JP5763740B2 - 掘進機の発進方法 - Google Patents
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Description
また、掘進機を据え付ける段階では、坑口の鏡切りが済んでおり、地山が露出している状態であるため、崩壊性の高い地山では土砂噴発等のおそれがあった。
第1工程では、発進立坑の底に推進架台を敷設し、発進立坑の掘進方向と反対側の内壁に反力壁を設置し、前面が掘進方向を向き後面が反力壁に当接するようにエアジャッキを設置する。
第2工程では、掘進機を推進架台上に据え付け、エアジャッキが縮退した状態で、エアジャッキの前面の周縁部を掘進機の後端部に設けた環状の当輪に対向させる。
第3工程では、エアジャッキを伸長させ、当輪を介して掘進機を推進する。
また、掘進機を据え付けた後すぐに発進が可能であることから地山が露出している状態を最小限にとどめることができ、崩壊性の高い地山での土砂噴発等を回避することができる。よって、作業安全性を向上させることができる。
この方法は、発進立坑から到達立坑に向かって、掘進機に後続する推進管により地中に横坑を構築するセミシールド工法において、発進立坑からの掘進を開始する初期掘進段階で用いられる。特にこの方法は、発進立坑の内径が掘進機の全長に対して比較的小さい場合、例えば、内径2500mmの発進立坑から呼び径800mmの推進管を構築するような場合に有効である。
本発明の実施形態の説明に先だって、従来技術による掘進機の発進方法について、図10〜18の工程図を参照して説明する。各工程図は模式的なものであり、必ずしも正確な投影視や断面視を図示していない。各工程について、主に、掘進方向の側面から視た側面図(掘進機の部分は断面図)を用いて説明する。また、第2工程及び第5工程について、平面図(図12、17)及び立坑後方からの断面図(図13、18)を追加した。その他の工程の平面図及び後方視断面図は、容易に類推可能であるため図示を省略した。
ここで、第1〜第5工程の区分は、図面を参照する上での便宜的な区分であり、現実の作業単位とは必ずしも対応しなくてもよい。
各工程の側面図である図10、11、14、15、16、及び平面図である図12、17にて、斜線部は地山を示し、図の左側が掘進方向となる。以下、掘進方向を前方、掘進方向と反対側を後方という。後方、すなわち図の右側における発進立坑9の内壁91には反力壁85が設置される。また、発進立坑9の底92には基礎架台80が敷設される。この基礎架台80上に、図10〜13では鋼管用推進架台81が載置され、図14〜18ではかさ上げ鋼材82及び掘進機用推進架台83が載置される。
図10〜13に示すように、従来技術では、発進立坑9に掘進機1を投入する前に、掘進機1の前部を収容するスペースを確保するための鋼管71を予め鋼管推進用坑口94に貫入する工程を実施する。
発進立坑9の内壁91に鋼管推進用坑口94を設けた後、図10に示す第1工程にて、鋼管用推進架台81の上に後面を反力壁85に当接させて油圧ジャッキ60を設置する。また、油圧ジャッキ60のピストン前端63と鋼管71の後端との間に当輪72を設置する。
鋼管71を所定深さまで貫入させた後、図14に示す第3工程にて、鋼管推進用の油圧ジャッキ60を撤収する。また、掘進機1を設置する高さを調整するため、基礎架台80上にかさ上げ鋼材82、及び、鋼管71の底にかさ上げ鋼材84を置いた上に掘進機用推進架台83を敷設する。また、鋼管71の前端部にて地山を露出させ、掘進機1用の坑口74を設ける。
続いて、図15に示す第4工程にて、掘進機用推進架台83の上に後面を反力壁85に当接させて掘進機推進用の油圧ジャッキ65を設置する。
図16〜18に示すように、第5工程にて掘進機用推進架台83の上に掘進機1を据え付ける。このとき、掘進機1は前部を下に傾けた状態でクレーンに吊り下げられ、前部を鋼管71に収容させながら後部を徐々に下ろして水平に設置される。掘進機1が推進架台83上に据え付けられた状態で、油圧ジャッキ65の前端68が掘進機1の後端に取り付けられた当輪25に対向する。この状態から、油圧ジャッキ65で当輪25を介して掘進機1を押し、初期掘進させる。
また、第5工程に続いて掘進機1を推進する第6工程(図示しない)では、当輪25と油圧ジャッキ65との間に押角を挿入して油圧ジャッキ65を前進させる。
掘進機1の前部に設けられる掘削駆動部は、非回転の固定部と回転部とを含む。固定部は、フード11、インナーコーン14、隔壁15等からなる。回転部は、カッタヘッド12、アウターコーン13等からなり、カッタモータ16によって回転駆動される。
カッタモータ16の出力は、ピニオン及びギアを経由して減速され、アウターコーン13に伝達される。
インナーコーン14は、カッタヘッド12の中心部を回転可能に軸支する筒状部、及び、筒状部から後方に向かって拡径しているテーパ部等を有している。
カッタヘッド12は、前面に設けられた複数種類のカッタビットにより、泥土の掘削や礫の破砕を行う。被掘削物は、アウターコーン13の内壁と、インナーコーン14の外壁と、隔壁15とにより区画されたシールド空間内に流入する。
フード11の後方に接続される制御管19の管内には、カッタモータ16や排泥管18等が収容されている。
セミシールド工法では、このような概略構成の掘進機1により、発進立坑9から図示しない到達立坑に向かって横坑が構築される。
また、掘進機1を据え付ける段階では、坑口の鏡切りが済んでおり、地山が露出している状態であるため、崩壊性の高い地山では土砂噴発等のおそれがあった。
次に、従来技術の問題点を解決すべく考案された本発明の一実施形態による掘進機の発進方法について、図1〜図9を参照して説明する。本実施形態の各工程図に関する注釈は従来技術の各工程図に準ずる。また、本実施形態の図において、従来技術と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図1〜3に示すように、本実施形態では第1工程から、基礎架台80上にかさ上げ鋼材82を置いた上に掘進機用推進架台83を敷設する。そして、推進架台83上に、後面51を反力壁85に当接させて、本実施形態の特徴的構成である「エアジャッキ5」を設置する。また、発進立坑9の掘進方向の内壁91には発進坑口93が形成される。
本実施形態の第1工程は、掘進機1を推進架台83上に据え付ける準備を完了するという意味で、従来技術の第4工程(図15参照)に対応する。
エアジャッキ5は、いわゆる「マット式エアジャッキ」であり、図4(a)に示すように、縮退時にマット状となる例えばゴム製の袋体である。エアジャッキ5には、コンプレッサ等のエア源55からエアホース57が接続されている。エアジャッキ5の不使用時には、エアバルブ56が閉じられている。エアジャッキ5の縮退時において、後面51から前面53までの厚さは、例えば30mm程度の比較的薄いものである。
図5に破線の斜線で示す部分が、エアジャッキ5の前面53と当輪2との接触面積Sに相当する。エアジャッキ5は、圧縮空気の空気圧に接触面積Sを乗じた力で当輪2を押圧する。当輪2の中央穴23の径を小さくするほど押圧力は大きくなり、接触面積Sの設定次第では、油圧ジャッキ65と同等の押圧力を得ることができる。また、当輪2を使用することで、エアジャッキ5の力を掘進機1に均一に伝達することができる。
図6〜8に示すように、本実施形態の第2工程は、従来技術の第5工程(図16〜18参照)に対応し、掘進機1が推進架台83上に据え付けられ、エアジャッキの前面53を掘進機1の後端部に設けた当輪2に対向させる工程である。
ここで、本実施形態の図6と従来技術の図16を比べると、油圧ジャッキ65を用いる従来技術に対し、本実施形態では縮退時のエアジャッキ5の厚さが薄いため、エアジャッキ5の前方に十分なスペースが確保されている。
図9に示す本実施形態の第3工程は、従来技術では図示しない第6工程に対応する。
上記第2工程からエアバルブ56を開き、エアジャッキ5の袋内にエア源55から圧縮空気を供給すると、エアジャッキ5の伸縮部52が伸長し当輪2を押圧する。その結果、
当輪2の鍔部21が推進管19の後端面に当接し掘進機1を推進することで、掘進機1が発進坑口93の奥の地山に貫入される。作業者は、掘進機1が地山に貫入するときの状況を細かく観察することができ、万一異常が発生した場合は迅速に対処することができる。以後、掘進機1のカッタヘッド12によって地山の泥土を掘削する「本掘進工程」により到達立坑までの横坑が構築される。
なお、使用後のエアジャッキ5は、袋内の圧縮空気を大気に開放させて縮退させ、元のマット状に戻すことができる。
また、掘進機1を据え付けた後すぐに発進が可能であるため、地山が露出している状態(いわゆる鏡切り後の状態)を最小限に留めることができ、崩壊性の高い地山での土砂噴発等を回避することができる。よって、作業安全性を向上させることができる。
これに対し、本実施形態では、据え付けのスペースを広く確保することができるため、掘進機1を非分割の状態で据え付けられる可能性が高い。その場合、分割作業及び再接続作業を廃止し、作業時間を大幅に短縮することができる。
2 ・・・当輪、
5 ・・・エアジャッキ、 51・・・後面、 53・・・前面。
83・・・(掘進機用)推進架台、
85・・・反力壁、
9 ・・・発進立坑、 91・・・内壁、 92・・・底。
Claims (2)
- セミシールド工法において発進立坑(9)から掘進機(1)を発進させる発進方法であって、
縮退時にマット状となる袋体であり、且つ、袋内に圧縮空気が供給されたとき軸方向に伸長する1台のエアジャッキ(5)を用い、
前記発進立坑の底(92)に推進架台(83)を敷設し、前記発進立坑の掘進方向と反対側の内壁(91)に反力壁(85)を設置し、前面(53)が掘進方向を向き後面(51)が前記反力壁に当接するように前記エアジャッキを設置する第1工程と、
前記掘進機を前記推進架台上に据え付け、前記エアジャッキが縮退した状態で、前記エアジャッキの前面の周縁部を前記掘進機の後端部に設けた環状の当輪(2)に対向させる第2工程と、
前記エアジャッキを伸長させ、前記当輪を介して前記掘進機を推進する第3工程と、
を含むことを特徴とする掘進機の発進方法。 - 前記第2工程において、前記掘進機を非分割の状態で前記推進架台上に据え付け可能であることを特徴とする請求項1に記載の掘進機の発進方法。
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