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JP5759328B2 - 防振装置 - Google Patents

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JP5759328B2
JP5759328B2 JP2011211705A JP2011211705A JP5759328B2 JP 5759328 B2 JP5759328 B2 JP 5759328B2 JP 2011211705 A JP2011211705 A JP 2011211705A JP 2011211705 A JP2011211705 A JP 2011211705A JP 5759328 B2 JP5759328 B2 JP 5759328B2
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Description

本発明は、例えば自動車のエンジンマウント等として用いられる防振装置に関するものである。
従来から、自動車のエンジンマウント等として用いられる防振装置が知られている。この防振装置は、インナ取付部材と筒状のアウタ取付部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結された構造を有しており、例えばインナ取付部材がパワーユニットに取り付けられると共に、アウタ取付部材が車両ボデーに取り付けられることによって、パワーユニットを車両ボデーに対して防振支持するようになっている。
ところで、防振装置では、一般的にインナ取付部材とアウタ取付部材に本体ゴム弾性体が加硫接着されており、インナ取付部材とアウタ取付部材には接着のための下処理(接着部分の研磨等)が行われている。一方で、このような接着の下処理工程を簡略化する等の目的で、特開2008−144921号公報(特許文献1)では、インナ取付部材に対して本体ゴム弾性体が加硫接着されていると共に、アウタ取付部材が本体ゴム弾性体に対して非接着で取り付けられている。より具体的には、特許文献1の防振装置では、インナ取付部材に加硫接着された本体ゴム弾性体が、アウタ取付部材とそれに固着される拘束部材との間で挟み込まれることで、アウタ取付部材に対して非接着で取り付けられている。
ところが、特許文献1に示された防振装置では、本体ゴム弾性体に所定量の予圧縮を及ぼすために、本体ゴム弾性体のサイズを大きくして、アウタ取付部材と拘束部材の間で挟み込む必要がある。しかも、アウタ取付部材と拘束部材との間での挟込みによって、本体ゴム弾性体の全体に予圧縮が及ぼされることから、本体ゴム弾性体の各部分ごとに求められる特性が異なる場合には、各部の要求特性をそれぞれ高度に実現することは難しかった。
特開2008−144921号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、要求されるばね特性に応じて、本体ゴム弾性体の各部分のばねをそれぞれ高度に設定することができる、新規な構造の防振装置を提供することにある。
すなわち、本発明の第1の態様は、インナ取付部材が外周に離隔配置された筒状のアウタ取付部材に対して本体ゴム弾性体で連結された防振装置において、前記本体ゴム弾性体が前記インナ取付部材の外周部分に加硫接着されており、該インナ取付部材の外周面を覆う外周連結ゴムと、該インナ取付部材から軸方向一方に突出する第一の軸方向突出ゴムと、該インナ取付部材から軸方向他方に突出する第二の軸方向突出ゴムとが、該本体ゴム弾性体によって形成されている一方、前記アウタ取付部材の軸方向中間部分に段差部が設けられて小径筒部と大径筒部が形成されていると共に、該小径筒部側の開口部には環状の内方突部が形成されている一方、該大径筒部側の開口部には拘束部材が固着されて、該拘束部材には該大径筒部の開口部内に突出する内周筒壁部が形成されており、該外周連結ゴムが該インナ取付部材と該アウタ取付部材の該小径筒部との軸直角方向対向面間に配されていると共に、該第一の軸方向突出ゴムが該インナ取付部材と該アウタ取付部材の該内方突部との間で軸方向に圧縮保持されており、該第二の軸方向突出ゴムが、該拘束部材と該インナ取付部材及び該アウタ取付部材の該段差部との間で軸方向に圧縮保持されていると共に、該拘束部材の該内周筒壁部と該アウタ取付部材の該大径筒部との間で軸直角方向に圧縮保持されていることを、特徴とする。
このような第1の態様に記載された防振装置によれば、本体ゴム弾性体が第一の軸方向突出ゴムと第二の軸方向突出ゴムとを備えており、それら第一の軸方向突出ゴムと第二の軸方向突出ゴムがそれぞれ異なる態様で圧縮保持されている。これにより、一体のゴム弾性体で形成された第一の軸方向突出ゴムと第二の軸方向突出ゴムには相互に異なる予圧縮が施されることとなって、それら第一の軸方向突出ゴムと第二の軸方向突出ゴムのばね特性を要求特性に応じてそれぞれ高度に調節することができる。
さらに、インナ取付部材とアウタ取付部材の小径筒部との軸直角方向対向面間に配された外周連結ゴムには、第一の軸方向突出ゴムや第二の軸方向突出ゴムとは異なるばね特性を付与することも可能であり、要求特性に応じたより高度なばねの調節が可能とされている。
また、本体ゴム弾性体は、インナ取付部材に対して加硫接着されていると共に、アウタ取付部材に対しては圧縮保持されることによって非接着で取付け可能とされている。それ故、本体ゴム弾性体の接着部分が少なくなって、接着工程の省略による製造工程数の削減が図られ得る。
しかも、アウタ取付部材と本体ゴム弾性体を非接着で取り付けた場合には、インナ取付部材とアウタ取付部材が相対的に離隔する方向で荷重が入力されると、アウタ取付部材と本体ゴム弾性体の離隔が許容される。それ故、本体ゴム弾性体に対して引張方向の荷重が入力されるのを防いで、本体ゴム弾性体の耐久性の向上が図られ得る。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載された防振装置において、前記本体ゴム弾性体には外周面に開口する複数の凹部が形成されているものである。
第2の態様によれば、複数の凹部が本体ゴム弾性体の外周面に開口するように形成されていることによって、本体ゴム弾性体が軸直角方向でアウタ取付部材に押し当てられる際に急激なばねの上昇が抑えられて、緩衝性に優れた軟らかいばね特性が実現される。
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載された防振装置において、前記凹部が軸方向に延びる凹溝とされているものである。
第3の態様によれば、凹部が軸方向に延びる溝形状とされていることにより、アウタ取付部材に対する本体ゴム弾性体の軸直角方向での当接時には、凹溝の間に形成される突部が当接することとなって、より優れた緩衝性が発揮される。
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載された防振装置において、前記凹溝が外周側に向かって拡幅しているものである。
第4の態様によれば、凹溝の間に形成される突部が外周側に向かって狭幅となることから、突部のアウタ取付部材への当接時に更に優れた緩衝性能が発揮されて、軸直角方向での軟らかいばね特性が実現される。
本発明の第5の態様は、第2〜第4の何れか1つの態様に記載された防振装置において、前記第一の軸方向突出ゴムの外周面に前記凹部が形成されていると共に、前記第二の軸方向突出ゴムの外周面が周方向に滑らかに広がる筒状湾曲面とされているものである。
第5の態様によれば、第一の軸方向突出ゴムの軸直角方向のばねを柔らかく設定することができると共に、第二の軸方向突出ゴムが全周に亘って軸方向および軸直角方向で圧縮保持されることから、第二の軸方向突出ゴムの軸方向および軸直角方向のばねを硬く設定することができる。従って、第一の軸方向突出ゴムと第二の軸方向突出ゴムとのばねを異ならせて、それぞれに目的とするばね特性を付与することができる。
本発明の第6の態様は、第1〜第5の何れか1つの態様に記載された防振装置において、前記インナ取付部材には前記アウタ取付部材の前記小径筒部までは至らない大きさで外周側に突出するストッパ突部が設けられており、前記外周連結ゴムが該ストッパ突部の外周面と該小径筒部の内周面との軸直角方向対向面間に配されていると共に、該アウタ取付部材の軸方向が主たる振動入力方向に対して傾斜しており、前記外周連結ゴムが該ストッパ突部の外周面と該小径筒部の内周面との軸直角方向対向面間で圧縮されることによって該インナ取付部材と該アウタ取付部材との相対変位量を制限するストッパ手段が構成されているものである。
第6の態様によれば、インナ取付部材とアウタ取付部材の相対変位がストッパ手段で制限されることによって、本体ゴム弾性体の耐久性の向上が図られる。また、アウタ取付部材の軸方向が主たる振動の入力方向に対して傾斜していることによって、ストッパ突部と小径筒部の周上の一部がバウンドストッパを構成すると共に、ストッパ突部と小径筒部の周上の他の一部がリバウンドストッパを構成するといったように、複数方向のストッパ作用がストッパ手段によって発揮される。
本発明によれば、本体ゴム弾性体を構成する第一の軸方向突出ゴムと第二の軸方向突出ゴムに対して、相互に異なる予圧縮を施すことができて、それら第一の軸方向突出ゴムと第二の軸方向突出ゴムに要求されるばねをそれぞれ高度に実現することができる。それ故、入力振動に対するより優れた防振性能を実現することができる。また、本体ゴム弾性体がインナ取付部材に加硫接着されると共にアウタ取付部材によって圧縮保持されることから、本体ゴム弾性体の接着工程が簡略化されると共に、引張入力の低減による本体ゴム弾性体の耐久性の向上も図られる。
本発明の1実施形態としてのエンジンマウントを示す斜視図。 図1に示されたエンジンマウントの平面図。 図2のIII−III断面図。 図2のIV−IV断面図。 図2に示されたエンジンマウントを構成する本体ゴム弾性体の一体加硫成形品を示す平面図。 図5のVI−VI断面図。 図5のVII−VII断面図。 図1に示されたエンジンマウントの組立てを説明するための斜視分解図。 図2に示されたエンジンマウントの車両装着状態を説明するための縦断面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜図4には、本発明に従う構造とされた防振装置の1実施形態として、エンジンマウント10が示されている。エンジンマウント10は、インナ取付部材12を備えた本体ゴム弾性体14の一体加硫成形品16に対してアウタ取付部材18が取り付けられることにより、インナ取付部材12とアウタ取付部材18が本体ゴム弾性体14によって弾性連結された構造を有している。そして、インナ取付部材12がパワーユニット20に取り付けられると共に、アウタ取付部材18が車両ボデー22に取り付けられることによって、パワーユニット20が車両ボデー22に防振支持されるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、特に説明がない限り、軸方向である図3中の上下方向を言う。
より詳細には、インナ取付部材12は、鉄やアルミニウム合金等で形成された高剛性の部材であって、小径の略円柱形状を有していると共に、上端部の外周面に径方向で対向する二面幅が設けられている。また、インナ取付部材12には、上面に開口して中心軸上を上下に延びるボルト孔24が形成されており、内周面にねじ山が刻設されている。また、インナ取付部材12の軸方向下端部には、外周側に突出するストッパ突部26が設けられている。このストッパ突部26は、軸直角方向一方向(図4中、左右方向)で外周側への突出寸法が大きくなっていると共に、全周に亘って後述するアウタ取付部材18の小径筒部44までは至らない大きさで形成されている。
インナ取付部材12には、本体ゴム弾性体14が固着されている。本体ゴム弾性体14は、図5〜図7に示されているように、全体として略筒状とされており、インナ取付部材12の外周部分に加硫接着されている。より詳細には、本体ゴム弾性体14は、インナ取付部材12の外周面を覆う外周連結ゴム28と、インナ取付部材12から軸方向一方(上方)に突出する第一の軸方向突出ゴム30と、インナ取付部材12から軸方向他方(下方)に突出する第二の軸方向突出ゴム32とを、一体的に備えている。
外周連結ゴム28は、本体ゴム弾性体14におけるインナ取付部材12のストッパ突部26の外周面を覆う部分であって、環状とされている。
第一の軸方向突出ゴム30は、インナ取付部材12のストッパ突部26から軸方向上方に向かって突出する略円筒形状を有していると共に、内周面の基端部分が上方に向かって次第に拡径するテーパ面とされており、上方に向かって次第に狭幅となっている。
また、第一の軸方向突出ゴム30には外周面に開口して軸方向に延びる複数の凹溝34が形成されており、それら凹溝34の周方向間に軸方向に延びる突起部36が形成されることによって、第一の軸方向突出ゴム30の外周面が周方向に凹凸が連続する形状とされている。更に、各凹溝34は、外周側に向かって拡幅する断面形状を有しており、それら凹溝34の間に形成される各突起部36が外周側に向かって狭幅となる先細形状を有している。なお、突起部36は、図5に示されているように、互いに直交する径方向2方向(図5中、上下と左右)においてそれぞれ3つずつが突出するように形成されている。また、凹溝34および突起部36の形成部位は、第一の軸方向突出ゴム30だけでなく、外周連結ゴム28にまで至っている。また、凹溝34は、第一の軸方向突出ゴム30の突出方向で全長に亘って連続して形成されており、第一の軸方向突出ゴム30の上端面に開口している。
第二の軸方向突出ゴム32は、インナ取付部材12のストッパ突部26から軸方向下方に向かって突出する略円筒形状を有している。また、第二の軸方向突出ゴム32の外周面は、部分的な凹凸を持つことなく、周方向に滑らかに広がる筒状湾曲面とされている。更に、本実施形態の第二の軸方向突出ゴム32は、中心軸が径方向一方向(図6中、左右方向)に傾斜しながら上下に延びている。
また、第二の軸方向突出ゴム32の上側開口部には、緩衝ゴム38が一体形成されている。緩衝ゴム38は、略円板形状とされており、第二の軸方向突出ゴム32の上側開口部を閉塞するように一体形成されて、インナ取付部材12の下面に被着形成されている。
そして、外周連結ゴム28の軸方向上方に第一の軸方向突出ゴム30が一体形成されていると共に、外周連結ゴム28の軸方向下方に第二の軸方向突出ゴム32が一体形成されている。
また、第二の軸方向突出ゴム32の上端部における外径は、外周連結ゴム28の下端部における最大外径に比して大きくされており、第二の軸方向突出ゴム32の上端部と外周連結ゴム28の下端部との境界部分には、外周面上に段差40が形成されている。
このようなインナ取付部材12を備えた本体ゴム弾性体14の一体加硫成形品16には、アウタ取付部材18が取り付けられている。アウタ取付部材18は、大径の略筒状とされており、鉄やアルミニウム合金等で形成された高剛性の部材とされている。また、アウタ取付部材18の軸方向中間部分には、段差部42が形成されており、段差部42を挟んだ軸方向上側が小径筒部44とされていると共に、段差部42を挟んだ軸方向下側が小径筒部44よりも大径の大径筒部46とされている。更に、アウタ取付部材18の小径筒部44側の開口部には、略円環板形状の内方突部48が一体形成されて、内周側に突出している。更にまた、アウタ取付部材18の大径筒部46側の開口部には、軸直角方向外側に突出する取付片50が設けられており、厚さ方向に貫通するボルト孔52が形成されている。
また、アウタ取付部材18には、拘束部材54が取り付けられている。拘束部材54は、アウタ取付部材18と同様の高剛性の部材であって、略板形状を有している。また、拘束部材54には、中央部分で軸方向上方に向かって突出して、逆向きの略有底円筒形状を呈する内周突部56が形成されており、内周突部56の周壁部によって内周筒壁部58が構成されている。なお、内周突部56は、拘束部材54を形成する金属プレートに対して、プレス加工を施すこと等によって形成される。
そして、拘束部材54は、アウタ取付部材18の大径筒部46側の開口部に固着されている。具体的には、例えばアウタ取付部材18の取付片50に拘束部材54の外周部分が重ね合わされて、図示しない係合部において係合されることで相互に固定されている。また、拘束部材54の内周突部56は、アウタ取付部材18の大径筒部46側の開口部に挿入されており、内周筒壁部58がアウタ取付部材18の大径筒部46に対して軸直角方向に所定の間隔をもって対向配置されている。
このようにアウタ取付部材18に拘束部材54が固着されることによって、本体ゴム弾性体14の外周部分にアウタ取付部材18が取り付けられている。即ち、図8に示されているように、アウタ取付部材18が本体ゴム弾性体14の一体加硫成形品16に対して上方から外挿されると共に、アウタ取付部材18に拘束部材54が下方から重ね合わされて固着されることによって、本体ゴム弾性体14がアウタ取付部材18の内方突部48と拘束部材54との軸方向対向面間で圧縮保持されている。これにより、アウタ取付部材18が本体ゴム弾性体14に対して非接着で取り付けられており、インナ取付部材12とアウタ取付部材18が本体ゴム弾性体14によって弾性連結されている。
また、インナ取付部材12は、拘束部材54の内周突部56に対して上方に所定の距離を隔てて配置されており、緩衝ゴム38と内周突部56の上面との軸方向対向面間に空所60が形成されている。この空所60によって、本体ゴム弾性体14(特に第二の軸方向突出ゴム32)の弾性変形が許容されている。なお、空所60は、外部空間に対して密閉されていても良く、それによって空気ばねを利用してばね特性を調節することができる。一方、空所60は、例えば内周突部56の上底壁部に貫通孔を設ける等して、外部空間に連通されていても良く、これによれば本体ゴム弾性体14の変形をより効果的に許容することができる。
また、本体ゴム弾性体14の外周連結ゴム28は、インナ取付部材12のストッパ突部26の外周面と、アウタ取付部材18の小径筒部44の内周面との軸直角方向対向面間に配されている。そして、外周連結ゴム28の突起部36が、小径筒部44の内周面に当接している。なお、突起部36は、要求されるばね特性に応じて、小径筒部44の内周面への当接で径方向に予圧縮されていても良いが、本実施形態では突起部36の径方向での圧縮変形量が略0とされている。
また、本体ゴム弾性体14の第一の軸方向突出ゴム30は、インナ取付部材12のストッパ突部26と、アウタ取付部材18の内方突部48との間で、軸方向に圧縮保持されている。これにより、第一の軸方向突出ゴム30には、軸方向の予圧縮が施されており、軸方向のばねが調節されている。
また、本体ゴム弾性体14の第二の軸方向突出ゴム32は、インナ取付部材12のストッパ突部26と拘束部材54との間で、軸方向に圧縮保持されていると共に、アウタ取付部材18の段差部42と拘束部材54との間で、軸方向に圧縮保持されている。これにより、第二の軸方向突出ゴム32には、第一の軸方向突出ゴム30よりも大きな軸方向の予圧縮が施されており、軸方向のばねが調節されている。
特に、第二の軸方向突出ゴム32が段差部42と拘束部材54との間で軸方向に圧縮保持されていることにより、第二の軸方向突出ゴム32がアウタ取付部材18や拘束部材54に対して充分に位置決めされており、第二の軸方向突出ゴム32の抜けや回転が防止されると共に、擦れによる異音の発生も回避されている。
さらに、本体ゴム弾性体14の第二の軸方向突出ゴム32は、アウタ取付部材18の大径筒部46と、拘束部材54の内周筒壁部58との間で、軸直角方向に圧縮保持されている。これにより、第二の軸方向突出ゴム32には、軸直角方向の予圧縮が施されており、軸直角方向のばねが調節されている。
これらによって、一体で設けられて本体ゴム弾性体14を構成する外周連結ゴム28と、第一の軸方向突出ゴム30と、第二の軸方向突出ゴム32とに、それぞれ異なるばねが設定されており、本体ゴム弾性体14の各部に要求されるばね特性がそれぞれ高度に実現されている。
このような構造とされたエンジンマウント10は、図9に示されているように、インナ取付部材12がパワーユニット20にボルト固定されると共に、アウタ取付部材18および拘束部材54が車両ボデー22にボルト固定されることによって、パワーユニット20と車両ボデー22の間に介装されている。また、エンジンマウント10は、中心軸(アウタ取付部材18の軸方向)が鉛直上下方向に対して所定の角度で傾斜するように、車両に対して装着されている。なお、エンジンマウント10に対する主たる振動の入力方向は鉛直上下方向とされており、エンジンマウント10の中心軸に対して傾斜した方向で振動が入力されるようになっている。
かくの如きエンジンマウント10の車両への装着状態において、振動が入力されると、本体ゴム弾性体14で弾性連結されたインナ取付部材12とアウタ取付部材18および拘束部材54が相対変位することで、本体ゴム弾性体14の内部摩擦等に基づいた減衰作用によって、目的とする防振効果が発揮される。
また、衝撃的な大荷重の入力時には、インナ取付部材12のストッパ突部26とアウタ取付部材18との間で外周連結ゴム28が圧縮されることによって、インナ取付部材12とアウタ取付部材18の相対変位量が制限されるようになっている。これにより、インナ取付部材12とアウタ取付部材18の相対変位量を制限するストッパ手段が設けられている。更に、インナ取付部材12の下面と、拘束部材54の内周突部56の上面とが、緩衝ゴム38を介して当接することにより、インナ取付部材12とアウタ取付部材18との相対変位量が制限されるようになっている。このように、インナ取付部材12とアウタ取付部材18の相対変位が、2つのストッパ機構によって制限されており、ストッパ作用の緩衝的な発揮が図られている。
そこにおいて、エンジンマウント10の本体ゴム弾性体14は、単一のゴム材料で形成されていると共に、外周連結ゴム28と、第一の軸方向突出ゴム30と、第二の軸方向突出ゴム32とを、一体で備えている。そして、それら外周連結ゴム28、第一の軸方向突出ゴム30、第二の軸方向突出ゴム32に対して、それぞれ異なる予圧縮が施されていることによって、外周連結ゴム28、第一の軸方向突出ゴム30、第二の軸方向突出ゴム32に対して、それぞれ異なるばねが設定されている。それ故、多色成型等の特別なゴム弾性体を用いることなく、入力振動に対する防振性能や耐荷重性能等の要求性能に応じて、各部のばね特性が高度に且つ個別に調節され得ることから、優れた防振性能や耐久性を実現することができる。
さらに、このような本体ゴム弾性体14の各部のばねの調節は、本体ゴム弾性体14の一体加硫成形品16をアウタ取付部材18と拘束部材54の間に嵌着することで、実現されている。それ故、本体ゴム弾性体14の各部をそれぞれ予圧縮するための特別な作業工程を要することもなく、エンジンマウント10の簡単な組立作業によって予圧縮によるばねの調節が実現される。
また、本体ゴム弾性体14の外周連結ゴム28および第一の軸方向突出ゴム30に対して外周面に開口する複数の凹溝34が形成されており、軸直角方向の入力に対して外周連結ゴム28および第一の軸方向突出ゴム30の小径筒部44に対する初期の当接面積が小さくされることにより、入力初期のばねが柔らかくされている。これにより、ストッパ手段において、インナ取付部材12のアウタ取付部材18に対する直角方向での変位規制効果が、衝撃等の不具合を生じることなく発揮される。また、凹溝34が第一の軸方向突出ゴム30の軸方向上端面に開口していることから、第一の軸方向突出ゴム30の軸方向のばねが凹溝34の形成によって低減されている。
しかも、各凹溝34は、外周側に向かって拡幅しており、それら凹溝34の間に形成される突起部36が突出先端となる外周側に向かって狭幅となる略三角形の断面形状を有している。これにより、突起部36のアウタ取付部材18に対する初期の当接面積が小さくされていると共に、軸直角方向の入力によってインナ取付部材12がアウタ取付部材18に対して軸直角方向で変位すると、突起部36のアウタ取付部材18に対する当接面積が徐々に大きくなる。それ故、ストッパ手段によるインナ取付部材12とアウタ取付部材18の変位規制効果をより緩衝的に得ることができる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態では、本体ゴム弾性体14の外周面に開口する複数の凹溝34が形成されていたが、この凹溝34は必須ではなく、無くても良い。更に、凹溝の断面形状は限定されるものではなく、必ずしも外周側に向かって拡幅していなくても良いし、凹溝の形成数も特に限定されない。更にまた、本体ゴム弾性体14に形成されるのは、必ずしも軸方向に延びる凹溝に限定されるものではなく、例えば本体ゴム弾性体14の外周面に開口する部分的な凹部や、周方向に延びる凹溝等も採用され得る。
また、軸方向に延びる凹溝が採用される場合には、第一の軸方向突出ゴム30と外周連結ゴム28だけに形成されている必要はなく、凹溝が第二の軸方向突出ゴム32まで至っていても良い。この場合には、第二の軸方向突出ゴム32は、突起部36が周上で部分的に段差部42と拘束部材54の間で軸方向に圧縮保持される。
また、インナ取付部材12と内周突部56の間に必ずしも明確な空所60が形成される必要はなく、例えば内周突部が内周筒壁部58だけを有する筒状とされて、本体ゴム弾性体14の下面が外部空間に露出していても良い。要するに、本体ゴム弾性体14の弾性変形が許容されるように、本体ゴム弾性体14にアウタ取付部材18および拘束部材54で拘束されていない自由表面が設けられていれば良い。
10:エンジンマウント(防振装置)、12:インナ取付部材、14:本体ゴム弾性体、18:アウタ取付部材、26:ストッパ突部、28:外周連結ゴム、30:第一の軸方向突出ゴム、32:第二の軸方向突出ゴム、34:凹溝、42:段差部、44:小径筒部、46:大径筒部、48:内方突部、54:拘束部材、58:内周筒壁部

Claims (6)

  1. インナ取付部材が外周に離隔配置された筒状のアウタ取付部材に対して本体ゴム弾性体で連結された防振装置において、
    前記本体ゴム弾性体が前記インナ取付部材の外周部分に加硫接着されており、該インナ取付部材の外周面を覆う外周連結ゴムと、該インナ取付部材から軸方向一方に突出する第一の軸方向突出ゴムと、該インナ取付部材から軸方向他方に突出する第二の軸方向突出ゴムとが、該本体ゴム弾性体によって形成されている一方、
    前記アウタ取付部材の軸方向中間部分に段差部が設けられて小径筒部と大径筒部が形成されていると共に、該小径筒部側の開口部には環状の内方突部が形成されている一方、該大径筒部側の開口部には拘束部材が固着されて、該拘束部材には該大径筒部の開口部内に突出する内周筒壁部が形成されており、
    該外周連結ゴムが該インナ取付部材と該アウタ取付部材の該小径筒部との軸直角方向対向面間に配されていると共に、
    該第一の軸方向突出ゴムが該インナ取付部材と該アウタ取付部材の該内方突部との間で軸方向に圧縮保持されており、
    該第二の軸方向突出ゴムが、該拘束部材と該インナ取付部材及び該アウタ取付部材の該段差部との間で軸方向に圧縮保持されていると共に、該拘束部材の該内周筒壁部と該アウタ取付部材の該大径筒部との間で軸直角方向に圧縮保持されていることを特徴とする防振装置。
  2. 前記本体ゴム弾性体には外周面に開口する複数の凹部が形成されている請求項1に記載の防振装置。
  3. 前記凹部が軸方向に延びる凹溝とされている請求項2に記載の防振装置。
  4. 前記凹溝が外周側に向かって拡幅している請求項3に記載の防振装置。
  5. 前記第一の軸方向突出ゴムの外周面に前記凹部が形成されていると共に、前記第二の軸方向突出ゴムの外周面が周方向に滑らかに広がる筒状湾曲面とされている請求項2〜4の何れか1項に記載の防振装置。
  6. 前記インナ取付部材には前記アウタ取付部材の前記小径筒部までは至らない大きさで外周側に突出するストッパ突部が設けられており、前記外周連結ゴムが該ストッパ突部の外周面と該小径筒部の内周面との軸直角方向対向面間に配されていると共に、
    該アウタ取付部材の軸方向が主たる振動入力方向に対して傾斜しており、前記外周連結ゴムが該ストッパ突部の外周面と該小径筒部の内周面との軸直角方向対向面間で圧縮されることによって該インナ取付部材と該アウタ取付部材との相対変位量を制限するストッパ手段が構成されている請求項1〜5の何れか1項に記載の防振装置。
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