の「エアテーブルSH−4」を用いて、重産物と軽産物とに選別した。この際、風力50m3/min、傾斜角度12.5°、振動数60Hzに設定した。
この重産物及び軽産物を、微粉砕後に成分分析をXRFを用いて分析したところ、重産物はTa、W、Nd、Nb、Bi、Ni、Au、Pdを多く含み、軽産物はプラスチックなどを多く含むものであった。
この重産物及び軽産物を、微粉砕後にXRFを用いて成分を分析したところ、重産物はTa、Ti、Ni、Nd、W、Ba、Pd、Nb、Biを多く含み、軽産物はプラスックなどを多く含むものであった。
この重産物及び軽産物を、微粉砕後にXRFを用いて成分を分析したところ、重産物はTa、Ti、Ni、Nd、W、Ba、Pd、Nb、Biを多く含み、軽産物はプラスックなどを多く含むものであった。
各廃家電製品から選別された6mm未満1mm以上の実装部品及び1mm未満の実装部品の重産物を、混合し、振動ミルで微粉砕し、0.5mmの篩を用いて分別した。篩下分を酸浸出し、溶解成分を除去して残渣の成分をXRFで分析した。酸浸出は、6Nの塩酸を用い、液温80℃、反応時間8hrとした。残渣の成分の分析結果を下記表4に示す。
上記表4に示すように残渣中にはTaが18.1wt%と高品位で含まれるものであった。Ta以外にもTi,Ni,Nd,W,Ba,Pd,Sb,Nb,Biなどが高品位で含まれているものであった。
本発明は、廃家電製品から有価金属を効率的に回収することができた。家電製品を粗破砕機に投入してから重産物を得るまでには約120分であり、手作業の場合と比較して、大幅に時間を短縮することができた。
Claims (14)
- 家電製品に衝撃を加えて破砕する破砕工程と、破砕した家電製品を篩にかけて選別する篩工程と、前記篩工程における篩上の破砕した家電製品を磁力で磁着物と非磁着物とに選別する磁力選別工程と、前記非磁着物を渦電流選別し、金属物と非金属物とに選別する渦電流工程と、前記金属物と前記非金属物とをそれぞれ色彩選別し、有価金属を含有する実装基板を選別する色彩選別工程と、色彩選別工程で選別した実装基板を実装部品と基板とに分離選別し、前記実装部品から有価金属を回収する有価金属回収工程と、を含む有価金属回収方法。
- 前記破砕工程は、衝撃を、ハンマー、羽根、鎖のいずれかで加える請求項1に記載の回収方法。
- 前記篩工程は、5mm〜50mmの篩で分別する請求項1又は2に記載の回収方法。
- 前記色彩選別工程は、色彩選別機を用いて緑色及び茶色の少なくとも二色とその他の色とに選別する請求項1〜3のいずれかに記載の回収方法。
- 前記篩工程の篩下の破砕した家電製品からタングステンを回収する請求項1〜4のいずれかに記載の回収方法。
- 前記有価金属回収工程は、前記色彩選別工程にて選別した実装基板を、基板と実装部品とに分別する分別工程と、前記実装部品を、比重の重い重産物と比重の軽い軽産物とに選別する比重選別工程とを含む請求項1〜5のいずれかに記載の回収方法。
- 前記分別工程は、前記実装基板をパーツセパレータ装置に投入して分別させ、前記パーツセパレータ装置の回転羽根を1000〜1800rpmで60秒以上回転させる請求項6に記載の回収方法。
- 前記比重選別工程において、前記実装部品を少なくとも3種類以上に分級してから比重選別機を使用して重産物と軽産物とに選別する請求項6又は7に記載の回収方法。
- 前記比重選別機として、乾式比重選別機、ジグ選別機、湿式薄流選別機、遠心分離機のいずれか少なくとも1種を使用して重産物と軽産物とに選別する請求項8に記載の回収方法。
- 前記比重選別工程において、前記実装部品を大粒品、中粒品、小粒品の3種類に分級し、大粒品の前記実装部品には乾式比重選別機またはジグ選別機を使用して選別し、中粒品の前記実装部品には、乾式比重選別機またはジグ選別機を使用して選別し、小粒品の前記実装部品には湿式薄流選別機を使用して選別する請求項6〜9のいずれかに記載の回収方法。
- 前記比重選別工程において、前記乾式比重選別機は、風力40m3/min〜80m3/min、傾斜角度10°〜20°、振動数50Hz〜75Hzに設定する請求項9又は10に記載の回収方法。
- 前記比重選別工程において、前記ジグ選別機は、振動数20Hz〜50Hz、波高さ30mm〜80mmに設定する請求項9〜11のいずれかに記載の回収方法。
- 前記比重選別工程において、前記湿式薄流選別機は、流速0.1m/s〜0.5m/s、振動数40Hz〜70Hz、振幅1cm〜5cmに設定する請求項9〜12のいずれかに記載の回収方法。
- 前記比重選別工程において、前記重産物を酸浸出し、溶解成分を除去してTaを回収する請求項9〜13のいずれかに記載の回収方法。
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