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JP5764323B2 - 不織布及びこれを用いた吸収性物品 - Google Patents

不織布及びこれを用いた吸収性物品 Download PDF

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JP5764323B2 JP2010288536A JP2010288536A JP5764323B2 JP 5764323 B2 JP5764323 B2 JP 5764323B2 JP 2010288536 A JP2010288536 A JP 2010288536A JP 2010288536 A JP2010288536 A JP 2010288536A JP 5764323 B2 JP5764323 B2 JP 5764323B2
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Description

本発明は不織布及びこれを用いた吸収性物品に関する。
生理用ナプキン、パンティーライナー、及び使い捨ておむつ等といった吸収性物品において、その機能に応じて、シート材の片面に突出した部分を設けたものや、筋状に隆起した部分を設けたもの、多数の小さな孔をあけたものなどが開発されている。例えば、特許文献1に開示されたものは、シートの片面側に突出した円錐台状の突出部が多数設けられている。これにより、表面シートに適したクッション性を有するシート材とすることができるとされる。特許文献2,3には凹凸ないし起伏のあるシート材において、多数の小孔が設けられたものが開示されている。これにより、表面シートとしての諸物性が良化するとされる。また、特許文献4にはシート材の片面が筋状に延びる突出部であり、その断面がかまぼこ(略半円)形状にされた積層シートが開示されている。これにより、例えばクッション性のある表面シートとして用いることができるとされる。
特開2008−289662号公報 特開平03−137258号公報 特開平08−246321号公報 特開2008−25081号公報
本発明者らは、上述のようなものとは異なる形態を有し、従来とは異なる性質やより良化した機能を付与しうる不織布の提供を目的に鋭意研究開発を行った。具体的には、シート材の片面側のみではなく、表裏両面に突出した部分を有する不織布の作製を検討した。
上記の点に鑑み本願発明は、液体の引き込み性が良く、排泄物の捕集性に優れ、特に柔らかなクッション性を有し押圧したときの戻りが良い、(表面シート等)として好適に利用することができる不織布の提供を目的とする。
第1面側に突出する第1突出部と第2面側に突出する第2突出部とが面内の第1方向と第2方向との2つの方向に向け壁部を介して複数交互に広がった不織布であって、前記壁部は、前記第1方向と第2方向とで定義される面方向の実質的に何れの箇所においても、前記第1突出部と第2突出部とを結ぶ方向に沿った繊維配向性を有する不織布。
本発明の不織布は、液体の引き込み性が良く、排泄物の捕集性に優れ、特に柔らかなクッション性を有し押圧したときの戻りが良く、表面シート等として好適に利用することができる。
本発明の不織布の一実施形態(実施形態1)における表面シートを一部断面により模式的に示す斜視図である。 図1の不織布における領域IIを拡大して示す断面図である。 図1の不織布におけるIII−III線断面を拡大して示す断面図である。 図1の不織布におけるIV−IV線断面を拡大して示す断面図である。 第1突出部と第2突出部との関係を平面視により模式的に示す説明図である。 壁部の繊維配向の状態を展開して模式的に示す説明図である。 第2突出部の繊維配向の状態を平面視により模式的に示す説明図である。
図1は本発明の不織布の好ましい実施形態(実施形態1)である吸収性物品の表面シートの要部を模式的に示す一部断面斜視図である。図2は図1の不織布における領域IIを拡大して示し、図3及び図4はそれぞれそのIII−III線断面及びIV−IV線断面を示す拡大断面図である。この不織布10は例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の表面シートに適用することが好ましく、第1面側z(図2参照)を着用者の肌面側に向けて用い、第2面側zを物品内部の吸収体(図示せず)側に配置して用いることが好ましい。以下、上記図面に示した不織布10の上記のとおり第1面側を着用者の肌面に向けて用いる実施態様を考慮して説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
本実施形態の不織布10は面方向に連続した構造を有していることが好ましい。この「連続」とは、断続した部分や小孔がないことを意味する。ただし、繊維間細孔のような微細孔は前記小孔には含まれない。これを区別していうときには、例えば小孔をその円相当直径で1mm以上のものと定義することができる。上記の「連続」の語には、積層シートであることも含まれるが、本実施形態においては積層していない単層のシートをその好ましい実施形態として示している。また、この「連続」という語の意味を、不織布の第1面側zの面と第2面側zの面とが実質的に連なっていると表現することもできる。ここでの実質的に連なるとは、上記のとおりに、本発明の効果を損なわない範囲で小孔を有さずそれより小さな微細孔を有していてもよい意味である。
本実施形態の不織布10の第1面側には、多数の第1突出部1が縦横の2つの方向に面内で斜交する関係で延び配列されている(以下、この配列を斜交格子状配列ということがある。)。この格子状配列が直交(90°)する関係でもよく、そのときには直交格子状の配列として区別していうことがある。本実施形態においては、その面内における第1方向(x)と第2方向(y)(図5参照)が、30°〜 90°の角度で交差していることが好ましい。さらに本実施形態においては、不織布の第2面側に突出する多数の第2突出部2が形成されている。この第2突出部2も斜交格子状配列になっているが、直交格子状配列であってよい。その交差角度の好ましい範囲は、第1突出部1に伴って定まるため、上記と同様である。この第1突出部1と第2突出部2とは、シート面に対して互いに反対方向に突出している。そして、平面視においても側面視においても同一位置にない、つまり重なりのない関係で両者が交互に配置するようにされている。
上記のようにして面内の第1方向(x方向)及び第2方向(y方向)にそれぞれ延び配列された第1突出部1と第2突出部2とは、面状に矛盾無く連続し、不織布10を構成している。ここで、矛盾無く連続するとは、特定の形状部分が連なって面状になるとき、屈折したり不連続になったりせず、緩やかな曲面で全体が連続した状態になることをいう。なお、上記第1突出部と第2突出部との配列形態は上記に限定されず、矛盾無く連続しうる配列で配置しうる形態であればよく、例えば、第1突出部を中心に6角形の頂点に6つの第2突出部が配置し、そのパターンが面内に広がる配列であってもよい。なお、この場合、第2突出部の数が第1突出部の数を上回るため、第2突出部同士が隣接する状態が生じるが、全体において連続したシート状態が構成される限りにおいて、このような形態の配列も第1突出部と第2突出部とが「交互」に配列したという意味に含まれる。
本実施形態において第1突出部1及び第2突出部2は頂部に丸みをもった円錐台形状もしくは半球状にされている。より詳細にみれば、第1突出部の突出形状は尖鋭ではなくどちらかというと半球状であり、他方、第2突出部の突出形状はより尖鋭であり頂部に丸みのある円錐ないし円錐台形状になっている。なお、本実施形態において突出部は上記形状に限定されず、どのような突出形態でもよく、例えば、様々な錐体形状(本明細書において錐体形状とは、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等を広く含む意味である。)であることが実際的である。本実施形態において第1突出部及び第2突出部はその外径と相似する頂部に丸みのある円錐台形状もしくは半球状の内部空間1k、2kを保持している。それぞれの内部空間1k及び2kは、尾根6を介して隔てられており実質的に連続しない空間として形成されている。他方、第1突出部1と第2突出部2のシート厚み方向における間には、壁部3が構成されており、この壁部3ないし上記尾根部6を介して両突出部が連続するシート構造とされている。
ここで上述した本実施形態の不織布の基本構造に基づく作用について説明する。
・クッション性
本実施形態の不織布は表裏の片面だけではなく、両面において突出した部分を有するため、その構造に特有のクッション性を発現する。例えば筋状の突起や片面の突起ではどうしても線ないし面としての弾力性を発現することとなるが、本実施形態によれば三次元的な動きに対してもよく追従して両面において点で支持された立体的なクッション性を奏する。また、詳細については後述するが、壁部3においてはその壁の起立する方向に向け配向した繊維の配向性を有する。そのため、ここにしっかりとしたコシが生まれ、繊維が厚み方向に潰れてしまうことのない適度のクッション性を実現する。さらに、上述した壁部の繊維配向性により、押圧力を受けて不織布が潰されても、その形状復元力が大きく、梱包状態や着用が継続されても初期のクッション力を喪失しにくい。
・肌触り
本実施形態の不織布には両面方向に第1及び第2の突出部があり、その頂部は丸みを帯びている。そのため、そのどちらの面を肌面側にしても、表面シートが肌に対して点で柔らかく接触する良好な肌触りが実現される。また、装着時の圧力に対しても接触する点が面状に増減することで肌触りを良好としながら、圧力に対する表面シート全体の形状変形を少なく抑えることができ、また、圧力変形からの形状復元も容易とすることができる。上記の良好なクッション性に起因する作用もあり、点接触による動的な作用と相俟って、独特の良好な肌触りが得られる。また、排泄等を受けたときにも、上述した点接触が効果を奏し、サラッとした肌触りが実現される。このサラッとした肌触り(吸収性の効果)について補足すると、壁部3においてはその壁の起立する方向に向け配向した繊維の配向性を有することとは、壁部厚み方向に配向した繊維によって、液がスムースに繊維を伝い流れることによって、吸収体に移行し、且つ、壁部繊維の配向性により液戻りが少なく、サラッとした肌触りが実現される。また、上述した構造の維持による不織布自体の通気性に優れや、点接触の効果により、カブレの防止に役立つ。
・排泄物の捕集性
本実施形態の不織布10においては、その両面に突出する第1突出部1及び第2突出部2がある。そしてそのそれぞれに、内部に形成された第1内部空間1k及び第2内部空間2kがある。したがって、排泄液や排泄物の物性に応じて多様な形態でこれらを捕集し対応することができる。例えば、図1の不織布10の第1面側zを肌面側としたと想定して説明すると、粘度が高く浸透性の低い排泄物であれば、表面シートを透過せずに、内部空間2kに一時その排泄物がストックされる。一方、粘度が低く透過しやすい排泄液であれば、表面シートを透過したのち、内部空間1kにこれが捕集される。このいずれの場合にも、肌面にまず当たる部分が第1突出部の頂部11であり、上記捕集された排泄液ないし排泄物は肌に接触しにくくされている。これにより、尿や便、経血や下り物の排泄ののちにも、幅広く対応して極めて良好なサラッと感じが持続される。
ここで本実施形態において特徴部分である繊維配向性を含め本実施形態の不織布のより詳細な特徴について、その形状をモデルとして簡略化して示した図5〜7に基づいて説明する。本実施形態の不織布には第1突出部1と第2突出部2(破線で示した)とがあり、図5ではそれらがそれぞれ単純な円として示されている。それらの円の大きさは、区別のため若干異なるものとしており、図1等に示した形態とその寸法等において一致するものではない。本実施形態の不織布においては、第1突出部1と第2突出部2とが格子状配列になって配置されている。これを、別の言い方で示すと、所定方向に第1列k、第2列k、第3列k、としてみたとき、各列の第1突出部1と第2突出部2とは交互に配置されており、各列の突出部をシート面内で各列に斜交する方向(y方向)に投影したときに、隣接する列において第1突出部と第2突出部とが重なる関係となる。さらに言うと、第n列と第n+2列において、第1突出部1と第2突出部2とがそれぞれ重なる状態とされている。つまり、本実施形態においては、列kの第1突出部及び第2突出部がy方向に平行移動したとき、列kの第1突出部及び第2突出部と重なる関係とされている。ただし、本発明がこれに限定して解釈されるものではなく、上記隣接する第1突出部と第2突出部とにずれがあってもよい。
第1突出部1と第2突出部2との間には、壁部3が形成されている。図5に示した中央の第1突出部1でみると、四方の第2突出部2から連続してくる4つの壁部部分31、32、33、34が形成されている。そして、その4つの壁部部分31〜34はシート面内方向で壁部部分31’、32’、33’、34’で連繋されており、一連になり環状の壁部3が構成されている。前記壁部部分31’、32’、33’、34’の第1面側で隣接する第1突出部との間には馬の背になった稜線部分が存在し、その部分が尾根部(連結部)6となり上記壁部部分31’〜34’のそれぞれに対応して、尾根部61〜64が形成されている。なお、本発明において「環状」とは平面視において無端の一連の形状をなしていれば特に限定されず、平面視において円、楕円、矩形、多角形など、どのような形状であってもよい。シートの連続状態を好適に維持する上では円又は楕円が好ましい。さらに、「環状」を立体形状としていえば、円柱状、斜円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭斜円錐状、切頭楕円錐状、切頭四角錐状、切頭斜四角錐状など任意の環構造が挙げられ、連続したシート状態を実現する上では、円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭楕円錐状が好ましい。本発明において尾根もしくは尾根状とは第1突出部の内部空間1kもしくは第2突出部の内部空間2kを谷としてみたときに、谷と谷との間の山地突起状部の連続した部分をいい、通常不織布シートの面方向とほぼ同一方向の面を有している。
図6(a)は図5に示した壁部3を展開して長方形のモデルで示したものであり、そこに図示された線g1a、1bは繊維の配向方向を示している。壁部部分の位置を表すために、さらに、上記環状の壁部を円柱として、その母船に直交する面で切断した横断面でみたときに中心からみて90°ごとに異なる位置として31〜34の符号を加入して示している。図6(a)に示したように、本実施形態の壁部3は前記第1方向と第2方向とで定義される面方向の実質的にいずれの箇所においても壁部の起立方向(第1突出部と第2突出部とを結ぶ方向)に配向している。ここで実質的にとしたのは、一部において配向性のないところを含んでいてもよく、上述したような各作用を好適に示す範囲で全体におよんでいればよいことを示す。典型的には、後述する従来例のように、MD方向とCD方向とで異なる配向性を有するものではないことをいい、少なくともMD方向とCD方向とで上記所定の繊維配向性を有することが好ましい。
なお、「MD」は不織布等のシート材が製造時に流れる方向をいい、「Machine Direction」の略語である。流れ方向ともいう。「CD」は上記MDに直交する方向であり、「Cross Direction」の略語である。
本実施形態においては、0°位置(壁部部分31)と180°位置(壁部部分33)は第2面側(z)側に偏倚した状態でその強い配向性(線g1b)を示す部分が位置しており、他方、90°位置(壁部部分32)と270°位置(壁部部分34)は第1面側(z)側に偏倚した状態でその強い配向性(線g1a)を示す部分が位置している。同図では図が混み合うため図示していないが、壁部部分31’〜34’においても同様であり、全面的に同様の繊維配向性を有している。ただし、強い配向性を示す壁部部分は31、32、33、34と変化するその中間位置で全体において漸次変化する環状の壁部の配向性の構造を構成している。これにより本実施形態において特有のクッション性を生じることは前述のとおりである。
一方、例えば、繊維ウェブを賦形する前に融着した不織布にエンボス加工等によりくぼみを与えた場合は、くぼみを与えるときにはすでに繊維同士が融着しているため、繊維の配向性に変化が生じず、通常図6(b)のように環状の壁部(またはメルカルト図法のように環状に投影した壁部)を平面視において90°ごとに分割してみると、融着された時のシートの繊維配向性が残り、その分割位置ごとに繊維配向性が変わることとなる。具体的には同図に示したとおり壁部部分31、33ではその起立方向(線g1c)に繊維が配向するが、壁部部分32、34ではそれと直交する方向(線g)に繊維が配向する。これは、通常不織布を製造するときに、そのMD方向に繊維が配向しそのまま融着されるため、MD方向段権における壁部の繊維はその起立方向に繊維が配向するものの、CD方向断面においては、起立方向とは直行する方向に繊維が配向することとなる。
前記のとおり、本実施形態においては、壁部は環状になっており、その横断面の中央点をとおる前記面内第1方向に沿った仮想線(例えば図5の一点鎖線j)が横切る部分の壁部部分と、前記中央点をとおる前記面内第2方向に沿った仮想線(例えば図5の一点鎖線j)が横切る壁部部分とで繊維の配向性が異なる。その相違の態様は、上記従来例のように賦形前の不織布の配向性が維持されることによって壁面観察では配向方向が異なるようになるのではなく、繊維同士が融着等によって固定される前の状態(繊維ウエブであり繊維の絡み合いの状態)において賦形されることで周囲の繊維とともに繊維の配向が変形方向に変化することでおきる態様である。
本実施形態においては、特に前記面内第2方向に沿った仮想線(例えば図5の一点鎖線j)が横切る壁部部分において、前記第1突出部もしくは第2突出部から壁部にかけて繊維配向性が漸次変化する。この漸次変化する状態は、具体的には、繊維による絡み合い(もしくは繊維間の融着)によって不織布構造が形成されており、且つ大きな隙間がないという繊維状態でありながら、その配向角は、突出部から壁部にかけて徐々に変化する。好ましくは、繊維と繊維の隙間を画像の画像解析等より個々の隙間の面積より算出できる円相当径(計測した面積を円と見立てたときの円の直経)による隙間の大きさが300μm以下である繊維状態でありながら、その突出部付近の配向角は0°に近い値を示し、壁部では、90°に近い値を示す。
本実施形態においては上述のように壁部の繊維は前記第1突出部と第2突出部とを結ぶ方向に沿った繊維配向性を有する。つまり、厚さ方向に繊維が配向性を有している。本発明において、繊維が厚さ方向に配向性を有するとは、厚さ方向に、繊維が並びそろった状態を有していることをいう。具体的には、後述する測定方法において、配向角50°〜130°、且つ配向強度1.05以上であることをいう。この壁部における繊維配向性の程度としては、特に限定されないが、比較的粘性の低い体液吸収を目的とした生理用品や使い捨ておむつ等の表面シートとして用いるとき、繊維の配向性が配向角でいうと高い(70°以上)ことであることが好ましく、配向強度が1.1以上であり、配向角が70〜110°であることがより好ましい。
図7は図5に示した第2突出部2を1つ取り出した状態で繊維の配向方向(線g)をモデル的に示している。その位置を特定するために壁部部分の符号をその対応する位置に付している。同図に示したとおり、本実施形態においては、第2突出部2の頂部21に向かって収束する放射状の繊維配向性を有している。このことはつまり、上記壁部との関係を併せていうと、壁部3から第2突出部2にわたってそのシート面の面方向に沿って第2突出部の頂部21に向かって収束するように繊維が配向していることを示している。このように、第2突出部頂部21に向かって放射上の繊維配向性があることで、優れたクッション性を有する、つまり、形成された突出部が潰れ難く、変形が起こっても回復し易いという作用を奏する。
本実施形態において、前記第1突出部頂部11の繊維配向性(q11)と前記第2突出部頂部の繊維配向性(q21)とは異なっている。本発明において繊維配向性の測定方法は特に断らない限り実施例において示した方法によるものである。ここで、繊維配向性の意味について触れておくと、これは繊維の配向角と配向強度とからなる概念である。繊維配向性については、各部の符号を下付きの添え字として示し、「q」の文字でその値が繊維配向性を意味することとする。その他、繊維密度(r)等についても上記と同様の規則で表示する。
本実施形態においては、第1突出部頂部11は厚さ方向に繊維配向性(q11)を有しており、第2突出部頂部は厚さ方向に繊維配向性(q21)を有していない。第1突出部頂部における繊維配向性(q11)は、配向角は50°〜130°であり、配向強度1.05以上であることが好ましい。これにより、液を第2突出部に移動しやすくなり、第1面側に接する肌がドライに保たれる効果を発揮する。第2突出部頂部における繊維配向性(q21)は、0°以上50°未満又は130°超180°以下であることが好ましく、また、配向強度1.05未満であることが好ましい。これにより、不織布シートのMD方向及びCD方向の引張強度をバランスよく保つことが出来、使用時にシートが破断したり、引き伸ばされたりするのを防ぐことが出来る。第1第2突出部の頂部の繊維配向性が第1>第2(q11>q21)となることにより、第1突出部は第2突出部に比べて圧力による変形が起こり易く、柔軟性・変形性に優れるという作用を奏する。
本実施形態の不織布10においては、前記第2突出部頂部21の繊維配向性について、第1面側における繊維配向性(q21a)と第2面側における繊維配向性(q21b)とが実質的に等しくなるようにされている。これにより、前述の第2突出部頂部21に向かって放射上の繊維配向性が、第1面側と第2面側にあることを示しており、形成された突出部が潰れ難く、変形後の回復がより高められる。また、吸収性物品の表面シートとしては、より表面から裏面側への導液が優位となる。
本実施形態においては、前記第1突出部の繊維量(u)と前記第2突出部の繊維量(u)とが実質的に等しいものとされている。本発明において繊維量の測定方法は特に断らない限り下記に示した方法によるものである。これにより、圧力等による変形時に座屈しにくくなり、圧力開放時の形状復元が起こり易く好ましい。また、不織布における繊維量が略等しいことによって、不織布の強度等の物性値が安定し、繊維ムラによる感触の変化や破れが起こりにくく好ましい。
本実施形態の不織布においては、第1突出部1の繊維密度(r11)が、第2突出部の繊維密度(r121より小さい(r11<r12)。本発明において繊維粗度の測定方法は特に断らない限り下記に示した方法によるものである。なお、繊維量の測定についても参考までに併記しておく。第1突出部における繊維密度は、30本/mm〜150本/mmが好ましく、60本/mm〜100本/mmがより好ましい。第2突出部における繊維密度は上記理由から、150本/mm〜600本/mmが好ましく、300本/mm〜550本/mmがより好ましい。
<繊維密度の測定>
不織布部分の切断面を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維断面が30から60本計測できる倍率(150〜500倍)に調整(本実施例については150倍とした)し、繊維の断面数を測定し、繊維断面数を測定した視野部分の面積を求めた。次に1mm辺りの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度(本/mm)とした。測定は3ヶ所行い、平均してそのサンプルの繊維密度とした。また、観察部の中心は、第1突出部及び第2突出部頂部において、図2に示した11a、11bの中点あるいは21a、21bの中点を中心部とした。
・顕微鏡;日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)
<繊維量の測定>
・キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさ(10〜100倍)に拡大し、図2に示した第1突出部頂部の厚み(S1)および第2突出部頂部の厚み(S2)を測定する。測定は、5回行い、その平均をそのサンプルの第1突出部頂部、及び第2突出部頂部の厚み(mm)とする。
・前述した繊維密度の測定方法により、1mm辺りの繊維本数を計測する。
・繊維量は、厚み(mm)×1mm辺りの繊維本数(本)を計測することで評価した。つまり、第1突出部頂部、及び第2突出部頂部の厚み×1mm辺りの繊維本数がほぼ等しければ、繊維量(本/mm3)も等しいと判断した。ほぼ等しいとは、測定誤差範囲の違いを含む意味である。
本実施形態においては、上述のように第1突出部1の第1面側zの繊維密度(r11a)と第2面側zの繊維密度(r11b)とが、r11a<r11bの関係にあることにより、その部分での柔軟性と形状維持性とが両立されている。これらの作用はこの種の不織布において通常両立しにくいものであるが、上述のような特有の繊維の粗密を与えることにより、その部分において外部からの押圧に対する構造変形部分と構造維持部分とが形成され、上記の作用が得られる。たとえて言うとすれば、第1突出部の頂部11において第2面側の繊維が「密」であるため、相対的に硬い部分がアーチ上になって橋脚の機能を果たし、その第1面側は柔らかく全体においては剛直にならずに十分な柔軟性が維持されている。
第1突出部の第1面側における繊維密度は、10本/mm〜50本/mmが好ましく、第2面側における繊維密度は、20本/mm〜100本/mmが好ましい。より好ましくは第1突出部の第1面側における繊維密度(r11a)は、15本/mm〜30本/mmが好ましく、第2面側における繊維密度(r11b)は、45本/mm〜70本/mmが好ましい。第1突出部の第1面側と第2面側の繊維密度の比(r11b/r11a)を2〜5倍程度つけることによる効果として、上述した柔軟性等に加え、液の引き込み力が向上することによって、良好な通液性を得ることができる。
本実施形態の不織布における寸法諸元について以下に説明する。
シートの厚さについては、不織布10の全体としてみたときの微小加圧時(0.05×10Pa)の厚さをシート厚み(T)といい(以下、Tは微小加圧時(0.05×10Pa)の厚さをいう)、その凹凸に湾曲したシートの局部的な厚さを層厚み(S)として区別する(図2参照)。シート厚み(T)は用途によって適宜調節すればよいが、おむつや生理用品等の表面シートとして用いることを考慮すると、0.5mm〜10mmが好ましく、1mm〜5mmがより好ましい。その範囲とすることにより、好適なクッション感を得ることができる。層厚みは、シート内の各部位において異なっていてよく、用途によって適宜調節すればよい。おむつや生理用品等の表面シートとして用いることを考慮すると、第1突出部頂部の層厚み(S)は0.2mm〜3.0mmであることが好ましく、0.6mm〜2.0mmがより好ましい。好ましい層厚みの範囲としては第2突出部頂部の層厚み(S)及び壁部の層厚み(S)も同様である。各層厚み(S)、(S)、(S)の関係は、S>S>Sであることが好ましい。これにより、第1突出部において、特に肌面側では、繊維層の厚みが高く、良好な肌当たりを実現することができる。一方、壁部、第2突出部、及び、壁部は繊維層の厚みは低いが、実質てきな目付が第1突出部と同じなため、密度が高く、潰れにくく、型崩れせずに良好なクッション性優れた不織布とすることができる。
本実施形態においては、第1突出部1、第2突出部2、壁部3がシート厚み(T)において3等分されており、各部の区分は特に断らない限りこのようにして定義する。したがって、これらの厚みはシート厚み(T)によって自ずと定まる(P=P=P)。ただし、第1突出部1と第2突出部2との頂部の尖度ないし曲率が異なるときには、断面において直線状になった比較的狭い部分を壁部3とし、そこから湾曲しし丸みを帯びいく領域をそれぞれ第1突出部1及び第2突出部2としてもよい(P,P’,P’参照)。後者の定義によるなら、本実施形態の不織布10においては、第2突出部2の厚み(P’)が第1突出部1の厚み(P)より大きく、全体において厚み方向に偏倚のある形態とされている。換言すれば、本実施形態においては、第1突出部頂部1の頂部11の曲率半径が第2突出部頂部2の頂部21の曲率半径より大きくされている。
第1面側の半身厚み(t)及び第2面側の半身厚み(t)も上記と同様であり、基本的には、シート厚み(T)を2等分した線を中央線(中央面)mとし、両半身厚み(t,t)が等しいものとしてみる。ただし、第1突出部1と第2突出部2との頂部における尖度もしくは曲率半径に差がある場合には、壁部の断面直線状部分の中央と評価される位置m’で区分し定義することができる。本実施形態の不織布は、後者の定義によるならば、第1面側の半身厚みt<第2面側の半身厚みtとされている。
第1突出部1及び第2突出部2がなす列の間隔n(図5参照)は、用途によって適宜調節すればよいが、おむつや生理用品等の表面シートとして用いることを考慮すると、1mm〜15mmが好ましく、2mm〜8mmがより好ましい。
本実施形態の不織布のもつ坪量は特に限定されないが、シート全体の平均値でいうと、10〜100g/mであることが好ましく、20〜50g/mであることがより好ましい。
本実施形態の不織布10の製造方法はこの種の製品に一般的な方法を適宜採用すればよい。一例を挙げると、下記のような態様が挙げられる。融着する前の繊維ウェブを、所定の目付となるようカード機からウェブ賦形装置に供給する。ウェブ賦形装置では、多数の突起を有し通気性を有する台座(図示せず)の上に上記繊維ウェブを搬送させる。次いで、その台座上の繊維ウェブに熱風を各繊維が適度に融着可能な温度で吹きつけて、前記台座上の突起にそって繊維ウェブを賦形するとともに、各繊維を融着させる。このときの熱風の温度は、この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、100〜180℃にすることが好ましく、風速は10〜100m/secにすることが好ましい。連続生産を考慮すると、上記台座を搬送可能なコンベア式またはドラム式のものとし、搬送されてくる型付けされた不織布を、ロールで巻き取っていく態様が挙げられる。なお、本実施形態の不織布についてMD方向及びCD方向をどちらに向けてもよい。
本発明の不織布に用いることができる繊維材料は特に限定されない。具体的には、下記の繊維などが挙げられる。ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等のポリオレフィン繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を単独で用いてなる繊維;芯鞘型、サイドバイサイド型等の構造の複合繊維、例えば鞘成分がポリエチレン又は低融点ポリプロピレンである芯鞘構造の繊維が好ましく挙げられ、該芯/鞘構造の繊維の代表例としては、PET(芯)/PE(鞘)、PP(芯)/PE(鞘)、PP(芯)/低融点PP(鞘)等の芯鞘構造の繊維。更に具体的には、上記構成繊維は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン複合繊維を含むのが好ましい。ここで、該ポリエチレン複合繊維の複合組成は、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンであり、該ポリプロピレン複合繊維の複合組成が、ポリエチレンテレフタレート/低融点ポリプロピレンであるのが好ましく、より具体的には、PET(芯)/PE(鞘)、PET(芯)/低融点PP(鞘)が挙げられる。また、これらの繊維は、単独で用いて不織布を構成してもよいが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の不織布は、各種用途に用いることができる。例えば、使い捨ておむつや、生理用ナプキン、パンティーライナー、尿取りパッド等の吸収性物品の表面シートとして好適に使用することができる。その他、清拭シート等として利用する形態も挙げられる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維を目付27g/mとなるようカード機からウェブ賦形装置に供給した。ウェブ賦形装置では、多数の突起を有し通気性を有する台座(MD方向ピッチ8mm、CD方向ピッチ4mm)の上に上記繊維ウェブを定着させた。次いで、その台座上の繊維ウェブに熱風(温度145℃、風速37m/sec)を吹きつけて、前記台座上の突起にそって繊維ウェブを賦形するとともに、各芯鞘構造の繊維を融着させた。このように熱融着して賦形した不織布を取り出し、不織布試験体1とした。
(実施例2)
熱風の条件を温度140℃、風速37m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体2とした。
(実施例3)
熱風の条件を温度140℃、風速50m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体3とした。
(実施例4)
熱風の条件を温度145℃、風速50m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体4とした。
(実施例5)
熱風の条件を温度150℃、風速30m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体5とした。
(実施例6)
熱風の条件を温度150℃、風速37m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織試験体6とした。
(実施例7)
熱風の条件を温度150℃、風速50m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体7とした。
(比較例1)
特開2008−25081号公報実施例1記載の方法に準じ、坪量を調整して不織布試験体c1を作成した。不織布試験体c1は、筋状の凹凸形状を有するため、独立凹部を持たず、開孔を有することを特徴とする。おむつは、実施例の不織布試験体1の変わりに不織布試験体c1を用いて作製した。
(比較例2)
特開平03−137258号公報の実施例1と同様にして、開孔を有する不織布を作製した。具体的には以下のとおりである。
ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンの芯鞘繊維2.4dtex×51mmからなるウェブを定法のカード機で形成した。次いで、該ウェブを通気性を有する凹凸ネット及び平織りネットの間に挟持し、該平織りネット側から空気を噴射した。そして前記凹凸ネットの凹部にウェブを押し込むことにより、繊維の粗密部分が所定のピッチで形成されたウェブを作製した。その後、この状態のウェブを140℃の加熱空気中に通し、ポリエチレン部分を溶着し、該ウェブを一体化させた。これにより、凹凸状態が所定のピッチで形成され、凹状部分に開孔した不織布試験体c2を作製した。
(比較例3)
特開平08−246321号公報の実施例1と同様にして、開孔を有する不織布を作製した。具体的には以下のとおりである。
ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンの芯鞘繊維3.3dtex×51mmからなるウェブを定法のカード機で形成した。次いで、該ウェブを通気性を有する平織りネットの上で、140℃の加熱空気中に通し、ポリエチレン部分を溶着し、該ウェブを一体化させ、シート状の不織布試験体c3を得た。この後、ピンによって開孔を付与した。
(比較例4)
特開2008−289662号公報実施例1記載の方法と同様にして不織布試験体c4を作成した。不織布試験体c4は、各々独立した凸形状を有し、表面シートに適したクッション性を有するシート材として用いられることを特徴とする。
上記の不織布試験体を用い、下記の測定試験を行った。
Figure 0005764323
上記の結果より、本発明の好ましい実施形態に係る不織布(試験体1)は、壁部においてその起立方向の繊維配向性が高く、さらに環状の壁部全体にわたりその繊維配向性が維持されていた。また、厚みが抑えられ、相応の目付けでありながら、極めて高いKES WE値が得られており、上記壁部の繊維配向性と相俟って、極めて良好なクッション性を実現しうることが分かる。
上記実施例で行ったものを含め各評価項目の測定方法は下記のとおりであった。
<目付け>
不織布の目付けは次の方法で測定される。先ず、不織布を250mm×200mmの大きさに裁断し、これを測定片とする。電子天秤(メーカー問わず)に、この測定片を載置する。この状態での重量を測定し、その重量を面積で割ることにより、目付(gsm)とする。測定値としては、各3点を測定しその平均値を採用する。
<KES圧縮試験機による評価>
KES圧縮試験機(カトーテック(株)製KES FB−3[商品名])を用い、不織布について、通常モードで5.0×10Paまでの圧縮特性評価を行い、下記圧縮性能を読み取った。
<シート厚み(T)の測定>
KES圧縮試験機(カトーテック(株)製KES FB−3)を用い、不織布について、通常モードで5.0×10Paまでの圧縮特性評価を行い、微小加圧時(0.05×10Pa)の厚み(T)をチャートから読み取った。測定値としては、各3点を測定しその平均値を採用する。
<圧縮方向加圧下厚みの測定>
KES圧縮試験機(カトーテック(株)製KES FB−3)を用い、不織布について、通常モードで5.0×10Paまでの圧縮特性評価を行い、3.5×10Pa加圧時の厚みをチャートから読み取った。測定値としては、各3点を測定しその平均値を採用する。この値は、0.8〜2.0であることが好ましい。
<戻り方向加圧下厚みの測定>
KES圧縮試験機(カトーテック(株)製KES FB−3)を用い、不織布について、通常モードで5.0×10Paまでの圧縮特性評価を行い、圧縮戻時の3.5×10Pa加圧時の厚みをチャートから読み取った。測定値としては、各3点を測定しその平均値を採用する。この値は、0.6〜1.8であることが好ましい。
<クッション性の測定>
KES圧縮試験機(カトーテック(株)製KES FB−3)を用い、不織布について、通常モードで5.0×10Paまでの圧縮特性評価を行い、3.5×10Pa加圧時の厚みをチャートから読み取り、厚みTから、その値を割り、クッション性の評価とした。測定値としては、各3点を測定しその平均値を採用する。この値は、37〜80%であることが好ましい。
<繊維配向性の測定>
日本電子(株)社製の走査電子顕微鏡;JCM−5100(商品名)を使用し、図1におけるz軸方向が上下となるようにサンプルを静置し、サンプルの測定する面に対して垂直の方向から撮影した画像を(測定する繊維が10本以上計測できる倍率に拡大;50〜300倍)印刷し、透明PET性シート上に繊維をなぞった。前記の画をパソコン内に取り込み、株式会社ネクサス社製のnexusNewQube[商品名](スタンドアロン版)画像処理ソフトウエアを使用し、前記画像を二値化した。次いで、繊維配向解析プログラムである、Fiber Orientation Analysis 8.13 Single(ソフト名)を用い、前記二値化した画像から、配向角と配向強度を得た。各試験体の測定結果を表1に示した。配向角は繊維が最も配向している角度を示し、配向強度はその配向角における強度を示している。壁部の測定においては、配向角が90°に近い値ほど、起立方向に繊維が配向していることを示す。また、配向強度の値が大きいほど繊維の向きがそろっていることをあらわす。配向強度が1.05以上の場合を配向しているとする。
なお、図5で説明すると、想定されるMD方向(線j)における壁部部分32(もしくは34)を壁部(MD)とすると、想定されるCD方向(線j)における壁部部分31(もしくは33)が壁部(CD)となる関係で両者の繊維配向性を測定する。測定値としては、各3点を測定しその平均値を採用する。
<吸収時間の測定(参考)>
花王株式会社の市販のベビー用おむつ(商品名「メリーズさらさらエアスルーMサイズ」)から表面シートを取り除き、その代わりに、100×250mmに切り出した不織布試験体を積層し、その周囲を固定して評価用のベビー用おむつを得た。上記不織布試験体上に20g/cmの荷重を均等にかけ、試験体のほぼ中央に設置した断面積1000mmの筒を当て、そこから人口尿を注入した。人工尿としては、生理食塩水を用い、10分ごとに40gずつ3回にわたり人工尿を注入し、吸収しきる時間(秒)を測定した。
1 第1突出部
11 第1突出部頂部
11a 第1突出部頂部 第1面側
11b 第1突出部頂部 第2面側
1k 第1突出部 内部空間
2 第2突出部
21 第2突出部頂部
21a 第2突出部頂部 第1面側
21b 第2突出部頂部 第2面側
2k 第2突出部 内部空間
3 壁部
6 尾根部
9 突起
10 不織布
T シート厚み
S(S,S,S) 層厚み

Claims (7)

  1. 第1面側に突出する第1突出部と第2面側に突出する第2突出部とが面内の第1方向と第2方向との2つの方向に向け壁部を介して複数交互に広がった不織布であって、前記壁部は、前記第1方向と第2方向とで定義される面方向の実質的にいずれの箇所においても、前記第2突出部の頂部に向かって収束する、放射状の繊維配向性を有する不織布。
  2. 前記第1突出部の頂部の繊維密度r11は前記第2突出部の頂部の繊維密度r12より低い請求項1に記載の不織布。
  3. 前記壁部は環状になっており、その横断面の中央点をとおる前記面内第1方向に沿った仮想線が横切る部分の壁部部分と、前記中央点をとおる前記面内第2方向に沿った仮想線が横切る壁部部分とで繊維の配向性が異なる請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 前記壁部における配向角がMD/CD両方向において50°以上である請求項1から3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記壁部の配向強度がMD/CD両方向において1.05以上である請求項1から4のいずれか1項に記載の不織布。
  6. 前記第1突出部の頂部の繊維配向性と前記第2突出部の頂部の繊維配向性とが異なっている請求項1から5のいずれか1項に記載の不織布。
  7. 前記第1突出部の頂部の繊維配向性q 11 が前記第2突出部の頂部の繊維配向性q 21 より大きい請求項1から6のいずれか1項に記載の不織布。
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