JP5685899B2 - 熱風炉の燃焼制御装置及び熱風炉の燃焼制御方法 - Google Patents
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Description
図4は、熱風炉の炉内の構造を示す模式図である。図4に示すように、熱風炉11は燃焼室12と蓄熱室13とからなっている。蓄熱室13の内部には、蓄熱レンガ19が積まれており、符号14の部位はドーム、符号15の部位は珪石レンガ下部と呼ばれている。燃焼期には、燃焼室12において、燃料ガスを供給口16から、燃焼用空気を供給口17から、それぞれ供給して燃焼させ、その燃焼排ガスを蓄熱室13に通して内部の蓄熱レンガ19を加熱する。引き続く送風期には、供給口18から冷風を蓄熱室13に通し、蓄熱レンガ19との熱交換により熱風を得る。このような熱風炉11を複数基設置し、位相を炉ごとにずらしながら燃焼期と送風期のサイクルを繰り返すことによって、高炉操業において必要な温度及び流量の熱風を途切れることなく供給している。
熱風炉の操業には、一つの炉からの熱風と冷風を混合して温度調整を行って高炉に熱風を供給するシングル操業と、少なくとも3基以上の熱風炉のうちの2基を、時間をずらして同時に通風し、得られた熱風を混合して高炉に供給するスタガードパラレル操業がある。
そこで、本発明は、各炉への投入熱量を最適化することを可能にした熱風炉の燃焼制御装置及びその燃焼制御方法を提供することを課題としている。
これにより、熱風炉への投入熱量を最適化して熱余裕の過不足を抑制することができる燃焼制御方法とすることができる。
(構成)
図1は、本実施形態における熱風炉の燃焼制御装置及び関連設備の構成を示す図である。
図中、符号11は熱風炉(以下、単に炉とも称す)である。この熱風炉11は、図4に示すように燃焼室12と蓄熱室13とからなっている。蓄熱室13の内部には、蓄熱レンガ19が積まれており、符号14の部位はドーム、符号15の部位は珪石レンガ下部と呼ばれている。燃焼期には、燃焼室12において、燃料ガスを供給口16から、燃焼用空気を供給口17から、それぞれ供給して燃焼させ、その燃焼排ガスを蓄熱室13に通して内部の蓄熱レンガ19を加熱する。引き続く送風期には、供給口18から冷風を蓄熱室13に通し、蓄熱レンガ19との熱交換により熱風を得る。このとき得られた熱風は高炉へ供給される。このような熱風炉11を複数基(例えば、図5に示すように4基)連結し、図6に示すように、位相を炉ごとにずらしながら予め定められた制御周期ごとに燃焼期と送風期のサイクルを繰り返すことによって、高炉操業において必要な温度及び流量の熱風を途切れることなく供給している。
燃焼制御装置40の制御対象は、上述のように、図4の熱風炉11が図5に示すように連結されたものである。熱風炉11では、図6に示すように燃焼・送風のサイクルを繰り返しながらスタガードパラレル操業が実施されており、投入熱量の設定は、各炉の燃焼期に先立って図6の離散化された時刻k=1,2,…(白い四角で示したタイミング)で行うものとする。この燃焼制御装置40で実施する投入熱量設定処理については、後で詳述する。
この燃焼制御装置40では、熱風炉11の熱余裕を表す指標(熱余裕指標)の実績値と熱余裕指標の目標値とを比較して、前回の燃焼期における熱風炉11への投入熱量に対するフィードバック補正量を設定すると共に、熱風炉11の負荷に相当する高炉に供給すべき熱量の指標(供給熱量指標)の変化に応じて上記前回の投入熱量に対するフィードフォワード補正量を設定する。そして、上記前回の投入熱量に各補正量を加算したものを今回の燃焼期における熱風炉11への投入熱量として燃焼制御を行う。ここで、熱風炉11の熱余裕は、高炉から要求された温度、流量の熱風を供給するのに必要な最低限の熱量よりもどれだけ多くの熱量を各炉が有しているかを示すものである。
熱余裕指標実績演算部41は、熱余裕を表す指標の実績値(熱余裕指標実績値)QYを演算し、出力する。ここでは、熱余裕指標として炉の送風終了時の混冷バタフライ弁MBの開度(混冷弁開度)MBxと、同タイミングにおける後行炉の冷風バタフライ弁CBの開度(冷風弁開度)CBxとを用いる。混冷弁開度MBx及び冷風弁開度CBxは、それぞれ混冷弁開度センサ34及び冷弁開度センサ35で検出した信号を用いる。
QY=f(MBx,CBx) ………(1)
ここで、f( )は括弧内の変数をパラメータとし、熱余裕指標実績値QYを演算する関数であり、例えば下記に表す関数を用いることができる。
QY=fMB・(MBx−MBz)+fCB・(CBx−CBz) ………(2)
ここで、fMB,fCBはそれぞれ予め設定された係数であり、MBz及びCBzは、それぞれ指標演算にあたっての各開度の基準値である。
熱余裕制御部43は、減算器42から出力される熱余裕指標の差分ΔQY(=QYREF−QY)に基づいて、熱風炉11への投入熱量に対するフィードバック補正量ΔGqを設定する。
ΔGq=Kq・(QYREF−QY) ………(3)
ここで、Kqは制御ゲインである。
ΔGFF=KFF・(T1・V1−T0・V0) ………(4)
ここで、KFFは補正ゲインである。また、T0は前回の送風温度、T1は次回の送風温度である。さらに、V0は前回の送風量、V1は次回の送風量である。
ΔGFF=KFFx・(T1−T0) ………(5)
ここで、KFFxは補正ゲインである。
加算器46は、加算器45から出力される補正量を、前回の燃焼期における投入熱量Gxに加算し、今回の投入熱量Gを算出する。すなわち、今回の投入熱量Gは次式により算出されることになる。
G=Gx+ΔGFF+ΔGq ………(6)
このようにして設定された投入熱量Gに基づいて、熱風炉11のガス弁16aの開度を制御することでガス流量を調整する。
なお、図2において、熱余裕制御部43がフィードバック補正量設定手段に対応し、投入熱量補正量設定部44がフィードフォワード補正量設定手段に対応し、加算器45及び46が投入熱量設定手段に対応している。
次に、本実施形態の動作について説明する。
以下、送風量8000Nm3/min、送風温度1100℃前後で安定操業しているときに、本実施形態における燃焼制御を適用した場合について説明する。この場合の熱余裕指標実績値QYの変化を図3に示す。これは、燃焼回数110回目(図3の矢印α)において、熱余裕指標目標値QYREFを“11”に設定して本実施形態における燃焼制御を適用した事例である。
このように、熱余裕指標実績値QYと熱余裕指標目標値QYREFとを比較し、その差分に基づいて前回の燃焼期における投入熱量Gxからの変化分(フィードバック補正量ΔGq)を設定するので、熱余裕指標の実績値の変化及び熱余裕指標の目標値の変化に対応して適切な投入熱量Gを設定することができ、熱余裕が目標値に対して過剰あるいは過少となるのを防止することができる。また、熱余裕が目標値に対して過剰あるいは過少となる状態を容易に判別することができる。
このように、上記実施形態では、熱風炉負荷等の操業条件に依存しない熱余裕指標の実績値と熱余裕指標の目標値とを比較し、その差分に基づいてダイレクトに熱風炉11への投入熱量を設定するので、過剰あるいは過少な熱余裕の状態を容易に判別することができると共に、投入熱量の良否評価を容易に行うことができる。
以上のように、熱余裕指標の実績値と熱余裕指標の目標値とを比較して熱風炉への投入熱量を決定する構成であるため、高炉必要熱量の変化に対するマージンを大きくとりたい場合や、熱余裕指標目標値が変更された場合、その他要因により熱余裕指標実績値が変化する場合に適切に対応することができる。そのため、最適な熱余裕状態に熱風炉を維持することができ、燃料原単位を抑制することができる。
このように、様々な状況に対応して熱風炉への投入熱量を設定することができるので、熱風炉への投入熱量を最適化することができ、省エネルギーや炭酸ガス排出量の削減を図ることができる。
なお、上記実施形態においては、熱余裕指標として、混冷弁開度と後行炉の冷風弁開度とを用いる場合について説明したが、混冷弁開度のみを用いたり冷風弁開度のみを用いたりすることもできる。さらには、後行炉の冷風バラフライ弁の送風量や、混冷バタフライ弁からの送風量と冷風バラフライ弁からの送風量との比率を用いることもできる。
Claims (2)
- 複数基の熱風炉に対して予め定められた制御周期ごとに燃焼期及び送風期のサイクルを繰り返して行うことにより、高炉に対して所望の温度と流量の熱風を供給する熱風炉の燃焼制御装置であって、
熱風炉が有する熱量であって、高炉から要求された温度及び流量の熱風を供給するのに必要な最低限の熱量よりもどれだけ多くの熱量を有しているかを示す熱量を熱余裕とし、
各熱風炉の熱余裕を表す指標の実績値と各熱風炉の熱余裕を表す指標の目標値との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードバック補正量を設定するフィードバック補正量設定手段と、
前回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量と、次回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードフォワード補正量を設定するフィードフォワード補正量設定手段とをさらに備え、
各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記フィードバック補正量設定手段で設定したフィードバック補正量と、前記フィードフォワード補正量設定手段で設定したフィードフォワード補正量とを加算することで、各熱風炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定する投入熱量設定手段と、を備えることを特徴とする熱風炉の燃焼制御装置。 - 複数基の熱風炉に対して予め定められた制御周期ごとに燃焼期及び送風期のサイクルを繰り返して行うことにより、高炉に対して所望の温度と流量の熱風を供給する熱風炉の燃焼制御方法であって、
熱風炉が有する熱量であって、高炉から要求された温度及び流量の熱風を供給するのに必要な最低限の熱量よりもどれだけ多くの熱量を有しているかを示す熱量を熱余裕とし、
各熱風炉の熱余裕を表す指標の実績値と各熱風炉の熱余裕を表す指標の目標値との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードバック補正量を設定するステップと、
前回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量と、次回の送風期において熱風炉から高炉に供給すべき熱風の熱量との差分に基づいて、各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に対するフィードフォワード補正量を設定するステップとを備え、
各熱風炉の前回の燃焼期における投入熱量に、前記フィードバック補正量と、前記フィードフォワード補正量とを加算することで、各熱風炉の今回の燃焼期における投入熱量を設定するステップと、を備えることを特徴とする熱風炉の燃焼制御方法。
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