JP5771561B2 - 欠陥検査方法および欠陥検査装置 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、比較検査による高精度な欠陥検出を実現する欠陥検査方法および欠陥検査装置を提供することにある。
被検査対象物を撮像し検査画像を取得する検査画像取得工程と、該被検査対象物の設計データから複数の領域である複数のテンプレートを抽出するテンプレート抽出工程と、該複数のテンプレートのうちいずれか一つの第一のテンプレートを用いて、該検査画像と該設計データとの第一の位置ずれ量を求める第一の位置ずれ量算出工程と、該複数のテンプレートのうち該第一のテンプレート以外の第二のテンプレートと該第一の位置ずれ量とを用いて、該検査画像と該設計データとの第二の位置ずれ量を求める第二の位置ずれ量算出工程と、該第一の位置ずれ量と該第二の位置ずれ量とを用いて位置ずれを補正した該設計データを設計データ画像に変換し、該設計データ画像と該検査画像とを比較して該被検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出工程と、を備える欠陥検査方法である。
(1−1)全体フロー
図2は、第1の実施の形態に係る欠陥検査装置のシステム構成を示す図である。
ウェーハ206から発生した二次電子208を検出器209で検出し、検出器209で検出した二次電子208をA/D変換器210を用いてアナログ信号からデジタル信号に変換する。
マッチング処理部220では、設計データ処理部219にて読み込んだ設計データに対応するテンプレートをテンプレート部227から読み込み、該テンプレートを用いて設計データと検査画像との位置合わせを行い、座標の対応関係の算出を行う。本願では、検査画像の所定領域に対して複数種のテンプレートを用いて複数回位置合わせを行う点を一つの特徴とする。
パタン変形処理部221では、マッチング処理部220にて算出した座標の対応関係を用いて、設計データを変形しパタン全体の位置を検査画像に対して合わせこむ。
検査画像処理部223では、比較検査のための前処理として検査画像にガウシアンの畳み込みによるノイズ除去や輝度濃淡むらの除去を行う。
欠陥判定結果の検査画像や、位置補正後の設計データの画像はグラフィック・ユーザ・インターフェース(GUI)215にて表示され、ユーザによるチェックが行われる。
検査前のフロー(a)において、テンプレート抽出処理部224にて被検査対象物に対応する設計データを記憶装置218から読み込む(101)。
テンプレート抽出処理部224にて、テンプレートの抽出に用いるパラメータ情報を装置の仕様値(特性データ226)から算出、もしくはGUI225等により設定する(102)。
テンプレート抽出処理部224にて、101で読み込んだ設計データと102で設定したパラメータ情報とから、配線の線分量や配線ラインの幅やパタンのユニーク性などにより決まる評価値を求め、該評価値に基づき段階位置合わせ用のテンプレートを複数抽出する(103)。
103で抽出した複数のテンプレートは記憶装置218に保存される(104)。
設計データ処理部219にて、105で取得した検査画像に対応する領域をDB218に蓄積された設計データから切り出して読み込む(106)。
また、設計データ処理部219にて、106で切り出した設計データ上に存在する複数のテンプレートを読み込む(107)。このテンプレートは103にて抽出して104によりDB218に保存されたものである。
マッチング処理部220では、検査画像に対して設計データと107で読み出した複数のテンプレートのうちいずれか一つのテンプレートを用いて1回目のテンプレートマッチングを行う(108)。これにより、検査画像と設計データとの第一の位置ずれ量を求める。上述の通り、テンプレートは設計データの部分領域を表わすが、この部分領域を画像化し設計画像(設計データ画像)を作成し、検査画像との間でテンプレートマッチングを行うことで、設計データの座標と検査画像の座標との対応関係を求め、位置ずれ量を算出する。
108でのマッチング結果から求めた位置ずれ量を原点に、マッチング処理部220にて2回目のテンプレートマッチングを行う(109)。このときは、107で読み込んだ複数のテンプレートのうち、108で用いたテンプレート以外のテンプレートを用いる。また、もし3回目以降に用いるテンプレートが存在する場合は、上段のマッチング結果から求めた位置ずれ量を原点に、それ以降のテンプレートマッチングを行う(110)。
パターン変形処理部221にて、すべてのテンプレートマッチングの結果を用いて設計データの変形を行うことで、パタン全体の位置補正を行う(111)。
設計データ処理部219にて補正後の設計データを画像化し、欠陥判定処理部222にて画像化した設計画像と実パターン像(検査画像)とを比較することで欠陥の検出を行う(112)。尚、設計画像と検査画像とを比較する前に、検査画像処理部223にて比較検査のための前処理として検査画像にガウシアンの畳み込みによるノイズ除去や輝度濃淡むらの除去などをしてもよい。
(1−2)テンプレートの概要
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る位置合わせに使うテンプレートの概要を示す図である。
設計データ301に対して図1のステップ103にてテンプレート抽出を行った出力結果の例として、テンプレートとして選ばれた領域302、303、304を示す。個々のテンプレート302、303、304はそれぞれテンプレート情報を持つ。例えばテンプレート302に対しては、テンプレート情報305として、テンプレートの位置座標の情報306、位置合わせに使うモード307、テンプレートサイズ308、ユニーク性サーチ範囲309などが挙げられる。
座標306は、テンプレート領域302の中心における設計データ上の座標を表わす。
モード307は、当該テンプレートをどの段階(何回目)のマッチングに用いることができかの情報や、位置合わせを行うときに画像のどの方向(XY両方向、X方向のみ、Y方向のみなど)に対して位置合わせがを一意に行うことができるか、などの情報である。例えば、テンプレート302のモード情報は(1、xy)なので、1段階目のマッチングに用いることができ、またXY位置合わせ可能なテンプレートとして使用できる。
テンプレートサイズ308は、テンプレートの領域の寸法を表わす情報である。この例の場合数値が一つのみなので、各辺が共通の正方形領域を表わすが、縦横の寸法が異なった情報を持っていてもよい。縦横の寸法が異なる場合は2つの数値情報を持つ。
ユニーク性サーチ範囲309は、このテンプレートパターンのユニーク性が保証されている領域の広さの情報を表わす。マッチング時に、実画像と設計データと位置ずれ量がこのサーチ範囲以下であれば一意にマッチングすることが可能である。
テンプレート303はテンプレート302と比べると、モード、テンプレートサイズ、ユニーク性サーチ範囲が異なる。テンプレート103はモードが(2、xy)となっているため、図1のステップ109の2段目のマッチングに用いることができる。
図4(a)は、マッチング1段目に使用するテンプレート401を示している。このテンプレート401のユニーク性サーチ範囲は点線の矩形で表わされた領域402である。
例えば、1段目のマッチングではステージ移動の誤差による位置ずれを補正するとし、この最大誤差による位置ずれ量を元にサーチ範囲領域の大きさに設定すればよい。但し、1段目のマッチングにおいて生じる最悪の場合、位置ずれ量はステージ移動の誤差による位置ずれ最大量+歪みなどその他の原因による位置最大量となり、サーチ範囲矩形領域の1辺の幅は2*(ステージ位置合わせの誤差による位置ずれ最大値+1段目以降の補正対象となる位置ずれ成分の最大値の和)の設定が必要となる。そのため1段目のマッチングに用いるテンプレートは、2回目以降のマッチングに用いるテンプレートと比較して、相対的に大きいサーチ範囲領域を持つ。
(1−3)2段階以上のマッチングにおける効果
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る多段階マッチングにおける効果を説明する図である。
2段階以上のマッチングにおける効果について1段階のみのマッチングと比較して説明する。ここでは、テンプレート抽出時のパラメータとして、単一のテンプレートサイズのみでテンプレートを抽出した場合を考える。
図5(b)は、テンプレートのパタン像(点線507)と検査画像(実線506)を重ね合わせた図で、テンプレート領域において、十字のパターン形状の上下部分に歪みによる位置ずれが生じている。テンプレートサイズは歪みによって生じる位置ずれの周期より大きい値に設定した例である。
このテンプレートにおけるマッチングでは、テンプレートサイズが歪みによって生じる位置ずれの周期より大きいため、検査画像506のパタンの輪郭が歪み、テンプレートとパタンの輪郭が完全に一致せず、局所的な位置ずれ508を検出することができない。
テンプレートサイズが歪み周期よりも十分小さいテンプレート501、502、503の例である。テンプレートサイズが歪み周期よりも十分小さいと、(1−2)で説明した通り、ユニークなパターン候補が減少してしまう。例えば、テンプレート501はサーチ範囲内において、パタン領域504と形状が一致するため、ユニーク性が低く位置合わせに用いることができない。同じくテンプレート502は、パタン領域505と一致するため位置合わせに用いることができない。つまり、歪みによる位置ずれ周期よりも十分に小さいテンプレートサイズを設定した場合は、ユニークなパタンが減少し、パタン全体から網羅的にテンプレートを抽出することが難しくなる。このようにテンプレートを抽出することができなければ位置ずれ量を求めることができず、位置ずれ補正処理が破綻してしまう。
(1−4)テンプレート抽出方法
テンプレートを抽出する方法(図1のステップ103)について説明する。
まず、被検査対象物に対応する設計データの画像化を行い設計画像を生成し、設計画像の各画素をテンプレート候補とする。各テンプレート候補において下記(1)〜(4)のような複数の評価値fiを算出し、評価値の高い候補をテンプレートとして選択する。本実施形態では、評価値fiに式(1.1)に示す重み付き加算を行うことで、最終的に一つの評価値Fを求め、この総合評価値が最も高いテンプレート候補を、位置合わせに用いるテンプレートとして選択する。
但し、重みαiはステップ102においてパラメータとして入力された値を用いる。
図6(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るテンプレートの評価値(エッジ評価値)を説明する図である。
設計データ画像(設計画像)で、領域601が配線部、領域602が背景部である。テンプレート内に配線のエッジ部分が多いほど、マッチング時に合わせ込みにつかえる部分が増え、マッチング結果の高精度化が期待できる。そこで、設計データ画像の縦エッジ603と、横エッジ604の成分を評価値とする。評価値の算出方法は、設計データ画像に微分フィルタ605を掛けた出力の輝度強度の和f1と微分フィルタ606を掛けた出力の輝度強度の和f2を評価値とする。
図6(b)(c)(d)は、本発明の第1の実施の形態に係るテンプレートの評価値(配線部・背景部比率の評価値)を説明する図である。
図6(b)の設計データ画像607、図6(c)の設計データ画像608および図6(d)の設計データ画像609は、(1)のエッジ評価値はすべて同じであるが、設計データ画像608と609は、設計データ画像607に比べると画像全体に対する配線部及び背景部領域の割合が小さい。これら設計データ画像608と609の設計データに対応する検査画像の配線に膨張縮退や歪みが生じた場合、設計データ画像608と609に対応する検査画像では配線及び背景領域が存在しなくなる可能性がある。設計データ画像607のように画像中の配線領域と背景領域が均等に存在する方が、高いマッチング精度が見込まれる。そこでこの背景部領域と配線部領域の比率を評価値とする。評価値算出方法は、テンプレート内の背景部の面積をS1、配線部の領域をS2とし、評価値f3を以下の式(1.2)で算出する。
但しMIN(S1,S2)はS1とS2の小さい方の値を返す。
図6(e)は、本発明の第1の実施の形態に係るテンプレートの評価値(配線幅の評価値)を説明する図である。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係るテンプレートの評価値(ユニーク性の評価値)を説明する図である。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係るテンプレートを抽出するアレイ領域を説明する図である。
(1−5)テンプレート抽出パラメータ
テンプレート抽出に用いるパラメータを設定する方法(図1のステップ102)を説明するう。
図9は、本発明の第1の実施の形態に係るテンプレート抽出パラメータを設定するGUIの例である。本実施形態では、図9に示すGUIによりユーザが所望のパラメータの設定を行うことができる。
GUIの項目901において1段目のマッチングに使うテンプレートのパラメータを設定する。入力ボックス902ではテンプレートサイズの横幅と縦幅をnm単位で、入力ボックス903ではユニーク性サーチ範囲の幅を、入力ボックス904ではユニーク性サーチ範囲をそれぞれ入力することができる。項目905において2段目のマッチングに使うテンプレートを、項目906において3段目のマッチングに使うテンプレートの設定をそれぞれ行うことができる。項目の中にあるチェックボックスをONとOFFに切り替えることで、その項目のテンプレートを抽出するかしないかを選択することができる。
また、パラメータの設定が無かった場合、デフォルトの値でパラメータが設定されるが、ステージ位置合わせの誤差や、揺れの周波数などの電子光学系の仕様データをDB上に管理することで、テンプレートサイズやユニーク性サーチ範囲を仕様データから計算することもできる。またこれらデフォルトのデータを読み込みボタン908を押すことでGUI上に読み込み、一部のパラメータをユーザによって変更することができる。パラメータを設定したら保存ボタン907を押すことで内部に抽出パラメータの設定ファイルがセーブされ、テンプレートの抽出時に使用できる。
設定ファイルにおける動作や抽出したテンプレートの確認を行うことができる。設計データ全体でテンプレート抽出を行う前に、保存した抽出パラメータの設定ファイルを読み込み、一部領域の設計データに対してテンプレート抽出を行う。抽出したテンプレートの位置や数を確認するウインドウ1001で、設計データ上に抽出されたテンプレートが矩形1002のように表示される。描画される矩形の線の種類によって表1003に示すようにテンプレートの位置合わせ方法のモード情報を確認することができる。ウインドウ1004はテンプレート抽出用の評価値の重みを設定するスライダである。スライダを設定しなおし、再抽出ボタン1006を押すことで、新しい重みにより計算された評価値でテンプレート抽出しなおすことができる。ウインドウ1005はテンプレートの全体の数や、段階ごと、モード情報別でテンプレートの数を表示することができる。重みのパラメータを変えつつ、一部領域の設計データに対してテンプレート抽出を試行し、良好なパラメータが設定できたら実行ボタン1007を押すことで、設計データ全体に対しテンプレート抽出を実行する。
(1−6)マッチング処理
電子光学系201から取得した画像に対してテンプレートのマッチングを行う方法(図1のステップ105乃至110)について説明する。
図11(b)は、テンプレート画像1102とパターンエッジ画像1105とのマッチングの仕方を示す。
マッチング処理1106は、図11(b)のパターンエッジ画像1108中のサーチ範囲領域において、テンプレート画像1110の位置を矢印1111方向に走査しながら評価値を計算し、最も評価値が高くなる位置を求める。評価値としては、例えば正規化相互相関を用いる。求められたマッチング位置1112と原点1113から、位置ずれ量をを求めメモリ上に保存(図11(a)の1107)する。
(1−7)設計データの変形
マッチングにより求めた位置ずれ情報から設計データの変形処理を行う方法(図1のステップ111)を説明する。
図27は、本発明の第1の実施の形態に係る任意座標の位置ずれ量を補間する処理を説明する図である。
図27(a)の設計データ1201において、データ上の点1202、点1203、点1204において先のマッチング結果より位置ずれ量が算出されている。このとき、点1205の位置ずれ量を点1202、1203、1204の位置ずれ量から、例えばシェパード補間によって求める。
図27(b)にてシェパード補間方法を説明する。補間したい点O(1206)を中心とした垂直線107と水平線1208によって分けられた4領域にそれぞれにおいて、点O(1206)と最も近いサンプリング点A(1209)、点B(1210)、点C(1211)、点D(1212)を求める。これらサンプリング点が持つ値をdA,dB,dC,dDとし、また点Oとの距離をlA,lB,lC,lDとする時、補間値Dは以下の式(1.4)で算出する。
但し、補間したい点の位置によっては必ずしも4点存在しない場合がある。その場合は点の存在しない領域のデータ値dと長さlを0として計算し、サンプリング点が存在する領域のみの値で補間値の計算を行う。
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る、設計データの変形処理を説明する図である。図12(a)は変形前の設計データ、図12(b)は変形後の設計データを表わした図である。画像データになる前の設計データは複数の頂点の連結情報で配線の輪郭形状が表現されている。この頂点の座標に対して位置ずれ量のオフセットを与えることで、データの補正を行う。具体的にある頂点M101に対して位置ずれ補正を行う場合は、まず先の補間方法によって位置ずれ量を求める。頂点の座標に位置ずれ量を足し合わせて、座標値を更新し補正後の頂点M102を求めればよい。
(1−8)欠陥検出処理
補正後の設計データと検査画像から欠陥検出を行う方法(図1のステップ112)について説明する。
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る、検査画像と設計データを比較し欠陥検出する処理を説明する図である。
ウインドウ1501は設計データのパターン画像を背景にし、検出した欠陥領域1502を表示する。また、タブ1503を選択することで、検査画像を背景に欠陥領域を表示することができる。ズームイン、ズームアウトツール1504を選択しウインドウ内をクリックすることで、表示倍率を変更することができる。また選択ツール1505を選択しウインドウ中の欠陥を選択し詳細情報を見ることができる。ウインドウ1506はダイマップを表示する。カーソル1507を移動し選んだマップ上場所がウインドウ1501に反映される。またマップ上に黒点1508として欠陥発生箇所を表示する。タブ1509を選択することで、ダイマップからウェハマップを表示することもできる。ウインドウ1510はウインドウ1501で表示している領域において欠陥画像のしきい値処理する前の輝度値をヒストグラムとして表示する。またしきい値をスライダ1511で変更することができ、表示ボタン1512を押すことで、新たに設定したしきい値での結果をウインドウ1501に表示することができる。ウインドウ1513ではウインドウ1501で選択された欠陥の詳細画像を表示する。ウインドウには欠陥周辺の検査画像1514、設計データ画像1515、検査画像と擬似SEM像との差分画像1516、欠陥検出領域画像1517が表示され、欠陥の詳細を確認することができる。またウインドウ1518は選択された欠陥のあるダイNo、欠陥の座標、欠陥Noの他に検出した欠陥の総数などを数値で表示する。ウインドウ1513に表示された欠陥画像は、画像保存ボタン1519を押すことで保存することができる。
同じように図15(d)は、実画像に図15(b)の設計データの配線の輪郭1604を上から重ねたものである。こちらも実画像の配線は膨張しており、輪郭線が重なるうようにテンプレートマッチングを行った場合、矢印1606、1607方向に重ねることになるが、それぞれの矢印は反対方向を向いているため、どちらかの方向に偏ってマッチングされるという危険性が軽減される。
よって、テンプレート領域を選択する時、輪郭線を境にして配線領域から背景領域への向きが一つの方向だけ偏った図15(a)よりも、両方向もつ図15(c)のような設計データの部分領域を抽出する方が、検出精度を高めることができる。
図16(d)は別のテンプレート画像の例である。このテンプレートにも図16(b)に示すステージの揺れが加わっっており、設計データは実線1707、実SEM像は点線1708で表し、また設計データ中の中心1709と対応する実SEM像中の中心1710を表わす。配線の輪郭で位置合わせを行った時、このテンプレート例では実SEM像中の輪郭線に対して歪みが生じないため、中心位置における位置ずれ量1711は補正されずにマッチングが行われてしまう。
図17(e)は、図17(b)に示すグラフの歪みが加わった別のテンプレート画像の例である。設計データは実線1811、実SEM像は点線1812で表し、設計データ中の中心と実SEM像の中心は点1813で共通である。このテンプレートに対して、配線の輪郭線を元にマッチングを行う場合、矢印1814方向と逆方向を向いた矢印1815方向に合わせこもうとするため、最終的には設計データの中心とSEM像の中心が揃った状態でマッチングを行う。ステージ揺れは波上であるため、位置合わせの基準点を中心に上下対称に縦方向のエッジが存在していれば、マッチング時に輪郭線を合わせこもうとする方向が正方向と負方向で積み重なるため、大きく1方向に偏ってマッチングを行う危険性が減少する。
設計データ2001上に抽出したテンプレートは、2重線の矩形で示された2002、2003、2004、2005などである。1つのテンプレートにはテンプレートの座標2006、実施例1の(1−4)で求めた評価値の一つであるエッジ量2007や線幅2009、テンプレートサイズ2008、ユニーク性110、マッチング信頼度2011などの情報をもつ。ユニーク性はテンプレートが周辺のパターンに対して、どれだけユニークなパターン形状を持つかを示す指標である。ユニーク性評価値は、実施例1の(1−2)で説明したユニーク性サーチ範囲と同じようにテンプレート画像からユーザが設定したサーチ範囲において式(1.2)の評価値f5を算出し、テンプレート画像と同じ座標を除く座標におけるf5の最大値fmaxから、以下の式(6.1)によって算出する。
fuは、0.0〜1.0の値を取り、大きいほどサーチ範囲内においてユニークなテンプレートである。図19のように様々なテンプレートサイズを持つテンプレートを抽出するには、SIFT特徴点と呼ばれる特徴点を抽出手法を利用する(参考文献:David G. Lowe、 “Distinctive image features fromscale-invariant keypoints” 、 Journal of Computer Vision、 60、 2 、 pp. 91-110、 2004.)。この特徴点はスケールと呼ばれる特徴点の大きさが定義されている。このスケールをテンプレートサイズに用いる。SIFT特徴点の抽出手法を用いて、様々なテンプレートサイズを持つテンプレート候補を抽出し、評価値2007、2009、2010などの評価値からマッチングに使うテンプレートを選択する。ユニーク性の評価値2010を求めるためのサーチ範囲はテンプレートサイズに比例するように決定する。例えばユーザによるパラメータnを定義し、テンプレートサイズのn倍を一辺とする矩形領域をサーチ範囲と定義し、ユニーク性を評価する。
マッチング開始までは図1のステップ107まで同じであるので説明を省略する。テンプレートを読み込んだ(107)後、最もマッチング信頼度が高いテンプレートを選択し、発生し得る最大の位置ずれ量を探索範囲としてテンプレートマッチングを行う(2101)。次に、まだマッチングに使用していないテンプレートの中で最もマッチング信頼度が高いテンプレートを選択する(2102)。選択したテンプレートの近傍の位置合わせ済みのテンプレートから位置ずれ量を補間して、荒い位置ずれ量を算出する(2103)。具体的には、選択したテンプレートを中心として実施例1の(1−7)で用いたシェパード補間を用いることで荒い位置ずれ量Dを求める。次に選択したテンプレートに対して荒い位置ずれ量Dの分だけ位置の補正を行う(2104)。補正した位置を基準として、テンプレートマッチングを行う(2105)。このとき、荒い位置ずれ量Dの補間元となった位置合わせ済みのテンプレートと距離が近ければ、荒い位置ずれ量Dの精度は高いと考えられるため、マッチングを行う際の探索範囲を狭くすることができる。2101で用いた初期のマッチング探索領域の一辺の長さをm、これからマッチングを行うテンプレートと最も近い位置合わせ済みのテンプレートとの距離をlとした時、選択中のテンプレートのマッチング探索範囲の一辺の長さm'は、以下の式(6.2)によって算出する。
この時、αはユーザによって決められる距離の正規化パラメータである。求められた探索範囲内でマッチングを行い選択したテンプレートの位置ずれ量を算出する。マッチング後、他にまだマッチングが終わっていないテンプレートがあれば2102に戻り、すべてのテンプレートのマッチングが終了している場合は、図1のフロー111に移り設計データの変形を行う。
設計データ2201において、実施例1の(1−4)と同様に各画素をテンプレート候補とし、評価値の高い候補から順にテンプレートを決定していく。テンプレート候補A2202、B2203、 C2207、D2208の順に総合評価値Fが高いとすると、テンプレートを選択する順番について何も指定しない場合には、総合評価値が高いA、Bの順にテンプレートは抽出される。このとき、ユーザによるパラメータとして、隣接するテンプレート間の最短距離であるマージン2204により、テンプレート抽出不可能領域2205、2206が定義された場合、総合評価値順で選ぶとテンプレートBの次にはテンプレートCが抽出されることになるが、テンプレートCはテンプレートAによる抽出不可能な領域2205の中にあるため抽出することができず、抽出不可能領域からはずれているテンプレートDが選択されることになる。テンプレート候補の中からテンプレート抽出を繰り返していき、設計データ中からテンプレートが抽出できなくなるまで繰り返す。このユーザはマージンのパラメータを大きくすることで抽出するテンプレート数を少なくし、パラメータを小さくすることで逆に抽出するテンプレートの数を多くしたりと、抽出するテンプレートの数を調整することができる。
レビュー検査では観察したいウェハの領域が光学系の中心になるようステージを移動後、停止させるが、実際に光学系の中心にきたウェハ上の座標と撮像したい座標とでは、ずれが生じている。そのため、観察したい欠陥座標周辺の設計データ2501を切り出しておき、1回目位置合わせ用のテンプレート2503を抽出する、また2回目位置合わせ用のテンプレートも切り出した設計データ全域に対して抽出しておく。電子光学系ではウェハから低倍の画像を撮像し、この画像と1段目位置合わせ用のテンプレートによるマッチングを行うことでこの位置ずれ量を求め座標の補正を行う。次に、補正したウェハ上の座標から観察したい欠陥座標2504における高倍画像を電子光学系により取得する。得られた高倍画像と、その画像領域に対応する設計データ2502内のテンプレート2505、2506、2507を用いて、マッチングを行い局所領域での位置ずれ量を求める。この位置ずれ量を用いて、実施例1と同様に設計データの変形を行う。変形した設計データと実パターン像を比較することで欠陥位置や欠陥の種類の解析を行う。
まず検査前にウェハ上の欠陥の生じやすい箇所、欠陥が生じると致命的になる箇所を設計データの解析により求め、検査すべき複数の観察領域の座標情報を取得する(2401)。得られた座標から、その座標周辺領域の設計データを切り出す(2402)。切り出した設計データから実施例1と同様にテンプレートの抽出を行う(2403)。検査時には、SEM式検査装置のステージを観察対象領域の1段目位置合わせ用のテンプレートの座標まで移動し停止する(2404)。電子光学系でウェハの低倍画像の取得を行う(2405)。取得した低倍画像に対して1段目の位置合わせ用テンプレートでマッチングを行い、実画像と設計データとの位置ずれ量の算出を行う(2406)。この求めた位置ずれ量から現在のステージ位置でのウェハ上の座標情報を補正し、観察領域を高倍で撮像する(2407)。得られた高倍画像に対し2段目のテンプレートマッチングを行い、局所的な位置ずれ量を算出する(2408)。この位置ずれ量を元に実施例1と同様、設計データの変形を行う(2409)。変形後の設計データと高倍の実パターン像を比較することにより、欠陥検出やパターンの状態解析を行う(2410)。まだ観察を行う領域が残っていれば2404に戻り検査を継続する。
検査領域までステージを移動し停止させ、電子ビームの偏向だけで画像を取得する。この時、偏向レンズと対物レンズの制御により領域2601だけ実画像を取得することが可能である。小領域2602は偏向レンズの制御によるビーム走査で実画像を得られる範囲であり、対物レンズを制御することでこの領域2601全体の小領域の画像を一枚づつ取得していく。取得した実画像と設計データとの位置合わせを行う時、1段目位置合わせ用のテンプレートが必ず小領域に1個存在するように、実施例1の(1−4)で用いたテンプレートを抽出するアレイサイズの一辺の長さを小領域2602の1辺の半分に設定する。1段目位置合わせ用テンプレート2604にて全体の位置合わせを行い、2段目以降の位置合わせ用テンプレート2605にて局所的な位置ずれ量を算出し、設計データを変形する。実画像と変形後の設計データを比較することで、欠陥の検出を行う。
となる。ここでx0は実画像を取得する際のビーム走査の始点のx座標である。
Claims (18)
- 設計データは線分で表されるものであり、
被検査対象物の設計データを記憶装置から取得する設計データ取得工程と、
被検査対象物を撮像し検査画像を取得する検査画像取得工程と、
該被検査対象物の設計データから複数の領域である複数のテンプレートを抽出するテンプレート抽出工程と、
前記テンプレート毎に位置合わせ可能な方向及び位置合わせの順番を決定するモード情報の決定工程と、
該複数のテンプレートのうちいずれか一つの第一のテンプレートを用いて、該検査画像と該設計データとの第一の位置ずれ量を求める第一の位置ずれ量算出工程と、
該複数のテンプレートのうち該第一のテンプレート以外の第二のテンプレートと該第一の位置ずれ量とを用いて、該検査画像と該設計データとの第二の位置ずれ量を求める第二の位置ずれ量算出工程と、
該第一の位置ずれ量と該第二の位置ずれ量とを用いて位置ずれを補正した該設計データを画像化して設計データ画像に変換し、該設計データ画像と該検査画像とを比較して該被検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出工程と、を備え、
前記モード情報における前記テンプレートの位置合わせ可能な方向は、XY両方向、X方向のみ、Y方向のみのいずれかであり、
前記位置ずれ量算出工程は前記モード情報に基づいて行われることを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1記載の欠陥検査方法であって、
前記テンプレート抽出工程では、異なるテンプレートサイズの複数のテンプレートを抽出することを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1記載の欠陥検査方法であって、
該第一のテンプレートのテンプレートサイズは該第二のテンプレートのテンプレートサイズよりも大きいことを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1記載の欠陥検査方法であって、
該第二のテンプレートは複数個あることを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1記載の欠陥検査方法であって、
前記第一の位置ずれ量算出工程では、該検査画像の全体に共通する位置ずれ量を算出し、
前記第二の位置ずれ量算出工程では、該検査画像の局所的な位置ずれ量を算出することを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1記載の欠陥検査方法であって、
該第一のテンプレートのテンプレート信頼度は該第二のテンプレートのテンプレート信頼度よりも高いことを特徴とする欠陥検査方法。 - 前記モード情報における位置合わせの順番は、前記テンプレートにおけるユニーク性サーチ範囲の大きい順であることを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
- 設計データは線分で表されるものであり、
被検査対象物の設計データを記憶装置から取得する設計データ取得部と、
被検査対象物を撮像し検査画像を取得する検査画像取得部と、
該被検査対象物の設計データから複数の領域である複数のテンプレートを抽出するテンプレート抽出部と、
前記テンプレート毎に位置合わせ可能な方向及び位置合わせの順番を決定するモード情報の決定部と、
該複数のテンプレートのうちいずれか一つの第一のテンプレートを用いて、該検査画像と該設計データとの第一の位置ずれ量を求める第一の位置ずれ量算出部と、該複数のテンプレートのうち該第一のテンプレート以外の第二のテンプレートと該第一の位置ずれ量とを用いて、該検査画像と該設計データとの第二の位置ずれ量を求める第二の位置ずれ量算出部とを備える位置合わせ部と、
該第一の位置ずれ量と該第二の位置ずれ量とを用いて位置ずれを補正した該設計データを画像化して設計データ画像に変換し、該設計データ画像と該検査画像とを比較して該被検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出部と、を備え、
前記モード情報における前記テンプレートの位置合わせ可能な方向は、XY両方向、X方向のみ、Y方向のみのいずれかであり、
前記位置ずれ量算出工程は前記モード情報に基づいて行われることを特徴とする欠陥検査装置。 - 請求項8記載の欠陥検査装置であって、
前記テンプレート抽出部では、異なるテンプレートサイズの複数のテンプレートを抽出することを特徴とする欠陥検査装置。 - 請求項8記載の欠陥検査装置であって、
該第一のテンプレートのテンプレートサイズは該第二のテンプレートのテンプレートサイズよりも大きいことを特徴とする欠陥検査装置。 - 請求項8記載の欠陥検査装置であって、
該第二のテンプレートは複数個あることを特徴とする欠陥検査装置。 - 請求項8記載の欠陥検査装置であって、
前記第一の位置ずれ量算出部では、該検査画像の全体に共通する位置ずれ量を算出し、
前記第二の位置ずれ量算出部では、該検査画像の局所的な位置ずれ量を算出することを特徴とする欠陥検査装置。 - 請求項8記載の欠陥検査装置であって、
該第一のテンプレートのテンプレート信頼度は該第二のテンプレートのテンプレート信頼度よりも高いことを特徴とする欠陥検査装置。 - 前記モード情報における位置合わせの順番は、前記テンプレートにおけるユニーク性サーチ範囲の大きい順であることを特徴とする請求項8記載の欠陥検査装置。
- 設計データは線分で表されるものであり、
被検査対象物の設計データを記憶装置から取得する設計データ取得工程と、
被検査対象物を撮像し検査画像を取得する検査画像取得工程と、
該被検査対象物の設計データから複数の領域である複数のテンプレートを抽出するテンプレート抽出工程と、
前記テンプレート毎に位置合わせ可能な方向及び位置合わせの順番を決定するモード情報の決定工程と、
該複数のテンプレートを用いて該検査画像と該設計データとの位置ずれ量を複数回求める位置ずれ量算出工程と、
前記位置ずれ量算出工程により求めた複数個の位置ずれ量を用いて位置ずれを補正した該設計データを画像化して設計データ画像に変換し、該設計データ画像と該検査画像とを比較して該被検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出工程と、を備え、
前記モード情報における前記テンプレートの位置合わせ可能な方向は、XY両方向、X方向のみ、Y方向のみのいずれかであり、
前記位置ずれ量算出工程は前記モード情報に基づいて行われることを特徴とする欠陥検査方法。 - 設計データは線分で表されるものであり、
被検査対象物の設計データを記憶装置から取得する設計データ取得部と、
被検査対象物を撮像し検査画像を取得する検査画像取得部と、
該被検査対象物の設計データから複数の領域である複数のテンプレートを抽出するテンプレート抽出部と、
前記テンプレート毎に位置合わせ可能な方向及び位置合わせの順番を決定するモード情報の決定部と、
該複数のテンプレートを用いて該検査画像と該設計データとの位置ずれ量を複数個求める位置ずれ量算出部と、
前記位置ずれ量算出部により求めた複数個の位置ずれ量を用いて位置ずれを補正した該設計データを画像化して設計データ画像に変換し、該設計データ画像と該検査画像とを比較して該被検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出部と、を備え、
前記モード情報における前記テンプレートの位置合わせ可能な方向は、XY両方向、X方向のみ、Y方向のみのいずれかであり、
前記位置ずれ量算出工程は前記モード情報に基づいて行われることを特徴とする欠陥検査装置。 - 前記モード情報における位置合わせの順番は、前記テンプレートにおけるユニーク性サーチ範囲の大きい順であることを特徴とする請求項15記載の欠陥検査方法。
- 前記モード情報における位置合わせの順番は、前記テンプレートにおけるユニーク性サーチ範囲の大きい順であることを特徴とする請求項16記載の欠陥検査装置。
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