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JP5760577B2 - エステル化合物とその用途 - Google Patents

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JP5760577B2 JP2011067571A JP2011067571A JP5760577B2 JP 5760577 B2 JP5760577 B2 JP 5760577B2 JP 2011067571 A JP2011067571 A JP 2011067571A JP 2011067571 A JP2011067571 A JP 2011067571A JP 5760577 B2 JP5760577 B2 JP 5760577B2
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Description

本発明は、エステル化合物とその用途に関する。
従来、有害生物を防除するために種々の化合物が合成されている(非特許文献1参照。)。例えば、特許文献1には、ある種のエステル化合物が記載されている。
特開昭57−158765号公報
「続医薬品の開発 第18巻 農薬の開発III」、廣川書店、1993年、p.493
本発明は、優れた有害生物防除効力を有する新規な化合物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、式(1)で示されるエステル化合物が優れた有害生物防除効力を有することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、以下の発明に係るものである。
[1]式(1)
Figure 0005760577
〔式中、R1は水素原子、フッ素原子、C1−C4鎖式炭化水素基、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルコキシメチル基またはC1−C4アルキルチオメチル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3及びR4は同一または相異なり、水素原子またはC1−C4アルキル基を表す。〕
で示されるエステル化合物(以下、本発明化合物と記す。)。
[2]式(1)において、R1がC1−C4アルコキシメチル基である[1]記載のエステル化合物。
[3]式(1)において、R1がメトキシメチル基である[1]記載のエステル化合物。
[4]式(1)において、R2が水素原子であり、R3及びR4が同一または相異なり、水素原子またはメチル基である[1]〜[3]いずれかに記載のエステル化合物。
[5]式(1)において、R2が水素原子であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子である[1]〜[3]いずれかに記載のエステル化合物。
[6]式(1)において、R2、R3及びR4が水素原子である[1]〜[3]いずれかに記載のエステル化合物。
[7][1]〜[6]いずれかに記載のエステル化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤。
[8][1]〜[6]いずれかに記載のエステル化合物の有効量を有害生物又は有害生物の生息場所に施用する有害生物の防除方法。
本発明化合物は優れた有害生物防除効力を有することから、有害生物防除剤の有効成分として有用である。
本明細書の記載において用いられる置換基について、例を挙げて以下に説明する。
1で示される「C1−C4鎖式炭化水素基」としては、C1−C4アルキル基、C2−C4アルケニル基及びC2−C4アルキニル基が挙げられる。
C1−C4アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基が挙げられ、
C2−C4アルケニル基としては、例えばビニル基、2−プロペニル基が挙げられ、
C2−C4アルキニル基としては、例えばエチニル基、プロパルギル基が挙げられる。
1で示される「C1−C4アルコキシ基」としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基及びブトキシ基が挙げられる。
1で示される「C1−C4アルコキシメチル基」としては、例えばメトキシメチル基及び
エトキシメチル基が挙げられる。
1で示される「C1−C4アルキルチオメチル基」としては、例えばメチルチオメチル基及びエチルチオメチル基が挙げられる。
R、R3及びR4で示される「C1−C4アルキル基」としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基が挙げられる。
本発明化合物には、シクロプロパン環上の1位および3位に存在する2個の不斉炭素原子に由来する異性体、並びに、シクロプロパン環3位の置換基上の1’位及び3’位に存在する2つの二重結合に由来する異性体が存在するが、本発明には有害生物防除活性を有する各異性体および任意の比率の異性体混合物が含まれる。
Figure 0005760577
本発明化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
式(1)において、シクロプロパン環1位の置換基とシクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がトランス配置である化合物;
式(1)において、シクロプロパン環1位の絶対立体配置がR配置であり、シクロプロパン環1位の置換基とシクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がトランス配置である化合物;
式(1)において、シクロプロパン環1位の置換基とシクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がトランス配置で、シクロプロパン環3位の置換基に存在する1’位の二重結合の相対配置がZ配置である化合物;
式(1)において、シクロプロパン環1位の絶対立体配置がR配置であり、シクロプロパン環1位の置換基とシクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がトランス配置であり、シクロプロパン環3位の置換基に存在する1’位の二重結合の相対配置がZ配置である化合物;
式(1)において、R1がC1−C4アルコキシメチル基であるエステル化合物;
式(1)において、R1がメトキシメチル基であるエステル化合物;
式(1)において、R2が水素原子であり、R3及びR4が同一または相異なり、水素原子またはメチル基であるエステル化合物;
式(1)において、R2が水素原子であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子であるエステル化合物;
式(1)において、R2、R3及びR4が水素原子であるエステル化合物。
次に、本発明化合物の製造法について説明する。
本発明化合物は、例えば以下に示す方法により製造することができる。
式(2)
Figure 0005760577

〔式中、R1は前記と同じ意味を表す。〕で示されるアルコール化合物と、
式(3)
Figure 0005760577
〔式中、R2、R3及びR4は前記と同じ意味を表す。〕で示されるカルボン酸化合物又はその反応性誘導体とを反応させる方法。
該反応性誘導体としては、式(3)で示されるカルボン酸化合物の酸ハロゲン化物、該カルボン酸化合物の酸無水物、該カルボン酸化合物のメチルおよびエチルエステル等が挙げられる。該酸ハロゲン化物としては、酸クロライド化合物が挙げられる。
該反応は、通常、縮合剤又は塩基の存在下、溶媒中で行なわれる。
縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド ハイドロクロライドが挙げられる。
塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。
溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン及びヘキサン等の炭化水素、ジエチルエ−テル及びテトラヒドロフラン等のエ−テル、並びに、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン及びクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。
反応時間は、通常、5分間〜72時間の範囲である。
反応温度は、通常、−20℃〜100℃(但し、使用する溶媒の沸点が100℃未満の場合には、−20℃〜溶媒の沸点)の範囲であり、好ましくは−5℃〜100℃(但し、使用する溶媒の沸点が100℃未満の場合には、−5℃〜溶媒の沸点)の範囲である。
該反応において、式(2)で示されるアルコ−ルと、式(3)で示されるカルボン酸化合物又はその反応性誘導体の使用モル比は任意に設定できるが、好ましくは等モル又はそれに近い比である。
縮合剤又は塩基は、式(2)で示されるアルコ−ル1モルに対して、通常は0.25モルから過剰量まで任意の割合で使用することができ、好ましくは0.5モル〜2モルである。これらの縮合剤又は塩基は、式(3)で示されるカルボン酸化合物又はその反応性誘導体の種類により適宜選択される。
反応終了後の反応混合物は、これを濾過して濾液を濃縮する、又は、これを水に注加した後に有機溶媒抽出、濃縮する等の通常の後処理操作を施すことにより、本発明化合物を得ることができる。得られた本発明化合物はクロマトグラフィ−、蒸留等の操作によって精製することができる。
式(2)で示されるアルコール化合物は、市販品または特開2000−63329号公報および特開2001−213848号公報に記載の化合物であり、市販品を購入、または該公報および該特許に記載の方法で製造することができる。
本発明の中間体は、例えば以下の方法により製造することができる。
式(3)で示されるカルボン酸化合物のうち、シクロプロパン環1位の置換基とシクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がトランス配置である式(3−1)で示されるカルボン酸化合物は、例えば以下に示した方法で製造することができる。
即ち、式(4−1)
Figure 0005760577
〔式中、RはC1−C4アルキル基を表す。〕で示されるカロンアルデヒドエステル誘導体と、
式(5)
Figure 0005760577
〔式中、R2、R3及びR4は前記と同じ意味を表す。〕で示されるニトリル誘導体とを、塩基の存在下に反応させることにより、
式(6−1)
Figure 0005760577
〔式中、R、R2、R3及びR4は前記と同じ意味を表す。〕で示される化合物を得、
アルカリ金属水酸化物などで加水分解することにより、
式(3−1)
Figure 0005760577
〔式中、R2、R3及びR4は前記と同じ意味を表す。〕で示されるカルボン酸化合物を製造することが出来る。
該反応は、通常、式(4−1)で示されるカロンアルデヒドエステル誘導体1モルに対して、式(5)で示されるニトリル化合物を1.0〜1.5モルの割合、塩基を1〜10モルの割合で用い、0℃〜80℃、好ましくは0℃から30℃で極性溶媒中で反応させることにより、式(6−1)で示される化合物を製造することができる。該塩基としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩類、水素化ナトリウム等のアルカリ金属化合物が挙げられる。該極性溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシドが挙げられる。
反応終了後は、反応混合物を水に加えた後、有機溶媒で抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(6−1)で示される化合物を得ることができる。
また、式(6−1)で示される化合物を加水分解反応させる工程においては、通常、式(6−1)で示される化合物1モルに対して、塩基を1〜10モルの割合で用い、0℃〜80℃、好ましくは0℃から30℃で溶媒中で反応させることにより、式(3−1)で示されるカルボン酸化合物を製造することができる。該塩基としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸アルカリ金属塩、水素化ナトリウム等のアルカリ金属化合物が挙げられる。該溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン等のエーテル、メタノール等のアルコール、水及びこれらの混合物が挙げられる。
反応終了後は、反応液を酸性にした後、有機溶媒で抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(3−1)で示されるカルボン酸化合物を得ることができる。
式(3)で示されるカルボン酸化合物のうち、シクロプロパン環1位の置換基とシクロプロパン環3位の置換基との相対立体配置がシス配置である式(3−2)で示されるカルボン酸化合物は、例えば以下に示した方法で製造することができる。
即ち、式(4−2)
Figure 0005760577
で示されるカロンアルデヒドエステル誘導体と、
式(5)
Figure 0005760577
〔式中、R2、R3及びR4は前記と同じ意味を表す。〕で示されるニトリル誘導体とを、塩基の存在下に反応させることにより、
式(6−2)
Figure 0005760577
〔式中、R2、R3及びR4は前記と同じ意味を表す。〕で示される化合物を得、
酸触媒の存在下で加熱することにより、
式(3−2)

Figure 0005760577
〔式中、R2、R3及びR4は前記と同じ意味を表す。〕で示されるカルボン酸化合物を製造することが出来る。
該反応は、通常、式(4−2)で示されるカロンアルデヒドエステル誘導体1モルに対して、式(5)で示されるニトリル化合物を1.0〜1.5モルの割合、塩基を1〜10モルの割合で用い、0℃〜80℃、好ましくは0℃から30℃で極性溶媒中で反応させることにより、式(6−2)で示される化合物を製造することができる。該塩基としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩類、水素化ナトリウム等のアルカリ金属化合物が挙げられる。該極性溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシドが挙げられる。
反応終了後は、反応混合物を水に加えた後、有機溶媒で抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(6−2)で示される化合物を得ることができる。
また、式(6−2)で示される化合物から式(3−2)を製造する工程においては、通常、式(6−2)で示される化合物1モルに対して、酸触媒を0.005〜0.05モルの割合で用い、反応温度は通常50℃〜150℃(但し、使用する溶媒の沸点が150℃未満の場合には、50℃〜溶媒の沸点)で反応させることにより、式(3−2)で示されるカルボン酸化合物を製造することができる。酸触媒としては、例えばp−トルエンスルホン酸などが挙げられる。該溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン等のエーテル、トルエン等の炭化水素及びこれらの混合物が挙げられる。
反応終了後は、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(3−2)で示されるカルボン酸化合物を得ることができる。
式(4−1)で示されるカロンアルデヒドエステル誘導体は、Tetrahedron 45,3039−3052(1989)に記載の化合物である。
式(4−1)で示されるカロンアルデヒドエステル誘導体は、Journal of American Chemical Society,1982, 104, 4282−4283に記載の化合物である。
式(5)で示されるニトリル誘導体は、Journal of American Chemical Society, 2008, 130, 3734に記載の化合物である。
本発明化合物が効力を有する有害生物としては、例えば有害昆虫や有害ダニ等の有害節足動物が挙げられ、具体的には以下のものが挙げられる。
半翅目害虫:ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)等のアブラムシ類、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavetus)、オオトゲシラホシカメムシ(Eysarcoris lewisi)、トゲシラホシカメムシ(Eysarcoris parvus)、チャバネアオカメムシ(Plautia stali)、クサギカメムシ(Halyomorpha mista)等のカメムシ類、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)等のコナジラミ類、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、シトラススノースケール(Unaspis citri)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi)等のカイガラムシ類、グンバイムシ類、トコジラミ(Cimex lectularius)等のトコジラミ類、キジラミ類等;
鱗翅目害虫:ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ワタノメイガ(Notarcha derogata)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)等のメイガ類、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属等のヤガ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、アドキソフィエス属、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana fasciata)、コドリンガ(Cydia pomonella)等のハマキガ類、モモシンクイガ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類、リオネティア属等のハモグリガ類、リマントリア属、ユープロクティス属等のドクガ類、コナガ(Plutella xylostella)等のスガ類、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)等のキバガ類、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等のヒロズコガ類等;
双翅目害虫:アカイエカ(Culex pipiens pallens)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)、ネッタイイエカ(Culex quinquefasciatus)等のイエカ類、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)等のエーデス属、(Anopheles sinensis)、(Anopheles gambiae)等のアノフェレス属、ユスリカ類、イエバエ(Musca domestica)、オオイエバエ(Muscina stabulans)等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ヒメイエバエ類、タネバエ(Delia platura)、タマネギバエ(Delia antiqua)等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、オオキモンノミバエ(Megaselia spiracularis)等のノミバエ類、オオチョウバエ(Clogmia albipunctata)チョウバエ類、ブユ類、アブ類、サシバエ類、ハモグリバエ類等;
鞘翅目害虫:ウエスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera virgifera)、サザンコーンルートワーム(Diabrotica undecimpunctata howardi)等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)等のコガネムシ類、メイズウィービル(Sitophilus zeamais)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、アズキゾウムシ(Callosobruchuys chienensis)等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)等のハムシ類、ハラジロカツオブシムシ(Dermestes maculates)等のカツオブシムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)等のエピラクナ類、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、ヒョウホンムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ(Paederus fuscipes)等;
ゴキブリ目害虫:チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)等;
アザミウマ目害虫:ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)等;
膜翅目害虫:イエヒメアリ(Monomorium pharaosis)、クロヤマアリ(Formica fusca japonica)、ルリアリ(Ochetellus glaber)、アミメアリ(Pristomyrmex pungens)、オオズアリ(Pheidole noda)、アルゼンチンアリ(Linepithema humile)等のアリ類、フタモンアシナガバチ(Polistes chinensis antennalis)、セグロアシナガバチ(Polistes jadwigae)、キアシナガバチ(Polistes rothneyi)等のアシナガバチ類、オオスズメバチ(Vespa mandarinia japonica)、キイロスズメバチ(Vespa simillima)、コガタスズメバチ(Vespa analis insularis)、モンスズメバチ(Vespa crabro flavofasciata)、ヒメスズメバチ(Vespa ducalis)等のスズメバチ類、アリガタバチ類、クマバチ、ベッコウバチ、ジガバチ、ドロバチ等;
直翅目害虫:ケラ類、バッタ類等;
隠翅目害虫:ネコノミ(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ヒトノミ(Pulex irritans)、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)等。
シラミ目害虫:コロモジラミ(Pediculus humanus corporis)、ケジラミ (Phthirus pubis)、ウシジラミ(Haematopinus eurysternus)、ヒツジジラミ(Dalmalinia ovis)等;
シロアリ目害虫:ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、イースタンサブテラニアンターマイト(Reticulitermes flavipes)、ウエスタンサブテラニアンターマイト(Reticulitermes hesperus)、ダークサザンサブテラニアンターマイト(Reticulitermes virginicus)、アリッドランドサブテラニアンターマイト(Reticulitermes tibialis)、デザートサブテラニアンターマイト(Heterotermes aureus)等のサブテラニアンターマイト類、アメリカカンザイシロアリ(Incisitermes minor)等のドライウッドターマイト類、およびネバダダンプウッドターマイト(Zootermopsis nevadensis)等のダンプウッドターマイト類等;
ダニ目害虫:ナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)、オリゴニカス属等のハダニ類、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)、リンゴサビダニ(Aculus schlechtendali)等のフシダニ類、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)等のホコリダニ類、ヒメハダニ類、ケナガハダニ類、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、キチマダニ(Haemaphysalis flava)、アメリカンドッグチック(Dermacentor variabilis)、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)、シュルツマダニ(Ixodes persulcatus) 、ブラックレッグドチック(Ixodes scapularis)、オウシマダニ(Boophilus microplus)、ローンスターチック(Amblyomma americanum)、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)等のマダニ類、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)等のコナダニ類、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides ptrenyssnus)等のヒョウヒダニ類、ホソツメダニ(Cheyletus eruditus)、クワガタツメダニ(Cheyletus malaccensis)、ミナミツメダニ(Cheyletus moorei)等のツメダニ類、イエダニ(Ornithonyssus bacoti)、トリサシダニ(Ornithonyssus sylvairum)、ワクモ(Dermanyssus gallinae)等のワクモ類、アオツツガムシ(Leptotrombidium akamushi)等のツツガムシ類等;
クモ類:カバキコマチグモ、セアカゴケグモ、ジョロウグモ、ゴミグモ、コガネグモ、ナガコガネグモ、オニグモ、クサグモ、ウヅキコモリグモ、イオウイロハシリグモ、ネコハエトリ、オオヒメグモ、シモフリイオグモ、ハエトリグモ、アシダカグモ等;
唇脚綱類:ゲジ(Thereuonema hilgendorfi)、トビスムカデ(Scolopendra subspinipes)、アオズムカデ、セスジアカムカデ、イッスンムカデ等のムカデ類等;
倍脚綱類:ヤケヤスデ(Oxidus gracilis)、アカヤスデ(Nedyopus tambanus)、オビババヤスデ、キシャヤスデ、ニクイロババヤスデ、ヒガシオビヤスデ等のヤスデ類等;
等脚目類:ホソワラジムシ、ワラジムシ等のワラジムシ類、オカダンゴムシ等のダンゴムシ類、フナムシ等のフナムシ類等;
腹足綱類:チャコウラナメクジ(Limax marginatus)、キイロコウラナメクジ(Limax flavus)等。
本発明の有害生物防除剤は本発明化合物そのものでもよいが、通常は下記のような製剤として使用する。その製剤としては、例えば油剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤(水中懸濁剤、水中乳濁剤等)、マイクロカプセル剤、粉剤、粒剤、錠剤、エアゾール剤、炭酸ガス製剤、加熱蒸散剤(殺虫線香、電気殺虫マット、吸液芯型加熱蒸散殺虫剤等)、ピエゾ式殺虫製剤、加熱燻煙剤(自己燃焼型燻煙剤、化学反応型燻煙剤、多孔セラミック板燻煙剤等)、非加熱蒸散剤(樹脂蒸散剤、紙蒸散剤、不織布蒸散剤、編織物蒸散剤、昇華性錠剤等)、煙霧剤(フォッキング等)、直接接触剤(シート状接触剤、テープ状接触剤、ネット状接触剤等)、ULV剤及び毒餌が挙げられる。
製剤化の方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。
(1)本発明化合物を、固体担体、液体担体、ガス状担体、餌等と混合し、必要に応じて界面活性剤その他の製剤用補助剤を添加・加工する方法。
(2)本発明化合物を、有効成分を含有していない基材に含浸する方法。
(3)本発明化合物及び基材を混合した後に成形加工する方法。
これらの製剤には、製剤形態にもよるが、通常、本発明化合物を重量比で0.001〜98%含有する。
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、合成含水酸化珪素、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、塩安、尿素等)等の微粉末及び粒状物、常温で固体の物質(2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサン、ナフタリン、p−ジクロロベンゼン、樟脳、アダマンタン等)、並びに羊毛、絹、綿、麻、パルプ、合成樹脂(例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−ビニルエステル共重合体;エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン−メタクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン−ビニルカルボン酸共重合体;エチレン−テトラシクロドデセン共重合体;プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリブタジエン、ポリスチレン;アクリロニトリル−スチレン樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−共役ジエンブロック共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素添加物等のスチレン系エラストマー;フッ素樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレエート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリルサルフォン、ポリアリレート、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエステルカーボネート、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレン、発泡エチレン等の多孔質樹脂)、ガラス、金属、セラミック等の1種または2種以上からなるフェルト、繊維、布、編物、シート、紙、糸、発泡体、多孔質体及びマルチフィラメントが挙げられる。
液体担体としては、例えば芳香族または脂肪族炭化水素類(キシレン、トルエン、アルキルナフタレン、フェニルキシリルエタン、ケロシン、軽油、ヘキサン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等)、エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドン等)、炭酸アルキリデン類(炭酸プロピレン等)、植物油(大豆油、綿実油等)、植物精油(オレンジ油、ヒソップ油、レモン油等)、及び水が挙げられる。
ガス状担体としては、例えばブタンガス、フロンガス、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、及び炭酸ガスが挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類のポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類及び糖アルコール誘導体が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤及び安定剤等、具体的には例えばカゼイン、ゼラチン、多糖類(でんぷん、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン)、ポリアクリル酸等、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、及びBHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)が挙げられる。
殺虫線香の基材としては、例えば木粉、粕粉等の植物性粉末とタブ粉、スターチ、グルテン等の結合剤との混合物が挙げられる。
殺虫電気マットの基材としては、例えばコットンリンターを板状に固めたもの、及びコットンリンターとパルプとの混合物のフィリブルを板状に固めたものが挙げられる。
自己燃焼型燻煙剤の基材としては、例えば、硝酸塩、亜硝酸塩、グアニジン塩、塩素酸カリウム、ニトロセルロース、エチルセルロース、木粉等の燃焼発熱剤、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、重クロム酸塩、クロム酸塩等の熱分解刺激剤、硝酸カリウム等の酸素供給剤、メラミン、小麦デンプン等の支燃剤、珪藻土等の増量剤及び合成糊料等の結合剤が挙げられる。
化学反応型燻煙剤の基材としては、例えば、アルカリ金属の硫化物、多硫化物、水硫化物、酸化カルシウム等の発熱剤、炭素質物質、炭化鉄、活性白土等の触媒剤、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロペンタメチレンテトラミン、ポリスチレン、ポリウレタン等の有機発泡剤、及び、天然繊維片、合成繊維片等の充填剤が挙げられる。
樹脂蒸散剤等の基材に用いられる樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−ビニルエステル共重合体;エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン−メタクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン−ビニルカルボン酸共重合体;エチレン−テトラシクロドデセン共重合体;プロピレン共重合体、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリブタジエン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−共役ジエン共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素添加物等のスチレン系エラストマー;フッ素樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル酸樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンブタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリルサルフォン、ポリアリレート、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエステルカーボネート、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタンが挙げられ、これらの基材は、単独で用いても2種以上の混合物として用いても良く、これらの基材には必要によりフタル酸エステル類(フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル等)、アジピン酸エステル類、ステアリン酸等の可塑剤が添加されていてもよい。樹脂蒸散剤は、本発明化合物を上記基材中に混練した後、射出成型、押出成型、プレス成型等により成型することにより得ることができる。得られた樹脂製剤は、必要により更に成型、裁断等の工程を経て、板状、フィルム状、テープ状、網状、ひも状等の形状に加工することもできる。これらの樹脂製剤は、例えば動物用首輪、動物用イヤータッグ、シート製剤、誘引ひも、園芸用支柱として加工される。
毒餌の基材としては、例えば、穀物粉、植物油、糖、結晶セルロース等の餌成分、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアレチン酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ粉末等の子どもやペットによる誤食防止剤、及びチーズ香料、タマネギ香料、ピーナッツオイル等の害虫誘引性香料があげられる。
本発明の有害生物の防除方法は、本発明化合物の有効量を、通常本発明の有害生物防除剤の形態にて、有害生物又は有害生物の生息場所(植物体、土壌、家屋内、動物体、車両内、野外の開放空間等)に施用することにより行われる。
本発明の有害生物防除剤の施用方法としては、例えば以下の方法が挙げられ、本発明の有害生物防除剤の形態、使用場所等に応じて適宜選択できる。
(1)本発明の有害生物防除剤をそのまま有害生物又は有害生物の生息場所に処理する方法。
(2)本発明の有害生物防除剤を水等の溶媒で希釈した後に、有害生物又は有害生物の生息場所に散布処理する方法。
この場合には、通常、乳剤、水和剤、フロアブル剤、マイクロカプセル製剤等に製剤化された本発明の有害生物防除剤を本発明化合物の濃度が0.1〜10000ppmとなるように希釈する。
(3)本発明の有害生物防除剤を有害生物の生息場所で加熱し、有効成分を揮散させる方法。
この場合、本発明化合物の施用量、施用濃度はいずれも本発明の有害生物防除剤の形態、施用時期、施用場所、施用方法、有害生物の種類、被害状況等に応じて適宜定めることができる。
本発明化合物を防疫用として用いる場合は、その施用量は空間に適用するときは、本発明化合物の量として通常0.0001〜1000mg/m3であり、平面に適用するときは0.0001〜1000mg/m2である。殺虫線香、電気殺虫マット等はその製剤形態に応じて加熱により有効成分を揮散させて施用する。樹脂蒸散剤、紙蒸散剤、不織布蒸散剤、編織物蒸散剤、昇華性錠剤等は例えば施用する空間にそのまま放置する、および、該製剤に送風下に設置することにより使用できる。
本発明の有害生物防除剤を防疫用として施用する空間としては、例えばクローゼット、押入れ、和ダンス、食器棚、トイレ、浴場、物置、居間、食堂、倉庫、車内等が挙げられ、さらに野外の開放空間で施用することもできる。
本発明の有害生物防除剤をウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ等の家畜、イヌ、ネコ、ラット、マウス等の小動物の外部寄生虫防除に用いる場合は、獣医学的に公知の方法で動物に使用することができる。具体的な使用方法としては、全身抑制(systemic control)を目的にする場合には、例えば錠剤、飼料混入、坐薬、注射(筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内等)により投与され、非全身的抑制(non-systemic control)を目的とする場合には、例えば油剤若しくは水性液剤を噴霧する、ポアオン(pour-on)処理若しくはスポットオン(spot-on)処理する、シャンプー製剤で動物を洗う又は樹脂蒸散剤を首輪や耳札にして動物に付ける等の方法により用いられる。動物体に投与する場合の本発明化合物の量は、通常動物の体重1kgに対して、0.01〜1000mgの範囲である。
本発明の有害生物防除剤を農業分野の有害生物防除に用いる場合、その施用量は、施用時期、施用場所、施用方法等に応じて、広範囲に変えることができるが、一般的には、10000m2あたりの本発明化合物量で1〜10000gである。本発明の有害生物防除剤が乳剤、水和剤、フロアブル剤等に製剤化されている場合は、通常、有効成分濃度が0.01〜10000ppmとなるように水で希釈して施用し、粒剤、粉剤等は、通常、そのまま施用する。
これらの製剤や製剤の水希釈液は、有害生物または有害生物から保護すべき作物等の植物に直接散布処理してもよく、また耕作地の土壌に生息する有害生物を防除するために、該土壌に処理してもよい。
また、シート状やひも状に加工した樹脂製剤を作物に巻き付ける、作物近傍に張り渡す、株元土壌に敷く等の方法により処理することもできる。
本発明化合物は、畑、水田、芝生、果樹園等の農耕地又は非農耕地用における有害生物防除剤として使用することができる。本発明化合物は、以下に挙げられる「作物」等を栽培する農耕地等において、当該農耕地の害虫を防除することができる。
農作物:トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等。
野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス等)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等。
果樹:仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ、アブラヤシ等。
果樹以外の樹木:チャ、クワ、花木類(サツキ、ツバキ、アジサイ、サザンカ、シキミ、サクラ、ユリノキ、サルスベリ、キンモクセイ等)、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ、ニレ、トチノキ等)、サンゴジュ、イヌマキ、スギ、ヒノキ、クロトン、マサキ、カナメモチ、等。
芝生:シバ類(ノシバ、コウライシバ等)、バミューダグラス類(ギョウギシバ等)、ベントグラス類(コヌカグサ、ハイコヌカグサ、イトコヌカグサ等)、ブルーグラス類(ナガハグサ、オオスズメノカタビラ等)、フェスク類(オニウシノケグサ、イトウシノケグサ、ハイウシノケグサ等)、ライグラス類(ネズミムギ、 ホソムギ等)、カモガヤ、オオアワガエリ等。
その他:花卉類(バラ、カーネーション、キク、トルコギキョウ、カスミソウ、ガーベラ、マリーゴールド、サルビア、ペチュニア、バーベナ、チューリップ、アスター、リンドウ、ユリ、パンジー、シクラメン、ラン、スズラン、ラベンダー、ストック、ハボタン、プリムラ、ポインセチア、グラジオラス、カトレア、デージー、シンビジューム、ベゴニア等)、バイオ燃料植物(ヤトロファ、ベニバナ、アマナズナ類、スイッチグラス、ミスカンサス、クサヨシ、ダンチク、ケナフ、キャッサバ、ヤナギ等)、観葉植物等。
「作物」には、遺伝子組換え作物も含まれる。
本発明化合物は他の殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、土壌害虫防除剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調節剤、忌避剤、共力剤、肥料、土壌改良材と混用または併用して用いることもできる。
かかる殺虫剤、殺ダニ剤の有効成分としては、例えば、
(1)合成ピレスロイド化合物
アクリナトリン(acrinathrin)、アレスリン(allethrin)、ベータ−シフルトリン(beta−cyfluthrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、エンペントリン(empenthrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルフェンプロックス(flufenoprox)、フルメトリン(flumethrin)、フルバリネート(fluvalinate)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、イミプロトリン(imiprothrin)、ペルメトリン(permethrin)、プラレトリン(prallethrin)、ピレトリン(pyrethrins)、レスメトリン(resmethrin)、シグマ−サイパーメトリン(sigma−cypermethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、テフルトリン(tefluthrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、トランスフルトリン(transfluthrin)、テトラメトリン(tetramethrin)、フェノトリン(phenothrin)、シフェノトリン(cyphenothrin)、アルファシペルメトリン(alpha−cypermethrin)、ゼータシペルメトリン(zeta−cypermethrin)、ラムダシハロトリン(lambda−cyhalothrin)、ガンマシハロトリン(gamma−cyhalothrin)、フラメトリン(furamethrin)、タウフルバリネート(tau−fluvalinate)、メトフルトリン(metofluthrin)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル=2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル=2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル=2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート等;
(2)有機リン化合物
アセフェート(acephate)、りん化アルミニウム(Aluminium phosphide)、ブタチオホス(butathiofos)、キャドサホス(cadusafos)、クロルエトキシホス(chlorethoxyfos)、クロルフェンビンホス(ch1orfenvinphos)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos−methyl)、シアノホス(cyanophos:CYAP)、ダイアジノン(diazinon)、DCIP(dichlorodiisopropyl ether)、ジクロフェンチオン(dichlofenthion:ECP)、ジクロルボス(dichlorvos:DDVP)、ジメトエート(dimethoate)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジスルホトン(disulfoton)、EPN、エチオン(ethion)、エトプロホス(ethoprophos)、エトリムホス(etrimfos)、フェンチオン(fenthion:MPP)、フエニトロチオン(fenitrothion:MEP)、ホスチアゼート(fosthiazate)、ホルモチオン(formothion)、りん化水素(Hydrogen phosphide)、イソフェンホス(isofenphos)、イソキサチオン(isoxathion)、マラチオン(malathion)、メスルフェンホス(mesulfenfos)、メチダチオン(methidathion:DMTP)、モノクロトホス(monocrotophos)、ナレッド(naled:BRP)、オキシデプロホス(oxydeprofos:ESP)、パラチオン(parathion)、ホサロン(phosalone)、ホスメット(phosmet:PMP)、ピリミホスメチル(pirimiphos−methy1)、ピリダフェンチオン(pyridafenthion)、キナルホス(quinalphos)、フェントエート(phenthoate:PAP)、プロフェノホス(profenofos)、プロパホス(propaphos)、プロチオホス(prothiofos)、ピラクロホス(pyraclorfos)、サリチオン(salithion)、スルプロホス(sulprofos)、テブピリムホス(tebupirimfos)、テメホス(temephos)、テトラクロルビンホス(tetrach1orvinphos)、テルブホス(terbufos)、チオメトン(thiometon)、トリクロルホン(trichlorphon:DEP)、バミドチオン(vamidothion)、フォレート(phorate)、カズサホス(cadusafos)等;(3)カーバメート化合物
アラニカルブ(alanycarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、BPMC、カルバリル(carbary1)、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、クロエトカルブ(cloethocarb)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb:MIPC)、メトルカルブ(metolcarb)、 メソミル(methomyl)、メチオカルブ(methiocarb)、NAC、オキサミル(oxamyl)、ピリミカーブ(pirimicarb)、プロポキスル(propoxur:PHC)、XMC、チオジカルブ(thiodicarb)、 キシリルカルブ(xylylcarb)、アルジカルブ(aldicarb)等;
(4)ネライストキシン化合物
カルタップ(cartap)、ベンスルタップ(bensu1tap)、チオシクラム(thiocyclam)、モノスルタップ(monosultap)、ビスルタップ(bisultap)等;
(5)ネオニコチノイド化合物
イミダクロプリド(imidac1oprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、チアクロプリド(thiacloprid)、ジノテフラン(dinotefuran)、クロチアニジン(clothianidin)等;
(6)ベンゾイル尿素化合物
クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、フルアズロン(fluazuron)、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、トリフルムロン(triflumuron)、トリアズロン(triazuron)等;
(7)フェニルピラゾール化合物
アセトプロール(acetoprole)、エチプロール(ethiprole)、フィプロニル(fiproni1)、バニリプロール(vaniliprole)、ピリプロール(pyriprole)、ピラフルプロール(pyrafluprole)等;
(8)Btトキシン殺虫剤
バチルス・チューリンゲンシス菌由来の生芽胞および産生結晶毒素、並びにそれらの混合物;
(9)ヒドラジン化合物
クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、テブフェノジド(tebufenozide)等;
(10)有機塩素化合物
アルドリン(aldrin)、ディルドリン(dieldrin)、ジエノクロル(dienochlor)、エンドスルファン(endosulfan)、メトキシクロル(methoxychlor)等;
(11)天然系殺虫剤
マシン油(machine oil)、硫酸ニコチン(nicotine−sulfate);
(12)その他の殺虫剤
アベルメクチン(avermectin−B)、ブロモプロピレート(bromopropylate)、ブプロフェジン(buprofezin)、クロルフェナピル(chlorphenapyr)、シロマジン(cyromazine)、D−D(1,3−Dichloropropene)、エマメクチンベンゾエート(emamectin−benzoate)、フェナザキン(fenazaquin)、フルピラゾホス(flupyrazofos)、ハイドロプレン(hydroprene)、メトプレン(methoprene)、インドキサカルブ(indoxacarb)、メトキサジアゾン(metoxadiazone)、ミルベマイシンA(milbemycin−A)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリダリル(pyridalyl)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、スピノサッド(spinosad)、スルフラミド(sulfluramid)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、トリアゼメイト(triazamate)、フルベンジアミド(flubendiamide)、レピメクチン(lepimectin)、亜ひ酸(Arsenic acid)、ベンクロチアズ(benclothiaz)、石灰窒素(Calcium cyanamide)、石灰硫黄合剤(Calcium polysulfide)、クロルデン(chlordane)、DDT、DSP、フルフェネリウム(flufenerim)、フロニカミド(flonicamid)、フルリムフェン(flurimfen)、ホルメタネート(formetanate)、メタム・アンモニウム(metam−ammonium)、メタム・ナトリウム(metam−sodium)、臭化メチル(Methyl bromide)、オレイン酸カリウム(Potassium oleate)、プロトリフェンビュート(protrifenbute)、スピロメシフェン(spiromesifen)、硫黄(Sulfur)、メタフルミゾン(metaflumizone)、スピロテトラマット(spirotetramat)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazone)、スピネトラム(spinetoram)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、トラロピリル(tralopyril)等が挙げられる。
忌避剤の有効成分としては、例えばN,N−ジエチル−m−トルアミド、リモネン、リナロール、シトロネラール、メントール、メントン、ヒノキチオール、ゲラニオール、ユーカリプトール、インドキサカルブ、カラン−3,4−ジオール、MGK−R−326、MGK−R−874及びBAY−KBR−3023が挙げられる。
共力剤の有効成分としては、例えば5−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシメチル〕−6−プロピル−1,3−ベンゾジオキソール、N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、オクタクロロジプロピルエーテル、チオシアノ酢酸イソボルニル、N−(2−エチルへキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドが挙げられる。
以下、製造例、製剤例及び試験例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
まず、本発明化合物の製造例を示す。
製造例1
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコール(594mg,2.65mmol)及び(1R)−トランス−3−[(1Z)−2−シアノ−1,3−ブタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(478mg,2.50mmol)のクロロホルム溶液(10mL)に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド ハイドロクロライド(516mg,2.70mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(15mg)を加えた。室温で3時間攪拌した後、反応液に水を注加し、これを酢酸エチルで抽出した。該有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧条件下に濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、下記式
Figure 0005760577
で示される4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=(1R)−トランス−3−[(1Z)−2−シアノ−1,3−ブタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本発明化合物(1)と記す。)771mgを得た。
淡黄色液体:1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.21(s,3H)、1.35(s,3H)、1.81(d,1H)、2.54(m,1H)、3.41(s,3H)、4.58(d,2H)、5.26(s,2H)、5.28(d,1H)、5.56(d、1H)、5.95(d,1H)、6.24(dd,1H)
製造例2
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコール(560mg,2.50mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶かし、ピリジン0.35mLを加えた。ここに氷冷下で、(1R)−トランス−3−[(1Z,3E)−2−シアノ−1,3−ペンタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸クロリド(Z/E=85/15)(570mg,2.55mmol)のテトラヒドロフラン溶液(5mL)を加えた。室温で12時間攪拌した後、反応液に水を注加し、これを酢酸エチルで抽出した。該有機層を5%塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧条件下に濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、下記式
Figure 0005760577
で示される4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=(1R)−トランス−3−[(1Z,3E)−2−シアノ−1,3−ペンタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本発明化合物(3)と記す。)760mgを得た。
無色液体:1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.21(s,3H)、1.34(s,3H)、1.75(d,1H,J=5.6 Hz)、1.82(d,3H,J=6.8 Hz)、2.52(dd,1H,J=9.5,5.3 Hz)、3.40(s,3H)、4.58(s,2H)、5.25(s,2H)、5.79(d,1H)、5.95(d,1H)、6.10(m,1H)
次に、本発明化合物の具体例を以下に例示する。
下記式
Figure 0005760577
で示される4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=(1R)−トランス−3−[(1Z,3E)−2−シアノ−1,3−ペンタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート。
下記式
Figure 0005760577
で示される4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=(1R)−トランス−3−[(1Z)−2−シアノ−1,3−ブタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート。
下記式
Figure 0005760577
で示される4−メトキシ−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=(1R)−トランス−3−[(1Z,3E)−2−シアノ−1,3−ペンタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート。
下記式
Figure 0005760577
で示される4−(2−プロピニル)−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=(1R)−トランス−3−((1Z,3E)−2−シアノ−1,3−ペンタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート。
下記式
Figure 0005760577
で示される4−メチルチオメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=(1R)−トランス−3−[(1Z,3E)−2−シアノ−1,3−ペンタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート。
下記式
Figure 0005760577
で示される4−(2−プロペニル)−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=(1R)−トランス−3−[(1Z,3E)−2−シアノ−1,3−ペンタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート。
下記式
Figure 0005760577
で示される2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル=(1R)−トランス−3−[(1Z,3E)−2−シアノ−1,3−ペンタジエニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート。
次に、カルボン酸化合物(3)等の製造について、参考製造例を示す。
参考製造例1
メチル=(1R)−トランス−3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(2.53g、16.2mmol)、3−ペンテノニトリル(1.90g、23.5mmol)及び無水炭酸カリウム(3.22g、23.3mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド30mLに加え、室温で24時間攪拌した。反応液を氷水100mLに加え、酢酸エチル各々100mLで2回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせ、飽和食塩水50mLで1回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧条件下に濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、下記式
Figure 0005760577
で示されるメチル=(1R)−トランス−3−[(1Z,3E)−2−シアノ−1,3−ペンタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート0.94gを得た。
無色液体:1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.22(s,3H)、1.35(s,3H)、1.75(d,1H,J = 5.2 Hz)、1.82(d,3H,J = 5.2 Hz)、2.5(m,1H,J = 10.0,5.2 Hz)、3.7(s、3H),5.82(d,1H,J = 10.0 Hz)、5.96(d,1H,J = 16.8 Hz)、6.10(m,1H)
参考製造例2
メチル=(1R)−トランス−3−[(1Z,3E)−2−シアノ−1,3−ペンタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(502mg、2.29mmol)をメタノール3mLおよび水1mLの混合液に溶かした後、水酸化カリウム(300mg、5.36mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。反応液を氷水20mLに加え、酢酸エチル20mLで抽出した。得られた水層に、pH2となるまで5%塩酸を加えた後、酢酸エチル30mLで抽出した。酢酸エチル層を、飽和食塩水20mLで2回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧条件下に濃縮し、下記式
Figure 0005760577
で示される(1R)−トランス−3−[(1Z,3E)−2−シアノ−1,3−ペンタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸452mgを得た。
無色液体:1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.23(s,3H)、1.38(s,3H)、1.76(d,1H,J = 5.2 Hz)、1.82(d,3H,J = 6.4 Hz)、2.54(dd,1H,J = 10.0,5.2 Hz)、5.82(d,1H,J = 10.0 Hz)、5.97(d,1H,J = 15.6 Hz)、6.11(m,1H)
参考製造例3
メチル=(1R)−トランス−3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(2.53g、16.2mmol)、3−ブテノニトリル(3.62g、54.0mmol)、無水炭酸カリウム(3.22g、23.3mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド30mLに加え、室温で24時間攪拌した。反応液を氷水100mLに加え、酢酸エチル各々100mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせ、飽和食塩水50mLで1回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧条件下に濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、下記式
Figure 0005760577
で示されるメチル=(1R)−トランス−3−[(1Z)−2−シアノ−1,3−ブタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート0.37gを得た。
無色液体:1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.24(s,3H)、1.35(s,3H)、1.81(d,1H,J = 5.2 Hz)、2.54(dd,1H,J = 10.4,5.2 Hz)、3.71(s、3H),5.30(d,1H,J = 10.8 Hz)、5.61(d,1H,J = 17.2 Hz)、5.98(d、1H,10.4 Hz)、6.26(dd,1H、J = 10.4,17.2 Hz)
参考製造例4
メチル=(1R)−トランス−3−[(1Z)−2−シアノ−1,3−ブタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(483mg、2.36mmol)をテトラヒドロフラン3mLおよび水1mLの混合液に溶かした後、水酸化カリウム(215mg、3.84mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。反応液を氷水20mLに加え、酢酸エチル20mLで抽出した。得られた水層に、pH2となるまで5%塩酸を加えた後、酢酸エチル30mLで抽出した。酢酸エチル層を、飽和食塩水20mLで2回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧条件下に濃縮し、下記式
Figure 0005760577
で示される(1R)−トランス−3−[(1Z)−2−シアノ−1,3−ブタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸440mgを得た。
無色液体:1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.25(s,3H)、1.38(s,3H)、1.82(d,1H,J = 5.2 Hz)、2.56(dd,1H,J = 10.4,5.2 Hz)、5.32(d,1H,J = 10.8 Hz)、5.62(d,1H,J = 17.2 Hz)、6.01(d、1H,10.4 Hz)、6.25(dd,1H、J = 10.4,17.2 Hz)
参考製造例5
(1R)−トランス−3−[(1Z)−2−シアノ−1,3−ブタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(440mg、2.30mmol)をテトラヒドロフラン3mLに溶かした後、塩化チオニル(301mg、2.53mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド10mgを加え、室温で1時間、さらに60℃で3時間攪拌した。反応液を減圧条件下に濃縮し、下記式
Figure 0005760577
で示される(1R)−トランス−3−[(1Z)−2−シアノ−1,3−ブタジエニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸クロリド460mgを淡黄色液体で得た。
次に製剤例を示す。なお、部は質量部を示す。
製剤例1
本発明化合物(1)〜(2)の各々20部をキシレン 65部に溶解し、ソルポール3005X(東邦化学登録商標) 15部を加え、よく攪拌混合して、乳剤を得る。
製剤例2
本発明化合物(1)〜(2)の各々40部にソルポール3005X 5部を加え、良く混合してカープレックス#80(合成含水酸化珪素、塩野義製薬登録商標) 32部及び300メッシュ珪藻土 23部を加え、ジュースミキサーで攪拌混合して、水和剤を得る。
製剤例3
本発明化合物(1)〜(2)の各々1.5部、トクシールGUN(合成含水酸化珪素、株式会社トクヤマ製) 1部、リアックス85A(リグニンスルホン酸ナトリウム、West vaco chemicals社製) 2部、ベントナイト富士(ベントナイト、ホウジュン社製) 30部及び勝光山Aクレー(カオリンクレー、勝光山鉱業所社製) 65.5部をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合わせた後、押出し造粒機で造粒し、乾燥して、1.5%粒剤を得る。
製剤例4
本発明化合物(1)〜(2)の各々10部、フェニルキシリルエタン 10部及びスミジュールL−75(トリレンジイソシアネート、住友バイエルウレタン社製) 0.5部を混合した後、アラビアガムの10%水溶液 20部中に加え、ホモミキサーで攪拌して、平均粒径20μmのエマルジョンを得る。ここにエチレングリコール 2部を加え、さらに60℃の温浴中で24時間攪拌してマイクロカプセルスラリーを得る。一方、ザンサンガム 0.2部及びビーガムR(アルミニウムマグネシウムシリケート、三洋化成製) 1.0部をイオン交換水 56.3部に分散させて増粘剤溶液を得る。上記マイクロカプセルスラリー 42.5部及び増粘剤溶液 57.5部を混合して、マイクロカプセル剤を得る。
製剤例5
本発明化合物(1)〜(2)の各々10部とフェニルキシリルエタン 10部とを混合した後、ポリエチレングリコールの10%水溶液 20部中に加え、ホモミキサーで攪拌して、平均粒径3μmのエマルジョンを得る。一方、ザンサンガム 0.2部及びビーガムR(アルミニウムマグネシウムシリケート、三洋化成製) 1.0部をイオン交換水 58.8部に分散させて増粘剤溶液を得る。上記エマルジョン溶液 40部及び増粘剤溶液 60部を混合してフロアブル剤を得る。
製剤例6
本発明化合物(1)〜(2)の各々5部をカープレックス#80(合成含水酸化珪素微粉末、塩野義製薬登録商標) 3部、PAP(モノイソプロピルホスフェートとジイソプロピルホスフェートとの混合物) 0.3部及びタルク(300メッシュ) 91.7部を加え、ジュースミキサーで攪拌混合し、粉剤を得る。
製剤例7
本発明化合物(1)〜(2)の各々0.1部をジクロロメタン 10部に溶解し、これを脱臭灯油 89.9部に混合して、油剤を得る。
製剤例8
本発明化合物(1)〜(2)の各々0.1部及び脱臭灯油 39.9部を混合溶解し、エアゾール容器に充填し、バルブ部分を取付けた後、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を加圧充填して、油性エアゾールを得る。
製剤例9
本発明化合物(1)〜(2)の各々0.6部、キシレン 5部、脱臭灯油 3.4部及びレオドールMO−60 (乳化剤、花王株式会社登録商標)1部を混合溶解したものと、水 50部とをエアゾール容器に充填し、バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 40部を加圧充填して、水性エアゾールを得る。
製剤例10
本発明化合物(1)〜(2)の各々0.3gをアセトン20mlに溶解し、これと線香用基材(タブ粉:粕粉:木粉=4:3:3の割合で混合したもの) 99.7gとを均一に攪拌混合した後、水 100mlを加え、十分練り合わせたものを成型乾燥し、殺虫線香を得る。
製剤例11
本発明化合物(1)〜(2)の各々0.8g及びピペロニルブトキシド 0.4gにアセトンを加えて溶解し、全部で10mlとする。この溶液 0.5mlを2.5cm×1.5cm、厚さ0.3cmの電気殺虫マット用基材(コットンリンターとパルプの混合物のフィリブルを板状に固めたもの)に均一に含浸させて、電気殺虫マット剤を得る。
製剤例12
本発明化合物(1)〜(2)の各々3部を脱臭灯油 97部に溶解して得られる液剤を塩化ビニル製容器に入れ、上部をヒーターで加熱できるようにした吸液芯(無機粉体をバインダーで固め、焼結したもの)を挿入することにより、吸液芯型加熱蒸散装置に用いるパーツを得る。
製剤例13
本発明化合物(1)〜(2)の各々100mgを適量のアセトンに溶解し、4.0cm×4.0cm、厚さ1.2cmの多孔セラミック板に含浸させて、加熱燻煙剤を得る。
製剤例14
本発明化合物(1)〜(2)の各々100μgを適量のアセトンに溶解し、2cm×2cm、厚さ0.3mmの濾紙に均一に塗布した後、アセトンを風乾して、常温揮散剤を得る。
製剤例15
本発明化合物(1)〜(2)の各々10部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩50部を含むホワイトカーボン35部、及び水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより、10%フロアブル剤を得る。
次に、本発明化合物が有害生物防除剤の有効成分として有効であることを試験例として示す。
試験例1
前記製造例にて製造した本発明化合物(1)及び(2)の各々0.00625部をジクロロメタン10部に溶解し、これをイソパラフィン溶剤(アイソパーM、エクソン化学登録商標名)89.99375部に混合して、0.00625%(w/v)油剤を調製した。
一辺70cmの立方体チャンバー内にイエバエ10頭(雌雄各5頭)を放ち、該チャンバー入口の小窓から本発明化合物(1)0.7mLをスプレーガンを用いて噴霧した(噴霧圧力0.9kg/cm2)。噴霧から一定時間後にノックダウンした虫数を調査し、ノックダウン率(KD率)を求めた(2反復)。本発明化合物(1)の代わりに、本発明化合物(2)を用いて、同様の試験を行い、一定時間後のノックダウン率を求めた(2反復)。
その結果を、表1に示す。
Figure 0005760577
本発明化合物は優れた有害生物防除効力を有することから、有害生物防除剤の有効成分として有用である。

Claims (8)

  1. 式(1)
    Figure 0005760577
    〔式中、R1は水素原子、フッ素原子、C1−C4鎖式炭化水素基、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルコキシメチル基またはC1−C4アルキルチオメチル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3及びR4は同一または相異なり、水素原子またはC1−C4アルキル基を表す。〕
    で示されるエステル化合物。
  2. 式(1)において、R1がC1−C4アルコキシメチル基である請求項1記載のエステル化合物。
  3. 式(1)において、R1がメトキシメチル基である請求項1記載のエステル化合物。
  4. 式(1)において、R2が水素原子であり、R3及びR4が同一または相異なり、水素原子またはメチル基である請求項1〜3いずれか一項記載のエステル化合物。
  5. 式(1)において、R2が水素原子であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子である請求項1〜3いずれか一項記載のエステル化合物。
  6. 式(1)において、R2、R3及びR4が水素原子である請求項1〜3いずれか一項記載のエステル化合物。
  7. 請求項1〜6いずれか一項記載のエステル化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤。
  8. 請求項1〜6いずれか一項記載のエステル化合物の有効量を有害生物又は有害生物の生息場所に施用する有害生物の防除方法。
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