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JP5603355B2 - 超音波計測装置 - Google Patents

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JP5603355B2 JP2012024097A JP2012024097A JP5603355B2 JP 5603355 B2 JP5603355 B2 JP 5603355B2 JP 2012024097 A JP2012024097 A JP 2012024097A JP 2012024097 A JP2012024097 A JP 2012024097A JP 5603355 B2 JP5603355 B2 JP 5603355B2
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Description

本発明は超音波計測装置に関し、特に水中において目標物を計測する超音波計測装置に関する。
ソーナー等に代表される超音波計測装置は、水中において超音波を利用して計測対象となる目標物の位置等を計測するものである(特許文献1,2)。そのような水中超音波計測装置は、一般に、アレイ型送受波器、送信部、受信部、画像形成部等を備えている。アレイ型送受波器は、例えば、一次元配列された複数の変換素子(複数の超音波振動素子)からなるものである。そのような線アレイ型変換器ではなく、二次元アレイ型変換器が利用されることもある。なお、送信を行わずに音源からの超音波を受信することによって探知等を行う超音波計測装置も知られている。
上記従来の線アレイ型の変換器は、超音波の中心周波数に相当する波長をλとした場合、一般に、素子間ピッチとして0.5λの間隔で配列された多数の変換素子により構成されている。これは、指向特性における主極の指向幅及び副極のレベルを適切なものとするためである。
図11には線アレイ型送受波器による一般的な指向特性が模式的に示されている。同図において、横軸は方位(θ)を示しており、縦軸は振幅あるいはレスポンスに対応し、ここでは振幅のレベル(dB)を示している。図示の例では、θ=0°方向に主極(メインローブ)54が形成されている。つまり、この指向特性は、整相方位を0°としつつ、複数の変換素子から出力された複数の受信信号に対して整相処理(整相加算処理)を適用した結果として生成されるものである。主極54の両側には、複数の副極(サイドローブ)が生じており、具体的には、主極54の両側に第1副極56及び第2副極58が生じている。主極54において、そのレベルがピーク60から3dB減衰したときのビーム幅をもって指向幅62が定義される。
なお、主極が存在する方位において目標物からの音波が到来すれば当該目標物の探知が可能となるが、副極が存在する方位から妨害音が到来すると、それをもって主極方位から到来した音波として誤認してしまう。つまり、擬似検知という事態が生じる。よって、副極のレベルをできるだけ低下させることが望まれる。また目標物の画像化に当たって画質を向上するためにはあるいは目標物の位置特定に当たってその特定精度を高めるためには主極54の指向幅62をより小さくすることが望まれる。このような背景から、従来、アレイ型変換器は多数の変換素子により構成されている。例えば、中心周波数が500kHzの場合において、指向幅を1.0度まで狭めるには、およそ100個の変換素子が必要とされる。
特開平7−225273号公報 特開平8−82664号公報
超音波計測装置において、計測精度を高めるために変換素子数を増大させると、送受波器(あるいは受波器)の構成が複雑化、大型化し、また受信チャンネル数も増大するから受信部の回路規模が増大してしまう。これにより装置コストの増大という問題が生じる。一方、何らの手当てなく、変換素子数を単純に削減すると、計測精度が低下してしまい、例えば、画像上においてアーチファクトの増大、方位分解能の低下といった問題が生じることになる。
本発明の目的は、超音波計測装置において、アレイ型変換器を構成する変換素子の個数を増大させなくても指向特性の改善を図れるようにすることにある。
あるいは、本発明の目的は、超音波計測装置において、アレイ型変換器を構成する変換素子の個数を削減しても、事後的な信号処理によって優良な指向特性が得られるようにすることにある。
本発明に係る超音波計測装置は、水中に整列配置された複数の変換素子で構成され、超音波の受波により複数の受信信号を出力するアレイ型変換器と、前記複数の受信信号に対して整相方位を変えながら整相加算処理を実行することにより、前記アレイ変換器の指向特性が反映された信号列として、複数の整相方位に対応する複数の整相信号を生成する整相加算手段と、前記複数の整相信号に対して前記アレイ変換器の指向特性を事後的に改善するための振幅差拡大処理を適用する振幅差拡大処理手段と、を含むものである。
上記構成によれば、複数の変換素子から出力された複数の受信信号に対して、整相方位(主極方位)を変えつつ整相加算処理が順次適用され、これにより複数の整相方位に対応する複数の整相信号(整相加算結果を示す信号)が生成される。複数の整相信号は、アレイ変換器の指向特性を反映した信号列を構成する。それらに対して振幅差拡大処理を適用することによってアレイ変換器の指向特性を事後的に改善することが可能となる。より詳しくは、横軸を方位とし縦軸を振幅(信号レベル)とした指向特性において、一般に、主極(メインビーム)と副極(サイドローブ)との間には振幅差(信号レベル差)が存在する。上記振幅差拡大処理は、そのような振幅差をより広げる処理である。そのような処理を行うための関数として指数関数があげられ、その好適な例として後述するN乗処理があげられる。
振幅差拡大処理の結果として、主極に相当する信号成分の振幅が相対的に見てより大きくなり、あるいは、主極以外の副極その他の不要な信号成分の振幅が相対的に見てより小さくなる。また、指向特性において主極の幅(指向幅)がよりシャープになる。複数の整相信号が画像化される場合、上記の振幅差拡大処理によって、解像度(方位分解能)が向上し、またバックグラウンドやアーチファクト等の不要成分が低減されるから、画質が大幅に改善され得る。あるいは、指向特性の事後的改善を前提として、変換素子間ピッチを広げつつ変換素子数を低減させても、従来同様の指向特性(あるいは画質)を得ることが可能となるから、アレイ変換器や受信部につき、物量削減、構成簡素化といった利点を得られる。これは装置コストの低減をもたらすものである。
望ましくは、前記振幅差拡大処理手段は、前記複数の整相信号から横断的に取り出された同一距離関係にある複数のデータからなるデータ列に対してN乗処理(但しN>1)を適用するN乗処理手段を含む。
例えば、ある方位かつある距離にある音源を想定した場合、そこから到来する音波がアレイ型変換器に到達し、アレイ型変換器を構成する複数の変換素子から複数の受信信号が出力される。それらに対して整相方位を異ならせながら整相加算処理を行うことにより複数の整相信号が生成される。通常、各整相信号は距離方向(時間方向)に並ぶ複数のデータ(振幅値)からなる。そのような複数の整相信号から取り出される同一距離関係(同一時刻関係)にあるデータ列は、複数の整相方位についての応答特性を示し、それは指向特性に相当する。かかるデータ列に対してN乗処理が適用されると、主極に相当する部分に対してそれ以外の部分が抑圧され、両者の振幅差が拡大する。これにより指向特性が改善されることになる。Nは、1以上の数値であり、計算上の便宜からNとして2、3等の整数を採用するのが望ましいが、Nとして1.5といった小数を伴う数値を採用してもよい。Nを可変設定できるように構成するならば例えば画像を参照しながら最適なNを見極めることが可能となる。Nの適応的設定を自動化してもよい。
望ましくは、前記振幅差拡大処理手段は、更に、前記データ列に対して正規化処理を施して正規化データ列を生成し、当該正規化データ列に対して前記N乗処理が適用されるようにする前処理手段と、前記N乗処理後の正規化データ列に対して振幅復元処理を施して複数の復元データ列を生成する後処理手段と、を含む。
上記構成によれば、複数の整相信号から取り出されたデータ列に対して前処理として正規化処理が適用される。例えば、最大振幅値で他の振幅値を除する処理が適用される。その場合、最大振幅値は1.0に変換され、他の振幅値は0〜1.0の範囲内の数値に変換される。その上で、正規化データ列に対してN乗処理が適用されて振幅差が拡大される。その後、N乗処理後の正規化データ列に対して振幅を復元する後処理が適用される。振幅復元処理は、望ましくは、個々のデータに対する最大振幅値の乗算である。その結果、最大振幅値は元の振幅値に復元され、他の振幅値はもとの振幅値よりも低い振幅値に復元(変換)される。なお、画像化を行わない等の所定の場合には、振幅値復元処理を省略することも可能である。あるいは、正規化を行うことなくN乗処理を適用することも可能である。
望ましくは、前記複数の変換素子における素子間ピッチpは、前記超音波の中心周波数における波長をλとした場合、0.5λ<p<1.0λの条件を満たす。すなわち、通常、素子間ピッチは0.5λであるが、素子間ピッチpをそれより大きくすれば、一定の受信開口を確保しつつ変換素子数を削減することが可能となる。素子間ピッチを単に大きくしただけなら指向特性が悪化してしまうが、振幅差拡大処理を事後的に適用して指向特性を改善できるから、従来同様の画質あるいは従来以上の画質を得ることが可能となる。素子間ピッチを可変する機構を設け、状況に応じて最適な素子間ピッチを設定するようにしてもよい。上記構成によれば変換素子数を低減できるから、そのようなピッチ可変機構を採用することも容易となる。
本発明によれば、超音波計測装置において、アレイ型変換器を構成する変換素子の個数を増大させなくても指向特性の改善を図れる。あるいは、アレイ型変換器を構成する変換素子の個数を削減しても、事後的な信号処理によって優良な指向特性を得ることが可能となる。
本発明に係る超音波計測装置の全体構成を示すブロック図である。 線アレイ型送受波器の模式図である。 振幅差拡大処理を説明するための概念図である。 第1表示例を示す図である。 第2表示例を示す図である。 第1比較例としての指向特性を示す図である。 第2比較例としての指向特性を示す図である。 第3比較例としての指向特性を示す図である。 振幅差拡大処理の適用により得られた指向特性の一例を示す図である。 振幅差拡大処理の適用により得られた指向特性の他の例を示す図である。 一般的な指向特性を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態に係る超音波計測装置の全体構成がブロック図として示されている。この超音波計測装置は、海や湖等において、固定目標物あるいは移動目標物の探知、画像化等の計測を行う装置であって、本実施形態においては超音波計測装置がソーナーを構成している。この超音波計測装置は、例えば、船舶等の水上移動体、潜水艇等の水中移動体に搭載される。もちろん、浮遊体、固定構造物等に搭載されてもよいし、ダイバー等が携行してもよい。
超音波計測装置は、大別して、複数の素子(超音波振動素子)10aからなる線アレイ型送受波器10と、線アレイ型送受波器10に接続された切替器14と、切替器14に接続された送信部16と、同じく切替器14に接続された受信部18と、受信部18の後段に設けられた振幅差拡大処理部32と、振幅差拡大処理部32の後段に設けられた画像処理部44と、画像処理部44に接続された表示部46と、を有している。図示された構成は、超音波の送受波を行うアクティブ方式を実現するものであるが、音源からの超音波を受信するパッシブ方式に本発明が適用されてもよい。
線アレイ型送受波器10は、水中に配置されて、超音波の送波及び受波を行うものである。送信時において超音波は一般にパルスとして送波され、目標物からのエコーが受波される。図1において、線アレイ型送受波器10の中央原点から正面方向が方位角0度であり、それを基準方位として後述の整相加算処理により任意の方位に整相方位(主極方位)を設定することが可能である。図1においては整相方位の角度がθで表現されている。また素子間ピッチがpで表現されている。本実施形態では、送信超音波の中心周波数に対応する波長をλとした場合、素子間ピッチpが0.5λ<p<1.0λの条件を満たすように、線アレイ型送受波器10が構成されている。これは後述する振幅差拡大処理による指向特性の改善を前提として、一定の受信開口を確保しつつも、それを構成する素子数の削減を図ったものである。これについては後に詳述する。なお、送受波器として二次元アレイ型送受波器等を利用することもできる。
送信部16は、切替器14を介して、線アレイ型送受波器10に接続されており、送信時において、送信部16からn個の素子に対して送信パルスが供給される。一方、受信期間において、n個の素子から出力されたn個の受信信号が切替器14を介して受信部18へ送られる。各受信信号は一定時間にわたる連続的な波形信号である。各時刻の振幅がエコー強度を表している。
受信部18は、n個の受信信号処理器及び加算器(整相加算器)26を有している。各受信信号処理器は、図示の例において、増幅器20、BPF(バンドパスフィルタ)30、A/D変換器22及びメモリ24によって構成されている。すなわち、各素子から出力された受信信号が増幅され、素子間ピッチpに応じた同波数帯域の信号に加工され、デジタル信号に変換された上で、メモリ24にいったん記憶される。複数のメモリ24が単一の記憶デバイスによって構成されてもよい。なお、BPFの帯域を可変としてもよい。
本実施形態において、受信部18は、n個のメモリ24に記憶されたn個の受信信号に対して、所定の角度ピッチをもって整相方位を変えながら整相加算処理を繰り返し、これにより複数の整相信号(整相加算結果を示す信号)を生成している。より具体的には、例えば、中央方位を0度として、―90度から+90度の方位範囲において、例えば0.5度ピッチで、整相方位を異ならせ、整相方位ごとに整相加算処理を実行している。これにより例えば360個の整相信号が得られる。各整相信号は、時間軸(主極方位上の距離軸)方向に並ぶ複数のデータ(振幅加算値)からなる。加算器26は、図示されていない整相加算制御部の制御の下で、n個の受信信号の加算を行っている。それらの受信信号に対して必要に応じて各種の処理が適用される。
振幅差拡大処理部32は、複数の整相角度に対応して生成された複数の整相信号に対して、指向特性を事後的に改善するための処理を適用するものである。すなわち、指向特性において、主極の指向幅が狭くなり同時に主極以外の副極等が抑圧されるように振幅差拡大処理を行うものである。このため、振幅差拡大処理部32は、図示の例において、複数の整相信号を記憶するメモリ34と、複数の整相信号からそれを横断するように取り出されるデータ列を正規化する正規化処理器36と、正規化されたデータ列に対してN乗処理(但しN>1)を施すN乗処理器38と、N乗処理後のデータ列につき振幅を復元する復元処理器40と、復元されたデータ列が順次記憶されこれによって複数の処理済み整相信号が再構成されるメモリ42と、を有している。その処理内容については、後に図3を用いて詳述する。
画像処理部44は、メモリ42に格納された複数の整相信号に基づいて画像を形成する。その画像データが表示部46に送られる。振幅差拡大処理によって指向特性が改善された結果、少ない素子数であっても画像の品質を高めることが可能である。すなわち、方位分解能を向上でき、またアーチファクト等の不要成分を抑圧できる。
図2には上記の線アレイ型送受波器10が模式的に示されている。線アレイ型送受波器10は、直線上に並んだn個の素子(超音波振動素子)10aを有し、隣接する素子間には、音響的電気的に素子間を分離する絶縁材48が設けられている。符号50で示すように、線アレイ型送受波器10によって超音波が送波され、その直後から順次到来するエコーが線アレイ型送受波器10によって受波されている。これにより、受信開口を構成するn個の素子からn個の受信信号が出力される。図2においてはバッキング材、基板等が図示省略されている。
なお、素子ピッチ可変型の構成を採用する場合、パンタグラフ等のスライド機構とそれを駆動するモータ等の駆動源とが配置され、ユーザーの操作によりあるいは自動的に素子ピッチが変更される。その場合、素子間の絶縁材48を空気層に変えてもよいし、伸縮性をもった絶縁材48を利用するようにしてもよい。素子ピッチが変更された場合、それに応じてBPFの帯域を可変させるのが望ましい。
ちなみに、整相加算処理によって得られる指向特性はコンピュータシミュレーションによって求めることが可能である。線アレイ送受波器を前提とした場合、素子数n、送信超音波の中心周波数f(例えば500kHz)、素子間ピッチp(例えば0.817λ)、方位角γ、水中音速c(1500m/s)によって、以下のように表現できる。(1)式は、中心周波数fと波長λとの関係を示している。(2)式は指向特性Rを求める式である。(3)式は指向特性Rを対数変換して得られる指向特性Tを示している。
なお、以下の(4)式のように、整相方位θ=0°とした場合、指向特性R,Tはそれぞれ以下の(5)式、(6)式のように表すことができる。
以上のような計算式を用いたコンピュータシミュレーション結果を基礎として素子間ピッチpを事前に設定しあるいは状況に応じて可変設定することが可能である。また、そのようなコンピュータシミュレーション結果を利用してN乗処理でのNの数値を事前に設定しあるいは状況に応じて可変設定することが可能である。
図3には、図1に示した振幅差拡大処理部32による処理の内容、つまり指向特性を事後的に改善する振幅差拡大処理の内容、が模式的に示されている。
(A)には、メモリ34の記憶空間が示されている。縦方向が整相方位に対応しており、横方向(右方向)が時間(主極方位の距離に相当)を示している。メモリ34には、複数の整相信号66が格納される。上述したように、例えば、―90°から+90°まで0.5°刻みで整相方位を設定しながら整相加算処理を順次実行した場合、360個の整相信号が生成され、それらがメモリ34上に格納される。各整相信号は時間軸方向に並んだ複数のデータ66aからなる。個々のデータは整相加算値である。S10で示すように、複数の整相信号から、それらを横断するように、指定された時刻(データ番号)に対応する複数のデータ68が取り出される。つまり同一距離関係にある複数のデータが取り出される。基本的には、1つの整相信号から1つのデータが取り出される。取り出された複数のデータ(例えば360個のデータ)がデータ列を構成する。
(B)には、そのデータ列70が波形(プロファイル)として示されている。横軸は方位を示しており、縦軸は振幅を示している。後述する他の波形の横軸及び縦軸も同様である。この(B)に示す例では、例えば音源(目標物)が方位0°に存在しており、当該音源方位に整相方位が一致した場合に最大の振幅が生じている。つまり、整相方位0°に対応する整相信号から取り出されたデータの振幅が最大値を構成している。音源方位から整相方位がずれて、音源方位が副極に相当する方位に一致すると、ある程度の振幅が生じる。つまり、データ列を振幅波形として表現すると、それは指向特性に相当するものとなる。
データ列に対してはS12で示されるように正規化処理が適用される。すなわち、最大値で個々の振幅値を除する処理が適用される。これにより、(C)に示す正規化データ列72が生成される。そこでは最大値は1に変換されており、他の値は0〜1.0の間の数値をとる。この正規化処理は、次のN乗処理において振幅値の違いによってN乗処理結果が区々にならないための前処理に相当する。S14はN乗処理を示している。すなわち、正規化後のデータ列を構成する個々のデータがN乗処理される。例えば、Nが2ならばデータが二乗され、Nが3ならばデータが三乗される。1.5乗等の小数値を伴うN乗処理が実行されてもよい。
(D)には、N乗処理の結果が示されている。すなわち、N乗処理後の正規化データ列74が示されている。N乗処理を経ると、最大値は1であって不変であるが、主極に相当する部分以外のレベルが相当程度低くなり、つまり不要成分が抑圧される。主極に相当する部分についても肩部分が下がっており、指向幅が狭まっている。このような振幅差拡大処理は指向特性の事後的な改善に相当するものである。理論的には、Nの数値を上げれば上げるほど、主極に相当する部分とそれ以外の部分との振幅差を拡大する。実際上は、計算の便宜や実際上の効果の観点から、Nとして2又は3といった整数が設定されるのが望ましい。もちろん、Nを可変設定して最適な数値を見出すようにしてもよい。
その後、S16で示すように、N乗処理後の正規化データ列に対して、復元処理が適用される。(E)には復元処理が適用された後の復元データ列76が示されている。復元処理に当たっては、正規化処理で利用された最大値が個々のデータに対して乗算される。これにより、最大値は元の振幅値に復元される。それ以外の値は、最大値からの振幅差に応じて、元の振幅値よりも低い値に復元されることになる。
以上のような処理が、受信原点から時間軸方向に1ステップずつ実行される。つまりデータ列が距離方向に順次取り出されて、それらの個々に対して上記処理が適用される。もっとも、データ列の取り出し順序を変更することは可能である。
(F)には、メモリ42の記憶空間が模式的に示されている。メモリ42には、S18で示すように、復元処理後の復元データ列が書き込まれる。複数のデータ列が順次処理されて、複数の復元データがメモリ42に順次格納され、最終的に振幅差拡大処理済みの複数の整相信号が記憶空間上に再構成されることになる。個々の整相信号80は複数のデータにより構成され、個々のデータ80aは上記N乗処理が適用された後の振幅値を有している。
上記の例においては、音源(目標物)が方位0°に存在していたが、もちろん他の方位に音源が存在する場合においても上記同様の処理を適用できる。複数の音源があっても基本的に上記同様に処理できる。但し、複数の音源が相互に干渉し合って演算が適正に行えないなら、例えばバンドパスフィルタにより目的信号成分の絞り込みを行えばよい。
なお、上記のN乗処理において、同一数値の乗算を繰り返すのではなく、浮動小数点機能を使用した指数計算により、N乗処理を行うようにしてもよい。以下の(7)式にはx=15^1.1の計算例が示されている。指数計算において対数を使用することで、掛け算は足し算に、割り算は引き算に変わる。手計算では、対数表上で補間することにより真数のxを求めることができる。振幅差拡大処理において演算による誤差の累積や桁落ちを低減するようにNの数値を設定するのが望ましい。
図4は第1表示例としての画像82を示している。原点84はアレイ型送受波器の送受波原点を示し、それを基準として円弧方向つまり方位方向に複数の整相信号に対応する複数の表示線86が並べて表示され、これにより画像82が生成される。Lは距離方向を示しており、符号88は音源としての目標物を示している。1つの表示線86は1つの整相信号に対応しており、それを構成する各振幅値が輝度で表現されている。カラー表現を採用することも可能である。例えば、所定振幅以上の部分を着色表現するようにしてもよい。図5は第2表示例としての画像90を示している。符号92で示すラインが送受波原点位置に相当しており、そのライン上における各位置が各方位に対応している。当該ライン上から複数の整相信号に相当する複数の表示線が平行に並んで表示されている。tは時間軸を示し、それは距離軸に相当している。符号96は、音源としての目標物を示している。上記の表示例以外の表示態様が採用されてもよい。
図6乃至図8には比較例が示されており、各図には線アレイ型受波器における指向特性が示されている。なお、いずれの指向特性においても最大値での正規化がなされている。
図6に示す指向特性は、素子数100個、中心周波数500kHz、素子間ピッチpが0.5λの条件の下で作成されたものである。主極は方位0°に存在している。上述したN乗処理は適用されておらず、換言すればN=1である。多数の素子を利用しているため、かなり絞り込まれた主極が生じており、指向幅1°が実現されている。主極の両側に形成された複数の副極のレベルも相当程度低くなっている。参考までに説明すると、最大値に対して、第1副極のレベルが−29dB、第2副極レベルが−33dB、第3副極が−36dBである。副極レベルが十分低いので副極に起因する擬似検知を低減できる。
図7には、意図的に素子数を減らして、素子数を11個にした場合の指向特性が示されている。これは中心周波数500kHz、素子間ピッチpが0.5λの条件の下で作成されたものである。この例でも0°方向に主極が形成されており、上述したN乗処理は適用されていない。指向幅は10°に増大しており、副極レベルが増大している。参考までに説明すると、最大値に対して、第1副極のレベルが−13dB、第2副極のレベルが−17dB、第3副極のレベルが−19dBである。図6に示した素子数100個の場合に比べて、第1副極レベルが16dBも増加しており、擬似検知の増加が懸念される。指向幅が10°に広がった結果、目標の探知分解能も低下している。
図8には、更に意図的に素子数を減らして、素子数を5個にした場合の指向特性が示されている。これは、中心周波数500kHz、素子間ピッチpが0.817λの条件の下で作成されたものである。この例でも0°方向に主極が形成されており、上述したN乗処理は適用されていない。指向幅はかなり増大しており、副極レベルが更に増大している。参考までに説明すると、最大値に対して、第1副極は−12dB、第2副極は−14dBであり、指向幅は12.8°となっている。
図9には本実施形態に係る指向特性が実線で示されている。これは図8に示した比較例としての指向特性に対してN乗処理を適用したものである。整相方位は上記同様に0°となっている。中心周波数500kHz、素子数5個、素子間ピッチpが0.817λの条件で作成された指向特性(1乗処理に相当)が図9において破線で示され、かかる指向特性に対して2乗処理を適用した後の処理済み指向特性が図9において実線で示されている。2乗処理後の指向特性では、破線で示した1乗処理の場合に比べて、副極レベルが大幅に下がっており、指向幅も改善している。最大値との振幅差が大きい部分ほどより抑圧されている。参考までに説明すると、最大値に対して、第1副極が−24dB、第2副極が−28dBとなっており、指向幅が9.2°となっている。
図10には本実施形態に係る他の指向特性が示されている。これは、中心周波数500kHz、素子数5個、素子間ピッチpが0.817λの条件で作成された指向特性に対して3乗処理を適用したものである。2乗処理の場合に比べて、副極レベルがより大きく下がっており、指向幅もより改善している。参考までに説明すると、最大値に対して、第1副極が−37dB、第2副極が−42dBとなっており、指向幅が8.2°となっている。つまり2乗処理の場合よりさらに特性が改善している。
指向特性のシミュレーション条件として、整相方位を0°としつつ、素子数を5〜50の間で可変し、素子間ピッチpを0.5λ〜1.0λの間で可変し、N乗処理数を1乗から3乗まで0.5乗刻みで可変したところ、以下の(8)式に示す関係式を得た。
ここで、wは指向幅であり、Nは乗算処理の回数であり、pは素子間ピッチであり、nは素子数である。上記(8)式によれば、素子間ピッチpを増加させ、且つ、素子数nを減少させても、乗算処理の回数を増加させれば、指向幅wを減少させることが可能である。もっとも、素子間ピッチpの上限は1波長(λ)未満となる。なお、本発明者のシミュレーション結果から、実用的に使用できるN乗処理は、浮動小数点演算精度や処理速度を考慮して、最大でも3〜5乗程度にとどめるのが望ましいことが判明している。
上記手法によれば、素子数を従来同様に維持しつつ振幅差拡大処理を適用した場合、指向特性を大幅に改善することが可能である。あるいは、そのような振幅差拡大処理を前提として、素子数を削減しても従来同様の指向特性を結果として得ることが可能である。その場合、一定の受信開口を確保する観点から素子間ピッチを0.5λより広げるのが望ましく、そのようにしても満足できる一定の指向特性を得ることが可能である。
上記実施形態の採用に当たっては、各種の計測状況に応じて、素子間ピッチ、整相方位の角度ピッチ、Nの数値、を自動的に又は手動的に可変できるように構成するのが望ましい。例えば、一定の指向幅を得ることを前提として素子数が指定されたならば、最適な素子間ピッチや最適なNの数値が自動的に決定されるように構成してもよい。
10 線アレイ型送受波器、10a 素子、14 切替器、16 送信部、18 受信部、20 増幅器、22 A/D変換器、24,34,42 メモリ、26 加算器、30 バンドパスフィルタ、32 振幅差拡大処理部、36 正規化処理器、38 N乗処理器、40 復元処理器、44 画像処理部、46 表示部。

Claims (4)

  1. 水中に整列配置された複数の変換素子で構成され、超音波の受波により複数の受信信号を出力するアレイ型変換器と、
    前記複数の受信信号に対して整相方位を変えながら整相加算処理を実行することにより、前記アレイ変換器の指向特性が反映された信号列として、複数の整相方位に対応する複数の整相信号を生成する整相加算手段と、
    前記複数の整相信号に対して前記アレイ変換器の指向特性を事後的に改善するための振幅差拡大処理を適用する振幅差拡大処理手段と、
    を含み、
    前記振幅差拡大処理手段は、
    前記アレイ型変換器からの距離ごとに、前記複数の整相信号から横断的に同一距離関係にある複数のデータからなるデータ列を取り出す手段と、
    前記取り出されたデータ列において最大データに対する他のデータの振幅差を拡大する手段と、
    を含むことを特徴とする超音波計測装置。
  2. 請求項1記載の装置において、
    前記拡大する手段は、前記取り出されたデータ列に対してN乗処理(但しN>1)を適用するN乗処理手段である、ことを特徴とする超音波計測装置。
    ことを特徴とする超音波計測装置。
  3. 請求項記載の装置において、
    前記振幅差拡大処理手段は、更に、
    前記データ列に対して正規化処理を施して正規化データ列を生成し、当該正規化データ列に対して前記N乗処理が適用されるようにする前処理手段と、
    前記N乗処理後の正規化データ列に対して振幅復元処理を施して複数の復元データ列を生成する後処理手段と、
    を含むことを特徴とする超音波計測装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置において、
    前記複数の変換素子における素子間ピッチpは、前記超音波の中心周波数における波長をλとした場合、0.5λ<p<1.0λの条件を満たす、ことを特徴とする超音波計測装置。
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