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JP5617188B2 - 現像装置及び画像形成装置 - Google Patents

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JP5617188B2
JP5617188B2 JP2009115346A JP2009115346A JP5617188B2 JP 5617188 B2 JP5617188 B2 JP 5617188B2 JP 2009115346 A JP2009115346 A JP 2009115346A JP 2009115346 A JP2009115346 A JP 2009115346A JP 5617188 B2 JP5617188 B2 JP 5617188B2
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Description

本発明は、表面に担持搬送するトナーで像担持体上に形成された潜像を現像するトナー担持体と、表面に現像剤を担持搬送し、前記トナー担持体に前記現像剤中のトナーを供給する現像剤担持体とを有する現像装置、及び該現像装置を備えた画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置において、像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像装置として、現像剤としてトナーのみを用いる一成分現像法及びトナーとキャリヤを用いる二成分現像法が知られている。
一成分現像法では一般的にトナーをトナー担持体とトナー担持体に押圧された規制板とによって形成される規制部を通過させることでトナーを帯電し、所望のトナー薄層を得ることができるため、装置の簡略化、小型化、低コスト化の面で有利である。
一方で、規制部の強いストレスによりトナーの劣化が促進され易く、トナーの電荷受容性が低下しやすい。さらに、トナーへの電荷付与部材である規制部材やトナー担持体表面がトナーや外添剤により汚染されることでトナーへの電荷付与性も低下する。そのため、トナー帯電量がより低下し、かぶり等の問題を引き起こすなど、現像装置の寿命が短い。
比較すると、二成分現像法ではトナーをキャリヤと混合し、摩擦帯電で帯電するためストレスが小さく、さらに、キャリヤ表面積が大きいため、トナーや外添剤による汚染に対しても相対的に強く、長寿命に有利である。
しかしながら、二成分現像法では像担持体上の静電潜像を現像する際に、現像剤により形成される磁気ブラシによって像担持体表面を摺擦するため、現像された像に磁気ブラシ痕が発生するという課題を有している。さらに、像担持体にキャリヤが付着しやすく、画像欠陥となる課題を有している。
二成分現像剤を用いた二成分現像法の長寿命の特長を有しながら、画像欠陥の問題を解決し、一成分現像法なみの高画質を実現する現像方式として、現像剤担持体上に二成分現像剤を担持し二成分現像剤からトナーのみをトナー担持体に供給して現像に用いる、所謂ハイブリッド現像方式が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載のハイブリッド現像方式では、以下のような現像履歴(ゴースト)の課題があった。
現像履歴(ゴースト)の問題とは、ハイブリッド現像方式が一般的に抱える課題であり、トナー担持体上の現像に使用されなかった現像残トナーが、次の現像工程において現像履歴(ゴースト)として画像上に現れる現象である。
トナー担持体にトナーを供給するために設置される現像剤担持体とトナー担持体の対向部(トナー供給回収領域)では、トナーを供給するためのバイアスを印加してトナーを供給しているが、現像残トナーの回収も同じ現像剤担持体との対向部で行っている。
この供給回収領域では上記したようにトナーを供給するため供給方向のバイアスを印加しているが、そのことがトナーの回収に対しては回収を阻害する要因となり、回収能力が不足してしまう。そのため現像残トナーが多い部分と少ない部分とが、次の現像工程において濃度のコントラストとして現れてしまう。
このような現像履歴(ゴースト)の発生を抑制するための技術が、特にトナーを供給する(及び回収する)現像剤担持体とトナー担持体の対向部(ニップ部)の構成などに関して開発されてきた(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載の現像装置においては、ニップ部(トナー供給回収領域)の構成として、次のような設定が開示されている。
1. 現像ローラ(トナー担持体)と磁気ブラシローラ(現像剤担持体)の回転方向が、互いに逆方向(カウンター方向)である。
2. 現像ローラに対向する磁気ブラシローラの磁極が、最近接位置から磁気ブラシローラの回転方向上流に0〜15度傾斜して位置している。
特開平5−150636号公報 特開2003−316155号公報
上述のように、現像履歴(ゴースト)の発生を抑制するため、ニップ部でのトナー供給性と回収性との両者を適切に維持できるような構成が求められる。
特許文献2に記載の現像装置によれば、トナー担持体と現像剤担持体の回転方向を互いに逆(カウンター方向)にすることで、ニップ内をトナー供給領域と回収領域に分離できるようにしている。
さらに磁気ブラシの摺擦ピークを、最近接位置より現像剤担持体の回転方向上流側に位置させることで、トナー供給ニップ入口側でのトナー供給性を向上させている。
トナー供給により現像剤中にトナーと逆極性のカウンターチャージが発生する。このカウンターチャージは、トナー供給を阻害する。すなわち、トナー供給によりカウンターチャージ発生は避けられないので、特許文献2に記載の構成では、トナー供給領域でのカウンターチャージ発生初期に一気にトナー供給を済ませることで、トナー供給性を確保できるように設定している。
一方で、発生したカウンターチャージはトナー回収を促進する。しかしながら特許文献2に記載の構成のみでは、発生したカウンターチャージを、トナー回収領域で有効に利用しているとは言えず、十分なトナー回収性を確保していない。
従って現像履歴(ゴースト)の発生を十分に抑制しているとは言い難い。
本発明は、上記の技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ハイブリッド現像方式において、現像履歴(ゴースト)が発生しない高画質な画像を出力することができる現像装置、及び画像形成装置を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.表面にトナーを担持搬送し、像担持体上に形成された静電潜像を前記トナーで現像するトナー担持体と、表面にトナーとキャリヤからなる現像剤を担持搬送し、前記トナー担持体に前記現像剤中のトナーを供給する現像剤担持体と、を有する現像装置において、前記現像剤担持体は、固定配置された磁石体と、該磁石体を内包して回転可能に配置されたスリーブローラとからなり、該スリーブローラ表面に、前記磁石体による前記現像剤の磁気ブラシを形成して、担持搬送し、対向して回転可能に配置された前記トナー担持体とのニップ部において、前記トナー担持体の表面を前記磁気ブラシで摺擦しながら、電界によってトナーを供給するように構成され、前記ニップ部において、次の1から3の条件がすべて満たされるように設定されたことを特徴とする現像装置。
1.前記ニップ部における、前記現像剤担持体の表面の前記現像剤の搬送方向は、対向する前記トナー担持体の表面移動方向と互いにカウンター方向である。
2.前記ニップ部には、前記磁石体の磁極が前記現像剤担持体の回転方向上流側のみに配置され、該磁極の磁束密度分布のピーク位置は、前記磁気ブラシが前記トナー担持体の表面を摺擦する範囲内、かつ前記トナー担持体と前記現像剤担持体の最近接位置よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側に位置する。
3.前記ニップ部において、前記現像剤担持体上の前記磁気ブラシが前記トナー担持体の表面を摺擦する範囲を、前記現像剤担持体が回転し通過するのに必要な時間をTとし、前記現像剤担持体上において、前記現像剤に生じた電荷の減衰が、減衰時定数τを用いて次の式(1)で表されるとしたときに、前記減衰時定数τと前記Tが、T/τ≦0.4の関係を満たす。
V(t)=V0×exp(−t/τ) (1)
但し、前記現像剤の初期表面電位をV0、時間t経過後の表面電位をV(t)とする。
2.前記ニップ部において、前記減衰時定数τと前記Tが、T/τ<0.1の関係を満たすように設定されたことを特徴とする前記1に記載の現像装置。
3.前記現像剤に用いているキャリヤは、4.7×10 9 Ω以上のダイナミック抵抗を有することを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
4.像担持体と、該像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像装置を備えた画像形成装置であって、
前記現像装置は、前記1から3の何れか1項に記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。
本発明に係る現像装置及び画像形成装置によれば、トナー担持体と現像剤担持体のニップ部は、次の条件をすべて満たすよう構成されている。
1.トナー担持体と現像剤担持体の回転方向は、互いにカウンター回転である。
2.トナー担持体と対向する磁極を現像剤担持体回転方向上流側に配置する。
3.トナー供給で発生したカウンターチャージが、トナー回収領域まで到達する。
これにより、トナー供給ニップ内を供給領域と回収領域に分離可能となり、トナー供給ニップ入口側でのトナー供給性が向上するとともに、現像残トナーの回収を行うトナー供給ニップ出口側において、カウンターチャージが豊富となり、回収性が向上する。
従って、ニップ部(トナー供給回収領域)において、トナー供給性と回収性を同時に向上させることができ、その結果、従来のハイブリッド現像の課題であった現像履歴(ゴースト)の発生を十分に抑制した高画質の画像を出力することができる。
本発明の一実施形態による画像形成装置の主要部の構成例を示す断面図である。 本実施形態によるトナー担持体7と現像剤担持体13の対向部(ニップ部)周辺を拡大した模式図である。 現像剤担持体13上の現像剤23層の等価回路を表す図である。 式(1)中のt/τと表面電位残留率exp(−t/τ)の関係を表したグラフである。 現像剤23層の減衰時定数τ(=CR)の測定方法を示す模式図である。 ゴーストの評価用のチャートを実際に出力し、現像履歴(ゴースト)が発生した画像の例を示す図である。 表1、表2中のT/τの値とそのときの表面電位残留率の計算値についてプロットし、それぞれについてゴースト評価結果を記入したグラフである。 表3の対向磁極の位置を変化させたときの供給バイアスと供給されたトナー量の関係を測定した結果をプロットしたグラフである。 カウンター回転において、磁極位置を下流側に設定したときの供給ニップ部近傍の現象を表した模式図である。 ウィズ回転において、磁極位置を上流側に設定したときの供給ニップ部近傍の現象を表した模式図である。 ウィズ回転において、磁極位置を下流側に設定したときの供給ニップ部近傍の現象を表した模式図である。 表6の結果をダイナミック抵抗と表面電位残留率の関係にプロットしたグラフである。 ダイナミック抵抗の測定装置の構成例を示す図である。
本発明の実施の一形態について図面を用いて説明する。
(画像形成装置の構成と動作)
図1に本発明の一実施形態による画像形成装置の主要部の構成例を示す。図1を用いて本実施形態に係る画像形成装置の概略構成と動作を説明する。
この画像形成装置は、電子写真方式により像担持体(感光体)1に形成されたトナー像を用紙等の転写媒体Pに転写して画像形成を行うプリンターである。
この画像形成装置は画像を担持するための像担持体1を有しており、像担持体1の周囲には、像担持体1を帯電するための帯電手段としての帯電部材3、像担持体1上の静電潜像を現像し、トナー像を形成する現像装置2、像担持体1上のトナー像を転写するための転写ローラ4、及び像担持体1上の残留トナー除去用のクリーニングブレード5が、像担持体1の回転方向Aに沿って順に配置されている。
像担持体1は、帯電部材3で帯電された後に、レーザ発光器などを備えた露光装置6により露光されて、その表面上に静電潜像が形成される。現像装置2は、この静電潜像を現像し、トナー像を形成する。転写ローラ4は、この像担持体1上のトナー像を転写媒体Pに転写した後、図中の矢印C方向に排出する。クリーニングブレード5は、転写後の像担持体1上の残留トナーを、その機械的な力で除去する。
画像形成装置に用いられる像担持体1、帯電部材3、露光装置6、転写ローラ4、クリーニングブレード5等は、周知の電子写真方式の技術を任意に使用してよい。例えば、帯電手段として図中、帯電ローラが示されているが、像担持体1と非接触の帯電装置であってもよい。また例えば、クリーニングブレードはなくてもよい。
本実施形態に係るハイブリッド現像方式の現像装置2の基本部の構成を説明する。
現像装置2は、以下の構成要素を備える。すなわち、キャリヤとトナーを含む現像剤23を収容する現像剤槽17、現像剤槽17から供給された現像剤23を表面に担持して搬送する現像剤担持体13、現像剤担持体13からトナーのみが供給され、前記像担持体1上に形成された静電潜像を現像する第1のトナー担持体7を備える。
現像装置2の詳細な構成と動作については、後述する。
(現像剤の構成)
本実施形態に係る現像装置において使用する現像剤の構成について説明する。
本実施形態において使用する現像剤23はトナーと該トナーを帯電するためのキャリヤを含んでなるものである。
<トナー>
トナーとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができ、バインダー樹脂中に着色剤や、必要に応じて荷電制御剤や離型剤等を含有させ、外添剤を処理させたものを使用できる。トナー粒径としてはこれに限定されるものではないが、3〜15μm程度が好ましい。
このようなトナーを製造するにあたっては、一般に使用されている公知の方法で製造することができる。例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等を用いて製造することができる。
トナーに使用するバインダー樹脂としては、これに限定されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)やポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂単体もしくは複合体により、軟化温度が80〜160℃の範囲のものを、またガラス転移点が50〜75℃の範囲のものを用いることが好ましい。
また、着色剤としては、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができ、一般に上記のバインダー樹脂100質量部に対して2〜20質量部の割合で用いることが好ましい。
また、上記の荷電制御剤としても、公知のものを用いることができ、正帯電性トナー用の荷電制御剤としては、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂などがある。負帯電性トナー用荷電制御剤としては、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カリックスアレーン化合物などがある。荷電制御剤は一般に上記のバインダー樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部の割合で用いることが好ましい。
また、上記の離型剤としても、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス等を単独あるいは2種類以上組み合わせて使用することができ、一般に上記のバインダー樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部の割合で用いることが好ましい。
また、上記の外添剤としても、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子を使用することができ、特にシランカップリング剤やチタンカップリング剤やシリコーンオイル等で疎水化したものを用いるのが好ましい。そして、このような流動化剤を上記のトナー100質量部に対して0.1〜5質量部の割合で添加させて用いるようにする。外添剤の個数平均一次粒径は10〜100nmであることが好ましい。
さらに上記外添剤として、トナーと逆極性の荷電性を有する逆極性粒子を使用してもよい。好適に使用される逆極性粒子はトナーの帯電極性によって適宜選択される。
例えば、トナーがキャリヤによって負に帯電されるとき、逆極性粒子は現像剤中で正に帯電されている正帯電性粒子である。また例えば、トナーがキャリヤによって正に帯電されるとき、逆極性粒子は現像剤中で負に帯電されている負帯電性粒子である。逆極性粒子を二成分系現像剤に含有させ、かつ耐久に伴い現像剤中に逆極性粒子を蓄積させることにより、トナーや後処理剤のキャリヤへのスペント等によりキャリヤの荷電性が低下しても、逆極性粒子もトナーを正規極性に荷電し得るため、キャリヤの荷電性を有効に補うことができ、結果としてキャリヤの劣化を抑制できる。
トナーとして負帯電性トナーを用いる場合、逆極性粒子としては、正帯電性を有する微粒子が用いられ、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、アルミナ等の無機微粒子やアクリル樹脂、ベンゾグァナミン樹脂、ナイロン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で構成された微粒子を使用することができる。また樹脂中に正帯電性を付与する正荷電制御剤を含有させる、あるいは含窒素モノマーの共重合体を構成するようにしてもよい。
上記の正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩等を使用することができ、また上記の含窒素モノマーとしては、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル、ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール等を使用することができる。
一方、正帯電性トナーを用いる場合、逆極性粒子としては、負帯電性を有する微粒子が用いられ、例えば、シリカ、酸化チタン等の無機微粒子に加え、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で構成された微粒子を使用することができる。また樹脂中に負帯電性を付与する負荷電制御剤を含有させる、あるいは含フッ素アクリル系モノマーや含フッ素メタクリル系モノマーの共重合体を構成するようにしてもよい。上記の負荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸系、ナフトール系のクロム錯体、アルミニウム錯体、鉄錯体、亜鉛錯体等を使用することができる。
また、逆極性粒子の帯電性及び疎水性を制御するために、無機微粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理するようにしてもよく、特に、無機微粒子に正帯電性を付与する場合には、アミノ基含有カップリング剤で表面処理することが好ましく、また負帯電性を付与する場合には、フッ素基含有カップリング剤で表面処理することが好ましい。
逆極性粒子の個数平均粒径は、100〜1000nmであることが好ましい。トナー100質量部に対して0.1〜10質量部の割合で添加させて用いるようにする。
<キャリヤ>
キャリヤとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のキャリヤを使用することができ、バインダー型キャリヤやコート型キャリヤなどが使用できる。キャリヤ粒径としてはこれに限定されるものではないが、15〜100μmが好ましい。
バインダー型キャリヤは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、キャリヤ表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させたり、表面コーティング層を設けたりすることもできる。バインダー型キャリヤの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御することができる。
バインダー型キャリヤに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂が例示される。
バインダー型キャリヤの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。その形状は粒状、球状、針状の何れであってもよい。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。また、化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリヤを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリヤ中に50〜90質量%の量で添加することが適当である。
バインダー型キャリヤの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられ、これらの樹脂を表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、帯電付与能力を向上させることができる。
バインダー型キャリヤの表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリヤと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリヤの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与え、微粒子を磁性樹脂キャリヤ中に打ち込むようにして固定することにより行われる。この場合、微粒子は、磁性樹脂キャリヤ中に完全に埋設されるのではなく、その一部を磁性樹脂キャリヤ表面から突き出すようにして固定される。
帯電性微粒子としては、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。具体的には、有機系としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂及びこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子を用いることができ、帯電レベル及び極性については、素材、重合触媒、表面処理等により、希望するレベルの帯電及び極性を得ることができる。また、無機系としては、シリカ、二酸化チタン等の負帯電性の無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正帯電性の無機微粒子などが用いられる。
一方、コート型キャリヤは磁性体からなるキャリヤコア粒子に樹脂コートがなされてなるキャリヤであり、コート型キャリヤにおいてもバインダー型キャリヤ同様、キャリヤ表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させたりできる。コート型キャリヤの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子により制御することができ、バインダー型キャリヤと同様の材料を用いることができる。特にコート樹脂はバインダー型キャリヤのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
トナーとキャリヤの混合比は所望のトナー帯電量が得られるよう調整されればよく、トナー混合比はトナーとキャリヤとの合計量に対して3〜50質量%、好ましくは6〜30質量%が適している。
(現像装置2の構成と動作)
図1を参照して本実施形態に係る現像装置2の詳細な構成例と動作例を説明する。
<装置構成>
現像装置2において使用する現像剤23は、既述したようにトナーとキャリヤからなり、現像剤槽17に収容される。
現像剤槽17は、ケーシング20により形成されており、通常は内部に混合撹拌部材18、19を収納している。混合撹拌部材18、19は、現像剤23を混合・撹拌し、現像剤担持体13へ現像剤23を供給する。ケーシング20の混合撹拌部材19に対向する位置には、好ましくは、トナー濃度検出用のATDC(Automatic Toner Density Control)センサ21が配設されている。
現像装置2は通常、像担持体1へと消費される分のトナーを現像剤槽17内に補給するための補給部15を有している。補給部15において、補給トナーを収納した図示しないホッパから送られた補給トナー22が現像剤槽17内へ補給される。
現像装置2はまた、現像剤担持体13上の現像剤量を規制するための現像剤薄層化用の規制部材16を有している。
現像剤担持体13は通常、固定配置された磁石ローラ(磁石体)8と、これを内包する回転自在なスリーブローラ9とから構成され、画像形成時にはトナー担持体7へとトナーを供給するためのトナー供給バイアス電圧が印加される。
トナー担持体7は現像剤担持体13及び像担持体1にそれぞれ対向するように配され、像担持体1上の静電潜像を現像するための現像バイアス電圧が印加される。
トナー担持体7は上記電圧を印加可能な限りいかなる材料からなっていてもよい。例えば、アルマイト等の表面処理を施したアルミローラが挙げられる。その他アルミ等の導電性基体上に、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂コートやシリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等のゴムコーティングを施したものを用いてもよい。コーティング材料としては、これに限定されるものではない。
さらに上記コーティングのバルクもしくは表面に導電剤が添加されていてもよい。導電剤としては、電子導電剤もしくはイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤として、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラックや、金属粉、金属酸化物の微粒子等が挙げられるが、これに制約されない。イオン導電剤として、4級アンモニウム塩等のカチオン性化合物や、両性化合物、その他イオン性高分子材料が挙げられるが、これにこだわらない。さらに、アルミ等の金属材料からなる導電性ローラであっても構わない。
<装置の動作>
図1に示す現像装置2の動作例について詳しく説明する。
現像剤槽17内の現像剤23は、混合撹拌部材18、19の回転により混合撹拌され、摩擦帯電すると同時に現像剤槽17内で循環搬送され、現像剤担持体13表面のスリーブローラ9へと供給される。
この現像剤23は、現像剤担持体13内部の磁石ローラ8の磁力によってスリーブローラ9の表面側に保持され、スリーブローラ9とともに回転移動して、現像剤担持体13に対向して設けられた規制部材16で通過量を規制される。
その後、現像剤23は、現像剤担持体13がトナー担持体7と対向する供給ニップ部へと搬送される。
供給ニップ部では、トナー担持体7と現像剤担持体13はお互いに表面が逆方向に移動するような回転方向(カウンター方向)に設定されている。また、現像剤担持体13の磁石ローラ8に配置された磁極のうち、トナー担持体と対向するように設けられた磁極については、その磁束密度のピーク位置が供給ニップ部の中心に対して現像剤担持体13の回転方向上流側になるように配置されている。
このように設定することの相乗効果によって生じる、現像履歴(ゴースト)の抑制効果については後述する。
トナー担持体7と現像剤担持体13の対向部の、ニップ部中心から現像剤担持体13回転方向上流側であるトナー供給領域11では、トナー担持体7に印加された現像バイアス電圧と現像剤担持体13に印加されたトナー供給バイアス電圧の電位差に基づき形成された電界がトナーに与える力により、現像剤23中のトナーがトナー担持体7側へ供給される。
通常、トナー担持体7には直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスが加えられ、現像剤担持体13には直流電圧のみ、もしくは直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスが加えられ、トナー供給領域11には直流電界に交番電界が重畳された電界が形成される。
またトナー担持体7と現像剤担持体13の対向部の、ニップ部中心から現像剤担持体13回転方向下流側のトナー回収領域12では、現像剤担持体13上の現像剤23による回収作用により、トナー担持体7上の現像残トナーが回収される。
トナー供給領域11でトナー担持体7上に現像剤担持体13から供給されたトナー層は、トナー担持体7の回転に伴って現像領域10へと搬送され、トナー担持体7に印加された現像バイアス電圧と像担持体1上の潜像電位とによって形成される電界により現像に使われる。
現像領域10では、トナー担持体7と像担持体1の間に設けられた現像間隔中を電界によってトナーが移動することで現像が行われる。
現像バイアス電圧としては公知の種々のバイアスが適用可能であるが、通常は直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスが加えられる。その後、現像領域10でトナーを消費したトナー層(現像残トナー)は、トナー担持体7の回転に伴ってトナー回収領域12へと搬送される。
トナー回収領域12へと搬送された現像残トナーは、既述したように、現像剤担持体1上の現像剤23による機械的回収力、及び後述する現像剤23中のカウンターチャージによる電気的回収力によって現像剤23中に回収される。
トナー回収領域12を通過した現像剤23は、スリーブローラ9の回転とともに現像剤槽17に向けて搬送され、磁石ローラの現像剤回収領域に対応する位置に設けられた反発磁界によって、現像剤担持体13上から剥離され、現像剤槽17内へと回収される。
補給部15に設けられた図示しない補給制御部が、ATDCセンサ21の出力値から、現像剤23中のトナー濃度が画像濃度確保のための最低トナー濃度以下になったことを検出すると、図示しないトナー補給手段によってホッパ内に貯蔵された補給トナー22がトナー補給部15を介して現像剤槽17内へ供給される。
(ニップ部での動作)
以下ではトナー担持体と現像剤担持体の対向部近傍のトナー供給回収領域での現象について、図2を用いて、さらに詳細に説明する。
図2はトナー担持体7と現像剤担持体13の対向部(ニップ部)周辺を拡大し、そこでの現象を模式的に表した図である。ニップ部でのトナー供給回収領域においては、トナー担持体7へのトナーの供給とトナー担持体7からの現像残トナーの回収とが行われる。
トナーの供給は現像剤担持体13上の現像剤23がトナー担持体7との対向部に進入した際に、トナー担持体7と現像剤担持体13の間に印加されたトナー供給バイアス(トナー担持体7の平均電位と現像剤担持体13の平均電位の差)によって形成された供給電界がトナーに作用し、現像剤担持体13上の現像剤23中からトナー担持体7へのトナーの移動が起こることで行われる。
電界によってトナーが供給される際、トナーはキャリヤ中を移動してトナー担持体7へと到達する。現像剤担持体13中の磁石ローラ8に設けられた磁極の極上ではキャリヤによる磁気ブラシの穂立ちが生じ、キャリヤとキャリヤの間に空間が発生するため、トナーは容易にキャリヤ中を移動できる。
一方、磁極の極上近傍以外ではキャリヤの穂立ちは起こらず、キャリヤ中の空間は少ないため、トナーはキャリヤの間をすり抜けることが困難となる。
以上の理由により、トナー担持体7と現像剤担持体13の対向部の間でも、トナーの供給は主として磁極の極上近傍で起こることになる。
トナーの回収に関しては、主としてトナー担持体7上のトナーを現像剤担持体13上の磁気ブラシが摺擦することで、機械的に回収する。
このトナー回収現象は、磁気ブラシとトナー担持体7が接触し始める供給ニップ部の、現像剤担持体13回転方向の下流側端部から、接触が最も強くなる供給ニップ部中心までの間(トナー回収領域12)で主として起こる。
また、供給ニップ部の、現像剤担持体13回転方向の上流側端部から、供給ニップ部中心までの間(トナー供給領域11)では、現像剤担持体13表面に搬送されてきた現像剤23中から、トナーのみがトナー担持体7に供給される(図2上の白抜き矢印)。
このときトナーの極性としてマイナスの場合を考えると、現像剤23からはマイナス極性のトナーのみがトナー担持体7へと移動するため、トナーを奪われた現像剤23表面付近では電気的中性が崩れ、キャリヤの保持していたプラスの電荷が余剰に存在する状態となる。このトナー離脱後の現像剤23中に余剰に残留するプラスの電荷はカウンターチャージと呼ばれる。
このカウンターチャージは、キャリヤの抵抗が高いなどの理由で現像剤23中から減衰することなくトナー回収領域12まで保持されてきた場合には、マイナスの電荷を有する現像残トナーを引き付ける働きを持つ(図2下の白抜き矢印)。そのため、現像残トナーの回収に寄与し、現像履歴(ゴースト)の課題に対して有利に働く。
(ニップ部の構成、及びカウンターチャージによるトナー回収の促進について)
ニップ部の構成と、カウンターチャージによるトナー回収の促進、ゴースト発生の抑制について、以下に説明する。
本実施形態に係る現像装置においては、トナー担持体7と現像剤担持体13のニップ部において、以下の1から3の条件をすべて満たすように構成している。
1. 現像剤担持体13の表面の現像剤23の搬送方向は、対向するトナー担持体7の表面移動方向と互いにカウンター方向である。
2. ニップ部には磁極が配置され、その磁束密度分布のピーク位置は、磁気ブラシがトナー担持体7の表面を摺擦する範囲内、かつトナー担持体7と現像剤担持体13の最近接位置よりも現像剤担持体13の回転方向上流側に位置する。
3. 現像剤担持体13上の磁気ブラシがトナー担持体7の表面を摺擦する範囲を、現像剤担持体13が回転し通過するのに必要な時間をTとし、現像剤担持体13上において、現像剤23に生じた電荷による表面電位の減衰時定数をτとしたときに、τとTが、T/τ<1の関係を満たす。
これらの条件を満たすことによる効果の概要を以下に述べる。
1.トナー担持体7と現像剤担持体13の回転方向を互いにカウンター回転とすることにより、トナー供給ニップ内をトナー供給領域11と回収領域12に分離可能となる。
2.上記1に加えて、トナー担持体7と対向する磁極を現像剤担持体13回転方向上流側に配置することにより、トナー供給ニップ入口側(トナー供給領域11)でのトナー供給性が向上する。すなわち、トナー供給を阻害するカウンターチャージ発生初期に、一気にトナー供給する。
3.上記1と2にさらに加えて、トナー供給で発生したカウンターチャージが回収領域12まで到達できるようにキャリヤとニップ通過時間の関係を設計することにより、現像残トナーの回収を行うトナー供給ニップ部下流側(トナー回収領域12)において、カウンターチャージが豊富となり、トナー回収性が向上する。
図2に示すように、カウンター回転において、対向する磁極を現像剤担持体13の回転方向上流側に配置することで、トナーの供給は主として現像剤担持体13の回転方向上流側(図2上の白抜き矢印)で起こる。
このようにすることで、供給されたトナーはトナー回収領域12を通ることなく供給を終了して供給ニップ部から排出される。すなわち、トナー供給ニップ内を供給領域11と回収領域12に分離可能となる。
その結果、一旦供給したトナーがトナー回収領域12を通ってしまい、トナー供給を阻害するといったことがないため、トナーの供給性は高くなる。
このトナーの供給性が高いということは比較的低い供給バイアス電圧でトナーの供給が行われるということに繋がる。
供給バイアス電圧は現像残トナーの回収を妨げる電界を形成するため、そのバイアスはできるだけ低いほうが回収性向上には好ましい。つまり、本発明の構成では、供給性が高まることで回収性の向上に繋がり、結果的に現像履歴(ゴースト)が抑制される。
また、本実施形態に係る現像装置の構成では、トナー供給が終了した現像剤23がトナー供給領域11から回収領域12へと搬送される。この際、上に示した条件3を満たしていることで、現像剤23はカウンターチャージを含んだままトナー回収領域12に移動する。
これにより、現像残トナーは通常の機械的回収力に加えて、カウンターチャージによる電気的回収力の助けも得て効率よく現像剤23中に回収される(図2下の白抜き矢印)。そのため、この点でも本構成では、現像履歴(ゴースト)の抑制に繋がることになる。
すなわち、上述した3条件が同時に満たされるような構成であることにより、その相乗効果によって、上述のように、トナー担持体へのトナー供給と、トナー担持体からの現像残トナー回収とが、現像剤担持体とのニップ部において同時に促進される。
その結果、現像履歴(ゴースト)の発生が抑制され、高画質の画像を出力することができる。
(カウンターチャージの減衰について)
以下ではカウンターチャージの減衰について詳細な説明を加える。
既に述べたように、トナー離脱後の現像剤23中に余剰に残留するカウンターチャージは、キャリヤの抵抗が高いなどの理由で現像剤23中から減衰することなくトナー回収領域12まで搬送されてきた場合には、マイナスの電荷を有する現像残トナーを引き付ける働きを持つ。そのため、現像残トナーの回収に寄与し、現像履歴(ゴースト)の課題に対し有利に働く。
カウンターチャージが回収性に貢献するためには、トナー供給領域11から回収領域12に搬送されてくる間に大きく減衰することなく、キャリヤ中に保持されている必要がある。なお、ここではトナーの極性をマイナスと仮定して考えたが、トナーの極性がプラスの場合でも極性を反転させて考えることにより同様のことが言える。このことは、これ以降の説明でトナーの極性を仮定した場合でも同様に成り立つ。
カウンターチャージが現像剤23中から減衰する現象について、等価回路を示しながら説明する。図3は現像剤担持体13上の現像剤23層の等価回路を表している。
トナーの離脱によってマイナスの電荷を失った現像剤担持体13上の現像剤23の表面は、プラスのカウンターチャージを有している。この電荷は現像剤23層の静電容量と抵抗に応じた時定数によって時間とともに減衰していく。
このときの減衰の様子は、図3の等価回路における減衰を考えると、以下の式で表される。
V(t)=V0×exp(−t/CR)
但し、カウンターチャージ発生直後の、カウンターチャージによって生じる現像剤23表面の電圧をV0、現像剤層の静電容量をC、現像剤層の抵抗をRとする。
ここでこの式の時定数となっているCRを現像剤の減衰時定数と呼び、CR=τと置くと、
V(t)=V0×exp(−t/τ) (1)
となる。
式(1)で、tとして、「供給ニップ部入口から供給ニップ部出口まで現像剤23が移動する時間」をTとする。このとき、カウンターチャージが現像剤23中から大きく減衰せず、トナー供給領域11から回収領域12まで到達するためには、現像剤層の静電容量をC、現像剤層の抵抗をRとして決まる係数「exp(−T/τ)」(以下これを表面電位残留率と呼ぶ)が略ゼロまで落ち込まないことが条件となる。
図4は、式(1)中のt/τと表面電位残留率exp(−t/τ)の関係を表したグラフである。t/τが1前後の領域から表面電位残留率exp(−t/τ)は急激に立ち上がり、0.1を切るとほぼ1に近い値となっていることがわかる。
このことはt/τ>10となるような場合には、カウンターチャージは時間t経過時点で減衰してほとんど残留していないが、t/τ<1となると時間t経過時点でカウンターチャージがかなり残留しており、t/τ<0.1となるとカウンターチャージはほとんど減衰することなく残っていることを示している。
以上のことから、トナー供給領域11で生じたカウンターチャージが、回収領域12で残留しているための条件として、「T/τ<1」であることが必要である。
なお、Tは供給ニップ部の幅、現像剤担持体13の周速から決まる値であり、計算によって求めることができる。また、減衰時定数τは以下に示す方法で実際に測定より求めることができる。
こうして求めたT/τが「T/τ<1」を満たすよう現像装置の設定を行うことにより、供給ニップ部の供給領域11で現像剤23中に発生したカウンターチャージを、供給ニップ部の回収領域12まで減衰させずに現像剤23中に保持させることができる。すなわち、トナー担持体7上の現像残トナーの回収を促進し、現像履歴(ゴースト)の発生を抑制することが可能になる。
(現像剤層の減衰時定数τの測定方法)
図5に現像剤層の減衰時定数τ(=CR)の測定方法の模式図を示す。
図1の現像装置2において、トナー担持体7を離脱した状態で、現像剤担持体13を回転させながら現像剤担持体13上の規制部材16通過後の現像剤23層表面にスコロトロン帯電器26を用いて電荷を供給する。現像剤担持体13は接地しておく。
このとき、現像剤23表面は帯電され、擬似的にトナー供給直後のカウンターチャージを持った状態が形成される。帯電する電位は200〜1000V程度が適当である。
その電荷供給後の現像剤層に対向する2ヶ所の位置に、第1の表面電位計24、第2の表面電位計25を設置して、それぞれの位置での表面電位を測定する。第1の表面電位計24で測定された現像剤層の電位をV1(V)、第2の表面電位計25で測定された現像剤層の電位をV2(V)とする。
ここで、第1の表面電位計24で測定されたV1の電位減衰は、カウンターチャージの減衰同様、式(1)に従う。式(1)におけるV0がここでのV1と考えることができ、CR=τを用いて次の式(2)のようになる。
V(t)=V1×exp(−t/τ) (2)
この式(2)において、第1の表面電位計24の対向部から第2の表面電位計25の対向部まで現像剤担持体13が回転するのに必要な時間をt12(s)とすると、時間t=t12後の表面電位がV2であるから、第2の表面電位計25で測定された電位V2に関して以下の式(3)が成り立つ。
V2=V1×exp(−t12/τ) (3)
また、t12は現像剤担持体13の回転速度v(mm/s)、現像剤担持体13の径D(mm)、第1の表面電位計24の対向部と第2の表面電位計25の対向部が現像剤担持体13の中心に対してなす角度θ(deg)から以下の式(4)で求まる。
t12=πD×θ/360/v (4)
以上より、τは、
τ=t12/(logV1−logV2)
但し、t12=πD×θ/360/v (5)
の式(5)で表すことができ、測定時の条件D、v、θ及び表面電位計の検出値V1、V2を基にτを実際に求めることが可能となる。
図1に示した実施形態の画像形成装置により、本発明を実施して効果を確認した。
(実験1)
実施例1から4及び比較例1から5は、キャリヤ種の異なる、すなわち減衰時定数τ(=CR)が異なる現像剤を用いている。詳細は表1参照。
Figure 0005617188
表1には、製法を変化させて作成したキャリヤを現像剤として用いた場合における、前記の方法で測定した現像剤の減衰時定数τの値、各種システム条件とそのシステム条件から求めたT、T/τの値、及びそこから計算されるトナー回収領域における表面電位残留率、そして実際の画像のゴーストを評価した結果を示している。
また表1に示した実験1ではすべて(比較例も)、既述した供給ニップ部における条件1と2を満たしている。
すなわち、トナー担持体と現像剤担持体の回転は互いにカウンター方向で、かつトナー担持体との対向部の磁極位置は、ニップ部の中心に対して現像剤担持体の回転方向上流側に5°移動させて設定した。
ニップ幅は、供給ニップ部の幅を示しており、トナー層を形成し、固定したトナー担持体に対して現像剤担持体を回転させ、磁気ブラシの当接幅として測定した値である。
トナー担持体と現像剤担持体の間の供給バイアス(トナー担持体の平均電位と現像剤担持体の平均電位の差)は、トナー担持体上のトナー量が適正な画像濃度を得られるものとなるよう、次の方法でそれぞれの条件ごとに予め調べておいた値を設定した。
すなわち、トナー担持体表面のトナーを一旦除去し、その後トナー担持体1周分供給バイアスを印加してトナー供給を行う。これを、供給バイアスを変えながら行い、トナー担持体上のトナー量が4g/m(適正な画像濃度が得られる値)となる供給バイアスを求め、それを画像形成時の設定とした。
キャリヤA〜Iは、磁性体コアにコート樹脂を被覆したキャリヤであり、コアの種類とコート樹脂の厚みを変化させることで抵抗がそれぞれ異なるように意図して作成した。
A〜Iはこの順でキャリヤの抵抗が大きくなるように並べてあり、その結果ダイナミック抵抗(測定方法は後述)とτ(=CR)の値がAからIの順に従って大きくなっている。ここではτ(=CR)の値は主として現像剤中のキャリヤの抵抗を変えることで変化している。
表1に示したように、実施例1から4は、既述した供給ニップ部における条件3、すなわち「T/τ<1」を満たしており、比較例1から5は満たしていない。これらの実施例と比較例について、実際に評価画像を印刷し、ゴーストの評価を行った。
図6に、ゴーストの評価用のチャートを実際に出力し、現像履歴(ゴースト)が発生した画像の例を示す。白ベタ背景部71中の黒ベタ部72からトナー担持体1周期分下流側のハーフトーン背景部73中にゴースト74が発生しているかを目視評価にて確認した。
目視評価は、ゴーストが全く識別できない場合には◎、うっすらとゴーストが確認できるが画像品質上問題ない場合には○、ゴーストがはっきりと認識でき画像品質上問題がある場合には×とした。
表1からわかるとおり、実施例1から4のように、T/τ<1となる場合には、◎もしくは○の評価結果であり、ゴーストの発生が抑制されている。実施例1〜3のようにT/τ<0.1となる場合には、特に良好(◎)である。上記条件を満たしていない比較例1から5は、×の評価結果であった。
(実験2)
実施例5から9及び比較例6から9は、3種類のキャリヤ種を用いた現像剤に対し、それぞれ画像形成速度(現像剤担持体の速度)を変更して、T/τを異ならせた。詳細は表2参照。
Figure 0005617188
表2には、表1で用いたキャリヤからキャリヤ種C、F、Iの3種類を取り出して、Tが変化するよう画像形成速度を変化させて、表1と同様の評価を行った結果を示す。
ここでもまた表1と同様に、表2に示した実験2ではすべて(比較例も)、既述した供給ニップ部における条件1と2を満たしている。
すなわち、トナー担持体と現像剤担持体の回転は互いにカウンター方向で、かつトナー担持体との対向部の磁極位置は、ニップ部の中心に対して現像剤担持体の回転方向上流側に5°移動させて設定した。
画像形成速度を変化させた結果、現像剤担持体周速が30〜1000mm/sの範囲で変わっており、それに伴ってT、T/τの値も変化している。ここではτ(=CR)の値はキャリヤ種が同じものどうしでは同じであるが、Tが変化することでT/τの値が変わっている。
表2に示したように、実施例5から9が、既述した供給ニップ部における条件3、すなわち「T/τ<1」の条件を満たしており、比較例6から9が満たしていない。これらの実施例と比較例について、表1の場合と同様に実際に評価画像を印刷し、ゴーストの評価を行った。
ここでも表1で見たのと同様に、T/τ<1となる実施例5から9の場合には、◎もしくは○の評価結果であり、ゴーストの発生が抑制されている。また実施例5〜8のようにT/τ<0.1となる場合には、特に良好(◎)である。上記条件3を満たしていない比較例6から9については、×の評価結果であった。
図7には、上述の表1、表2中のT/τの値とそのときの表面電位残留率の計算値についてプロットし、それぞれについてゴースト評価結果を記入したグラフを示す。
◇印が表1の結果をプロットしたもの、◆印が表2のキャリヤ種Cの結果をプロットしたもの、■印が表2のキャリヤ種Fの結果をプロットしたもの、▲印が表2のキャリヤ種Iの結果をプロットしたものである。
何れの場合においても共通して、T/τ<1の領域で表面電位残留率が上昇し、またそれに伴ってゴーストの発生が抑制されていることがわかる。
(実験3)
比較例10から18は、表1に示した実験1と同じ条件で、供給ニップ部におけるトナー担持体との対向部の磁極位置のみ、ニップ部の中心に対して現像剤担持体の回転方向下流側に5°移動させるよう変更して設定した。詳細は表3参照。
Figure 0005617188
表3には、表1と比べてトナー担持体との対向部の磁極位置のみ変更し、表1と同様の評価を行った結果を示す。
ここでは表1とは異なり、表3に示した実験3ではすべて、既述した供給ニップ部における条件1を満たしているが、条件2は満たしていない。
すなわち、トナー担持体と現像剤担持体の回転は互いにカウンター方向であるが、トナー担持体との対向部の磁極位置は、ニップ部の中心に対して現像剤担持体の回転方向下流側に設定している。
なお、T、T/τの値も表1と同様であり、比較例10から13は既述した条件3、すなわち「T/τ<1」を満たしているが、比較例14から18は、条件3を満たしていない。
これらの比較例10から18について、表1の場合と同様に実際に評価画像を印刷し、ゴーストの評価を行った。
ここでは表1で見たのと異なり、T/τ<1となるかどうかに関わらず、すべての比較例10から18について×の評価結果であり、ゴーストの発生が抑制されていない。
(ニップ部構成条件2について)
上記の結果によれば、供給ニップ部における既述の条件1や3を満たしていても、条件2を満たしていないと、ゴースト発生の抑制効果は見られない。この原因を調べるため、次のような実験を行った。
キャリヤとしてキャリヤ種G(表1の実験ではゴーストが発生しなかったキャリヤ)を使用し、トナー供給ニップ部において、現像剤担持体の、トナー担持体との対向磁極の位置以外は表1での条件と同じ条件にした。
その上で、トナー担持体との対向磁極の位置を下流側10°から上流側15°まで変化させたときの供給バイアス(トナー担持体の平均電位と現像剤担持体の平均電位の差)とトナー担持体上に供給されたトナー量の関係を測定した。
結果を図8に示す。図8において、●印は下流側−10°、◆印は下流側−5°、□印は±0°、◇印は上流側5°、○印は上流側10°、△印は上流側15°に、それぞれ磁極位置を設定している。
図8に示した結果からわかるように、トナー担持体との対向磁極の位置がニップ部中心に対して上流側と下流側では、特性が変化している。
磁極位置が、ニップ部中心に対して下流側の場合は、一定のトナー供給量を得るのに比較的大きい供給バイアスが必要になるのに対し、ニップ部中心に対して上流側の場合は比較的小さい供給バイアスで供給量を確保できる。
すなわち、対向磁極の位置をニップ部中心に対して上流側に設定することで、供給バイアスが小さくて済む。その結果、供給バイアスを印加しても現像残トナーの回収をさほど阻害せず、現像履歴(ゴースト)の発生が抑制されることになる。このことが表1と表3の結果の違いに繋がっていると考えられる。
なお、図8で見られた磁極位置による現像履歴(ゴースト)の悪化及びトナー供給性の変化は、現象論的には以下のように説明できる。
図9はカウンター回転において、磁極位置を下流側に設定したときの供給ニップ部近傍の現象を模式的に表した図である。磁極位置を下流側に設定した場合、上流側に設定した場合と異なり、トナーの供給は主として磁気ブラシが供給ニップ部を通過したあと(図9下の白抜き矢印)に起こる。
このため、上流側に設定した場合とは次の点で違いが生じる。
1つには、主としてトナー回収が行われるトナー担持体と現像剤担持体の最近接部(図9上の白抜き矢印)を通過後に、トナー供給が行われることになり、カウンターチャージをトナー回収に有効活用できない。よって回収性が低下する。
さらには、磁極位置(図9下の白抜き矢印)で供給されたトナー層は、その後主として回収が行われるトナー担持体と現像剤担持体の最近接部(図9上の白抜き矢印)を通過する。そのため供給したトナーが一部回収されるので、磁極位置が上流側にある場合に比べ大きい供給バイアスが必要になる。
これらのことが磁極位置による現像履歴(ゴースト)の悪化及びトナー供給性の変化を引き起こしていると考えられる。
(実験4)
比較例19から27は、表1に示した実験1と同じ条件で、供給ニップ部におけるトナー担持体と現像剤担持体の回転方向のみを、互いにカウンター方向ではなく、ウィズ方向に変更して設定した。詳細は表4参照。
Figure 0005617188
表4には、表1と比べてトナー担持体と現像剤担持体の回転方向のみを変更し、表1と同様の評価を行った結果を示す。
ここでも表1とは異なり、表4に示した実験4ではすべて、既述した供給ニップ部における条件2を満たしているが、条件1は満たしていない。
すなわち、トナー担持体との対向部の磁極位置は、ニップ部の中心に対して現像剤担持体の回転方向上流側に設定しているが、トナー担持体と現像剤担持体の回転は互いにウィズ方向である。
なお、T、T/τの値も表1と同様であり、比較例19から22は既述した条件3、すなわち「T/τ<1」を満たしているが、比較例23から27は、条件3を満たしていない。
これらの比較例19から27について、表1の場合と同様に実際に評価画像を印刷し、ゴーストの評価を行った。
ここでも表3で見たのと同様に、T/τ<1となるかどうかに関わらず、すべての比較例19から27について×の評価結果であり、ゴーストの発生が抑制されていない。
(実験5)
比較例28から36は、表1に示した実験1と同じ条件で、供給ニップ部におけるトナー担持体と現像剤担持体の回転方向を互いにカウンター方向ではなく、ウィズ方向に変更して設定した。また、トナー担持体との対向部の磁極位置を、ニップ部の中心に対して現像剤担持体の回転方向下流側に5°移動させるよう変更して設定した。詳細は表5参照。
Figure 0005617188
表5には、表1と比べてトナー担持体と現像剤担持体の回転方向を変更し、さらにトナー担持体との対向部の磁極位置を変更し、表1と同様の評価を行った結果を示す。
ここでも表1とは異なり、表5に示した実験5ではすべて、既述した供給ニップ部における条件1も、条件2も満たしていない。
すなわち、トナー担持体と現像剤担持体の回転は互いにウィズ方向であり、トナー担持体との対向部の磁極位置は、ニップ部の中心に対して現像剤担持体の回転方向下流側に設定している。
なお、T、T/τの値は表1と同様であり、比較例28から31は既述した条件3、すなわち「T/τ<1」を満たしているが、比較例32から36は、条件3を満たしていない。
これらの比較例28から36について、表1の場合と同様に実際に評価画像を印刷し、ゴーストの評価を行った。
ここでも表3、表4で見たのと同様に、T/τ<1となるかどうかに関わらず、すべての比較例28から36について×の評価結果であり、ゴーストの発生が抑制されていない。
(ニップ部構成条件1について)
この回転方向ウィズ方向としたときの現像履歴(ゴースト)の悪化は、以下のように説明できる。
まず、表4の供給ニップ部中心に対して現像剤担持体の回転方向上流側の位置に磁極位置を設定した場合について、図10を用いて説明する。図10はウィズ回転において、磁極位置を上流側に設定したときの供給ニップ部近傍の現象を模式的に表した図である。
磁極位置を上流側に設定した場合、トナーの供給は、主として磁気ブラシが供給ニップ部を通過する前(図10下の白抜き矢印)に起こる。この場合、磁極位置(図10下の白抜き矢印)で供給されたトナー層は、その後主として回収が行われるトナー担持体と現像剤担持体の最近接部(図10上の白抜き矢印)を通過する。
そのため供給したトナーが一部回収されるので、磁極位置が上流側にある場合に比べ大きい供給バイアスが必要になる。大きい供給バイアスは、現像残トナーの現像剤担持体側への回収を阻害するように働くため、このような条件はトナーの回収性が低下し、現像履歴(ゴースト)の発生が抑制されない。
さらにはウィズ回転の場合、カウンター回転に比べて磁気ブラシとトナー担持体上の現像残トナーとの摺擦力が弱く(相対速度が小さいため)、回収性が小さくなるということも現像履歴(ゴースト)の発生が抑制されない原因と考えられる。
次に、表5の供給ニップ部中心に対して現像剤担持体の回転方向下流側の位置に磁極位置を設定した場合について、図11を用いて説明する。図11はウィズ回転において、磁極位置を下流側に設定したときの供給ニップ部近傍の現象を模式的に表した図である。
磁極位置を下流側に設定した場合、トナーの供給は、主として磁気ブラシが供給ニップ部を通過した後(図11上の白抜き矢印)に起こる。この場合、主として回収が行われるトナー担持体と現像剤担持体の最近接部(図11下の白抜き矢印)を通過後に、トナー供給が行われることになり、カウンターチャージをトナー回収に有効活用できない。
このような条件はトナー回収性が低下し、現像履歴(ゴースト)の発生が抑制されない。さらには表4の場合と同様、ウィズ回転の場合、カウンター回転に比べて磁気ブラシとトナー担持体上の現像残トナーとの摺擦力が弱く(相対速度が小さいため)、回収性が小さくなるということも現像履歴(ゴースト)の発生が抑制されない原因と考えられる。
これらから、本実施形態のように、供給ニップ部において3つの条件、すなわち、
1.トナー担持体と現像剤担持体の回転方向は、互いにカウンター回転である。
2.トナー担持体と対向する磁極を現像剤担持体回転方向上流側に配置する。
3.トナー供給で発生したカウンターチャージが、トナー回収領域まで到達する。
の3つの条件を満たす構成とすることで、それらの相乗効果によって、
トナー供給ニップ内をトナー供給領域と回収領域に分離可能となり、トナー供給ニップ入口側でのトナー供給性が向上するとともに、現像残トナーの回収を行うトナー供給ニップ部の出口側において、カウンターチャージが豊富となり、回収性が向上する、
という複数のメリットをトナー供給回収部において発現させることができる。
この結果、ニップ部(トナー供給回収領域)において、トナー供給性と回収性を同時に向上し、従来のハイブリッド現像の課題であった現像履歴(ゴースト)の発生を十分に抑制した高画質の画像を出力することができる。
(実験6)
ここで、従来技術との差異をより明確に示すため、本発明の効果を得るためにはキャリヤの抵抗として現実的にどの程度の低抵抗化まで可能かを調べた。
表6は、表1の条件から現像剤担持体の速度を電子写真で通常使われる速度から極端に高速にし、また現像剤担持体の径についても特に小径のものに変更して供給ニップ部を狭くし、表1と同様の評価を行ったものである。
Figure 0005617188
現像剤担持体の速度を高速化し、現像剤担持体の径を小径にして供給ニップ部が狭くなることで、供給領域で生じたカウンターチャージを回収領域まで保持しておかなければならない時間が短くて済む。
このように現像剤担持体が極端に高速で小径の場合を調べることで、キャリヤの抵抗として現実的にどの程度の低抵抗化が可能かを把握することができる。
また、図12は、表6の結果をダイナミック抵抗と表面電位残留率の関係にプロットしたグラフである。図12において、○印は表1の実施例、比較例の条件での、◆印は表6の実施例、比較例の条件での、それぞれ結果をプロットしている。
表6及び図12からわかるとおり、一般的に使用されているようなダイナミック抵抗で1×10Ω程度以下のキャリヤにおいては、このような極端な条件でもカウンターチャージによる回収性向上効果が見込めない。
この結果から、実質的に、キャリヤの抵抗として、ダイナミック抵抗で1×10Ω程度以上の抵抗は最低限必要になる。
<ダイナミック抵抗の測定方法>
ダイナミック抵抗(DR)の測定は、図13に示す測定装置を用いて次のように行った。図13は、ダイナミック抵抗の測定装置の構成例を示す図である。
まず、接地した台座200の上方に、固定磁石を所定位置に内蔵した直径φ20(mm)の回転可能なスリーブ201をセットする。このスリーブ201の表面には、幅W=65(mm)及び長さL=0.5〜1(mm)の対向面積を有する対向電極(ドクタ)202を、ギャップg=0.9(mm)で対向させる。
次に、スリーブ201を回転速度600rpm(線速628(mm/sec))で回転駆動し始める。そして、回転しているスリーブ201上に測定対象の磁性粒子205を所定量(14(g))だけ担持させ、該スリーブ201の回転により該磁性粒子205を10分間攪拌する。
次に、スリーブ201に電圧を印加しない状態で、スリーブ201と対向電極202との間を流れる電流IRII(A)を電流計203で測定する。
次に、直流電源204からスリーブ201に耐圧上限レベル(高抵抗シリコンコートキャリヤでは400(V)から鉄粉キャリヤでは数V)の印加電圧E(V)を5分間印加する。本実施形態では200Vを印加した。
そして、電圧Eを印加した状態でスリーブ201と対向電極202との間を流れる電流IRQ(A)を電流計203で測定する。
これらの測定結果から、次式を用いてダイナミック抵抗DR(Ω)を算出する。
DR=E/(IRQ−IRII)。
上述したように、本実施形態に係る現像装置及び画像形成装置によれば、トナー担持体と現像剤担持体のニップ部は、次の条件をすべて満たすよう構成されている。
1.トナー担持体と現像剤担持体の回転方向は、互いにカウンター回転である。
2.トナー担持体と対向する磁極を現像剤担持体回転方向上流側に配置する。
3.トナー供給で発生したカウンターチャージが、トナー回収領域まで到達する。
これにより、トナー供給ニップ内を供給領域と回収領域に分離可能となり、トナー供給ニップ入口側でのトナー供給性が向上するとともに、現像残トナーの回収を行うトナー供給ニップ出口側において、カウンターチャージが豊富となり、回収性が向上する。
従って、ニップ部(トナー供給回収領域)において、トナー供給性と回収性を同時に向上させることができ、その結果、従来のハイブリッド現像の課題であった現像履歴(ゴースト)の発生を十分に抑制した高画質の画像を出力することができる。
なお、上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 像担持体
2 現像装置
3 帯電部材
4 転写ローラ
5 クリーニングブレード
6 露光装置
7 トナー担持体
8 磁石ローラ
9 スリーブローラ
10 現像領域
11 (トナー)供給領域
12 (トナー)回収領域
13 現像剤担持体
17 現像剤槽
23 現像剤

Claims (4)

  1. 表面にトナーを担持搬送し、像担持体上に形成された静電潜像を前記トナーで現像するトナー担持体と、
    表面にトナーとキャリヤからなる現像剤を担持搬送し、前記トナー担持体に前記現像剤中のトナーを供給する現像剤担持体と、を有する現像装置において、
    前記現像剤担持体は、
    固定配置された磁石体と、該磁石体を内包して回転可能に配置されたスリーブローラとからなり、該スリーブローラ表面に、前記磁石体による前記現像剤の磁気ブラシを形成して、担持搬送し、対向して回転可能に配置された前記トナー担持体とのニップ部において、前記トナー担持体の表面を前記磁気ブラシで摺擦しながら、電界によってトナーを供給するように構成され、
    前記ニップ部において、次の1から3の条件がすべて満たされるように設定されたことを特徴とする現像装置。
    1.前記ニップ部における、前記現像剤担持体の表面の前記現像剤の搬送方向は、対向する前記トナー担持体の表面移動方向と互いにカウンター方向である。
    2.前記ニップ部には、前記磁石体の磁極が前記現像剤担持体の回転方向上流側のみに配置され、該磁極の磁束密度分布のピーク位置は、前記磁気ブラシが前記トナー担持体の表面を摺擦する範囲内、かつ前記トナー担持体と前記現像剤担持体の最近接位置よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側に位置する。
    3.前記ニップ部において、前記現像剤担持体上の前記磁気ブラシが前記トナー担持体の表面を摺擦する範囲を、前記現像剤担持体が回転し通過するのに必要な時間をTとし、前記現像剤担持体上において、前記現像剤に生じた電荷の減衰が、減衰時定数τを用いて次の式(1)で表されるとしたときに、前記減衰時定数τと前記Tが、T/τ≦0.4の関係を満たす。
    V(t)=V0×exp(−t/τ) (1)
    但し、前記現像剤の初期表面電位をV0、時間t経過後の表面電位をV(t)とする。
  2. 前記ニップ部において、前記減衰時定数τと前記Tが、T/τ<0.1の関係を満たすように設定されたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  3. 前記現像剤に用いているキャリヤは、4.7×109Ω以上のダイナミック抵抗を有することを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
  4. 像担持体と、該像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像装置を備えた画像形成装置であって、
    前記現像装置は、請求項1から3の何れか1項に記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。
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