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JP5678873B2 - 車両用前照灯制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用前照灯制御装置に関するものである。
従来、路面に対する車体の傾斜角(以下、対路面ピッチ角という)に応じて車体の前照灯の光軸方向を制御するため、鉛直方向に対して固定された基準面(例えば水平面)に対する車体の傾斜角を検出する傾斜センサの検出値に基づいて光軸方向を制御する技術が知られている。
なお、特許文献2には、車体の前輪または後輪に車高センサを設け、車高センサの検出値に基づいて、車高センサが配設されていない側の車高の変位角を推定し、その推定値と車高センサの検出値とを用いて対路面ピッチ角を求め、算出した対路面ピッチ角に応じて、光軸方向を制御する技術が記載されている。
特開2002−337600号公報 特開平9−286274号公報
特許文献1のような技術では、傾斜センサは、鉛直方向に対して固定された基準面に対する車体の傾斜角を検出するのだから、坂道等の水平でない道路では、傾斜センサのみでは、対路面ピッチ角を正しく検出することができないので、適切な光軸制御が困難になる。
本発明は上記点に鑑み、車体の対路面ピッチ角に応じて光軸方向を制御する技術において、鉛直方向に対して固定された基準面(例えば水平面)に対する車体の傾斜角を検出する傾斜検出手段の出力に基づいて対路面ピッチ角を算出する際、坂道で誤った対路面ピッチ角を算出してしまう可能性を低減することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両のヘッドランプ(1)の光軸方向を制御する車両用前照灯制御装置であって、鉛直方向に対して固定された基準面に対する車体のピッチ角である絶対ピッチ角を検出する傾斜検出手段(4)から、検出された前記絶対ピッチ角の出力を取得する絶対ピッチ角取得手段(105)と、路面の勾配を特定可能な勾配関連量を検出する勾配関連量検出手段(5)から、検出された前記勾配関連量の出力を取得する勾配関連量取得手段(110)と、前記絶対ピッチ角取得手段(105)が取得した前記絶対ピッチ角と、前記勾配関連量取得手段(110)が取得した前記勾配関連量に基づいて、路面に対する前記車両のピッチ角である対路面ピッチ角を算出する対路面ピッチ角算出手段(120〜170)と、前記対路面ピッチ角算出手段(120〜170)が算出した前記対路面ピッチ角に基づいて、前記ヘッドランプの光軸方向を制御する光軸制御手段(175)と、を備えた車両用前照灯制御装置である。
このように、路面の勾配を特定可能な勾配関連量を利用して、絶対ピッチ角に基づいた対路面ピッチを算出することで、坂道で誤った対路面ピッチ角を算出してしまう可能性を低減することができる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用前照灯制御装置において、前記勾配関連量取得手段(110)は、前記車両の高度変化に応じて変化する量を前記勾配関連量として検出し、前記対路面ピッチ角算出手段(120〜170)は、前記絶対ピッチ角取得手段(105)が取得した前記絶対ピッチ角と、前記勾配関連量の変動量に基づいて、前記対路面ピッチ角を算出することを特徴とする。このように、勾配関連量を高度変化に応じて変化する量とした場合、勾配関連量の変動量に基づいて、路面の勾配が特定可能となる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両用前照灯制御装置において、前記対路面ピッチ角算出手段(120〜170)は、前記勾配関連量に基づいて、前記路面の勾配が水平に対して所定の範囲内にあるか否かを判定し、前記路面の勾配が水平に対して前記所定の範囲内にある場合に、前記絶対ピッチ角の現在の値を前記対路面ピッチ角の最新値とし、前記路面の勾配が水平に対して前記所定の範囲内にない場合は、前記絶対ピッチ角の現在の値を前記対路面ピッチ角に反映しないことを特徴とする。
このように、路面の勾配が水平に対して所定の範囲内にあるときに、絶対ピッチ角の現在の値を対路面ピッチ角の最新値とする一方、路面の勾配が水平に対して所定の範囲内にない場合は、絶対ピッチ角の現在の値を対路面ピッチ角に反映しないことで、坂道で誤った対路面ピッチ角を算出してしまう可能性を低減することができる。
対路面ピッチ角が変化するのは、人の乗降、荷物の積み下ろし等のように、車両に積載される荷重が変化した場合、および、加減速が発生した場合のいずれかであると考えられる。
積載荷重の変化による対路面ピッチ角の変化は、そう頻繁にはおこらないが、一度変化すると、変化後の角度がしばらく維持されるという特性を有している。一方、加減速による対路面ピッチ角の変化は、比較的頻繁に発生するが、その変化の持続時間は短いという特性を有している。
対路面ピッチ角を光軸制御に用いる場合、積載荷重の変化による対路面ピッチ角の変化のみに追従したい場合は、頻繁に対路面ピッチ角の値を更新する必要性が低い。この場合上記のように、絶対ピッチ角の現在の値を対路面ピッチ角の最新値とする一方、路面の勾配が小さい場合に対路面ピッチ角を更新し、小さくない場合に絶対ピッチ角の現在の値を対路面ピッチ角に反映しないようにしても、対路面ピッチ角の更新が遅いということにはならない。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両用前照灯制御装置において、前記対路面ピッチ角算出手段(120〜170)は、前記勾配関連量に対応する路面勾配と、前記絶対ピッチ角と、の差を、前記対路面ピッチ角とすることを特徴とする。
このようにすることで、絶対ピッチ角から路面勾配の影響を除去して路面ピッチ角を得ることができる。この方法では、水平な道路以外でも、対路面ピッチ角を検出することができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用前照灯制御装置において、前記車両の車速に応じた車速信号を出力する車速センサ(3)から、前記車速信号を取得する車速取得手段(115)を備え、前記対路面ピッチ角算出手段(120〜170)は、前記車速取得手段(115)が取得した前記車速信号に応じた車速の変化量が基準値より小さい場合に、前記対路面ピッチ角の最新値を算出し、前記車速取得手段(115)が取得した前記車速の変化量が前記基準値よりも大きい場合に、前記絶対ピッチ角の現在の値を前記対路面ピッチ角に反映しないことを特徴とする。
このようにすることで、車両の加減速による加速度が傾斜検出手段(4)の検出結果に絶対ピッチ角以外の影響(具体的には慣性力の影響)が及ぶ可能性を低減することができる。
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
本発明の実施形態に車両用前照灯制御装置である。 第1実施形態において制御部が実行する処理のフローチャートである。 絶対ピッチ角αと対路面ピッチ角θの関係を示す図である。 第2実施形態において制御部が実行する処理のフローチャートである。 車両の高度変化を示す図である。 車両10の移動量Dを示す図である。 絶対ピッチ角α、路面勾配β、対路面ピッチ角θの関係を示す図である。
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用前照灯制御システムの構成を示す。
車両用前照灯制御システムは、車両に搭載され、車両の左右に搭載された2つのヘッドランプ(前照灯)1を制御するためのシステムであり、ヘッドランプ駆動部2、車速センサ、傾斜センサ4、大気圧センサ5、制御部6等を有している。
ヘッドランプ駆動部2は、ヘッドランプ1の光軸方向を制御するためのアクチュエータである。このヘッドランプ駆動部2は、ヘッドランプ1毎に、当該ヘッドランプ1の照射方向を車両の左右方向に変化させる(すなわち、スイブルさせる)ためのスイブルモータ等を有していると共に、当該ヘッドランプ11の照射方向を車両の上下方向に変化させるレベリングモータを有している。
車速センサ3は、単位時間当たりの車輪の回転数に応じた車速信号を制御部6に出力する。制御部6は、この車速信号に基づいて自車両の車速を特定することができる。
傾斜センサ4(傾斜検出手段の一例に相当する)は、水平面(鉛直方向に対して固定された基準面の一例に相当する)に対する車体のピッチ角(以下、絶対ピッチ角という)を検出し、検出した絶対ピッチ角を出力するセンサである。このようなセンサとしては、重力に従って移動可能な物体(例えばボール)の位置を電気的方法で検出するセンサが一般的である。なお、絶対ピッチ角は、車両のノーズが下がるようなピッチ角を正とし、車両のテールが下がるようなピッチ角を負とする。
大気圧センサ5(勾配関連量取得手段の一例に相当する)は、車両の所在位置の大気圧を検知し、検知した大気圧を出力するセンサである。大気圧センサ5の搭載位置は、水、風に晒される可能性の低い場所であればどこでもよく、例えば、車室内であってもよいし、車室外であってもよい。なお、大気圧は、高度変化に応じて変化する量であるから、この大気圧の変動量から、水平面に対する路面の勾配を特定することが可能である。
制御部6(車両用前照灯制御装置の一例に相当する)は、マイクロコンピュータ等を備えた電子制御装置であり、あらかじめ制御部6の記憶媒体(例えばROM)に記録されたプログラムを実行することで、ヘッドランプ11の光軸制御のための処理を実行する。
以下、このような車両用前照灯制御システム1の、ヘッドランプ11の点灯時(例えば夜間、トンネル通過時)における作動について説明する。図2に、制御部6が繰り返し実行する処理のフローチャートを示す。
制御部6は、車両の主電源(例えばIG)がオンであり、かつ、ヘッドランプ1が点灯しているとき、図2に示す処理を、所定距離L(例えば1メートル)走行する毎に、繰り返し実行するようになっている。
以下では、坂道(例えば、1°の上り勾配)において車両が走行を開始する事例について説明する。まずステップ105では、傾斜センサ4によって検出され出力された絶対ピッチ角の出力信号を取得する。続いてステップ110では、大気圧センサ5によって検出され出力された大気圧の出力信号を取得する。続いてステップ115では、車速センサ3から出力された車速信号を取得する。
続いてステップ120では、カウンタリセット後の走行距離を検出する。カウンタとは、後述するステップ145、155、165で変化させる数値である。カウンタリセット後の走行距離は、カウンタの値に上記の所定距離Lを乗算することで得る。
続いてステップ125では、大気圧変動量が一定値(具体的には大気圧変動基準値)以内であるか否かを判定する。具体的には、今回のステップ110および前回以前のN回(Nは1以上の整数)のステップ110における大気圧センサの検出値(例えば、過去10回取得した大気圧センサの検出値)から、単位走行距離当たりの大気圧の変動量(増える場合も減る場合も値は正とする)として最も確からしい値を(例えば最小二乗法で)算出する。そして、算出した最も確からしい変動量が、上記大気圧変動基準値より小さいか否かを判定する。
ここで、大気圧変動基準値としては、100m走行あたり1.75Paの変動値(すなわち、1.75×10−2Pa/m)を採用する。このようにするのは、道路勾配が水平に対して±0.1°以下の角度範囲内にあるか否かを判定するためである。つまり、ステップ125では、路面の勾配が水平に対して所定の範囲(±0.1°以下)内にあるか否かを判定している。
なお、図2のステップ105〜175の処理の繰り返しを初めてから、今回がN回目以下である場合は、大気圧変動量の暫定値として、大気圧変動基準値よりも大きい値を設定する。これにより、今回がN回目以下である場合は、大気圧変動量が大気圧変動基準値以内でないと判定することになり、処理はステップ145に進む。
ステップ145では、カウンタの値をゼロにリセットする。更にステップ150では、対路面ピッチ角の値として、前回値(最後に更新した値)を保持する。本事例では、車両が走行し始めた時点であるので、対路面ピッチ角としては、所定の初期値(例えば0°)を前回値としてもよいし、あるいは、前回の走行時に最後に更新された値を、不揮発性の記憶媒体(例えば制御部6が有するフラッシュメモリ)から読み出してもよい。この場合、制御部6は、後述するステップ170で算出した対路面ピッチ角を、当該記憶媒体に記録するようになっている。
ステップ150に続いては、ステップ175で、対路面ピッチ角の現在値に基づいて、ヘッドランプ1の光軸方向を制御する。例えば、対路面ピッチ角が0°であれば、光軸の上下方向を、あらかじめ定められた基準光軸方向とする。この基準光軸方向は、車両に固定された方向であり、例えば、車両前後方向(車両が水平な路面にいたなら光軸が車両前方かつ水平方向となるような方向)とする。なお、光軸の左右方向は、一定方向であってもよいし、車両のステアリング角に応じて変化するようになっていてもよい。ステップ175の後、処理はステップ105に戻る。
その後、ステップ105〜175の繰り返しがN回行われるまで、ステップ105、110、115、120、125、145、150、175の処理がこの順に繰り返され、各回のステップ105、110、115、115において、それぞれ傾斜センサ4、大気圧センサ5、車速センサ3の出力を取得し、絶対ピッチ角、大気圧、車速をRAM等の記憶媒体に蓄積していく。またその間、カウンタはゼロにリセットされ続け(ステップ145)、対路面ピッチ角は更新されず(ステップ150)、光軸の上下方向は変化しない(ステップ175)。
N+1回目のステップ105〜175の処理においては、ステップ105、110、115、120の後、ステップ125で、前回以前のN回および今回において大気圧センサ5から取得した大気圧に基づいて、大気圧の変動量を算出でき、その結果の変動量が、大気圧変動基準値以内であるか否かを判定する。
本事例では、まだ車両が坂道(例えば、1°の上り勾配)を走行しているとする。したがって、ステップ125の判定結果が否定的なものとなり、続いてステップ145に進み、カウンタの値をゼロにリセットし、続くステップ150では、対路面ピッチ角の値として前回値を保持する。そしてステップ175で、対路面ピッチ角の現在値に基づいて、ヘッドランプ1の光軸方向を制御するが、対路面ピッチ角が前回値と同じなので、光軸の上下方向は変化しない。
その後、車両が坂道を走行し続けている間は、ステップ105、110、115、120、125、145、150、175の処理がこの順に繰り返され、各回のステップ105、110、115、115において、それぞれ傾斜センサ4、大気圧センサ5、車速センサ3の出力を取得し、絶対ピッチ角、大気圧、車速をRAM等の記憶媒体に蓄積していく。またその間、カウンタはゼロにリセットされ続け(ステップ145)、対路面ピッチ角は更新されず(ステップ150)、光軸の上下方向は変化しない(ステップ175)。
そして、上り坂が終了し、車両が水平な道路(勾配が±1°以内の道路)を走行し始めた場合、ステップ105〜175の処理がこの順に繰り返される間に、ステップ125において、大気圧変動量が大気圧変動基準値以内であると判定するようになる。
すると、制御部6は処理をステップ130に進め、傾斜センサ4から取得した絶対ピッチ角の変動量が一定値(具体的には、絶対ピッチ角基準変動量)以内であるか否かを判定する。具体的には、今回のステップ105および前回以前のN回のステップ105における絶対ピッチ角の検出値の標準偏差を算出し、算出した標準偏差が、上記絶対ピッチ角基準変動量より小さいか否かを判定する。
この絶対ピッチ角基準変動量は、車両が凸凹の道路を走行して絶対ピッチ角が急激に変動してしまうような状況か否かを判定するための基準値であり、例えば、20°である。このようにするのは、車両が凸凹の道路を走行して絶対ピッチ角が急激に変動してしまうような状況に追従して光軸の上下方向を制御しても、対路面ピッチ角の算出が不正確になってしまい、その結果、適正な方向を照射することができなくなる可能性が高いからである。
本事例では、水平な道路に入った後しばらく、絶対ピッチ角の変動量が絶対ピッチ角基準変動量よりも小さい状況が続くものとする。その場合、制御部6は処理をステップ135に進める。
ステップ135では、車速センサ3から取得した車速パルス信号に基づいて車速の変化量を算出し、算出した車速の変動量が一定値(具体的には、車速基準変動量)以内であるか否かを判定する。具体的には、今回のステップ115および前回以前のN回のステップ115において取得した車速信号から、単位時間当たりの車速の変動量(増える場合も減る場合も値は正とする)として最も確からしい値を(例えば最小二乗法で)算出する。そして、算出した最も確からしい変動量が、上記車速基準変動量より小さいか否かを判定する。
この車速基準変動量は、車両が加減速を行うことで、傾斜センサ4の検出結果に慣性力の影響が無視できない程度に表れる状況か否かを判定するための基準値であり、例えば、2m/sである。
本事例では、水平な道路に入った後しばらく、車両は一定速度で走行を続け、車速の変動量が車速基準変動量よりも小さい状況が続くものとする。その場合、制御部6は処理をステップ140に進める。
ステップ140では、直前のステップ120で算出した走行距離が一定値(具体的には、基準走行距離)以上であるか否かを判定する。基準走行距離としては、例えば100メートルとする。
本事例では、直前のステップ120の時点では、カウンタの値はゼロだったので、走行距離もゼロとなっている。したがって、走行距離が基準走行距離よりも短いと判定し、処理をステップ155に進める。ステップ155では、カウンタの値を1だけ増加させる。これにより、本事例ではカウンタの値が0から1になる。
続いてステップ160では、対路面ピッチ角の値として前回値を保持し、続いてステップ175では、対路面ピッチ角の現在値に基づいて、ヘッドランプ1の光軸方向を制御するが、対路面ピッチ角が前回値と同じなので、光軸の上下方向は変化しない。
その後、車両が水平な道路の走行を続け、凸凹な路面上を走行せず、かつ一定速度で走行を続けたとする。すると、制御部6は、ステップ105、110、115、120、125、130、135、140、155、160、175の処理をこの順に繰り返す。これにより、カウンタの値が、距離L走行毎に1カウントずつ増大していく。
ここで、カウンタの値が上記基準走行距離に対応する値(すなわち、基準走行距離/L)になる前に、車両が凸凹路面上を走行し、絶対ピッチ角の変動量が絶対ピッチ角基準変動量を上回ったとする。その場合、制御部6はステップ130で、絶対ピッチ角の変動量が絶対ピッチ角基準変動量を上回ったと判定し、処理をステップ145に進める。そしてステップ145では、カウンタをゼロにリセットし、ステップ150では対路面ピッチ角の前回値を保持し、ステップ175では対路面ピッチ角に応じて光軸方向を制御するが、光軸の上下方向は変化しない。
その後、車両が水平な道路の走行を続け、凸凹な路面上を走行せず、かつ一定速度で走行を続けたとする。すると、制御部6は、ステップ105、110、115、120、125、130、135、140、155、160、175の処理をこの順に繰り返す。これにより、カウンタの値が、0から距離L走行毎に1カウントずつ増大していく。
そして、カウンタの値が上記基準走行距離に対応する値(すなわち、基準走行距離/L)になる前に、車両が急な加減速を行い、車速の変動量が車速基準変動量を上回ったとする。その場合、制御部6はステップ135で、車速の変動量が車速基準変動量を上回ったと判定し、処理をステップ145に進める。そしてステップ145では、カウンタをゼロにリセットし、ステップ150では対路面ピッチ角の前回値を保持し、ステップ175では対路面ピッチ角に応じて光軸方向を制御するが、光軸の上下方向は変化しない。
その後、車両が水平な道路の走行を続け、凸凹な路面上を走行せず、かつ一定速度で走行を続けたとする。すると、制御部6は、ステップ105、110、115、120、125、130、135、140、155、160、175の処理をこの順に繰り返す。これにより、カウンタの値が、0から距離L走行毎に1カウントずつ増大していく。そして、カウンタの値が上記基準走行距離に対応する値(すなわち、基準走行距離/L)に到達するまたは上回ったとする。
すると制御部6は、ステップ140で、走行距離が基準走行距離を超えたと判定し、ステップ165に進み、カウンタをリセットし、更にステップ170に進み、対路面ピッチ角を算出する。具体的には、直前のステップ105(すなわち、今回のステップ105〜175の処理におけるステップ105)において取得した絶対ピッチ角の現在の値で、対路面ピッチ角を更新する。これにより、絶対ピッチ角の現在の値が、対路面ピッチ角の最新値となる。
つまりステップ170では、図3の例(ロールおよび路面の横方向の傾斜は無いものとする)に示すように、大気圧センサ5が検出した現在の絶対ピッチ角αは、車体の基準面11の水平面13に対する角度であり、水平面13は路面12と平行なので、車体の基準面11が路面12に対して成す対路面ピッチ角θは、絶対ピッチ角αと同じ値とする。なお、車体の基準面11は、車体に固定された面であり、かつ、車体の対路面ピッチ角θがゼロのときに路面12と平行になる面である。図3のように、車体の前方が下に傾くような対路面ピッチ角が発生する原因としては、車両の前方の積載荷重が非常に大きい等が考えられる。
続いてステップ175では、対路面ピッチ角の現在値に基づいて、ヘッドランプ1の光軸方向を制御する。例えば、対路面ピッチ角が+1°(正の値は車両のノーズが沈むピッチを、負の場合は車両のテールが沈むピッチを表す)であれば、その対路面ピッチ角による影響を相殺するよう、光軸の上下方向を、あらかじめ定められた基準光軸方向に対して−1°(正の値は下向きの変化を、負の場合は上向きの変化を表す)変化させる。このようにすることで、対路面ピッチ角が変化しても、路面に対する光軸の方向が安定する。
その後、車両が水平な道路の走行を続け、凸凹な路面上を走行せず、かつ一定速度で走行を続けたとする。すると、制御部6は、ステップ105、110、115、120、125、130、135、140、155、160、175の処理をこの順に繰り返す。なおステップ140からステップ155に進むのは、上述のようにステップ165でカウンタがリセットされているからである。これにより、カウンタの値が、0から距離L走行毎に1カウントずつ増大していき、また、更新後の対路面ピッチ角が保持され、その対路面ピッチ角に応じた光軸の上下方向が維持される。
そして、カウンタの値が上記基準走行距離に対応する値(すなわち、基準走行距離/L)に到達するまたは上回った時点で、再度ステップ105、110、115、120、125、130、135、140、165、170、175の処理がこの順に実行され、その時点における現在の絶対ピッチ角を、対路面ピッチ角の最新値とし、その最新値に従って、ヘッドランプ1の光軸の上下方向を制御する。
このように、本実施形態の制御部6は、取得した絶対ピッチ角の現在値と、大気圧の変動量(勾配関連量の一例に相当する)に基づいて、路面に対する対路面ピッチ角を算出する。このように、路面の勾配を特定可能な勾配関連量を利用して、絶対ピッチ角に基づいた対路面ピッチを算出することで、坂道で誤った対路面ピッチ角を算出してしまう可能性を低減することができる。また、上記のように、勾配関連量を高度変化に応じて変化する量とした場合、勾配関連量の変動量に基づいて、路面の勾配が特定可能となる。
また、制御部6は、勾配関連量に基づいて、路面の勾配が水平に対して所定の範囲内にあるか否かを判定し、路面の勾配が水平に対して所定の範囲内にある場合に、絶対ピッチ角の現在の値を対路面ピッチ角の最新値とし、路面の勾配が水平に対して所定の範囲内にない場合は、絶対ピッチ角の現在の値を対路面ピッチ角に反映しない。
このように、路面の勾配が水平に対して所定の範囲内にあるとき(大気圧変動量が大気圧変動基準値以内であるとき)に、絶対ピッチ角の現在の値を対路面ピッチ角の最新値とする一方、路面の勾配が水平に対して所定の範囲内にない場合は、絶対ピッチ角の現在の値を対路面ピッチ角に反映しないことで、坂道で誤った対路面ピッチ角を算出してしまう可能性を低減することができる。
このようになるのは、特定の勾配の坂道で対路面ピッチ角を検出する場合の方が、水平な道路で対路面ピッチ角を算出する場合に比べ、大気圧センサ5に対して高い精度や応答性が要求されるからである。
対路面ピッチ角が変化するのは、人の乗降、荷物の積み下ろし等のように、車両に積載される荷重が変化した場合、および、加減速が発生した場合のいずれかであると考えられる。
積載荷重の変化による対路面ピッチ角の変化は、そう頻繁にはおこらないが、一度変化すると、変化後の角度がしばらく維持されるという特性を有している。一方、加減速による対路面ピッチ角の変化は、比較的頻繁に発生するが、その変化の持続時間は短いという特性を有している。
対路面ピッチ角を光軸制御に用いる場合、積載荷重の変化による対路面ピッチ角の変化のみに追従したい場合は、頻繁に対路面ピッチ角の値を更新する必要性が低い。この場合上記のように、絶対ピッチ角の現在の値を対路面ピッチ角の最新値とする一方、路面の勾配が小さい場合に対路面ピッチ角を更新し、小さくない場合に絶対ピッチ角の現在の値を対路面ピッチ角に反映しないようにしても、対路面ピッチ角の更新が遅いということにはならない。
また、制御部6は、車速の変動量が基準値(車速基準変動量)より小さい場合に、対路面ピッチ角の最新値を算出し、車速の変動量が基準値(車速基準変動量)よりも大きい場合に、絶対ピッチ角の現在の値を対路面ピッチ角に反映せずに、前回の対路面ピッチ角を維持する。このようにすることで、車両の加減速による加速度が傾斜検出手段(4)の検出結果に絶対ピッチ角以外の影響(具体的には慣性力の影響)が及ぶ可能性を低減することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と対比して説明する。本実施形態の車両用前照灯制御システムのハードウエア構成は、第1実施形態と同じである。また、本実施形態では、制御部6は、第1実施形態における図2の処理に代えて、図4に示す処理を実行するようになっている。
なお、図2と図4において、同じ処理内容のステップには同じステップ番号を付している。図2にも図4にも記載されているステップの処理内容については、本実施形態では省略または簡略化して説明する。
以下では、第1実施形態と同様、坂道(例えば、1°の上り勾配)において車両が走行を開始する事例について説明する。まずステップ105では、傾斜センサ4によって検出され出力された絶対ピッチ角の出力信号を取得する。続いてステップ110では、大気圧センサ5によって検出され出力された大気圧の出力信号を取得する。続いてステップ115では、車速センサ3から出力された車速信号を取得する。続いてステップ120では、カウンタリセット後の走行距離を検出する。
ステップ120に続いては、第1実施形態と異なり、ステップ130に進み、傾斜センサ4から取得した絶対ピッチ角の変動量が一定値(具体的には、絶対ピッチ角基準変動量)以内であるか否かを判定する。具体的には、今回のステップ105および前回以前のN回のステップ105における絶対ピッチ角の検出値から、単位走行距離当たりの絶対ピッチ角の変動量(増える場合も減る場合も値は正とする)として最も確からしい値を(例えば最小二乗法で)算出する。そして、算出した最も確からしい変動量が、上記絶対ピッチ角基準変動量より小さいか否かを判定する。
なお、図4のステップ105〜175の処理の繰り返しを初めてから、今回がN回目以下である場合は、絶対ピッチ角の変動量の暫定値として、絶対ピッチ角変動基準値よりも大きい値を設定する。これにより、今回がN回目以下である場合は、絶対ピッチ角変動量が絶対ピッチ角変動基準値以内でないと判定することになり、処理はステップ145に進む。
ステップ145では、カウンタの値をゼロにリセットし、続くステップ150では、対路面ピッチ角の値として前回値を保持する。本事例では、車両が走行し始めた時点であるので、対路面ピッチ角としては、所定の初期値(例えば0°)を前回値としてもよいし、あるいは、前回の走行時に最後に更新された値を、不揮発性の記憶媒体から読み出してもよい。この場合、制御部6は、後述するステップ170で算出した対路面ピッチ角を、当該記憶媒体に記録するようになっている。そして続くステップ175では、対路面ピッチ角の現在値に基づいて、ヘッドランプ1の光軸方向を制御する。
その後、ステップ105〜175の繰り返しがN回行われるまで、ステップ105、110、115、120、130、145、150、175の処理がこの順に繰り返され、各回のステップ105、110、115、115において、それぞれ傾斜センサ4、大気圧センサ5、車速センサ3の出力を取得し、絶対ピッチ角、大気圧、車速をRAM等の記憶媒体に蓄積していく。またその間、カウンタはゼロにリセットされ続け(ステップ145)、対路面ピッチ角は更新されず(ステップ150)、光軸の上下方向は変化しない(ステップ175)。
N+1回目のステップ105〜175の処理においては、ステップ105、110、115、120の後、ステップ130で、前回以前のN回および今回において傾斜センサ4から取得した絶対ピッチ角に基づいて、絶対ピッチ角の変動量を算出でき、その結果の変動量が、絶対ピッチ角変動基準値以内であるか否かを判定する。
本事例では、まだ車両が坂道(例えば、1°の上り勾配)を走行しているが、凸凹路面を走行しておらず、絶対ピッチ角の変動量が絶対ピッチ角基準変動量よりも小さい状況がしばらく続くものとする。したがって、ステップ130の判定結果が肯定的なものとなり、続いてステップ135に進む。
ステップ135では、車速センサ3から取得した車速パルス信号に基づいて車速の変化量を算出し、算出した車速の変動量が一定値(具体的には、車速基準変動量)以内であるか否かを判定する。
本事例では、まだ車両が坂道(例えば、1°の上り勾配)を走行しているが、車両は一定速度で走行を続け、車速の変動量が車速基準変動量よりも小さい状況がしばらく続くものとする。その場合、制御部6は処理をステップ140に進める。
ステップ140では、直前のステップ120で算出した走行距離が一定値(具体的には、基準走行距離)以上であるか否かを判定する。本実施形態の基準走行距離としては、例えば10メートルでもよいし、5.7メートルでもよい。この5.7メートルという量は、0.1°の路面勾配で気圧が0.1Pa(1cmの高低差に相当する)変化する走行距離に相当する。
本事例では、直前のステップ120の時点では、カウンタの値はゼロだったので、走行距離もゼロとなっている。したがって、走行距離が基準走行距離よりも短いと判定し、処理をステップ155に進める。ステップ155では、カウンタの値を1だけ増加させる。これにより、本事例ではカウンタの値が0から1になる。
続いてステップ160では、対路面ピッチ角の値として前回値を保持し、続いてステップ175では、対路面ピッチ角の現在値に基づいて、ヘッドランプ1の光軸方向を制御するが、対路面ピッチ角が前回値と同じなので、光軸の上下方向は変化しない。
その後、車両が坂道の走行を続け、凸凹な路面上を走行せず、かつ一定速度で走行を続けたとする。すると、制御部6は、ステップ105、110、115、120、130、135、140、155、160、175の処理をこの順に繰り返す。これにより、カウンタの値が、距離L走行毎に1カウントずつ増大していく。そして、当該坂道の走行中にカウンタの値が上記基準走行距離に対応する値(すなわち、基準走行距離/L)に到達するまたは上回ったとする。
すると制御部6は、ステップ140で、走行距離が基準走行距離を超えたと判定し、ステップ165に進み、カウンタをリセットし、更にステップ168に進み、現在までに大気圧センサ5から取得した大気圧に基づいて、車両が走行している路面の勾配を算出する。
具体的には、現在までにステップ110で取得した大気圧に基づいて、図5に示すように、時間T(現在時刻よりも時間Tだけ前の時刻t1から、現在時刻t2までの時間、例えば100ミリ秒)当たりの大気圧の減少量を算出し、その算出結果に基づいて、時間T当たりの車両の高度の増加量H2−H1を算出する。なお、制御部6は、あらかじめ制御部6の記憶媒体(例えばROM)に記録された大気圧の減少量と高度の増加量との対応テーブルに基づいて、時間T当たりの大気圧の減少量から、時間T当たりの高度の増加量H2−H1を算出する。
更に、現在までにステップ115で取得した車速に基づいて、時間T当たりの車両10の走行距離D(図6参照)を算出する。そして、arcsin((H2−H1)/D)の値を路面の勾配とする。なお、図6においては、破線11が車両の基準面を表し、実線12が路面を表し、破線13が水平面を表し、破線14が路面12に平行な面を表す。
続いてステップ170に進み、直前のステップ173で算出した路面勾配および直前のステップ105で算出した絶対ピッチ角に基づいて、対路面ピッチ角を算出する。具体的には、図7(ロールおよび路面の横方向の傾斜は無いものとする)に示すように、直前のステップ173で算出した路面勾配βの現在値から、直前のステップ105において取得した絶対ピッチ角αの現在値を減算した値β−αを、対路面ピッチ角θの最新値とする。
続いてステップ175では、直前のステップ170で更新された対路面ピッチ角の最新値に基づいて、ヘッドランプ1の光軸の上下方向を第1実施形態と同様の方法で制御する。
その後、車両が上り坂の走行を続け、凸凹な路面上を走行せず、かつ一定速度で走行を続けたとする。すると、制御部6は、ステップ105、110、115、120、130、135、140、155、160、175の処理をこの順に繰り返す。なおステップ140からステップ155に進むのは、上述のようにステップ165でカウンタがリセットされているからである。これにより、カウンタの値が、0から距離L走行毎に1カウントずつ増大していき、また、更新後の対路面ピッチ角が保持され、その対路面ピッチ角に応じた光軸の上下方向が維持される。
そして、カウンタの値が上記基準走行距離に対応する値(すなわち、基準走行距離/L)に到達する前に、車両が坂道を上り終えて水平な道路に入ったとする。この場合も、傾斜センサ4の出力する絶対ピッチ角が急激に変動するので、制御部6はステップ105、110、115、120、130と進み、ステップ130で、絶対ピッチ角の変動量が絶対ピッチ角変動基準値よりも大きいと判定し、ステップ145に処理を進め、その後、カウンタをリセットし、ステップ150で対路面ピッチ角の前回値を保持し、ステップ175で、対路面ピッチ角に基づいてヘッドランプ1の光軸を制御するが、光軸の上下方向は変化しない。
その後、車両が水平道路の走行を続け、凸凹な路面上を走行せず、かつ一定速度で走行を続けたとする。すると、制御部6は、ステップ105、110、115、120、130、135、140、155、160、175の処理をこの順に繰り返す。これにより、カウンタの値が、0から距離L走行毎に1カウントずつ増大していき、また、更新後の対路面ピッチ角が保持され、その対路面ピッチ角に応じた光軸の上下方向が維持される。
そして、カウンタの値が上記基準走行距離に対応する値(すなわち、基準走行距離/L)に到達するまたは上回った時点で、再度ステップ105、110、115、120、130、135、140、165、168、170、175の処理がこの順に実行され、その時点における現在の絶対ピッチ角αと現在の路面勾配βの差β−αを対路面ピッチ角θの最新値とし、その最新値に従って、ヘッドランプ1の光軸の上下方向を制御する。
このように、本実施形態の制御部6は、取得した絶対ピッチ角の現在値と、大気圧の変動量(勾配関連量の一例に相当する)に基づいて、路面に対する対路面ピッチ角を算出する。このように、路面の勾配を特定可能な勾配関連量を利用して、絶対ピッチ角に基づいた対路面ピッチを算出することで、坂道で誤った対路面ピッチ角を算出してしまう可能性を低減することができる。また、上記のように、勾配関連量を高度変化に応じて変化する量とした場合、勾配関連量の変動量に基づいて、路面の勾配が特定可能となる。
また、制御部6は、勾配関連量(具体的には大気圧)に対応する路面勾配βと、絶対ピッチ角αと、の差β−αを、対路面ピッチ角θとする。このようにすることで、絶対ピッチ角から路面勾配の影響を除去して路面ピッチ角を得ることができる。この方法では、水平な道路以外でも、対路面ピッチ角を検出することができるので、短い期間で変化する対路面ピッチ角に追従した光軸方向の制御が可能となる。
また、制御部6は、車速の変動量が基準値(車速基準変動量)より小さい場合に、対路面ピッチ角の最新値を算出し、車速の変動量が基準値(車速基準変動量)よりも大きい場合に、絶対ピッチ角の現在の値を対路面ピッチ角に反映せずに、前回の対路面ピッチ角を維持する。このようにすることで、車両の加減速による加速度が傾斜検出手段4の検出結果に絶対ピッチ角以外の影響(具体的には慣性力の影響)が及ぶ可能性を低減することができる。
なお、上記各実施形態において、制御部6が、ステップ105を実行することで絶対ピッチ角取得手段の一例として機能し、ステップ110を実行することで勾配関連量取得手段の一例として機能し、ステップ120〜170を実行することで対路面ピッチ角算出手段の一例として機能し、ステップ175を実行することで光軸制御手段の一例として機能する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
例えば、上記実施形態では、路面の勾配を特定可能な勾配関連量として、大気圧センサ5が検出する大気圧を採用しているが、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、勾配関連量として、衛星航法用受信機(例えばGPS受信機、準天頂衛星を用いた衛星航法用受信機)が検出する車両の高度を採用してもよい。例えば干渉測位方式用いたGPS受信機を用いれば、高度の検出精度が数センチ程度になる。また、衛星航法用受信機(勾配関連量検出手段の一例に相当する)が検出する車両の高度も、大気圧と同様、車両の高度変化に応じて変化する量の一例に相当する。
また、第1実施形態では、勾配関連量検出手段、大気圧センサ5が用いられているが、大気圧センサ5の代わりに水平器を用いてもよい。この水平器は、路面が水平であるか否かの信号を出力する。ただい、水平器を用いる場合、水平器は車体の対路面ピッチ角の影響を受けない位置に取り付けられなければいけない。そのような位置としては、例えば、車体と車輪の間に介在するサスペンション内部がある。
また、路面の勾配を特定可能な勾配関連量としては、車両の絶対ピッチ角の変化を検出する静電容量方式、ピエゾ抵抗方式等の加速度センサ(例えば、2軸センサ、3軸センサ)を用いてもよい。
1 ヘッドランプ
2 ヘッドランプ駆動部
3 車速センサ
4 傾斜センサ(傾斜検出手段)
5 大気圧センサ(勾配関連量検出手段)
6 制御部(車両用前照灯制御装置)
10 車両
11 基準面
12 路面
13 水平面
14 路面に平行な面
θ 対路面ピッチ角
α 絶対ピッチ角
β 路面勾配

Claims (4)

  1. 車両のヘッドランプ(1)の光軸方向を制御する車両用前照灯制御装置であって、
    鉛直方向に対して固定された基準面に対する車体のピッチ角である絶対ピッチ角を検出する傾斜検出手段(4)から、検出された前記絶対ピッチ角の出力を取得する絶対ピッチ角取得手段(105)と、
    路面の勾配を特定可能な勾配関連量を検出する勾配関連量検出手段(5)から、検出された前記勾配関連量の出力を取得する勾配関連量取得手段(110)と、
    前記絶対ピッチ角取得手段(105)が取得した前記絶対ピッチ角と、前記勾配関連量取得手段(110)が取得した前記勾配関連量に基づいて、路面に対する前記車両のピッチ角である対路面ピッチ角を算出する対路面ピッチ角算出手段(120〜170)と、
    前記対路面ピッチ角算出手段(120〜170)が算出した前記対路面ピッチ角に基づいて、前記ヘッドランプの光軸方向を制御する光軸制御手段(175)と、を備え
    前記対路面ピッチ角算出手段(120〜170)は、前記勾配関連量に基づいて、前記路面の勾配が水平に対して所定の範囲内にあるか否かを判定し、前記路面の勾配が水平に対して前記所定の範囲内にある場合に、前記絶対ピッチ角の現在の値を前記対路面ピッチ角の最新値とし、前記路面の勾配が水平に対して前記所定の範囲内にない場合は、前記絶対ピッチ角の現在の値を前記対路面ピッチ角に反映しないことを特徴とする車両用前照灯制御装置。
  2. 前記勾配関連量取得手段(110)は、前記車両の高度変化に応じて変化する量を前記勾配関連量として検出し、
    前記対路面ピッチ角算出手段(120〜170)は、前記絶対ピッチ角取得手段(105)が取得した前記絶対ピッチ角と、前記勾配関連量の変動量に基づいて、前記対路面ピッチ角を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯制御装置。
  3. 前記対路面ピッチ角算出手段(120〜170)は、前記勾配関連量に対応する路面勾配と、前記絶対ピッチ角と、の差を、前記対路面ピッチ角とすることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯制御装置。
  4. 前記車両の車速に応じた車速信号を出力する車速センサ(3)から、前記車速信号を取得する車速取得手段(115)を備え、
    前記対路面ピッチ角算出手段(120〜170)は、前記車速取得手段(115)が取得した前記車速信号に応じた車速の変化量が基準値より小さい場合に、前記対路面ピッチ角の最新値を算出し、前記車速取得手段(115)が取得した前記車速の変化量が前記基準値よりも大きい場合に、前記絶対ピッチ角の現在の値を前記対路面ピッチ角に反映しないことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用前照灯制御装置。
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