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JP5685899B2 - 熱風炉の燃焼制御装置及び熱風炉の燃焼制御方法 - Google Patents

熱風炉の燃焼制御装置及び熱風炉の燃焼制御方法 Download PDF

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JP5685899B2 JP2010256960A JP2010256960A JP5685899B2 JP 5685899 B2 JP5685899 B2 JP 5685899B2 JP 2010256960 A JP2010256960 A JP 2010256960A JP 2010256960 A JP2010256960 A JP 2010256960A JP 5685899 B2 JP5685899 B2 JP 5685899B2
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Description

本発明は、高炉などに対して熱風を供給する熱風炉の燃焼制御装置及びその燃焼制御方法に関し、特に、熱風炉の燃焼期における投入熱量を最適化するための制御に関する。
熱風炉は、燃焼期に燃焼ガスなどによりレンガなどから構築された炉内の蓄熱部を昇温させて熱エネルギーを蓄積し、それに引き続く送風期において炉内に冷風を通して蓄熱部との熱交換によって熱風を得て、それを高炉に供給する設備である。
図4は、熱風炉の炉内の構造を示す模式図である。図4に示すように、熱風炉11は燃焼室12と蓄熱室13とからなっている。蓄熱室13の内部には、蓄熱レンガ19が積まれており、符号14の部位はドーム、符号15の部位は珪石レンガ下部と呼ばれている。燃焼期には、燃焼室12において、燃料ガスを供給口16から、燃焼用空気を供給口17から、それぞれ供給して燃焼させ、その燃焼排ガスを蓄熱室13に通して内部の蓄熱レンガ19を加熱する。引き続く送風期には、供給口18から冷風を蓄熱室13に通し、蓄熱レンガ19との熱交換により熱風を得る。このような熱風炉11を複数基設置し、位相を炉ごとにずらしながら燃焼期と送風期のサイクルを繰り返すことによって、高炉操業において必要な温度及び流量の熱風を途切れることなく供給している。
図5は、送風期における送風温度制御系の模式図である。1基の熱風炉11にのみ通風する場合と2基に同時に通風する場合があり、前者では混冷バタフライ弁MBの開度を調整して冷風を混合することにより、後者では一方の熱風炉11の冷風バタフライ弁CBを開とし、もう一方の熱風炉11の冷風バタフライ弁CBの開度を調整することにより高炉に送風する熱風の温度制御を行う。図5では、熱風炉1(1HS)と熱風炉2(2HS)の2基に同時に通風する場合を示している。
燃焼期には、引き続く送風期の間、熱風温度を確保するのに必要な熱量を投入する必要があるが、省エネルギー及び炭酸ガス排出削減のためには投入熱量を極力抑える必要がある。しかし、珪石レンガは、変態点温度である573℃よりも温度が下がると急激な膨張を生じ、崩壊する可能性がある。そのため、送風末期においても珪石レンガ下部15の温度を変態点温度以上に保つ必要がある。また、設備保護の観点から、ドーム14はある温度以上に加熱することはできない。投入熱量は、このような制約条件のもとで最小化することが望ましく、この投入熱量決定が熱風炉の燃焼制御の重要な課題である。
熱風炉の操業には、一つの炉からの熱風と冷風を混合して温度調整を行って高炉に熱風を供給するシングル操業と、少なくとも3基以上の熱風炉のうちの2基を、時間をずらして同時に通風し、得られた熱風を混合して高炉に供給するスタガードパラレル操業がある。
図6は、スタガードパラレル操業の概念図である。図6において、kは離散化された時刻であり、炉の切替時刻に一致させている。以降、炉の切替間隔をピリオドと呼ぶ。熱風炉1(図5の1HS)は、時刻k=0において送風期を終え、燃焼期に入る。熱風炉2(図5の2HS)は、1ピリオド遅れて時刻k=1において送風期を終えて燃焼期に入る。熱風炉3(図5の3HS)は、時刻k=0において燃焼期を終えて送風期に入る。熱風炉4(図5の4HS)は、時刻k=1において燃焼期を終えて送風期に入る。そのため、k=1からk=2の間は3HSと4HSの2基送風状態となる。k=0からk=1の間、3HSは後行炉であり、3HSに先行する2HSよりも熱レベルが高く、より高温の熱風を供給する役割を担う。したがって、k=1においては3HSからの熱風温度は高炉への送風温度設定値よりも高い状態にあることが必要である。そのため、k=1では3HS,4HSからの熱風はともに送風温度設定値よりも高くなる。そこで、4HSは3HSからの熱風温度が送風温度設定値まで低下する時刻(図6の矢印A)まで待機し、その間は3HSの1基送風とし、3HSからの熱風に冷風(混合冷風)を混合することにより送風温度制御を行う。
シングル操業の場合には、各炉からの熱風温度は送風温度設定値よりも常に高い必要があるが、スタガードパラレル操業では、送風温度設定値よりも低い先行炉からの熱風と、送風温度設定値よりも高い後行炉からの熱風を混合して使用するため、前者に比べて炉の蓄熱量のレベル(以下、熱レベル)を下げることができ、熱効率を上げることができる。そのため、大型高炉の場合には、スタガードパラレル操業が行われるのが一般的である。
従来、熱風炉の投入熱量制御方法として、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、熱理論的に求めた必要蓄熱量をベースに各種補正を行って、投入熱量を決定するものである。具体的には、高炉から要請される次回送風条件から送風期理論放熱量を熱理論的に求めて必要蓄熱量のべースとし、これに熱量誤差や燃焼開始前の残熱量を加味して必要投入熱量を求める。さらに、冷風温度変動による送風温度の変動を抑制するべく上記必要投入熱量を補正して今回の燃焼期における熱風炉への投入熱量を決定する。
特開平7−145416号公報
しかしながら、上記従来の熱風炉の投入熱量制御方法では、熱風炉への投入熱量の良否評価を、操業条件によっても影響を受ける送風温度の変動で行っているため、良否判定が難しい。また、過剰あるいは過少な熱余裕の状態を判別するのが困難であるため、熱風炉への投入熱量を最適化することができず、熱余裕の過不足が生じるおそれがある。
そこで、本発明は、各炉への投入熱量を最適化することを可能にした熱風炉の燃焼制御装置及びその燃焼制御方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る熱風炉の燃焼制御装置は、複数基の熱風炉に対して予め定められた制御周期ごとに燃焼期及び送風期のサイクルを繰り返して行うことにより、高炉に対して所望の温度と流量の熱風を供給する熱風炉の燃焼制御装置であって、熱風炉が有する熱量であって、高炉から要求された温度及び流量の熱風を供給するのに必要な最低限の熱量よりもどれだけ多くの熱量を有しているかを示す熱量を熱余裕とし、各熱風炉の熱余裕を表す指標の実績値と各熱風炉の熱余裕を表す指標の目標値との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードバック補正量を設定するフィードバック補正量設定手段と、前回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量と、次回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードフォワード補正量を設定するフィードフォワード補正量設定手段とをさらに備え、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記フィードバック補正量設定手段で設定したフィードバック補正量と、前記フィードフォワード補正量設定手段で設定したフィードフォワード補正量とを加算することで、各熱風炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定する投入熱量設定手段と、を備えることを特徴としている。
これにより、熱風炉への投入熱量を、熱余裕指標の実績値と熱余裕指標の目標値との差分に応じて設定することができる。そのため、熱余裕指標の実績値の変化及び熱余裕指標の目標値の変化に対応して適切に熱風炉への投入熱量を設定することができ、操業状態に応じた過不足のない熱余裕を熱風炉に持たせることができる。また、熱余裕指標に目標値を設定することにより、過剰あるいは過少な熱余裕の状態を容易に判別することができる。そのため、熱風炉への投入熱量の良否評価を容易に行うことができる。さらに、投入熱量の設定に際し、速度型制御を採用するので、比較的簡易な構成で燃焼制御が可能となる。
また、熱風炉への投入熱量を、前回の送風期における高炉必要熱量と次回の送風期における高炉必要熱量との差分に応じて設定することができる。そのため、高炉必要熱量が変化したときには、熱風炉に蓄熱させる熱量を迅速に変更することができる。
さらに、本発明に係る熱風炉の燃焼制御方法は、複数基の熱風炉に対して予め定められた制御周期ごとに燃焼期及び送風期のサイクルを繰り返して行うことにより、高炉に対して所望の温度と流量の熱風を供給する熱風炉の燃焼制御方法であって、熱風炉が有する熱量であって、高炉から要求された温度及び流量の熱風を供給するのに必要な最低限の熱量よりもどれだけ多くの熱量を有しているかを示す熱量を熱余裕とし、各熱風炉の熱余裕を表す指標の実績値と各熱風炉の熱余裕を表す指標の目標値との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードバック補正量を設定するステップと、前回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量と、次回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードフォワード補正量を設定するステップとを備え、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記フィードバック補正量と、前記フィードフォワード補正量とを加算することで、各熱風炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定するステップと、を備えることを特徴としている。
これにより、熱風炉への投入熱量を最適化して熱余裕の過不足を抑制することができる燃焼制御方法とすることができる。
本発明によれば、熱余裕の様々な状況に対応して前回の燃焼期における熱風炉への投入熱量に対するフィードバック補正量を設定することができるので、熱風炉への投入熱量を最適化することができ、省エネルギーと炭酸ガス排出量の削減とを図ることができる。
本実施形態における熱風炉の燃焼制御装置及び関連設備の構成を示す図である。 燃焼制御装置の具体的構成を示すブロック図である。 本実施形態の動作を説明するための図である。 熱風炉の炉内の構造を示す模式図である。 送風期における送風温度制御系の模式図である。 スタガードパラレル操業の概念図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(構成)
図1は、本実施形態における熱風炉の燃焼制御装置及び関連設備の構成を示す図である。
図中、符号11は熱風炉(以下、単に炉とも称す)である。この熱風炉11は、図4に示すように燃焼室12と蓄熱室13とからなっている。蓄熱室13の内部には、蓄熱レンガ19が積まれており、符号14の部位はドーム、符号15の部位は珪石レンガ下部と呼ばれている。燃焼期には、燃焼室12において、燃料ガスを供給口16から、燃焼用空気を供給口17から、それぞれ供給して燃焼させ、その燃焼排ガスを蓄熱室13に通して内部の蓄熱レンガ19を加熱する。引き続く送風期には、供給口18から冷風を蓄熱室13に通し、蓄熱レンガ19との熱交換により熱風を得る。このとき得られた熱風は高炉へ供給される。このような熱風炉11を複数基(例えば、図5に示すように4基)連結し、図6に示すように、位相を炉ごとにずらしながら予め定められた制御周期ごとに燃焼期と送風期のサイクルを繰り返すことによって、高炉操業において必要な温度及び流量の熱風を途切れることなく供給している。
図1に示すように、熱風炉11の出口側には、高炉に供給する熱風の温度(送風温度)を測定する送風温度計31が取り付けられている。また、熱風炉11のドーム14には、ドーム温度を測定するドーム温度計32が取り付けられ、熱風炉11の珪石レンガ下部15には、レンガ温度を測定するレンガ温度計33が取り付けられている。さらに、混冷バタフライ弁MBには、当該混冷バタフライ弁MBの開度を検出する混冷弁開度センサ34が取り付けられており、冷風バタフライ弁CBには、当該冷風バタフライ弁CBの開度を検出する冷風弁開度センサ35が取り付けられている。
これら送風温度計31、ドーム温度計32、混冷弁開度センサ34及び冷弁開度センサ35の出力信号は、燃焼制御装置40に入力される。また、送風温度計31の出力信号は、送風温度制御装置50に入力される。なお、図1では図示を省略したが、他の熱風炉11においても温度計31〜33をそれぞれ備えており、また、他の冷風バタフライ弁CBにおいても冷風弁開度センサ35をそれぞれ備えており、それらの出力信号は燃焼制御装置40や送風温度制御装置50に入力されるようになっている。
燃焼制御装置40は、上述した入力信号に基づいて、熱風炉11への投入熱量を設定する。そして、設定した投入熱量に基づいて、熱風炉11の燃料ガス供給口16(図5)の上流側に設けられたガス弁16aの開度を制御する。これにより、ガス流量又はガスカロリーを調整することができる。
燃焼制御装置40の制御対象は、上述のように、図4の熱風炉11が図5に示すように連結されたものである。熱風炉11では、図6に示すように燃焼・送風のサイクルを繰り返しながらスタガードパラレル操業が実施されており、投入熱量の設定は、各炉の燃焼期に先立って図6の離散化された時刻k=1,2,…(白い四角で示したタイミング)で行うものとする。この燃焼制御装置40で実施する投入熱量設定処理については、後で詳述する。
送風温度制御装置50は、上述した入力信号に基づいて、熱風炉11からの送風温度が高炉に必要な熱量に応じて決定される送風温度設定値となるように送風温度制御を行う。具体的には、熱風炉11からの送風温度が送風温度設定値となるように、スタガードパラレル操業において、1基の熱風炉11にのみ通風する場合での混冷バタフライ弁MBの開度調整、及び2基に同時に通風する場合での冷風バタフライ弁CBの開度調整をすることによって、高炉に送風する熱風の温度を制御する。
次に、燃焼制御装置40で実施する投入熱量設定処理について具体的に説明する。図2は、燃焼制御装置40の具体的構成を示すブロック図である。
この燃焼制御装置40では、熱風炉11の熱余裕を表す指標(熱余裕指標)の実績値と熱余裕指標の目標値とを比較して、前回の燃焼期における熱風炉11への投入熱量に対するフィードバック補正量を設定すると共に、熱風炉11の負荷に相当する高炉に供給すべき熱量の指標(供給熱量指標)の変化に応じて上記前回の投入熱量に対するフィードフォワード補正量を設定する。そして、上記前回の投入熱量に各補正量を加算したものを今回の燃焼期における熱風炉11への投入熱量として燃焼制御を行う。ここで、熱風炉11の熱余裕は、高炉から要求された温度、流量の熱風を供給するのに必要な最低限の熱量よりもどれだけ多くの熱量を各炉が有しているかを示すものである。
図2に示すように、燃焼制御装置40は、熱余裕指標実績演算部41と、減算器42と、熱余裕制御部43と、投入熱量補正量設定部44と、加算器45と、加算器46とを備える。
熱余裕指標実績演算部41は、熱余裕を表す指標の実績値(熱余裕指標実績値)QYを演算し、出力する。ここでは、熱余裕指標として炉の送風終了時の混冷バタフライ弁MBの開度(混冷弁開度)MBxと、同タイミングにおける後行炉の冷風バタフライ弁CBの開度(冷風弁開度)CBxとを用いる。混冷弁開度MBx及び冷風弁開度CBxは、それぞれ混冷弁開度センサ34及び冷弁開度センサ35で検出した信号を用いる。
熱余裕指標実績値QYは次式により演算する。
QY=f(MBx,CBx) ………(1)
ここで、f( )は括弧内の変数をパラメータとし、熱余裕指標実績値QYを演算する関数であり、例えば下記に表す関数を用いることができる。
QY=fMB・(MBx−MBz)+fCB・(CBx−CBz) ………(2)
ここで、fMB,fCBはそれぞれ予め設定された係数であり、MBz及びCBzは、それぞれ指標演算にあたっての各開度の基準値である。
減算器42は、作業者が設定した熱余裕指標の目標値(熱余裕指標目標値)QYREFから熱余裕指標実績演算部41で演算した熱余裕指標実績値QYを減算し、熱余裕指標の差分ΔQYを算出する。算出した差分ΔQYは熱余裕制御部43に出力する。
熱余裕制御部43は、減算器42から出力される熱余裕指標の差分ΔQY(=QYREF−QY)に基づいて、熱風炉11への投入熱量に対するフィードバック補正量ΔGqを設定する。
ΔGq=Kq・(QYREF−QY) ………(3)
ここで、Kqは制御ゲインである。
投入熱量補正量設定部44は、前回の送風期における高炉必要熱量と、次回の送風期における高炉必要熱量との差に応じて、前回の燃焼期における熱風炉11への投入熱量に対する補正量(フィードフォワード補正量)ΔGFFを設定する。なお、図6において、k=2で3HSへの投入熱量の設定を行う場合、すなわちk=2からk=4の期間が「今回の燃焼期」である場合、k=0からk=2の期間が「前回の送風期」となり、k=4からk=6の期間が「次回の送風期」となる。
ここでは、高炉必要熱量を表す指標として熱風炉11からの送風温度と送風量とを用い、フィードフォワード補正量ΔGFFは、当該指標に基づいて次式をもとに演算する。
ΔGFF=KFF・(T1・V1−T0・V0) ………(4)
ここで、KFFは補正ゲインである。また、T0は前回の送風温度、T1は次回の送風温度である。さらに、V0は前回の送風量、V1は次回の送風量である。
なお、ここでは高炉必要熱量を表す指標として熱風炉11からの送風温度と送風量とを用いる場合について説明したが、送風量が大きく変化しない場合には、簡便な手段として送風温度のみを用いるようにしてもよい。すなわち、この場合には、次式をもとにフィードフォワード補正量ΔGFFを演算する。
ΔGFF=KFFx・(T1−T0) ………(5)
ここで、KFFxは補正ゲインである。
加算器45は、熱余裕制御部43で出力したフィードバック補正量ΔGqと、投入熱量補正量設定部44で出力したフィードフォワード補正量ΔGFFとを加算し、前回の投入熱量に対する最終的な補正量を算出する。
加算器46は、加算器45から出力される補正量を、前回の燃焼期における投入熱量Gxに加算し、今回の投入熱量Gを算出する。すなわち、今回の投入熱量Gは次式により算出されることになる。
G=Gx+ΔGFF+ΔGq ………(6)
なお、図6において、k=4で1HSへの投入熱量の設定を行う場合、すなわちk=4からk=6の期間が「今回の燃焼期」である場合、k=0からk=2の期間が「前回の燃焼期」となる。
このようにして設定された投入熱量Gに基づいて、熱風炉11のガス弁16aの開度を制御することでガス流量を調整する。
なお、図2において、熱余裕制御部43がフィードバック補正量設定手段に対応し、投入熱量補正量設定部44がフィードフォワード補正量設定手段に対応し、加算器45及び46が投入熱量設定手段に対応している。
(動作)
次に、本実施形態の動作について説明する。
以下、送風量8000Nm3/min、送風温度1100℃前後で安定操業しているときに、本実施形態における燃焼制御を適用した場合について説明する。この場合の熱余裕指標実績値QYの変化を図3に示す。これは、燃焼回数110回目(図3の矢印α)において、熱余裕指標目標値QYREFを“11”に設定して本実施形態における燃焼制御を適用した事例である。
燃焼回数110回目で、作業者が熱余裕指標目標値QYREFを“11”に設定して本実施形態における燃焼制御を適用すると、熱余裕制御部43は、熱余裕指標目標値QYREFと熱余裕指標実績値QYとを比較し、上記(3)式をもとに、これらの差分ΔQYに応じたフィードバック補正量ΔGqを設定する。このフィードバック補正量ΔGqは、前回の燃焼期における熱風炉11への投入熱量Gxに加算され、その結果が今回の燃焼期における熱風炉11への投入熱量Gとして設定される。そして、この投入熱量Gに基づいて熱風炉11のガス流量が制御される。
このような燃焼制御の結果、図3に示すように、燃焼回数110回目以降においては、熱余裕指標が熱余裕指標目標値QYREF近傍まで小さくなると共に、ばらつきが低減した。本事例では、燃焼回数110回目以前と比較して熱効率が0.6%向上している。
このように、熱余裕指標実績値QYと熱余裕指標目標値QYREFとを比較し、その差分に基づいて前回の燃焼期における投入熱量Gxからの変化分(フィードバック補正量ΔGq)を設定するので、熱余裕指標の実績値の変化及び熱余裕指標の目標値の変化に対応して適切な投入熱量Gを設定することができ、熱余裕が目標値に対して過剰あるいは過少となるのを防止することができる。また、熱余裕が目標値に対して過剰あるいは過少となる状態を容易に判別することができる。
また、本実施形態では、熱余裕指標として混冷弁開度MBx及び冷風弁開度CBxを用いている。混冷弁開度MBxは、高炉から要求された温度、流量の熱風を供給するために熱風炉11からの熱風に混合した冷風の量であり、その値は熱風炉負荷に依存しない。また、冷風弁開度CBxは、高炉から要求された温度、流量の熱風を供給した後に、炉にどれだけの熱が残っているか(残熱量)を表すものであり、その値も熱風炉負荷に依存しない。このように、操業条件の影響を受けない熱余裕指標を用いて投入熱量の良否評価を行うことができるので、良否判定が容易である。
さらに、本実施形態では、熱風炉11の負荷が変動するなどにより高炉必要熱量が変化した場合、投入熱量補正量設定部44は、上記(4)式をもとに、高炉必要熱量の変化に対応したフィードフォワード補正量ΔGFFを設定する。このフィードフォワード補正量ΔGFFは、フィードバック補正量ΔGqと共に前回の燃焼期における熱風炉11への投入熱量Gxに加算され、その結果が今回の燃焼期における熱風炉11への投入熱量Gとして設定される。そして、この投入熱量Gに基づいて熱風炉11のガス流量が制御される。
したがって、前回の送風期における高炉必要熱量に対して次回の送風期における高炉必要熱量が増加したときには、フィードフォワード補正量ΔGFFが正値となり、今回の投入熱量Gを前回の投入熱量Gxに対して大きくする補正を行う。一方、前回の送風期における高炉必要熱量に対して次回の送風期における高炉必要熱量が減少したときには、フィードフォワード補正量ΔGFFが負値となり、今回の投入熱量Gを前回の投入熱量Gxに対して小さくする補正を行う。したがって、高炉必要熱量の変化に応じて、熱風炉11に蓄熱させる熱量を迅速に変更することができる。
(効果)
このように、上記実施形態では、熱風炉負荷等の操業条件に依存しない熱余裕指標の実績値と熱余裕指標の目標値とを比較し、その差分に基づいてダイレクトに熱風炉11への投入熱量を設定するので、過剰あるいは過少な熱余裕の状態を容易に判別することができると共に、投入熱量の良否評価を容易に行うことができる。
また、速度型制御を採用し、前回の燃焼期における投入熱量からの変化分を演算して今回の燃焼期における投入熱量を設定するので、比較的簡易な構成で燃焼制御が可能となる。このとき、熱余裕指標の実績値と熱余裕指標の目標値との差分に基づいて、前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードバック補正量を設定するので、熱余裕が目標値に対して大きいときにはフィードバック補正量を負値として今回の投入熱量を前回値よりも小さくし、熱余裕が目標値に対して小さいときにはフィードバック補正量を正値として今回の投入熱量を前回値よりも大きくすることができる。そのため、熱余裕の過不足を抑制することができる。
さらに、熱余裕指標に目標値を設定してフィードバック補正量を設定するので、操業変化に応じた熱余裕を熱風炉に持たせることができる。例えば、高炉への送風温度を急激に上昇させたい場合には、事前に熱風炉の熱余裕を大きくしておくことができる。これにより、熱不足を発生させずに送風温度を上昇させることができる。
以上のように、熱余裕指標の実績値と熱余裕指標の目標値とを比較して熱風炉への投入熱量を決定する構成であるため、高炉必要熱量の変化に対するマージンを大きくとりたい場合や、熱余裕指標目標値が変更された場合、その他要因により熱余裕指標実績値が変化する場合に適切に対応することができる。そのため、最適な熱余裕状態に熱風炉を維持することができ、燃料原単位を抑制することができる。
また、今回の燃焼期における投入熱量の設定に際し、前回の送風期における高炉必要熱量と次回の送風期における高炉必要熱量とを比較し、その差分に基づいて前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードフォワード補正量を設定するので、高炉必要熱量が変化したときには、当該変化に応じて熱風炉に蓄熱させる熱量を迅速に変更することができる。
このように、様々な状況に対応して熱風炉への投入熱量を設定することができるので、熱風炉への投入熱量を最適化することができ、省エネルギーや炭酸ガス排出量の削減を図ることができる。
(応用例)
なお、上記実施形態においては、熱余裕指標として、混冷弁開度と後行炉の冷風弁開度とを用いる場合について説明したが、混冷弁開度のみを用いたり冷風弁開度のみを用いたりすることもできる。さらには、後行炉の冷風バラフライ弁の送風量や、混冷バタフライ弁からの送風量と冷風バラフライ弁からの送風量との比率を用いることもできる。
11…熱風炉、12…燃焼室、13…蓄熱室、14…ドーム、15…珪石レンガ下部、16…供給口(燃料ガス)、17…供給口(燃焼用空気)、18…供給口(冷風)、19…蓄熱レンガ、31…送風温度計、32…ドーム温度計、33…レンガ温度計、34…混冷弁開度センサ、40…燃焼制御装置、41…熱余裕指標実績演算部、42…減算器、43…熱余裕制御部(フィードバック補正量設定手段)、44…投入熱量補正量設定部(フィードフォワード補正量設定手段)、45…加算器、46…加算器、50…送風温度制御装置

Claims (2)

  1. 複数基の熱風炉に対して予め定められた制御周期ごとに燃焼期及び送風期のサイクルを繰り返して行うことにより、高炉に対して所望の温度と流量の熱風を供給する熱風炉の燃焼制御装置であって、
    熱風炉が有する熱量であって、高炉から要求された温度及び流量の熱風を供給するのに必要な最低限の熱量よりもどれだけ多くの熱量を有しているかを示す熱量を熱余裕とし、
    各熱風炉の熱余裕を表す指標の実績値と各熱風炉の熱余裕を表す指標の目標値との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードバック補正量を設定するフィードバック補正量設定手段と、
    前回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量と、次回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードフォワード補正量を設定するフィードフォワード補正量設定手段とをさらに備え、
    各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記フィードバック補正量設定手段で設定したフィードバック補正量と、前記フィードフォワード補正量設定手段で設定したフィードフォワード補正量とを加算することで、各熱風炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定する投入熱量設定手段と、を備えることを特徴とする熱風炉の燃焼制御装置。
  2. 複数基の熱風炉に対して予め定められた制御周期ごとに燃焼期及び送風期のサイクルを繰り返して行うことにより、高炉に対して所望の温度と流量の熱風を供給する熱風炉の燃焼制御方法であって、
    熱風炉が有する熱量であって、高炉から要求された温度及び流量の熱風を供給するのに必要な最低限の熱量よりもどれだけ多くの熱量を有しているかを示す熱量を熱余裕とし、
    各熱風炉の熱余裕を表す指標の実績値と各熱風炉の熱余裕を表す指標の目標値との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードバック補正量を設定するステップと、
    前回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量と、次回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードフォワード補正量を設定するステップとを備え、
    各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記フィードバック補正量と、前記フィードフォワード補正量とを加算することで、各熱風炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定するステップと、を備えることを特徴とする熱風炉の燃焼制御方法。
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