JP5602962B2 - トイレットペーパー製品 - Google Patents
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Description
トイレットペーパー製品(ウェブ)においては、水分の吸収能力を確保するため、バルク(比容積)が高いことが品質面で重要な要素である。さらに、強度、柔らかさ(しなやかさと滑らかさとボリューム感の総合官能)も重要である。
又、高バルクな紙製品を得るための機械的処理として、抄紙工程の脱水乾燥工程において、湿紙をプレス脱水せずに通風乾燥する方法TAD(through air drying;通風乾燥)方式(特許文献2)や、湿紙形成から乾燥工程の間において湿紙ウェブに凹凸処理を行う方法がある。
さらに、抄造後のウェブにエンボスなどにより機械的に凹凸処理を行う方法がある。さらに、これら方法を組み合わせる場合もある。
しかしながら、上記した化学的処理法の場合、薬剤コストが高いと共に、パルプの繊維間結合が低下するためにウェブ強度が低下する問題がある。さらに、上記薬剤処理による紙力低下を、原料の配合や叩解条件の変更、及び一時性湿潤紙力剤の添加で補うと共に、叩解による紙厚低下を高クレープ率の加工によって補う技術(特許文献3)が開示されているが、上記薬剤の使用や叩解によって、吸水速度が低下する問題がある。又、上記したTAD方式の場合、乾燥エネルギーのコストが膨大になる。さらに、抄紙後に凹凸処理する方法では、繊維間の結合や紙層構造が破壊されてウェブ強度が低下したり、ウェブの見かけ嵩は高くなるがウェブ自体の紙層嵩(キャリパー)を高くする(ふんわり感をだす)ことが難しいという問題がある。
しかしながら、このヤンキードライヤーにおしつけることによって、ウェブが相対的に低バルクになるという問題がある。そして、上記した嵩高剤をパルプ原料に添加してクレープ付けによるバルク低下を抑制しようとしても、せいぜい3〜5%程度の嵩高効果しか得られず、一方で強度が著しく低下する。
又、上記したTAD方式は、ヤンキードライヤーで最終的に仕上げの乾燥及びクレープ付けを行う前にバキュームにより脱水し、通風ドライヤーで予備乾燥する技術であり、ロールプレスニップによる脱水工程が無いためにバルクロスが無く、高バルクなウェブが得られる。ところが、TAD方式はプレスニップ脱水相当の水分を通風熱で除去するため、従来のロールプレスニップ方式に比べて約2倍の乾燥エネルギーが必要になるとされている。
さらに、これらの諸問題を解決する方法として、ファブリックプレス方式と呼ばれる抄紙機械が開発されている(特許文献5)。ファブリックプレス方式は、従来のプレス技術を踏襲するが、脱水と同時に凹凸付けベルト又はファブリックによりウェブに凹凸付けを行うものである。この脱水及び凹凸付けは、湿紙ウェブがフェルトから凹凸付けベルトに送られる間に、1又は2つ以上のプレスニップで行なわれ、次いでウェブがヤンキードライヤーに運ばれて乾燥される。
ファブリックプレス方式によれば、従来のロールプレスニップ方式と乾燥エネルギーが同等でありつつ、TAD方式に匹敵する高いバルクが得られる。
そして、ウェブのバルクは、プレスニップで脱水する間、ベルトの組織中のキャビティ(空洞)で、繊維性の網状構造(ネットワーク)を受けることで、圧縮されずに維持される。
従って本発明は、強度、バルク(比容積)、柔らかさの3つを満たしたトイレットペーパー製品の提供を目的とする。
抄造及び乾燥後のウェブ厚みに対し、20〜80%のギャップを有する一対のロールにて前記カレンダー加工を施してなることが好ましい。
前記抄紙及び乾燥後で前記カレンダー加工前のウェブ厚みが130μm以上、350μm以下であることが好ましい。
前記凹凸付けファブリックは、金属又は合成樹脂の線を経糸及び緯糸として縦横に編み込んだ網目状のワイヤからなることが好ましい。
本発明の実施形態に係るトイレットペーパー製品は、シートを1枚又は2枚以上重ねた1組からなり、1枚のシートの坪量が10〜25g/m2、比容積が7〜15cm3/gであり、トイレットペーパー製品のDGMTが1.4〜3.8N/25mmであり、表面の凹凸の高低差が80〜250μmである。トイレットペーパー製品の表面の凹部の面積率が5〜15%であることが好ましい。
トイレットペーパー製品の比容積(1組当り)が7cm3/g未満であると、ふんわり感が乏しく、柔らかさ(風合い)が劣る。一方、比容積が15cm3/gを超えると、バルク(嵩高さ)は高くなるが、平滑性が劣り、滑らかさ(触感)が悪くなる。上記比容積は、好ましくは7〜12cm3/g、更に好ましくは7.5〜10.5cm3/gである。
なお、DGMTは、JIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)と、乾燥時の横方向の引張強さDCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)との積の平方根であり、(DMDT×DCDT)1/2(DGMT:Geometric Tensile Strength)で表される。
比容積及びDGMTを上記範囲に管理する方法の一例としては、坪量を上記範囲とし、さらに後述する凹凸付けファブリックを湿紙ウェブに押付け、脱水と同時に凹凸付けを行うことが挙げられる。
なお、トイレットペーパーに適正な強度を確保するために、通常の手段で原料配合し、パルプ繊維の叩解処理にて強度調整を行うことができる。目標の品質を得るための叩解としては、市販のバージンパルプに対して、JIS P8121で測定されるカナダ標準ろ水度で0〜200ml、より好ましくは50〜200ml、更に好ましくは50〜150ml濾水度を低減させる。又、湿潤紙力増強剤は適宜使用してもよい。
なお、表面とは、トイレットペーパーが2ply以上の製品であれば、製品の外側に向く両面(つまり、シートの重ね合わせ面と反対面)を意味し、1ply製品であれば、1枚のシートの両面を意味する。
表面の凹凸の高低差は、形状測定レーザマイクロスコープを用いて測定する。形状測定レーザマイクロスコープは、点光源であるレーザ光源を、対物レンズを介して観察視野内のX−Y平面を複数に分割したピクセルにスキャンし、各ピクセル毎の反射光を受光素子で検出する。そして、対物レンズを高さ(Z軸)方向に駆動し、最も反射光量の高いZ軸位置を焦点として、高さ情報と反射光量を検出する。このようにしてスキャンを繰り返すことにより、全体に焦点の合った光量超深度画像と高低画像(情報)が得られる。レーザ光源は、ピンホール共焦点光学系であるので、測定精度が高い。
形状測定レーザマイクロスコープとしては、KEYENCE社製の製品名「超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK-9510」を使用することができる。観察・測定ソフトウェアとしては、製品名「VK Viewer」を使用することができる。又、測定条件は、倍率200倍(標準対物レンズは倍率10倍を使用)、測定モードはカラー超深度とし、Autoセットによりゲインをオートで調整し、測定ピッチ1μm、ディスタンス(Z軸方向の範囲 μm)をサンプルの紙厚以上に設定し、測定する。なお、測定は、抄紙機以外の工程(例えば、ロールワインダ等)で機械的にエンボス処理を行った部分以外の箇所を測定する。
そこで、高さプロファイルの断面曲線から「輪郭曲線」Wを計算し、この「輪郭曲線」の最大値MAXと最小値MINの差を「凹凸の高低差」と規定する。ここで、「輪郭曲線」は、断面曲線からλc:250μm(但し、λcはJIS-B0601「3.1.1.2」に記載の「粗さ成分とうねり成分との境界を定義するフィルタ」)より短波長の表面粗さの成分を低域フィルタによって除去して得られる曲線である。
又、図4の縦軸(凹凸プロファイルの高さ)の値は、形状測定レーザマイクロスコープに試料を載置する台座の高さを基準としている。なお、線分Lにて、例えば山(凸部)が1つで、それに隣接する2つの谷(凹部)が得られた場合、最も小さい凹部のMINを用いる。山(凸部)が2つの場合は、最も大きい凸部のMAXを用いる。
なお、上述のように高さプロファイルの視野(Lの長さ)は1.0-1.4mmであり、測定に際しては上述のエンボスを十分に避けることができる。
具体的には、トイレットペーパーの表面を市販のイメージスキャナ(例えば、エプソン社製GT-X770)で、図5に示すような画像データとして取り込み、所定の画像解析装置(例えば、日本製紙ユニテック社製の「きょう雑物測定装置(Easy Scan)」)により分解能800dpi、スキャン面積4cm×4cmの条件で、所定の閾値以下の暗部の面積率を求める。ここで、上記閾値を、黒を0ビット、白を255ビットとしたときの白側に近い98%に設定して画像処理し、得られたそれぞれの暗部(陰部)を粒子(きょう雑物)とみなし、その粒径(円相当径)(μm)を計測する。その後、粒径が200〜799μmの粒子について、各粒子の面積を積算し、画像面積1m2当たりの暗部(凹部)の面積率に換算した(例えば、測定面積が0.0016m2、200-799μmの粒子の積算面積が200mm2の場合、面積率(%)は200mm2÷0.0016m2×100=12.5%となる)。
面積率の測定は、トイレットペーパーのサンプルにシワやミシン目、折り目等が入らないようにしてスキャナの一辺にトイレットペーパーの一辺を沿わせて設置し、画像データを取り込む。次に、このトイレットペーパーの一辺をスキャナに対して90℃ずつ回転させてそれぞれ画像データを取り込む(合計4つの画像データ)。この操作を2回繰り返し、合計8個の画像データを取り込む。さらに、トイレットペーパーのサンプルのもう一方の表面についても、同様の操作を8回行う。このようにして得られた製品の2つの表面(両面)の16個の画像データにつき、上記した画像解析を行い、暗部(凹部)の面積率を測定し、これら16個の面積率の平均値を採用する。
なお、トイレットペーパーのサンプルにミシン目や折り目が入っている等、4cm×4cmのスキャン面積(0.0016m2)を確保できない場合は、一度で測定する測定面積を小さくしても良いが、この場合は測定面積が最低0.0016m2となるように、測定箇所を増やす。例えば、2cm×4cm(0.0008m2)を2箇所測定すれば、測定面積は0.0016m2となる。
一方、凹凸の高低差及び凹部の面積率が上記範囲未満であると、トイレットペーパーの表面の凹凸が低くなり過ぎ、柔らかさ(紙の風合い)が劣る。
凹凸の高低差及び凹部の面積率が上記範囲を超えると、トイレットペーパーの表面の凹凸が高くなり過ぎ、強度(DGMT)が1.4N/25mm未満に低下し、破れやすくなると共に、滑らかさが劣る。
なお、凹凸の高低差、及び凹部の面積率を上記範囲に管理する方法の一例としては、後述する凹凸付けファブリックを湿紙ウェブに押付け、脱水と同時に凹凸付けを行うことが挙げられる。
又、一般に、トイレットペーパーは、抄紙後に抄紙機以外の工程(例えば、ロールワインダ等)で機械的にエンボス処理を施すことが多い。エンボス処理を行うと、嵩が高くなり柔らかさが向上するが、強度が低下しやすくなるため、柔らかさと強度を両立することが難しい。
吸水度は小さいほどよいが、吸水度が1.0秒以下のものを測定することはできないため、吸水度が1.0秒以下は「1.0秒(以下の表では「≦1.0」と表記」」とみなすこととする。従って、吸水度の下限は測定上は1プライの場合で1.0秒/0.01mL、2プライ以上の場合で1.0秒/0.1mLとなる。
一方、吸水度が1プライの場合で3.0秒/0.01mLを超え、又は2プライ以上の場合で3.0秒/0.1mLを超えると、吸水が遅くて実用に適さない場合がある。なお、吸水度は旧JIS−S3104法に規定されており、「0.1mL(又は0.01mL)」は、トイレットペーパー製品への水の滴下量である。
ほぐれ易さが上記範囲未満であると水分が付着するとすぐにほぐれ、ほぐれ易さが上記範囲を超えるとほぐれ難くなるので、いずれもトイレットペーパーとして実用に適さない。
図1の装置50は、ファブリックプレス方式の抄紙機であり、予備的に脱水するための通風乾燥(TAD)設備を用いず、プレス手段のみで凹凸付けしたウェブ103を製造することができる。装置50は、連続するウェブを形成するウェット部2、ウェブを脱水して模様付け又は凹凸付けするプレス部3、及びウェブを最終乾燥する乾燥部4を備えている。
ヘッドボックス6は、フォーミングワイヤー9とフォーミングフェルト8との間の成型部5にて紙料ジェットを吐出する。フォーミングワイヤー9はエンドレスのループ形態であり、複数のガイドロール10及びフォーミングロール7の周りを走行し、フォーミングロール7にてフォーミングフェルト8に接触する。従って、位置5に吐出された紙料はフォーミングワイヤー9によって脱水されて繊維性ウェブ101を形成し、この繊維性ウェブ101がフォーミングフェルト8にてプレス部3に搬送される。フォーミングフェルト8も複数のガイドロール18の周りを走行するエンドレスのループ形態となっている。
なお、成型部5をサクションブレストロールフォーマーとすることもできる。
凹凸付けファブリック14は、エンドレスのループ形態をなし、複数のガイドロール15、及び乾燥部4に対向するスムーズな転送ロール16の周りを走行する。凹凸付けファブリック14は、第1のプレス要素(ロール)12の周りを走行したときにメインプレス11のプレスニップN1を通り、フォーミングフェルト8で搬送された繊維性ウェブ101と接触する。そして、プレスニップN1にて、凹凸付けファブリック14が繊維性ウェブ101の脱水及び凹凸付けを行って、凹凸付け繊維性ウェブ102を形成する。凹凸付け繊維性ウェブ102は、凹凸付けファブリック14によって転送ロール16まで搬送される。
転送ロール16は、後述する乾燥部4の乾燥シリンダー19と対向し、両者の間に転送ニップN2を形成する。そして、転送ニップN2に搬送された凹凸付け繊維性ウェブ102は、プレス及び脱水を施されずに乾燥にのみ供される。
プレス部3を通る間、各ウェブ101、102の乾燥度は、繊維濃度15〜30%の範囲から42〜52%の範囲とすることができる。
乾燥シリンダー19の表面は、転送ニップN2近傍にて、凹凸付け繊維性ウェブ102を乾燥する乾燥表面20を形成する。又、クレープ付けドクター21は乾燥表面20の下流に配置され、乾燥表面20によって乾燥した凹凸付け繊維性ウェブ102にクレープ付けを行い、それによって、凹凸付け及びクレープ付けの両方を施された最終ウェブ103が得られる。クレープ付は、紙を縦方向(マシン走行方向)に機械的に圧縮し、クレープと称される波状の皺を形成する公知の方法であり、紙に嵩(バルク感)、柔らかさ、吸水性、表面の滑らかさ、美観(クレープの形状)などを付与する。
そして、転送ニップN2にて、凹凸付け繊維性ウェブ102が凹凸付けファブリック14から離れて乾燥シリンダー19の乾燥表面20に転送される。転送ニップN2の圧力は1MPa以下であり、この圧力ではウェブ102の脱水は生じない。
なお、凹凸付けファブリック14から乾燥表面20側にウェブ102を確実に転送させるため、スプレー装置23によって乾燥表面20に接着剤を塗布するようにすると良い。スプレー装置23は、クレープ付けドクター21と転送ニップN2との間であって、乾燥表面20が開放された位置に配置することができる。
経糸及び緯糸の目数が上記範囲未満である場合、又は経糸及び緯糸の線径が上記範囲を超える場合、凹凸付けファブリック14の表面の凹凸が強過ぎ、トイレットペーパーの表面の凹凸も強くなって凹凸の高低差及び凹部の面積率が上記範囲を超え、トイレットペーパーの表面の凹凸が高くなり過ぎ、強度(DGMT)が1.4N/25mm未満に低下し、破れやすくなると共に、滑らかさが劣る。
経糸及び緯糸の目数が上記範囲を超える場合、又は経糸及び緯糸の線径が上記範囲未満である場合、凹凸付けファブリック14の表面の凹凸が低過ぎ、トイレットペーパーの表面の凹凸も低くなって凹凸の高低差及び凹部の面積率が上記範囲未満となり、柔らかさ(紙の風合い)が劣る。
なお、一般的なファブリックとしては、経糸及び緯糸の目数がそれぞれ、70〜200本/2.54cm程度である。また、経糸及び緯糸の線径はそれぞれ、0.08〜0.20mm程度である。
上記で示したワイヤの目数や線径は、ワイヤのトップ面(湿紙とワイヤーが接触する面)の値である。
カレンダーパート60は、対向する一対のロール61、62から構成され、ロール61、62間のギャップに、抄紙及び乾燥後の凹凸付けしたウェブ103が装入されてカレンダー加工される。
ここで、ウェブ103の厚みt0に対し、ロール61、62間のギャップの距離t1を20〜80%に設定することで、より滑らかで、柔軟性に富んだ嵩高なウェブが得られる。
距離t1が厚みt0の20%未満であると、ウェブは平滑になるが、バルクロスが生じ、比容積が7〜15cm3/gの嵩高でふんわりしたウェブが得られないことがある。距離t1が厚みt0の80%を超えると、ウェブを滑らかにすることが困難になることがある。
なお、距離t1が厚みt0の20〜80%であれば、ロール61、62を通過したウェブのキャリパー(厚み)がある程度自然に復元し、キャリパーの減少を最小限に抑え、柔軟性、厚さの低減を最小限に抑えつつ、表面性の向上をはかることができる。
ロール61、62としては、鋼鉄ロール、チルドロール、表面硬質メッキ仕上げロール等の金属性ロール、又は弾性材料でコーティングされたシリンダーを用いることができる。ウェブをより滑らかにできる点では、金属ロールが好ましい。
カレンダー加工前のウェブ厚みt0は、130〜350μm/枚、好ましくは150〜350μm/枚、より好ましくは200〜300μm/枚である。またカレンダー加工後のウェブ厚みは、80〜280μm/枚、好ましくは100〜250μm/枚、より好ましくは100〜200μm/枚である。
さらに、トイレットペーパー製品加工後の厚みは、0.8〜2.5mm/10枚、好ましくは0.8〜2.0mm/10枚、さらに好ましくは0.85〜2.0mm/10枚である。
坪量:JIS P8124に基づいて測定し、シート1枚当たりに換算した。
厚さ:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm 以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、1回の測定は試料を10枚重ねて行い、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。
比容積:シート1枚当たりの厚さをシート1枚当たりの坪量で割り、単位gあたりの容積cm3で表した。
DGMT(Geometric Tensile Strength):JIS P8113に基づいて測定した乾燥時の縦方向引張り強さDMDTと乾燥時の横方向引張り強さDCDTの積の平方根を算出した。
吸水度:旧JIS−S3104法に従い、温度23±1℃、湿度50±2%の状態で、0.01ml(1プライの場合)、又は0.1ml(2プライの場合)の精製水を滴下し、水滴がトイレットペーパー製品に吸収される時間(秒)を測定した。
トイレットペーパー表裏面の凹凸の高低差及び凹部の面積率:上述の通りに測定した。
ほぐれ易さ:JIS P4501に従った。
なお、坪量、DGMT、厚さ、ほぐれ易さの測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
○:5〜3点
×:2〜1点
なお、各実施例の場合、湿紙ウェブに、所定の凹凸付けファブリックを押付けて脱水と同時に凹凸付けを行ったため、表裏面の凹凸の高低差が80〜250μmであり、表裏面の凹部の面積率が5〜15%であった。
又、凹凸付けファブリックの経糸及び緯糸の目数を最も多くし、線径を最も細くした実施例4の場合、他の実施例に比べてトイレットペーパー表面の凹凸が低く、凹凸の高低差及び凹部の面積率の値が他の実施例に比べて小さくなったが、実用上問題はない。
凹凸付けファブリックの経糸及び緯糸の目数を最も少なくし、線径を最も太くした実施例7,8の場合、他の実施例に比べてトイレットペーパー表面の凹凸が高く、凹凸の高低差及び凹部の面積率の値が他の実施例に比べて大きくなったが、実用上問題はない。
1枚のシートの坪量が25g/m2を超えた比較例11の場合、強度(DGMT)が3.8N/25mmを超えて高くなり過ぎ、柔らかさが劣った。
抄紙及び乾燥後のウェブ厚みに対し、20%未満のギャップを有する一対のロールにてカレンダー加工した比較例2の場合、カレンダー加工が過度になって紙が潰れ過ぎ、比容積が7cm3/g未満となると共に、表裏面の凹凸の高低差が80μm未満となり、柔らかさが劣った。
抄紙及び乾燥後のウェブを80%を超えるギャップを有する一対のロールにてカレンダー加工した比較例3の場合、比容積が15cm3/gを超えて嵩高くなり過ぎ、滑らかさが劣った。
凹凸付けファブリックの経糸及び緯糸の目数を実施例より多くし、線径を実施例より細くした比較例4の場合、トイレットペーパー表面の凹凸が低くなり過ぎ、凹凸の高低差の値が上記範囲未満となり、柔らかさが劣った。
凹凸付けファブリックの経糸及び緯糸の目数を実施例より少なくし、線径を実施例より太くした比較例5の場合、トイレットペーパー表面の凹凸が高くなり過ぎ、凹凸の高低差の値及び凹部の面積率が上記範囲を超え、強度(DGMT)が1.4N/25mm未満に低下して破れやすくなったと共に、滑らかさが劣った。
市販のトイレットペーパーである比較例6、12、13の場合、表面の凹凸の高低差が80μm未満にとなり、柔らかさが劣った。なお、DGMT(強度)は、例えばパルプの原料及びその配合量、叩解度、紙力剤の添加の有無、抄紙条件等によって適宜調整することができる。
101 繊維性ウェブ
Claims (3)
- パルプを主成分とする紙料を抄造してなり、前記抄造及び乾燥後でカレンダー加工前のウェブ厚みが130μm以上、350μm以下として、該カレンダー加工が施され、シートを1枚又は2枚以上重ねた1組からなり、1枚の前記シートの坪量が10〜25g/m2、比容積が7〜15cm3/gであるトイレットペーパー製品であって、
トップ面(湿紙とワイヤーが接触する面)の経糸及び緯糸の目数がそれぞれ20〜70本/2.54cm、該経糸及び緯糸の線径が0.21〜0.70mmの経糸及び緯糸を編み込んだ網目状のワイヤからなる凹凸付けファブリックにより前記抄造して製造され、
該トイレットペーパー製品の、JIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDTと、乾燥時の横方向の引張強さDCDTの積の平方根である(DMDT×DCDT)1/2(DGMT)が1.4〜3.8N/25mmであり、
視野1.0-1.4mmで測定したときの表面の凹凸の高低差が80〜250μmであり、スキャン面積4cm×4cmの条件下で行った表面の凹部の面積率が5〜15%であるトイレットペーパー製品。 - 旧JIS−S3104法に規定する吸水度が、前記1組が1枚の前記シートからなる場合に3.0秒/0.01mL以下で、前記1組が2枚以上の前記シートからなる場合に3.0秒/0.1mL以下であり、
JIS P4501法によるほぐれ易さが5〜40秒である請求項1に記載のトイレットペーパー製品。 - 抄造及び乾燥後のウェブ厚みに対し、20〜80%のギャップを有する一対のロールにて前記カレンダー加工を施してなる請求項1又は2に記載のトイレットペーパー製品。
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