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JP5678684B2 - パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents

パワーモジュール用基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミックス基板の両面に異なる厚さの金属層を積層したパワーモジュール用基板の製造方法に関する。
従来のパワーモジュールとして、セラミックス基板の一方の面に、回路層となるアルミニウム金属層が積層され、この回路層の上に半導体チップ等の電子部品がはんだ付けされるとともに、セラミックス基板の他方の面に放熱層となるアルミニウムの金属層が形成され、この金属層にヒートシンクが接合された構成のものが知られている。
また、このようなセラミックス基板に回路層又は放熱層となるアルミニウム金属層を積層状態に形成する方法として、セラミックス基板に、Al−Si系又はAl−Ge系のろう材を介在させてアルミニウム金属層を重ね合わせ、その積層体を加圧、加熱することにより、ろう材を溶融させて、セラミックス基板とアルミニウム金属層とを接合することが知られている。
この場合、回路層及び放熱層とも同じ板材で形成されるのが一般的であったが、放熱層とヒートシンクとの間の熱伸縮を緩和するための緩衝機能を放熱層自身に持たせるべく放熱層を肉厚に形成することが検討されている。この場合、回路層と放熱層との厚さの差から、ろう付けのための加熱処理を経由すると全体に反りが生じて、その後のヒートシンクへの取り付けを阻害するという問題が生じる。
特許文献1には、セラミックス基板の両面に厚さの異なる金属層を積層した場合に、体積が大きい金属層側を凹とする(体積が小さい金属層側を凸とする)反りが生じることが開示されている。
また、特許文献2には、反り防止対策として、厚い金属層を薄い金属層より変形抵抗の小さい材料で構成することが開示されている。例えば、厚肉の金属層を純度99.99〜99.9999%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム〜6Nアルミニウム)で構成し、薄肉の金属層をそれより純度の低い純度99〜99.99%以上のアルミニウム(いわゆる2Nアルミニウム〜4Nアルミニウム)で構成することにより、反りを低減させている。
特開2002−252433号公報 特開2010−93225号公報
しかしながら、薄肉の金属層の純度が低くなると、搭載するチップ等の接合層であるはんだが熱サイクルにより劣化するおそれがあり、信頼性に問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、セラミックス基板の両面に異なる厚さの金属層を積層する場合に、両金属層に同じ材質のものを使用しても、接合時に発生する反りを低減することができ、接合の信頼性を高めることができるパワーモジュール用基板の製造方法を提供する。
本発明のパワーモジュール用基板の製造方法は、セラミックス基板の両面に異なる厚さの金属層が積層されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、両金属層を前記セラミックス基板の両面に配置し、これらを加圧しながら加熱して接合した後、加圧した状態で常温まで冷却し、加圧を解いた状態でさらに冷却して前記金属層に塑性変形を生じさせることを特徴とする。
厚さを異ならせた金属層では熱伸縮の差が大きいので、これらをセラミックス基板に接合した場合は、加熱接合後の冷却過程で発生する残留応力のために、薄肉の金属層側を凸とする反りが生じる。
この冷却過程において、常温以下の低温までさらに冷却を進めると、熱収縮による変形がさらに進む。しかしながら、両金属層とセラミックス基板とは接合されており、セラミックス基板の変形抵抗が大きいことから、反りがある程度まで進むとセラミックス基板に拘束されて、それ以上反りとしては変形できなくなる。これをさらに冷却すると、金属層に塑性変形が生じる。この塑性変形は、反りとは逆方向の変形であり、その塑性変形領域まで冷却した後に常温まで戻すと、塑性変形した分、反りが相殺されて、冷却前の常温時に生じていた反りよりも、小さくなる。
このように、熱伸縮による反りと、塑性変形による逆向きの変形とによって、パワーモジュール用基板全体の反りを低減させることができる。
また、本発明のパワーモジュール用基板の製造方法において、前記金属層は、前記セラミックス基板に接合する前の状態において、純度99.90質量%以上のアルミニウムで構成し、前記冷却は−45℃未満まで行うとよい。
さらに、本発明のパワーモジュール用基板の製造方法において、前記冷却は、厚い金属層側から冷却するとよい。
そして、本発明のパワーモジュール用中間体は、上記の製造方法により製造されたパワーモジュール用基板の前記金属層のうちの一方に、ヒートシンクを構成するヒートシンク用天板部材が仮止めされていることを特徴とする。
本発明によれば、接合により発生する反りを低減し、接合の信頼性を高めることができるパワーモジュール用基板の製造方法を提供することができる。また、セラミックス基板に積層する両金属層の材質を変える必要がないので、はんだが熱サイクルにより劣化する等の問題を解消することができる。
本発明の実施形態のパワーモジュールの全体構成を示す縦断面図である。 温度と反り量との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態のパワーモジュール用基板を用いたパワーモジュールを示している。この図1のパワーモジュール1は、セラミックス等からなるセラミックス基板2を有するパワーモジュール用基板3と、パワーモジュール用基板3の表面に搭載された半導体チップ等の電子部品4と、パワーモジュール用基板3の裏面に接合されたヒートシンク5とから構成される。
パワーモジュール用基板3は、セラミックス基板2の両面に金属層6,7が積層されており、その一方の金属層6が回路層となり、その表面に電子部品4がはんだ付けされる。また、他方の金属層7は放熱層とされ、その表面にヒートシンク5が取り付けられる。
セラミックス基板2は、例えば、AlN(窒化アルミニウム)、Si(窒化珪素)等の窒化物系セラミックス、もしくはAl(アルミナ)等の酸化物系セラミックスにより形成され、その厚さは例えば0.635mmとされる。
金属層6,7は、いずれも純度99.90質量%以上のアルミニウムが用いられ、JIS規格では、1N90(純度99.90質量%以上:いわゆる3Nアルミニウム)又は1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)を用いることができる。なお、金属層6,7には、アルミニウムの他、Cuを用いることもできる。
このパワーモジュール用基板3は、放熱層となる金属層7に緩衝機能を持たせたるため、回路層となる金属層6よりも肉厚に形成されたものを用いている。
本実施形態のパワーモジュール用基板3においては、例えば、回路層となる金属層6の厚さは0.6mmとされ、放熱層となる金属層7の厚さが1.5mmとされている。
これら金属層6,7は、プレス加工により所望の外形に打ち抜いたものをセラミックス基板2に接合するか、あるいは、平板状のものをセラミックス基板2に接合した後に、エッチング加工により所望の外形に形成するか、いずれの方法も採用することができる。
なお、本実施形態のパワーモジュール用基板3は、放熱層となる金属層7の厚さの方が回路層となる金属層6の厚さよりも厚い例であるが、逆の形態として、放熱層となる金属層7の厚さの方が回路層となる金属層6の厚さよりも薄く設けられるものであってもよい。
以下、特に指定しない限り、金属層7の厚さの方が金属層6の厚さよりも厚いものとして説明する。
また、両金属層6,7の厚さは、上述の厚さに限定されることはなく、例えば、0.6mmよりも薄いものや、1.5mmよりも厚いものも用いられる。
セラミックス基板2と回路層及び放熱層となる金属層6,7とは、ろう付けにより積層されている。ろう材としては、Al−Si系、Al−Ge系、Al−Cu系、Al−Mg系またはAl−Mn系等の合金が使用される。
なお、金属層6と電子部品4との接合には、Sn−Ag−Cu系,Zn−Al系もしくはPb−Sn系等のはんだ材が用いられる。図中符号8がそのはんだ接合層を示す。また、電子部品4と金属層6の端子部との間は、アルミニウム等からなるボンディングワイヤ(図示略)により接続される。
一方、放熱層となる金属層7とヒートシンク5との間の接合法としては、Al−Si系、Al−Ge系、Al−Cu系、Al−Mg系またはAl−Mn系等の合金のろう材によるろう付け法や、Al−Si系のろう材にフラックスを用いたノコロックろう付け法、金属層およびヒートシンクにNiめっきを施し、Sn−Ag−Cu系、Zn−AlもしくはPb−Sn系等のはんだ材によりはんだ付けする方法が用いられ、あるいは、シリコングリースによって密着させた状態でねじによって機械的に固定される。図1では、ろう付けした例を示している。
ヒートシンク5は、その形状等は特に限定されないが、アルミニウム合金の押し出し成形によって形成され、パワーモジュール用基板3に接合される天板部材15aと、この天板部材15aに接合される底板部材15bとで、ヒートシンク5の内部を、縦壁17を介して複数の流路16に区画した構成とされている。天板部材15aは、パワーモジュール用基板3の金属層7よりも大きい四角形の平面形状を有しており、各縦壁17は、ヒートシンク5の幅方向に等間隔で相互に平行に並べられ、ヒートシンク5の長さ方向に沿って設けられている。
このように構成される本実施形態のパワーモジュール1は、以下のようにして製造される。
AlNからなるセラミックス基板2の一方の面に回路層となる金属層6をろう材箔を介して積層し、セラミックス基板2の他方の面に放熱層となる金属層7もろう材箔を介して積層する。この積層体と、クッション性及び耐熱性を有するカーボン及びグラファイトの薄膜からなるシートとを、その積層方向に交互に重ねて加圧手段の間に載置し、これらを厚さ方向(積層方向)に加圧した状態で真空炉内に装入する。そして、この加圧状態で加熱することにより、ろう付けを行う。
図1に示すパワーモジュール用基板3のように、回路層及び放熱層となる金属層6,7の厚さを異ならせた場合、ろう付け時の加熱による熱伸縮の差が大きいので、接合後の冷却過程で発生する残留応力のために、常温まで戻して加圧状態を解放すると薄肉の金属層6側を凸とする反りが生じる。
そこで、この冷却過程において、常温以下の低温までさらに冷却を進めることにより、熱収縮による変形(反り量)をさらに増加させる。両金属層6,7とセラミックス基板2とは接合されており、セラミックス基板2の変形抵抗が大きいことから、反りがある程度まで進むとセラミックス基板2に拘束されて、それ以上反りとしては変形できなくなる。これをさらに冷却すると、見かけ上は変化がないように見えるが、金属層に塑性変形が生じることとなる。
この塑性変形は、反りとは逆方向の変形であり、その塑性変形領域まで冷却した後に常温まで戻すと、塑性変形した分、反りが相殺されて、冷却前の常温時で生じていた反りよりも、冷却後の常温時の反りの方が小さくなる。
このように、熱伸縮による反りと、塑性変形による逆向きの変形とによって、パワーモジュール用基板3の全体の反りを低減させることができる。
図2は、冷却温度とパワーモジュール用基板の反り量との関係を示したものである。
回路層及び放熱層ともにアルミニウム純度99.99質量%の28mm角の金属層を用い、回路層となる金属層6の厚さは0.6mm、放熱層となる金属層7の厚さは1.5mmとした。セラミックス基板2には、AlNを用い、厚さ0.635mmとした。これら金属層6,7とセラミックス基板2とは、厚さ10μm〜15μmのAl−Si系ろう材を用いて接合したパワーモジュール用基板3を用いた。
このように構成されたパワーモジュール用基板の作製には、まず、金属層6の裏面とセラミックス基板2の表面、及び金属層7の表面とセラミックス基板2の裏面を、それぞれろう材を挟んで当接させ、これら積層したセラミックス基板2及び金属板6,7を厚さ方向に加圧しながら、600〜650℃で約1時間加熱することにより、セラミックス基板2と金属層6,7とを接合した。
その後、セラミックス基板2と金属層6,7とを加圧した状態で常温まで冷却し、加圧を解放した。この状態では、薄肉の金属層6側を凸とする反りが認められた。そして、加圧を解いた状態で、さらに−70℃まで冷却した。この際、全体の温度が一定となるように7分間保持し、再度−70℃から常温まで戻した。この冷却開始から−70℃で7分間保持し、さらに常温に戻すまでの間の反り量を測定した。反り量は、冷却器内で定盤上にパワーモジュール用基板3を載置し、上部よりレーザー変位計で冷却中のパワーモジュール用基板3の反りを測定して、反り量をグラフに示した。
図2から明らかなように、−70℃まで冷却する前の0℃(a点)においては、反り量が150μm程度であったのに対して、低温まで冷却を進める程に熱収縮による変形(反り量)が増加し、−45℃以下まで冷却すると反り量が300μm程度となった。そして、この−45〜−70℃までの間(b点からc点の間)では、見かけ上の反りは変化がないように見える範囲が現れた。その後、常温まで戻すと反り量が減少し、0℃(d点)においては反り量が70μm程度となり、冷却前(a点)から約80μm低減されていた。
また、反り量が180μm程度だったものについて、同様に−70℃まで冷却したところ、常温での反り量が100μm程度となり、この場合も冷却前と比べて反り量が低減されていた。
なお、セラミックス基板2と金属層6,7との加圧を解いた状態で−70℃まで冷却したが、金属層に塑性変形が生じる温度領域まで冷却すればよいので、少なくとも−45℃未満まで冷却すればよい。−45℃未満のどの程度まで冷却するかは、パワーモジュール用基板の面積、板厚、材質等によって生じる反り量の程度に応じて設定すればよいが、
例えば、−50℃まで冷却するのがより好ましい。
また、パワーモジュール用基板の反り量を低減するには、上述の実施形態のように、パワーモジュール用基板の全体を冷却してもよいが、厚い金属層7側を効率的に冷却するため、その金属層7側から冷却ガスを噴射してもよい。
具体的には、金属層7の裏面側から、冷却ガス(例えば、HFC−134a)の入った冷却スプレーのノズルを5cm離した位置から20秒間吹き付けて確認した。冷却ガスにより、パワーモジュール用基板3は−55℃まで冷却され、冷却前において180μmあった反り量が120〜130μmに低減された。冷却ガスをパワーモジュール用基板3の金属層7の裏面側(反りが生じた凹面側)から吹き付けることで、パワーモジュール用基板3の全体を冷却する場合と比べて、短時間で効率的に反り量を低減することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、セラミックス基板と金属層との接合により発生する反りを低減し、接合の信頼性を高めることができる。また、接合の際の加圧及び加熱状態から加圧を解放して冷却するという処理によってなされるので、両金属層の材質を変える必要がなく、はんだが熱サイクルにより劣化する等の問題を解消することができる。
さらに、パワーモジュール用基板の反りを低減しているので、その後のヒートシンクへの取り付けも良好に行え、パワーモジュールとした場合においても信頼性を向上させることができる。
また、ヒートシンクのろう付けと、このヒートシンクへのパワーモジュール用基板のろう付けとを一括して行うために、パワーモジュール用基板にヒートシンクの天板部材だけを先に仮止めして、パワーモジュール用中間体を構成する場合があるが、この場合には、パワーモジュール用基板の一方の金属層とヒートシンク用天板部材とを、ろう材を介して溶剤(オクタンジオール等)や接着剤による接着又は超音波溶接等により仮止めしておくことができる。この仮止めは、強固な接着力を有していなくてもよいが、パワーモジュール用基板とヒートシンクとをろう付けするまでの間に、不用意にずれたり剥がれたりしない程度に接着されていればよい。そして、パワーモジュールとする際には、ヒートシンクの天板部材と底板部材とを接合するときの熱を利用して、パワーモジュール用基板と天板部材とをろう材により接合することができ、加熱回数を減らして効率的にパワーモジュールを作製することができる。
また、上述のように構成されたパワーモジュール用基板においては、その反り量が低減されていることから、パワーモジュール用基板と天板部材との隙間が小さく設けられており、介在させる溶剤等の接着剤の量を減らして仮止めすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1 パワーモジュール
2 セラミックス基板
3 パワーモジュール用基板
4 電子部品
5 ヒートシンク
6,7 金属層
8 はんだ接合層
15a 天板部材
15b 底板部材
16 流路
17 縦壁

Claims (4)

  1. セラミックス基板の両面に異なる厚さの金属層が積層されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、両金属層を前記セラミックス基板の両面に配置し、これらを加圧しながら加熱して接合した後、加圧した状態で常温まで冷却し、加圧を解いた状態でさらに冷却して前記金属層に塑性変形を生じさせることを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
  2. 前記金属層は、前記セラミックス基板に接合する前の状態において、純度99.90質量%以上のアルミニウムで構成され、前記冷却は−45℃未満まで行うことを特徴とする請求項1記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
  3. 前記冷却は、厚い金属層側から冷却することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の製造方法によって製造されたパワーモジュール用基板の前記金属層のうちの一方に、ヒートシンクを構成するヒートシンク用天板部材が仮止めされていることを特徴とするパワーモジュール用中間体。
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