以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るオイルパン1を示すものである。オイルパン1は、自動車の前部に設けられたエンジンルームに搭載されるエンジン(図示せず)用のオイルパンであり、図2や図3に示すように、該エンジンのシリンダブロック100の下面に取り付けられるようになっている。尚、エンジンルームに搭載されたエンジンの向きは、クランク軸が車両左右方向に延びる向きとなっている。
この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両左側を単に「左」といい、車両右側を端に「右」というものとする。
オイルパン1は、シリンダブロック100の下面の略全体を覆うように形成された底壁部2と、底壁部2の周縁部から立ち上がる周壁部3とにより形成された凹形状のオイル貯留部4と、図1及び図4に示すようにオイル貯留部4内に配設された第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9と、同様にオイル貯留部4内に配設されたオイルストレーナ5とを備えており、図5に示すように、上下方向に分割されたアッパー分割体(第1分割体)10及びロアー分割体(第2分割体)30と、オイルストレーナ5が有するフィルタエレメント50(図6に示す)との3つの部材を組み合わせて構成されている。図1に示すように、オイル貯留部4の上部には、開放口6が形成されている。シリンダブロック100から滴下するオイルは、開放口6からオイル貯留部4に流れ込むようになっている。このオイル貯留部4の内部空間は、後述のように、主室Pと副室Zとに区画されている(図4参照)。
そして、オイル貯留部4に貯留されているオイルがオイルストレーナ5を通過する際に濾過されてからエンジンのオイルポンプ(図示せず)に吸入され、エンジンの各部に送給されて循環した後、オイル貯留部4に戻り、オイルストレーナ5を再び通過するようになっている。図6に示すように、オイルストレーナ5は、フィルタエレメント50と、フィルタエレメント50を収容するフィルタエレメント収容部17とで構成されている。
図2及び図3に示すように、オイル貯留部4の底壁部2は、車両の左右方向に長い形状となっている。底壁部2には、下方へ膨出する膨出部7が形成されている。図7に示すように、膨出部7は、底壁部2の右端部から左右方向中央よりも左側の領域に亘って形成されている。図2にも示すように、膨出部7の左端部は、底壁部2の左端部から右側へ離れている。また、図7に示すように、膨出部7の左端部は、前後方向の中央部が左側へ突出するように形成されている。
図5に示すように、膨出部7はロアー分割体30で構成され、また、底壁部2の膨出部7以外の部分と周壁部3とは、アッパー分割体10で構成されている。これらロアー分割体30及びアッパー分割体10は樹脂材を成形してなるものである。図8及び図9に示すように、ロアー分割体30の上端部は開放されており、該上端部には、アッパー分割体10へ溶着されるロアー側接合部31が形成されている。ロアー側接合部31は、ロアー分割体30の上端部から膨出部7の外方へ向けて延出して、該上端部の全周に亘って環状に延びる板状をなしている。
一方、図10に示すように、アッパー分割体10の下端部には、ロアー分割体30の上端部に合致する貫通孔11が形成されている。アッパー分割体10の貫通孔11の周縁部には、ロアー分割体30のロアー側接合部31に溶着されるアッパー側接合部12が形成されている。アッパー側接合部12は、ロアー側接合部31に沿って延びる板状をなしている。ロアー側接合部31とアッパー側接合部12とは、例えば熱板溶着法や振動溶着法等の各種溶着法を用いて溶着されるものである。ロアー分割体30の上端部のロアー側接合部31が、ロアー分割体30の外方向へ向けて全周に亘って環状に延びる板状をなしていて、全周がアッパー側接合部12と接合されるようになっているので、オイルパン1全体として剛性がより一層高まる。
図11に示すように、ロアー分割体30の底壁の右側には、フィルタエレメント50が固定されるエレメント固定用リブ32が形成され、底壁は、リブ32により補強されている。エレメント固定用リブ32は、ロアー分割体30の底壁から上方へ突出する厚肉板状をなし、底壁の前端部を右端部まで延びた後、屈曲して後方へ延びてから、左側へ屈曲して延びており、図9に示す平面視で左側に開放するC字に近い形状となっている。このようにエレメント固定用リブ32を屈曲させることにより、該リブ32自体の剛性が高まっている。
オイル貯留部4のオイルは、エレメント固定用リブ32の左側の開放部分からエレメント固定用リブ32で囲まれた空間内に流入するようになっている。尚、図7における符号33は、エレメント固定用リブ32を形成したことによってできた溝である。従って、エレメント固定用リブ32は中空リブである。
図11に示すように、エレメント固定用リブ32は、後側、かつ、右側へ行くほど底壁からの突出高さが高くなるように形成されている。エレメント固定用リブ32の上端部には、上方へ突出する突条部32aが形成されている。図12に示すように、この突条部32aには、フィルタエレメント50及びアッパー分割体10が溶着されるようになっている。
図8及び図9に示すように、ロアー分割体30の底壁には、第1〜第5ロアーリブL1〜L5が上方へ突出するように形成されている。第1ロアーリブL1は、エレメント固定用リブ32の後側に連なり、後方へ延びた後、左側へ屈曲して延びている。第1ロアーリブL1の左側部は、左端へ行くほど突出高さが低くなるように傾斜している。
第2ロアーリブL2は、第1ロアーリブL1の左側部から左側に間隔をあけて配置されており、左側へ延びている。第2ロアーリブL2の右側部は、右端へ行くほど突出高さが低くなるように傾斜しており、また、左側部は、左端へ行くほど突出高さが低くなるように傾斜している。従って、第2ロアーリブL2は先細形状となっている。
第3ロアーリブL3は、第2ロアーリブL2の左側部から左側に間隔をあけて配置されており、左前方へ延びている。第3ロアーリブL3の右側部は、右端へ行くほど突出高さが低くなるように傾斜している。第3ロアーリブL3の左側部は、ロアー分割体30の内側面に連続している。第4ロアーリブL4は、第3ロアーリブL3から前方へ離れた部位に設けられており、第4ロアーリブL4の右側部は、右端へ行くほど突出高さが低くなるように傾斜している。第4ロアーリブL4の左側部はロアー分割体30の内面に連続している。
第5ロアーリブL5は、第2ロアーリブL2から前方へ離れた部位に設けられており、右前方へ向けて延びている。第5ロアーリブL5の左側部及び右側部は、第2ロアーリブL2と同様に傾斜しており、第5ロアーリブL5も先細形状となっている。
図13に示すように、フィルタエレメント50は、樹脂材を成形してなり、板状の濾過用網目部51と、網目部51の周縁部に設けられた取付部52とを備えている。フィルタエレメント50は、図12に示すように、網目部51がロアー分割体30の底壁と略平行となるように配置されている。
図11にも示すように、網目部51は、エレメント固定用リブ32の上縁部を上方から覆うように形成された略矩形状をなしている。網目部51には、縦横に延びる複数の補強部53が設けられている。図13に示すように、取付部52は、エレメント固定用リブ32の上端部の形状に合致するように平面視で略C字状に形成されている。図11及び図14に示すように、取付部52には、エレメント固定用リブ32の左後側に嵌るように下方へ突出する嵌合板部54が設けられている。また、図12に示すように、取付部52の内周側には、下方へ突出して周方向に延びる内周側突条部55が形成され、外周側には、同様に下方へ突出する外周側突条部56が形成されている。これら内周側突条部55と外周側突条部56との間には、溝58が形成されている。また、網目部51の上面の周縁部には、全周に亘って延びる環状突条部57が形成されている。
フィルタエレメント50の内側突条部55の先端(下端)は、ロアー分割体30のエレメント固定用リブ32上端の突条部32aよりも内側に当接するようになっている。また、フィルタエレメント50の外側突条部56の先端(下端)は、全周に亘ってエレメント固定用リブ32の突条部32aに溶着されるようになっている。このフィルタエレメント50と、エレメント固定用リブ32とで囲まれた空間がオイルストレーナ5のオイルの流入側空間R1となっている。
一方、図1に示すように、アッパー分割体10の上端部である周壁部3の上端部には、オイル貯留部4の外方へ延びる上部フランジ13が形成されている。図4にも示すように、上部フランジ13の前側には、オイルパン1をシリンダブロック100に締結するためのボルト(図示せず)が挿通する第1〜第4前側ボルト挿通孔(締結部)Bf1〜Bf4が左右方向に間隔をあけて設けられている。第1前側ボルト挿通孔Bf1が上部フランジ13の左端近傍に位置しており、第2〜第4前側ボルト挿通孔Bf2〜Bf4は、順に右側へ向かって並んでいる。
上部フランジ13の後側には、第1〜第4後側ボルト挿通孔(締結部)Bb1〜Bb4が左右方向に間隔をあけて設けられている。第1〜第4後側ボルト挿通孔Bb1〜Bb4は、第1〜第4前側ボルト挿通孔Bf1〜Bf4と同様に並んでいる。
上部フランジ13の左側には、第1及び第2左側ボルト挿通孔(締結部)Bl1,Bl2が前後方向に間隔あけて設けられている。第1左側ボルト挿通孔Bl1は、上部フランジ13の前寄りに位置しており、第2左側ボルト挿通孔Bl2は、上部フランジ13の後寄りに位置している。
上部フランジ13の右側には、第1及び第2右側ボルト挿通孔(締結部)Br1,Br2が前後方向に間隔あけて左側ボルト挿通孔Bl1,Bl2と同様に設けられている。周壁部3のボルト挿通孔Bf1〜Bf4,Bb1〜Bb4,Bl1,Bl2,Br1,Br2に対応する部分には、オイル貯留部4の内方へ向けて窪むボルト干渉回避部3a,3a,…が形成されている。
アッパー分割体10の左側である周壁部3の左側には、変速機のケーシング101(図4にのみ仮想線で示す)に締結される側部フランジ14が形成されている。側部フランジ14は、周壁部3の前方及び後方へそれぞれ突出している。図1に示すように、側部フランジ14には、変速機のケーシング101に形成されたボルト孔に螺合するボルト(共に図示せず)が挿通する3つのボルト挿通孔14a,14a,14aが前後方向に間隔あけて形成されている。
上記第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9はアッパー分割体10に配設されている。図15には、第1〜第5主リブM1〜M5を黒く塗りつぶして示し、第1〜第9補助リブS1〜S9を白抜きで示している。
同図に示すように、第1主リブM1は、第2前側ボルト挿通孔Bf2近傍から第2後側ボルト挿通孔Bb2近傍まで両締結部Bf2,Bb2同士を連結するように真っ直ぐに延びており、アッパー分割体10の貫通孔11の左端から貫通孔11内方に離れている。第2主リブM2は、第3前側ボルト挿通孔Bf3近傍から第3後側ボルト挿通孔Bb3近傍まで真っ直ぐに延びている。
第3主リブM3は、第4前側ボルト挿通孔Bf4近傍から第4後側ボルト挿通孔Bb4近傍まで真っ直ぐに延びている。第1〜第3主リブM1〜M3は、互いに略平行である。
第4主リブM4は、第1左側ボルト挿通孔Bl1近傍から第2右側ボルト挿通孔Br2近傍まで真っ直ぐに延びている。図5に示すように、第4主リブM4の下部は、ロアー分割体30の底壁まで延びている。第4主リブM4の延びる方向は、ロアー分割体30の第1及び第2ロアーリブL1,L2(図9に示す)の延びる方向と一致しており、かつ、第4主リブM4は、第1及び第2ロアーリブL1,L2の直上方に位置している。すなわち、第4主リブM4の下部には、図8に示す第1及び第2ロアーリブL1,L2が入るようにV字状の切欠部20,20(図5及び図10参照)が形成されている。図16に示すように、切欠部20,20と第1及び第2ロアーリブL1,L2との間には、オイルの流通可能な隙間T1,T1がそれぞれ形成されている。隙間T1は、上下方向に長い断面形状を有しており、後述の主室Pと副室Zとを連通させる連通路を構成している。
隙間T1の大きさは、第1及び第2ロアーリブL1,L2の上方へ行くほど大きくなっている。つまり、連通路は、オイルパン1の上部に近い部分が下部に近い部分よりも広くなるように設定されている。その理由は、オイルパン1内の暖かいオイルを後述の主室Pに流入させることができるからである。尚、隙間T1の大きさは、第1及び第2ロアーリブL1,L2の下方へ行くほど大きくしてもよいし、上側と下側とを同じにしてもよい。
図15に示すように、第5主リブM5は、第2左側ボルト挿通孔Bl2近傍から第1右側ボルト挿通孔Br1近傍まで略真っ直ぐに延びている。
第2主リブM2と、第4主リブM4と、第5主リブM5とは点Aで交わっている。点Aは、第2主リブM2の前後方向中間部に位置している。また、第4主リブM4と第2主リブM2との交わる角度は、直角とはなっておらず、また、第5主リブM5と第2主リブM2との交わる角度も直角とはなっていない。さらに、第4主リブM4と第5主リブM5との交わる角度も直角とはなっていない。尚、第2、第4及び第5主リブM2,M4,M5は互いに直交させてもよい。
また、第4主リブM4は、第1主リブM1及び第3主リブM3と点B、点Eで交わっている。また、第5主リブM5は、第1主リブM1及び第3主リブM3と点C、点Dで交わっている。点B〜点Eは、平面視でアッパー分割体10の貫通孔11内に位置している。また、第1主リブM1、第4主リブM4及び第5主リブM5の下端部は、アッパー分割体10における底壁部2を構成している部分に連続しており、リブM1,M4,M5により、周壁部3と底壁部2とが連結されている。また、第1〜第5主リブM1〜M5は、それぞれ、周壁部3の互いに離れた部位同士を連結するように、かつ、開放口6を横切るように延びている。
第1補助リブS1は、第1前側ボルト挿通孔Bf1近傍から点Bまで真っ直ぐに延びている。第1補助リブS1の下部は、ロアー分割体30の底壁まで延びている。第1補助リブS1の直下方には、図8に示すロアー分割体30の第3ロアーリブL3が位置している。この第3ロアーリブL3の一部は、第4主リブM4の下部に位置している。第1補助リブS1及び第4主リブM4の下部には、第3ロアーリブL3が入る切欠部21(図10参照)が設けられている。図16に示すように、切欠部21と第3ロアーリブL3との間には、オイルの流通可能な隙間T2が形成されている。隙間T2は、上下方向に長い断面形状を有しており、後述の主室Pと副室Zとを連通させる連通路を構成している。
隙間T2の大きさは、第3ロアーリブL3の上方へ行くほど大きくなっている。尚、隙間T2の大きさは、第3ロアーリブL3の下方へ行くほど大きくしてもよいし、上側と下側とを同じにしてもよい。
図15に示すように、第2補助リブS2は、第4前側ボルト挿通孔Bf4近傍から点Bまで真っ直ぐに延びており、その中間部が第2主リブM2と交差している。この交差点を点Fとする。第2補助リブS2の下部は、ロアー分割体30の底壁まで延びている。第2補助リブS2の延びる方向は、図9に示すロアー分割体30の第5ロアーリブL5の延びる方向と一致しており、かつ、第2補助リブS2は、第5ロアーリブL5の直上方に位置している。第2補助リブS2の下部には、図9に示す第5ロアーリブL5が入るようにV字状の切欠部22(図6及び図10参照)が形成されている。図6に示すように、切欠部22と第5ロアーリブL5との間には、オイルの流通可能な隙間T3が形成されている。隙間T3は、上下方向に長い断面形状を有しており、後述の主室Pと副室Zとを連通させる連通路を構成している。
隙間T3の大きさは、第5ロアーリブL5の上方へ行くほど大きくなっている。尚、隙間T3の大きさは、第5ロアーリブL5の下方へ行くほど大きくしてもよいし、上側と下側とを同じにしてもよい。
図15に示すように、第3補助リブS3は、第2前側ボルト挿通孔Bf2近傍から点Fまで真っ直ぐに延びている。第4補助リブS4は、第4前側ボルト挿通孔Bf4近傍から点Aまで真っ直ぐに延びている。第5補助リブS5は、第4後側ボルト挿通孔Bb4近傍から点Aまで真っ直ぐに延びている。第6補助リブS6は、第4後側ボルト挿通孔Bb4近傍から点Cまで真っ直ぐに延びており、その中間部が第2主リブM2と交差している。この交差点を点Gとする。第7補助リブS7は、第2後側ボルト挿通孔Bb2近傍から点Gまで延びている。第8補助リブS8は、第1後側ボルト挿通孔Bb1近傍から点Cまで真っ直ぐに延びている。第9補助リブS9は、第1及び第2左側ボルト挿通孔Bl1、Bl2の間から右側へ延び、右側が2つに分岐して点B及び点Cまでそれぞれ延びている。この分岐点を点Hとする。上記第1補助リブS1、第3補助リブS3、第6補助リブS6、第7補助リブS7、第8補助リブS8及び第9補助リブS9の下端部は、アッパー分割体10における底壁部2を構成している部分に連続している。上記第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9は、略鉛直に延びている縦リブであり、全てが一体成形されている。
また、上述のように延びる第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9は、平面視で三角形を形成するように交差している。例えば、第1主リブM1、第6補助リブS6及び第7補助リブS7により三角形が形成されている。また、例えば、第1左側ボルト挿通孔Bl1と、第2左側ボルト挿通孔Bl2と、点Aとでも三角形が形成されるようになっており、このように、締結部とリブの交差点とで三角形を形成するようにしたことによっても、外力に対して強固な構造となる。
図4に示すように、第1主リブM1と、第1補助リブS1との間には、これらリブM1、S2によってリターン空間Wが区画形成されている。シリンダブロック100のリターンオイルが吐出するリターンパイプ102(図1及び図4に仮想線で示す)は、平面視で、第1主リブM1と、第1補助リブS1との間、即ち、リターン空間W内に位置するようになっている。これにより、循環したオイルの大部分は、リターン空間Wに落ちるようになっている。また、シリンダブロック100の下面からは、リターンパイプ102以外の部分からもオイルが滴下するようになっている。
図4に示すように、アッパー分割体10には、エレメント固定用リブ32に固定されたフィルタエレメント50を上方から覆うカバー部16が設けられている。図12に示すように、カバー部16と、エレメント固定用リブ32とにより、フィルタエレメント50を収容するフィルタエレメント収容部17が構成されている。
カバー部16は、図4に示すように、第3主リブM3と、第5主リブM5と、第4補助リブS4との一部で構成されており、第3主リブM3、第4主リブM4及び第4補助リブS4で囲まれた空間内に位置付けられている。カバー部16は、平面視でフィルタエレメント50と略相似な矩形状をなしており、図12に示すように、周縁部がリブM3、S4の側面の上下方向中間部と一体化している。また、図4に示すように、第5主リブM5は、カバー部16の略中央部に位置している。
カバー部16の前側には、フィルタエレメント50を通過したオイルを吐出させるための吐出管部15が上方へ突出するように設けられている。吐出管部15は、第3主リブM3と、第5主リブM5と、第4補助リブS4とで囲まれた空間に位置している。吐出管部15の上端開口部は、フィルタエレメント50通過後のオイルを吐出する吐出口15aとなっている。
図12に示すように、第3主リブM3、第5主リブM5及び第4補助リブS4の下端には、フィルタエレメント50の外周部に対応する部位に、フィルタエレメント50の外周部が嵌る嵌合凹部16aが全周に亘って形成されている。この嵌合凹部16aよりも外周側には、ロアー分割体30のエレメント固定用リブ32における突条部32aに溶着される凸状の溶着部16bが全周に亘って形成されている。さらに、溶着部16bよりも外周側には、エレメント固定用リブ32上端の突条部32aよりも外周側に当接する当接部16cが全周に亘って形成されている。
上記カバー部16とフィルタエレメント50とで囲まれた空間がオイルストレーナ5のオイルの流出側空間R2となっている。また、カバー部16によって第3主リブM3、第5主リブM5、第4補助リブS4が強固に連結されることになる。
図1に示すように、吐出管部15の上端部は、アッパー分割体10の上端部近傍に位置している。オイルパン1がシリンダブロック100に取り付けられた状態で、吐出管部15の吐出口15aは、シリンダブロック100の下面に開口するオイル吸入孔(図示せず)に接続されるようになっている。また、オイルストレーナ5の吸入孔5a(図4及び図6に破線で示す)は、エレメント固定用リブ32の開放部分で構成されている。
上記アッパー分割体10の第4主リブM4及び第2補助リブS2と、ロアー分割体30のロアーリブL1〜L5とにより、オイル貯留部4内が主室Pと副室Zとに区画されている。第4主リブM4及び第2補助リブS2と、ロアーリブL1〜L5とが区画壁を構成している。
主室Pは、第4主リブM4及び第2補助リブS2と、ロアーリブL1〜L5とで囲まれた空間であり、オイルストレーナ5の吸入孔5aは主室P内に臨むようにして開口している。主室Pの容積は副室Zの容積よりも小さい方が好ましいが、同じにしてもよいし、副室Zの容積を主室Pの容積よりも小さくしてもよい。
アッパー分割体10の第1主リブM1、第1補助リブS1及び第2補助リブS2には、リターンパイプ102からオイル貯留部4に戻ってきたリターンオイルを主室Pに導くための案内部60が設けられている。図17にも示すように、案内部60は、第1主リブM1と第2補助リブS2とを連結するように略左右方向に延びる管部61と、管部61の底壁に連なり第1補助リブS1まで延びる導板部62とを備えている。管部61は第1主リブM1及び第2補助リブS2に一体成形されている。また、導板部62は、第1主リブM1及び第1補助リブS1に一体成形されている。
管部61は、リターン空間Wに流入したリターンオイルの略全量を主室Pへ流すための主オイル通路Qを形成するためのものである。管部61の左端部は、第1主リブM1と第1補助リブS1との間のリターン空間Wに連通し、右端部は、主室Pに連通している。すなわち、第1主リブM1の上下方向中間部には、リターン空間Wに臨む開口部24が形成されており、この開口部24に管部61の左端部が接続されている。また、第2補助リブS2の上下方向中間部には、主室Pに臨む開口部23が形成されており、この開口部23に管部61の右端部が接続されている。
図4にも示すように、導板部62は、第1主リブM1と第1補助リブS1との間の貫通孔11を閉塞することによってリターンオイルが貫通孔11から下方へ流れないようにして、リターンオイルを管部61の主オイル通路Qへ導くためのものである。
上記案内部60により、エンジンを循環したオイルを直接的にオイルストレーナ5に吸入させることが可能となっている。また、案内部60により第1主リブM1、第1補助リブS1及び第2補助リブS2が連結されることになるので、高い剛性が得られる。
次に、上記のように構成されたオイルパン1を製造する要領について説明する。まず、樹脂材を射出成形してアッパー分割体10、ロアー分割体30及びフィルタエレメント50を得る。そして、フィルタエレメント50をアッパー分割体10に組み付ける。すなわち、図12に示すように、フィルタエレメント50の環状突条部57をカバー部16の嵌合凹部16aに嵌める。その後、フィルタエレメント50の外周側突条部56とカバー部16の溶着部16bとをフィルタ固定用リブ32の突条部32aに当接させる。
しかる後、ロアー分割体30のロアー側接合部31と、アッパー分割体10のアッパー側接合部12とを振動溶着法等により溶着する。このとき、フィルタエレメント50の外周側突条部56及びカバー部16の溶着部16bをフィルタ固定用リブ32の突条部32aに同時に同様に溶着する。これにより、アッパー分割体10の第3主リブM3及び第4補助リブS4がロアー分割体30のエレメント固定用リブ32に結合されて、アッパー分割体10及びロアー分割体30が強固に結合する。
このようにして得られたオイルパン1をシリンダブロック100に取り付ける際には、ボルト挿通孔Bf1〜Bf4,Bb1〜Bb4,Bl1,Bl2,Br1,Br2にボルトを挿通して締結する。これにより、オイルパン1のオイル吐出管部15がシリンダブロック100のオイル吸入孔に接続される。
そして、エンジンが始動してオイルポンプが作動を開始すると、オイル吐出管部15内に負圧が作用して主室P内のオイルがオイルストレーナ5の吸入孔5aから流入側空間R1に吸い込まれる。この流入側空間R1内のオイルは、フィルタエレメント50の網目部51を通過して濾過されて流出側空間R2に流入する。流出側空間R2のオイルは吐出管部15を上方へ流れてエンジンの各部に供給される。
エンジンの各部を循環したオイルは、その大部分がリターンパイプ102からオイルパン1のオイル貯留部4におけるリターン空間Wに流入する。このリターンオイルは、図17に白抜きの矢印で示すように、案内部60の導板部62により、管部61の左端部から主オイル通路Qへ導かれる。主オイル通路Qを流通したリターンオイルは、管部61の右端部から主室Pに流れ込む。リターンオイルは、他のオイルに比べて温まっており、この比較的暖かいオイルを主室Pからオイルストレーナ5に吸入させることが可能となる。これにより、オイルを早く昇温させてオイルの粘度を各部の潤滑に適した粘度としてエンジンの回転抵抗が早期に抑制され、その結果、燃費を向上させることができる。
シリンダブロック100の下面から副室Zに滴下したリターンオイルは、図16に示す隙間T1,T2や、図6に示す隙間T3からも主室Pに流入していく。このとき、冷間時はオイルの粘度が高いため、隙間T1,T2,T3からの流入量は少ない。また、隙間T1,T2,T3は、上部が下部に比べて大きくなっているので、油面近傍の比較的温かく、粘度の低いオイルを主室Pに流入させることが可能になる。
そして、オイルの粘度が全体的に低下してきたら、隙間T1,T2,T3からの流入量も増えていく。尚、隙間T1,T2,T3の大きさは、互いに異ならせることもできるし、同一にすることもできる。
また、図15に示すように、第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9の交点である点A〜点Hの全てが、平面視でアッパー分割体10の貫通孔11と重なるように位置している。これにより、例えば、第5主リブM5と第9補助リブS9との間に滴下したオイルや、第5主リブM5と第8補助リブS8との間に滴下したオイルを、貫通孔11からロアー分割体30内へ流して、オイルストレーナ5に吸入させることが可能になる。
また、第1〜第5主リブM1〜M5は、オイル貯留部4の周壁部3の互いに離れた部位同士を連結し、かつ、オイル貯留部4の開放口6を横切るように延びているので、剛性の低下し易い開放口6近傍の剛性をリブM1〜M5によって十分に高めることができる。さらに、第1〜第9補助リブS1〜S9を第1〜第5主リブM1〜M5に連続させたことで、より高い剛性が得られている。従って、例えば、車両の走行時に、飛び石や縁石等の障害物がオイルパン1に当たった場合に、オイルパン1の変形や破損を抑制できる。また、エンジンの回転時には、シリンダブロック100の振動がオイルパン1に伝達するが、このとき、オイルパン1に第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9が設けられていることで、周壁部3や底壁部2の振動が抑制されて騒音が低減される。また、第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9が互いに連結されているので、これらリブM1〜M5,S1〜S9の振動も抑制される。
さらに、第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9は、オイル貯留部4の開放口6を横切るように延びていることから、開放口6内を有効に利用してオイルパン1の外形状に殆ど影響を与えることなく第1〜第5主リブM1〜M5を配設することが可能である。
以上説明したように、この実施形態1によれば、オイル貯留部4内のリブM1〜M5,S1〜S9によりオイルパン1の剛性を高めることができる。そして、第4主リブM4及び第2補助リブS2と、第1〜第5ロアーリブL1〜L5とにより、オイル貯留部4内に主室Pと副室Zとを区画形成し、リブM4,S2とリブL1〜L5との間に隙間T1,T2,T3を形成して、主室Pと副室Zとを連通させるようにしたので、副室Zのオイルを主室Pにスムーズに流すことができる。
また、オイル貯留部4内に第1〜第5主リブM1〜M5,第1〜第9補助S1〜S9を設けたことで、オイルパン1の剛性を向上できる。そして、オイル貯留部4に戻ってきたオイルを主室Pに導くための案内部60をリブM1,S1,S2に一体に設けたので、案内部60をオイルパン1に設けるための構造を別途設けることなく、リブM1,S1,S2を利用して設けることができ、よって、案内部60を有するオイルパン1の構造を簡単にできる。
また、第1主リブM1、第1補助リブS1及び第2補助リブS2を案内部60によって互いに連結したので、案内部60を利用してオイルパン1をより一層、高剛性することができる。
また、オイルパン1をアッパー分割体10とロアー分割体30とに分割したので、アッパー分割体10とロアー分割体30とを別々に成形でき、オイルパン1の形状が複雑な場合であっても、一体成形品とする場合に比べて各分割体10,30を容易に成形でき、成形性を良好にできる。そして、アッパー分割体10は第1〜第5主リブM1〜M5,第1〜第9補助S1〜S9により補強されて剛性が高まり、この剛性の高まったアッパー分割体10の第3主リブM3及び第4補助リブS4をロアー分割体30のエレメント固定用リブ32に結合することで、アッパー分割体10とロアー分割体30とを強固に一体化できるとともに、ロアー分割体30の剛性も向上し、ひいては、樹脂製として軽量化が図られたオイルパン1全体の剛性を向上できる。
また、ロアー分割体30にエレメント固定用リブ32を設けることで、ロアー分割体30の剛性を向上できる。そして、エレメント固定用リブ32とアッパー分割体30とを結合することで、アッパー分割体10とロアー分割体30とをより一層強固に結合できる。
また、オイルストレーナ5をオイルパン1に一体に設けることができ、このオイルストレーナ5のフィルタエレメント収容部17を第3主リブM3、第4補助リブS4及びエレメント固定用リブ32で構成したことで、フィルタエレメント収容部17を別部材で構成する場合に比べて構造を簡素化できるとともに、軽量化を図ることができる。
また、第1〜第5主リブM1〜M5が、オイル貯留部4の周壁部3の互いに離れた部位同士を連結し、かつ、オイル貯留部4の開放口6を横切るように延びているので、剛性の低下し易い開放口6近傍の剛性をリブM1〜M5によって十分に高めることができ、オイルパン1各部の振動を抑制して、騒音を低減できる。そして、そのように第1〜第5リブM1〜M5がオイル貯留部4の開放口6を横切るように延びていることから、開放口6内を有効に利用してオイルパン2の外形状に殆ど影響を与えることなく第1〜第5リブM1〜M5を配設できる。よって、第1〜第5主リブM1〜M5を効果的に配設して高い剛性を得ながら、第1〜第5主リブM1〜M5を有するオイルパン1をコンパクトにまとめることができる。
また、第1〜第5主リブM1〜M5がボルト挿通孔Bf2〜Bf4,Bb2〜Bb4,Bl1,Bl2,Br1,Br2近傍から延びているので、第1〜第5主リブM1〜M5を利用してボルト挿通孔Bf2〜Bf4,Bb2〜Bb4,Bl1,Bl2,Br1,Br2周りの強度も向上させることができる。
また、ボルト挿通孔Bf2〜Bf4,Bb2〜Bb4,Bl1,Bl2,Br1,Br2近傍同士を第1〜第5主リブM1〜M5で連結することで、ボルト挿通孔Bf2〜Bf4,Bb2〜Bb4,Bl1,Bl2,Br1,Br2近傍の強度をより一層高めることができる。
また、ボルト挿通孔Bf3,Bb3,Bl1,Bl2,Br1,Br2近傍同士を連結する第2、第4及び第5主リブM2,M4,M5が互いに交差しているので、例えば第2主リブM2に前方から後方へ向けて力が作用した場合に、その力が第4主リブM4や第5主リブM5に分散するようになる。これにより、オイルパン1の変形や破損を抑制できる。
また、第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9を平面視で三角形を形成するように交差させたので、周壁部3の側方からの力に対して変形し難い構造となり、剛性をより一層向上させることができる。
また、第1、第4及び第5主リブM1,M4,M5を、アッパー分割体10における底壁部2を構成している部分に連続させているので、底壁部2と周壁部3とをリブM1,M4,M5により連結でき、オイル貯留部4の剛性をより一層向上させることができる。
また、自動車のオイルパン1においては、走行時に前方から飛び石が当たることがあるが、この実施形態では、第1〜第3主リブM1〜M3を前後方向に延びる形状としているので、飛び石による衝撃力を第1〜第3主リブM1〜M3で受けて変形や破損を抑止できる。
また、第1、第4及び第5主リブM1,M4,M5並びに第1、第3、第6、第7、第8及び第9補助リブS1,S3,S6,S7,S8,S9を、アッパー分割体10における底壁部2を構成している部分に連続させているので、底壁部2の剛性が高まっている。従って、自動車をジャッキアップする場合に、オイルパン1の底壁部2にジャッキがかけられても、底壁部2の変形や破損を抑止できる。
また、自動車の走行時に遠心力が作用した場合には、第1〜第5ロアーリブL1〜L5や第4主リブM4、第2補助リブS2等により、オイルのオイルパン1内での偏りを抑制できる。これにより、オイルポンプに空気が吸い込まれるのが抑制される。
また、第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9には、オイルを流通させるための切欠部や貫通孔を設けてもよい。
尚、第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9の数は、上記に限られるものではなく、例えば、補助リブは省略してもよい。また、第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9の厚さは、互いに同じにしてもよいし、異ならせてもよい。また、第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9は、湾曲させてもよい。
また、第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9のうち、任意のリブを底壁部2に連続させることが可能であり、この場合、底壁部2に連続させるリブを該底壁部2に一体成形してもよいし、溶着してもよいし、接着剤を用いて接着してもよい。
また、第1〜第5主リブM1〜M5及び第1〜第9補助リブS1〜S9のうち、任意のリブをロアー分割体30に対し、溶着や接着により結合するようにしてもよい。
また、第1〜第5ロアーリブL1〜L5のうち、任意のリブをアッパー分割体10に対し、溶着や接着により結合するようにしてもよい。
また、第1〜第5主リブM1〜M5はボルト挿通孔Bf1〜Bf4,Bb1〜Bb4,Bl1,Bl2,Br1,Br2から離れた部位に設けてもよい。
また、オイルストレーナ5をオイルパン1に一体化しているが、オイルストレーナ5をオイルパン1とは別体にしてエンジンにオイルパン1とは別に組み付けるようにしてもよい。また、オイルストレーナをオイルパン1に組み付けるようにしてもよい。
また、アッパー分割体10の第4主リブM4と、ロアー分割体30の第1〜第3ロアーリブL1〜L3とは、溶着や接着してもよい。また、第2補助リブS2と、第5ロアーリブL5とも、溶着や接着してもよい。また、アッパー分割体10と、ロアー分割体30の第4ロアーリブL4とも、溶着や接着してもよい。
また、図18に示す変形例1のように、第2補助リブS2の下端部に主室Pと副室Zとを連通させる連通路を構成する貫通孔65を形成してもよい。また、第4主リブM4の下端部に主室Pと副室Zとを連通させる連通路を構成する貫通孔66を形成してもよい。これら貫通孔65,66は、リブS2,M4の上下方向中間部に形成してもよい。
また、図19に示す変形例2のように、案内部60の管部61の底壁部をオイルストレーナ5側へ延ばして、リターンオイルを吸入孔5aの近傍に流し込むようにしてもよい。これにより、冷間始動後に、吸入孔5aに吸入されるオイルの温度をより一層高めることができる。
また、図20に示す変形例3のように、管部61を省略して第2補助リブS2に形成した貫通孔67と、導板部62とで案内部60を構成してもよい。この貫通孔67の上縁部は下縁部よりもオイルストレーナ5に近く位置付けられている。
また、図21に示す変形例4のように、第4主リブM4の切欠部20周縁にスリット20a,20aを設けて、隙間T1の上部の断面積を下部の断面積よりも大きくしてもよい。また、変形例4では、第2ロアーリブL2の上部に、上下方向に延びるスリット80が形成されている。さらに、変形例4では、第4主リブM4には、貫通孔81,81,…が形成されている。スリット80及び貫通孔81は、主室Pと副室Zとを連通させる連通路である。
《実施形態2》
図22〜図24は、本発明の実施形態2に係るものである。実施形態2のオイルパン1は、実施形態1のものに対し、オイルストレーナ5が別体型になっている点と、リブM1〜M4の構造とが異なっており、他の部分は同一であるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
すなわち、図22及び図23に示すように、実施形態2のオイルパン1には、第1〜第4主リブM1〜M4が設けられている。第1及び第2主リブM1,M2は、互いに間隔をあけて前後方向に略平行に延びている。また、第3及び第4主リブM3,M4は、互いに間隔をあけて左右方向に略平行に延びている。第1及び第2主リブM1,M2の中間部は、第3及び第4主リブM3,M4の中間部と交わっており、図24にも示すように、これらリブM1〜M4が交わった部分は四角筒状をなし、この内部に主室Pが区画形成されている。
第1〜第4リブM1〜M4のうち、主室Pを区画する部位は、他の部位よりも下方へ突出する突出壁部70とされている。この突出壁部70は、四角筒状をなしており、下端部は、底壁部2に当接している。突出壁部70の下部には、4つの切欠部70a,70a,…が間隔をあけて形成されている。各切欠部70aは、突出壁部70の下縁部から上方に延びており、主室Pと副室Zとを連通させる連通路V(図22にのみ示す)を構成するためのものである。突出壁部70には、連通路となる貫通孔や上下方向に延びるスリットを形成してもよい。
尚、図示しないが、オイルパン1には実施形態1のような補助リブも配設されている。
また、主室P内には、略水平に延びる板部71が配設されている。板部71は、切欠部70aの上下方向中間部に位置しており、周縁部が突出壁部70の内面に一体化されている。この板部71が主室Pの底部の内壁部を構成し、底壁部2が主室Pの底部の外壁部を構成している。
実施形態2では、主室Pの底部が、板部71と底壁部2とによって二重構造となるので、断熱性が向上する。これにより、特に、冷間時に主室P内のオイルが外部の冷気によって冷やされ難くなるので、主室P内のオイルを早く昇温させて粘度を低くすることができる。
また、図22に仮想線で示すオイルストレーナ5は、上下方向に延びる筒状に形成され、主室P内に配置されている。オイルストレーナ5の吸入口は下端部に開口しており、板部71の近傍に位置している。
以上説明したように、この実施形態2によれば、オイル貯留部4内の第1〜第4主リブM1〜M4及び補助リブによりオイルパン1の剛性を高めることができる。そして、第1〜第4主リブM1〜M4により、オイル貯留部4内に主室Pと副室Zとを区画形成し、これらリブM1〜M4に主室Pと副室Zとの連通路Vを設けたので、副室Zのオイルを連通路Vにより主室Pにスムーズに流すことができる。
尚、上記実施形態では、第2ロアーリブL2の上端部を第4主リブM4に当接させて接合しているが、第2ロアーリブL2の高さを低くして、第4主リブM4から離し、第2ロアーリブL2の上端部と第4主リブM4との間に隙間を形成してもよい。これにより、エンジンの始動直後において、油面近傍の比較的温かく、粘度の低いオイルを主室Pにスムーズに流入させることが可能になる。また、第2ロアーリブL2の代わりに、第3ロアーリブL3や、第5ロアーリブL5の高さを低くしてもよい。また、例えば、第4主リブM4の下端部を底壁部2から上方へ離して、第4主リブM4の下端部と底壁部2との間に隙間を形成してもよい。
また、板部71と底壁部2との間には、断熱材を配設してもよい。
また、上記実施形態1、2では、オイルパン1を2つに分割した場合について説明したが、これに限らず、3つ以上に分割してもよい。また、分割方向は上下方向に限られるものではなく、前後方向や左右方向であってもよい。
また、オイルパン1は一体成形品としてもよい。
また、オイル貯留部4内に主室Pを区画形成する場合に、その区画壁の一部を別部材で構成してもよいし、周壁部3で構成してもよい。
また、本発明は、各種エンジンやオートマチックトランスミッション等の動力装置のオイルパンに適用することができる。