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JP5601413B2 - 部品内蔵配線板、部品内蔵配線板の製造方法 - Google Patents

部品内蔵配線板、部品内蔵配線板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、絶縁板中に部品が埋設、実装された部品内蔵配線板およびその製造方法に係り、特に、半導体チップを有する電子部品が埋設、実装された部品内蔵配線板およびその製造方法に関する。
半導体チップがフリップ接続により埋設、実装された部品内蔵配線板の例として、下記特開2003−197849号公報に記載のものがある。半導体チップ(ベアチップ)をフリップ接続すればその実装で生じる厚さは最小限近くに節約され、よってフリップ接続は、半導体チップを有する電子部品を配線板中に内蔵する場合の有力な方法になる。
しかしながら、フリップチップ接続に限らず配線板中に電子部品を内蔵する場合、電子部品が配線板用の絶縁樹脂により封止される構造になるため、電子部品での放熱が問題になる可能性がある。配線板用の絶縁樹脂は、特に熱伝導性が考慮されているわけではなく、放熱は気中より相当に悪化する。半導体チップを有する電子部品は、その定格電圧や集積度により発熱が顕著に増加する。
よって、電子部品内蔵の配線板が高温になり、部品実装部分を破壊したり、配線板の接続部分にダメージを与えたりして、信頼性を低下させたり、過度の場合は、発煙、発火といった状態が引き起こされる可能性もある。対策として、配線板に用いる絶縁樹脂として熱伝導性のよいものに代替することが考えられる。しかし、一般的でなく特殊な材料となることから、入手性やコストの点で不利であり、さらには加工性も異なることから製造工程としてもコスト増になる。
特開2003−197849号公報
本発明は、半導体チップを有する電子部品が埋設、実装された部品内蔵配線板およびその製造方法において、コスト増を招かず、内蔵される部品の放熱性を向上することができる部品内蔵配線板およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である部品内蔵配線板は、第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層に対して積層状に位置する第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層に埋設された、半導体チップを有する電子部品と、前記第2の絶縁層にさらに埋設された、前記電子部品の前記半導体チップの端面から離間して対向する表面を有する熱伝導体と、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層とに挟まれて設けられた、前記電子部品用の実装用ランドと前記熱伝導体の固定用ランドとを含む第1の配線パターンと、前記電子部品と前記第1の配線パターンの前記実装用ランドとの間に挟設された、該電子部品と該実装用ランドとを電気的、機械的に接続する導電部材と、前記熱伝導体と前記第1の配線パターンの前記固定用ランドとの間に挟設された、該熱伝導体と該固定用ランドとを熱的、機械的に接続する導熱部材と、前記導熱部材が配される側の前記熱伝導体の面とは反対の該熱伝導体の面および前記導電部材が配される側の前記電子部品の面とは反対の該電子部品の面から離間して前記第2の絶縁層中に設けられた第2の配線パターンとを具備することを特徴とする。
すなわち、この部品内蔵配線板では、埋設の電子部品が有する半導体チップの端面から離間して対向するように、熱伝導体が埋設されている。したがって、電子部品が発する熱は、電子部品を埋設する絶縁層、ならびに導電部材、第1の配線パターン、および導熱部材を介するように熱伝導体に移動し、その分電子部品に熱が蓄積される状態が回避される。すなわち、電子部品のより効率的な放熱が達せられる。配線板の絶縁材料として特殊なものを使用するには及ばずコスト増を招くこともない。
また、本発明の別の態様である部品内臓配線板の製造方法は、第1の絶縁板上に積層された第1の金属箔をパターニングし、電子部品を実装するための第1のランドおよび熱伝導体を固定するための第2のランドを含む第1の配線パターンを、該第1のランドと該第2のランドとが隣り合うように形成する工程と、前記第1のランド上および前記第2のランド上にクリームはんだを適用する工程と、前記第1のランド上に前記クリームはんだを介して、半導体チップを有する電子部品を載置する工程と、前記第2のランド上に前記クリームはんだを介して、板状の熱伝導体を載置する工程と、前記クリームはんだをリフローして、前記電子部品を前記第1の絶縁板上に実装しかつ前記熱伝導体を前記第1の絶縁板上に固定する工程と、前記第1の絶縁板とは別の絶縁板である第2の絶縁板上に積層された、前記第1の金属箔とは別の金属箔である第2の金属箔をパターニングし、第2の配線パターンを形成する工程と、前記第1、第2の絶縁板とは別の絶縁板である第3の絶縁板を、前記第2の配線パターンのある側の前記第2の絶縁板上に積層する工程と、前記第1ないし第3の絶縁板とは別の絶縁層である第4の絶縁板中に前記電子部品および前記熱伝導体を埋め込むように、前記第1の絶縁板に積層状に前記第4、第3、第2の絶縁板を該積層位置順で一体化する工程とを具備することを特徴とする。
この製造方法は、上記の部品内層配線板を製造するためのひとつの工程例である。この構成によれば、放熱対策のための熱伝導体は、電子部品などの部品と同じように扱うことができる。すなわち、熱伝導体の(第1の)配線パターン上への固定のため、電子部品と同じように、クリームはんだが適用されたランド上に熱伝導体を載置して、このクリームはんだをリフローする。したがって、生産性をほとんど犠牲にすることなく上記構造の部品内蔵配線板を得ることができる。
本発明によれば、半導体チップを有する電子部品が埋設、実装された部品内蔵配線板およびその製造方法において、コスト増を招かず、内蔵される部品の放熱性を向上することができる部品内蔵配線板およびその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板の構造を模式的に示す縦断面図。 図1中に示したA−Aa位置における部品内蔵配線板の構造を模式的に示す横断面図。 図1に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図。 図1に示した部品内蔵配線板の製造過程の別の一部を模式的断面で示す工程図。 図1に示した部品内蔵配線板の製造過程のさらに別の一部を模式的断面で示す工程図。 図3に示した製造過程の変形例を模式的断面で示す工程図。
本発明の実施態様として、前記熱伝導体が、その材質として銅である、とすることができる。熱伝導体として銅製のものを用いることで、良好な熱伝導性が得られ、かつ、配線パターンとの接続も通常の電子部品と同様に行うことができる。
ここで、前記熱伝導体が、粗化された表面を有する、とすることができる。表面を粗化することで熱伝導体を埋設する絶縁層との密着性を増強することができる。これにより、配線板としての信頼性を向上することができる。
また、実施態様として、前記導熱部材が配される側の前記熱伝導体の面とは反対の該熱伝導体の面と前記第2の配線パターンとの間に挟設された第2の導熱部材をさらに具備する、とすることができる。これによれば、熱伝導体から第2の導熱部材を介して一層の放熱が進み好ましい。
ここで、前記第2の絶縁層中に前記第2の配線パターンと重層的に設けられた第3の配線パターンと、前記第2の絶縁層の積層方向一部を貫通して前記第2の配線パターンの面と前記第3の配線パターンの面との間に挟設され、かつ導電性組成物からなり、かつ積層方向に一致する軸を有し該軸の方向に径が変化している形状である層間接続体と、をさらに具備し、前記層間接続体と前記第2の導熱部材とが同じ材料の導電性組成物である、とすることができる。
この態様では、製造途上において、第2の配線パターンの面と第3の配線パターンの面との間に挟設されるべき層間接続体(=縦方向の配線部)の形成と同時に第2の導熱部材を形成することができる。したがって、生産効率のよい製造が可能である。
また、実施態様として、前記導電部材と前記導熱部材とが同じ材料である、とすることができる。これによれば、電子部品の実装と熱伝導体の固定とを同時に行うことが可能であり、効率のよい製造が可能になる。
また、実施態様として、前記熱伝導体が、前記電子部品の全周を取り囲む形状である、とすることができる。これによれば、電子部品からの熱伝導体への熱の移動が効率的になり、一層の放熱に好ましい。
また、製造方法の実施態様として、第2の配線パターンを形成する前記工程のあと、該第2の配線パターン上に導電性組成物を有するバンプを形設する工程をさらに具備し、第3の絶縁板を、前記第2の配線パターンのある側の前記第2の絶縁板上に積層する前記工程が、前記バンプが前記第3の絶縁板を貫通するようになされ、前記第1の絶縁板に積層状に前記第4、第3、第2の絶縁板を該積層位置順で一体化する前記工程が、前記バンプが前記熱伝導体の前記第1の絶縁板の側とは反対の側の該熱伝導体の面に押し付けられて塑性変形するようになされる、とすることができる。
この態様は、熱伝導体からの放熱がこれに押し付けられたバンプを介して一層進むようにすることを意図して構成するものである。このバンプは、絶縁層の積層方向一部を貫通して設けられるべき層間接続体(=縦方向の配線部)と同時に形成することもできる。同時に形成することで製造効率を犠牲にすることなく高機能化を図ることができる。
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板の構成を模式的に示す縦断面図である。
図1に示すように、この部品内蔵配線板は、絶縁層11(第1の絶縁層)、同12、同13、同14、同15(12、13、14、15で第2の絶縁層)、配線層21、同22(配線パターン)、同23、同24(第3の配線パターン)、同25(第2の配線パターン)、同26(=合計6層)、層間接続体31、同32、同34、同35、スルーホール導電体33、表面実装型受動素子部品41、電子部品(ウエハレベル・チップスケールパッケージによる半導体素子)42、熱伝導体(銅板)43、接続部材(はんだ)51、導電部材(はんだ)52、導熱部材(はんだ)53、はんだレジスト61、62、導熱部材34a(第2の導熱部材)を有する。
なお、図2は、図1中に示したA−Aa位置における、この部品内蔵配線板の構造を模式的に示す横断面図である。以下の説明においては、図2も適宜参照され得る。図2において、図1中に示した構成要素と同一のものには同一符号を付してある。図1との関係で補足すると、図1では、説明の便宜上、板の厚さ方向が現実より相当に大きく描画されている。また、図1、図2における表面実装型受動素子部品41と電子部品42との平面的な大きさの関係は、現実には、通常、電子部品42の方が相当に(例えば長さで1桁程度)大きい。
この配線板は、内蔵の電気/電子部品として、表面実装型受動素子部品41、電子部品42を有することができる。これらの内蔵部品のうち特に電子部品42については、その放熱性改善を意図して、その周りを取り囲むように熱伝導体43をも内蔵している。
表面実装型受動素子部品41は、いわゆるチップ部品であり、ここでは例えばチップコンデンサ(あるいはチップ抵抗、チップインダクタ)である。その平面的な大きさは例えば0.6mm×0.3mmである。両端に端子41aを有し、その下側が配線層22による実装用ランドに対向位置している。表面実装型受動素子部品41の端子41aと実装用ランドとは接続部材(はんだ)51により電気的・機械的に接続されている。
電子部品42は、例えば、ウエハレベル・チップスケールパッケージによる半導体素子であり、半導体チップと、該半導体チップ上に形成されたグリッド状配列の表面実装用端子42aとを少なくとも備えている。表面実装用端子42aは、半導体チップがもともと有する端子パッドから再配線層を介して電気的に導通しつつその位置を再配置して設けられた端子である。このような再配置により、端子としての配置密度が半導体チップ上の端子パッドのそれより粗くなっている。電子部品42は、表面実装技術により、配線層22による実装用ランドに導電部材(はんだ)52を介して実装され、電子部品42と実装用ランドとは機械的、電気的に接続されている。
熱伝導体43は、この形態では、銅の板材を加工して用いているが、熱伝導性のよい他の材料の板も使用できる。平面的には、図2に示すように、電子部品42(の半導体チップ)の端面から離間して隣り合うように配置されている。離間で生じる薄い間隙には、配線板を構成する絶縁樹脂材料が充填され、熱伝導体43と電子部品42との電気的な接触を避けるようにしている。電子部品42が発する熱は、半導体チップの端面からこの薄い絶縁樹脂材料の層を貫通して熱伝導体43の対向する面に移動する。これが電子部品42の発する熱のひとつの放熱経路になる。
また、熱伝導体43は、導熱部材(はんだ)53によって配線層22に固定され、これらの間は、機械的、熱的に接続されている。すなわち、熱伝導体43は、表面実装型受動素子部品41、電子部品42などの電気/電子部品と同様の扱いの部品として、導熱部材(はんだ)53により配線層22上の専用ランドに実装がなされたものである。
このように熱伝導体43を取り扱うことで、この配線板の組み立て、製造において特に新規な工程が必要となることがなく、生産効率が低下しない。熱伝導体43は、内蔵の実装部品として扱われるため、その検品をあらかじめ行っておくことで、熱伝導体43の不良を原因とする配線板としての歩留まり低下を防止できる。電子部品43が発する熱は、電子部品42の端子42aを介して、導電部材(はんだ)52、配線パターン22、導熱部材(はんだ)53、熱伝導体43の経路でも移動することができる。
なお、熱伝導体43は、図2に示すように、電子部品43の全周を取り囲むような形状にすることが熱伝導体として一応は好ましい。ただし、全周を取り囲まずに、電子部品43の特に発熱の大きな部位に近い周上に隣り合うように熱伝導体43を設けることでも好ましい放熱が可能である。また、熱伝導体43は配線層22に電気的にも接続されているので、熱伝導体43を電子部品42に対するシールド部材として機能させることも可能である。
また、熱伝導体43の平面的な形状は、配線パターン23、同24の配置されている領域を避けるようにできるだけ大きく設定すると放熱の目的に好ましい。配線パターン23、同24の領域を避けるのは、図示で分かるように、この配線板では、内蔵の部品が中央の(コアの)絶縁層13の開口内に設けられ、この開口によりその領域には配線パターン23、24が設けられることがないためである。配線パターン23、同24の領域を避ければ、しかしながら、配線パターン23、24の配置されない領域に広げて大きく熱伝導体43を配置することができる。これにより、放熱性をより向上できる。
また、熱伝導体43は、導熱部材53が配される側とは反対の側で導熱部材34aが接触しており、この導熱部材34aの反対側は配線層25に接触している。したがって、電子部品42から熱伝導体43に移動した熱は、この導熱部材34aを介してさらに別の各配線層にも移動することができる。よって、一層の放熱性の改善が図られている。なお、導熱部材34aは、層間接続体34と同様の材料からなり、層間接続体34と同様の工程により形成されたものである(後述する)。したがって、導熱部材34aを設けても、この配線板の組み立て、製造において特に新規な工程が必要となることがなく、生産効率が低下しない。
なお、導電部材52、導熱部材53は、はんだに代えて例えば導電性組成物を用いることもできる。電子部品42は、ウエハレベル・チップスケールパッケージによる半導体素子に限らず、例えば(配線層22に対してフリップ接続された)ベアの半導体チップとすることもできる。
部品内蔵配線板としてのほかの構造について述べると、配線層21、26は、配線板としての両主面上の配線層であり、その上に各種の部品(不図示)が実装され得る。実装ではんだ(不図示)が載るべき配線層21、26のランド部分を除いて両主面上には、はんだ接続時に溶融したはんだをランド部分に留めかつその後は保護層として機能するはんだレジスト61、62が形成されている(厚さはそれぞれ例えば20μm程度)。ランド部分の表層には、耐腐食性の高いNi/Auのめっき層(不図示)を形成するようにしてもよい。
また、配線層22、23、24、25は、それぞれ、内層の配線層であり、順に、配線層21と配線層22の間に絶縁層11が、配線層22と配線層23の間に絶縁層12が、配線層23と配線層24との間に絶縁層13が、配線層24と配線層25との間に絶縁層14が、配線層25と配線層26との間に絶縁層15が、それぞれ位置しこれらの配線層21〜26を隔てている。各配線層21〜26は、例えばそれぞれ厚さ18μmの金属(銅)箔からなっている。
各絶縁層11〜15は、絶縁層13を除き例えばそれぞれ厚さ100μm、絶縁層13のみ例えば厚さ300μmで、それぞれ例えばガラスエポキシ樹脂からなるリジッドな素材である。特に絶縁層13は、内蔵された表面実装型受動素子部品41および電子部品42、熱伝導体43に相当する位置部分が開口部となっており、これらを埋設するための空間を提供する。絶縁層12、14は、この開口部および絶縁層13のスルーホール導電体33内部の空間を埋めるように変形進入しており内部に空隙となる空間は存在しない。
配線層21と配線層22とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層11を貫通する層間接続体31により導通し得る。同様に、配線層22と配線層23とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層12を貫通する層間接続体32により導通し得る。配線層23と配線層24とは、絶縁層13を貫通して設けられたスルーホール導電体33により導通し得る。配線層24と配線層25とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層14を貫通する層間絶縁体34により導通し得る。配線層25と配線層26とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層15を貫通する層間接続体35により導通し得る。
層間接続体31、32、34、35(および導熱部材34a)は、それぞれ、導電性組成物のスクリーン印刷により形成される導電性バンプを由来とするものであり、その製造工程に依拠して軸方向(図1の図示で上下の積層方向)に径が変化している。その直径は、太い側で例えば200μmである。
次に、図1、図2に示した部品内蔵配線板の製造工程を図3ないし図5を参照して説明する。図3ないし図5は、それぞれ、図1に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図である。これらの図において図1中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。
図3から説明する。図3は、図1中に示した各構成のうち絶縁層11を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図3(a)に示すように、厚さ例えば18μmの金属箔(電解銅箔)22A上に例えばスクリーン印刷により、層間接続体31となるペースト状の導電性組成物をほぼ円錐形のバンプ状(底面径例えば200μm、高さ例えば160μm)に形成する。この導電性組成物は、ペースト状の樹脂中に銀、金、銅などの金属微細粒または炭素微細粒を分散させたものである。説明の都合で金属箔22Aの下面に印刷しているが上面でもよい(以下の各図も同じである)。層間接続体31の印刷後これを乾燥させて硬化させる。
次に、図3(b)に示すように、金属箔22A上に厚さ例えば公称100μmのFR−4のプリプレグ11Aを積層して層間接続体31を貫通させ、その頭部が露出するようにする。露出に際してあるいはその後その先端を塑性変形でつぶしてもよい(いずれにしても層間接続体31の形状は、積層方向に一致する軸を有しその軸方向に径が変化している。)。続いて、図3(c)に示すように、プリプレグ11A上に金属箔(電解銅箔)21Aを積層配置して加圧・加熱し全体を一体化する。このとき、金属箔21Aは層間接続体31と電気的導通状態となり、プリプレグ11Aは完全に硬化して絶縁層11になる。
次に、図3(d)に示すように、片側の金属箔22Aに例えば周知のフォトリソグラフィによるパターニングを施し、これを、部品の実装用ランドおよびその一部に隣り合う熱伝導体43用の専用ランドを含む配線パターン22に加工する。そして、加工により得られた実装用ランド上および熱伝導体43用の専用ランド上に、図3(e)に示すように、クリームはんだ51A、52A、53Aを適用する。これらは、例えばスクリーン印刷を用いて適用することができる。スクリーン印刷によれば容易に効率的に所定パターンに印刷できる。なお、スクリーン印刷に代えてディスペンサで適用することもできる。
次に、表面実装型受動素子部品41、電子部品42、および熱伝導体43を、それぞれ、クリームはんだ51A、52A、53Aを介した各ランド上にそれぞれ例えばマウンタで載置する。続いて、例えばリフロー炉で加熱してクリームはんだ51A、52A、53Aをリフローする。これにより、図3(f)に示すように、表面実装型受動素子部品41、電子部品42、および熱伝導体43が、それぞれ、接続部材51、導電部材52、導熱部材53を介して配線層22の各ランド上に接続された状態の配線板素材1を得ることができる。この配線板素材1を用いる後の工程については図5で述べる。
次に、図4を参照して説明する。図4は、図1中に示した各構成のうち絶縁層13および同12を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図4(a)に示すように、両面に例えば厚さ18μmの金属箔(電解銅箔)23A、24Aが積層された例えば厚さ300μmのFR−4の絶縁層13を用意し、その所定位置にスルーホール導電体を形成するための貫通孔83をあけ、かつ内蔵する表面実装型受動素子部品41、および電子部品42、熱伝導体43に相当する部分に部品用開口部81、82を形成する。部品用開口部82は、放熱対応部品用開口部である。
次に、無電解めっきおよび電解めっきを行い、図4(b)に示すように、貫通孔83の内壁にスルーホール導電体33を形成する。このとき開口部81、82の内壁にも導電体が形成される。さらに、図4(c)に示すように、金属箔23A、24Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングして配線層23、24を形成する。配線層23、24のパターニング形成により、開口部81、82の内壁に形成された導電体も除去される。
次に、図4(d)に示すように、配線層23上の所定の位置に層間接続体32となる導電性バンプ(底面径例えば200μm、高さ例えば160μm)をペースト状導電性組成物のスクリーン印刷により形成する。続いて、図4(e)に示すように、絶縁層12とすべきFR−4のプリプレグ12A(公称厚さ例えば100μm)を配線層23側にプレス機を用い積層する。プリプレグ12Aには、絶縁層13と同様の、内蔵する表面実装型受動素子部品41、および電子部品42、熱伝導体43に相当する部分の開口部をあらかじめ設けておく。
図4(e)の積層工程では、層間接続体32の頭部をプリプレグ12Aに貫通させる。なお、図4(e)における層間接続体32の頭部の破線は、この段階でその頭部を塑性変形させてつぶしておく場合と塑性変形させない場合の両者あり得ることを示す。以上により得られた配線板素材を配線板素材2とする。
以上の図4に示した工程は、以下のような手順とすることも可能である。図4(a)の段階では、貫通孔83のみ形成し内蔵部品用の開口部81、82を形成せずに続く図4(b)から図4(d)までの工程を行う。次に、図4(e)に相当する工程として、プリプレグ12A(開口のないもの)の積層を行う。そして、絶縁層13およびプリプレグ12Aに部品内蔵用の開口部を同時に形成する、という工程である。
次に、図5を参照して説明する。図5は、上記で得られた配線板素材1、2などを積層する配置関係を示す図である。ここで、図示上側の配線板素材3は、下側の配線板素材1と同様な工程を適用し、かつそのあと層間接続体34およびプリプレグ14Aを、図示中間の配線板素材2における層間接続体32およびプリプレグ12Aと同様にして形成し得られたものである。配線板素材3において、層間接続体34と導熱部材34aとは同一の工程により形成できる。
ただし、配線板素材3は、部品(表面実装型受動素子部品41、および電子部品42、熱伝導体43)およびこれを接続するための部位(各ランド)のない構成であり、さらにプリプレグ14Aには、表面実装型受動素子部品41用の開口部、および電子部品42用で熱伝導体43用の開口部を設けない。そのほかは、金属箔(電解銅箔)26A、絶縁層15、層間接続体35、配線層25、プリプレグ14A、層間接続体34(導熱部材34a)とも、それぞれ配線板素材1の金属箔21A、絶縁層11、層間接続体31、配線層22、配線板素材2のプリプレグ12A、層間接続体32と同じである。
図5に示すような配置で各配線板素材1、2、3を積層配置してプレス機で加圧・加熱する。これにより、プリプレグ12A、14Aが完全に硬化し全体が積層・一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ12A、14Aの流動性により、表面実装型受動素子部品41、および電子部品42、熱伝導体43の周りの空間、ならびにスルーホール導電体33内部の空間にはプリプレグ12A、14Aが変形進入し空隙は発生しない。また、配線層22、24は、層間接続体32、34にそれぞれ電気的に接続され、熱伝導体43の背面には導熱部材34aが塑性変形して接触する。
図5に示す積層工程の後、上下両面の金属箔26A、21Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、さらにはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図1に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。図5において、絶縁層11は第1の絶縁板、プリプレグ12Aおよび絶縁層13は第4の絶縁板、プリプレグ14Aは第3の絶縁板、絶縁層15は第2の絶縁板に相当する。
変形例として、中間の絶縁層13に設けられたスルーホール導電体33については、層間接続体31や同32と同様なものとする構成も当然ながらあり得る。また、層間接続体31、32、34、35について、説明した導電性組成物印刷による導電性バンプを由来とするもの以外に、例えば、金属板エッチングにより形成された金属バンプ、導電性組成物充填による接続体、めっきにより形成された導体バンプなどを由来とするものなどのうちから適宜選択、採用することもできる。また、外側の配線層21、26は、最後の積層工程のあとにパターニングして得る以外に、各配線板素材1、3の段階で(例えば図3(d)の段階で)形成するようにしてもよい。
次に、図6は、図3に示した製造過程の変形例を模式的断面で示す工程図である。図6において、すでに説明した構成部分と同一または同一相当の部分には同一符号を付してある。図6は、より具体的には、図3(f)に示した配線板素材1についてさらに処理を進めてこれを配線板素材1に代わる新たな配線板素材1Aに改変する工程を示している。
まず、図6(a)は、図4(f)とまったく同じ図示である。次に、図6(b)に示すように、配線層22のこの時点で露出されている表面および熱伝導体43のこの時点で露出されている表面を粗化処理して、それぞれ粗化表面22a、粗化表面43aに改質する。これには、具体的に、例えば、黒化還元処理やマイクロエッチング処理を採用することができる。マイクロエッチング処理としては、例えば、CZ処理(メック社商品名)やボンドフィルム処理(アトテック社商品名)がある。
図6(b)に示す形態の配線板素材1Aは、図5に示した積層工程における配線板素材1の代わりに用いられる。この積層工程では、配線層22の表面が粗化表面22aになっており、かつ熱伝導体43の表面も粗化表面43aになっているので、プリプレグ12A、プリプレグ14Aと、配線層22、熱伝導体43との機械的な接続信頼性(密着性)の向上がもたらされる。これにより部品内蔵配線板として信頼性を増すことができる。
1…配線板素材、1A…配線板素材、2…配線板素材、3…配線板素材、11…絶縁層、11A…プリプレグ、12…絶縁層、12A…プリプレグ、13…絶縁層、14…絶縁層、14A…プリプレグ、15…絶縁層、21…配線層(配線パターン)、21A…金属箔(銅箔)、22…配線層(配線パターン)、22A…金属箔(銅箔)、22a…粗化表面、23…配線層(配線パターン)、23A…金属箔(銅箔)、24…配線層(配線パターン)、24A…金属箔(銅箔)、25…配線層(配線パターン)、26…配線層(配線パターン)、26A…金属箔(銅箔)、31,32,34,35…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプ)、33…スルーホール導電体、34a…導熱部材(第2の導熱部材;導電性組成物印刷による導電性バンプ)、41…表面実装型受動素子部品、41a…端子、42…電子部品(ウエハレベル・チップスケールパッケージによる半導体素子)、42a…表面実装用端子、43…熱伝導体(銅板)、43a…粗化表面、51…接続部材(はんだ)、51A…クリームはんだ、52…導電部材(はんだまたは導電性組成物)、52A…クリームはんだ、53…導熱部材(はんだまたは導電性組成物)、53A…クリームはんだ、61,62…はんだレジスト、81…部品用開口部、82…放熱対応部品用開口部、83…貫通孔。

Claims (9)

  1. 第1の絶縁層と、
    前記第1の絶縁層に対して積層状に位置する第2の絶縁層と、
    前記第2の絶縁層に埋設された、半導体チップを有する電子部品と、
    前記第2の絶縁層にさらに埋設された、前記電子部品の前記半導体チップの端面から離間して対向する表面を有する熱伝導体と、
    前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層とに挟まれて設けられた、前記電子部品用の実装用ランドと前記熱伝導体の固定用ランドとを含む第1の配線パターンと、
    前記電子部品と前記第1の配線パターンの前記実装用ランドとの間に挟設された、該電子部品と該実装用ランドとを電気的、機械的に接続する導電部材と、
    前記熱伝導体と前記第1の配線パターンの前記固定用ランドとの間に挟設された、該熱伝導体と該固定用ランドとを熱的、機械的に接続する導熱部材と、
    前記導熱部材が配される側の前記熱伝導体の面とは反対の該熱伝導体の面および前記導電部材が配される側の前記電子部品の面とは反対の該電子部品の面から離間して前記第2の絶縁層中に設けられた第2の配線パターンと
    を具備することを特徴とする部品内蔵配線板。
  2. 前記熱伝導体が、その材質として銅であることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
  3. 前記熱伝導体が、粗化された表面を有することを特徴とする請求項2記載の部品内蔵配線板。
  4. 前記導熱部材が配される側の前記熱伝導体の面とは反対の該熱伝導体の面と前記第2の配線パターンとの間に挟設された第2の導熱部材をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
  5. 前記第2の絶縁層中に前記第2の配線パターンと重層的に設けられた第3の配線パターンと、
    前記第2の絶縁層の積層方向一部を貫通して前記第2の配線パターンの面と前記第3の配線パターンの面との間に挟設され、かつ導電性組成物からなり、かつ積層方向に一致する軸を有し該軸の方向に径が変化している形状である層間接続体と、をさらに具備し、
    前記層間接続体と前記第2の導熱部材とが同じ材料の導電性組成物であること
    を特徴とする請求項4記載の部品内蔵配線板。
  6. 前記導電部材と前記導熱部材とが同じ材料であることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
  7. 前記熱伝導体が、前記電子部品の全周を取り囲む形状であることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
  8. 第1の絶縁板上に積層された第1の金属箔をパターニングし、電子部品を実装するための第1のランドおよび熱伝導体を固定するための第2のランドを含む第1の配線パターンを、該第1のランドと該第2のランドとが隣り合うように形成する工程と、
    前記第1のランド上および前記第2のランド上にクリームはんだを適用する工程と、
    前記第1のランド上に前記クリームはんだを介して、半導体チップを有する電子部品を載置する工程と、
    前記第2のランド上に前記クリームはんだを介して、板状の熱伝導体を載置する工程と、
    前記クリームはんだをリフローして、前記電子部品を前記第1の絶縁板上に実装しかつ前記熱伝導体を前記第1の絶縁板上に固定する工程と、
    前記第1の絶縁板とは別の絶縁板である第2の絶縁板上に積層された、前記第1の金属箔とは別の金属箔である第2の金属箔をパターニングし、第2の配線パターンを形成する工程と、
    前記第1、第2の絶縁板とは別の絶縁板である第3の絶縁板を、前記第2の配線パターンのある側の前記第2の絶縁板上に積層する工程と、
    前記第1ないし第3の絶縁板とは別の絶縁層である第4の絶縁板中に前記電子部品および前記熱伝導体を埋め込むように、前記第1の絶縁板に積層状に前記第4、第3、第2の絶縁板を該積層位置順で一体化する工程と
    を具備することを特徴とする部品内蔵配線板の製造方法。
  9. 第2の配線パターンを形成する前記工程のあと、該第2の配線パターン上に導電性組成物を有するバンプを形設する工程をさらに具備し、
    第3の絶縁板を、前記第2の配線パターンのある側の前記第2の絶縁板上に積層する前記工程が、前記バンプが前記第3の絶縁板を貫通するようになされ、
    前記第1の絶縁板に積層状に前記第4、第3、第2の絶縁板を該積層位置順で一体化する前記工程が、前記バンプが前記熱伝導体の前記第1の絶縁板の側とは反対の側の該熱伝導体の面に押し付けられて塑性変形するようになされること
    を特徴とする請求項8記載の部品内蔵配線板の製造方法。
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