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JP5743211B2 - 接着剤組成物およびそれを用いた接着シート - Google Patents

接着剤組成物およびそれを用いた接着シート Download PDF

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JP5743211B2 JP2011179105A JP2011179105A JP5743211B2 JP 5743211 B2 JP5743211 B2 JP 5743211B2 JP 2011179105 A JP2011179105 A JP 2011179105A JP 2011179105 A JP2011179105 A JP 2011179105A JP 5743211 B2 JP5743211 B2 JP 5743211B2
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Description

本発明は、接着剤組成物に関し、より詳しくは、金属同士、金属と有機材料、有機材料と有機材料とを接着できるとともに、初期粘着性を有し、かつ、熱硬化後においても優れた透明性を保持できる接着剤組成物、およびそれを用いた接着シートに関する。
従来、2つの被着体を一体化させる接合方法としては、咬合、溶接、接着剤や粘着剤による接着方法があり、それぞれの分野で用途に応じて多用されている。近年、自動車などの輸送機関連の用途では、温暖化防止に炭酸ガスCO排出の削減などの課題解決として、車体の軽量化、ハイブリッド車や電気自動車の普及が進んでいる。そのために、車体に軽量なアルミニウムやマグネシウム、FRP(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Prastics、GFRP:Glass Fiber Reinforced Prastics)を使用する傾向が強くなってきている。
ところで、従来の溶接法では、アルミニウムと鉄などの異種材料の溶接は非常に困難であり、ガラス繊維や炭素繊維のFRPに至っては溶接自体が不可能であり、これらの材料(被着体)を、溶接と同定の接合強度を有するような接合方法が必要とされる。溶接等により接合できない材料間での接合方法としては、接着剤を用いる方法があるが、このような材料を接合するための接着剤としては、金属同士、金属と有機材料、有機材料と有機材料とを接着できること、接着強度が構造用途に使用できるように強力であることが求められている。また、初期粘着性を有し、プレヒートなどの工程がなく作業性のよいこと、などが求められている。
上記のような要求を満たす接着剤として、一般的に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されている。しかしながら、エポキシ接着剤は、硬化後の樹脂自体の機械的強度は高いものの靱性に劣り、航空機や自動車等の用途にエポキシ接着剤を使用した場合に、脆性破壊による接着強度の低下が問題となる場合がある。このような問題に対して、熱可塑性樹脂等をエポキシ樹脂に加えて、エポキシ接着剤に柔軟性を持たせた粘着シートが提案されている(例えば、特開2003−82034号公報等)。
また、上記のようなえ接着シートのなかには、初期粘着を有する熱硬化型の接着シートも知られている。初期粘着性を有する接着シートによれば、貼り合わせようとする被着体どうしを予め仮接着しておき、その後に、接着剤を熱硬化させることができるため、作業効率が向上する。これら初期粘着のある接着シートは、一般的に、熱硬化性樹脂からなる接着剤層にアクリル等の粘着樹脂を添加したものである。
特開2003−82034号公報
本発明者らは、先の出願(特願2010−219057)において、初期粘着性を有し、かつ金属同士、金属と有機材料、有機材料と有機材料とを接着できるとともに、温度変化を受けることなく優れた接着強度を保持できる粘接着シートしている。この粘接着シートに使用される接着剤組成物は、アクリル樹脂とエポキシ樹脂とを必須成分として含むものである。
上記の粘接着シートは熱硬化後に透明性が失われるため、接着された貼合体の外観に美観性が求められる用途には使用できないといった問題がある。本発明者らは、粘着シートを熱硬化させた際の白化が、アクリル樹脂とエポキシ樹脂との海島構造に起因する海部分と島部分との界面での光の屈折率差によるものであるとの知見を得た。
そして、今般、特定のエポキシ樹脂に添加されるアクリル樹脂に代えて、特定の樹脂を使用することにより両方の樹脂が相溶して、熱硬化後も透明性が維持されることがわかった。さらに、これら樹脂に、特定の硬化剤と架橋剤とを組み合わせることにより、初期粘着性を有し、かつ金属同士、金属と有機材料、有機材料と有機材料とを接着できる粘接着シートが得られる、との知見を得た。したがって、本発明の目的は、初期粘着性を有し、かつ金属同士、金属と有機材料、有機材料と有機材料とを接着できるとともに、熱硬化後も透明性が維持される接着剤組成物を提供することである。
また、本発明の別の目的は、上記したような接着剤組成物を用いた粘接着シートを提供することである。
本発明による接着剤組成物は、樹脂成分として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型フェノキシ樹脂と、硬化剤として、ヒドラジド系硬化剤と、
架橋剤として、キシリレンジイソシアナートと、を少なくとも含んでなることを特徴とするものである。
また、本発明の態様によれば、前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールA型フェノキシ樹脂との配合割合が、質量基準において、1:0.5〜1:2の割合で含まれることが好ましい。
また、本発明の態様によれば、前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂が、主鎖が1〜3の常温で液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂からなることが好ましい。
また、本発明の態様によれば、前記ビスフェノールA型フェノキシ樹脂の重量平均分子量が、3万〜10万であることが好ましい。
また、本発明の態様によれば、前記樹脂成分を65〜80質量部、前記硬化剤を13〜22質量部、および前記硬化剤を5〜15質量部含むことが好ましい。
また、本発明の別の態様による接着シートは、第1離型紙と、接着層と、第2離型紙とを、この順で積層してなる接着シートであって、前記接着層が、上記接着剤組成物を含んでなるものである。
また、本発明の別の態様による接着方法は、上記接着シートを用いて第1被着体と第2被着体とを接着する方法であって、
前記接着シートから、第1離型紙および第2離型紙を剥離し除去して接着層を露出させ、
前記接着層を、前記第1被着体および前記第2被着体で挟んで、前記第1被着体および前記第2被着体の仮固定を行い、
前記接着層を、加熱することにより硬化させて、前記第1被着体および前記第2被着体を接着することを含んでなるものである。
また、本発明によれば、上記の接着方法により得られる貼合体も提供される。
本発明の接着剤組成物によれば、樹脂成分として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型フェノキシ樹脂を含み、これら樹脂と、硬化剤であるヒドラジド系硬化剤および架橋剤であるキシリレンジイソシアナートとを組み合わせたことにより、初期粘着性を有し、かつ金属同士、金属と有機材料、有機材料と有機材料とを接着できるとともに、熱硬化後も透明性が維持される接着剤組成物を実現できる。
本発明による接着シートの一実施態様による断面概略図である。 本発明による接着シートの他の実施態様による断面概略図である。
本発明による接着剤組成物は、樹脂成分として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型フェノキシ樹脂と、硬化剤として、ヒドラジド系硬化剤と、架橋剤として、キシリレンジイソシアナートと、を必須成分として含む。以下、接着剤組成物を構成する各成分について説明する。
<樹脂成分>
本発明による接着剤組成物を構成する樹脂成分は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型フェノキシ樹脂を必須成分として含む。このような特定の樹脂を使用することにより、未硬化の状態では粘着性を有し、熱硬化後でも、強固な接着性を有するとともに、白化せずに透明性が維持される。
ビスフェノールA型フェノキシ樹脂は、ビスフェノール骨格の繰り返し単位の数によって、常温で液体のものと、常温で固体のものが存在する。主鎖が1〜3のビスフェノールA型エポキシ樹脂は常温で液体、主鎖が2〜10のビスフェノールA型エポキシ樹脂は常温で固体である。本発明においては、常温で液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。このような比較的低分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂は架橋密度が高くなるため、機械的強度が高く、耐薬品性がよく、硬化性が高く、吸湿性(自由体積が小さくなるため)が小さくなる特徴がある。
本発明においては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、上記したような常温で液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、常温で液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂とを併用してもよい。常温で固体のものと液体のものとを併用することにより、機械的強度を保ちつつ、柔軟性を得ることが出来るため、樹脂(接着剤組成物)が本来有する機械的強度を維持しつつ、柔軟性を得ることができる。その結果、被着体どうしの接合強度を向上させることができる。常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、機械的強度および耐熱性の観点から、ガラス転移温度が50〜150℃の範囲にあるものが好ましい。具体的には、常温で液体である主鎖が1〜3のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン社製、JER828が、常温で固体である主鎖が2〜10のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン社製、JER1001などが例示できる。
常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、常温で液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂との配合割合は、接着剤を使用する用途にもよるが、質量基準において、100:300〜300:100の割合で含まれていることが好ましい。両者の配合割合を上記の範囲とすることによって、より接着強度に優れる接着剤とすることができる。
本発明においては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂を、上記したビスフェノールA型エポキシ樹脂と併用して用いる。フェノキシ樹脂はエポキシ樹脂と化学構造が似ていることから、未硬化時及び熱硬化後のエポキシ樹脂との相溶性に優れる。このため、接着剤組成物が熱硬化しても白化が起こらず、透明性が維持されるものと考えられる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂との相溶性は、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂であってもビスフェノールF型フェノキシ樹脂であっても同程度であるが、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂はガラス転移温度が68℃程度であり、粘度が低く、粘接着シートとした際にベタつきが大きい。本発明においては、ガラス転移温度が80℃よりも高いビスフェノールA型フェノキシ樹脂を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と組み合わせて用いることにより、初期粘着性と耐熱性とを両立でき、かつ、熱硬化後も白化せず透明性を維持できる瀬着剤組成物とできるものである。
上記したビスフェノールA型フェノキシ樹脂のなかでも、本発明においては、重量平均分子量が3万〜10万のものを好適に使用することができる。なお、本明細書中、重量平均分子量および数平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した値を示す。これらビスフェノールA型フェノキシ樹脂は市販のものを使用してもよく、例えば、YP−50(新日鐵化学株式会社製)やEXA123(DIC株式会社製)等を好適に使用することができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールA型フェノキシ樹脂との配合割合は、質量基準において、1:0.5〜1:2の割合であることが好ましい。この範囲とすることにより、より一層、初期粘着性、接着強度、透明性が改善される。
本発明による接着剤組成物は、樹脂成分として、上記したビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型フェノキシ樹脂以外の樹脂が含まれていてもよい。例えば、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂等のフェノール樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリエーテルエステルアミド樹脂等が挙げられる。
<硬化剤>
上記したビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型フェノキシ樹脂は加熱等により反応が進行して接着剤組成物が硬化するが、本発明においては、硬化反応を促進するために、接着剤組成物中にヒドラジド系硬化剤が含まれる。上記した樹脂にヒドラジド系硬化剤を併用することにより、硬化後も高い透明性を保ちつつ、優れたポットライフ性をもつ接着剤とすることができる。ヒドラジド系硬化剤としては、アジピン酸ヒドラジド、セバチン酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、ハイドロキノンジグリコール酸ジヒドラジド、レゾルシノールジグリコール酸ジヒドラジド、バリンジヒドラジド、1,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド等を使用することができる。これらヒドラジド系硬化剤は市販のものを使用してもよく、例えば、アミキュアVDHやアミキュアUDH(味の素株式会社製)等を好適に使用することができる。
硬化剤としてが、上記したヒドラジド系硬化剤以外にも他の硬化剤を併用してもよく、例えばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物(液状酸無水物)、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物等の酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂等のフェノール系硬化剤が例示できる。特に、ジシアンジアミド(DICY)は潜在性の硬化剤のため、保存安定性に優れ、室温保存でもポットライフが数週間もあるので、ヒドラジド系硬化剤と併用することが好ましい。また、硬化促進剤としてイミダゾール類を含ませてもよい。
硬化剤の接着剤組成物中の含有量は、樹脂の含有量を65〜80質量部とした場合に、13〜22質量部含まれていることが好ましい。硬化剤の配合比がこの範囲未満であると、接合後の耐熱性が低く、また接着強度が温度変化で劣化しやすい。硬化剤の含有量がこの範囲を超えると、接着シートを被着体と接合するまで保管した場合に、その保管期間中の保存安定性(ポットライフ)が低下し、また、接着剤の硬化後も未反応の硬化剤が残留することで、接着力が低下する問題点もある。
<架橋剤>
また、本発明の接着剤組成物は、架橋剤としてキシリレンジイソシアナートを必須成分として含む。ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型フェノキシ樹脂を含む樹脂成分と、上記したキシリレンジイソシアナート架橋剤とを組み合わせることにより、より硬化性を高め、接着強度を向上させることができる。
上記した架橋剤の接着剤組成物中の含有量は、樹脂の含有量を65〜80質量部とした場合に、5〜15質量部含まれていることが好ましい。架橋剤の配合比がこの範囲未満であると、フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂との架橋が少なく、接着強度が不十分となる場合がある。一方、架橋剤の含有量がこの範囲を超えると、空気中の水分の影響でゲル化したり、加熱後でもタックが残ってしまう場合がある。
さらに、接着剤組成物には、必要に応じて、例えば、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、例えば、滑剤、可塑剤、充填剤、フィラー、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を添加してもよい。また、必要に応じて、さらにシラン系、チタン系、アルミニウム系などのカップリング剤を含むことができる。これにより樹脂と被着体および樹脂と後述する芯材財との密着性を向上させることができる。
本発明において使用される接着剤組成物は、上記した各成分を混合し、必要に応じて混練、分散して、接着剤を調製することができる。混合ないし分散方法は、特に限定されるものではなく、通常の混練分散機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ペブルミル、トロンミル、ツェグバリ(Szegvari)アトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、デスパー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、デスパーザー、ホモジナイザー、および超音波分散機などが適用できる。硬いエポキシ系樹脂として複数種を用いる場合は、先にこれらを混合撹拌し、次に硬化剤を混合撹拌し、溶媒で希釈した後に、軟かいエポキシ系樹脂を混合撹拌し、次いで、アクリル系樹脂を混合撹拌することが好ましい。
<接着シート>
本発明による接着シートは、図1に示すように、上記の接着剤組成物からなる接着層の両面に第1離型紙および第2離型紙が設けられている層構成を有する。なお、本明細書では、第1離型紙21Aと第2離型紙21Bとを合わせて離型紙21と呼称する。接着層は、図2に示すように、芯材をさらに含み、接着剤が芯材に含浸されていてもよい。芯材としては、織布または不織布が好ましく、従来公知の種々の織布または不織布を使用できる例えば、液晶ポリマーなどの耐熱性のあるプラスチックの繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維などが例示でき、これらで構成した織布、不織布が使用できる。
接着層が芯材を含む場合、コーティング機を用いて、後記する第1離型紙21と芯材15とを重ねて走行させて、その芯材15面に上記した接着剤13組成物を塗布することで、芯材15へ含浸されるので、乾燥後に、塗布面に第2離型紙21Bを貼り合わせて、接着シート1が得られる。
離型紙への接着剤組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ロッドコ−ト、ブレードコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ダイコート、リップコート、ディップコートなどが適用できる。組成物を、第1離型紙21Aの離型面、または第1離型紙21Aと芯材15を重ねて、芯材15面へ、上記のコーティング法で塗布して、乾燥した後に、第2離型紙21Bを貼り合わせればよい。組成物(塗布液)の粘度は、1〜20000センチストークス(25℃)程度、好ましくは1〜2000センチストークスに調整する。芯材15へ含浸塗布する場合には、粘度が低い方が好ましく、1〜1000センチストークスである。
第1離型紙21Aと第2離型紙21Bは同じものでも異なったものを用いてもよい。離型紙21としては、離型フィルム、セパレート紙、セパレートフィルム、セパ紙、剥離フィルム、剥離紙等の従来公知のものを好適に使用できる。また、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルムなどの離型紙用基材の片面または両面に離型層を形成したものを用いてもよい。離型層としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂などがある。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型または無溶剤型のいずれもが使用できる。
離形層は、離形層成分を分散および/または溶解した塗液を、離型紙用基材フィルムの片面に塗布し、加熱乾燥および/または硬化させて形成する。塗液の塗布方法としては、公知で任意の塗布法が適用でき、例えば、ロールコート、グラビアコート、スプレーコートなどである。また、離形層は、必要に応じて、基材フィルムの少なくとも片面の、全面または一部に形成してもよい。
第一および第二離型紙の剥離力は、接着シートに対し、1〜2000mN/cm程度、さらに100〜1000mN/cmであることが好ましい。離形層の剥離力が1mN/cm未満の場合は、接着シートや被着材との剥離力が弱く、剥がれたり部分的に浮いたりする。また、2000mN/cmより大きい場合は、離形層の剥離力が強く、剥離しにくい。安定した離形性や加工性の点で、ポリジメチルシロキサンを主成分とする付加および/または重縮合型の剥離紙用硬化型シリコーン樹脂が好ましい。
<被着体の接着方法>
被着体との接合は、接着シート1の第1離型紙21Aおよび第2離型紙21Bを剥離し除去して、接着層11を露出させる。露出した接着層11を、2つの同じまたは異なる第1被着体および第2被着体で挟み、接着層11の粘着性で保持させる。次いで、加熱、または加圧加熱することで接着層11を硬化させて、第1被着体および第2被着体を強固に接着させることができる。このように、本発明による接着シートを用いることにより、初期粘着性を利用して、被着体どうしを仮固定でき、その後に、例えばバッチ方式により粘接着シートを熱硬化させて被着体を接着できるため、プレヒートなどの工程を省くことができるとともに、生産性が著しく向上する。
被着体としては、特に限定されるものではないが、金属、無機材料、有機材料、これらを組み合わせた複合材料や、積層材料などが例示できる。
硬化時の加熱温度は、100〜200℃程度、好ましくは110〜180℃である。加熱時間は1〜240分間、好ましくは60〜180分間である。硬化した接着シート1の接着層11は、初期粘着性を有し、プレヒートなどの工程がなく、粘着力のみで被着体を保持して作業できるので、作業性がよく、低コストでもある。また、接着層の材料およびその配合比を選択することで、金属同士、金属と有機材料、有機材料と有機材料とを接着することができる。さらに、エポキシ系樹脂に起因する強固な接着強度が得られ、この接着強度は温度変化でも劣化しにくく、また、アクリル系樹脂に起因するために脆質性が低く、優れた剪断強度と高い耐衝撃性、耐熱性を有するので、構造用途に使用できる。
<貼合体>
本発明による接着シートを用いることにより、従来の溶接法では困難な、ガラス繊維や炭素繊維のFRP、異種金属などの材料(被着体)を強力に接合でき、例えば、アルミニウムと鉄等の金属との貼合体や、FRPやCFRPどうしの貼合体を得ることができる。これら貼合体は、温度変化を受けることなく優れた接着強度を保持できるとともに、脆質性が低く、優れた剪断強度と高い耐衝撃性、耐熱性を有するため、自動車、航空機、船舶等の分野に限らず、電子機器類、電子機器筐体、家電製品、インフラ系構造物、ライフライン建材、一般建材等の分野で利用することができる。
本発明を、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例の内容に限定されるものではない。なお、各層の各組成物は溶媒を除いた固形分の質量部である。
実施例1および2ならびに比較例1〜7
<接着剤組成物の調製>
下記の表1に示す組成に従って、各成分を混合することにより、接着剤を調製した。なお、下記の表1中、
SG−P3は、ナガセケムテック社製のアクリル樹脂を、
YP−50EKは、新日鐵化学社製のビスフェノールA型フェノキシ樹脂を、
JER828およびJER1001は、ジャパンエポキシレジン社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂を、
TPAE826は、ティーアンドケイ東華社製のポリエーテルエステルアミドを、
GK880は、東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂を、
アミキュアVDHは、味の素ファインテクノ社製のヒドラジド系硬化剤を、
タケネート500は、三井化学社性のキシリレンジイソシアナートを、
DICY7は、三菱化学社製のジシアンジアミトを、
それぞれ表す。
Figure 0005743211
<接着シートの作製>
得られた接着剤を、セパフィルム(SP−PET 03BU、東セロ社製)の表面に、コンマコーターにて、塗布量が100g/mとなるように塗布して接着層を形成し、その接着層上に、セパフィルム(SP−PET 01BU、東セロ社製)を貼り合わせることにより接着シートを作製した。なお、比較例4の接着剤は、シート化が困難であり、また、比較例5の接着剤は、接着剤をシート化する際の溶剤乾燥時の熱により、樹脂が流動してはじきが発生し、製膜できなかった。
<貼合体の作製>
得られた接着シートを25mm×12.5mmに裁断し、一方のセパフィルムを剥離して接着層を露出させて、一方の被着体であるCFRP(長さ100mm×幅25mm×厚み1.5mm)の先端部分に貼り付けた。CFRPに貼りつけた接着シートからセパフィルムを剥離して接着層を露出させて、その接着層部分に、他方の被着体であるCFRP(長さ100mm×幅25mm×厚み1.5mm)の先端部分を貼りつけた。
次いで、仮固定された被着体の上に3kgの荷重をかけて120℃で2時間、接着層の加熱硬化を行うことにより貼合体を得た。
<接着強度評価>
得られた各貼合体について、室温での接着強度の評価を行った。上記で得られた試料の両端をテンシロン(オリエンテック製RTA−1T)に固定して、0.5mm/minで引張り、せん断強度を測定した。評価結果は、下記の表2に示される通りであった。
<硬化後の接着層の色味>
貼合体の接着層を目視にて観察し、その色味の評価を行った。評価結果は下記の表2に示される通りであった。
Figure 0005743211
1:接着シート
11:接着層
13:接着剤
15:芯材
21:離型紙
21A:第1離型紙
21B:第2離型紙

Claims (8)

  1. 樹脂成分として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型フェノキシ樹脂と、
    硬化剤として、ヒドラジド系硬化剤と、
    架橋剤として、キシリレンジイソシアナートと、
    を少なくとも含んでなり、
    前記樹脂成分を65〜80質量部、前記硬化剤を13〜22質量部、および前記架橋剤を5〜15質量部含むことを特徴とする、接着剤組成物。
  2. 前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂と前記ビスフェノールA型フェノキシ樹脂との配合割合が、質量基準において、1:0.5〜1:2の割合で含まれる、請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂が、主鎖のビスフェノール骨格の繰り返し単位数が1〜3の常温で液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂からなる、請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記ビスフェノールA型フェノキシ樹脂の重量平均分子量が、3万〜10万である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  5. 第1離型紙と、接着層と、第2離型紙とを、この順で積層してなる接着シートであって、前記接着層が、請求項1〜のいずれか一項に記載の接着剤組成物を含んでなる、接着シート。
  6. 前記接着層が芯材をさらに含んでなり、前記接着剤が前記芯材に含浸されている、請求項に記載の接着シート。
  7. 請求項またはに記載の接着シートを用いて第1被着体と第2被着体とを接着する方法であって、
    前記接着シートから、第1離型紙および第2離型紙を剥離し除去して接着層を露出させ、
    前記接着層を、前記第1被着体および前記第2被着体で挟んで、前記第1被着体および前記第2被着体の仮固定を行い、
    前記接着層を、加熱することにより硬化させて、前記第1被着体および前記第2被着体を接着することを含んでなる、方法。
  8. 請求項に記載の方法により得られる貼合体。
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