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JP5633587B2 - 転写箔の製造方法 - Google Patents

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JP5633587B2 JP2013022995A JP2013022995A JP5633587B2 JP 5633587 B2 JP5633587 B2 JP 5633587B2 JP 2013022995 A JP2013022995 A JP 2013022995A JP 2013022995 A JP2013022995 A JP 2013022995A JP 5633587 B2 JP5633587 B2 JP 5633587B2
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Description

本発明は、転写箔の製造方法に関し、さらに詳しくは、意匠性とセキュリティ性に優れる蛍光発光性のホログラム層を転写性よく転写でき、転写後は耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光を有する転写箔の製造方法に関するものである。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、の略語、同意語、機能的表現、通称、又は業界用語である。また、「ホログラム」は「ホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)本発明の転写箔を用いて転写した偽造防止媒体の主なる用途としては、社員証、会員証、学生証などのIDカード、ギフト券、入場証、通行証、サービスポイントなどの、一定の金額を払い込んだ(プリペイドという)権利や資格などを証明する媒体が適用できる。しかしながら、特異な意匠性やセキュリティ性に優れるホログラム層を転写性よく転写でき、転写後は耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光潜像を有する用途であれば、特に限定されるものではない。
(背景技術)従来、上記の用途の媒体、例えば、IDカードなどの一定の金額を払い込んだ(プリペイドという)権利や資格などを証明する媒体が増加している。該媒体は一定の経済的価値や効果を持つため、有効期間や区間、氏名、年齢などの個別情報が改竄されて、不正に偽造、変造、不正使用することが絶えず、種々の改竄防止策が提案され、セキュリティ性の向上が図られている。優れた美観、意匠性とともに、高いセキュリティ性を持つホログラム転写箔を用いて、ホログラムを媒体へ転写することが知られている。ホログラム転写箔は、基本的には基材フィルム上に、剥離層または、離型層と保護層、ホログラム形成層、ホログラム効果層および接着層を設け、カードなどの被転写材の転写領域に対向させて接着し、接着後に基材フィルムを剥離して、カードなどの被転写材の表面にホログラム層を転写する。上記ホログラム転写箔は、ホログラム層の変造や偽造が困難であること、接着層に形成された画像は転写層の内部に存在することから、被転写物品の偽造、変造が有効に防止されているが、各種模倣、偽造、変造技術の向上によりさらに優れた偽造防止性、変造防止性が要求されるようになってきた。これらの要求に応えるために通常の白色光源下においては目視不能であるが、赤外線または紫外線照射下で可視領域の蛍光を生じる蛍光顔料からなる蛍光潜像の画像などをカードなどの表面に形成することが考えられる。しかしながら、上記蛍光顔料からなる画像は容易に書き換え可能であるとともに、身分証明書やキャッシュカードなどはその使用頻度が高くまたカードリーダーなどにより表面に多くの摩擦力が加えられることから、蛍光顔料印刷層が容易に剥落してしまうという課題がある。また、蛍光潜像を形成する方法として、各種の画像を簡単に形成できる為、簡便な熱転写法が広く用いられている。蛍光潜像は、熱転写層に蛍光剤を含有させてなる熱転写箔を用いて、サーマルヘッドやレーザー等の加熱手段により、カード等の被転写体に記録することができる。一方、上記の用途の媒体、例えば、IDカードでは媒体の表面へ文字、数字、顔写真等のような画像が形成される。これらの画像の形成は、近年、所謂溶融転写タイプ又は昇華転写タイプのインクリボンを用いて熱転写又は昇華転写による転写法で行われることが多い。該転写法によるIDカードは、文字や数字等の如き画像の形成は容易であるが、熱転写法の画像は耐久性や耐摩擦性が劣ったり、昇華転写法の画像は耐光性、耐候性、耐摩擦性が劣るという問題がある。上記耐久性を解決する方法として、透明樹脂層や硬化樹脂層などの保護層(本発明のハードコート性層に相当する)を転写する方法が多数提案されている。従って、カードなどの媒体(被転写体)へ箔切れがよく容易に転写でき、転写された媒体においては、セキュリティ性に優れ、かつ、使用時耐久性即ちハードコート性を有し、多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面と保護する耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有する転写箔の製造方法が求められている。
(先行技術)従来、蛍光染料又は蛍光増白剤を形成又は転写したカードが知られている(例えば、特許文献1〜2参照。)。しかしながら、従来の蛍光染料又は蛍光増白剤では耐熱性、耐光性や耐候性などの耐久性に欠けるという欠点がある。また、本出願人は、基材フィルム上に、剥離層または、離型層と保護層、ホログラム形成層、ホログラム効果層および接着層からなるホログラム転写箔において、上記剥離層または、離型層と保護層と、ホログラム形成層との間、または上記ホログラム効果層と接着層との間に無色または白色の蛍光顔料を含む蛍光顔料印刷層が設けられていることを特徴とするホログラム転写箔を開示している(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、従来の蛍光顔料では耐光性や耐候性などの耐久性に欠け、かつ、ホログラム効果層と蛍光顔料印刷層の2層とせねばならず、製造が複雑で高コストとなるという問題点がある。さらに、多種の物品に、転写箔やラベルによって形成することができる識別マークとしては、光学活性希土類錯体を含有する蛍光発光層を有する識別マークであって、該希土類錯体がジアステレオ選択性を有する配位子を持つ。前記光学活性希土類錯体を含有する蛍光発光層が、特定波長領域で円偏光性の蛍光を放出するため、左右円偏光の強度の差、またはg値を測定することによって真偽判定をおこなうことができる識別マークが知られている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、仮支持体フィルム上に、光学活性希土類錯体を含有する蛍光発光層(識別マーク)、及び接着剤層をこの順に積層したことを特徴とする転写箔であって、媒体の表面へ転写されて最表面となり、多数回の繰り返し使用されると、耐擦傷性や耐溶剤性などに欠けて、耐久性に欠けるという欠点がある。
特開平3−159796号公報 特開平3−159795号公報 特開2006−1212号公報 特開2005−111704号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、カードなどの媒体(被転写体)へ箔切れがよく容易に転写でき、転写された媒体においては、セキュリティ性に優れ、かつ、使用時の耐久性即ちハードコート性を有し、多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面と保護する耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有する転写箔の製造方法を提供する。
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1の発明に係わる転写箔の製造方法は、
基材と、該基材の一方の面へ少なくとも離型層、ホログラム層、反射層及び接着層を設けてなる転写箔の製造方法において、前記基材を準備する基材準備工程と、前記基材の一方の面へ離型層を形成する離型層形成工程と、以下の前記ホログラム層の組成物を準備するホログラム層組成物準備工程と、前記ホログラム層組成物が電離放射線硬化性樹脂(イ)及び希土類錯体(ロ)を含み、(イ)前記電離放射線硬化性樹脂がハードコート性の電離放射線硬化性樹脂であって、前記電離放射線硬化性樹脂が(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有し、(ロ)前記希土類錯体が蛍光発光性の希土類錯体であって、希土類イオンLn3+がEu3+、Tb3+、Yb3+、Nd3+、Er3+、Sm3+、Dy3+又はCe3+のいずれかであり、前記ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂と前記希土類錯体との配合割合が質量基準で、電離放射線硬化性樹脂:希土類錯体=95〜99.9:0.1〜5であり、前記ホログラム層の組成物を用いて、前記離型層の面へ、未硬化のホログラム層を形成する未硬化ホログラム層形成工程と、前記未硬化ホログラム層の面へ、微細な凹凸構造のレリーフホログラムを賦形する賦形工程と、前記賦形の面へ、前記希土類錯体の吸収波長領域と異なる波長250nm以下の紫外領域の電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化性樹脂を硬化させる紫外線照射工程と、前記ホログラム層の面へ、反射層を形成する反射層形成工程と、前記反射層の面へ接着層を形成する接着層形成工程と、からなることを特徴とする転写箔の製造方法である。
発明によれば、カードなどの媒体(被転写体)へ転写する際の箔キレなどの転写性よく転写することができ、転写された媒体においては、意匠性とセキュリティ性に優れ、かつ、多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面保護し、耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有する転写箔の製造方法が提供される。
本発明の製造方法で製造されてなる転写箔の断面図である。 本発明の製造方法で製造されてなる転写箔を用いて転写した本発明の偽造防止媒体である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(転写箔)本発明の転写箔の製造方法で製造されてなる転写箔10は、図1に示すように、基材11と、該基材11の一方の面へ少なくとも離型層13、ホログラム層15、反射層17及び接着層19を設けてなり、基材11/離型層13/ホログラム層15/反射層17/接着層19、の層構成である。ホログラム層15はハードコート性の電離放射線硬化樹脂及び蛍光発光性の希土類錯体を含む蛍光発光性のホログラム層であるようにする。また、本発明の転写箔の製造方法で製造されてなる転写箔10を用いて、ホログラム層15/反射層17/接着層19を転写することで、カードなどの媒体(被転写体)へ転写する際の箔キレなどの転写性よく転写することができ、ホログラム層15(ハードコート性)/反射層17/接着層19/被転写体の層構成からなる媒体となり、ホログラム層15が最表面となって、ハードコート性を有する蛍光発光性のホログラム効果が発現する。
本発明の転写箔の製造方法で製造されてなる転写箔10は、次のような効果を奏することができる。(1)ホログラム層15はハードコート性の電離放射線硬化樹脂を含むことで、ホログラム賦型性とハードコート性を両立できる。(2)従来の蛍光発光剤は結晶粒子が大きくホログラム層15への配合ができなかったが、分子量1500程度の希土類錯体を用いることで、容易に均一に分散することができる。(3)ホログラム層15へ耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性の希土類錯体を含ませることで、従来の蛍光発光剤と比較して、格段に優れた耐熱性や耐光性を有する蛍光発光性が得られる。(4)ホログラム層15へ耐熱性に優れる蛍光発光性の希土類錯体を含ませることで、ホログラムを賦型する際の熱で蛍光発光剤が劣化せず、蛍光発光性が維持される。(5)また、蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域が電離放射線硬化樹脂の吸収波長領域と異なっているようにすることで、ホログラム層15の電離放射線硬化性樹脂の硬化を、蛍光発光剤が阻害しないので、充分に硬化させることができる。(6)従って、従来は蛍光層と、それを保護するハードコート層などの保護層の2層であったものを、ホログラム層15へ蛍光発光性の希土類錯体を含ませることができて、ハードコート性を有するホログラム層15の1層とすることができる。(7)蛍光発光性、ハードコート性のホログラム層15が、蛍光発光する時には、エンボス(ホログラム)の輪郭でも発光するために、この界面での蛍光発光しない部分との光量差からエッジが際立って光るという効果もありセキュリティ性が向上する。
(基材)基材11としては、耐熱性、機械的強度、製造に耐える機械的強度、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、アクリル系樹脂、イミド系樹脂、ポリアリレートなどのエンジニアリング樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン系樹脂、セロファンなどのセルロース系フィルムなどがある。該基材は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。通常は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系のフィルムが、耐熱性、機械的強度がよいため好適に使用され、ポリエチレンテレフタレートが最適である。
また、該基材11は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。該基材の厚さは、通常、2.5〜50μm程度が適用できるが、2.5〜12μmが好適で、4〜6μmが最適である。該基材11は、塗布に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
(離型層、剥離層)転写時の剥離性を向上させるために、離型層13を設け、必要に応じて、剥離層も設けてもよく、離型層13及び剥離層の両方を設けるより転写性をより向上できる。
(離型層)離型層13としては、通常、離型性樹脂、離型剤を含んだ樹脂、電離放射線で架橋する硬化性樹脂などがあるが、特に限定されないが、好ましくはメラミン系樹脂である。後述する蛍光15と組合わせることで、離型層13との剥離性が安定し、転写時の転写性を向上させることができる。
離型層13の形成は、該樹脂を溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコートなどの公知のコーティング方法で、塗布し乾燥して、温度150℃〜200℃程度で焼き付ける。離型層13の厚さとしては、通常は0.01μm〜5.0μm程度、好ましくは0.5μm〜3.0μm程度である。
(剥離層)必要に応じて設ける剥離層としては、弗素系樹脂、シリコーン、各種のワックスなどの離型剤を添加または共重合させたアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、繊維素系樹脂、ワックス、メラミン系樹脂等が例示でき、離型層13及び剥離層の両方を設ける場合には、適宜組み合わせて用いればよく、この場合には、剥離層は転写後に保護層としての機能を合わせ持つ。
(ホログラム層)ホログラム層15としては、蛍光発光性の希土類錯体と電離放射線硬化樹脂とを主成分とし、シリコーンやフィラーを含ませ、好ましくはフィラーとしてポリエチレンワックスを含ませるようにする。ホログラム層15が電離放射線硬化樹脂及びポリエチレンワックスを含むことで、転写後は最表面を形成し、より耐擦傷性(耐スクラッチ性ともいう)、耐摩耗性や耐溶剤性などの高耐久性を発揮する。さらに好ましくは接着層19へはフィラーとしてマイクロシリカを含ませることで、転写する全部の層へフィラーを混入させることで、カードなどの媒体(被転写体101)へ転写する際の箔キレをよくさせて転写することができる。
(希土類錯体)蛍光発光性の希土類錯体とは、蛍光発光する光学活性希土類錯体で、光学活性部位を持つ希土類錯体のことをいい、光学活性部位を持つ配位子が配位している希土類錯体か、もしくは希土類錯体の正四角反柱型の配位構造の、希土類金属原子周辺の絶対配置に関して存在する2種の立体異性体(Δ体、Λ体)のうち、一方が過剰に含まれている状態の希土類錯体をいう。 このような構造の希土類錯体は、発光特性に優れ、半値幅の狭いシャープな発光スペクトルを示すものである。特に、希土類イオンLn3+がEu3+、Tb3+、Yb3+、Nd3+、Er3+、Sm3+、Dy3+、Ce3+、のいずれかである希土類錯体は弱い励起光でも強い発光をする強発光性の希土類錯体であり、好ましく用いられる。例えば、一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)などがある。また、希土類錯体には<−Cn2n+1(nは1〜22の整数)>基を含むことが耐熱性や安定性の点で好ましい。具体的には、ルミシス(登録商標、総販売元:セントラルテクノ社製、製造元:株式会社日生化学工業所)R−600、G−900、YB−1200などが例示できる。詳しくは、WO2005/044770号公報、特開2006−249075号公報、特開2005−97240号公報、に記載されている。
Figure 0005633587
Figure 0005633587
(式中、Dは重水素原子、ハロゲン原子又は水素原子を含まないC1〜C22の脂肪族基を示す)
Figure 0005633587
(式中、XはC−RまたはNを表し、Rは水素原子または置換基を表す)
Figure 0005633587
発光効率のよい希土類錯体を用いることで、バインダ樹脂である電離放射線硬化性樹脂樹脂に含有させる蛍光発光性の希土類錯体の割合は質量基準で、0.01〜10%程度、好ましくは0.1〜5%である。この範囲未満では蛍光発光の強度が小さく、この範囲を超えても蛍光発光の強度は充分過ぎて、高コストとなってしまう。
(波長領域)さらに、バインダ樹脂である電離放射線硬化性樹脂としては、前記樹脂系のうち、蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域、及び蛍光発光波長領域に吸収がないか、吸収が小さいものが好ましい。蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域に吸収があると、電離放射線硬化性樹脂へ電離放射線を照射して反応(硬化)させてホログラム層15を形成する際に、希土類錯体が電離放射線の1部を吸収してしまい、反応(硬化)不良をきたし耐久性不足となったり、又は多大な照射量を要して高コストとなってしまうのである。この点で、前記のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂系が好ましく、該樹脂系は波長250nm以下の紫外領域の照射でも硬化させることができる。また、蛍光発光性の希土類錯体の蛍光発光波長領域に吸収があると、ホログラム層15/接着層19が転写された媒体へ、蛍光発光させるために、例えば紫外線を照射した際に、電離放射線硬化性樹脂が紫外線の1部を吸収してしまい、発光不良をきたし蛍光の輝度不足となったり、又は多大な照射量を必要として蛍光発光装置の高出力によって大型化、高コストとなってしまうのである。なお、硬化前の電離放射線硬化性樹脂と硬化後の電離放射線硬化樹脂の吸収波長領域は同様である。
該電離放射線硬化性樹脂としては、好ましくは、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂を用い、好ましくはポリエチレンワックス又はシリカなどのフィラーを含ませて、塗布し乾燥して電離放射線で硬化させて、電離放射線硬化樹脂とすればよい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂(本明細書では電離放射線硬化性樹脂組成物Mと呼称する)は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物、具体的には、特開2001−329031号公報で開示されている光硬化性樹脂などが例示できる。具体的には、MHX405ニス(ザ・インクテック(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)、ユピマーUV・V3031(三菱化学(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)が例示できる。
(フィラー)シリカとしてはマイクロシリカなどが例示できる。ポリエチレンワックスとしては、ポリエチレン系樹脂の粒子やビーズが挙げられるが、好ましくは球状ビーズである。但し、ポリエチレンワックスを添加すると、箔切れ性は低下するので、その添加量は、電離放射線硬化樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部程度、好ましくは0.1〜5質量部とする。転写後にはホログラム層15が最表面層となり、含まれるポリエチレンワックスは、機械的な摩擦、及び摩耗から媒体を保護し、後述する画像などの固有情報も保護する。
(1)ホログラム層15へシリカやポリエチレンワックスを含ませることで、転写後にはホログラム層15が最表面層となるが、極めて過酷な環境での使用、長期間にわたる使用、及び/又は多数回の繰り返し使用などでも、溶剤、機械的な摩擦、及び摩耗から被転写体に設けられた画像を保護し、傷付きにくく耐久性に優れる。(2)ホログラム層15はメラミン系樹脂を用いた離型層13と界面を接しているので、ホログラム層15と離型層13との間で剥離し、安定した剥離性を有するので、転写時にはバリなどの発生も極めて少なくさせることができる。(3)ホログラム層15へはフィラーとしてマイクロシリカ又はポリエチレンワックスを含ませ、かつ、接着層19へはフィラーとしてマイクロシリカを含ませて、転写する全部の層へフィラーを混入させているので、カードなどの媒体(被転写体101)へ転写する際の箔キレをよくさせて、(2)の安定した剥離性とともに、転写性を向上させることができる。
(ホログラム層の形成)ホログラム層15の形成は、上記の電離放射線硬化性樹脂、蛍光発光性の希土類錯体、光重合開始剤、シリコーン、必要に応じてシリカ又はポリエチレンワックス、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどの公知のコーティング方法で塗布し乾燥して、ホログラムを賦型後に電離放射線で反応(硬化)させればよい。
(ホログラム層の厚味)ホログラム層15の厚さは、通常、1〜5μm程度であるが、本発明では、極めて過酷な環境での使用、使用期限がなかったり、長期にわたる使用、及び/又は多数回の繰り返し使用などでも、溶剤や機械的な摩擦及び摩耗、特に引掻きから画像を保護し、傷付きにくい耐久性を付与するために、ホログラム層15の厚みで5μm以上で、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上とする。上限は特に限定されないが、価格や箔切れ性から25μm以下程度である。ホログラム層15の厚味が5μm以上で、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であるようにすることで耐久性が高まり、極めて過酷な環境での使用、使用期限がなかったり、長期にわたる使用、及び/又は多数回の繰り返し使用などでも、化学的機械的な外力から画像を保護できる転写箔が得られる。
転写する層であるホログラム層15/反射層17/接着層19の総厚さが厚くなっても、通常の転写箔の転写層数μmと比較すると著しく厚くなると、バリが発生したり、箔切れが悪く転写速度低下などの転写性が著しく低下するが、転写する層の全部にフィラー成分を含ませると、剥離性もよく、箔切れ性もよくすることができるので、容易に転写することができる。
(ホログラム)本発明の転写箔10では、ホログラム層15の接着層19側の表面に、光回折性の微細な凹凸を形成してホログラム層15とし、微細な凹凸面に反射層17を設けることで、ホログラムの持つ高意匠性及び偽造防止性を付与することができる。ホログラム層15の微細な凹凸は、図1に示すように、基材11/離型層13/ホログラム層15/反射層17/接着層19の層構成である。ホログラム層15は、ホログラム層15と同様の電離放射線硬化性樹脂の硬化物を用いるので、ハードコート層の機能を兼ね備えており、一石二鳥である。
ホログラム層15の微細な凹凸(ホログラム)は、ホログラム層15と同様の電離放射線硬化性樹脂の硬化物でよく、好ましくは反応性シリコーンを含ませ、それらに加えてシリカやポリエチレンワックスも含ませる場合もある。このようにすることで、電離放射線硬化後でも熱で白化しない耐熱性と、白化などのホログラム効果の低下が少なく意匠性に優れる。ホログラム層15の形成は、公知のコーティング方法で、少なくとも1部に塗布し乾燥して塗膜を成したりすれば良い。
(ホログラム)次に、ホログラム層15の表面には、ホログラムなどの光回折効果の発現する所定の微細な凹凸(レリーフ構造)を賦型し、硬化させる。ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラム等のレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。レリーフ形状は凹凸形状であり、特に限定されるものではなく、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものでもよく、例えば、フーリエ変換やレンチキュラーレンズ、光回折パターン、モスアイ、が形成されたものである。また、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターンなどでもよい。
これらのレリーフ形状の作製方法としてはホログラム撮影記録手段を利用して作製されたホログラムや回折格子の他に、干渉や回折という光学計算に基づいて電子線描画装置等を用いて作製されたホログラムや回折格子をあげることもできる。また、ヘアライン柄や万線柄のような比較的大きなパターンなどは機械切削法でもよい。これらのホログラム及び/又は回格子の単一若しくは多重に記録しても、組み合わせて記録しても良い。
ホログラム層15面へ、上記のレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する。ホログラムの賦型は、公知の方法によって形成でき、例えば、回折格子やホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。
また、ホログラム層15に形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。複数のホログラムパターンを設ける場合には、該ホログラムパターン毎にホログラムマーク(タイミングマーク)設けることが好ましい。該ホログラムマーク(タイミングマーク)を検知して、後述するインクジェット方式で画像を形成する際に、ホログラムパターンとインクジェット画像とを同期して形成することができ、同期したホログラム像と印画画像との意匠効果やセキュリティ性をより向上させることができる。ホログラム層15は、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、紫外線や電子線などの電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(微細な凹凸=レリーフ構造=ホログラム)となる。
(反射層)反射層17は、所定のレリーフ構造を設けたホログラム層15面のレリーフ面へ、反射層17へ設けることにより、レリーフの反射及び/又は回折効果を高めるので、ホログラム層15の反射率より高れば、特に限定されない。該反射層17としては、真空薄膜法などによる金属薄膜などの金属光沢反射層、又は透明反射層のいずれでもよいが、被転写体へ形成されている画像の面へ転写しても、画像が観察できる透明反射層が好ましい。透明反射層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できるから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム層15よりも光屈折率の高い薄膜、および光屈折率の低い薄膜とがあり、前者の例としては、ZnS、TiO、Al、Sb、SiO、SnO、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF、AlFがある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Au等の酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上混合したもの等が例示できる。またアルミニウム等の一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが200Å以下になると、透明性が出て使用できる。透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、ホログラム層15のレリーフ面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。
(接着層)接着層19としては、公知の加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤が適用でき、具体的には、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。
該接着層19には、マイクロシリカなどのフィラーを含むことが、箔切れ性の点で好ましい。また、接着層19の樹脂としては、95℃程度の低温で溶融接着し、60℃程度になると固化して接着し、融点が60〜95℃ものが好ましい。融点が上記範囲未満であると、被転写体との接着性が不十分であり、形成された画像を使用する温度が制限される。また、融点が上記範囲を越えるとサーマルヘッドによる加熱では転写性が不十分となり、又、ハードコート層の箔切れ性が低下し、バリなどが発生し易い。
好ましい接着層19としては、熱接着性ポリエステル系樹脂とマイクロシリカとを含有し、前記熱接着性ポリエステル系樹脂と前記マイクロシリカとの割合が質量基準でポリエステル系樹脂:マイクロシリカ=90〜94:6〜10である。マイクロシリカの含有割合が上記範囲未満では箔キレ性が悪く、上記範囲を越えると透明性が低下し画像が見えにくくなる。
該材料樹脂を溶剤に溶解または分散させて、適宜顔料などの添加剤を添加して、公知のロールコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティングなどの方法で塗布し乾燥させて、厚さ1〜30μmの層を得る。
(転写)本発明の転写箔の製造方法で得られた本発明の転写箔10を用いて、被転写体へ少なくともホログラム層15/接着層19を転写する。なお、転写時には離型層13とホログラム層15との間で剥離するが、若干離型層13の1部がホログラム層15へ移行する場合もあるが、本発明の範囲内である。転写は、被転写体への転写する方法で、公知の転写法でよく、例えば、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)、熱ロールによる全面又はストライプ転写、サーマルヘッド(感熱印画ヘッド)によるサーマルプリンタ(熱転写プリンタともいう)などの公知の方法が適用できる。スポット状、文字、数字、イラストなどの任意の形状を転写してもよい。異なる任意の形状である顔写真などの可変情報を連続操作できたり、オンデマンドで印画できるサーマルプリンタが好ましい。このように、カードなどの媒体(被転写体)へ箔切れがよく容易に転写することができる。
(被転写体)被転写体101としては、特に限定されず、例えば天燃繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフイルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布あるいは染料受容性のある媒体等いずれのものでもよく、用途によって、適宜選択すればよい。また、被転写体101の媒体はその少なくとも1部が、画像、着色、印刷、その他の加飾が施されていてもよい。
(耐久性)本発明の転写箔10を用いることで、被転写体の最表面はホログラム層15からなり、別途保護層を設けなくても、耐擦傷性や耐溶剤性などの耐久性に優れる。最表面となったホログラム層15の鉛筆硬度試験は、JIS−K5400に準拠して測定し、H以上の硬度が好ましい。また、ホログラム層15のスクラッチ強度は、表面の充分な耐摩擦性の点から、サファイア150g以上、好ましくは200g以上である。なお、スクラッチ強度の測定方法は、23℃、55%RHの条件下で24時間調湿した試料に対して、耐摩耗性試験機(HEIDON−18)を用い、0.8mmφサファイア針を直角にあてがい、サファイア針に掛かる荷重を0gから200gまで徐々に増加させ、60cm/minで試料表面を摺動して移動させながら、表面に傷が付き始める時の荷重の測定を行った。荷重が大きいほど良好であることを表す。多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面と保護し、機械的化学的な損傷から長期間にわたって保護できるので、極めて過酷な環境で使用されるガソリンスタンドカードや工事現場カード、及び、使用期限がなかったり、長期にわたる入退室カードやポイントカード、金融機関などの多数のセキュリティ管理された部屋への入退室を繰り返す入退室カードなどにも好適に使用することができる。
また、ホログラム層15の蛍光発光性のホログラムが形成され、意匠性とセキュリティ性が発現する。さらに、ホログラム層15の蛍光は、蛍光発光性の希土類錯体による発光であり、耐熱性や耐光性に優れる。ホログラム層15の蛍光は、通常の可視光では観察できず、特定波長光の照射により可視光を発光するものが好ましく、光源としては紫外領域の波長が好ましく、紫外LED、ブラックライト、キセノンランプ、短波長半導体レーザーなど例示できる。
蛍光は、全面ベタ状のホログラム層15の転写箔10を用いて、被転写体へ転写する際に、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)、熱ロールによる全面又はストライプ転写、サーマルヘッド(感熱印画ヘッド)によるサーマルプリンタ(熱転写プリンタともいう)などの公知の方法に対応する金型、任意の形状に出力したデータをサーマルヘッドへ送って転写すればよい。金型やデータに応じた円形や星形などのスポット状、文字、数字、イラストなどが形成される。勿論、ベタ状に転写してもよい。
ホログラム層15に用いた蛍光発光性の希土類錯体の耐熱性は、約250℃にも耐え、ホログラム層15でも200℃環境下に1時間放置しても、発光輝度に著しい変化はなかった。また、JIS−B−7753(サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機)に準拠して測定した耐候性試験は、500時間の照射後における印刷物の色の変化を照射前と比較して目視で評価したが、500時間後でも著しい変化はなかった。このように、カードなどの媒体(被転写体)へ箔切れがよく容易に転写でき、転写された媒体においては、セキュリティ性に優れ、かつ、使用時の耐久性即ちハードコート性を有し、多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面と保護する耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有している。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)基材11として厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材11の一方の面へ、グラビアコート法で、TCM01メジューム(大日本インキ社製、メラミン樹脂商品名)塗工液を乾燥後2μmになるように塗布し乾燥して、180℃20秒間焼き付けて、離型層13を形成した。該離型層13面へ、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが2μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた。
・<電離放射線硬化性樹脂組成物の作製手順>
まず、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」は以下の手順で、生成した。撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、酢酸エチル206.1g及びイソホロンジイソシアネートの三量体(HULS社製品、VESTANAT T1890、融点110℃)133.5gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだのち、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.38g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製品、ビスコート300)249.3g及びジブチル錫ジラウレート0.38gを仕込んだ。80℃で5時間反応させたのち酢酸エチル688.9gを添加して冷却した。該「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と、造膜性樹脂(アクリル系オリゴマー)、反応性シリコーン、ポリエチレンワックス、光重合開始剤、及び溶媒を下記の組成で配合して電離放射線硬化性樹脂組成物を調製した。
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.15質量部
ルミシスR−600(セントラルテクノ社、赤発光性の希土類錯体商品名)0.3質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.6質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
次に、該層は電離放射線硬化前であり、塗膜は指乾状態であった。該層面へ、2光束干渉法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄としたプレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ホログラム層15を形成した。
該ホログラム層15のレリーフ面へ、厚さ50nmの酸化チタンを真空蒸着法で形成して、透明反射層17とした。該透明反射層17面へ、接着層組成物としてTM−A1HS(大日精化社製、商品名)をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、接着層19を形成する転写箔の製造方法にて、基材11/剥離層13/ホログラム層15/透明反射層17/接着層19の層構成からなる転写箔10を得た。
(実施例2)基材11として厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材11の一方の面へ、グラビアコート法で、メラミン樹脂塗工液を乾燥の厚さが2μmになるように塗布し乾燥して離型層13を形成した。
該離型層13面へ、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが2μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、ホログラム層15を形成した。
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
ユピマーUV・V3031(三菱化学社製、紫外線硬化性樹脂商品名) 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光7510B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−1602) 0.2質量部
ルミシスG−900(セントラルテクノ社、緑発光性の希土類錯体商品名)0.3質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 1.75質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
次に、該ホログラム層15面へ、EB(電子線)描画法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄としたスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させた。該ホログラム層15のレリーフ面へ真空蒸着法で厚さが300nmのアルミニウム薄膜を形成して反射層17を形成した。該反射層17面へ、接着層組成物としてTM−A1HS(大日精化社製、商品名)をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、接着層19を形成する転写箔の製造方法にて、基材11/剥離層13/ホログラム層15/反射層17/接着層19の層構成からなる転写箔10を得た。
(実施例3)電離放射線硬化性樹脂組成物Mの代わりに、MHX405ニス(ザ・インクテック(株)製、紫外線硬化性(電離放射線硬化性樹脂)商品名)を用いる以外は、実施例1と同様にして、転写箔10を得た。
(実施例4)基材11として厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材11の一方の面へ、グラビアコート法で、TCM01メジューム(大日本インキ社製、メラミン樹脂商品名)塗工液を乾燥後2μmになるように塗布し乾燥して、180℃20秒間焼き付けて、離型層13を形成した。該離型層13面へ、下記のホログラム層組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の塗布厚さが6μmになるように塗工し100℃で乾燥させた。
・<ホログラム層組成物>
MHX405ニス(ザ・インクテック(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B) 5質量部
ルミシスR−600(セントラルテクノ社、赤発光性の希土類錯体商品名)0.3質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.6質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
次に、該層面へ、立体の社章の2光束干渉法によるホログラムから、2P法で複製した絵柄(立体の社章像を再生するレリーフ)と、該絵柄毎にホログラムマークが設けて一対とし、該一対を複製の流れ方向へ順次羅列して複数絵柄としたプレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ホログラム層15を形成した。該ホログラム層15のレリーフ面へ、コロナ処理を行い、厚さ500nmの酸化チタンを真空蒸着法で形成して、透明な反射層17とした。
該透明な反射層17面へ、下記のプライマ層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が0.5μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、プライマ層とした。
・<プライマ層組成物途工液>
ポリエステル樹脂 10質量部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1質量部
トルエン 40質量部
メチルエチルケトン 40質量部
該プライマ層面へ、下記の接着層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が3μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、接着層19とした。
・<接着層組成物>
ポリエステル樹脂SP170(日本合成化学社製、商品名)20質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1質量部
溶媒(MEK:トルエン=1:1) 80質量部
以上の転写箔の製造方法にて、基材11/離型層13/ホログラム層15(微細な凹凸)/プライマ層/接着層19、の層構成からなる転写箔10を得た。
(実施例5)
基材11として厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材11の一方の面へ、グラビアコート法で、TCM01メジューム(大日本インキ社製、メラミン樹脂商品名)塗工液を乾燥後2μmになるように塗布し乾燥して、180℃20秒間焼き付けて、離型層13を形成した。該離型層13面へ、下記の赤発光性の層組成物、緑発光性の層組成物、青発光性の層組成物を用いて、グラビア印刷法でそれぞれ乾燥後の厚さが2μmになるように、顔写真を印刷した後に、透明なホログラム層組成物を用いてグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが4μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた。この4層を合わせてホログラム層15となる。
・<赤発光性の層組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
ルミシスR−600(セントラルテクノ社、赤発光性の希土類錯体商品名)0.3質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.6質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
・<緑発光性の層組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
ルミシスG−900(セントラルテクノ社、緑発光性の希土類錯体商品名)0.3質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.6質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
・<青発光性の層組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
ルミシスYB−1200(セントラルテクノ社、青発光性希土類錯体商品名)0.3質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.6質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
ユピマーUV・V3031(三菱化学社製、紫外線硬化性樹脂商品名) 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光7510B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−1602) 0.2質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 1.75質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
次に、該層は電離放射線硬化前であり、塗膜は指乾状態であった。該層面へ、2光束干渉法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄としたプレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ホログラム層15を形成した。該ホログラム層15のレリーフ面へ、厚さ50nmの酸化チタンを真空蒸着法で形成して、透明反射層17とした。該透明反射層17面へ、接着層組成物としてTM−A1HS(大日精化社製、商品名)をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、接着層19を形成する転写箔の製造方法にて、基材11/剥離層13/ホログラム層15/透明反射層17/接着層19の層構成からなり、回折格子の光回折模様に浮かぶカラー顔写真を有する転写箔10を得た。
(比較例1)ホログラム層15のホログラム層組成物として、下記の組成物を用いる以外は、実施例1の転写箔の製造方法にて、比較例1の転写箔を得た。
・<ホログラム層組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
蛍光増白剤 0.3質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.6質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
(実施例6〜10、比較例2)被転写体101としてポリ塩化ビニール製のクレジットカード仕様のカードを用い、該被転写体101の表面へ、昇華型熱転写シート(大日本印刷(株)製、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラー標準リボン)を用いて、600dpiの熱転写プリンターで固有情報である顔写真及び氏名を印画し画像を形成した。
該画像面へ、FARGO製のカード用プリンタHDP820で、実施例1〜5の転写箔の製造方法で製造した転写箔10、及び比較例の転写箔の製造方法で製造した転写箔の接着層19面を重ねて、4×5mmの矩形状に転写し基材を剥離し徐去して、実施例6〜10及び比較例2の偽造防止媒体100とした。
(評価試験)評価は被転写体へ転写し、転写性、転写後の表面の硬度、スクラッチ性、及びホログラム層(兼蛍光層)の耐光性で評価した。
(評価結果)実施例1〜5の転写箔の製造方法で製造した転写箔10の硬化前のホログラム層はいずれも指乾状態であり、巻取りができ、以降の工程もロールツーロール加工ができた。実施例1〜5の転写箔の製造方法で製造した転写箔10、及び比較例1の転写箔の製造方法で製造した転写箔10は、転写時の剥離性もよく、箔切れ性もよく、正常に転写できた。また、実施例6〜10及び比較例2の偽造防止媒体100面の鉛筆硬度試験を、JIS−K−5400に準拠して測定したところ、2H以上の硬度を有し、さらに、実施例6〜10の表面のスクラッチ強度はサファイア200g以上であり、充分な耐久性を有していた。このことは、ホログラム層へ蛍光発光性の希土類錯体を含ませても、蛍光発光剤の吸収波長によって、電離放射線硬化性樹脂の硬化を阻害せず、充分に硬化できたことを示している。さらに、ホログラム層へ波長365nmのブラックライトで紫外線を照射すると、蛍光発光し、ホログラム画像の輪郭も見えた。なお、耐光性に関しては、実施例1〜5の転写箔の製造方法で製造した転写箔10、及び比較例1の転写箔の製造方法で製造した転写箔10、並びに実施例6〜10及び比較例2の偽造防止媒体100を用いて、JIS−B−7753(サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機)に準拠して測定を行い、500時間の照射後における画像の色の変化を照射前と比較して目視で評価した。実施例1〜5の転写箔10、実施例6〜10の偽造防止媒体100でも、著しい変化はなく良好な耐光性であった。このことは、ホログラム層へ含ませる蛍光発光剤の材料を希土類錯体と限定することで、得られた耐光性であり、意匠性やセキュリティ性の向上を図ることができた。しかしながら、比較例1の転写箔の製造方法で製造した転写箔10、及び比較例2の偽造防止媒体では、退色が著しく、不良であった。
本発明の転写箔の製造方法で製造した転写箔10を用いて、転写した偽造防止媒体の主なる用途としては、社員証、会員証、学生証などのIDカード、ギフト券、入場証、通行証、サービスポイントなどの、一定の金額を払い込んだ(プリペイドという)権利や資格などを証明する媒体が適用できる。しかしながら、特異な意匠性やセキュリティ性に優れるホログラム層を転写性よく転写でき、転写後は耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光潜像を有する用途であれば、特に限定されるものではない。
10:転写箔
11:基材
13:離型層
15:ホログラム層
17:反射層
19:接着層
100:偽造防止媒体
101:被転写体

Claims (1)

  1. 基材と、該基材の一方の面へ少なくとも離型層、ホログラム層、反射層及び接着層を設けてなる転写箔の製造方法において、
    前記基材を準備する基材準備工程と、
    前記基材の一方の面へ離型層を形成する離型層形成工程と、
    以下の前記ホログラム層の組成物を準備するホログラム層組成物準備工程と、
    前記ホログラム層組成物が電離放射線硬化性樹脂(イ)及び希土類錯体(ロ)を含み、
    (イ)前記電離放射線硬化性樹脂がハードコート性の電離放射線硬化性樹脂であって、前記電離放射線硬化性樹脂が(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有し、
    (ロ)前記希土類錯体が蛍光発光性の希土類錯体であって、希土類イオンLn3+がEu3+、Tb3+、Yb3+、Nd3+、Er3+、Sm3+、Dy3+又はCe3+のいずれかであり、
    前記ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂と前記希土類錯体との配合割合が質量基準で、電離放射線硬化性樹脂:希土類錯体=95〜99.9:0.1〜5であり、
    前記ホログラム層の組成物を用いて、前記離型層の面へ、未硬化のホログラム層を形成する未硬化ホログラム層形成工程と、
    前記未硬化ホログラム層の面へ、微細な凹凸構造のレリーフホログラムを賦形する賦形工程と、
    前記賦形の面へ、前記希土類錯体の吸収波長領域と異なる波長250nm以下の紫外領域の電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化性樹脂を硬化させる紫外線照射工程と、
    前記ホログラム層の面へ、反射層を形成する反射層形成工程と、
    前記反射層の面へ接着層を形成する接着層形成工程と、からなることを特徴とする転写箔の製造方法。
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